説明

画像形成装置

【課題】特別な部材を追加せずに、像担持体のクリーニングを長期間にわたって安定して行うことを可能とする。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置1は、像担持体6の表面に残留した残留トナーを所定の極性に摩擦帯電させる帯電制御ブラシ23と、帯電制御ブラシ23によって所定の極性に摩擦帯電させた残留トナーを除去するファーブラシ24と、を備え、帯電制御ブラシ23をファーブラシ24に当接させて配置し、帯電制御ブラシ23によりファーブラシ24に付着した残留トナーを除去させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ・複写機・ファクシミリやこれらを機能的に備えた複合機等のいわゆる電子写真方式の画像形成装置に関し、特に、画像形成装置の像担持体の表面に残留したトナーをクリーニングするクリーニング装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタ・複写機・ファクシミリやこれらを機能的に備えた複合機等のいわゆる電子写真方式にて画像形成を行う画像形成装置においては、画像データに基づいて感光体ドラム等の感光体の表面に形成させたトナー像(多色画像)を、中間転写ベルト等の像担持体に重ね転写(一次転写)させた後、その像担持体から転写紙に転写(二次転写)させる構成が、広く採用されている。
【0003】
このような構成を採用する画像形成装置においては、像担持体の表面に形成したトナー像を転写紙表面に2次転写する際に、転写し切れなかったトナーが像担持体の表面に残留することがある。そこで、次の画像形成工程を行う前に、像担持体の表面をクリーニングし、残留トナーを除去しておく必要がある。
【0004】
従来、像担持体の表面をクリーニングする手段として、ファーブラシにより像担持体の表面に残留したトナーを掻き取る技術が周知である。このようなファーブラシを用いた像担持体のクリーニングにおいて、長期間にわたって安定した性能を満足するためには、以下の2つの問題点を解決することが必要である。
【0005】
(第1の問題点)
二次転写後に中間転写ベルトの表面に残留したトナーには、現像時と同極性(+)を持つものと、二次転写時の用紙からの放電等の影響により帯電が0付近又は逆極性(−)となったものが混在する。このため、一つのファーブラシを用いて片極性のクリーニングバイアスを印加するだけでは、残存トナーを回収しきれないという問題点が発生する。このような問題点を解決するため、中間転写ベルトの表面に独立して接触する一対のファーブラシを配置するとともに、その一対のファーブラシにそれぞれ逆極性のバイアスを印加する技術が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
(第2の問題点)
ファーブラシによる像担持体の表面のクリーニングを長期間行うと、像担持体の表面から除去したトナーがファーブラシ内に蓄積して飽和状態となり、ファーブラシによるクリーニング性能が低下したり、ファーブラシから像担持体の表面にトナーが逆戻りしたりするという問題点が発生する。このような問題点を解決するため、ファーブラシに接触する掻取部材を配置し、この掻取部材によりファーブラシ内に蓄積したトナーを掻き取る技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、上述の如き構成の掻取部材をファーブラシに接触させて配置するだけでは、ファーブラシに蓄積する残留トナーを長期間にわたって安定して除去することは困難である。そこで、ファーブラシに接触する掻取部材を、中空状且つ周面に複数の開孔を設けて形成し、その開孔にファーブラシの糸が入るようにすることで、ファーブラシに蓄積した残留トナーを弾き飛ばす技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−316191
【特許文献2】特開2007−147861
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記の如く構成されたクリーニング装置にあっては、ファーブラシにより弾き飛ばした残留トナーの飛散対策のために、ファーブラシの中空部分に外部で発生させた気流を導入し、この気流により残留トナーを排出する機構を採用しており、装置が大型化するという新たな問題点が生じていた。
【0010】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、特別な部材を追加せずに、像担持体を長期間にわたって安定してクリーニングし得るクリーニング装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像形成装置は、画像転写後の像担持体の表面に接触して、該像担持体の表面に残留したトナーを除去するクリーニング装置を備えた画像形成装置であって、前記像担持体の表面に残留した残留トナーを所定の極性に摩擦帯電させる帯電制御ブラシと、該帯電制御ブラシによって前記所定の極性に摩擦帯電させた残留トナーを除去するファーブラシと、を備え、前記帯電制御ブラシを前記ファーブラシに当接させて配置し、前記帯電制御ブラシにより前記ファーブラシに付着した残留トナーを除去させることを特徴とする。
【0012】
また、前記ファーブラシに接触するように配置した回収ローラと、該回収ローラと接触するように配置した掻取部材と、を備え、前記像担持体上の残留トナーを該像担持体と前記ファーブラシの間の電位差により該ファーブラシに移動させ、該ファーブラシに移動した残留トナーを該ファーブラシと前記回収ローラの間の電位差により該回収ローラに移動させ、該回収ローラに移動した残留トナーを前記掻取部材によって前記回収ローラから除去させることが好ましい。
【0013】
また、前記帯電制御ブラシは、前記ファーブラシの回転方向において前記回収ローラよりも上流側に配置されていることが好ましい。
【0014】
また、前記帯電制御ブラシと前記ファーブラシは、それぞれ異なる種類の糸で形成され、且つ、前記帯電制御ブラシを構成する糸は、前記ファーブラシを構成する糸よりも前記所定の極性の逆側の極性に帯電しやすい糸で構成されていても良いし、互いに同一の種類の糸で構成されていても良い。
【0015】
また、前記帯電制御ブラシは、絶縁糸のみからなり、前記ファーブラシは、少なくとも1種類以上の導電糸を含むものであっても良い。
【0016】
また、前記帯電制御ブラシは、導電糸及び絶縁糸からなり、前記ファーブラシは、少なくとも1種類以上の導電糸を含み、前記帯電制御ブラシのうち前記ファーブラシと接触する部分を絶縁糸により形成するものであっても良い。
【0017】
また、前記帯電制御ブラシにバイアスを印加しない場合に、前記帯電制御ブラシ、前記像担持体及び前記トナーの相互の摩擦により、該トナーを帯電系列に従って前記所定の極性に摩擦帯電させるものであっても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明の画像形成装置は、特別な部材を追加せずに、像担持体を長期間にわたって安定してクリーニングすることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の要部(クリーニング装置)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の説明図、図2は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の要部(クリーニング装置)の説明図である。
【0022】
<画像形成装置の全体構成>
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ1は、プリンタ本体2の内部に、転写紙(図示せず)を収納した給紙カセット3と、給紙カセット3又は手指し給紙トレイ(図示せず)にセットされた転写紙が搬送される搬送経路4と、給紙カセット3又は手指しトレイにセットされた転写紙を搬送経路4に供給する給紙部5と、像担持体としての中間転写ベルト6と、中間転写ベルト6にトナー像を一次転写する画像形成部7と、この一次転写されたトナー像を搬送経路4の中途部において転写紙に二次転写する二次転写ニップ部8と、転写紙に二次転写したトナー像を搬送経路4の下流側において定着させる定着部9と、トナー像を定着させた転写紙を搬送経路4の下流端から排出させる排出口10と、二次転写後の中間転写ベルト6の表面に残留したトナーを除去させるクリーニング装置11とを備えている。
【0023】
中間転写ベルト6は、二次転写ニップ部8側に配置された駆動ローラ20及びクリーニング装置11側に配置されたテンションローラ21に巻き掛けられて水平方向に支持され、駆動装置(図示せず)により所定方向(図1の矢印参照)に回動する。
【0024】
画像形成部7は、例えば、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を用いて画像形成処理を行うタンデム方式が採用されている。尚、以下の説明では、特に色指定に関する場合にのみ、各算用数字の符号に括弧書きで(Y,M,C,K)の色を付し、共通の場合には算用数字のみの符号を付して説明する。
【0025】
画像形成部7は、各色(Y,M,C,K)毎に対応して、補給用トナーを収納した複数のトナーコンテナ12と、パーソナルコンピュータ(図示せず)から送信された印刷データに含まれる画像データに基づいてトナー像を担持する感光体としての複数の感光体ドラム13と、感光体ドラム13の表面にビーム光束(図1において矢印Pで示す)を出射して所定の静電潜像を形成する露光器14とを備えている。
【0026】
各感光体ドラム13は、中間転写ベルト6の下方に配置されており、その周囲には、感光体ドラム13の表面を所定の電圧に帯電させる帯電器15と、露光器14が形成した静電潜像をトナーによりトナー像に現像する現像器16と、そのトナー像を感光体ドラム13と協働して中間転写ベルト6に一次転写する一次転写ローラ17と、感光体ドラム13の表面に残留したトナーを除去するクリーニングデバイス18と、感光体ドラム13の電荷を除去する除電デバイス19とが、一次転写のプロセス順に配置されている。
【0027】
露光器14は、各感光体ドラム13(Y,M,C,K)に対応した複数の光源31(Y,M,C,K)から放射された各ビーム光束を、光源28(Y),(M)及び光源28(C),(K)を対としてそれぞれ共用するポリゴンミラー等の偏光器29(YM),29(CK)で偏光走査しつつ、感光体ドラム13(Y,M,C,K)にビーム光束を結像する。
【0028】
二次転写ニップ部8は、搬送経路4の給紙部5より下流側で定着部9よりも上流側に配置されている。二次転写ニップ部は、中間転写ベルト6を挟んで駆動ローラ20と二次転写ローラ22を対向配置させて形成しており、二次転写ローラ22を中間転写ベルト6に圧接させている。
【0029】
<画像形成動作>
上記の構成において、カラープリンタ1に電源が投入されると、各種パラメータが初期化され、定着部9の温度設定を行うなどの初期設定が実行される。そして、カラープリンタ1に接続されたコンピュータ等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0030】
まず、帯電器15によって感光体ドラム13の表面が帯電された後、露光器14により感光体ドラム13に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム13に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、トナーにより現像器16が対応する色のトナー像に現像する。現像器16によって感光体ドラム13に現像されたトナー像は、トナー像を形成するトナーの極性と逆極性(−)の電圧を一次転写ローラ17に印加することにより、中間転写ベルト6に一次転写される。
【0031】
以上の動作を各色ごとに順次繰り返すことによって、中間転写ベルト6上にフルカラーのトナー像が形成される。このフルカラーのトナー像は、二次転写ローラ22にトナーと逆極性(−)の電圧を印加することにより、搬送経路4を通って二次転写ニップ部8にニップ搬送されてきた転写紙に二次転写される。この転写紙に二次転写されたフルカラーのトナー像は、定着部9で転写紙に定着される。トナー像が定着した転写紙は、排出口10から外部に排出される。
【0032】
一方で、二次転写ニップ部8での二次転写の完了後、画像形成部7の中間転写ベルト6の表面には、現像時と同極性(+)を持つトナーと、二次転写時の転写紙からの放電等により帯電が0付近又は逆極性(−)となったトナーが、混在した状態で残留する。この残留トナーは、以下に詳述するクリーニング装置11によって除去される。
【0033】
<クリーニング装置11の構成>
図2に示すように、本実施例のクリーニング装置11は、中間転写ベルト6に残留したトナーを正規の極性(+)に帯電させる帯電制御ブラシ23と、帯電制御ブラシ23により正規の極性(+)に帯電させた残留トナーを中間転写ベルト6から除去するファーブラシ24と、ファーブラシ24に蓄積した残留トナーを回収する回収ローラとしての金属ローラ25と、金属ローラ25に回収した残留トナーを除去する掻取部材としてのクリーニングブレード26と、クリーニングブレード26により除去した残留トナーを回収するトナー回収機構としてのトナー回収スクリュー27とを備えている。
【0034】
帯電制御ブラシ23は、その先端側(図2において下側)を中間転写ベルト6の表面に所定量(好ましくは、0.5mm〜2mm)食い込ませた状態で配置されている。また、帯電制御ブラシ23は、中間転写ベルト6とファーブラシ24との接触位置よりもファーブラシ24の回転方向の下流側で、且つ、金属ローラ25とファーブラシ24との接触位置よりもファーブラシ24の回転方向の上流側において、先端側(図2において下側)をファーブラシ24と所定量(好ましくは、1mm〜3mm)接触させた状態で配置されている(図2参照)。
【0035】
帯電制御ブラシ23は、例えば、ナイロン系、ポリエステル系、アクリル系の繊維からなる糸(絶縁糸)のみにより構成されるものであっても良いし、上記の各繊維にカーボンブラックを添加して導電性を付与した糸(導電糸)を、上記絶縁糸と組み合わせて使用したものであっても良い。例えば、緯度が6デニールのポリエステル製ブラシであり、長さ寸法は4.5mmに設定され、ブラシ密度は120KF/inchである。帯電制御ブラシ23を絶縁糸のみから構成すれば、導電糸及び絶縁糸を用いて帯電制御ブラシ23を構成する場合と比較し、低コスト化を図ることが可能となる。帯電制御ブラシ23を導電糸及び絶縁糸から構成すれば、導電糸に所定の極性(+)のバイアスを印加した場合に、より所定の極性(+)に残留トナーを帯電させやすくすることが可能となる。
【0036】
但し、導電糸及び絶縁糸を組み合わせて帯電制御ブラシ23を構成する場合には、帯電制御ブラシ23のうちファーブラシ24と接触する部分を絶縁糸により構成することが好ましい。これは、(1)ファーブラシ24が、少なくとも1種類以上の導電糸を含むことと(後述)、(2)帯電制御ブラシ23が残留トナーを所定の極性(+)に帯電させる働きをし、ファーブラシ24が逆極性(−)の電圧により残留トナーを回収する働きをすることから、両部材の接触部分が電気的に干渉すると、上記の各働きに支障が出る虞があることを考慮し、帯電制御ブラシ23とファーブラシ24の絶縁性を確保するためである。
【0037】
また、帯電制御ブラシ23は、摩擦により残留トナーを所定の極性(+)に帯電させることが可能となるよう、帯電系列においてトナーよりも下位(−側)の繊維を用いて形成する。ここで、帯電系列とは、2種類の物質を互いに摩擦して帯電させる場合、正(+)に帯電しやすい物質を上位に、負(−)に帯電しやすい物質を下位に並べたものをいう。物質の帯電極性は摩擦する相手によって変わり、帯電系列の上位の物質と下位の物質を擦り合わせると上位の物質が正、下位の物質が負に帯電する。
【0038】
本実施例では、帯電制御ブラシ23、中間転写ベルト6の表面及びトナーの相互の摩擦によりトナーを帯電系列に従って所定の極性(+)に摩擦帯電させることができるように、上記各部材を構成する材質が選択されている。最も好ましくは、帯電制御ブラシ23を帯電系列においてトナーよりも下位(−側)の繊維にて形成するとともに、中間転写ベルト6の表面を帯電系列においてトナーよりも下位(−側)の材質にてコーティングする。これにより、中間転写ベルト6の表面に残留したトナーの極性を、帯電制御ブラシ23及び中間転写ベルト6の表面との摩擦により、帯電系列に従って確実に所定の極性(+)に揃えることが可能となる。例えば、帯電制御ブラシ23には、ポリ塩化ビニル(ポリアミド系)、アクリル系あるいはポリエステル系の樹脂繊維が用いられる。また、中間転写ベルト6には、PDVF樹脂の基材にNBRの弾性層を形成して周面にPTFEのコート層が形成されたものを用いる。トナーは、ポリエステル系のバインダー樹脂に着色剤や種々の外添剤を含有させたものである。
【0039】
ファーブラシ24は、ナイロン系、ポリエステル系、アクリル系の繊維のみからなる糸(絶縁糸)に、カーボンブラックを上記絶縁糸に添加した糸(導電糸)を、少なくとも1種類以上含ませて構成されている。例えば、ファーブラシ24は外径がφ18のローラ形状であり、ブラシ部分は緯度が6デニールのポリエステル製ブラシであり、長さ寸法は4.5mmに設定され、ブラシ密度は120KF/inchである。また、ファーブラシ24は、帯電制御ブラシ23と同様、帯電系列においてトナーよりも下位(−側)の繊維を用いて形成されている。
【0040】
ファーブラシ24は、ローラ部に繊維を取り付けて形成されており、この繊維の先端部を、中間転写ベルト6に所定量(好ましくは、0.5mm〜2mm)食い込ませた状態で配置されている。ファーブラシ24は、帯電制御ブラシ23とファーブラシ24との接触位置よりもファーブラシ24の回転方向の上流側において中間転写ベルト6と接触するように配置されている。
【0041】
また、帯電制御ブラシ23とファーブラシ24は、それぞれ異なる種類の糸で構成されても良いし、互いに同一の種類の糸で構成されても良い。両者がそれぞれ異なる種類の糸で構成される場合には、摩擦により残留トナーを所定の極性(+)に帯電させる機能を、ファーブラシ24よりも帯電制御ブラシ23に高く持たせる方が好ましいので、帯電制御ブラシ23を構成する糸を、ファーブラシ24を構成する糸よりも所定の極性の逆側の極性(−)に帯電しやすい糸とするのが好ましい。また、両者が互いに同一の種類の糸で構成される場合には、帯電制御ブラシ23とファーブラシ24の帯電系列が同じになるため、ファーブラシ24が回収した残留トナーを金属ローラ25に回収する際に、帯電制御ブラシ23とファーブラシ24の摩擦帯電を抑制することが可能となる。
【0042】
金属ローラ25は、帯電制御ブラシ23とファーブラシ24との接触位置よりもファーブラシ24の回転方向の下流側において、ファーブラシ24と接触するように配置されている。例えば、金属ローラ25はφ10のSUS材で形成される。また、金属ローラ25には残留トナーの極性とは逆極性(−)のクリーニング電圧が印加されており、そのため、金属ローラ25とファーブラシ24の間、ファーブラシ24と中間転写ベルト6との間には、それぞれ所定の電位差が生じている。
【0043】
<クリーニング装置11によるクリーニング動作>
上記の構成において、二次転写後に中間転写ベルト6上に残留したトナー(所定の極性(+)を持つトナーと、帯電が0付近又は逆極性(−)となったトナーが混在するトナー)を、クリーニング装置11を用いて中間転写ベルト6から除去するクリーニング動作を、以下に説明する。なお、以下の説明では、ファーブラシ24は中間転写ベルト6と同一方向(図2において反時計回り)に回動し、金属ローラ25は、中間転写ベルト6とは逆方向(図2において時計回り)に回動する場合について例示して説明する。
【0044】
まず、中間転写ベルト6上を移送されてきた残留トナーは、中間転写ベルト6の表面において帯電制御ブラシ23と接触する。この時、帯電制御ブラシ23、中間転写ベルト6の表面及びトナーの相互の摩擦によりトナーを帯電系列に従って所定の極性(+)に摩擦帯電させることができるように、上記各部材を構成する材質が選択されているため、残留トナーの極性は、所定の極性(+)に揃えられる。このように、摩擦帯電によりトナーを所定の極性(+)に帯電させることで、前記帯電制御ブラシ23に所定の極性(+)のバイアスを印加しないでも、トナーを所定の極性(+)に摩擦帯電させることが可能となり、低コスト化を図ることが可能となる。また、帯電制御ブラシ23を構成する絶縁糸の種類によって残留トナーの極性をコントロールすることも可能となる。
【0045】
次に、帯電制御ブラシ23によって所定の極性(+)に帯電させた残留トナーは、中間転写ベルト6の表面上でファーブラシ24と接触する。この時、ファーブラシ24は、帯電制御ブラシ23と同様、帯電系列においてトナーよりも下位(−側)の繊維を用いて形成されているため、帯電制御ブラシ23との接触により正規の極性(+)に帯電させた残留トナーを、ファーブラシ24との摩擦によりさらに正規の極性(+)に摩擦帯電させやすくすることが可能となる。
【0046】
そして、ファーブラシ24に接触した正規の極性(+)の残留トナーは、金属ローラ25に印加された逆極性(−)のクリーニング電圧により生じるファーブラシ24と中間転写ベルト6の間の電位差により静電気的にファーブラシ24に移動した後、上記逆極性(−)のクリーニング電圧により生じる金属ローラ25とファーブラシ24との間の電位差により静電気的に金属ローラ25に移動するものとなり、電気的作用を用いて、中間転写ベルト6の表面に残留したトナーを効率的に除去することが可能となる。また、上述の如く、帯電制御ブラシ23で残留トナーの極性を所定の極性(+)に揃えてから残留トナーの回収を行うため、逆極性(−)のクリーニングバイアスが印加された回収ローラ25と接触する単一のファーブラシ24のみにより、中間転写ローラ6上に残留したトナーを確実に除去することが可能となる。そのため、複数のファーブラシ24を配置する必要のないものとなり、装置の構成を簡易なものとすることが可能となる。
【0047】
また、上述の如く金属ローラ25に回収された残留トナーは、金属ローラ25に接触させて配置されたクリーニングブレード26により金属ローラ25から掻き落とされ、クリーニングブレード26の下方に配置されたトナー回収スクリュー27によって廃棄トナーボックス(図示せず)へと搬送される。
【0048】
一方、上述した金属ローラ25によるファーブラシ24のクリーニングのみでは、ファーブラシ24に蓄積する残留トナーを長期にわたって安定して除去することは困難で、残留トナーがファーブラシ24内に蓄積して飽和し、ファーブラシ24によるクリーニング性能が低下したり、ファーブラシ24から中間転写ベルト6の表面にトナーが逆戻りしたりする虞がある。
【0049】
そこで、本発明においては、帯電制御ブラシ23をファーブラシ24に当接させて配置し、帯電制御ブラシ23によりファーブラシ24に付着した残留トナーを掻き取って除去させる構成を採用している。このような構成を採用することにより、金属ローラ25のみによりファーブラシ24のクリーニングを行う場合と比較し、ファーブラシ24に蓄積した残留トナーをより効率的に回収することが可能となり、ファーブラシ24によるクリーニング性能の低下や、ファーブラシ24から中間転写ベルト6への残留トナーの逆戻りを抑制することが可能となる。そのため、クリーニング装置11は、中間転写ベルト6のクリーニングを、長期間にわたって安定して行うことが可能となる。
【0050】
また、残留トナーの帯電制御のために配置される帯電制御ブラシ23を、ファーブラシ24のクリーニングに併用することとなり、クリーニング装置11内に新たな部材の追加を必要としない。そのため、部品点数の増加、コストアップ、装置の大型化等の弊害を生じることなく、クリーニング装置11による中間転写ベルト6に対するクリーニング性能を高めることが可能となる。
【0051】
なお、本実施例においては、帯電制御ブラシ23が、ファーブラシ24の回転方向に於いて回収ローラ25よりも上流側でファーブラシ24と接触しているため、ファーブラシ24に残留したトナーを、帯電制御ブラシ23で一旦散らしてから金属ローラ25に回収することが可能となる。そのため、クリーニング装置11による中間転写ベルト6に対するクリーニング性能を、一層高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0052】
1 カラープリンタ(画像形成装置)
6 中間転写ベルト(像担持体)
11 クリーニング装置
23 帯電制御ブラシ
24 ファーブラシ
25 金属ローラ(回収ローラ)
26 クリーニングブレード(掻取部材)





【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像転写後の像担持体の表面に接触して、該像担持体の表面に残留したトナーを除去するクリーニング装置を備えた画像形成装置であって、
前記像担持体の表面に残留した残留トナーを所定の極性に摩擦帯電させる帯電制御ブラシと、
該帯電制御ブラシによって前記所定の極性に摩擦帯電させた残留トナーを除去するファーブラシと、
を備え、
前記帯電制御ブラシを前記ファーブラシに当接させて配置し、前記帯電制御ブラシにより前記ファーブラシに付着した残留トナーを除去させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ファーブラシに接触するように配置した回収ローラと、
該回収ローラと接触するように配置した掻取部材と、
を備え、
前記像担持体上の残留トナーを該像担持体と前記ファーブラシの間の電位差により該ファーブラシに移動させ、該ファーブラシに移動した残留トナーを該ファーブラシと前記回収ローラの間の電位差により該回収ローラに移動させ、該回収ローラに移動した残留トナーを前記掻取部材によって前記回収ローラから除去させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記帯電制御ブラシは、前記ファーブラシの回転方向において前記回収ローラよりも上流側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記帯電制御ブラシと前記ファーブラシは、それぞれ異なる種類の糸で形成され、且つ、前記帯電制御ブラシを構成する糸は、前記ファーブラシを構成する糸よりも前記所定の極性の逆側の極性に帯電しやすい糸で構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記帯電制御ブラシと前記ファーブラシは、互いに同一の種類の糸で構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電制御ブラシは、絶縁糸のみからなり、
前記ファーブラシは、少なくとも1種類以上の導電糸を含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記帯電制御ブラシは、導電糸及び絶縁糸からなり、
前記ファーブラシは、少なくとも1種類以上の導電糸を含み、
前記帯電制御ブラシのうち前記ファーブラシと接触する部分を絶縁糸により形成することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記帯電制御ブラシにバイアスを印加しない場合に、前記帯電制御ブラシ、前記像担持体及び前記トナーの相互の摩擦により、該トナーを帯電系列に従って前記所定の極性に摩擦帯電させることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−32625(P2012−32625A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172373(P2010−172373)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】