説明

画像形成装置

【課題】印加電圧を上げたり加熱装置を利用したりせずに転写装置を暖機する画像形成装置を提供する。
【解決手段】用紙Sに画像を記録する感光体122e及び転写装置122fと、これらの上流側に設けられ、用紙Sの姿勢を補正するレジストレーションローラ122kと、これらの下流側に設けられ、用紙Sに記録された画像を定着させる定着装置122gと、定着装置122gが設定温度にまで暖機された場合に、用紙Sの後端部がレジストレーションローラ122kに到達するまで、レジストレーションローラ122k、感光体122e、転写装置122f、及び定着装置122gを正転させ、用紙Sの後端部がレジストレーションローラ122kに到達したときに、用紙Sの先端部が定着装置122gに到達するまで、レジストレーションローラ122k、感光体122e、転写装置122f、及び定着装置122gを逆転させるコントローラ122aとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真技術を用いる画像形成装置には、転写装置が搭載されている。転写装置には、ウレタンゴムなどの抵抗材料が用いられることがある。抵抗材料には温度依存性がある。例えば、抵抗材料の抵抗値は、低温環境下において、上昇する。このため、画像形成装置が寒冷地で使用される場合、転写装置の抵抗値が上昇し、印加電圧を上げても転写に必要な電流値を確保できない場合がある。そして、必要な電流値が確保されないと、転写不良が生じる場合がある。
【0003】
転写装置を暖機する技術として、以下の特許文献1乃至3が知られている。特許文献1は、印加電圧を上げることで転写装置を暖機し、転写不良を抑えている。また、特許文献2及び特許文献3は、転写ローラを加熱する加熱装置を利用することで抵抗値を下げ、転写不良を抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−98771号公報
【特許文献2】特開2008−111934号公報
【特許文献3】特開2004−245941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、印加電圧を上げたり、加熱装置を利用したりせずに転写装置を暖機する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、感光体と転写装置とを備え、前記感光体と転写装置との間に媒体を挟み込むことにより、該媒体に画像を記録する記録手段と、前記記録手段の上流側に設けられ、前記媒体の姿勢を補正する補正手段と、前記記録手段の下流側に設けられ、前記媒体に記録された画像を定着させる定着手段と、前記定着手段が予め設定された設定温度にまで暖機されたと判定した場合に、前記媒体の後端部が前記補正手段に到達するまで、前記補正手段、前記記録手段、及び前記定着手段を正転させ、前記媒体の後端部が前記補正手段に到達したときに、前記媒体の先端部が前記定着手段に到達するまで、前記補正手段、前記記録手段、及び前記定着手段を逆転させる制御手段と、を有する画像形成装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は、前記転写装置の暖機完了と判断可能な程度にまで、前記転写装置の抵抗値が下がっていないと判定した場合に、前記暖機完了と判断可能な程度まで、前記補正手段、前記記録手段、及び前記定着手段に対する正転と逆転とを繰り返させることを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記制御手段は、前記補正手段、前記記録手段、及び前記定着手段の動作前に、前記転写装置の暖機完了と判断可能な程度にまで、前記転写装置の抵抗値が下がっていないと判定した場合に、前記補正手段、前記記録手段、及び前記定着手段を作動させることを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記制御手段は、前記定着手段の暖機が開始された後に、前記判定処理を行うことを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、前記制御手段は、前記転写装置の暖機完了と判断可能な程度にまで、前記転写装置の抵抗値が下がったと判定した場合に、前記媒体を排出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、印加電圧を上げたり、加熱装置を利用したりせずに転写装置を暖機することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、転写装置を確実に暖機することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、補正手段、記録手段、及び定着手段を無駄に作動させることを回避することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、定着手段の暖機開始前に、転写装置の抵抗値が判定されるという無駄な処理を回避することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、転写装置の暖機に使用した媒体を作業者が画像形成装置の内部から取り除かなくてすむ。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像形成装置の構成図の一例である。
【図2】コントローラのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【図3】コントローラと制御対象との関係を説明するためのブロック図である。
【図4】画像形成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】レジストレーションローラ、感光体、転写装置、及び定着装置の回転動作を模式的に説明する断面図である。
【図6】レジストレーションローラ、感光体、転写装置、及び定着装置の回転動作を模式的に説明する断面図である。
【図7】レジストレーションローラ、感光体、転写装置、及び定着装置の回転動作を模式的に説明する断面図である。
【図8】レジストレーションローラ、感光体、転写装置、及び定着装置の回転動作を模式的に説明する断面図である。
【図9】画像形成装置の動作の一例を示す他のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、画像形成装置100の構成図の一例、図2は、コントローラ122aのハードウェア構成を例示するブロック図である。
画像形成装置100は、図1に示すように、原稿自動搬送装置110、画像読取部121、画像記録部122を有する。
【0019】
原稿自動搬送装置110は、複写しようとする複数の原稿が重ねられて載置される原稿給紙トレイ111を有する。原稿給紙トレイ111に載置された複数の原稿は、順次、プラテンガラスPG上の複写位置を通過して、原稿自動搬送装置110上に排出される。原稿自動搬送装置110は、画像読取部121と着脱自在である。
【0020】
画像読取部121は、プラテンガラスPG、ユーザインタフェース121a、画像処理部121bを有する。
【0021】
ユーザインタフェース121aは、液晶ディスプレイや操作ボタンなどで構成される。ユーザインタフェース121aは、画像形成装置100に対する指示を作業者から受け付ける。受け付けた指示は、コントローラ122aに送られる。
【0022】
画像処理部121bは、例えばDRP(Dynamic Reconfigurable Processor:動的再構成可能処理装置)などで構成される。画像処理部121bは、画像読取部121が有する不図示の撮像素子(例えばCCD(Charge Coupled Device))から入力された読取画像信号をデジタルの画像書込信号に変換する。画像処理部121bは、画像書込信号をコントローラ122aに出力する。
【0023】
画像記録部122は、コントローラ122a、露光装置122b、トナーカートリッジ122c、現像装置122d、感光体122e、転写装置122f、定着装置122g、給紙トレイ122h、搬送ローラ122i,122j、レジストレーションローラ122kを有する。
【0024】
尚、感光体122e及び転写装置122fによって本発明の記録手段が実現される。また、レジストレーションローラ122kによって本発明の補正手段が実現される。さらに、定着装置122gによって本発明の定着手段が実現される。さらに、コントローラ122aによって本発明の制御手段が実現される。
【0025】
コントローラ122aは、ユーザインタフェース121aから作業者による指示を受信すると共に、画像処理部121bから画像書込信号を受信する。コントローラ122aは、受信した指示や画像書込信号に基づいて、露光装置122b、現像装置122d、感光体122e、転写装置122f、定着装置g、レジストレーションローラ122k、その他の各種部品の動作を制御する。特に、感光体122e、転写装置122f、定着装置g、及びレジストレーションローラ122を正転させたり、逆転させたりする。このような正転や逆転といった動作は駆動モータによる回転駆動を介して行われる。
【0026】
コントローラ122aは、図2に示すように、CPU11、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)、NVRAM(Non Volatile RAM)等のRAM12、フラッシュメモリ等のROM(Read Only Memory)13及び入出力を制御するI/Oインタフェース14等がバス15により接続されたハードウェア構成により実現される。
【0027】
したがって、CPU11がRAM12やROM13等の記憶装置に格納された所要のプログラムを読み込み、当該プログラムに従った演算を行うことにより、上述したコントローラ122aの機能が実現される。尚、このようなプログラムとしては後述するフローチャートに応じたプログラムとればよい。
【0028】
感光体122eは、回転体の形状を有する。感光体122eの表面は、不図示の帯電器によって帯電される。感光体122eは、帯電された後、露光装置122bのレーザビームLにより露光走査される。これにより、感光体122eの表面に静電潜像が形成される。静電潜像が形成された部分は、感光体122eの回転に伴い、現像装置122d、転写装置122fを順次通過する。
【0029】
現像装置122dは、現像剤を現像ローラRにより現像領域に搬送する。現像剤はトナー及びキャリアを含む。現像装置122dは、現像領域を通過する静電
潜像をトナー像に現像する。トナーカートリッジ122cは、現像装置122dで消費される現像剤を補給する。トナーカートリッジ122cは、装着部材KSに着脱可能に装着される。
【0030】
転写装置122fは、回転体の形状を有する。転写装置122fは、ウレタンゴムなどの抵抗材料で構成される。転写装置122fは、感光体122eの表面に形成されたトナー像を媒体としての記録用紙Sに転写する。尚、媒体は、紙以外に、プラスチックであってもよい。転写装置122fは、トナーの帯電極性とは逆極性の転写電圧が不図示の電源回路から供給される。転写装置122fは、感光体122eの間に記録用紙Sを挟み込むことにより、該記録用紙Sに画像を記録する。画像が記録された記録用紙Sは、定着装置122gに搬送される。
【0031】
レジストレーションローラ122kは、2つの回転体により構成される。レジストレーションローラ122kは、感光体122e及び転写装置122fの上流側に設けられている。換言すれば、記録用紙Sの搬送方向の上流側にレジストレーションローラ122kが設けられている。レジストレーションローラ122kは、給紙トレイ122hから搬送ローラ112iを通じて搬送された記録用紙Sの姿勢を補正する。レジストレーションローラ122kは、感光体122e上のトナー像が転写領域に移動されるタイミングに合わせて、記録用紙Sを搬送する。
【0032】
定着装置122gは、回転体状の加熱ローラh及び加圧ローラpを有する。加熱ローラhはコントローラ122aの制御に基づいて、不図示の電源回路を介して暖められる。定着装置122gは、感光体122e及び転写装置122fの下流側に設けられる。換言すれば、記録用紙Sの搬送方向の下流側に定着装置122gが設けられている。定着装置122gは、記録用紙Sに記録された画像を加熱定着させる。画像が定着した記録用紙Sは、搬送ローラ122jを通じて排紙トレイTRに排紙される。
【0033】
図3は、コントローラ122aと制御対象との関係を説明するためのブロック図である。
【0034】
コントローラ122aは、加熱ローラhの温度を検出する。温度の検出は、温度センサによって行えばよい。コントローラ122aは、検出された温度が予め設定された設定温度以上である場合に、感光体122e、転写装置122f、定着装置122g及びレジストレーションローラ122kを作動させる。
【0035】
また、コントローラ122aは、転写装置122fの電流値を検出する。転写装置122fの電流値の検出は、例えば、コントローラ122aが転写装置122fの回転状態において、テスト用の電圧を印加し、そのときの電流値を検出することによって行われる。検出された電流値が予め設定された設定値以上である場合には、転写装置122fの暖機完了と判断可能な程度にまで、転写装置122fの抵抗値が十分下がったと判定する。逆に、検出された電流値が予め設定された設定値未満である場合には、転写装置122fの暖機完了と判断可能な程度にまで、転写装置122fの抵抗値が十分下がっていないと判定する。このような判定処理によって、転写装置122fの暖機完了が判断される。
【0036】
尚、感光体122e、転写装置122f、定着装置122g及びレジストレーションローラ122kの動作前に、コントローラ122aが転写装置122fの電流値を検出し、検出された電流値が設定値以上である場合には、コントローラ122aは、感光体122e、転写装置122f、定着装置122g及びレジストレーションローラ122kを動作させなくてもよい。転写装置122fは既に暖まっているため、無駄な動作が回避され、消費電力が抑制される。
【0037】
コントローラ122aは、検出した加熱ローラhの温度に基づいて定着装置122gの暖機が完了したと判定した場合に、記録用紙Sの後端部がレジストレーションローラ122kに到達するまで、レジストレーションローラ122k、感光体122e、転写装置122f、及び定着装置122gを正転させる。そして、記録用紙Sの後端部がレジストレーションローラ122kに到達したときに、記録用紙Sの先端部が定着装置122gに到達するまで、レジストレーションローラ122k、感光体122e、転写装置122f、及び定着装置122gを逆転させる。記録用紙Sの後端部がレジストレーションローラ122kに到達したか否かや、記録用紙Sの先端部が定着装置122gに到達したか否かについての判定は、例えば、記録用紙Sの位置を検出するセンサを利用して判定すればよい。
【0038】
続いて、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の動作について、図4から図8までを参照して説明する。
【0039】
図4は、画像形成装置100の動作の一例を示すフローチャート、図5から図8は、レジストレーションローラ122k、感光体122e、転写装置122f、及び定着装置122gの回転動作を模式的に説明する断面図である。
【0040】
図4に示すように、画像形成装置100のコントローラ122aは、まず、定着装置122gの暖機を開始し(ステップS101)、定着装置122gの温度が設定温度以上となっているか否かを定期的に判定する(ステップS102)。
【0041】
コントローラ122aは、次いで、定着装置122gの温度が設定温度以上となったと判定した場合には(ステップS102:YES)、記録用紙Sの後端部がレジストレーションローラ122kに到達するまで、レジストレーションローラ122k、感光体122e、転写装置122f、及び定着装置122gを正転させる(ステップS103,S104:NO)。
【0042】
図5及び図6を参照して具体的に説明する。給紙トレイ122hから搬送された記録用紙Sは、レジストレーションローラ122kに到達する。レジストレーションローラ122kが正転すると、記録用紙Sの先端部はレジストレーションローラ122kの間に挟まれているため、記録用紙Sは、搬送方向の下流側である感光体122e・転写装置122f側に押し出され、搬送される。
【0043】
次に、レジストレーションローラ122kから搬送された記録用紙Sは、感光体122e・転写装置122fに到達する。感光体122e・転写装置122fが正転すると、記録用紙Sの先端部は感光体122eと転写装置122fとの間に挟まれているため、記録用紙Sは、搬送方向の下流側である定着装置122g側に押し出され、搬送される。
【0044】
次に、感光体122e・転写装置122fから搬送された記録用紙Sは、定着装置122gに到達する。定着装置122gの加熱ローラh・加圧ローラpが正転すると、記録用紙Sの先端部は加熱ローラhと加圧ローラpとの間に挟まれているため、記録用紙Sは、図5に示すように、搬送方向の下流側に押し出される。
【0045】
ここで、加熱ローラhは既に暖機されている。このため、記録用紙Sが加熱ローラh・加圧ローラpを通過すると、記録用紙Sのうち加熱ローラhを通過した部分には加熱ローラhの熱が伝わり、通過した部分は暖められる。レジストレーションローラ122k、感光体122e、転写装置122f、及び定着装置122gの正転は、図6に示すように、記録用紙Sの後端部がレジストレーションローラ122kに到達するまで行われる。
【0046】
図4に戻り、コントローラ122aは、次いで、記録用紙Sの後端部がレジストレーションローラ122kに到達したと判定した場合には(ステップS104:YES)、記録用紙Sの先端部が転写装置122fに到達するまで、レジストレーションローラ122k、感光体122e、転写装置122f、及び定着装置122gを逆転させる(ステップS105,S106:NO)。
【0047】
図7及び図8を参照して具体的に説明する。図7に示すように、レジストレーションローラ122k、感光体122e、転写装置122f、及び定着装置122gが逆転すると、記録用紙Sはレジストレーションローラ122k、感光体122e・転写装置122f、及び加熱ローラh・加圧ローラpの間にそれぞれ挟まれているため、記録用紙Sは、搬送方向の上流側に押し出され、搬送される。
【0048】
ここで、図8に示すように、記録用紙Sのうち、既に加熱ローラhを通過した部分が転写装置122gに到達すると、その通過部分は暖められているため、その熱が転写装置122gに伝わる。この結果、転写装置122gが暖機される。したがって、転写不良や転写不良に伴う記録画像の劣化が抑制される。レジストレーションローラ122k、感光体122e、転写装置122f、及び定着装置122gの逆転は、図8に示すように、記録用紙Sの先端部が定着装置122gに到達するまで、行われる。このため、記録用紙Sの暖められた部分は、転写装置122fの逆転が停止するまで、転写装置122fの表面と接触し続ける。したがって、転写装置122fの暖機は、転写装置122fの表面全体にわたって行われる。
【0049】
尚、記録用紙Sの暖められた部分の一部が転写装置122fに少なくとも接触すれば、転写装置122fは暖機されるが、転写装置122fの十分な暖機を実現するために、転写装置122fの回転によって、記録用紙Sの暖められた部分の全部が転写装置122fに接触することが望ましい。
【0050】
また、記録用紙Sの先端部及び後端部は、少なくとも、記録用紙Sがレジストレーションローラ122kや定着装置122gに挟まれていれば、どこまでを先端部又は後端部とするかは任意の設計事項である。挟まれていないことに起因した記録用紙Sの搬送不良や、搬送不良に伴う画像形成装置100内部での紙づまりが回避される。
【0051】
図4に戻り、コントローラ122aは、次いで、記録用紙Sの先端部が定着装置122gに到達したと判定した場合には(ステップS106:YES)、コントローラ122aは、転写装置122fの抵抗値が十分に降下しているか否かを判定する(ステップS107)。当該判定処理は、上述したように、コントローラ122aが転写装置122fの回転状態において、テスト用の電圧を印加し、そのときの電流値を検出することによって行われる。
【0052】
コントローラ122aは、転写装置122fの抵抗値が十分に降下していないと判定した場合には(ステップS107:NO)、ステップS103からS107の処理を繰り返す。この結果、転写装置122fはさらに暖機され、抵抗値が降下する。
【0053】
逆に、コントローラ122aは、転写装置122fの抵抗値が十分に降下したと判定した場合には(ステップS107:YES)、記録用紙Sを排紙トレイTRに排出する(ステップS108)。転写装置122fの抵抗値の十分な降下は、外部の環境によって、正転と逆転とを1回行っただけで起こる場合もあるし、2回以上行って起こる場合もある。1回の正転と逆転で完了すれば、消費電力の低下が図られるが、1回の正転と逆転で完了しなくても、正転と逆転は2回以上行われるため、転写装置122fは確実に暖機される。
【0054】
図9は、画像形成装置100の動作の一例を示す他のフローチャートである。
【0055】
画像形成装置100のコントローラ122aは、定着装置122gの暖機を開始した後(ステップS201)、転写装置122fの抵抗値が十分降下しているか否かを判定する(ステップS202)。
【0056】
コントローラ122aは、転写装置122fの抵抗値が十分降下していないと判定した場合には(ステップS202:NO)、転写装置122fを暖機するために行う、レジストレーションローラ122k、感光体122e、転写装置122f、及び定着装置122gの作動を行わせる(ステップS203)。逆に、コントローラ122aは、転写装置122fの抵抗値が十分降下していると判定した場合には(ステップS202:YES)、レジストレーションローラ122k等に対するこのような作動を行わせない。
【0057】
すなわち、図4を参照して説明したフローチャートにおいて、定着装置122gの暖機開始直後に、転写装置122fに対する抵抗値の判定処理を加えている。転写装置122fの抵抗値が十分降下している場合には、転写不良が起こらないため、記録用紙Sを利用した転写装置122fの暖機を無駄に行わなくてすむ。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
100 画像形成装置
122 画像記録部
122a コントローラ
122e 感光体
122f 転写装置
122g 定着装置
122k レジストレーションローラ
S 記録用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と転写装置とを備え、前記感光体と転写装置との間に媒体を挟み込むことにより、該媒体に画像を記録する記録手段と、
前記記録手段の上流側に設けられ、前記媒体の姿勢を補正する補正手段と、
前記記録手段の下流側に設けられ、前記媒体に記録された画像を定着させる定着手段と、
前記定着手段が予め設定された設定温度にまで暖機されたと判定した場合に、前記媒体の後端部が前記補正手段に到達するまで、前記補正手段、前記記録手段、及び前記定着手段を正転させ、前記媒体の後端部が前記補正手段に到達したときに、前記媒体の先端部が前記定着手段に到達するまで、前記補正手段、前記記録手段、及び前記定着手段を逆転させる制御手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記転写装置の暖機完了と判断可能な程度にまで、前記転写装置の抵抗値が下がっていないと判定した場合に、前記暖機完了と判断可能な程度まで、前記補正手段、前記記録手段、及び前記定着手段に対する正転と逆転とを繰り返させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記補正手段、前記記録手段、及び前記定着手段の動作前に、前記転写装置の暖機完了と判断可能な程度にまで、前記転写装置の抵抗値が下がっていないと判定した場合に、前記補正手段、前記記録手段、及び前記定着手段を作動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記定着手段の暖機が開始された後に、前記判定処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記転写装置の暖機完了と判断可能な程度にまで、前記転写装置の抵抗値が下がったと判定した場合に、前記媒体を排出することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−37686(P2012−37686A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176986(P2010−176986)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】