説明

画像形成装置

【課題】本発明は、画像が形成された記録材が早期にユーザによって触れられることで生じる画質の低下を抑制する画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の記録材処理装置は、画像形成材料を用いて用紙に画像を形成する画像形成部と、画像形成部によって形成された画像を加熱し定着する定着装置と、定着装置により画像が定着された用紙が積載される胴内積載部と、少なくとも一方向から胴内積載部を覆うとともに胴内積載部に対して開閉可能なカバー部材と、胴内積載部に対してカバー部材を固定するとともに、胴内積載部に用紙が積載された後も予め定められた期間固定を維持し、期間経過後に固定を解除するカバーロック部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排紙トレイ上に排出された用紙の内容露見及び用紙の持ち出しを必要に応じて防止することを目的として、装置筐体内に形成された排紙部の前面に開閉可能なドアを画像形成装置に設け、そのドアに鍵を設ける。そして、ドアを閉めてキーにより鍵を掛けることで、排紙トレイに排出された用紙が他人に持ち出されることを防ぐ画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−339102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像が形成された記録材が早期にユーザによって触れられることで生じる画質の低下を抑制する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、画像形成材料を用いて記録材に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部によって形成された画像を加熱し定着する定着部と、前記定着部により画像が定着された記録材が積載される積載部と、少なくとも一方向から前記積載部を覆うとともに当該積載部に対して開閉可能な覆い部材と、前記積載部に対して前記覆い部材を固定するとともに、当該積載部に記録材が積載された後も予め定められた期間固定を維持し、当該期間経過後に固定を解除する固定解除部とを含む画像形成装置である。
請求項2記載の発明は、前記予め定められた期間は、前記定着部によって加熱され溶融した画像形成材料の固化に関する条件によって定まった期間であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3記載の発明は、前記予め定められた期間は、画像が形成される記録材の種類に応じて複数、設けられることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置である。
請求項4記載の発明は、前記固定解除部は、前記画像形成部が複数の記録材に画像を形成する場合には、最後の記録材が前記積載部に積載されてから前記予め定められた期間前記覆い部材への固定を維持することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置である。
請求項5記載の発明は、画像形成材料を用いて記録材に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部によって形成された画像を加熱し定着する定着部と、前記定着部により画像が定着された記録材が積載される積載部と、少なくとも一方向から前記積載部を覆うとともに当該積載部に対して開閉可能な覆い部材と、前記積載部に対して前記覆い部材を固定するとともに、当該積載部に積載された記録材に形成された画像の温度または当該積載部の雰囲気温度が予め定められた閾値よりも高いときは固定を維持し、当該温度が当該閾値以下となった際に固定を解除する固定解除部とを含む画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、画像が形成された記録材が早期にユーザによって触れられることで生じる画質の低下を抑制する画像形成装置を提供することができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、画像が形成された記録材が早期にユーザによって触れられることで生じる画質の低下をより確実に抑制することができる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、記録材の種類に応じて画質の低下を抑制しつつユーザが画像を形成した記録材を早期に取り出すことができる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、複数の記録材に画像を形成する場合にもユーザによって触れられることで生じる画質の低下を抑制することができる。
請求項5記載の発明によれば、画像が形成された記録材が早期にユーザによって触れられることで生じる画質の低下を抑制する画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態が適用される胴内排出ロールの駆動系を説明する説明図である。
【図3】本実施の形態が適用される画像形成装置を示す斜視図である。
【図4】本実施の形態が適用されるカバーロック部の説明図である。
【図5】本実施の形態が適用されるカバーロック部と搬送される用紙との関係を示すタイミングチャートである。
【図6】用紙の種類と用紙の温度が下降する態様との関係を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成装置100>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置100を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置100は、所謂タンデム型のカラープリンタである。この画像形成装置100は、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成部10と、画像形成装置100全体の動作を制御する制御部20とを備えている。また、画像形成装置100は、画像形成装置100の上方側に設けられ、原稿の画像を読み取るスキャナにより構成される画像読取装置30(画像読取部)を備えている。さらに、画像形成装置100は、画像形成部10に用紙Sを供給する用紙供給部40を備えている。
【0009】
ここで、画像形成装置100の各構成部材は、筺体50の内部に収容されている。また、画像読取装置30の下方であって筺体50の上部の面には、画像形成部10によって画像が形成された用紙Sが積載される積載面をもつ胴内積載部60が設けられている。さらに画像形成装置100は、開閉可能に設けられ胴内積載部60(積載部)と画像読取装置30との間に形成される空間の画像形成装置100の前面(操作面側)を覆うカバー部材80(覆い部材)が設けられている。そして、画像形成装置100は、カバー部材80を閉じられた状態でロック(固定)するカバーロック部70(固定解除部)を有するとともに、閉じられたカバー部材80と対向する位置にカバー部材80が閉じられていることを検知するカバーセンサ(図示せず)を有する。
【0010】
<画像形成部10>
画像形成部10には、一定の間隔をおいて並列的に配置される4つの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kが備えられている。各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、静電潜像を形成してトナー像を保持する感光体ドラム12を備えており、いわゆる電子写真方式によってトナー像を形成する。ここで、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、現像装置に収納されるトナー(画像形成材料)を除いて、同様に構成される。そして、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。このようなことから、以下の説明においては、画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの各構成についてはそれぞれ「Y」、「M」、「C」、「K」という符号を付して区別するが、区別する必要のないときは、これらの符号は付さない。
【0011】
また、画像形成部10は、各画像形成ユニット1の感光体ドラム12上に形成された各色トナー像が転写される中間転写ベルト13を備えている。また、画像形成部10は、各画像形成ユニット1にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト13に順次転写(一次転写)する一次転写ロール17を備えている。さらに、画像形成部10は、中間転写ベルト13上に重畳して形成された各色トナー像を記録材(記録紙)である用紙Sに一括転写(二次転写)する二次転写部19(定着部)と、二次転写された各色トナー像を用紙Sに定着させる定着装置21とを備えている。
さらにまた、画像形成部10は、定着装置21によってトナー像が定着された用紙Sの通過を検知するエグジットセンサ22を備える。さらにまた、このエグジットセンサ22を通過した用紙Sを胴内積載部60に排出する胴内排出ロール23を備える。
【0012】
用紙供給部40は、用紙収容部41、繰り出しロール43、捌きロール45、及びレジロール47を備える。用紙収容部41は、用紙Sを収容する。繰り出しロール43は、用紙収容部41の上部に配設され、用紙収容部41に収容される用紙Sの束のうち、最上位の用紙Sを繰り出す。捌きロール45は、繰り出しロール43にて繰り出された用紙Sを1枚ずつに捌いて搬送する。また、レジロール47は、捌きロール45によって捌いて搬送された用紙Sを一旦停止させ、タイミングを合わせて回転を再開することにより二次転写部19に対して用紙Sを供給する。
【0013】
<胴内排出ロール23>
次に、図1及び図2を参照しながら、胴内排出ロール23について説明をする。ここで、図2は、本実施の形態が適用される胴内排出ロール23の駆動系を説明する説明図である。
まず、図2に示すように、胴内排出ロール23は、駆動源(図示せず)からの駆動を受ける駆動ロール23aと、この駆動ロール23aに従動しかつ駆動ロール23aとの間にニップ部を形成する従動ロール23bとを有する。そして、この駆動ロール23aと従動ロール23bとは、筺体50の胴内積載部60が設けられる側の側面である筺体側面50aに露出した状態でそれぞれ設けられている。
【0014】
ここで、胴内排出ロール23は、駆動ロール23aの回転軸と同軸で駆動ロール23aと一体に設けられ、駆動ロール23aの駆動を受ける駆動歯車23cを有する。一方で、画像形成装置100は、駆動源(図示せず)からの駆動を駆動歯車23cに伝達する歯車G1、G2を有し、さらに駆動源(図示せず)と駆動歯車23cとの間にクラッチ25を有する。このクラッチ25を配置することにより、駆動源(図示せず)から胴内排出ロール23への駆動を任意のタイミングで伝達したり、遮断したりするよう構成されている。
なお、駆動源(図示せず)は、胴内排出ロール23のみを駆動させる構成でなくともよい。例えば中間転写ベルト13や二次転写部19等他の部材を胴内排出ロール23とともに駆動させる構成であってもよい。
【0015】
<カバー部材80>
次に、図1及び図3を参照しながら、カバー部材80について説明をする。ここで、図3は、本実施の形態が適用される画像形成装置100を示す斜視図である。
まず、覆い部材の一例であるカバー部材80は、画像形成装置100の前面(操作面側)に開閉可能に設けられている(矢印A参照)。具体的には、カバー部材80は、胴内積載部60と画像読取装置30との間に形成される空間が画像形成装置100の前面側に向けて開口する領域であり、画像が形成された用紙Sが取り出される取り出し開口53(取り出し口)を覆う。
【0016】
そして、カバー部材80が閉じられている状態においては、胴内積載部60上に排出された用紙Sが取り出し開口53から取り出されることや、胴内積載部60側に露出する胴内排出ロール23にユーザの体の一部やペン等の異物が接触することを制限するようにカバー部材80は構成されている。具体的には、カバー部材80は、板状の部分であるカバー面80aと、カバー面80aの一方の端部に設けられたヒンジ81と、ヒンジ81が設けられた一方の端部とカバー面80aの反対側の端部に設けられた被拘束部85とを有する。
【0017】
カバー面80aは、カバー部材80が閉じられた状態において、画像読取装置30の下部から胴内積載部60の下方までを覆う寸法で構成されている。
カバー部材80のヒンジ81は、図3に示すように、閉じられた状態のカバー部材80(図3の破線参照)の下側の端部に設けられ、さらに胴内積載部60の下方において筺体50に固定される。
被拘束部85は、ヒンジ81が設けられた端部と対向するカバー部材80の端部における筺体側面50a側に設けられる。本実施の形態における被拘束部85は、カバー面80aと連続する直方体状の部材であり、筺体側面50aに沿って設けられる。そして、被拘束部85は、筺体側面50aに向けて開口する開口87(詳細は後述)を有する。
なお、カバー部材80のヒンジ81は、閉じられた状態のカバー部材80における筺体側面50aと対向する側の端部(図3の右側の端部)に設け、カバー部材80の筺体側面50a側の端部をヒンジ81に対して回転可能に設ける構成であってもよい。
【0018】
<カバーロック部70>
次に、図3及び図4を参照しながら、カバーロック部70について説明をする。ここで、図4(A)はカバーロック部70周辺の斜視図であり、図4(B)は図4(A)のI面におけるカバーロック部70の断面図である。詳細には、(B−1)はカバーロック部70によるロックが解除されている状態を示し、(B−2)はカバーロック部70によってロックされている状態を示す。
【0019】
固定解除部の一例であるカバーロック部70は、カバー部材80が閉じられた状態で、被拘束部85と対向する位置に設けられる。図3においては、カバーロック部70は取り出し開口53の左上(図3の楕円内)に配置される。
またカバーロック部70は、被拘束部85を拘束するロックピン71と、このロックピン71と接続されロックピン71を移動させるソレノイド75と、ロックピン71とソレノイド75との間に設けられロックピン71を元の位置(図4の(B−1)の位置)に戻す戻しばね73とを有する。
【0020】
ここで、ロックピン71は、屈曲部71cを有するL字状の部材であり、被拘束部85に対して進退可能に設けられる(矢印B及びC参照)。このロックピン71は、屈曲部71cから被拘束部85に向けて延びる主部711と、屈曲部71cにて主部711に接続され主部711と交差する方向(直交する方向)に延びる副部712とを有する。そして、ロックピン71の主部711は筺体側面50aを貫通して設けられている。また、副部712は、筺体側面50aを挟んで相対する第1領域、第2領域のうちの、被拘束部85が設けられている第1領域とは異なる第2領域に設けられている。
ソレノイド75は、上記第2領域に固定して設けられており、ロックピン71の副部712の端部71a(主部711に接続された端部とは反対側に位置する端部)に接続されている。ソレノイド75は、この副部712側の端部71aを被拘束部85に対して進退させる(矢印B及びC参照)。なお、戻しばね73は、この端部71aとソレノイド75との間に設けられている。
【0021】
図4の(B−1)及び(B−2)を参照しカバーロック部70の動作を説明する。
まず、図4の(B−1)に示されるように、カバーロック部70によるロックが解除されている状態においては、ロックピン71の主部711側の端部71bが、筺体側面50aに接近した位置Paに配置されている。ここで、ロックピン71の端部71bが位置Paに配置されている状態においては、ロックピン71は、被拘束部85の開口87に進入していない。したがって、被拘束部85がロックピン71によって移動が制限されないことからカバー部材80を開放することが可能である。
【0022】
そして、ソレノイド75が駆動しロックピン71の副部712側の端部71aが矢印B方向に移動すると、ロックピン71の主部711が筺体側面50aからさらに突出し、筺体側面50aより離れた位置Pbへと移動する。そして、図4(B−2)に示されるように、ロックピン71が位置Pbに配置されることにより、カバーロック部70によってカバー部材80がロックされ、カバー部材80は閉じられた状態で固定される。具体的には、ロックピン71の端部71bが被拘束部85の開口87に進入しており、被拘束部85の移動経路上にロックピン71が位置する状態となる。これにより、被拘束部85はロックピン71によって移動が制限され、カバー部材80の開放が制限される。なお、ロックピン71が位置Pbへと移動する際、戻しばね73は圧縮される。
【0023】
一方で、カバーロック部70によるカバー部材80のロックを解除する(ロックを外す)場合には、上述の動作とは反対の動作が行われる。具体的に説明すると、オン状態とされていたソレノイド75がオフ状態とされる。これにより戻しばね73が伸長する。そしてこの伸長によって、ロックピン71が矢印C方向に押圧され、被拘束部85から離れる方向にロックピン71が移動する。これにより、被拘束部85の移動経路上からはずれた位置Paにロックピン71が位置するようになる。そしてこの状態になると、カバー部材80の開放が可能となる。
【0024】
<画像形成装置100の動作>
次に、図1乃至図5を参照しながら、画像形成装置100の動作について説明をする。ここで、図5は、本実施の形態が適用されるカバーロック部70と搬送される用紙Sとの関係を示すタイミングチャートである。
まず、画像形成装置100が画像形成動作を開始する際には、カバーロック部70がカバー部材80をロックしている。より具体的には、カバー部材80はユーザによって閉じられ、かつロックピン71の主部711側の端部71bは、被拘束部85の開口87内に進入している状態である。なお、本実施の形態においては、図示しないカバーセンサが、カバー部材80が閉じられていることを検知しない状態では、画像形成装置100が画像形成の動作を開始しない。
【0025】
画像形成装置100が画像形成動作を開始すると、画像読取装置30等から入力された画像データは、予め定められた画像処理が施された後、各画像形成ユニット1に送られる。そして、例えば黒(K)色トナー像を形成する画像形成ユニット1Kでは、感光体ドラム12が回転しながら、予め定められた電位で一様に帯電された後に走査露光される。それにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像され、感光体ドラム12上には黒(K)色トナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像が形成される。
【0026】
各画像形成ユニット1で形成された各色のトナー像は、回転駆動される中間転写ベルト13上に、一次転写ロール17により順次静電吸引される。これにより中間転写ベルト13には各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。そして、中間転写ベルト13上の重畳トナー像は、中間転写ベルト13の移動に伴って二次転写部19に搬送される。
一方で、用紙収容部41に積載された用紙Sは、繰り出しロール43によって繰り出され、捌きロール45によって捌かれて搬送される。さらに、捌かれた用紙Sはレジロール47によって二次転写部19へと供給される。
そして、重畳トナー像は、二次転写部19が形成する転写電界の作用により、レジロール47を経て供給される用紙S上に一括して静電転写される。
【0027】
その後、重畳トナー像が静電転写された用紙Sは、中間転写ベルト13から剥離され、定着装置21まで搬送される。定着装置21に搬送された用紙S上のトナー像は、定着装置21によって熱及び圧力による定着処理を受けて用紙S上に定着される。そして、定着画像が形成された用紙Sは、エグジットセンサ22によって検知された後、胴内排出ロール23によって胴内積載部60に排出され積載される。このようにして、画像形成装置100での画像形成がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返される。
【0028】
ここで、図5の中段に示すように、用紙収容部41に積載された用紙Sが搬送され、画像形成がなされた後に胴内積載部60へ排出されるまでの過程においては、用紙Sは、レジロール47、二次転写部19、定着装置21、エグジットセンサ22、胴内排出ロール23を順に通過していく。そして、用紙Sの搬送方向先端が各部材を通過した後、予め定められた時間を経過した後に、用紙Sの搬送方向後端が各部材を通過する。そして、図5の上段に示すように、用紙Sの搬送方向後端が胴内排出ロール23を通過すると、胴内排出ロール23は停止する。
【0029】
一方で、図5の下段に示すように、カバーロック部70は、用紙Sの搬送方向後端が胴内排出ロール23を通過した後、さらに予め定められた時間(矢印E参照)経過した後にカバー部材80の固定を解除する。すなわち、カバーロック部70がオフとなり、ロックピン71が位置Pbから位置Paに移動(図4の矢印C参照)し、ロックピン71が被拘束部85の移動経路上からはずれた箇所に配置される。
そして、カバーロック部70による固定が解除されたカバー部材80はユーザによって開放された後、画像が形成され胴内積載部60に積載された用紙Sが、取り出し開口53を通して取り出される。
【0030】
<用紙Sの温度>
ここで、図1、図5及び図6を参照しながら、画像形成に伴う用紙Sの温度変化について説明する。図6は、用紙Sの種類と用紙Sの温度が下降する態様との関係を説明するための説明図である。
まず、図5の下段に示されるように、用紙収容部41に収容されている際は、用紙Sの温度は用紙供給部40の雰囲気の温度Tbである。そして、温度Tbである用紙Sは、用紙収容部41から搬送され重畳トナー像が静電転写された後、定着装置21において定着処理を受ける。この定着処理において用紙Sは加熱され、用紙Sの温度は温度Taまで上昇する。そして、用紙Sの搬送方向後端が定着装置21を通過するまでの間は、用紙Sの温度は温度Taを維持する。そして、用紙Sの搬送方向後端が定着装置21を通過した後、用紙Sから放熱される。これにより用紙Sの温度は、温度Taから徐々に低下する。
【0031】
ここで、用紙S上に載っているトナーは、定着装置21によって加熱され溶融した後、用紙Sの温度が低下することに伴い固化するようになる。したがって、用紙Sの温度低下が不十分な状態では、望まれる状態まで用紙Sのトナーの固化が進んでいない場合がある。そして、トナーの固化が不十分な状態で、例えばユーザが用紙Sに形成されたトナー像に触れた場合、トナー像が乱れる可能性がある。
【0032】
そこで、本実施の形態においては、用紙Sが胴内積載部60に積載された後、予め定められた時間カバー部材80が閉じられた状態が維持されるようにしている。より具体的には、胴内積載部60に排出された用紙Sのトナー像が固化してから、カバー部材80の開放が可能となる構成としている。付言すると、トナー像の温度が、ユーザが触れてもトナー像の乱れが生じにくい温度(図5の閾値Tにて示す温度)よりも低くなった場合に、カバー部材80の開放が可能となる構成としている。
なお、複数の用紙Sに画像が形成される場合、最後に画像が形成された用紙Sが胴内積載部60に積載されてから、上述の予め定められた時間カバー部材80が閉じられた状態が維持されるようにしている。これにより最初に形成された画像から最後に形成された画像までの各画像の温度が、ユーザが触れてもトナー像の乱れが生じにくい温度(図5の閾値Tに示す温度)以下となる。
【0033】
本実施の形態の構成の場合、画像が形成された用紙Sが胴内積載部60に積載された状態であっても、トナーの固化がなされていない場合にはユーザは用紙Sを取り出すことができない。そして、この場合、温度低下が不十分であるトナー像にユーザが触れることにより生じる画質不良が低減される。
なお、上述の説明では、用紙Sが胴内積載部60に積載された後、すなわち、用紙Sの搬送方向後端が胴内排出ロール23を通過してから予め定められた時間経過後にロックを解除する構成としたが、エグジットセンサ22や定着装置21に設けられたセンサ(図示せず)等を通過してから予め定められた時間経過後にロックを解除するようにしてもよい。
【0034】
ここで、図6を参照しながら、画像を形成する条件と用紙Sの温度が低下する態様との関係について説明する。
定着装置21を通過後、上記の通り、用紙Sの温度は徐々に低下するが、温度の低下度合いは用紙Sの種類や画像の種類等に応じて異なる。
まず、例えば用紙Sが厚い場合、熱量が大きいことから用紙Sの温度は低下しにくくなる(図6の符号Sa参照)。一方で、用紙Sが薄い場合、熱量が小さいことから用紙Sの温度は低下しやすくなる(図6の符号Sb参照)。したがって、用紙Sが厚い場合の方が、用紙Sが薄い場合と比較して、用紙Sの温度が閾値T以下まで低下するのにより長い時間を要する(図6の矢印F参照)。
【0035】
また用紙S(搬送される媒体)の種類によっても温度の低下度合いは異なるようになる。用紙SとしてOHPシート等のプラスチックシートが用いられた場合、普通紙の場合と比較して温度が低下しにくくなる。
さらに、定着温度によっても温度の低下度合いは異なるようになる。例えば、高グロスの画像を形成する場合、定着装置21の温度Taが高いことから用紙Sの温度は閾値T以下まで低下しにくくなる。一方で、高グロスでない画像を形成する場合、定着装置21の温度Taが低いことから用紙Sの温度は閾値T以下に低下しやすくなる。また、トナー量が大きい画像を形成する場合には定着装置21の温度Taが高いことから用紙Sの温度は閾値T以下まで低下しにくくなり、トナー量が小さい場合には定着装置21の温度Taが低いことから用紙Sの温度は閾値T以下に低下しやすくなる。
【0036】
このため、用紙Sの厚みや形成する画像の種類に応じて、上記予め定められた時間を変更することが好ましくなる。例えば、用紙Sが厚い場合には上記予め定められた時間を長くし、用紙Sが薄い場合には上記予め定められた時間を短くする。あるいは、高グロスの画像を形成する場合には、上記予め定められた時間を長くし、高グロスでない画像を形成する場合には、上記予め定められた時間を短くする。
【0037】
用紙Sの厚みや形成する画像の種類についての情報は、図示しないユーザ・インタフェイスを介して取得される。また、画像の種類についての情報は、形成する画像の画像データに基づき取得されてもよい。
さらには、画像形成装置100に設けられたセンサによって、画像を形成する条件を検知する構成であってもよい。例えば、用紙収容部41周辺に光源(図示せず)およびセンサ(図示せず)を設け、この光源によって用紙Sに光を照射して、用紙Sからの反射光または透過光をセンサによって測定することにより、用紙Sの紙質を検知する構成であってもよい。また、中間転写ベルト13上に形成された複数色が重畳されたトナー像のトナー量を検知するトナー量検知センサ(図示せず)によって、トナー量を検知する構成であってもよい。
<他の態様>
【0038】
上述の態様においては、用紙Sが胴内排出ロール23を通過してから画像が形成された用紙Sの温度が閾値T以下に低下するまでの時間(図5の矢印E参照)を定めることによって、画像品質の低下を抑制することを説明したが、これに限定されない。例えば、胴内積載部60に排出された用紙Sに形成された画像の温度を、胴内積載部60の積載面に対向する位置に設けられる温度センサ(図示せず)によって測定する構成であってもよい。この場合、温度センサが胴内積載部60の積載面に積載された用紙Sのトナー像の温度を検知し、この検知した温度が閾値T以下となった際に、カバーロック部70がカバー部材80へのロックを解除する。
【0039】
また、上述の態様においては、用紙Sの搬送方向後端が胴内排出ロール23を通過した際に胴内排出ロール23が停止することを説明したが、これに限定されない。すなわち、用紙Sの搬送方向後端が胴内排出ロール23を通過した後、カバーロック部70のロックを解除するまでの間、胴内排出ロール23を回転させてもよい。
胴内排出ロール23を通過した後も胴内排出ロール23を回転させることによって、用紙Sが胴内排出ロール23(あるいは胴内排出ロール23周辺の部材)に引っかかった状態で、胴内積載部60に完全に落ちきらずに出口付近に残る所謂土手残りという状態を回避することができる。
【0040】
さらに、上述の態様では、画像が形成された用紙Sの温度が、閾値T以下に低下した後にカバーロック部70のロックを解除することによって、画像品質の低下を抑制することを説明したが、これに限定されない。例えば、画像が形成された用紙Sの残留静電気に応じてロックを解除するようにしてもよい。すなわち、胴内積載部60に積載された用紙Sに残留する静電気量が、閾値T以下に低下した後に、カバーロック部70がカバー部材80へのロックを解除するようにしてもよい。これにより、ユーザによって取り出される際の用紙Sの残留静電気量が低減される。
【0041】
さらにまた、上述の実施形態においては、カバー部材80を画像形成装置100の前面(操作面側)に設ける構成を用いて説明したが、これに限定されない。例えば、画像形成装置100の側面に設けてもよい。図1を用いて例示すると、胴内積載部60と画像読取装置30との間に形成される空間の図1中の右側面に設けてもよい。図1中の右側の側面にカバー部材80が設けられる場合、カバーロック部70は例えば図1の紙面奥側の筺体50の側面50b(図3参照)に設けてもよい。
さらに、画像形成装置100の前面(操作面側)と画像形成装置100の側面との両面にそれぞれカバー部材80を設けるよう構成してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1Y,1M,1C,1K…画像形成ユニット、19…二次転写部、21…定着装置、23…胴内排出ロール、50…筺体、60…胴内積載部、70…カバーロック部、71…ロックピン、73…戻しばね、75…ソレノイド、80…カバー部材、85…被拘束部、87…開口、100…画像形成装置、S…用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成材料を用いて記録材に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって形成された画像を加熱し定着する定着部と、
前記定着部により画像が定着された記録材が積載される積載部と、
少なくとも一方向から前記積載部を覆うとともに当該積載部に対して開閉可能な覆い部材と、
前記積載部に対して前記覆い部材を固定するとともに、当該積載部に記録材が積載された後も予め定められた期間固定を維持し、当該期間経過後に固定を解除する固定解除部と
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記予め定められた期間は、前記定着部によって加熱され溶融した画像形成材料の固化に関する条件によって定まった期間であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記予め定められた期間は、画像が形成される記録材の種類に応じて複数、設けられることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記固定解除部は、前記画像形成部が複数の記録材に画像を形成する場合には、最後の記録材が前記積載部に積載されてから前記予め定められた期間前記覆い部材への固定を維持することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成材料を用いて記録材に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって形成された画像を加熱し定着する定着部と、
前記定着部により画像が定着された記録材が積載される積載部と、
少なくとも一方向から前記積載部を覆うとともに当該積載部に対して開閉可能な覆い部材と、
前記積載部に対して前記覆い部材を固定するとともに、当該積載部に積載された記録材に形成された画像の温度または当該積載部の雰囲気温度が予め定められた閾値よりも高いときは固定を維持し、当該温度が当該閾値以下となった際に固定を解除する固定解除部と
を含む画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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