説明

画像形成装置

【課題】複数の扉部材の干渉等による不具合を防ぐことのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置本体10は、内部の構成機器に対するメンテナンス等の作業を行う際に開く前面扉51と、トナーカートリッジ31の交換作業を行う際にトナー収容部30を開くトナーカートリッジ交換用扉52とを備えている。トナーカートリッジ交換用扉52は、上縁部を前面側に揺動させてトナー収容部30を開閉するようになっている。トナーカートリッジ交換用扉52の下側に、前面扉51を開閉操作する操作把手53が位置しており、開いた状態のトナーカートリッジ交換用扉52が操作把手53を作業者が視認できないように覆い、前面扉51を開く操作が規制されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタや複写機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、電子写真方式の画像形成装置では、画像形成に伴って消費するトナー等の消耗品の補充を行う必要がある。また、電子写真プロセスに係る構成部材のメンテナンス等も随時必要となる。これら消耗品の補充やメンテナンスは、通常、扉等の開閉部材を開いて行うように構成される。
特許文献1には、保守点検箇所を覆うように開閉自在に支持される第1の扉部材と、交換部品装着部を覆うと共に第1の扉部材と独立に開閉するように支持される第2の扉部材と、を備え、第2の扉部材に交換部品を交換部品装着部に挿入するためのガイド部を形成し、且つ、交換部品がガイド部に沿って移動されることにより交換部品が交換部品装着部に円滑に挿入される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−242677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、複数の開閉扉を備えた装置では、それらの開閉扉が相互に干渉して開放できなくなったり、開閉操作を円滑に行えなくなったりすることが生じ得る。また、作業等の用途別に複数の開閉扉を備える場合には、余計な開閉扉が開かれた状態にあると、必要な開閉扉の開閉や作業等の障害となることがある。
【0005】
本発明は、複数の扉部材の干渉等による不具合を防ぐことのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、開閉可能に設けられた第1扉部材と、前記第1扉部材の下部に開閉可能に設けられた第2扉部材と、開いた状態の前記第1扉部材が、前記第2扉部材と接触せずに予め定めた位置に配置されるよう当該第1扉部材を支持する支持部材と、前記第1扉部材が前記支持部材により支持される前記予め定めた位置まで開いた状態で、当該第1扉部材と前記第2扉部材とが接触する前に当該第2扉部材の移動を規制する規制部材とを備え、前面側からみたときに開いた状態の前記第1扉部材は前記第2扉部材の少なくとも一部と重複して配置されることを特徴とする。
【0007】
ここで、前記規制部材は、前記第2扉部材が開いた状態では、前記第1扉部材が開くことを規制することを特徴とすることができる。
また、前記規制部材は、前記第2扉部材が開くことを規制する規制位置と当該規制を解除する解除位置とを移動可能に設けられた規制手段と、前記第1扉部材が開いた状態では前記規制手段を前記規制位置として当該第1扉部材と当該規制手段とを連動させる連動手段と、を備えることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明の画像形成装置によれば、複数の扉部材の干渉等による不具合を抑制できる。
請求項2の発明の画像形成装置によれば、第2扉部材が開いた状態では、第1扉部材が開くことを規制することができ、第1扉部材と第2扉部材との干渉等による不具合を抑制できる。
請求項3の発明の画像形成装置によれば、第1扉部材を開く動作と連動し第2扉部材が開くことを規制することができ、第1扉部材と第2扉部材との干渉等による不具合を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態が適用された画像形成装置の全体外観を示す正面図である。
【図2】画像形成装置の全体外観斜視図である。
【図3】画像形成装置本体の概略構成図である。
【図4】図1のA−A断面図である。
【図5】トナーカートリッジ交換用扉を開いた状態の画像形成装置本体の斜視図である。
【図6】トナーカートリッジ交換用扉の拡大斜視図である。
【図7】規制連動機構の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態)について詳細に説明する。
図1は本実施の形態が適用された画像形成装置1の全体正面図、図2は全体外観斜視図、図3はその画像形成装置本体10の概念的な構成図である。
【0011】
画像形成装置1は、画像形成部としての画像形成装置本体10が備える電子写真方式による複数の画像形成部15A(15AY,15AM,15AC,15AK)によって、色材としてのトナーを用いてカラー画像を形成する、カラー画像形成装置である。中央の画像形成装置本体10を挟んで、図中左側に給紙装置10A、右側に排紙装置10Bを備えている。
画像形成装置本体10の前面(操作面側)には、本体扉部材としての左右の前面扉51L,51Rと、中央上部に位置する保守用扉部材としてのトナーカートリッジ交換用扉52と、がそれぞれ開閉可能に設けられている。図2は、前面扉51L,51Rが左右に開かれると共に、後述する画像形成ユニット15と転写ベルトユニット16とが操作面側に引き出された状態を示している。
なお、以下の説明において、画像形成装置1の操作面側を前面、この前面と対向する奥側の面を背面と称する。また、前面から背面に至る奥行き方向を前後、これと直交する水平方向を左右、これら前後および左右と直交する方向を上下と呼称する。
【0012】
画像形成装置本体10は、図3に示すように、略直方体状に組まれたフレーム11の内部に、下記のごとき各機構部を備えて構成されている。
すなわち、図3中左側に、上部から、画像形成装置1の制御装置および画像情報を処理する画像処理部を構成する電気回路基板類が集合された電気基板アッセンブリ12、トナー収容部30、走査露光装置14、画像形成ユニット15、転写ベルトユニット16、用紙搬送機構17が配設されている。また、図中右側の下部に定着装置18、上部に電源分配基板アッセンブリ19が配置されている。さらに、定着装置18と電源分配基板アッセンブリ19との間に、電源装置20が配置されている。
【0013】
走査露光装置14は、レーザダイオードが出射した複数のレーザビームを一括して走査動作させるいわゆるマルチビーム走査光学系である。画像形成ユニット15の上側に配置され、複数のレーザビームで各画像形成部15Aの感光体ドラムをそれぞれ上側から走査露光して静電潜像を形成する。
画像形成ユニット15は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成する4組の画像形成部15A(15AY,15AM,15AC,15AK)を備えている。
【0014】
各画像形成部15Aは、詳細は図示しないが、像保持体としての感光体ドラムの周囲に、その回転方向に沿って、感光体ドラムを帯電させる帯電装置と、走査露光装置14の露光によって感光体ドラムに形成された潜像をトナー像化する現像装置とを備えている。また、後述する転写ベルトユニット16の中間転写ベルト16Aへのトナー像の転写後に感光体ドラム上に残存する残留トナーを除去するクリーナを備えている。そして、感光体ドラムの表面の感光体に形成された静電潜像を、現像装置によって現像してトナー像を形成する。
【0015】
トナー収容部30は、その上側に位置する電気基板アッセンブリ12の下面に構成された装着支持部40に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色と対応する色材収容部材であるトナーカートリッジ31(31Y,31M,31C,31K)がそれぞれ支持されている。これにより、トナーカートリッジ31に収容されたトナーが消費されると、トナーカートリッジ31を差し替え交換することで対応し得るようになっている。つまり、本実施の形態におけるこのトナーカートリッジ31の交換が消耗品としてのトナーの保守に相当する。
本構成では、同形状のトナーカートリッジ31が5本並列に設けられており、図2および図3中左側端の2本が黒色のトナーを収容するトナーカートリッジ31K(31K1,31K2)となっている。これにより、消費量の多い黒のトナーの容量を確保しているものである。
装着支持部40は、電気基板アッセンブリ12の下面に設けられた、それぞれ前後方向に延びる複数の支持ガイド41を備えて構成されている。
【0016】
トナーカートリッジ31は、フレーム11の前後方向略全域に亘る長さの略直方体状の容器であって、電気基板アッセンブリ12の下面に設けられた支持ガイド41にその左右両側で支持されると共に移動案内されて、所定の位置に設置されるようになっている。本実施の形態では、トナーカートリッジ31は画像形成装置本体10の前面側から長手方向に水平に挿入されて、装着支持部40に水平状態で装着されるようになっている。そして、所定位置に設置された状態では、背面側の端部で図示しないトナー供給路に接続されて、そのトナー供給路を介して対応する色の現像装置にトナーを供給する。
トナー収容部30の前面側は、開閉可能なトナーカートリッジ交換用扉52によって覆われており、このトナーカートリッジ交換用扉52を開くことでトナーカートリッジ31を交換し得るようになっている。このトナーカートリッジ交換用扉52の構成については、後に詳述する。
【0017】
転写ベルトユニット16は、周回可能に張架された中間転写ベルト16Aと、画像形成ユニット15の各画像形成部15Aと対応する一次転写ロール16Bと、中間転写ベルト16Aが保持したトナー像を記録用紙に転写する二次転写部16Cとを備えている。
中間転写ベルト16Aは、駆動ロール16Aaとバックアップロール16Ab等とに張架されており、駆動ロール16Aaの駆動によって図3中反時計回りに周回するようになっている。その上側の周回経路は左右方向に略直線状となっており、その直線状の周回経路に臨んで、前述の画像形成ユニット15の4組の画像形成部15Aが並設されている。これら各画像形成部15Aの感光体ドラムと、中間転写ベルト16Aを挟んで対向する位置には、それぞれ一次転写ロール16Bが配設されている。
【0018】
各一次転写ロール16Bは、トナーの帯電極性と逆極性の一次転写バイアスが印加され、各画像形成部15Aの感光体ドラム上のトナー像を中間転写ベルト16Aに静電吸引して転写させる。
二次転写部16Cは、中間転写ベルト16Aの下側の周回経路の外側に位置する二次転写ロール16Caと、周回経路の内側に設けられたバックアップロール16Cbとから成る。そして、二次転写ロール16Caとバックアップロール16Cbとの間に二次転写バイアスが印可され、中間転写ベルト16Aが担持したトナー像を、用紙搬送機構17によって搬送・供給される記録用紙上に転写(二次転写)させる。
【0019】
前述の画像形成ユニット15と、転写ベルトユニット16とは、それぞれ独立したユニットとして構成されると共に、図2に示すようにガイドレール15G,16Gを介して設けられており、それぞれ前面側に引き出すことでメンテナンスを行うことができるようになっている。
【0020】
用紙搬送機構17は、画像形成装置本体10の図3中左側に配設された給紙装置10A(図1および2参照)と二次転写部16Cとの間と、二次転写部16Cと定着装置18の間に、複数の搬送ロールおよび搬送コンベア等によって構成されている。そして、給紙装置10Aが格納した記録用紙を、二次転写部16Cへ画像形成ユニット15の各画像形成部15Aによるトナー像の形成と同期させて搬送すると共に、二次転写部16Cにおいてトナー像が転写された記録用紙を定着装置18に搬送する。
【0021】
定着装置18は、加熱される定着ロール18Aを備えており、この定着ロール18Aに記録用紙を圧接させて加熱・加圧し、トナー像を記録用紙上に固定する。
電源装置20は、入力電流を変圧して、上記各機構を駆動するために必要な電源電流を出力する。
電源分配基板アッセンブリ19は、電源装置20が形成した電流を各機構に分配供給する。
【0022】
そして、上記のごとく構成された画像形成装置1は、電気基板アッセンブリ12が構成する制御装置による各機構の制御によって、下記のごとく画像形成を行う。
すなわち、電気基板アッセンブリ12から送られる画像信号に基づく走査露光装置14の露光によって画像形成ユニット15の各画像形成部15Aが形成した各色の画像を、転写ベルトユニット16の周回駆動される中間転写ベルト16A上にその動きにしたがって順に重ね合わせ、これによってカラートナー画像を形成する。そして、給紙装置10Aから供給される記録用紙を用紙搬送機構17によって中間転写ベルト16Aの移動とタイミングを合わせて搬送し、この記録用紙に転写ベルトユニット16上のカラートナー画像を二次転写部16Cで転写する。その後、カラートナー画像が転写された記録用紙を定着装置18に搬送し、定着装置18でカラートナー画像を定着し、排紙装置10Bによってカール矯正等の処理を行って外部に設けられた排紙トレイ21に排出する。
【0023】
つぎに、前述の図1および図2と、図4乃至図6を参照して、本発明の主要部分である画像形成装置本体10の前面側のカバー(前面扉51L,51Rおよびトナーカートリッジ交換用扉52)の構成について説明する。
図4は図1のA−A断面図、図5はトナーカートリッジ交換用扉52を開いた状態の画像形成装置本体10の斜視図、図6はそのトナーカートリッジ交換用扉52部分の拡大斜視図である。
画像形成装置本体10の前面側には、前述のごとく、左右の前面扉51L,51Rと、その上部に位置するトナーカートリッジ交換用扉52とが、それぞれ開閉可能に設けられている。
【0024】
前面扉51L,51Rは、画像形成装置本体10の左右方向中央で左右に分割されて、トナーカートリッジ交換用扉52の配設域を除く画像形成装置本体10の前面全域を覆うように形成されている。そして、左右両側に開いて図2に示すように内部を開くことができ、これによって、画像形成ユニット15や転写ベルトユニット16に対する定期交換等のメンテナンスや、用紙搬送機構17での記録用紙の紙詰まりの解消等の作業を行うことができるようになっている。なお、前面扉51L,51Rは、図示しない連繋機構によって画像形成装置本体10の電源と連動しており、開くことによって電源が切れるフェイルセイフ構成となっているものである。
トナーカートリッジ交換用扉52はトナー収容部30を開閉可能に覆って設けられており、このトナーカートリッジ交換用扉52を開くことで前面扉51L,51Rを開くことなくトナーカートリッジ31の交換作業を行うことができるようになっている。トナーカートリッジ交換用扉52は電源とは連動しておらず、トナーカートリッジ31の交換作業を画像形成装置本体10の運転中(画像形成中)にも行うことができるようになっている。
【0025】
以下、前面扉51L,51Rおよびトナーカートリッジ交換用扉52について詳細に説明する。
前面扉51L,51Rは、それぞれ画像形成装置本体10の前面と両側面との稜線近傍に設定された支持軸51LA,51RAによって、揺動可能に支持されている。これにより、支持軸51LA,51RAを中心として手前側左右に揺動し、いわゆる観音開きに開くことができるようになっている。通常は、図示しないマグネットによって画像形成装置本体10の前面に沿う閉じた状態を維持するようになっている。
このように前面と側面との稜線付近に鉛直に設けられた支持軸51LA,51RAを中心として水平方向に揺動して開く構成とすることで、下側に支持軸を設けて上部が下方に向かって開く構成(縦開き)に比べ、開閉操作の際に揺動する先端部の高さが変動せず、良好な作業性が得られる。
【0026】
また、左右の前面扉51L,51Rは、その合致する中央上部の角部が、トナーカートリッジ交換用扉52と対応する形状に切り欠かれている。その切り欠かれた部分の水平縁に、各前面扉51L,51Rを開閉操作するための開閉操作部としての操作把手53がそれぞれ設けられている。つまり、トナーカートリッジ交換用扉52の下縁辺の下側に隣接する前面扉51L,51Rの見切り線部分に、操作把手53が設けられているものである。
操作把手53は、図4に示すように前方斜め下方に開口しており、この操作把手53に下側から手を差し入れて把持することで、前面扉51L,51Rの開閉操作を容易に行うことができるようになっている。
【0027】
トナーカートリッジ交換用扉52は、画像形成装置本体10の中央上部に位置するトナー収容部30と対応する横に長い長方形の扉で、その左右の側縁および下縁が前面扉51L,51Rに囲まれている。その水平な下縁辺近傍で、下縁辺と平行に設けられた揺動支持軸52Aによって、画像形成装置本体10に対して揺動可能に支持されている。そして、揺動支持軸52Aを中心として上縁部を前面側に揺動させることでトナー収容部30を開閉することができるようになっている。このように下側に水平に設定された揺動支持軸52A回りに揺動して開く構成により、開いた際の前方側への突出量を小さくできる。つまり、特にカラー画像形成装置の場合、複数のトナーカートリッジ31を水平方向に並べて配置することが多く、必然的にトナーカートリッジ交換用扉52は横長の形態となるため、回転軸を縦方向として横に開く構成とすると開いた際に前方側に大きく突出して広い作業スペースを必要とするが、本構成ではこのようなことがない。このような構成により、トナーカートリッジ交換用扉52の揺動支持軸52Aと、前面扉51L,51Rの支持軸51LA,51RAとは略直交する構成となっている。
【0028】
また、トナーカートリッジ交換用扉52の上縁部は、前面と上面とで形成される稜線より所定量背面側に突出して、操作部52Hとなっている。この操作部52Hは画像形成装置本体10の上面側に所定量回り込んでおり、これによってトナーカートリッジ交換用扉52と画像形成装置本体10の上面との見切り線が、前面と上面の角部に一致しないようになっている。画像形成装置本体10の上面と操作部52Hとの間には、所定幅の操作隙間10Sが形成されており、この操作隙間10Sから手を差し入れて操作部52Hを掴んでトナーカートリッジ交換用扉52を開閉操作することができるようになっている。
【0029】
このトナーカートリッジ交換用扉52は、マグネット等の図示しない固定手段によって閉じた状態に所定の結合強度で固定されるようになっている。その閉じた状態では、鉛直となる。一方、開いた側には、図5および図6に示すように、左右両縁近傍に設けられたストラップ52Sによって規定される所定の角度まで開くことができるようになっている。
ここで、トナーカートリッジ交換用扉52が開く角度は、その上縁辺に形成された操作部52Hの先端が、トナー収容部30にトナーカートリッジ31を抜き差しする水平な平面より下側に位置するように、抜き差し平面に対して角度:αを有するように設定されている。すなわち、閉じた状態から角度:(90+α)°開くようになっている。これにより、開いた状態で上方に突出する操作部52Hや、裏面側に設けられた図示しない補強部材や開いた状態を検知するセンサの操作部等の突出部位と、抜き差しするトナーカートリッジ31とが干渉しないようになっている。
【0030】
上記のごとき前面扉51L,51Rおよびトナーカートリッジ交換用扉52の構成によれば、開いた状態のトナーカートリッジ交換用扉52が、その下側に隣接して位置する前面扉51L,51Rの操作把手53の上側を覆うように位置する。これにより、トナーカートリッジ交換用扉52を開閉操作する操作者から操作把手53を視認することができない状態となる。その結果、前面扉51L,51Rを開く操作が規制されることとなり、トナーカートリッジ交換用扉52と前面扉51L,51Rとが同時に開くことによる干渉や噛み合い等に起因する破損等の不具合を抑制することができる。特に、本構成では、トナーカートリッジ交換用扉52は鉛直な閉じた状態から90°以上開いて先端が水平より下側となるため、前面扉51L,51Rを無理に開こうとすると先端部が干渉してしまう虞があるが、このような干渉を未然に防ぐことができる。
また、開いた状態のトナーカートリッジ交換用扉52は、上縁辺の操作部52Hの先端がトナー収容部30にトナーカートリッジ31を抜き差しする水平平面より下側に位置するように設定されていることから、操作部52Hがトナーカートリッジ31の抜き差しの邪魔とならず、トナーカートリッジ31の交換を容易かつ円滑に行うことができる。
【0031】
なお、前面扉51L,51Rとトナーカートリッジ交換用扉52とが同時に開くことを規制する構成は、上記構成例に限るものではない。たとえば、トナーカートリッジ交換用扉52を開く操作に連動して前面扉51L,51Rが開くことを規制する規制手段を備えても良い。
図7は、そのような規制手段である規制連動機構60の一例の概念図である。
図7に示す規制連動機構60は、(a)に示す前面扉51に設けられた係合部51Fに係合しない解除位置と、(b)に示す係合部51Fに係合する規制位置と、の間を揺動可能な規制部材としての係合アーム61を備えている。
係合アーム61は、一端にフック61Aを備えると共に他端が操作部61Bとなっており、揺動軸62で揺動可能に支持されている。
操作部61Bには、引っ張りスプリング63が接続されており、係合アーム61はこの引っ張りスプリング63によってフック61Aが係合部51Fに係合する規制位置側に揺動付勢されている。
【0032】
また、トナーカートリッジ交換用扉52の係合アーム61と対応する位置には、連動手段としての操作突起52Bが設けられている。この操作突起52Bは、図7(a)に示すトナーカートリッジ交換用扉52が閉じた状態では、係合アーム61の操作部61Bを押圧し、係合アーム61を引っ張りスプリング63の付勢力に抗して解除位置側に揺動操作するようになっている。
このような構成の規制連動機構60は、トナーカートリッジ交換用扉52が閉じた状態では、図7(a)に示すように係合アーム61は解除位置側にあって係合部51Fと非係合状態であるために前面扉51を開く操作は可能である。一方、トナーカートリッジ交換用扉52が開いた状態では、操作突起52Bによる係合アーム61の操作部61Bへの押圧操作が解除されて、図7(b)に示すように係合アーム61が係合部51Fに係合した規制位置となり、前面扉51を開く操作が不能となるものである。
【0033】
また、トナーカートリッジ交換用扉52を開く操作に連動して前面扉51L,51Rが開くことを規制する規制手段としては、トナーカートリッジ交換用扉52が開いた状態であることを検知するセンサと、このセンサによる検知情報に基づいてソレノイド等の駆動手段の駆動によって係合部材を前面扉51L,51Rに係合させ、前面扉51L,51Rが開かない構成としても良いものである。
上記の構成例では、トナーカートリッジ交換用扉52が開いた状態において前面扉51が開くことを規制するが、前面扉51が開いた状態ではトナーカートリッジ交換用扉52が開くことを規制するように同様の連動機構を設けても良い。これにより、前面扉51が開いた状態ではトナーカートリッジ交換用扉52を開くことが規制され、前面扉51L,51Rとトナーカートリッジ交換用扉52とが同時に開くことによる干渉や噛み合い等に起因する破損等の不具合を抑制することができる。
【0034】
なお、上記実施の形態は、本発明をタンデム方式のカラー画像形成装置に適用したものであるが、本発明はこの構成に限定されるものではない。たとえば、ロータリー式の現像装置を備えるカラー画像形成装置や、中間転写ベルトを用いることなく感光体ドラムから直接記録用紙に画像を転写する画像形成装置に適用しても良く、さらには、電子写真方式以外の方式によって画像形成するものに用いても良いものである。
【符号の説明】
【0035】
1…画像形成装置、10…画像形成装置本体、31(31Y,31M,31C,31K)…トナーカートリッジ(色材収容部材)、51L,51R…前面扉(本体扉部材)、52…トナーカートリッジ交換用扉、52B…操作突起(連動手段)、53…操作把手(開閉操作部)、60…規制連動機構(規制手段,連動手段)、61…係合アーム(規制部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
開閉可能に設けられた第1扉部材と、
前記第1扉部材の下部に開閉可能に設けられた第2扉部材と、
開いた状態の前記第1扉部材が、前記第2扉部材と接触せずに予め定めた位置に配置されるよう当該第1扉部材を支持する支持部材と、
前記第1扉部材が前記支持部材により支持される前記予め定めた位置まで開いた状態で、当該第1扉部材と前記第2扉部材とが接触する前に当該第2扉部材の移動を規制する規制部材と
を備え、
前面側からみたときに開いた状態の前記第1扉部材は前記第2扉部材の少なくとも一部と重複して配置される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記規制部材は、前記第2扉部材が開いた状態では、前記第1扉部材が開くことを規制することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記規制部材は、前記第2扉部材が開くことを規制する規制位置と当該規制を解除する解除位置とを移動可能に設けられた規制手段と、
前記第1扉部材が開いた状態では前記規制手段を前記規制位置として当該第1扉部材と当該規制手段とを連動させる連動手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−93793(P2012−93793A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−28909(P2012−28909)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【分割の表示】特願2006−234536(P2006−234536)の分割
【原出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】