説明

画像形成装置

【課題】ADFを用いた自動原稿給紙モード、静止原稿載置台に原稿をセットしての静止原稿読み取りモード及び画像形成装置本体によ画像形成モードにおける被検出対象の検出を、1つの画像読み取り素子で効率的に行うことで、検出のための部品点数を削減でき、小形化を図ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】自動原稿給紙モード、静止原稿読み取りモード及び画像形成モードのそれぞれに応じて、原稿の画像を読み取る画像読み取り素子の配置位置を変更しながら、画像読み取り素子の一部の画素を用いて、各モードにおける被検出対象の検出を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機やプリンタ等に適用される電子写真方式等を用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、画像形成モードにおいて画像形成を行う画像形成手段を備えた画像形成装置本体の上部に、静止原稿載置台を備えたイメージリーダ部(IR部ともいう)が形成され、さらにイメージリーダ部の上方に自動原稿給紙装置(Auto Document Feeder)(ADFともいう)を備えた構成のものが多く用いられている。この画像形成装置では、自動原稿給紙装置にセットされた原稿を読み取り位置に送給し、読み取り位置に配置された画像読み取り素子により原稿の画像を読み取ったり、前記ADFを使用しない場合は、前記IR部の静止原稿載置台に原稿をセットし、画像読み取り素子をスキャン方向に移動させて原稿を読み取ることが行われる。
【0003】
このような画像形成装置では、ADFに原稿がセットされたことや、原稿の自動給紙中にジャムが発生したこと等を検出したり、IR部の静止原稿載置台に原稿和セットして読み取りを行う場合は、画像読み取り素子がシェーディング位置に移動したこと等を検出することが行われている。また、画像読み取り素子で読み取られた原稿の画像データを画像形成装置本体で用紙に印刷する場合は、給紙カセットから給紙される用紙の用紙の搬送タイミングや停止タイミングの検出や、転写ベルトの位置の検出等、各種の検出処理が行われる。
【0004】
従来、このようなADF、IR部、画像形成装置本体における被検出対象の検出は、各検出部位にそれぞれ個別の複数のセンサを配置することにより行われていた。
【0005】
なお、特許文献1には、密着形イメージセンサを使用し、ローラの原稿読取領域該に形成されているパターンを読み取るか否かを判別することにより、密着形イメージセンサがローラに接触して読取可能な状態になっているか、あるいはローラが密着形イメージセンサから下方に引き離されているかを検出可能とし、このような検出を、専用の光学センサを使用しないで対応できるようにした技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−235884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ADF、IR部、画像形成装置本体における被検出対象を検出するために、各検出部位にそれぞれ個別の複数のセンサを配置する場合は、それら複数のセンサを組み付けるスペースを確保しなければならず、部品点数が大きくなり装置全体の小形化を図ることができなかった。
【0008】
また、前記特許文献1に記載のものは、画像読取り素子としてのイメージセンサの位置が固定されているので、ADF、IR部、画像形成装置本体における各検出を効率的に行うことができなかった。
【0009】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ADFを用いた自動原稿給紙モード、静止原稿載置台に原稿をセットしての静止原稿読み取りモード及び画像形成装置本体によ画像形成モードにおける被検出対象の検出を、1つの画像読み取り素子で効率的に行うことで、検出のための部品点数を削減でき、小形化を図ることができる画像形成装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)画像形成モードにおいて画像形成を行う画像形成手段を備えた画像形成装置本体と、前記本体の上部に配置され、静止原稿載置台を備えたイメージリーダ部と、前記イメージリーダ部の上方に配置された自動原稿給紙手段と、自動原稿給紙モードにおいて、前記自動原稿給紙手段により読み取り位置に送給された原稿の画像を読み取り位置にて読み取ると共に、静止原稿読み取りモードにおいて、前記イメージリーダ部における静止原稿載置台に載置された原稿の画像を、移動しながら読み取る画像読み取り素子と、を備え、前記自動原稿給紙モード、静止原稿読み取りモード及び画像形成モードのそれぞれに応じて前記画像読み取り素子が配置位置を変更しながら、画像読み取り素子の一部の画素を用いて、各モードにおける被検出対象の検出を行うことを特徴とする画像形成装置。
(2)前記自動原稿給紙モード及び静止原稿読み取りモードにおける被検出対象の検出は、前記画像読み取り素子を画素が上向きとなる配置にして行われ、画像形成モードにおける被検出対象の検出は、画像読み取り素子を画素が下向きとなる配置にして行われる前項1に記載の画像形成装置。
(3)前記被検出対象の検出は、アクチュエータによる前記画素に対する遮蔽・開放動作に基づいて行われる前項1または2に記載の画像形成装置。
(4)前記自動原稿給紙モード、静止原稿読み取りモード及び画像形成モードのうちの少なくとも2つのモードにおける被検出対象の検出に、同一の画素が共通して用いられる前項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
(5)前記画像読み取り素子に設けられた支軸を側板に形成された軸孔に嵌合することにより、該画像読み取り素子が画素の上向き位置と180度反転した下向き位置との間で回動変移可能に構成されており、前記側板に軸孔廻りで半円状の反転用ガイド溝が形成される一方、前記画像読み取り素子に設けられた被ガイド用突起部が前記反転用ガイド溝に嵌合されることにより、前記画像読み取り素子が上下の向きに反転される前項2に記載の画像形成装置。
(6)前記所定位置での画像読み取り素子の反転変移を解除可能に阻止するストッパが配設されており、前記画像読み取り素子が画像形成モードにおける配置位置に移動した際に、前記ストッパによる画像読み取り素子の反転阻止が解除されて画像読み取り素子の反転が行われるように構成されている前項2に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
前項(1)に記載の発明によれば、自動原稿給紙モード、静止原稿読み取りモード及び画像形成モードのそれぞれに応じて前記画像読み取り素子が配置位置を変更しながら、画像読み取り素子の一部の画素を用いて、各モードにおける被検出対象の検出が行われるから、1つの画像読み取り素子で各モードにおける被検出対象の検出を効率的に行うことができる。従って、個別の複数のセンサを用いる場合に比べて部品点数が削減されて画像形成装置全体の小形化が可能となるる
前項(2)に記載の発明によれば、自動原稿給紙モード及び静止原稿読み取りモードにおける被検出対象の検出は、前記画像読み取り素子を画素が上向きとなる配置にして行われ、画像形成モードにおける被検出対象の検出は、画像読み取り素子を画素が下向きとなる配置にして行われるから、各モードに応じた配置で円滑な検出動作を行うことができる。
【0012】
前項(3)に記載の発明によれば、画像読み取り素子の画素に対するアクチュエータによる遮蔽・開放動作に基づいて行われるから、アクチュエータと画像読み取り素子とで簡単に被検出対象の検出を行うことが可能となる。
【0013】
前項(4)に記載の発明によれば、自動原稿給紙モード、静止原稿読み取りモード及び画像形成モードのうちの少なくとも2つのモードにおける被検出対象の検出に、同一の画素が共通して用いられるので、効率的となる。
【0014】
前項(5)に記載の発明によれば、画像読み取り素子の突起部が側板の反転用ガイド溝に嵌合されているので、画像読み取り素子の反転動作等が適正に行われる。
【0015】
前項(6)に記載の発明によれば、画像読み取り素子が画像形成モードにおける配置位置に移動した際に、ストッパによる反転阻止が解除されて画像読み取り素子の反転が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す概略断面図である。
【図2】同じく画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】同じく画像形成装置における駆動部の構成図である。
【図4】画像読み取り素子とアクチュエータにより、自動原稿給紙手段、イメージリーダ部、および画像形成装置本体における被検出対象の検出を行うための構成説明図である。
【図5】自動原稿給紙手段で送給された原稿または静止原稿載置台の原稿の画像をコピーする処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】画像読み取り素子を用いた検出処理を含む作像プロセス処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】給紙・搬送処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】画像読み取り素子の反転機構の構成を示す分解斜視図である。
【図9】画像読み取り素子の移動および反転状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す概略断面図である。
【0019】
図1において、この画像形成装置は、画像形成手段としての作像部300A等を備えた4サイクル機である画像形成装置本体300と、この画像形成装置本体300の上部に形成されたイメージリーダ(IR)部200と、IR部200の上方に配置された自動原稿給紙装置(ADF)100とを備えている。
【0020】
前記ADF100は、原稿台1に置かれた原稿を画像読み取り位置に自動送給するものである。このADF100には、原稿台1に原稿がセットされたことを検出する原稿セット検出部4、ADFジャム検出部5等が形成されるとともに、各検出部には、アクチュエータ2がそれぞれ配置されている。そして、各アクチュエータ2を介して、後述するように、画素が上向きとなるように配置された画像読み取り素子3における所定の画素を遮光することにより、ADF100への原稿セット、ADF100へセットされた原稿の自動搬送時のジャムの検出をそれぞれ行うように構成されている。なお、この画像形成装置は所定時間操作がないときはスリープ状態に移行するスリープ機能を備え、該スリープモードにおいて、ADF100への原稿セット等の検出が行われると、スリープモードを解除するものとなされている。
【0021】
前記ADF100において、原稿台1に原稿が置かれると、原稿セット検出部4に設けられたアクチュエータ2が動作し、画像読み取り素子3の所定の画素を遮光して、ADF100に原稿がセットされたことが検出される。
【0022】
原稿セットが検出されると、画像読み取り素子3が原稿流し読み位置に移動して停止する(この位置にある場合の画像読み取り素子を3Bと記す)。原稿が画像形成装置本体300の現像モータ400B(図3)によって搬送され(詳細は後述する)、ADF100のジャム検出部5を通過する。この時、ジャム検出部5のアクチュエータ2が動作し、画像読み取り素子3Bの所定の画素を遮光し、原稿が通過していることが検出される。原稿通過が検出されると正常動作となるが、原稿通過が検出されなければジャムと判断され、ジャム表示等が行われる。
【0023】
このADF100のジャム検出と画像読み取り素子3Bによる原稿画像の読み取り作業は、同時に処理される。
【0024】
前記ADF100の原稿台1に原稿が置かれず、IR部200の静止原稿載置台200Aのプラテンガラスに原稿が直接置かれた場合は、前記画像読み取り素子3は画素を上向きにした状態のままシェーディング位置に移動を開始する。シェーディング位置まで移動すると(シェーディング位置にある場合の画像読み取り素子を3Aと記す)、シェーディング位置に設けられたアクチュエータ2が動作し、画像読み取り素子3Aの所定の画素を遮光し、画像読み取り素子3Aがシェーディング位置に到達したことが検出され、これに基づいて前記画像読み取り素子3Aを停止させる。
【0025】
画像読み取り素子3Aがシェーディング位置に到達したことが検出されない場合は、IR部200のトラブルとしてトラブル表示を行う。シェーディング位置におけるシェーディング完了後は、画像読み取り素子3Aが原稿と平行に移動してスキャンを行い、原稿の画像を読み取る。
【0026】
ADF100で搬送され、またはIR部200の静止原稿載置台200Aに載置された原稿を、画像読み取り素子3で読み取ることにより得られた画像情報は、図示しないコントローラ基板に送られ、4サイクル機の画像形成装置本体300における作像部300Aを用いてプリント(コピー動作)され、出力物が出力される。
【0027】
前記画像形成装置本体300の作像部300Aがプリントアウト動作を開始すると、画像読み取り素子3は、画像形成装置本体300に対する検出位置に移動を開始し(画像形成装置本体の検出位置にある画像読み取り素子3を3Cと記す)、その検出位置に至ると、図7に示す被ガイド用突起部76が、嵌合された反転用ガイド溝75(図7)に沿って案内されることで、画像読み取り素子3Cが画素が下向きとなるように反転し、画像形成装置本体300の被検出対象の検出を開始する。
【0028】
つぎに、画像形成装置本体300における作像部300Aの構成について説明する。
【0029】
作像部300Aは現像ラック42を備え、現像ラック42には、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の4色にそれぞれ対応する4個のカートリッジ41・・・が装着可能である。現像ラック42を回転することにより、順次、カートリッジ41・・・を感光体31と対向する現像位置に回転させてから現像することができる。なお、前記カートリッジ41は、トナーとトナーが供給される現像部等を備えている。
【0030】
前記感光体31の周囲には、感光体ユニット36として、該感光体31の表面を帯電する帯電部51、および画像パターンを露光する露光部(図示せず)等が配設されており、露光及び現像された感光体31にトナー像が形成され、そのトナー像は中間転写ベルト32に転写される。
【0031】
カラー印字であれば中間転写ベルト32で4色のトナー像が重ね合わされる。具体的には、4色のトナー像が重ね合わされる間は、中間転写ベルト用クリーナ53と2次転写ローラ35が中間転写ベルト32から離間されており、4色のトナー像が重ね合わされた後、トナー像の先端が2次転写部に到達するまでに2次転写ローラ35を中間転写ベルト32に圧接して、搬送される用紙にトナー像を転写する。
【0032】
また、4色のトナー像の後端がクリーナ53を通過したところで、該クリーナ53を中間転写ベルト32に圧接して、残トナーを中間転写ベルト32から掻き取るようになっている。
【0033】
2次転写部でトナー像が転写された用紙は、定着部33における定着ローラでトナー像が定着された後、排紙検出部54で用紙が検出されると、排紙ローラにより排紙トレイ(図示せず)に排紙される。
【0034】
また、画像形成装置本体300内には、用紙の給紙検出、転写ベルト32の1周期検出、用紙の搬送タイミング、排紙検出等のために、排紙検出部54の他に検出部7、37等が形成されている。また、各検出部には用紙や転写ベルトの所定部位が該検出部を通過する時に動作するアクチュエータ2がそれぞれ配置されている。各アクチュエータ2は、各アクチュエータが動作した時に、反転状態で停止している画像読み取り素子3Cの所定の画素を、アクチュエータの端部で遮光する態様で設けられている。
【0035】
図2は、同じく画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0036】
図2において、この画像形成装置は、CPU11、ROM12、RAM13、IR部200、操作パネル部14、記憶部15、作像部300A、外部インターフェース(I/F)部16、およびADF100等を備え、システムバス17を介して互いに接続されている。
【0037】
前記CPU11は、ROM12等に格納されている動作プログラムを実行して、画像形成装置の全体を統括制御するものである。
【0038】
前記ROM12は、CPU11が実行する動作プログラムやその他のデータを保存する記憶媒体である。
【0039】
前記RAM13は、CPU11が動作プログラムに従って動作する際の作業領域を提供する記憶媒体である。
【0040】
前記操作パネル部14は、スタートボタンやテンキー等を有するハードキー部と、LDC等からなる表示部とを備えている。
【0041】
前記IR部200は、前記画像読み取り素子3を介して静止原稿載置台200Aに載置された原稿の画像を読み取るイメージリーダ部である。
【0042】
前記記憶部14は、ハードディスク等の記憶媒体からなり、ユーザのジョブ情報、各種データ、各種アプリケーション等を保存している。
【0043】
前記作像部300Aは、画像データをジョブ情報に従ってプリントするエンジン部である。
【0044】
前記外部I/F部16は、ネットワークを介してユーザ端末等の外部機器との間でデータの送受信を行う通信手段として機能する。
【0045】
前記ADF100は原稿を自動給送するものである。
【0046】
図3は、前記画像形成装置本体300における駆動源400の説明図である。
【0047】
図3において、駆動源400は、メインモータ400Aと現像モータ400Bの2個のモータを備えた構成となっている。
【0048】
メインモータ400Aは、画像形成装置本体300における作像部300Aにおける感光体31、中転転写ベルト32、定着部33、2次転写ローラ35、さらには、作像部300Aに用紙を搬送する給紙部・搬送部34等を駆動するものである。
【0049】
また、現像モータ400Bは、現像ローラ41A、現像ラック42、IR部200、およびADF100を駆動するものである。
【0050】
前記現像モータ400Bにおいては、現像ローラ41A、現像ラック42、IR部200、およびADF100を駆動するために、駆動伝達を分離する駆動切替ソレノイドが必要となる。
【0051】
まず、ADF100を現像モータ400Bで動作させるためには、第1および第2ソレノイド51,52をOFF、第3ソレノイド53をONにして、現像モータ400Bを駆動すると、ADF100だけに駆動力が伝達される。
【0052】
つぎに、IR部200を現像モータ400Bで動作させるためには、第1および第3ソレノイド51,53をOFFし、第2ソレノイド52をONすると、IR部200だけに駆動力が伝達される。時計方向の回転で画像読み取り素子3のスキャン動作を行い、反時計方向の回転でリターン動作を行う。
【0053】
さらに、現像ローラ41Aと現像ラック42の駆動を行うには、第2および第3ソレノイド52,53をOFFし、第1ソレノイド51をONすると、現像ローラ41Aと現像ラック42に駆動力が伝達される。現像ローラ41Aの駆動と現像ラック42の駆動は、現像モータ400Bの回転方向で駆動分離されるように構成されている。
【0054】
このような駆動構成により、前記ADF100、IR部200、および画像形成装置本体300が連続的に動作することになり、これらADF100を用いた自動原稿給紙モード、IR部200を用いた静止原稿読み取りモード、および画像形成装置本体300の画像形成モードにおいて、被検出対象の検出が前記画像読み取り素子3で可能となる。
【0055】
図4は、前記画像読み取り素子3とアクチュエータ2により、ADF100、IR部200、および画像形成装置本体300の被検出対象の検出を行うための構成説明図である。
【0056】
図4において、画像読み取り素子3の1つの画素63は一対の発光素子61と受光素子62からなるとともに、合計で7488個の画素で構成されており、R,G,Bの3ラインで全有効画素数は22464画素である。そして、画像読み取り素子3の長さ方向の端部における読み取り領域外の複数の画素を、被検出対象の検出を行うセンサとして用いている。なお、この図4では、実施例として、Rラインのみを図示し、GラインとBラインについては、同じ構成であるので、図示を省略してある。
【0057】
前記画像読み取り素子3の上には1画素分毎にスリット孔60aが形成されたスリット体60が設けられており、各検出部に設けられたアクチュエータ2が動作しアクチュエータの端部が横側にスライドしてスリット孔60a即ち画素63を遮光することにより、受光素子62の電圧レベルが変化し、その電圧レベルの変化をセンサの機能として検出するようになっている。
【0058】
この実施形態では、最外側の画素63aを、ADF100を用いた自動原稿給紙モードにおける原稿セット検出と、静止原稿載置台200Aに原稿をセットして画像読み取りを行う静止原稿読み取りモードにおける画像読み取り素子3Aのシェーディング位置検出と、画像読み取り後の画像形成モードにおける給紙検出のセンサとして用いている。
【0059】
自動原稿給紙モード、静止原稿読み取りモード及び画像形成モードを連続的に動作させる画像形成装置では、これらのモードは同時に動作することはないので、1つの画素63aを各モード共通して用いており、画素の効率的な使用を実現している。
【0060】
同様に1つ内側の画素63bは、自動原稿給紙モードにおけるジャム検出と画像形成モードにおけるタイミング検出に用いられている。
【0061】
さらに1つ内側の画素63cは、画像形成モードにおける転写ベルト32の1周期検出に用いられている。
【0062】
さらに1つ内側の画素63dは画像形成モードにおける排紙検出に、その内側の画素63eは画像形成モードにおける排紙フル検出にそれぞれ用いられている。
【0063】
ところで、画像形成モードにおいては画像安定化制御が行われるが、画像安定化制御の濃度補正においては、従来では、中間転写ベルト32の主面に濃度センサを取り付けてあり、LED等の発光素子からの光を中間転写ベルト32の主面に照射し、その反射光を検出し、該中間転写ベルト32の主面のトナー隠蔽率を測定することにより、中間転写ベルト32主面のトナー濃度を検出していた。
【0064】
これに対して、この実施形態では、画像読み取り素子3の複数の画素63f〜63hと図1に示す透光性の導入板6を、中間転写ベルト32と反転姿勢の画像読み取り素子3の間に配置して、中間転写ベルト32のトナー濃度を検出するように構成されている。
【0065】
図5は、ADF100を用いた自動原稿給紙モードにおいて原稿の画像を読み取ってコピーする場合と、静止原稿読み取りモードにおいてIR部200の静止原稿載置台200に載置された原稿の画像を読み取ってコピーする場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【0066】
図5において、ステップS1で、ADF100の原稿セット台1に原稿がセットされると、ステップS2で、原稿セット検出部のアクチュエータ2が動作し、ステップS3で、画像読み取り素子3の所定の画素63(センサとも記す)が、アクチュエータ2により遮光される。
【0067】
ステップS4でユーザがスタートボタンを押すと、ステップS5では、原稿セットが検出された否かを判断し、原稿セットが検出されていなければ(ステップS5でNO)、ステップS16に進む。原稿セットが検出されれば(ステップS5でYES)、ステップS6では、画像読み取り素子3が原稿流し読み位置に移動し、ステップS7では、原稿が画像形成装置本体300の現像モータ400Bによって搬送される。
【0068】
ステップS8では、原稿がADF100のジャム検出部5を通過すると、アクチュエータ2が動作する。ステップS9では、ADFジャム検出用の画素(センサ)がONかどうかを判断する。ADFジャム検出用のセンサがONであれば(ステップS9でYES)、ステップS10では、ADF100で搬送された原稿の画像の読み取りを開始したのち、ステップS11に進む。
【0069】
ADFジャム検出用のセンサがONしなければ(ステップS9でNO)、ステップS14で、ADFジャムのタイミングか否を判断し、ADFジャムのタイミングでなければ(ステップS14でNO)、ステップS9に戻り、ADFジャムのタイミングであれば(ステップS14でYES)、ステップS15では、ジャム処理を行い、コピー動作をOFFする。
【0070】
ステップS11では、原稿の読み取り完了か否かを判断し、原稿の読み取り完了でなければ(ステップS11でNO)、完了するまで待ち、原稿の読み取り完了であれば(ステップS11でYES)、ステップS12で、画像読み取り素子3が画像形成装置本体300による画像形成モード時の検出位置へ移動して反転する。ステップS13では、画像形成装置本体による画像形成モードでの検出を行う。
【0071】
ADF100で原稿セットが検出されない場合(ステップS5でNO)、ステップS16では、静止原稿載置台200A上に原稿があるか否かを判断し、原稿がなければ(ステップS16でNO)、ステップS4に戻る。静止原稿載置台200A上に原稿があれば(ステップS16でYES)、ステップS17では、画像読み取り素子3がシェーディング位置に移動し、シェーディング位置に到達すると、ステップS18ではシェーディング位置検出用のアクチュエータが動作する。
【0072】
次いで、ステップS19では、シェーディング位置検出用のアクチュエータにより画像読み取り素子3の所定の画素(センサ)がONしたか否かを判断し、ONすれば(ステップS19でYES)、ステップS20で画像読み取り素子3がシェーディング位置で停止し、ステップS21でシェーディングを開始し、ステップS22で、画像読み取り素子3が移動して原稿画像の読み取りを開始し、ステップS11に進む。
【0073】
シェーディング位置検出用の画素(センサ)がONでなければ(ステップS19でNO)、ステップS23では、IR部200のトラブルタイミングが否かを判断し、IR部200のトラブルタイミングでなければ(ステップS23でNO)、ステップS19に戻り、IR部200のトラブルタイミングであれば(ステップS23でYES)、ステップS24では、トラブル表示を行ってコピー動作を停止する。
【0074】
ADF100で搬送されあるいはIR部200の原稿載置台にセットされた原稿の画像が読み取られると、次に、用紙に画像形成するために画像形成装置本体300が動作する。その場合、画像形成モードにおける被検出対象の検出を行うために、画像読み取り素子3(3C)が図1の左側に移動して所定位置で停止し、かつ反転動作して画素が下向きとなる。
【0075】
画像読み取り素子3の所定の画素と画像形成装置本体300の各検出部に設けられたアクチュエータ2により、用紙搬送開始や排紙のタイミング、中間転写ベルト32の1周期の検出等を行う。
【0076】
図6は、画像読み取り素子3を用いた検出処理を含む作像プロセスの処理の流れを示すフローチャートである。この例では、アクチュエータの動作により転写ベルト32の1周期毎に所定の画素(ベルトセンサという)がONとなる構成となされている。なお、図において右向きの太矢印Xは、アクチュエータが動作してベルトセンサがONとなるタイミングを示す。
【0077】
図6において、まずステップS31では、画像読み取り素子3(3C)の前記ベルトセンサがONとなる所定時間前に、現像ラック42を待機位置→Y(イエロー)へ回転する。
【0078】
ステップS32では、1回目のベルトセンサのONを検出したか否かを判断し、1回目のベルトセンサのONを検出しなければ(ステップS32でNO)、検出するまで待ち、1回目のベルトセンサのONを検出すれば(ステップS32でYES)、ステップS33では、Y作像のために、TOD信号を10ms間ONする。そして、現像モータ400Bを回転して所定時間現像出力を行った後、ベルトセンサのONから所定時間後にラックをY→M(マゼンタ)へ回転する。
【0079】
ステップS34では、2回目のベルトセンサのONを検出したか否かを判断し、2回目のベルトセンサのONを検出しなければ(ステップS34でNO)、検出するまで待ち、2回目のベルトセンサのONを検出すれば(ステップS34でYES)、ステップS35では、M作像のために、TOD信号を10ms間ONにする。そして、現像モータ400Bを回転して所定時間現像出力を行った後、ベルトセンサのONから所定時間後にラックをM→C(シアン)へ回転する。
【0080】
ステップS36では、3回目のベルトセンサのONを検出したか否かを判断し、3回目のベルトセンサ37Nを検出しなければ(ステップS36でNO)、検出するまで待ち、3回目のベルトセンサのONを検出すれば(ステップS36でYES)、ステップS37では、C作像のために、TOD信号を10ms間ONする。そして、現像モータ400Bを回転して所定時間現像出力を行った後、ベルトセンサ37のONから所定時間後にラックをC→K(ブラック)へ回転する。
【0081】
ステップS38では、4回目のベルトセンサのONを検出したか否かを判断し、4回目のベルトセンサ37Nを検出しなければ(ステップS38でNO)、検出するまで待ち、4回目のベルトセンサのONを検出すれば(ステップS38でYES)、ステップS39では、K作像のために、TOD信号を10ms間ONする。そして、現像モータ400Bを回転して所定時間現像出力を行った後、Y,M,C,Kの4色全ての作像プロセスが完了する。
【0082】
図7は、給紙・搬送処理の流れを示すフローチャートである。
【0083】
なお、給紙・搬送においては、画像読み取り素子3がタイミング検出(PSTという)、排紙検出(PSEという)を行う。また、図において右向きの太矢印Yは、アクチュエータが動作して所定の画素がONとなるタイミングを示す。
【0084】
図7において、ステップS41では、C作像のTOD信号から所定時間経過して給紙タイミングとなっているか否かを判断し、給紙タイミングになっていなければ(ステップS41でNO)、給紙タイミングとなるのを待ち、給紙タイミングになっていれば(ステップS41でYES)、ステップS42では、図示しない給紙ソレノイド(給紙SL)を100ms間ONして給紙動作を行う。
【0085】
ステップS43では、用紙が搬送され、PSTがONであるか否かを判断し、PSTがONであれば(ステップS43でYES)、ステップS44に進む。
【0086】
給紙から所定時間経過しても、PSTがONにならなければ(ステップS43でNO)、ステップS49に進み、ジャム(JAM)か否かを判断し、ジャムでなければ(ステップS49でNO)、ステップS43に戻り、ジャムであれば(ステップS49でYES)、ステップS50でジャム処理して、コピー動作を中止する。
【0087】
ステップS44では、中間転写ベルト32上の画像と用紙搬送タイミングを合わせるために、図示しない搬送ソレノイドをONして、タイミングローラを停止し、用紙を停止させる。
【0088】
ステップS45では、用紙レジスト(中間転写ベルト32上の画像先端と用紙書き出し位置を合わせること)のため、中間転写ベルト32上の画像先端と用紙書き出し位置が合うタイミングか否かを判断し、中間転写ベルト32上の画像先端と用紙書き出し位置が合うタイミングでなければ(ステップS45でNO)、合うタイミングとなるまで待つ。中間転写ベルト32上の画像先端と用紙書き出し位置が合うタイミングであれば(ステップS45でYES)、ステップS46では、図示しない搬送ソレノイドをOFFして、タイミングローラを起動し用紙を送り始める。
【0089】
次にステップS47で、所定タイミングでPSEがONとなったか否かを判断し、所定タイミングでPSEがONとなれば(ステップS47でYES)、ステップS48に進む。
【0090】
所定タイミングでPSEがONとなっていなければ(ステップS47でNO)、ステップS51では、定着部でのジャムか否かを判断し、定着部でのジャムでなければ(ステップS51でNO)、ステップS47に戻り、定着ジャムであれば(ステップS51でYES)、ステップS52でジャム処理を行い、コピー動作を中止する。
【0091】
一方、ステップS48では、PSEがONとなってから所定時間内に正常にOFFになっているか否かを判断し、PSEが所定時間内に正常にOFFなっていれば(ステップS48でYES)、搬送が正常に終了したと判断できるから、給紙・搬送処理を終了する。PSEがONから所定時間内にOFFしなければ(ステップS48でNO)、ステップS53では、排紙部でのジャムか否かを判断し、排紙部でのジャムでなければ(ステップS53でNO)、ステップS48に戻る。排紙部のジャムであれば(ステップS53でYES)、ステップS54では、ジャムジャム処理を行い、コピー動作を中止する。
【0092】
つぎに、画像形成モードにおいて前記画像読み取り素子3が検出位置に移動したときの反転機構を図8〜図10に基づいて説明する。
【0093】
図8は、画像読み取り素子3の反転機構7の一例を示す分解斜視図である。
【0094】
図8において、前記画像読み取り素子3は、前述したように静止原稿読み取りモード時のシェーディング位置から画像形成モード時の位置まで、矢印a方向へ移動可能に設定されている。
【0095】
また、この画像読み取り素子3における側板対向面には、回転軸71が固定されており、この回転軸71の先端側は、側板72の中央部に形成された軸孔73に嵌合されている。これにより、前記画像読み取り素子3は、前記側板72に対して回転軸71を中心に矢印b方向で回動変移可能に支持されるとともに、画素の上向き状態から180度の回動変移を行って画素が下向きの反転状態になるように構成されている。
【0096】
また、前記側板72には、前記軸孔73回りの半円状の反転用ガイド溝75が形成されており、他方、前記画像読み取り素子3には被ガイド用突起部76が設けられるとともに、この被ガイド用突起部76が反転用ガイド溝75に嵌合されている。従って、画像読み取り素子3に回転軸71を中心とする回転駆動力を加えると、被ガイド用突起部76が反転用ガイド溝75に沿って移動することで、画像読み取り素子3は上下反転状態となる。
【0097】
なお、前記画像形成装置本体300を用いた画像形成モード以外のモードでの検出、つまりADF100を用いた自動原稿搬送モード、IR部200の静止原稿載置台200Aに原稿をセットしての静止原稿読み取りモードにおいて被検出対象の検出を行う場合、画像読み取り素子3を画素が上向きとなるように配置して検出するようになっている。このため、該画像読み取り素子3が不用意に回動して反転しないように、図8に示すように、画像読み取り素子3の反転変位を阻止するストッパ74が配設されている。
【0098】
画像形成モードにおいて、画像形成装置本体300の所定の検出を行うために、前記画像読み取り素子3が図示しない駆動源によって図9(A)の状態から図9(B)に示すように、左側に移動すると、アクチュエータ77によりストッパ74が180度回転駆動されて固定状態を解除され、前記突起部76が反転用ガイド溝75に沿って移動し、画像読み取り素子3の反転動作が行われる。
【0099】
画像形成モード終了後、ADF100またはIR部200での原稿読み取りを行うために、画像読み取り素子3が図示しない駆動源によって図9(A)に示すように、右側に移動すると、前記突起76が反転用ガイド溝75に沿って逆方向に移動することにより、180度回転して上向きになり、さらに駆動源によって右側に移動すると、長手方向の反転用アクチュエータ77がなくなった状態でストッパ74が図示しないばね力によって元の状態に反転復帰し、画像読み取り素子3が回動阻止状態に固定される。
【0100】
このように、ADF100またはIR部200と画像形成装置本体300を連続的に動作させる場合に、1つの画像読み取り素子3を所定位置に移動させて複数の被検出対象の検出を行うようにしたので、それぞれの検出を行うために個別のセンサを設けることが不要となり、部品点数が削減されて、装置の小形化を図ることができる。また、画像読み取り素子を検出のために移動させることで、効率的な検出動作が可能となる。
【符号の説明】
【0101】
2 アクチュエータ
3 画像読み取り素子
11 CPU
34 給紙部
63 画素
71 支軸
72 側板
73 軸孔
74 ストッパ
76 突起部
100 ADF
200 IR部
200A 静止原稿載置台
300 画像形成装置本体
300A 作像部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成モードにおいて画像形成を行う画像形成手段を備えた画像形成装置本体と、
前記本体の上部に配置され、静止原稿載置台を備えたイメージリーダ部と、
前記イメージリーダ部の上方に配置された自動原稿給紙手段と、
自動原稿給紙モードにおいて、前記自動原稿給紙手段により読み取り位置に送給された原稿の画像を読み取り位置にて読み取ると共に、静止原稿読み取りモードにおいて、前記イメージリーダ部における静止原稿載置台に載置された原稿の画像を、移動しながら読み取る画像読み取り素子と、
を備え、
前記自動原稿給紙モード、静止原稿読み取りモード及び画像形成モードのそれぞれに応じて前記画像読み取り素子が配置位置を変更しながら、画像読み取り素子の一部の画素を用いて、各モードにおける被検出対象の検出を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記自動原稿給紙モード及び静止原稿読み取りモードにおける被検出対象の検出は、前記画像読み取り素子を画素が上向きとなる配置にして行われ、画像形成モードにおける被検出対象の検出は、画像読み取り素子を画素が下向きとなる配置にして行われる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記被検出対象の検出は、アクチュエータによる前記画素に対する遮蔽・開放動作に基づいて行われる請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記自動原稿給紙モード、静止原稿読み取りモード及び画像形成モードのうちの少なくとも2つのモードにおける被検出対象の検出に、同一の画素が共通して用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像読み取り素子に設けられた支軸を側板に形成された軸孔に嵌合することにより、該画像読み取り素子が画素の上向き位置と180度反転した下向き位置との間で回動変移可能に構成されており、前記側板に軸孔廻りで半円状の反転用ガイド溝が形成される一方、前記画像読み取り素子に設けられた被ガイド用突起部が前記反転用ガイド溝に嵌合されることにより、前記画像読み取り素子が上下の向きに反転される請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記所定位置での画像読み取り素子の反転変移を解除可能に阻止するストッパが配設されており、前記画像読み取り素子が画像形成モードにおける配置位置に移動した際に、前記ストッパによる画像読み取り素子の反転阻止が解除されて画像読み取り素子の反転が行われるように構成されている請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−60409(P2012−60409A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201485(P2010−201485)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】