説明

画像形成装置

【課題】操作部の故障を防止できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1において、ハウジング100は、排出空間30の上方に位置して取り出し口31の上端縁31Aを形成するとともに、電気回路基板61を内部に収容して画像形成手段10又は画像読取手段20に対する入力操作を受ける操作部50を有する。操作部50における電気回路基板61より下方には、取り出し口31の上端縁31Aと略平行な方向である幅方向に延びて排出空間30を跨ぐ補強部材71、72L、72Rが配設されている。フレーム部材は、排出空間30よりも幅方向の一端側に位置する第1支持部130Lと、排出空間30よりも幅方向の他端側に位置する第2支持部130Rとを有する。補強部材71、72L、72Rの一端側は第1支持部130Lと連結され、補強部材71、72L、72Rの他端側は第2支持部130Rと連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像形成装置の例が開示されている。この画像形成装置は、外形を形成するハウジングと、ハウジング内の下方に収容され、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、ハウジング内の上方に収容され、原稿の画像を読み取る画像読取手段と、ハウジング内における画像形成手段と画像読取手段との間に設けられ、画像が形成された被記録媒体が排出される排出空間と、ハウジングの前面に開口し、排出空間に排出された被記録媒体を取り出し可能な取り出し口とを備えている。
【0003】
また、ハウジングは操作部を有している。操作部は、排出空間の上方に位置して取り出し口の上端縁を形成するとともに、電気回路基板を内部に収容して画像形成手段又は画像読取手段に対する入力操作を受けるようになっている。
【0004】
このような構成である従来の画像形成装置では、画像形成手段により被記録媒体に画像が形成されると、その被記録媒体が排出空間に排出される。そして、ユーザは、取り出し口から排出空間に手を差し入れて、その被記録媒体を取り出すことができる。なお、この画像形成装置では、小さなサイズの被記録媒体を排出空間から取り出し易くするため、排出空間の天井面及び取り出し口の上端縁が上方に揺動可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−1141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の画像形成装置では、ユーザが装置を移動させようとして持ち上げる際、誤って取り出し口の上端縁を形成する操作部の下側に手を掛けてしまう可能性がある。この場合、重量の重い画像形成手段等を持ち上げる強い力が操作部に作用して操作部が撓み易い。その結果、操作部の内部に収容された電気回路基板が変形し、電気回路基板に実装された電気部品や電気配線が損傷して、操作部の故障につながる可能性がある。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、操作部の故障を防止できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、外形を形成するハウジングと、
前記ハウジング内の下方に収容され、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記ハウジング内の上方に収容され、原稿の画像を読み取る画像読取手段と、
前記ハウジング内における前記画像形成手段と前記画像読取手段との間に設けられ、前記画像が形成された前記被記録媒体が排出される排出空間と、
前記ハウジングの側面に開口し、前記排出空間に排出された前記被記録媒体を取り出し可能な取り出し口と、
前記ハウジング内に設けられ、前記画像形成手段及び前記画像読取手段を支持するフレーム部材とを備え、
前記ハウジングは、前記排出空間の上方に位置して前記取り出し口の上端縁を形成するとともに、電気回路基板を内部に収容して前記画像形成手段又は前記画像読取手段に対する入力操作を受ける操作部を有する画像形成装置であって、
前記操作部における前記電気回路基板より下方には、前記上端縁と略平行な方向である幅方向に延びて前記排出空間を跨ぐ補強部材が配設され、
前記フレーム部材は、前記排出空間よりも前記幅方向の一端側に位置する第1支持部と、前記排出空間よりも前記幅方向の他端側に位置する第2支持部とを有し、
前記補強部材の一端側は前記第1支持部と連結され、前記補強部材の他端側は前記第2支持部と連結されていることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
このような構成である本発明の画像形成装置によれば、ユーザが誤って取り出し口の上端縁を形成する操作部の下側に手を掛けてしまい、重量の重い画像形成手段等を持ち上げる強い力が操作部に作用する場合でも、その力の大部分が補強部材に伝達される。さらに、補強部材に伝達された力は、その補強部材の両端側に連結された第1、2支持部により、画像形成手段等を支持するフレーム部材全体に伝達される。このため、操作部に直接かかる力、すなわち、操作部を撓ませるように作用する力が軽減されるので操作部が撓み難くなる。その結果、この画像形成装置では、操作部の内部に収容された電気回路基板が変形し難くなり、電気回路基板に実装された電気部品や電気配線の損傷を防止できる。
【0010】
したがって、本発明の画像形成装置は、操作部の故障を防止できる。
【0011】
本発明の画像形成装置において、画像読取手段は、原稿が載置される載置面と、載置面の下側を移動しながら原稿の画像を読み取る読取部とを有し、ハウジングは、載置面及び読取部を下方から支持するベース部材を有することが望ましい。また、操作部は、ベース部材と一体をなして上端縁を形成する底壁部と、入力キーが設けられて底壁部の上方に位置する操作パネル部とを有することが望ましい。そして、補強部材は、底壁部の上面に固定され、電気回路基板は、補強部材と操作パネル部との間に配設されていることが望ましい(請求項2)。この構成によれば、ベース部材と一体をなす底壁部の上面に固定された補強部材により、操作部を一層撓み難くすることができる。また、操作部における電気回路基板の位置を考慮しつつ底壁部への補強部材の取り付け位置を決定することで、操作部、より具体的には電気回路基板の撓みを効果的に防止できる位置に補強部材を配設することができる。その結果、この画像形成装置は、操作部の故障を確実に防止できる。
【0012】
本発明の画像形成装置において、補強部材は導電性のある金属製であり、フレーム部材側に設けられるアースと電気回路基板とを接続するアース線の一部を構成していることが望ましい(請求項3)。この構成によれば、補強部材がアース線の一部を兼ねるので、アース線の一部を構成する電気配線を別途設ける必要がなくなり、部品点数を削減できる。
【0013】
本発明の画像形成装置において、フレーム部材は、画像形成手段を幅方向から挟んで支持する一対のサイドフレームを有し、第1支持部は、排出空間よりも幅方向の一端側に位置する一方のサイドフレームであり、第2支持部は、排出空間よりも幅方向の他端側に位置する他方のサイドフレームであることが望ましい(請求項4)。この構成によれば、操作部に作用する力の大部分が補強部材の両端側に連結された各サイドフレームにより、フレーム部材全体に確実に伝達される。このため、この画像形成装置は、操作部を撓ませるように作用する力を極力抑え、より一層撓み難くすることができる。よって、操作部の故障を一層確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例の画像形成装置の斜視図である。
【図2】実施例の画像形成装置の模式断面図である。
【図3】実施例の画像形成装置に係り、スキャナトップカバー、スキャナベース、ジョイントカバートップ、ジョイントカバーベース、一対のサイドフレーム及び補強部材が組み付けられた状態を示す斜視図である。
【図4】実施例の画像形成装置に係り、図3の矢視IV方向から見た側面図である。
【図5】実施例の画像形成装置に係り、ジョイントカバートップ、ジョイントカバーベース、一対のサイドフレーム及び補強部材が組み付けられた状態を示す斜視図である。
【図6】実施例の画像形成装置に係り、ジョイントカバーベース、一対のサイドフレーム及び補強部材が組み付けられた状態を示す斜視図である。
【図7】実施例の画像形成装置に係り、一対のサイドフレーム及び補強部材が組み付けられた状態を示す斜視図である。
【図8】実施例の画像形成装置に係り、図7の要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0016】
(実施例)
図1に示すように、実施例の画像形成装置1は、本発明の画像形成装置の具体的態様の一例である。この画像形成装置1は、一般的にマルチ・ファンクショナル・プリンタと呼ばれ、画像形成処理の他、画像読取処理等の複数の処理を実行可能なものである。図1では、画像形成装置1の操作部50側を装置の前側と規定し、操作部50に向かって左を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、画像形成装置1の具体的構成を説明する。
【0017】
<全体構成>
図1及び図2に示すように、画像形成装置1は、外形を形成するハウジング100を備えている。ハウジング100は、本体ハウジング101と、本体ハウジング101の上側に設けられた開閉ハウジング102とからなる。
【0018】
また、図2に示すように、画像形成装置1は、本体ハウジング101内の下方に収容され、用紙やOHPシート等である被記録媒体9に画像を形成する画像形成手段10と、本体ハウジング101内の上方に収容され、原稿の画像を読み取る画像読取手段20とを備えている。
【0019】
さらに、図1及び図2に示すように、画像形成装置1は、本体ハウジング101内における画像形成手段10と画像読取手段20との間に設けられ、画像が形成された被記録媒体9が排出される排出空間30と、本体ハウジング101の前面に開口し、排出空間30と本体ハウジング101の外部とを連通させて、排出空間30に排出された被記録媒体9を取り出し可能な取り出し口31とを備えている。排出空間30は、各種サイズの被記録媒体9を排出可能なように、左右方向に幅広く、かつ前後方向に深く凹設されている。また、ユーザが排出空間30の奥まで手を差し入れ易いように、排出空間30の上下方向の高さが確保されているとともに、取り出し口31の上端縁31A側が下端縁31Bよりも後方に傾斜している。ここで、取り出し口31の上端縁31Aと平行な方向である左右方向が本発明の幅方向に相当する。
【0020】
図1及び図2に示すように、本体ハウジング101は、排出空間30の上方において取り出し口31の上端縁31Aを形成する位置に操作部50を有している。操作部50は、図2に示すように、電気回路基板61を内部に収容しているとともに、電気回路基板61に実装された電気部品や電気配線も内部に収容している。また、操作部50には、図1に示すように、入力キー62及び表示部63が設けられており、図示しない電気配線により、電気回路基板61と、入力キー62及び表示部63とが電気的に接続されている。操作部50は、入力キー62により、ユーザから画像形成手段10又は画像読取手段20に対する入力操作を受けたり、表示部63により、画像形成手段10又は画像読取手段20に関する設定情報や稼働状況を表示することができる。操作部50の具体的構成については、後で詳しく説明する。
【0021】
図2に示すように、開閉ハウジング102は、本体ハウジング101の背面側上部に設けられた左右方向を向く揺動軸X1に揺動可能に支持されている。開閉ハウジング102は、通常は水平状態となって閉じており、本体ハウジング101の上面に設けられた載置面21Aを覆っている。そして、開閉ハウジング102は、その前端側が持ち上げられて、図2に二点鎖線で示す傾斜状態となることにより、本体ハウジング101の載置面21Aを開放する。その結果、画像を読み取られる原稿を載置面21Aに載置することができる。
【0022】
なお、開閉ハウジング102内には、載置面21Aに原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送機構(ADF:Auto Document Feeder)40が収容されている。自動原稿搬送機構40は周知の構成であるので説明は省略する。
【0023】
<画像形成手段>
画像形成手段10は周知の構成であるので説明及び図示を簡略するが、図2に示すように、被記録媒体9を収容する供給カセット11と、供給カセット11内の被記録媒体9を一枚ずつ取り出して搬送経路P1に沿って搬送し、排出空間30に排出する搬送機構12と、供給カセット11の上方、且つ排出空間30の下方に設けられた画像形成部13とを有している。
【0024】
搬送経路P1は、供給カセット11の前方から上方に向かって進み、さらに後方に向きを変えて略水平に延びて画像形成部13の下方を通過する。その後、搬送経路P1は、上方に向かって進み、さらに前方に向きを変えて、排出空間30に至る。
【0025】
画像形成部13は、カラー印刷が可能な、いわゆるダイレクトタンデム方式のものであり、現像トナーカートリッジ15、スキャナ部14、及び定着器ユニット16等を有している。現像トナーカートリッジ15は、ブラック、イエロー、マゼンダ、シアンの4色のトナーに対応し、搬送経路P1の略水平部分に沿って直列する4つのカートリッジの集合体である。現像トナーカートリッジ15は、それぞれ、感光ドラム15Aや、図示しない現像ローラ、帯電器及びトナー収容部等を有している。スキャナ部14は、レーザ光源、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射鏡等から構成されており、上方からレーザビームを現像トナーカートリッジ15内の各感光ドラム15Aに照射する。定着ユニット16は、現像トナーカートリッジ15の下方を通過した被記録媒体9を加熱ローラ16Aと加圧ローラ16Bとをより加熱加圧する。
【0026】
上記構成である画像形成部13は、以下のようにして被記録媒体9に画像を形成する。すなわち、各感光ドラム15Aの表面は、その回転に伴って、帯電器により一様に正帯電された後、スキャナ部14から照射されるレーザビームの高速走査により露光される。これにより、各感光ドラム15Aの表面には、被記録媒体9に形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。次いで、トナー収容部からトナーが静電潜像に対応して各感光ドラム15Aの表面に供給され、それらの表面上に担持されたトナーが被記録媒体9に転写される。そして、トナーが転写された被記録媒体9は定着ユニット16で加熱加圧されて、トナーが被記録媒体9に定着する。
【0027】
こうして、画像形成が完了した被記録媒体9が排出空間30に排出されると、ユーザは、取り出し口31から排出空間30に手を差し入れて、その被記録媒体9を取り出すことができる。この際、この画像形成装置1では、上述した取り出し口31及び排出空間30の構成により、排出空間30の奥まで手を差し入れ易くなっており、小さなサイズから大きなサイズまでの被記録媒体9を容易に取り出すことができる。このため、この画像形成装置1は、上記従来技術のように排出空間30の天井面及び取り出し口31の上端縁31Aが上方に揺動可能な構成を採用していない。
【0028】
<画像読取手段>
画像読取手段20は、いわゆるフラットベット方式のものであり、図2に示すように、本体ハウジング101の上面が開口されて、その開口がプラテンガラス21によって塞がれている。プラテンガラス21の上面は、画像を読み取られる原稿が載置される載置面21Aとされている。
【0029】
プラテンガラス21の下方には、読取部22が収容されている。読取部22としては、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の周知の画像読取センサを採用できる。読取部22は、図示しないスライド機構により左右方向、すなわち、図2の紙面に対して垂直な方向に進退可能とされている。
【0030】
上記構成である画像読取手段20では、開閉ハウジング102が開放されて、載置面21Aに原稿が載置されると、載置面21Aの下側で、読取部22が原稿の画像の一部を前後方向に長いライン状(主走査方向)に読み取りながら、左右方向(副走査方向)に移動する。こうして、画像読取手段20は、原稿の画像の全体を読み取ることができる。また、この画像読取手段20では、自動原稿搬送機構40により、複数枚の原稿を1枚ずつ搬送して、所定の位置に停止した読取部22の上方を通過させることにより、複数枚の原稿を自動的に読み取ることもできる。
【0031】
<本体ハウジング>
次に、本体ハウジング101についてより詳しく説明する。本体ハウジング101は、図1及び図2に示すように、外装カバーとしてのフロントカバー101A、サイドカバー101L、101R及びリヤカバー101Bを有している。これらは、熱可塑性樹脂の射出成形品である。図1に示すように、サイドカバー101L、101Rの下端縁には、ユーザが装置を持ち上げる際に手を掛けるための取っ手部101Hが凹設されている。
【0032】
また、図2〜図4に示すように、本体ハウジング101は、スキャナトップカバー111、スキャナベース112、操作パネル部113、ジョイントカバートップ121及びジョイントカバーベース122を有している。これらも、熱可塑性樹脂の射出成形品である。図1及び図2に示すように、これらの外面はフロントカバー101A、サイドカバー101L、101R及びリヤカバー101Bに覆われている。但し、操作パネル部113の前面とジョイントカバートップ121の前面の一部とは、装置の外形を形成している。
【0033】
図2〜図4に示すように、スキャナトップカバー111は、プラテンガラス21を支持する枠形状とされて、本体ハウジング101の最上部に配設されている。
【0034】
スキャナベース112は、読取部22及び図示しないスライド機構を下方から支持するトレイ形状とされて、スキャナトップカバー111の下面に結合されている。図1及び図2に示すように、スキャナベース112の前端縁は、排出空間30の天井面を形成している。スキャナベース112の裏面は、スキャナトップカバー111の前端縁と比較して、前方に長く突出しており、この長く突出する部分が底壁部114とされている。底壁部114は、スキャナベース112と一体をなして取り出し口31の上端縁31Aを形成している。スキャナトップカバー111及びスキャナベース112は、本発明のベース部材の一例である。
【0035】
図1及び図2に示すように、操作パネル部113は、その上端縁がスキャナトップカバー111の前端縁側に連結され、その下端縁が底壁部114の前端縁側に連結されて、傾斜した状態で底壁部114を上方から覆っている。操作パネル部113には、上述した入力キー62や表示部63等が固定されている。操作パネル部113と底壁部114とにより操作部50の外形が形成されている。図3は、図1及び図2に示す操作パネル部113をスキャナトップカバー111及びスキャナベース112から取り外した状態を示している。図3から判るように、操作パネル部113と底壁部114との間には、図2に示す電気回路基板61等を収容可能な左右方向に細長い空間が形成されている。
【0036】
図5に示すように、ジョイントカバートップ121は、平板状のトレイ部121Aと、トレイ部121Aを左右方向から挟んで対向するように設けられた側壁121L、121Rと、トレイ部121Aの後端縁との間に開口部121Bを有して、側壁121L、121Rの後端縁同士を連結する後壁121Cとを一体に有している。図2〜図4に示すように、各側壁121L、121Rの上面がスキャナベース112の下面に結合されることにより、スキャナベース112とジョイントカバートップ121との間に排出空間30及び取り出し口31が形成されている。
【0037】
図2、図4及び図6に示すように、ジョイントカバーベース122は、中央に矩形状の大きな開口部122Aが形成された略平板形状とされて、ジョイントカバートップ121の下面に結合されている。ジョイントカバーベース122は、ジョイントカバートップ121を補強するとともに、本体ハウジング101の下方に収容された一対のサイドフレーム130L、130Rの上端縁同士を連結している。
【0038】
図2に示すように、搬送経路P1に沿って搬送される被記録媒体9は、開口部122A及び開口部121Bを介して排出空間30に排出された後、トレイ部121Aの上面に載置される。
【0039】
<サイドフレーム>
図2〜図7に示すように、サイドフレーム130Lとサイドフレーム130Rとは、画像形成手段10を左右方向から挟んで対向するように設けられている。各サイドフレーム130L、130Rは、前後方向及び上下方向に平行な略平板状とされて、本体ハウジング101内の前端側から後端側まで長く延びている。そして、各サイドフレーム130L、130Rは、画像形成手段10の左右の側面等に連結されて、画像形成手段10を支持する。
【0040】
なお、図3〜図7では、サイドフレーム130L、130Rに挟まれた画像形成手段10の図示を省略している。また、供給カセット11及び画像形成部13は、サイドフレーム130L、130Rに対して装着位置から本体ハウジング101の外方向(前方)に引き出し可能に構成されている。また、サイドフレーム130L、130Rは、重量が重い画像形成手段10等を支持するとともに、画像形成処理のために画像形成手段10に要求される高い位置決め精度を実現するため、剛性が高い鋼板製とされている。
【0041】
サイドフレーム130L、130Rと、上述したスキャナトップカバー111、スキャナベース112、ジョイントカバートップ121及びジョイントカバーベース122とが互いに結合されていることにより、これら全体で本発明のフレーム部材を構成している。つまり、スキャナトップカバー111、スキャナベース112、ジョイントカバートップ121、ジョイントカバーベース122は、本体ハウジング101とフレーム部材とに共用されている。なお、フレーム部材は上記以外の構成部材も有しているが、本実施例では説明及び図示を省略している。
【0042】
図3に示すように、サイドフレーム130Lは、排出空間30よりも左側に位置し、サイドフレーム130Rは、排出空間30よりも右側に位置している。サイドフレーム130Lは、本発明の第1支持部の一例であり、サイドフレーム130Rは、本発明の第2支持部の一例である。
【0043】
サイドフレーム130Rの後端側にはアースEが接続されている。導電性のある鋼板製であるサイドフレーム130Rは、画像形成手段10、画像読取手段20及び電子回路基板61等を構成する電気部品とアースEとを電気的に接続するアース線の一部を構成している。
【0044】
<補強部材>
図2及び図3に示すように、操作部50において、底壁部114の上面には、第1補強部材71が設けられている。図7及び図8に示すように、第1補強部材71は、鋼板の打ち抜きプレス加工等により細長い矩形板状とされている。第1補強部材71は左右方向に細長く延びて排出空間30の上方を跨ぎ、その左右の端部が下方に短く折り曲げられている。
【0045】
第1補強部材71の中央部は、左右の端部よりも前方に突出するように幅広くされており、取り出し口31の上端縁31Aに接近している。また、第1補強部材71の中央部の断面は、折り曲げ加工によりクランク形状とされている。このような断面形状とすることにより、第1補強部材71の中央部に上向きの力が作用しても、第1補強部材71が上方に撓み難くなっている。
【0046】
図7及び図8に示すように、第1補強部材71の中央部において左右の角部には、一対の孔71Aが形成されている。図示しない止めネジが上方から各孔71Aに挿入され、さらにその先端が底壁部114に螺入されることにより、第1補強部材71が底壁部114の上面に固定されている。
【0047】
図2に示すように、電気回路基板61は、第1補強部材71と操作パネル部113との間に配設されている。図示は省略するが、電気回路基板61は底壁部114の上面から上方に凸設されたリブやボスにより支持されており、第1補強部材71との間に隙間を有している。図8に示すように、第1補強部材71の左右方向の中間部には、止めネジ99により連結部材69の下端が連結されている。連結部材69は鋼板製小片であり、屈曲しながら上方に延びている。図示は省略するが、連結部材69の上部は、電気回路基板61と電気的に接続されている。これにより、連結部材69は、アースEと電気回路基板61とを接続するアース線の一部を構成している。
【0048】
図7に示すように、第1補強部材71の下方に短く折り曲げられた左端には、図示しない止めネジにより第2補強部材72Lの上端が連結されている。また、図7及び図8に示すように、第1補強部材71の下方に短く折り曲げられた右端には、止めネジ98により第2補強部材72Rの上端が連結されている。
【0049】
第2補強部材72L、72Rは、鋼板の打ち抜きプレス加工等により上下方向に細長い矩形板状とされている。そして、図7に示すように、第2補強部材72Lの下端は、止めネジ97により、サイドフレーム130Lの上端縁と連結されている。また、図7及び図8に示すように、第2補強部材72Rの下端は、止めネジ96により、サイドフレーム130Rの上端縁と連結されている。
【0050】
左右方向に延びて排出空間30を跨ぐ第1補強部材71及び第2補強部材72L、72Rは、本発明の補強部材の一例である。
【0051】
なお、図3〜図6に示すように、ジョイントカバートップ121及びジョイントカバーベース122には、上下方向に穴が貫設された逃げ部121F、122Fが設けられている。第2補強部材72L、72Rは、それぞれ逃げ部121F、122F内に相通された状態で、第1補強部材71と、各サイドフレーム130L、130Rとを連結している。
【0052】
<作用効果>
上記構成である実施例の画像形成装置1では、図2に示すように、ユーザが装置を移動させようとして持ち上げる際、本来は取っ手部101Hに手を掛けなければならないが、誤って取り出し口31の上端縁31Aを形成する操作部50の底壁部114に手を掛けてしまう事態が発生し得る。そうすると、重量の重い画像形成手段10等を持ち上げる強い力Fが上向きに底壁部114に作用してしまう。ここで、この画像形成装置1では、操作部50における電気回路基板61より下方に、取り出し口31の上端縁31Aと平行な左右方向に延びて排出空間30を跨ぐ第1補強部材71及び第2補強部材72L、72Rが配設されている。このため、その力Fの大部分が第1補強部材71及び第2補強部材72L、72Rに伝達される。そして、上述したように高い剛性を備える各サイドフレーム130L、130Rに各第2補強部材72L、72Rの下端が連結されているので、その力Fの大部分がフレーム部材全体に確実に伝達される。このため、操作部50に直接かかる力が軽減されるので操作部50が撓み難くなる。その結果、この画像形成装置1では、操作部50の内部に収容された電気回路基板61が変形し難くなり、電気回路基板61に実装された電気部品や電気配線の損傷を防止できる。
【0053】
したがって、実施例の画像形成装置1は、操作部50の故障を防止できる。
【0054】
また、この画像形成装置1では、スキャナベース112と一体をなして取り出し口31の上端縁31Aを形成する底壁部114の上面に第1補強部材71が固定され、第1補強部材71と操作パネル部113との間に電気回路基板61が配設されている。このような構成により、この画像形成装置1は、操作部50を一層撓み難くすることができる。また、操作部50における電気回路基板の位置を考慮しつつ底壁部への補強部材の取り付け位置を決定することで、操作部、より具体的には電気回路基板の撓みを効果的に防止できる位置に補強部材を配設することができる。その結果、この画像形成装置1は、操作部50の故障を確実に防止できる。
【0055】
さらに、この画像形成装置1において、第1補強部材71及び第2補強部材72L、72Rは導電性のある鋼板製であり、同様に鋼板製であるサイドフレーム130R及び連結部材69とともに、アースEと電気回路基板61とを接続するアース線の一部を構成している。このため、この画像形成装置1は、サイドフレーム130Rと連結部材69とを電気的に接続する電気配線を別途設ける必要がなくなり、部品点数を削減できる。
【0056】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0057】
例えば、ジョイントカバートップ121の側壁121L、121Rを第1支持部及び第2支持部とし、第1補強部材71の左右の端部を直接、側壁121L、121Rに連結する構成も、本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は画像形成装置及び複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1…画像形成装置、100…ハウジング、50…操作部、62…入力キー
10…画像形成手段、9…被記録媒体、61…電気回路基板
20…画像読取手段、21A…載置面、22…読取部
30…排出空間、31…取り出し口、31A…取り出し口の上端縁
71、72L、72R…補強部材(71…第1補強部材、72L、72R…第2補強部材)
130L…第1支持部(サイドフレーム)、130R…第2支持部(サイドフレーム)
111、112…ベース部材(111…スキャナトップカバー、112…スキャナベース)
114…底壁部、113…操作パネル部、E…アース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形を形成するハウジングと、
前記ハウジング内の下方に収容され、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記ハウジング内の上方に収容され、原稿の画像を読み取る画像読取手段と、
前記ハウジング内における前記画像形成手段と前記画像読取手段との間に設けられ、前記画像が形成された前記被記録媒体が排出される排出空間と、
前記ハウジングの側面に開口し、前記排出空間に排出された前記被記録媒体を取り出し可能な取り出し口と、
前記ハウジング内に設けられ、前記画像形成手段及び前記画像読取手段を支持するフレーム部材とを備え、
前記ハウジングは、前記排出空間の上方に位置して前記取り出し口の上端縁を形成するとともに、電気回路基板を内部に収容して前記画像形成手段又は前記画像読取手段に対する入力操作を受ける操作部を有する画像形成装置であって、
前記操作部における前記電気回路基板より下方には、前記上端縁と略平行な方向である幅方向に延びて前記排出空間を跨ぐ補強部材が配設され、
前記フレーム部材は、前記排出空間よりも前記幅方向の一端側に位置する第1支持部と、前記排出空間よりも前記幅方向の他端側に位置する第2支持部とを有し、
前記補強部材の一端側は前記第1支持部と連結され、前記補強部材の他端側は前記第2支持部と連結されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像読取手段は、前記原稿が載置される載置面と、前記載置面の下側を移動しながら前記原稿の画像を読み取る読取部とを有し、
前記ハウジングは、前記載置面及び前記読取部を下方から支持するベース部材を有し、
前記操作部は、前記ベース部材と一体をなして前記上端縁を形成する底壁部と、入力キーが設けられて前記底壁部の上方に位置する操作パネル部とを有し、
前記補強部材は、前記底壁部の上面に固定され、
前記電気回路基板は、前記補強部材と前記操作パネル部との間に配設されている請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補強部材は導電性のある金属製であり、前記フレーム部材側に設けられるアースと前記電気回路基板とを接続するアース線の一部を構成している請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記フレーム部材は、前記画像形成手段を前記幅方向から挟んで支持する一対のサイドフレームを有し、
前記第1支持部は、前記排出空間よりも前記幅方向の一端側に位置する一方の前記サイドフレームであり、
前記第2支持部は、前記排出空間よりも前記幅方向の他端側に位置する他方の前記サイドフレームである請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−93428(P2012−93428A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238604(P2010−238604)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】