説明

画像形成装置

【課題】搬送方向における適正位置を超えて配置される被画像形成媒体を収容器側に移動させる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、載置板60が上昇することにより用紙が調整位置及び給紙位置にそれぞれ到達したことを検知する位置検知部と、画像形成装置本体に収容器が装着されたことを検知した場合に、位置検知部によって用紙が調整位置に到達したことが検知されるまで載置板60を上昇させるよう載置板駆動部111を制御する載置板駆動制御部121と、収容器に収容される用紙が搬送方向における適正位置を超えて配置されていることを検知する用紙検知センサ100と、用紙検知センサ100によって用紙が搬送方向における適正位置を超えて配置されていることが検知される場合に、前送りコロ61を逆回転させるよう前送りコロ駆動部110を制御する前送りコロ駆動制御部120とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタやコピー機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタやコピー機等の画像形成装置は、複数の用紙(被画像形成媒体)を収容する給紙カセット(収容器)と、感光体ドラム又は中間転写ベルトにトナー画像を形成する画像形成部と、搬送路を介して給紙カセットから1枚ずつ搬送された用紙に対して画像形成部にて形成されたトナー画像を転写する転写部と、トナー画像を用紙に定着させる定着部とを備える。
【0003】
このような画像形成装置には、給紙カセットに収容される用紙を搬送路に供給する送りローラと、給紙カセットから用紙が重送された場合に、送りローラとは反対方向に回転して、重送された下側の用紙を給紙カセットに戻すリバースローラとを備えるものがある(特許文献1参照)。また、画像形成装置には、給紙カセットに収容される用紙が送りローラによって搬送路に供給される場合に、用紙が重送されているか否かを判断し、用紙が重送されていると判断された場合に送りローラを逆回転させて、重送された用紙を給紙カセットに戻すものがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−309434号公報
【特許文献2】特開2004−284805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1,2に記載された発明は、給紙カセットから用紙が重送された場合に、重送された用紙を搬送路に供給することを防止するものである。しかしながら、画像形成装置では、給紙カセットを装置本体から引き出した状態(開状態)から装置本体に装着した状態(閉状態)に遷移させた場合に、給紙カセットを閉じるときの勢いによって用紙が給紙カセットから飛び出すことがある。このように、給紙カセットから用紙が飛び出した場合には、特許文献1,2に記載された発明は、給紙カセットから飛び出した用紙をその給紙カセットに戻すことはできない。
【0006】
本発明は、搬送方向における適正位置を超えて配置される被画像形成媒体を収容器側に移動させる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体の内部に配置され、被画像形成媒体に画像を形成するエンジン部と、前記エンジン部に被画像形成媒体を搬送する搬送路と、前記画像形成装置本体に着脱可能に配置された、被画像形成媒体を収容する収容器と、前記画像形成装置本体に前記収容器が装着されたことを検知する装着検知センサと、前記収容器に収容される被画像形成媒体を前記搬送路に供給することが可能な回転ローラと、被画像形成媒体が前記搬送路に供給されるよう前記回転ローラを正回転させる、又は正回転する方向とは反対方向に前記回転ローラを逆回転させる回転ローラ駆動部と、前記収容器に収容された被画像形成媒体が載置され、第1圧力で被画像形成媒体を前記回転ローラに当接させて、正回転する前記回転ローラによって被画像形成媒体を前記搬送路に供給することが可能な給紙位置、及び、前記第1圧力よりも弱い第2圧力で被画像形成媒体を前記回転ローラに当接させて、逆回転する前記回転ローラによって被画像形成媒体を前記収容器側に移動させることが可能な調整位置に被画像形成媒体を上昇移動させることが可能な載置板と、前記載置板を上昇させることが可能な載置板駆動部と、前記載置板が上昇することにより被画像形成媒体が前記調整位置及び前記給紙位置にそれぞれ到達したことを検知する位置検知部と、前記装着検知センサによって前記画像形成装置本体に前記収容器が装着されたことを検知した場合に、前記位置検知部によって被画像形成媒体が前記調整位置に到達したことが検知されるまで前記載置板を上昇させて停止させるよう前記載置板駆動部を制御する載置板駆動制御部と、載置板駆動制御部によって被画像形成媒体が調整位置に到達するまで載置板を上昇させて停止させるよう載置板駆動部を制御した場合に、前記収容器に収容される被画像形成媒体が搬送方向における適正位置を超えて配置されていることを検知する被画像形成媒体検知センサと、前記被画像形成媒体検知センサによって被画像形成媒体が搬送方向における適正位置を超えて配置されていることが検知される場合に、前記回転ローラを逆回転させるよう前記回転ローラ駆動部を制御する回転ローラ駆動制御部と、を備える画像形成装置に関する。
【0008】
また、前記載置板駆動制御部は、前記位置検知部によって被画像形成媒体が前記調整位置に到達したことが検知されるまで前記載置板を上昇させた状態において、前記被画像形成媒体検知センサによって被画像形成媒体が搬送方向における適正位置を超えて配置されていることが検知されない場合に、前記位置検知部によって被画像形成媒体が前記給紙位置に到達したことが検知されるまで前記載置板を上昇させるよう前記載置板駆動部を制御することが好ましい。
【0009】
また、画像形成装置は、前記被画像形成媒体検知センサによって被画像形成媒体が搬送方向における適正位置を超えて配置されていることを検知し、前記回転ローラ駆動制御部による前記回転ローラを逆回転させるために前記回転ローラ駆動部を制御することを1サイクルとして、そのサイクルが繰り返し行われる回数を計数する計数部と、前記計数部により計数された回数が前記所定の回数に到達したか否かを判断する判断部と、報知を行う報知部と、前記計数部により計数された回数が前記所定の回数に到達したと前記判断部によって判断された場合に、報知を行うよう前記報知部を制御する報知制御部と、をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、搬送方向における適正位置を超えて配置される被画像形成媒体を収容器側に移動させる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンタにおける各構成要素の配置を説明するための左側面図である。
【図2】給紙カセットについて説明するための図である。
【図3】調整位置P1及び給紙位置P2について説明するための図である。
【図4】第1センサについて説明するための図である。
【図5】プリンタの機能ブロックについて説明するための図である。
【図6】前送りコロが配置される部分の拡大図である。
【図7】プリンタの動作について説明するためのフローである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。まず、本発明の画像形成装置の一実施形態としてのプリンタ1の全体構造を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るプリンタ1における各構成要素の配置を説明するための左側面図である。本実施形態において、後述する排紙部50から用紙Tが排出される方向の側を(図1における右側)をプリンタ1の前側とする。
【0013】
プリンタ1は、画像形成装置本体としてのプリンタ本体1aを備える。また、プリンタ1は、エンジン部90と、給排紙部と、収容器として給紙カセット52とを備える。エンジン部90は、プリンタ本体1aの内部に配置され、被画像形成媒体としての用紙Tに画像を形成する。エンジン部90は、それぞれ後述する画像形成部と、転写部8と、定着部9とを備える。給排紙部は、用紙Tをエンジン部90に給紙すると共に画像が形成された用紙Tを排紙する。給紙カセット52は、プリンタ本体1aに着脱可能に配置され、用紙Tを収容する。
【0014】
図1に示すように、画像形成部は、感光体ドラム2と、帯電部10と、レーザスキャナユニット4と、ドラムクリーニング装置11とを備える。
また、給排紙部は、給紙カセット52と、レジストローラ対80と、エンジン部90に用紙Tを搬送する搬送路L(第1搬送路L1、第2搬送路L2、第3搬送路L3及び第4搬送路L4)とを備える。
【0015】
感光体ドラム2は、円筒形状の部材からなり、像担持体として機能する。感光体ドラム2は、図1に対して垂直な回転軸を中心に回転可能な態様で装置本体Mに配置される。感光体ドラム2の表面には、静電潜像が形成される。
【0016】
帯電部10は、感光体ドラム2の上方に配置される。帯電部10は、感光体ドラム2の表面を一様に、例えば、正(プラス極性)帯電させる。
【0017】
レーザスキャナユニット4は、感光体ドラム2の上方に感光体ドラム2から離間して配置される。レーザスキャナユニット4は、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成される。
レーザスキャナユニット4は、パーソナルコンピュータ等の外部機器から出力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2の表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4により走査露光されることによって、感光体ドラム2の表面に帯電した電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。
【0018】
現像器16は、感光体ドラム2の前方(図1における右側)に配置される。現像器16は、感光体ドラム2に形成された静電潜像に単色(通常はブラック)のトナー画像を現像する。現像器16は、感光体ドラム2に対向配置可能な現像ローラ17とトナー攪拌用の攪拌ローラ18とを有して構成される。
【0019】
トナーカートリッジ5は、現像器16に供給されるトナーを収容する。
トナー供給装置6は、トナーカートリッジ5に収容されたトナーを、現像器16に供給する。
【0020】
ドラムクリーニング装置11は、感光体ドラム2の上方に配置される。ドラムクリーニング装置11は、感光体ドラム2の表面に残留したトナーや付着物を除去する。
【0021】
転写部8は、転写ローラ8aを備える。転写ローラ8aは、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させる。転写ローラ8aには、不図示の電圧印加手段により、感光体ドラム2に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させるための転写バイアスが印加される。
【0022】
転写ローラ8aは、感光体ドラム2に対して接離される。具体的には、転写ローラ8aは、感光体ドラム2に当接される当接位置と、感光体ドラム2から離間する離間位置とに移動可能に構成される。詳細には、転写ローラ8aは、感光体ドラム2に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させる場合には当接位置に移動され、他の場合には離間位置に移動される。
【0023】
用紙Tは、感光体ドラム2と転写ローラ8aとによって挟み込まれ、感光体ドラム2の表面(トナー画像が現像された側)に押し当てられる。このようにして転写ニップNが形成され、感光体ドラム2に現像されたトナー画像は、用紙Tに転写される。
【0024】
定着部9は、用紙Tに転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融させて、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱ローラ9aと、加熱ローラ9aに圧接される加圧ローラ9bと、を備える。加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとは、トナー画像が転写された用紙Tを挟持するようにして搬送する。用紙Tが加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとの間に挟持されるように搬送されることによって、用紙Tに転写されたトナーは、溶融し、定着する。
【0025】
給紙カセット52は、装置本体Mの下部に配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの前側(図1における右側)に水平方向に引き出し可能に配置される。給紙カセット52は、用紙Tが載置される載置板60を備える。給紙カセット52には、載置板60に用紙Tが積層された状態で、用紙Tが収容される。カセット給紙部51は、給紙カセット52の用紙送り出し側端部に配置される。カセット給紙部51は、給紙カセット52に収容された用紙Tを搬送路Lに送り出す。なお、給紙カセット52の詳細については後述する。
カセット給紙部51は、給紙カセット52に収容される用紙Tを搬送路Lに供給することが可能な前送りコロ61(回転ローラ)と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すローラ対63とからなる重送防止機構を備える。
【0026】
カセット給紙部51と排紙部(排出部)50との間には、用紙Tを搬送する搬送路Lが形成される。搬送路Lは、カセット給紙部51からレジストローラ対80までの第1搬送路L1と、レジストローラ対80から転写ローラ8aまでの第2搬送路L2と、転写ローラ8aから定着部9までの第3搬送路L3と、定着部9から排紙部50までの第4搬送路L4とを有する。
第1搬送路L1、第2搬送路L2、第3搬送路L3及び第4搬送路L4は、いずれも、ほぼ下方から上方に向けて延びている。
【0027】
ここで、転写ローラ8aにおける用紙Tの搬送方向の上流側(図1における下側)には、レジストローラ対80が配置される。レジストローラ対80は、その停止状態で、ローラ対63から給紙された用紙Tの先端部が一旦当接された後、回転駆動されて、用紙Tを搬送方向の下流側に送り出すローラ対である。また、レジストローラ対80は、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や、トナー画像とのタイミング調整を行うためのローラ対である。
【0028】
第4搬送路L4における端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの前方(図1における右方)に向けて開口している。排紙部50は、定着部9によりトナーが定着された用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。
【0029】
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、排紙部50から排紙された、所定画像が転写された用紙Tが積層して集積される。
【0030】
次に、給紙カセット52の詳細について説明する。図2は、給紙カセット52について説明するための図である。図3は、調整位置P1及び給紙位置P2について説明するための図である。図4は、第1センサ101について説明するための図である。
図2に示すように、給紙カセット52は、上述した載置板60と、載置板駆動部111(図5参照)と、用紙検知センサ100と、第1センサ101と、第2センサ102とを備える。
【0031】
載置板60は、詳細には、例えば、用紙Tの搬送方向とは反対側の端部(図2おける右側の端部)を支点として、用紙Tの搬送方向側の端部(図2における左側の端部)が昇降可能となるように、給紙カセット52の底面に配置されている。
【0032】
載置板60は、給紙カセット52に収容された用紙Tが載置され、第1圧力で用紙Tを前送りコロ61に当接させて、正回転する前送りコロ61によって用紙Tを搬送路Lに供給することが可能な給紙位置P2(図3(B)参照)に用紙Tを上昇移動させることが可能である。また、載置板60は、第1圧力よりも弱い第2圧力で用紙Tを前送りコロ61に当接させて、逆回転する前送りコロ61によって用紙Tを給紙カセット52に移動させることが可能な調整位置P1(図3(A)参照)に用紙Tを上昇移動させることが可能である。
【0033】
載置板60が上昇することにより、載置板60に載置される用紙Tが前送りコロ61に当接した場合、用紙Tは、載置板60によって前送りコロ61に押圧される。用紙Tは、載置板60によって給紙位置P2に配置された場合に、載置板60と前送りコロ61とに挟まれることにより第1圧力が加わる。一方、用紙Tは、載置板60によって給紙位置P2よりも垂直方向に低い調整位置P1に配置された場合に、載置板60と前送りコロ61とに挟まれることにより第2圧力が加わる。
【0034】
載置板駆動部111は、載置板60を上昇させることが可能である。本実施形態において、載置板駆動部111は、回転駆動力を出力するモータと、モータから出力される回転駆動力を載置板60に伝達させる複数のギアとを有して構成される。載置板駆動部111は、モータから出力される回転駆動力を複数のギアを介して載置板60に伝達させることで、上記支点を回動中心として載置板60を矢印R1方向に回動移動させ、載置板60における用紙Tの搬送方向側の端部を上昇移動させる。
【0035】
載置板駆動部111(モータ)は、後述する載置板駆動制御部121からの指示に基づいて、載置板を矢印R1方向に回動移動させ、載置板60における用紙Tの搬送方向側の端部を上昇させる。
【0036】
ここで、複数のギアのうち一部のギアを給紙カセット52側に配置すると共に、複数のギアのうち他のギアをプリンタ本体1a側に配置してもよい。このように構成することで、複数のギアは、給紙カセット52がプリンタ本体1aに装着された状態では互いに噛み合い、給紙カセット52がプリンタ本体1aから引き出された状態では互いに噛み合う状態が解除される。つまり、このように構成した場合、給紙カセット52がプリンタ本体1aから引き出されることで、複数のギアにおける噛み合い状態が解除され、載置板60は、重力(自重)により矢印R2方向に回動移動される。すなわち、このように構成した場合、給紙カセット52がプリンタ本体1aから引き出されることで、載置板60における用紙Tの搬送方向側の端部は、下降移動される。
【0037】
位置検知部としての第1センサ101及び第2センサ102は、載置板60が上昇することにより用紙Tが調整位置P1及び給紙位置P2にそれぞれ到達したことを検知する。具体的には、第1センサ101は、用紙T(詳細には、複数の用紙Tのうち最上部に配置される用紙T)が調整位置P1に到達したことを検知する(図3(A)参照)。第2センサ102は、用紙T(詳細には、複数の用紙Tのうち最上部に配置される用紙T)が給紙位置P2に到達したことを検知する(図3(B)参照)。
【0038】
第1センサ101は、図4に示すように、光センサ101aと、遮断部材101dとを備える。光センサ101aは、光を出射する発光部101bと、発光部101bから出射された光を受光する受光部101cとを備える。発光部101bに設けられる発光素子(図示せず)は、例えば、レーザダイオードや発光ダイオードである。また、受光部101cに設けられる受光素子(図示せず)は、例えば、フォトダイオードである。
【0039】
遮断部材101dは、発光部101bから受光部101cへ向かう光の光路を遮断可能に配置される。すなわち、遮断部材101dは、中央部を支点として回転可能に配置される。遮断部材101dは、通常時に、垂直方向に沿って配置されている(図4(B)参照)。この場合、発光部101bから出射された光は、受光部101cにおいて受光される(図4(A)参照)。一方、遮断部材101dは、下端に用紙Tが接触する場合には、図4(D)において矢印Aにより示す方向に回転して、上端が発光部101bから受光部101cに向かう光の光路を遮断する(図4(C)、(D)参照)。
【0040】
また、第2センサ102は、第1センサ101と同様の構成である。すなわち、第2センサ102は、遮断部材の下端が、第1センサ101における遮断部材101dの下端よりも上方に配置され、他の構成要素が第1センサ101と構成要素と同じになっている。第2センサ102における遮断部材が第1センサ101における遮断部材101dよりも上方に配置されることにより、第2センサ102は、載置板60に載置される用紙Tの最上面が第1センサ101によって検知する高さ方向の位置よりも上方の位置に到達したことを検知することが可能になる。
【0041】
被画像形成媒体検知センサとしての用紙検知センサ100は、後述するように載置板駆動制御部121によって用紙Tが調整位置P1に到達するまで載置板60を上昇させて停止されるよう載置板駆動部111を制御した場合に、給紙カセット52に収容される用紙Tが搬送方向における適正位置を超えて配置されていることを検知する。用紙検知センサ100は、載置板60において、前送りコロ61よりも用紙Tの搬送方向側に配置される。ここで、例えば、給紙カセット52をプリンタ本体1aから引き出している状態(開状態)からプリンタ本体1aに装着した状態(閉状態)に遷移させた場合には、用紙Tは、給紙カセット52が移動する勢い等によって給紙カセット52の移動方向(ここでは、用紙Tの搬送方向に一致する)に適性位置からずれる可能性がある(図6(A)参照)。適正位置とは、載置板60に載置される用紙Tを前送りコロ61によって1枚ずつ順に搬送路Lに搬送することができる位置のことである。用紙検知センサ100は、上述したように搬送方向にずれた用紙Tを検知する。
【0042】
給紙カセット52がプリンタ本体1aに装着されたことを検知するために、プリンタ本体1aには、装着検知センサ103が設けられている。装着検知センサ103は、上述した給紙カセット52がプリンタ本体1aから引き出された状態(開状態)からプリンタ本体1aに装着された状態(閉状態)に遷移した場合に、プリンタ本体1aに給紙カセット52が装着されたことを検知する。
【0043】
次に、プリンタ1の機能ブロックについて説明する。図5は、プリンタ1の機能ブロックについて説明するための図である。図6は、前送りコロ61が配置される部分の拡大図である。
プリンタ1は、装着検知センサ103と、第1センサ101と、第2センサ102と、用紙検知センサ100とを備える。また、プリンタ1は、前送りコロ61と、前送りコロ駆動部110と、載置板60と、載置板駆動部111と、報知部112とを備える。さらに、プリンタ1は、制御部として、前送りコロ駆動制御部120と、載置板駆動制御部121と、計数部122と、判断部123と、報知制御部124とを備える。なお、図1〜図4を用いて説明した装着検知センサ103と、第1センサ101と、第2センサ102と、用紙検知センサ100と、前送りコロ61と、載置板60と、載置板駆動部111とについては、説明を省略する。
【0044】
回転ローラ駆動部としての前送りコロ駆動部110は、用紙Tが搬送路Lに供給されるよう前送りコロ61を正回転させる、又は正回転する方向とは反対方向に前送りコロ61を逆回転させる。前送りコロ駆動部110は、モータ等によって構成される。前送りコロ61は、前送りコロ駆動部110の駆動に基づいて正回転又は逆回転する。
【0045】
載置板駆動制御部121は、装着検知センサ103によってプリンタ本体1aに給紙カセット52が装着されたことを検知した場合に、第1センサ101(位置検知部)によって用紙Tが調整位置P1に到達したことが検知されるまで載置板60を上昇させて停止させるよう載置板駆動部111を制御する。載置板駆動制御部121は、装着検知センサ103から給紙カセット52がプリンタ本体1aに装着されたことを示す信号が入力された場合、載置板60を上昇させるよう載置板駆動部111を制御する。載置板60の上昇に伴って給紙カセット52に収容される用紙Tが調整位置P1に到達した場合、第1センサ101を構成する遮断部材101dは、用紙Tに接触されて、第1センサ101を構成する発光部101bと受光部101cと間に上端を移動させる。載置板駆動制御部121は、例えば、第1センサ101を構成する受光部101cが発光部101bからの光を受光しなくなったことを示す信号が第1センサ101から入力された場合、載置板60の上昇を停止するよう載置板駆動部111を制御する。
【0046】
また、載置板駆動制御部121は、第1センサ101(位置検知部)によって用紙Tが調整位置P1に到達したことが検知されるまで載置板60を上昇させた状態において、用紙検知センサ100によって用紙Tが搬送方向における適正位置を超えて配置されていることが検知されない場合に、第2センサ102(位置検知部)によって用紙Tが給紙位置P2に到達したことが検知されるまで載置板60を上昇させるよう載置板駆動部111を制御する。例えば、載置板駆動制御部121は、用紙検知センサ100から用紙Tを検知したことを示す信号が入力されない場合、載置板60を上昇させるよう載置板駆動部111を制御する。載置板60の上昇に伴って給紙カセット52に収容される用紙Tが給紙位置P2に到達した場合、第2センサ102を構成する遮断部材は、用紙Tに接触されて、第2センサ102を構成する発光部と受光部と間に上端を移動される。載置板駆動制御部121は、例えば、第2センサ102を構成する受光部が発光部からの光を受光しなくなったことを示す信号が第2センサ102から入力された場合、載置板60の上昇を停止するよう載置板駆動部111を制御する。
【0047】
回転ローラ駆動制御部としての前送りコロ駆動制御部120は、用紙検知センサ100によって用紙Tが搬送方向における適正位置を超えて配置されていることが検知される場合(図6(A)参照)に、前送りコロ61を逆回転させるよう前送りコロ駆動部110を制御する。前送りコロ駆動制御部120は、用紙検知センサ100から用紙Tを検知したことを示す信号が入力された場合、所定の時間、前送りコロ61を逆回転させるよう前送りコロ駆動部110を制御する。前送りコロ61が逆回転することにより、搬送方向における適正位置を超えて配置される用紙Tは、適正位置に戻される(図6(B)参照)。
【0048】
計数部122は、用紙検知センサ100によって用紙Tが搬送方向における適正位置を超えて配置されていることを検知し、前送りコロ駆動制御部120による前送りコロ61を逆回転させるために前送りコロ駆動部110を制御することを1サイクルとして、そのサイクルが繰り返し行われる回数を計数する。
【0049】
判断部123は、計数部122により計数された回数が所定の回数に到達したか否かを判断する。所定の回数は、適宜設定される。一例として、所定の回数は、3回に設定される。換言すると、判断部123は、搬送方向における適正位置を超えて配置される用紙の検知が用紙検知センサ100によって所定の回数以上行われたか否かを判断する。
【0050】
報知部112は、報知を行う。すなわち、報知部112は、用紙Tが搬送方向における適正位置を超えて配置されていることを示す所定の報知を行う。具体的には、報知部112は、例えば、スピーカやタッチパネル等から構成される。報知部112がスピーカから構成される場合には、スピーカは、報知として所定の音声や所定の音を出力する。一方、報知部112がタッチパネルから構成される場合には、スピーカは、報知として所定の表示を行う。
【0051】
報知制御部124は、計数部122により計数された回数が所定の回数に到達したと判断部123によって判断された場合に、報知を行うよう報知部112を制御する。
【0052】
次に、プリンタ1の動作について説明する。図7は、プリンタ1の動作について説明するためのフローである。
【0053】
ステップST1において、装着検知センサ103は、給紙カセット52の装着を検知する。すなわち、装着検知センサ103は、給紙カセット52がプリンタ本体1aから引き出された状態(開状態)からプリンタ本体1aに装着された状態(閉状態)に遷移したことを検知する。
【0054】
ステップST2において、載置板駆動制御部121は、載置板60に載置された用紙Tが調整位置P1に到達するまで、すなわち、第1センサ101を構成する受光部101cが発光部101bからの光を受光しなくなったことを示す信号が入力されるまで、載置板60を上昇させるよう載置板駆動部111を制御する。
【0055】
ステップST3において、前送りコロ駆動制御部120は、載置板60に載置される用紙Tが搬送方向における適正位置を超えて配置されているか否か判断する。すなわち、前送りコロ駆動制御部120は、用紙検知センサ100から用紙Tを検知したことを示す信号が入力されたか否かを判断する。用紙Tが適正位置を超えて配置されていない場合(No)、すなわち信号が入力されない場合には、処理は、ステップST4に進む。用紙Tが適正位置を超えて配置されている場合(Yes)、すなわち信号が入力された場合には、処理は、ステップST5に進む。
【0056】
ステップST4において、載置板駆動制御部121は、載置板60に載置された用紙Tが給紙位置P2に到達するまで、すなわち、第2センサ102を構成する受光部が発光部からの光を受光しなくなったことを示す信号が入力されるまで、載置板60を上昇させるよう載置板駆動部111を制御する。これにより、コピー機は、エンジン部90によって用紙Tに画像を形成することが可能になる。
【0057】
ステップST5において、判断部123は、計数部122により計数された回数が所定の回数に到達したか否かを判断する。すなわち、判断部123は、用紙検知センサ100によって用紙Tを検知して、前送りコロ61を逆回転させるための制御することを1サイクルとして、繰り返し行われたサイクルの数が所定のサイクル数に到達したか否かを判断する。計数部122によって計数された回数が所定の回数に到達していない場合(No)には、処理は、ステップST6に進む。計数部122によって計数された回数が所定の回数に到達した場合(Yes)には、処理は、ステップST7に進む。
【0058】
ステップST6において、前送りコロ駆動制御部120は、前送りコロ61を逆回転させるよう前送りコロ駆動部110を制御する。これにより、用紙Tが搬送方向における適正位置を超えている場合でも、用紙Tが適正位置に移動されることが期待される。
【0059】
ステップST7において、報知制御部124は、報知を行うよう報知部112を制御する。
【0060】
ステップST7の処理が終了した後には、載置板駆動制御部121は、載置板60を上昇させることなく、載置板60の高さ方向の位置を維持させることが可能である。また、これとは別に、載置板60は、不図示の機構が動作することにより、重力に従って下降されることも可能である。これにより、プリンタ1は、エンジン部90によって用紙Tに画像を形成することが不可能になる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1によれば、以下の効果が奏される。
すなわち、プリンタ1は、装着検知センサ103によってプリンタ本体1aに給紙カセット52が装着されたことを検知した場合に、第1センサ101によって用紙Tが調整位置P1に到達したことが検知されるまで載置板60を上昇させる。さらに、プリンタ1は、用紙検知センサ100によって用紙Tが搬送方向における適正位置を超えて配置されていることが検知される場合に、前送りコロ61を逆回転させる。これにより、プリンタ1は、搬送方向における適正位置を超えて用紙Tが配置されている場合でも、用紙Tを適正位置に移動させることができる。そして、搬送方向における適正位置を超えて配置される用紙Tをエンジン部90へ搬送することによって紙詰まり(JAM)が発生することや、用紙Tに画像がずれて形成されることを防ぐことができる。
【0062】
また、前送りコロ61が逆回転する場合、用紙Tは、搬送路Lに給紙されるときに載置板60によって押圧される第1圧力よりも弱い第2圧力が加えられて前送りコロ61に当接する。これにより、用紙Tを適正位置に移動させた後も前送りコロ61が逆回転する場合でも、用紙Tには、しわ等が発生することがない。
【0063】
また、プリンタ1は、第1センサ101によって用紙Tが調整位置P1に到達したことが検知されるまで載置板60を上昇させた状態において、用紙検知センサ100によって用紙Tが搬送方向における適正位置を超えて配置されていることが検知されない場合に、第2センサ102によって用紙Tが給紙位置P2に到達したことが検知されるまで載置板60を上昇させる。これにより、前送りコロ61が逆回転することにより、用紙Tが搬送方向における適正位置に移動された場合、及び、第1センサ101によって用紙Tが調整位置P1に到達したことが検知されるまで載置板60を上昇させたときに、用紙検知センサ100によって用紙Tが検知されない場合には、プリンタ1は、第2センサ102によって用紙Tが給紙位置P2に到達したことが検知されるまで載置板60を上昇させるので、給紙カセット52から搬送された用紙Tに対して画像を形成することができる。
【0064】
また、プリンタ1は、用紙検知センサ100によって用紙Tが搬送方向における適正位置を超えて配置されていることを検知し、前送りコロ駆動制御部120による前送りコロ61を逆回転させるために前送りコロ駆動部110を制御することを1サイクルとして、そのサイクルが繰り返し行われる回数を計数し、その計数した回数が所定の回数に到達したと判断部123によって判断された場合に、報知を行うよう報知部112を報知制御部124によって制御する。これにより、プリンタ1は、ユーザに対して、用紙Tの位置を修正するよう促すことができる。
【0065】
なお、上述した実施形態では、位置検知部は、第1センサ101と第2センサ102とから構成される場合について説明した。しかしながら、本発明の位置検知部は、この形態に限定されることはなく、用紙Tが調整位置P1及び給紙位置P2にそれぞれ到達したことを検知する1つのセンサから構成されていてもよい。
【0066】
また本発明の画像形成装置は、上述したプリンタ1に限定されることはない。すなわち、本発明の画像形成装置は、コピー機能を備えるコピー機や、コピー機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能及びスキャナ機能を備える複合機であってもよく、ファクシミリであってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…プリンタ(画像形成装置)、1a…プリンタ本体(画像形成装置本体)、52…給紙カセット(収容器)、60…載置板、61…前送りコロ(回転ローラ)、90…エンジン部、100…用紙検知センサ(被画像形成媒体検知センサ)、101…第1センサ(位置検知部)、102…第2センサ(位置検知部)、103…装着検知センサ、110…前送りコロ駆動部(回転ローラ駆動部)、111…載置板駆動部、120…前送りコロ駆動制御部(回転ローラ駆動制御部)、121…載置板駆動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体と、
前記画像形成装置本体の内部に配置され、被画像形成媒体に画像を形成するエンジン部と、
前記エンジン部に被画像形成媒体を搬送する搬送路と、
前記画像形成装置本体に着脱可能に配置された、被画像形成媒体を収容する収容器と、
前記画像形成装置本体に前記収容器が装着されたことを検知する装着検知センサと、
前記収容器に収容される被画像形成媒体を前記搬送路に供給することが可能な回転ローラと、
被画像形成媒体が前記搬送路に供給されるよう前記回転ローラを正回転させる、又は正回転する方向とは反対方向に前記回転ローラを逆回転させる回転ローラ駆動部と、
前記収容器に収容された被画像形成媒体が載置され、第1圧力で被画像形成媒体を前記回転ローラに当接させて、正回転する前記回転ローラによって被画像形成媒体を前記搬送路に供給することが可能な給紙位置、及び、前記第1圧力よりも弱い第2圧力で被画像形成媒体を前記回転ローラに当接させて、逆回転する前記回転ローラによって被画像形成媒体を前記収容器側に移動させることが可能な調整位置に被画像形成媒体を上昇移動させることが可能な載置板と、
前記載置板を上昇させることが可能な載置板駆動部と、
前記載置板が上昇することにより被画像形成媒体が前記調整位置及び前記給紙位置にそれぞれ到達したことを検知する位置検知部と、
前記装着検知センサによって前記画像形成装置本体に前記収容器が装着されたことを検知した場合に、前記位置検知部によって被画像形成媒体が前記調整位置に到達したことが検知されるまで前記載置板を上昇させて停止させるよう前記載置板駆動部を制御する載置板駆動制御部と、
載置板駆動制御部によって被画像形成媒体が調整位置に到達するまで載置板を上昇させて停止させるよう載置板駆動部を制御した場合に、前記収容器に収容される被画像形成媒体が搬送方向における適正位置を超えて配置されていることを検知する被画像形成媒体検知センサと、
前記被画像形成媒体検知センサによって被画像形成媒体が搬送方向における適正位置を超えて配置されていることが検知される場合に、前記回転ローラを逆回転させるよう前記回転ローラ駆動部を制御する回転ローラ駆動制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記載置板駆動制御部は、前記位置検知部によって被画像形成媒体が前記調整位置に到達したことが検知されるまで前記載置板を上昇させた状態において、前記被画像形成媒体検知センサによって被画像形成媒体が搬送方向における適正位置を超えて配置されていることが検知されない場合に、前記位置検知部によって被画像形成媒体が前記給紙位置に到達したことが検知されるまで前記載置板を上昇させるよう前記載置板駆動部を制御する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記被画像形成媒体検知センサによって被画像形成媒体が搬送方向における適正位置を超えて配置されていることを検知し、前記回転ローラ駆動制御部による前記回転ローラを逆回転させるために前記回転ローラ駆動部を制御することを1サイクルとして、そのサイクルが繰り返し行われる回数を計数する計数部と、
前記計数部により計数された回数が前記所定の回数に到達したか否かを判断する判断部と、
報知を行う報知部と、
前記計数部により計数された回数が前記所定の回数に到達したと前記判断部によって判断された場合に、報知を行うよう前記報知部を制御する報知制御部と、
をさらに備える請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−51657(P2012−51657A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193532(P2010−193532)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】