説明

画像形成装置

【課題】転写ニップ部に形成された転写電界により像担持体上のトナー像を記録体に転写する画像形成装置において、像担持体にダメージを与えることなく、記録体先端が転写ニップに進入する際に発生する画像の位置ずれと、画像先端部転写不良とを共に防止し、良好な転写性能を得る。
【解決手段】転写紙が転写ニップ部に進入する直前に中間転写ベルト10と2次転写ローラ23との間に位置規制カム72の導電部と導電性の突き当てコロ78とをにより間隙を形成すると共に、間隙が形成される間、位置規制カムと突き当てコロを介して、転写電圧により誘起される電流を流す。また、転写ニップ形成時は、位置規制カムの周方向の一部に貼り付けた絶縁シート81と突き当てコロ78とを対向して離間させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に係り、詳しくは、トナー像を担持して表面移動する像担持体と、像担持体表面に当接する当接部材とによって形成した転写ニップ内に記録体を送り込み、転写ニップ部に形成された転写電界により像担持上のトナー像を記録体に転写する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置において、記録体先端が像担持体と当接部材とによって形成した転写ニップに進入する際、または、記録体後端が転写ニップから離脱する際に、像担持体に瞬間的な負荷変動が発生し、像担持体の表面移動速度が乱される。その結果、所謂ショックジターと呼ばれる画像の位置ずれによる画質劣化が発生する。このような画質劣化は、厚紙のように坪量が大きい記録体ほど発生し易い。
【0003】
特許文献1には、像担持体と当接部材とが当接する転写ニップの位置に記録体先端が進入する直前や記録体後端が離脱する直前の所定のタイミングで、像担持体と当接部材とを離間させて間隙を形成する間隙形成手段を備えたものが記載されている。この装置では、記録体先端が進入する直前、または、記録体後端が離脱する直前のタイミングで、像担持体と当接部材との間に間隙を形成することにより、記録体進入または離脱により像担持体に生じる負荷変動を低減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記転写ニップ部に形成された転写電界により転写をおこなう装置では、一般的に、記録体先端が転写ニップに進入する前に像担持体または当接部材のいずれかに転写電圧印加手段より転写電圧を印加し始めることにより転写電界を形成する。これは、記録体先端が転写ニップに進入した後に転写電圧印加手段より転写電圧を印加し始めると、画像先端部の転写が始まるまでに転写電圧印加手段の出力が十分に上昇できず、画像先端部で十分な転写電界が得られない虞がある。このような場合、先端部転写不良という画像劣化が発生するためである。
【0005】
しかしながら、先端部転写不良を防止するために記録体先端が転写ニップに進入する前に転写電圧を印加し始めると、特許文献1の装置では、転写ニップに進入する直前に形成される像担持体と当接部材との間隙でリーク放電がおこり、像担持体がダメージを受けてしまという副作用が発生する。
【0006】
このような問題を解決するために、本発明者は、特願2009−030032号(以下、先願という)にて、「記録体が転写ニップ部に進入する前に転写電圧を印加し始める転写電圧印加手段と、記録体が転写ニップ部に進入する直前に像担持体と当接部材とを離間させて間隙を形成する間隙形成手段を備えた画像形成装置において、間隙形成手段により像担持体と当接部材とを離間させて間隙を形成している間のみ、転写電圧印加手段により印加される転写電圧により誘起される電流が像担持体と当接部材との間を流れるように導通させる導通手段を設けたことを特徴とする画像形成装置」を提案している。この画像形成装置では、像担持体と当接部材とを離間させて間隙を形成している間に転写電圧が印加されても、導通手段を介して転写電圧により誘起される電流が像担持体と当接部材との間を流れるので、像担持体と当接部材との間隙でリーク放電する虞がない。よって、リーク放電によるダメージを像担持体に与えることを防止できる。
【0007】
さらに、上記先願では、間隙形成手段が導通手段を兼ねる簡易な構成のものを提案している。具体的には、「間隙形成手段は、転写ニップにおいて像担持体を表面移動させる回動中心軸と当接部材を表面移動させる回動中心軸とのいずれか一方に設けた導電性の突き当て部材と、他方に設けた導電性の位置規制部材と、位置規制部材の位置を制御する位置規制部材制御手段とを有し、位置規制部材制御手段により位置規制部材の位置を制御して位置規制部材を突き当て部材に突き当てることにより、突き当て部材を像担持体と当接部材とを離間する方向に移動させて像担持体と当接部材との間に間隙を形成するとともに、突き当て部材と位置規制部材とを介して像担持体の回動中心軸と当接部材の回動中心軸とが導通するよう構成したもの」を提案している。このような構成により、容易に導通手段を兼ねる間隙形成手段を具現化することができる。
【0008】
上記先願の画像形成装置では、像担持体上のトナー像を記録体上へ転写する間は、位置規制部材制御手段により位置規制部材としての偏心カムを回動して突き当て部材から離間させる。これにより、突き当て部材を像担持体と当接部材とが当接する方向に移動させて像担持体と当接部材とを当接させて転写ニップを形成する。このようにして形成した転写ニップに、転写電圧印加手段より印加された転写電圧により誘起される電流が流れることにより、像担持体上のトナー像が記録体上に転写される。
【0009】
しかしながら、像担持体と当接部材とを当接させて転写ニップを形成したとき、離間した導電性の突き当て部材と導電性の偏心カムとのギャップが小さいと、印加した転写電圧により突き当て部材と偏心カムとの間でリークが起こりやすいことがわかった。このようなリークが起きると、転写ニップに流れる電流が不安定になり、良好な転写特性が得られないおそれがある。突き当て部材と偏心カムとの間のリークを防止するよう、突き当て部材と偏心カムとのギャップを大きくすることが考えられるが、ギャップを大きくすると、偏心カムの回転角度当たりの半径の変化量が増加し、回転トルクの増加を招いてしまう。
【0010】
一方、先願の構成は、記録体の転写ニップへの進入・離脱に合わせて偏心カムを回転させて像担持体と当接部材との接離を制御するものであり、偏心カムの回転トルクが増加すると、偏心カムの応答速度が遅くなってしまう。このため、記録体の転写ニップへの進入・離脱にすばやく応答した像担持体と当接部材との間隔形成が難しくなり、上述の、像担持体へ与えるダメージと、画像の位置ずれと、画像先端部転写不良とを共に防止する効果が十分に得られない虞がある。
【0011】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、トナー像を担持して表面移動する像担持体と、像担持体表面に当接する当接部材とによって形成した転写ニップ内に記録体を送り込み、転写ニップ部に形成された転写電界により像担持体上のトナー像を記録体に転写する画像形成装置において、像担持体にダメージを与えることなく、記録体先端が転写ニップに進入する際に発生する画像の位置ずれと、画像先端部転写不良とを共に良好に防止し、良好な転写性能が得られる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナー像を担持して表面移動する像担持体と、自らが表面移動しながら該像担持体の表面に当接して転写ニップを形成する当接部材と、記録体を該転写ニップに向けて送り込む記録体送込手段と、該像担持体上のトナー像を該記録体に転写するための転写電界を形成するよう、該記録体が転写ニップ部に進入する前に該像担持体または該当接部材に転写電圧を印加し始める転写電圧印加手段と、上記記録体が該転写ニップ部に進入する直前に該像担持体と該当接部材とを離間させて間隙を形成する間隙形成手段を備えた画像形成装置において、上記間隙形成手段は、上記転写ニップにおいて上記像担持体を表面移動させる回動中心軸と上記当接部材を表面移動させる回動中心軸とのいずれか一方に設けた導電性の突き当て部材と、他方に設けた、周面に絶縁性部を有する導電性の位置規制用偏心カムと、該位置規制用偏心カムを回動して少なくとも2箇所以上の位置に制御する偏心カム制御手段とを有し、該偏心カム制御手段により該位置規制用偏心カムの位置を制御して該位置規制用偏心カムの導電性の部分を該突き当て部材に突き当てることにより、該突き当て部材を該像担持体と該当接部材とを離間する方向に移動させて該像担持体と該当接部材との間に間隙を形成するとともに、該突き当て部材と該位置規制用偏心カムとを介して上記転写電圧印加手段により印加される転写電圧により誘起される電流が該像担持体と該当接部材との間を流れるように導通させ、且つ、該偏心カム制御手段により該位置規制用偏心カムの位置を制御して該位置規制用偏心カムの絶縁性部を該突き当て部材に対向させた状態で離間させることにより、該突き当て部材を該像担持体と該当接部材との離間を解除する方向に移動させて該像担持体と該当接部材とを当接させて転写ニップを形成する構成としたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記位置規制用偏心カムの絶縁性部は絶縁性のシート部材により形成されることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記位置規制用偏心カムの絶縁性部は該位置規制用偏心カムと同軸に配置され、該位置規制用偏心カムの回動と連動して回動する絶縁部材により形成されることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の何れかの画像形成装置において、上記像担持体はベルト状であり、該像担持体と上記当接部材とが上記転写ニップを形成するようにベルトを支持するバックアップローラを備え、該バックアップアップローラの回動中心軸または該当接部材に上記転写電圧印加手段より転写電圧を印加することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、上記間隙形成手段の導通部分は、上記当接部材、上記像担持体および上記バックアップローラの体積電気抵抗の合計値と略同等の体積電気抵抗を有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の何れかの画像形成装置において、上記転写電圧印加手段は定電流制御をおこなうことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5または6の何れかの画像形成装置において、上記間隙形成手段は上記記録体が転写ニップから離脱する直前で、上記像担持体と上記当接部材とを離間させて間隙を形成することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の何れかの画像形成装置において、上記像担持体上のトナー像が記録体上へ転写されている間は、上記間隙形成部材は該像担持体と上記当接部材との離間を解除して、該当接部材が記録体を介して該像担持体を押圧するよう構成したことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の何れかの画像形成装置において、上記記録体送込手段により上記転写ニップに向けて送り込まれる記録体の厚み情報を取得する記録体情報取得手段を備え、該記録体情報取得手段により取得された記録体の厚みに応じて上記間隙形成手段で形成される間隙の大きさを変化することを特徴とするものである。
【0013】
本発明においては、間隙形成手段を構成する部材として、周面に絶縁部分を有する導電性の位置規制用偏心カムと、導電性の突き当て部材とを用いる。これにより、位置規制用偏心カムと突き当て部材とを離間して転写ニップを形成した際の位置規制用偏心カムと突き当て部材との間のリークを防止しつつ、像担持体へ与えるダメージと、画像の位置ずれと、画像先端部転写不良とを良好に防止するものである。
詳しくは、記録体が転写ニップ部に進入する直前に、位置規制用偏心カムの導電性の部分を突き当て部材に突き当てて、突き当て部材を像担持体と当接部材とを離間する方向に移動させて像担持体と当接部材とに間隙を形成することにより、画像の位置ずれを防止する。また、記録体が転写ニップ部に進入する前に転写電圧印加手段から転写電圧を印加し始めることにより、画像先端部転写不良を防止する。このように像担持体と当接部材とを離間させて間隙を形成している間に転写電圧が印加されても、位置規制用偏心カムの導電性の部分と導電性の突き当て部材とを介して転写電圧により誘起される電流が像担持体と当接部材との間を流れる。このため、像担持体と当接部材との間隙でのリーク放電が防止でき、像担持体へ与えるダメージを防止できる。
また、転写ニップを形成する際は、位置規制用偏心カムの絶縁性部を突き当て部材に対向させた状態で離間させて、突き当て部材を像担持体と当接部材との離間を解除する方向に移動させて像担持体と当接部材とを当接させる。位置規制用偏心カムの絶縁性部と導電性の突き当て部材を対向させているので、位置規制用偏心カムの導電性部と導電性の突き当て部材とを対向させたものに比べて、位置規制用偏心カムと突き当て部材との間のリークを起こり難くすることができる。このため、突き当て部材と位置規制用偏心カムとのギャップを大きくして、リーク防止をおこなう必要はない。このギャップが小さいと、位置規制用偏心カムの回転トルクが抑えられるので、位置規制用偏心カムの良好な応答速度が得られる。よって、間隙形成手段により、記録体の転写ニップへの進入・離脱にすばやく応答した像担持体と当接部材との間隔形成が可能となり、像担持体に与えるダメージと、画像の位置ずれと、画像先端部転写不良とを共に良好に防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トナー像を担持して表面移動する像担持体と、像担持体表面に当接する当接部材とによって形成した転写ニップ内に記録体を送り込み、転写ニップ部に形成された転写電界により像担持体上のトナー像を記録体に転写する画像形成装置において、像担持体にダメージを与えることなく、記録体先端が転写ニップに進入する際に発生する画像の位置ずれと、画像先端部転写不良とを共に防止し、良好な転写性能が得られるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す構成図。
【図2】画像形成装置の2次転写部における画像形成装置奥行き方向への断面図。
【図3】転写紙が2次転写ニップへ向けて搬送される際の2次転写部の動作説明図。
【図4】転写紙先端部が2次転写ニップへ進入直前の2次転写部の動作説明図。
【図5】転写紙が2次転写ニップ中でトナー像を転写されている際の2次転写部の動作説明図。
【図6】転写紙後端部が2次転写ニップから離脱直前の2次転写部の動作説明図。
【図7】変形例に係る2次転写部における画像形成装置奥行き方向への断面図。
【図8】変形例に係る転写ニップ形成中の2次転写部の断面図。
【図9】変形例に用いる位置規制用偏心カムの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す構成図である。この画像形成装置は、複写機本体100と、この複写機本体100を載置する給紙テーブル200と、複写機本体100上に取り付けられたスキャナ300と、このスキャナ300上に取り付けられた原稿自動搬送装置(ADF)400とから主として構成されている。
【0017】
スキャナ300では、原稿照明用光源やミラーなどを搭載した第1走行体33と、複数の反射ミラーを搭載した第2走行体34とが往復移動するのに伴って、コンタクトガラス32上に載置された図示しない原稿の読取り走査が行われる。第2走行体34から送り出される走査光は、結像レンズ35によってその後方に設置されている読取りセンサ36の結像面に集光せしめられた後、読取りセンサ36によって画像信号として読込まれる。
【0018】
複写機本体100には、潜像担持体としてシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のトナーに対応した感光体ドラム40C、40M、40Y及び40Kが設けられている。各感光体ドラム40の周囲には帯電、現像、クリーニング等の電子写真プロセスを実行する各手段が配置され、これによって各画像形成ユニット18が形成されている。画像形成ユニット18は4つ並列配置されており、これによってタンデム型画像形成装置20が形成されている。
【0019】
各画像形成ユニット18の現像装置61においては、それぞれ上記4色のトナーを含んだ現像剤が用いられる。現像装置61は、現像剤担持体が現像剤を担持、搬送して、感光体ドラム40との対向位置において交互電界が印加されて感光体ドラム40上の潜像を現像する。交互電界を印加することで現像剤を活性化させ、トナーの帯電量分布をより狭くすることができ、現像性を向上させることができる。また、現像装置61を感光体ドラム40と共に一体に支持し、画像形成装置本体に対して着脱自在に形成してプロセスカートリッジとすることができる。このプロセスカートリッジは、この他に帯電手段、クリーニング手段を含んだものとすることもできる。
【0020】
タンデム型画像形成装置20の上部には、画像情報に基づいて感光体ドラム40をレーザ光又はLED光により露光して潜像を形成する露光装置21が設けられている。
【0021】
また、タンデム型画像形成装置20の感光体ドラム40と対向する下方位置には、無端状のベルト部材からなる中間転写ベルト10が配置されている。中間転写ベルト10は支持ローラ14、15及び16によって支持されている。中間転写ベルト10を介して感光体ドラム40と相対する隣接位置には、感光体ドラム40上に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト10に転写する一次転写装置62が配置されている。また、中間転写ベルト10には、その表面に残留するトナーを取り除くためにクリーニング装置17が設けられている。クリーニング装置17は、例えばファーブラシ又はウレタンゴムで形成されたクリーニングブレードを中間転写ベルト10に当接させて、中間転写ベルト10に付着している2次転写残トナーを掻き取る。
【0022】
中間転写ベルト10の下方には、中間転写ベルト10表面に重ね合わせて形成されたトナー像を、給紙テーブル200の給紙トレイ44から搬送されてくる記録体としての転写紙に一括転写する2次転写装置19が配置されている。2次転写装置19は、2次転写ローラ23を備えており、2次転写装置19は2次転写ローラ23を中間転写ベルト10を介して支持ローラ16に押し当て、中間転写ベルト10上のトナー像を図示省略した転写紙に転写する。以下、支持ローラ16を2次転写バックアップローラ16と呼ぶ。
【0023】
2次転写装置19に隣接するように転写紙を搬送する搬送ベルト装置29が設けられ、搬送ベルト装置29の下流には定着装置28が設けられている。定着装置28は転写紙上の画像を定着する。定着装置28は、無端ベルトである定着ベルト26と、この定着ベルト26に押し当てられる加圧ローラ27とから主として構成されている。2次転写装置19及び定着装置28の下方には、転写紙を反転する反転装置が配置されている。反転装置は、転写紙の両面に画像を記録すべく転写紙を反転させる。
【0024】
次に、上記構成の画像形成装置の動作について説明する。
図1の原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットするか、又は原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。この状態で、図示省略した起動スイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動した後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは直ちにスキャナ300が駆動し、第一走行体33および第二走行体34を走行させる。そして、第一走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光を受け、これを第二走行体34に向けて反射し、第二走行体34のミラーで反射光を更に反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入射させ、読取りセンサ36で原稿内容を読取る。
【0025】
また、装置の起動スイッチを押すことによって、図示省略した駆動モータを駆動させて支持ローラ14、15、16の1つを回転駆動し、他の2つの支持ローラを従動回転させ、これによって中間転写ベルト10を回動させる。同時に、各画像形成ユニット18において、帯電器によって感光体ドラム40を一様に帯電し、次いでスキャナ300の読取り内容に応じて露光装置21からレーザやLED等による書込み光Lを照射して帯電した各感光体ドラム40上に静電潜像を形成する。静電潜像が形成された感光体ドラム40に現像装置61からトナーを供給し、静電潜像を可視像化し、各感光体ドラム40上にそれぞれシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの単色画像を形成する。単色画像を順次一次転写装置62によって中間転写ベルト10上に重なるように一次転写し、中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。画像転写後の感光体ドラム40の表面は、図示省略した感光体クリーニング装置によって残留トナーを除去し、やはり図示省略した除電装置で除電して再度の画像形成に備える。
【0026】
起動スイッチを押すことにより、また給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つが選択されて回転し、ペーパーバンク43に多段に設けられた給紙カセット44の1つから転写紙(シート)を繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に挿入し、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて停止させる。一方、シートが手差される場合は、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に挿入し、同様にレジストローラ49に突き当てて停止させる。次に、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置19との間にシートを送り込み、2次転写装置19で転写してシート上にカラー画像を転写する。
【0027】
2次転写ローラ23を通過した未定着トナー像を担持したシートを、定着装置28へ搬送し、定着装置28で熱と圧力とを加えて転写画像を永久画像として定着する。画像定着後のシートは、切換爪55で切り換えて排出ローラ56によって排出し、排紙トレイ57上にスタックするか、又は切換爪55で切り換えてシート反転装置に導入し、ここで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録し、その後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。このとき、画像転写後の中間転写ベルト10上に残留する残留トナーをクリーニング装置17で除去し、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
【0028】
次に、本実施形態の特徴部分である2次転写装置19による2次転写部について説明する。図2は、上記画像形成装置の2次転写部における画像形成装置奥行き方向への断面図である。
【0029】
図2に基づき、2次転写部の構成について説明する。2次転写ローラ23は、金属からなる円筒状の導電性の軸部70と、これの外周面に被覆された導電性の弾性層23aとを有している。また、2次転写バックアップローラ16は、金属からなる円筒状の導電性の軸部71と、軸部71とは玉軸受け74によりそれぞれ自由に回動可能に構成された導電性の表面弾性層16aとを有している。このような2次転写ローラ23を、図示省略する加圧スプリングの押圧力により中間転写ベルト10を介して2次転写バックアップローラ16に対して押し当てて2次転写ニップを形成している。この2次転写ニップに後述するように転写電界を形成して、中間転写ベルト10上のトナー像を転写紙に転写する。
【0030】
2次転写ローラ23の軸部70の両端である軸端部70aには突き当て部材としての導電性の突き当て用コロ78が備えられている。また、バックアップローラ16の軸部71の両端である軸端部71aには位置規制部材である導電性の位置規制用偏心カム72が備えられている。この突き当て用コロ78と位置規制用偏心カム72は、ともに中間転写ベルト10よりも幅方向外側の両端部に配置されている。中間転写ベルト10の内周側には、バックアップローラ16の軸端部71aに設けられた位置規制用偏心カム72の回動位置を検知する偏心カム検知手段79と、位置規制用偏心カム72の回動位置を制御する偏心カム制御手段80が備えられている。この偏心カム制御手段80には、図示しない位置規制用偏心カム72を回動させる駆動力伝達手段を含んでいる。これらが、中間転写ベルト10とバックアップローラ16とを離間させて間隙を形成する間隙形成手段としての機能を果たしている。
【0031】
間隙形成手段の位置規制用偏心カム72には、周方向の一部分に絶縁性部を形成するよう絶縁テープ81が貼り付けられている。絶縁テープ81は、位置規制用偏心カム72の周方向において、突き当て用コロ78と当接し2次転写ローラ23と中間転写ベルト10との間に間隙を形成するために使用する部分以外に貼り付けられ、転写ニップ形成のために位置規制用偏心カム72と突き当て用コロ78とが離間した状態において、両者の間に絶縁テープ81が配置される構成とする。
【0032】
偏心カム制御手段80はバックアップローラ16の軸端部71aに設けられた位置規制用偏心カム72の回動させ、位置規制用偏心カム72の導電性の部分が2次転写ローラ23の軸端部70aに設けられた突き当て用コロ78に突き当たり、突き当て用コロ78を図2中下方へ押圧する。これにより、2次転写ローラ23はバックアップローラ16から離間する方向に移動する。
【0033】
また、バックアップローラ16の表面弾性層16aと軸部71とは玉軸受け74によりそれぞれ自由に回動可能な構成であり、バックアップローラ16の表面弾性層16aは中間転写ベルト10との連れ周りで回動し、且つ、バックアップローラ16の軸端部71aは偏心カム制御手段80の駆動力伝達手段(不図示)により伝達される駆動力により位置規制用偏心カム72と共に回動する。
【0034】
また、バックアップローラ16の軸端部71aは第1の支持板76に回動可能に支持され、2次転写ローラ23の軸端部70aは第2の支持板77に回動可能に支持されている。バックアップローラ16の軸端部71aには2次転写電圧を印加する転写電圧印加手段75が接続され、2次転写ローラ23の軸端部70aはグラウンドに接続されている。転写電圧印加手段75よりトナーと同極性(図示の例では負極性)の2次転写電圧をバックアップローラ16に印加して、接地されている2次転写ローラ23との間に、中間転写ベルト10上のトナー像を転写紙に転写するための2次転写電界を形成する。
【0035】
次に、2次転写部の動作について説明する。
図3は、転写紙Pが2次転写ニップへ向けて搬送される際の2次転写部の動作説明図である。画像形成装置に印刷情報が入力されると、転写紙Pはレジストローラ49により中間転写ベルト10上の画像位置に合わせたタイミングで2次転写ニップ部へ向けて搬送される。このとき、位置規制用偏心カム72と突き当て用コロ78は離間した状態であり、2次転写ローラ23は加圧スプリングの押圧力により中間転写ベルト10を介してバックアップローラ16に対し押圧される。また、位置規制用偏心カム72に貼られた絶縁シート81は突き当て用コロ78と対向する位置に制御されている。
【0036】
図4は、転写紙P先端部が2次転写ニップヘ進入直前の2次転写部の動作説明図である。転写紙Pの先端部が2次転写ニップ部直前の位置まで搬送されると、偏心カム制御手段80の駆動力伝達手段により位置規制用偏心カム72が回動して導電性の部分で突き当て用コロ78に突き当たり、突き当てコロ78を下方へ押圧する。この位置規制用偏心カム72の回動と、加圧スプリング(不図示)の押圧力により2次転写ローラ23は中間転写ベルト10と離間して間隙を持った位置に移動して位置決めされる。これにより、転写紙Pの先端部が2次転写ニップ部に進入する際の衝撃は軽減され、中間転写ベルト10の表面移動速度変動に起因する画質劣化を抑制することができる。
【0037】
ここで、画像形成装置に備えられた転写紙情報取得手段により取得された転写紙Pの厚みに応じて、2次転写ローラ23と中間転写ベルト10との間の間隙の大きさを変化させることが好ましい。例えば、転写紙Pの坪量160〜300[g/m]の厚紙を使用する場合、2次転写ローラ23の表面と中間転写ベルト10の表面との間のギャップ量は0〜0.5[mm]に設定する。
【0038】
また、中間転写ベルト10上の画像を転写紙P上へ転写するための転写電圧を、転写紙Pが2次転写ニップ部に進入する前に電圧印加手段75により印加し始める。これにより、画像先端部の転写を始まるまでに、転写電圧印加手段の出力が十分に上昇して十分な転写電界が形成させることができ、先端部転写不良という画像劣化を防止することができる。また、このとき誘起される転写電流は、突き当たっている位置規制用偏心カム72の導電性の部分と突き当て用コロ78を介して、バックアップローラ16の軸端部71aから2次転写ローラ23の軸端部70aへ流れる。このため、2次転写ローラ23表面と中間転写ベルト10表面との間隙でリーク放電は発生せず、放電による中間転写ベルト10へのダメージを防止することが可能である。
【0039】
図5は、転写紙Pが2次転写ニップ中でトナー像を転写されている際の2次転写部の動作説明図である。転写紙P先端部が2次転写ニップ部に進入後から中間転写ベルト10上の画像先端部が2次転写ニップ部に到達するまでの間に、偏心カム制御手段80が有する駆動力伝達手段により位置規制用偏心カム72が回動する。位置規制用偏心カム72の回動により、位置規制用偏心カム72のと突き当て用コロ78は離間し、2次転写ローラ23は加圧スプリング(不図示)の押圧力により転写紙Pと中間転写ベルト10を介してバックアップローラ16に対して押圧される。このため中間転写ベルト10上の画像が転写紙P上へ転写する際、十分な転写圧を得られ、良好な転写が可能である。
【0040】
このとき、偏心カム制御手段80により位置規制用偏心カム72に貼られた絶縁シート81と突き当て用コロ78は離間した状態で対向するよう制御されており、絶縁シート81により導電性の位置規制用偏心カム72と導電性の突き当て用コロ78との間の絶縁性が保たれる。結果として転写電流は転写紙P、及び中間転写ベルト10を介して2次転写ローラ23からバックアップローラ16へ流れる。このため、2次転写ニップ部で十分な転写電界が得られ、良好な転写が可能である。
【0041】
図6は、転写紙Pが2次転写ニップから離脱直前の2次転写部の動作説明図である。画像後端部の転写が終了後、転写紙P後端部が2次転写ニップ部から離脱するまでの間に、偏心カム制御手段80の駆動力伝達手段(不図示)により位置規制用偏心カム72が回動する。位置規制用偏心カム72の回動と加圧スプリング(不図示)の押圧力により2次転写ローラ23は中間転写ベルト10とギャップを持った位置に移動して位置決めされる。このため、転写紙P後端部が2次転写ニップ部から離脱する際の衝撃は軽減され、中間転写ベルト10の表面移動速度変動に起因する画質劣化を抑制することができる。
【0042】
転写紙P後端部が2次転写ニップ部から離脱後から次の転写紙Pが2次転写ニップ部へ搬送されるまでの間に、偏心カム制御手段80の駆動力伝達手段(不図示)により位置規制用偏心カム72が回動する。位置規制用偏心カム72の回動により、位置規制用偏心カム72と突き当て用コロ78は離間し、2次転写ローラ23は加圧スプリング(不図示)の押圧力により転写紙Pと中間転写ベルト10を介してバックアップローラ16に対して押圧される状態へ戻る。
【0043】
このように、転写紙P先端部が2次転写ニップ部へ進入する際の衝撃を軽減するため、位置規制用偏心カム72を回動して導電性部を突き当て用コロ78に突き当てることで、2次転写ローラ23が中間転写ベルト10に対して離間して間隙を有するようにする。このような間隙を形成している間は、突き当てられている位置規制用偏心カム72と突き当て用コロ78とを介して、電圧印加手段75により誘起される転写電流が、バックアップローラ16の軸部71から2次転写ローラ23の軸部70からへ流れる。よって、間隙でリーク放電せず中間転写ベルト10表面のダメージを防止することが可能である。
【0044】
また、中間転写ベルト10上の画像が転写紙P上へ転写されている間は、位置規制用偏心カム72が突き当て用コロ78とが離間し、十分な転写圧が得られ良好な転写が可能である。また、位置規制用偏心カム72に貼られた絶縁シート81と突き当て用コロ78とが離間した状態で対向するため、位置規制用偏心カム72と突き当て用コロ78との絶縁性が保たれ、リークを防止できる。
【0045】
比較例として、位置規制用偏心カム72に絶縁シート81等の絶縁性部が無く、位置規制用偏心カム72の導電性部と導電性の突き当て用コロ78とを対向させるものでは、空間絶縁のみで絶縁性を確保しようととすると、転写電圧が増加するに従い必要なギャップ量が増える。例えば、転写電圧として5kV印加する場合、5mm程度のギャップが必要になる。本実施形態の構成では、位置規制用偏心カム72のと絶縁シート81と突き当て用コロ78とを対向させてリ−ク防止をおこなうものでは、ギャップを大きくしてリーク防止をおこなう必要はない。位置規制カム72と突き当てコロ78を離間させる際のギャップ量を小さくすることができると、位置規制カム72の回転角度辺りの半径の変化量が小さくなり、回転トルクを抑えカムの応答速度を高めることが可能である。よって、転写紙Pの転写ニップへの進入・離脱にすばやく応答した間隔形成が可能となり、上記効果が十分に得られる。
【0046】
位置規制用偏心カム72に貼り付けられる絶縁シート81について説明する。絶縁シート81は、シートの浮き・剥れを防止するために、図2に示すように、軸方向に対して位置規制カム72よりも短くなるよう、位置規制用偏心カム72の内側に貼り付けられていると良い。また、絶縁性を確保するために、軸方向に関して絶縁シート81の長さは突き当てコロ78よりも長くすると良い。絶縁シート81の材質としては、例えばPET、シリコーンゴム、EPDM、テフロン(登録商標)などが考えられる。
【0047】
また、突き当て用コロ78と位置規制用偏心カム72の導電性部とは、両者の合計の体積抵抗値が、2次転写ローラ23、中間転写ベルト10、バックアップローラ16の体積抵抗の合計値と略同等になるような材質で形成されていることが好ましい。電気的抵抗が高すぎると、転写電流が間隙形成手段を流れに難くなるためである。
【0048】
次に、間隙形成手段である位置規制用偏心カム72の周方向の一部分に絶縁性部を形成する構成の変形例について説明する。図7は、変形例に係る2次転写部における画像形成装置奥行き方向への断面図である。図7では、位置規制用偏心カム72の周方向の一部分に絶縁性部を形成する構成以外は、上記図2と同じであるので説明を省略する。変形例では、位置規制用偏心カム72の周方向の一部に形成される絶縁性部は、位置規制用偏心カム72と同軸で、位置規制用偏心カム72の回動と連動して回動する絶縁部材82により形成される。図8は、変形例に係る転写ニップ形成時の2次転写部の断面図である。図9は、変形例に用いる位置規制用偏心カム72の断面図である。図9に示すように、変形例に用いる位置規制用偏心カム72は、周方向の一部で、突き当て用コロ78と当接し2次転写ローラ23と中間転写ベルト10との間に間隙を形成するために使用する部分以外の領域に溝部72aを有している。絶縁部材82は位置規制用偏心カム72の溝部72aと係合する形状とする。これにより、位置規制カム72が回動することで、位置規制カムの回転軸と同軸に回動し、転写ニップ形成のために位置規制用偏心カム72と突き当て用コロ78とが離間した状態において、両者の間に絶縁部材82が配置される構成とする。このような絶縁部材82により、絶縁シート81を貼り付けた場合と同様の効果が期待できる。
【0049】
変形例の構成は、図2の絶縁シート81を貼り付ける構成と比較して、取り付け精度の点で有利であることに加えて、剥れの懸念もなくなるため、軸方向に関して位置規制用偏心カム72よりも広く覆う構成できる。よって、絶縁性を向上させることが可能である。
【0050】
以上、本実施形態の画像形成装置では、位置規制用偏心カム72の周方向の一箇所に絶縁性部を形成する構成を用いて説明したが、絶縁性部は複数設けても良い。
【0051】
また、本実施形態の画像形成装置では、像担持体として中間転写ベルト10をバックアップローラ16で支持して、当接部材としての2次転写ローラ23と当接させることにより2次転写ニップを形成し、バックアップローラ16の軸端部71aに転写電圧印加手段75により転写電圧を印加して転写電界を形成するものを用いて説明した。本発明は、これの限られるものではなく、転写電界を形成するために、2次転写ローラの軸端部70aに転写電圧印加手段75により転写電圧を印加して転写電界を形成するものにも適用可能であり、同様の作用効果が得られる。また、像担持体としては中間転写ベルト10に限らずドラム状の中間転写体や、感光体にも適用可能であり、同様の作用効果が得られる。
【0052】
以上、本実施形態の画像形成装置によれば、中間転写ベルト10上のトナー像を転写紙Pに転写するための転写電界を形成するよう、少なくとも転写紙Pが2次転写ニップ部に進入する前に転写電圧印加手段75により転写電圧を印加することにより、先端部転写不良という画像劣化を防止する。また、間隙形成手段の偏心カム制御手段80により、位置規制部材である位置規制用偏心カム72の導電部を導電性の突き当て部材である突き当てコロ78を当接させて転写紙Pが転写ニップ部に進入する直前に中間転写ベルト10と2次転写ローラ23とを離間させて間隙を形成することにより、転写紙Pの先端部が2次転写ニップ部に進入する際の衝撃は軽減し、中間転写ベルト10の表面移動速度変動に起因する画質劣化を防止する。このようにして間隙を形成している間、転写電圧により誘起される電流が、当接した位置規制用偏心カム72の導電部と導電性の突き当てコロ78とを介して流れるので、中間転写ベルト10と2次転写ローラ23との間でリーク放電することがない。よって、中間転写ベルト10にリーク放電によるダメージを与える虞がない。また、転写ニップを形成する際は、偏心カム制御手段80により、位置規制用偏心カム72の絶縁性部を、突き当てコロ78に対向させた状態で離間させて、中間転写ベルト10と2次転写ローラ23とを当接させる。位置規制用偏心カム72の絶縁性部と導電性の突き当てコロ78を対向させているので、位置規制用偏心カム72と突き当て部材78との間のリークを起こり難くすることができる。このため、突き当てコロと位置規制用偏心カム72とのギャップを大きくして、リーク防止をおこなう必要はない。このギャップが小さいと、位置規制用偏心カム72の回転トルクが抑えられるので、位置規制用偏心カム72の良好な応答速度が得られる。よって、間隙形成手段により、転写紙Pの転写ニップへの進入・離脱にすばやく応答した中間転写ベルト10と2次転写ローラ23との間隔形成が可能となり、中間転写ベルト10に与えるダメージと、画像の位置ずれと、画像先端部転写不良とを共に良好に防止できる。
また、本実施形態の画像形成装置によれば、位置規制用偏心カム72の絶縁性部を絶縁性のシート部材81により形成されることにより、簡易な構成とすることができる。
また、本実施形態の画像形成装置によれば、位置規制用偏心カム72の絶縁性部は位置規制用偏心カム72と同軸に配置され、位置規制用偏心カム72の回動と連動して回動する絶縁部材82により形成される。これにより、絶縁シート81を貼り付ける構成と比較して、取り付け精度の点で有利であることに加えて、剥れの懸念もなくなるため、軸方向に関して位置規制用偏心カム72よりも広く覆う構成できる。よって、絶縁性を向上させることが可能である。
また、本実施形態によれば、像担持体はバックアップローラ16に支持されるベルト状の中間転写ベルト10であり、バックアップローラ16の軸部71または2次転写ローラ23に転写電圧を印加する。このようなベルト状の像担持体を用いた場合、転写紙Pが2次転写ニップ部に進入する際のショックジターが顕著発生しやすいため、先端部転写不良という画像劣化を防止する効果が大きい。
また、本実施形態によれば、間隙形成手段の導通部分は、バックアップローラ16、中間転写ベルト10、2次転写ローラ23の体積電気抵抗の合計値と略同等の体積電気抵抗を有することが好ましい。これにより、適量の電流を流すことができる。
また、本実施形態によれば、転写電圧印加手段75は定電流制御をおこなうことが好ましく、これにより良好な転写性能を得やすい。
また、本実施形態によれば、間隙形成手段は転写紙Pが転写ニップから離脱する直前で、中間転写ベルト10と2次転写ローラ23とを離間させて間隙を形成することにより、転写紙後端部が離脱する際の画像劣化を防止することができる。
また、本実施形態によれば、中間転写ベルト10上のトナー像が転写紙Pへ転写されている間は、間隙形成部材は中間転写ベルト10と2次転写ローラ23とを離間を解除して、2次転写ローラ23が転写紙Pを介して中間転写ベルト10を押圧するよう構成する。これにより、十分な転写圧が得られ良好な転写が可能である。また、位置規制用偏心カム72と突き当て用コロ78は離間して、リークも防止されるので、転写電流は転写紙Pと中間転写ベルト10を介して、バックアップローラ16から2次転写ローラ23へ流れる。よって、2次転写ニップ部で十分な転写電界が得られ良好な転写が可能である。
また、転写ニップに向けて送り込まれる転写紙の厚み情報を取得する記録体情報取得手段を備え、記録体情報取得手段により取得された記録体の厚みに応じて間隙形成手段で形成される間隙の大きさを変化させる。これにより、より効果的にショックジターの防止を図ることができる。
【符号の説明】
【0053】
10 中間転写ベルト
16 2次転写バックアップローラ
18 画像形成ユニット
19 2次転写装置
20 タンデム型画像形成装置
23 二次転写ローラ
40 感光体ドラム
49 レジストローラ
70 2次転写ローラの軸部
70a 2次転写ローラの軸端部
71 バックアップローラの軸部
71a バックアップローラの軸端部
72 位置規制用偏心カム
74 玉軸受け
75 転写電圧印加手段
76 第1の支持板
77 第2の支持板
78 突き当てコロ
79 偏心カム検知手段
80 偏心カム制御手段
81 絶縁シート
82 絶縁部材
100 複写機本体
P 転写紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開2007−334292号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持して表面移動する像担持体と、自らが表面移動しながら該像担持体の表面に当接して転写ニップを形成する当接部材と、記録体を該転写ニップに向けて送り込む記録体送込手段と、該像担持体上のトナー像を該記録体に転写するための転写電界を形成するよう、該記録体が転写ニップ部に進入する前に該像担持体または該当接部材に転写電圧を印加し始める転写電圧印加手段と、上記記録体が該転写ニップ部に進入する直前に該像担持体と該当接部材とを離間させて間隙を形成する間隙形成手段を備えた画像形成装置において、
上記間隙形成手段は、上記転写ニップにおいて上記像担持体を表面移動させる回動中心軸と上記当接部材を表面移動させる回動中心軸とのいずれか一方に設けた導電性の突き当て部材と、他方に設けた、周面に絶縁性部を有する導電性の位置規制用偏心カムと、該位置規制用偏心カムを回動して少なくとも2箇所以上の位置に制御する偏心カム制御手段とを有し、該偏心カム制御手段により該位置規制用偏心カムの位置を制御して該位置規制用偏心カムの導電性の部分を該突き当て部材に突き当てることにより、該突き当て部材を該像担持体と該当接部材とを離間する方向に移動させて該像担持体と該当接部材との間に間隙を形成するとともに、該突き当て部材と該位置規制用偏心カムとを介して上記転写電圧印加手段により印加される転写電圧により誘起される電流が該像担持体と該当接部材との間を流れるように導通させ、且つ、該偏心カム制御手段により該位置規制用偏心カムの位置を制御して該位置規制用偏心カムの絶縁性部を該突き当て部材に対向させた状態で離間させることにより、該突き当て部材を該像担持体と該当接部材との離間を解除する方向に移動させて該像担持体と該当接部材とを当接させて転写ニップを形成する構成としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、上記位置規制用偏心カムの絶縁性部は絶縁性のシート部材により形成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1の画像形成装置において、上記位置規制用偏心カムの絶縁性部は該位置規制用偏心カムと同軸に配置され、該位置規制用偏心カムの回動と連動して回動する絶縁部材により形成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1、2または3の何れかの画像形成装置において、上記像担持体はベルト状であり、該像担持体と上記当接部材とが上記転写ニップを形成するようにベルトを支持するバックアップローラを備え、該バックアップアップローラの回動中心軸または該当接部材に上記転写電圧印加手段より転写電圧を印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の何れかの画像形成装置において、上記間隙形成手段の導通部分は、上記当接部材、上記像担持体および上記バックアップローラの体積電気抵抗の合計値と略同等の体積電気抵抗を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5の何れかの画像形成装置において、上記転写電圧印加手段は定電流制御をおこなうことを特徴とするもの画像形成装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6の何れかの画像形成装置において、上記間隙形成手段は上記記録体が転写ニップから離脱する直前で、上記像担持体と上記当接部材とを離間させて間隙を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7の何れかの画像形成装置において、上記像担持体上のトナー像が記録体上へ転写されている間は、上記間隙形成部材は該像担持体と上記当接部材との離間を解除して、該当接部材が記録体を介して該像担持体を押圧するよう構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8の何れかの画像形成装置において、上記記録体送込手段により上記転写ニップに向けて送り込まれる記録体の厚み情報を取得する記録体情報取得手段を備え、該記録体情報取得手段により取得された記録体の厚みに応じて上記間隙形成手段で形成される間隙の大きさを変化することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−37591(P2012−37591A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175086(P2010−175086)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】