説明

画像形成装置

【課題】共通の装置を用いて感光体ドラムの絶縁破壊を未然に防ぎ画像品質維持を行うと共に、ドラムユニットの装着検知を行うこと。
【解決手段】制御部63は、通常の帯電電圧より低く帯電ローラー32と感光体ドラム31の間で放電の起こらない第1電圧を電源62に印加させる。この時電流測定部61が測定した電流値が第1閾値より小さい場合、制御部63は感光体ドラム31は結露していないみなし、電源62に通常の画像形成に用いる第2電圧を印加させる。電流値が第1閾値以上である場合、制御部63は電流値が第1閾値より小さくなるまで電源62に第1電圧の印加を継続させる。電源62が第2電圧を印加したときの電流値が第2閾値以上である場合、制御部63はドラムユニット39が装着済みと判断し、第2閾値より小さい場合、制御部63はドラムユニット39が未装着であると判断し、表示部64にエラーメッセージを表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体ドラムと、感光体ドラムの周面を帯電させる帯電装置と、感光体ドラムの周面に画像データに基づいたレーザー光を照射して静電潜像を形成する露光装置と、感光体ドラムの周面にトナーを供給して静電潜像をトナー像化する現像装置を有し、トナー像を用紙に転写することで画像を印刷する電子写真方式の画像形成装置が広く用いられている。
【0003】
このような装置において、感光体ドラムと帯電装置の間に放電が発生しない程度の低い電圧を帯電装置に印加しても正常時なら放電は起こらない。しかし、装置内が高温高湿になり感光体ドラム周面が結露すると、感光体ドラムと帯電装置の間の抵抗が下がり、電流が流れることがある。そして、この状態のまま帯電装置に通常の帯電電圧を印加すると、水分を介して大きな電流が流れ、感光体ドラムの周面に絶縁破壊が起こる可能性がある。絶縁破壊された部分はトナー像が正常に形成されず、画像抜け等の印刷不良が発生し、画像品質の低下を招いていた。
【0004】
そこで、特許文献1には、装置内に温湿度検知手段を配置し、温湿度検知手段の検知結果が所定値以上である場合、感光体ドラムを回転させて現像バイアスを印加し、所定時間経過後に帯電ローラーに通常の画像形成に用いる電圧より低い電圧を印加することによって帯電ローラーと感光体ドラムとの間のリークを防ぎつつ、感光体ドラムの水分を除去する方法が記載されている。
【0005】
ところで、少なくとも感光体ドラムと帯電装置等がドラムユニットとして一体化しており、装置に対して着脱可能な構成となっている画像形成装置では、一般的にはセンサーを用いてドラムユニットの装着・未装着を検出する。特許文献2には、転写部材を定電流制御し、この時の電圧が所定値以上の時はドラムユニットが未装着であることを報知する方法が記載されている。この方法の場合、ドラムユニットの検出にセンサーを用いないため、センサーにかかるコストを省くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−316141号公報
【特許文献2】特許第3000759号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の方法の場合、温湿度検知手段を設ける必要がある為、設置の手間やコストがかかってしまう。更に、特許文献2に記載の方法の場合、センサーは使用しないが、定電流制御中の電圧を測定する測定回路が必要となるため、コスト削減の効果は薄い。
【0008】
そこで、本発明は、感光体ドラムの絶縁破壊を未然に防ぎ画像品質維持を行うことと、ドラムユニットの装着検知を共通の装置を用いて行うことによってコスト削減を図る画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による画像形成装置は、電子写真感光体からなる像担持体と、前記像担持体の周面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段に電圧を印加する印加手段と、前記印加手段から前記帯電手段に流れる電流を測定する測定手段と、前記印加手段の印加電圧を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記帯電手段と前記像担持体の間で放電現象の起こらない予め定められた第1電圧を前記印加手段に印加させ、この時前記測定手段が測定した電流値が予め定められた第1閾値以上であるとき、当該電流値が前記第1閾値より小さくなるまで前記印加手段に前記第1電圧を継続させて印加させ、前記電流値が前記第1閾値より小さいとき、画像形成時に用いる予め定められた第2電圧を前記印加手段に印加させるものである。
【0010】
画像形成時に用いる通常の帯電電圧(第2電圧)より低く、帯電手段と前記像担持体の間で放電現象の起こらない電圧(第1電圧)を帯電手段に印加しても、正常時なら像担持体と帯電手段の間に電流は流れない。しかし、装置内が高温高湿で像担持体の周面が結露すると、像担持体と帯電手段の間の抵抗が下がり、電流が流れることがある。像担持体が結露状態のまま帯電手段に通常の帯電電圧(第2電圧)を印加すると、水分を介して大きな電流が流れ、像担持体の周面に絶縁破壊が起こる可能性がある。絶縁破壊された部分はトナー像が正常に形成されず、画像抜け等の印刷不良が発生し、画像品質の低下を招いてしまう。
【0011】
そこで、帯電手段に第1電圧を印加したときに、印加手段と帯電手段の間に流れる電流を測定手段が測定する。測定された電流値が第1閾値より小さい場合は、像担持体の周面は結露していないとみなし、制御手段は印加手段に第2電圧を印加させる(即ち、画像形成プロセスを開始させる)。電流値が第1閾値以上である場合、像担持体の周面が結露し、その水分を介して電流が流れている可能性が高い。従って、電流値が第1閾値より小さくなるまで印加手段に対して第1電圧を継続して印加させる。このウォームアップ動作により、像担持体の周面に付着した水分が蒸発し、結露状態を解消することができる。つまり、像担持体が結露しているときに第2電圧が印加(画像形成プロセスが開始)される事態を回避することができる。従って、放電による像担持体の絶縁破壊を防ぎ、画像品質を維持することができる。
【0012】
また、上記構成において、前記像担持体の周面に現像剤を供給する供給手段と、前記像担持体の周面に付着する現像剤を除去する除去手段と、を更に備え、前記制御手段は更に前記供給手段及び前記除去手段の動作を制御するものであり、前記印加手段が前記帯電手段に前記第1電圧を印加しているときに前記測定手段が測定した電流値が前記第1閾値以上であり、前記印加手段が前記第1電圧を継続して印加しているとき、前記制御手段は前記供給手段に前記像担持体への前記現像剤の供給を行わせ、前記除去手段に前記像担持体の周面にある現像剤の除去を行わせることが望ましい。
【0013】
この構成によれば、像担持体の周面に現像剤が供給されることによって、その現像剤が像担持体の周面に付着した水分を吸収する。そしてその現像剤を除去手段が像担持体の周面から取り除くことによって、像担持体の結露状態をより早く解消することができる。
【0014】
また、上記構成において、装置の異常を報知する報知手段を更に備え、前記制御手段は更に前記放置手段の動作を制御するものであり、前記像担持体と前記帯電手段は、ユニットとして一体的に構成され、装置に対して着脱可能に構成されており、前記印加手段が前記第2電圧を印加したときに前記測定手段が測定した電流値が予め定められた第2閾値より小さい場合、前記制御手段は、前記報知手段に前記ユニットが未装着である旨を報知させることが望ましい。
【0015】
この構成によれば、像担持体の結露検出と、ユニットの装着検出を共通の装置で実現することができ、コスト削減を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、像担持体の結露によって像担持体と帯電装置の間で発生する放電を回避することができるため、像担持体の絶縁破壊を防ぎつつ画像品質を維持することができると共に、像担持体の結露検出と共通の装置を用いてドラムユニット有無の検知を行うことで、コストダウンを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】画像形成装置の内部構造を示す断面図。
【図2】画像形成部の構成を簡単に示した図。
【図3】画像形成前に実行される感光体ドラムの結露検出とドラムユニットの装着検出の処理の流れを示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1としてモノクロプリンターを例示するが、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよく、またカラー画像を形成する画像形成装置であっても良い。
【0019】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する本体ハウジング10と、この本体ハウジング10内に収容される給紙部20、画像形成部30、定着部40を含む。また、画像形成装置1の前面側の上部には、液晶ディスプレイ等からなる表示部64(報知手段)が備えられている。表示部64は、後述する制御部による制御に従って、操作ガイドや各種メッセージを表示する。
【0020】
本体ハウジング10の前面側(図1の右側)には前カバー11が、後面側には後カバー12が各々備えられている。ユーザーは、前カバー11を開放することで、トナー切れの際にトナーコンテナ50を本体ハウジング10の前面側から取り出すことができる。後カバー12は、シートジャムやメンテナンスの際に開放されるカバーである。画像形成部30及び定着部40の各ユニットは、後カバー12が開放されることで、本体ハウジング10の後面側から取り出し可能となる。また、本体ハウジング10の上面には、画像形成後のシートが排出される排紙部13が備えられている。
【0021】
給紙部20は、画像形成処理が施されるシートを収容する給紙カセット21を含む。この給紙カセット21は、その一部が本体ハウジング10の前面からさらに前方に突出している。給紙カセット21には、シートの束が収容されるシート収容空間、シートの束を給紙のためにリフトアップするリフト板等が備えられている。給紙カセット21の後端側の上部にはシート繰出部21Aが設けられている。このシート繰出部21Aには、給紙カセット21内のシート束の最上層のシートを1枚ずつ繰り出すためのピックアップローラー(図略)が配置されている。
【0022】
画像形成部30は、給紙部20から送り出されるシートにトナー画像を形成する画像形成処理を行う。画像形成部30は、感光体ドラム31(像担持体)と、この感光体ドラム31の周囲に配置された、帯電ローラー32(帯電手段)、露光装置36、現像装置33(供給手段)、転写ローラー34及びクリーニング装置35(除去手段)とを含む。このうち、少なくとも感光体ドラム31及び帯電ローラー32は、ドラムユニット39として一体的に構成されており、画像形成装置1に対して着脱可能な構成になっている。
【0023】
感光体ドラム31は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム31としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電ローラー32は、後述する電源62(印加手段)から帯電電圧が印加されることによって感光体ドラム31の表面を均一に帯電するものである。帯電ローラー32は、感光体ドラム31に近接又は当接して配置される。
【0024】
露光装置36は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム31の周面に、パーソナルコンピューター等の外部装置から与えられる画像データに基づいて変調された光を照射して、静電潜像を形成する。
【0025】
現像装置33は、感光体ドラム31上の静電潜像を現像してトナー像を形成するために、感光体ドラム31の周面にトナーを供給する。現像装置33は、感光体ドラム31に供給するトナーを担持する現像ローラー331と、現像ハウジングの内部で現像剤を攪拌しながら循環搬送する第1搬送スクリュー332及び第2搬送スクリュー333とを含む。
【0026】
転写ローラー34は、感光体ドラム31の周面に形成されたトナー像をシート上に転写させるためのローラーであって、感光体ドラム31と転写ニップ部を形成している。この転写ローラー34には、トナーと逆極性の転写バイアスが与えられる。クリーニング装置35は、ブレード等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム31の周面から残トナーを取り除く。
【0027】
定着部40は、転写されたトナー像をシート上に定着する定着処理を行う。定着部40は、加熱源を内部に備えた定着ローラー41と、この定着ローラー41に対して圧接され、定着ローラー41との間に定着ニップ部を形成する加圧ローラー42とを含む。トナー像が転写されたシートが定着ニップ部に通紙されると、トナー像は、定着ローラー41による加熱及び加圧ローラー42による押圧により、シート上に定着される。
【0028】
トナーコンテナ50は、現像装置33に補給するトナー(現像剤)を貯留する。トナーコンテナ50は、トナーの主な貯留箇所となるコンテナ本体51と、コンテナ内部に収容されトナーを搬送する回転部材54とを含む。トナーコンテナ50内に貯留されたトナーは、回転部材54が回転駆動されることによって現像装置33内に供給される。
【0029】
本体ハウジング10内には、シートを搬送するために、主搬送路22F及び反転搬送路22Bが備えられている。主搬送路22Fは、給紙部20のシート繰出部21Aから画像形成部30及び定着部40を経由して、本体ハウジング10上面の排紙部13に対向して設けられている排紙口14まで延びている。反転搬送路22Bは、シートに対して両面印刷を行う場合に、片面印刷されたシートを主搬送路22Fにおける画像形成部30の上流側に戻すための搬送路である。
【0030】
主搬送路22Fの、感光体ドラム31と転写ローラー34との転写ニップ部よりも上流側には、レジストローラー対23が配置されている。シートは、レジストローラー対23にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、前記転写ニップ部に送り出される。主搬送路22F及び反転搬送路22Bの適所には、シートを搬送するための搬送ローラーが複数配置されており、例えば排紙口14の近傍には排紙ローラー対24が配置されている。
【0031】
反転搬送路22Bは、反転ユニット25の外側面と、本体ハウジング10の後カバー12の内面との間に形成されている。尚、反転ユニット25の内側面には転写ローラー34及びレジストローラー対23の一方のローラーが搭載されている。後カバー12及び反転ユニット25は、それらの下端に設けられた支点部121の軸回りに各々回動可能である。反転搬送路22Bにおいてシートジャムが発生した場合、後カバー12が開放される。主搬送路22Fでシートジャムが発生した場合、或いは感光体ドラム31のユニットや現像装置33が外部に取り出される場合には、後カバー12に加えて反転ユニット25も開放される。
【0032】
図2は、画像形成部30の構成を簡単に示した図である。電流測定部61(測定手段)は、電源62と帯電ローラー32の間に電源62と直列に接続される。そして電流測定部61は、電源62と帯電ローラー32の間に流れる電流を測定し、測定値を制御部63へ出力する。
【0033】
制御部63(制御手段)は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)等によって構成され、画像形成装置1を構成する各機能部への指示信号の出力、データ転送等を行って画像形成装置1を統括的に制御するものである。また、制御部63は、電流測定部61から測定値を取り込み、電源62、現像装置33及びクリーニング装置35を制御する。また、表示部64に対して、所定のメッセージ等を表示させる等の表示制御を行う。
【0034】
電源62は、感光体ドラム31の周面を一様に帯電させるための帯電電圧を帯電ローラー32に印加する。
【0035】
正常時、通常の帯電電圧より低く、感光体ドラム31と帯電ローラー32の間に放電が起こらない電圧を帯電ローラー32に印加しても、正常時なら感光体ドラム31と帯電ローラー32の間に電流は流れない。しかし、画像形成装置1内が高温高湿となり感光体ドラム31周面が結露すると、結露による水分によって感光体ドラム31と帯電ローラー32の間の抵抗が下がり、通常なら電流が流れないような低い電圧であっても電流が流れることがある。
【0036】
そして、感光体ドラム31が結露している状態のまま帯電ローラー32に通常の帯電電圧を印加すると、水分を介して大きな電流が流れ、感光体ドラム31の周面に絶縁破壊が起こる可能性がある。絶縁破壊された部分はトナー像が正常に形成されず、画像抜け等の印刷不良が発生し、画像品質の低下を招いていた。
【0037】
そこで、画像形成前に、通常の帯電電圧より低く、帯電ローラー32と感光体ドラム31の間で放電の起こらない第1電圧を帯電ローラー32に印加し、このときに電源62と帯電ローラー32の間に流れる電流を電流測定部61が測定する。このとき測定された電流値が予め定められた閾値以上であった場合、感光体ドラム31が結露したために水分を介して電流が流れたとみなし、電流値が閾値より小さい値になるまで第1電圧を印加し続ける。このウォームアップ動作によって、感光体ドラム31の周面の水分を蒸発させて結露状態を解消する。
【0038】
また、この電流測定部61の測定値を用いればドラムユニット39の装着・未装着を検出することができる。つまり、共通の要素を用いてドラムユニット39を検出するため、コスト削減を図ることができる。
【0039】
図3は、画像形成前に実行される感光体ドラム31の結露検出とドラムユニット39の装着検出の処理の流れを示したフローチャートである。まず、制御部63は、通常の帯電電圧(例えば1300V)より低く、帯電ローラー32と感光体ドラム31の間で放電の起こらない第1電圧(例えば400V)を電源62に印加させる(ステップS11)。
【0040】
そして、電流測定部61が測定した電流値が第1閾値(例えば5μA)より小さい場合(ステップS13;NO)、制御部63は感光体ドラム31の周面は結露していないと判断し、ステップS14へ処理を進める。
【0041】
第1閾値は、装置開発時等に実験で感光体ドラム31の結露状態を作り出し、このときに電源62と帯電ローラー32の間に発生した電流値を用いて設計者によって設定される。また、実際に帯電ローラー32から感光体ドラム31への流れ込み電流が発生しなかったとしても、ノイズ等の影響で電流測定部61が微小な電流を検出する場合がある。そのため、電流値が第1閾値より小さいときは、ノイズの可能性が高いため、感光体ドラム31は結露していないとみなす。
【0042】
電流値が第1閾値以上である場合(ステップS13;YES)、制御部63は電源62に対して第1電圧の印加を継続させる(ステップS12)。帯電ローラー32に第1電圧が供給され続けることによって、感光体ドラム31の周面に付着した水分が蒸発し、結露状態を解消することができる。
【0043】
更に、制御部63は、現像装置33に対して感光体ドラム31にトナーを供給させると共に、クリーニング装置35に感光体ドラム31の周面のトナーを除去させてもよい。一般的に、トナーは吸湿性がある。従って、感光体ドラム31の周面にトナーを供給することによって、トナーが水分を吸い取る。更に、そのトナーをクリーニング装置35が感光体ドラム31の周面から取り除くことによって、周面上の水分をより早く除去することができる。
【0044】
尚、感光体ドラム31の周面にトナーを供給して水分を除去する場合、転写ローラー34には画像形成時に印加する電圧とは逆極性の電圧を印加する。これにより、感光体ドラム31のトナーは転写ローラー34側に移動しない。
【0045】
制御部63は、ステップS12の処理を、電流測定部61の測定値が第1閾値より小さくなるまで行う。制御部63は、ステップS12とステップS13に示した結露除去処理を実行している間、表示部64にその旨のメッセージを表示させてもよい。また、所定時間を超えても測定値が第1閾値より小さくならない場合は、装置故障等も考えられるため、制御部63は電源62に電圧印加を終了させ、表示部64にエラーメッセージを表示させる処理を行ってもよい。
【0046】
電流測定部61の測定結果が第1閾値より小さい場合(ステップS13;NO)、制御部63は電源62に画像形成時に用いる通常の帯電電圧(例えば1300V。第2電圧)を印加させる(ステップS14)。そして、電流測定部61が測定した電流値が第2閾値(例えば5μA)以上である場合(ステップS15;YES)、制御部63はドラムユニット39が装着されていると判断し、画像形成プロセスを開始する(ステップS17)。
【0047】
電流値が第2閾値より小さい場合(ステップS15;NO)、制御部63はドラムユニット39が未装着であると判断し、表示部64にエラーメッセージを表示させる(ステップS16)。
【0048】
電源62が画像形成時に用いる通常の帯電電圧(第2電圧)を帯電ローラー32に印加すると、電源62と帯電ローラー32との間で帯電電流が流れる。しかし、ドラムユニット39が未装着の場合は、帯電電流は当然流れない。つまり、電源62が画像形成時に用いる通常の帯電電圧(第2電圧)を印加したときの電流測定部61の測定値によって、ドラムユニット39の装着、未装着を判断することができる。
【0049】
以上、説明したように、画像形成前に、通常の帯電電圧より低く帯電ローラー32と感光体ドラム31の間で放電の起こらない第1電圧を帯電ローラー32に印加し、このときに電源62と帯電ローラー32の間に流れる電流を電流測定部61が測定することによって、感光体ドラム31の結露状態を判断することができる。そして、結露状態が解消されるまで帯電ローラー32に第1電圧を印加し続けることによって、結露状態のまま画像形成プロセスが開始されることを防止することができる。つまり、画像形成時に用いる通常の帯電電圧を帯電ローラー32に印加したことによって、結露による水分を介して流れる大きな電流による感光体ドラム31の絶縁破壊を防ぐことができ、画像品質を維持することができる。
【0050】
更に、感光体ドラム31の結露検出に用いる電流測定部61をドラムユニット39の装着・未装着の検出に用いることで、回路を共通化することができ、コスト削減を図ることができる。
【0051】
尚、本実施の形態では、報知手段として表示部64を例に説明したが、この限りではなく、例えば発光ダイオード等の発光素子による点灯や音声出力装置による音声等でメッセージやエラーを報知してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 画像形成装置
30 画像形成部
31 感光体ドラム
32 帯電ローラー
33 現像装置
34 転写ローラー
35 クリーニング装置
39 ドラムユニット
61 電流測定部
62 電源
63 制御部
64 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真感光体からなる像担持体と、
前記像担持体の周面を帯電させる帯電手段と、
前記帯電手段に電圧を印加する印加手段と、
前記印加手段から前記帯電手段に流れる電流を測定する測定手段と、
前記印加手段の印加電圧を制御する制御手段と、
を備え、前記制御手段は、前記帯電手段と前記像担持体の間で放電現象の起こらない予め定められた第1電圧を前記印加手段に印加させ、この時前記測定手段が測定した電流値が予め定められた第1閾値以上であるとき、当該電流値が前記第1閾値より小さくなるまで前記印加手段に前記第1電圧を継続させて印加させ、前記電流値が前記第1閾値より小さいとき、画像形成時に用いる予め定められた第2電圧を前記印加手段に印加させる画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体の周面に現像剤を供給する供給手段と、
前記像担持体の周面に付着する現像剤を除去する除去手段と、
を更に備え、前記制御手段は更に前記供給手段及び前記除去手段の動作を制御するものであり、前記印加手段が前記帯電手段に前記第1電圧を印加しているときに前記測定手段が測定した電流値が前記第1閾値以上であり、前記印加手段が前記第1電圧を継続して印加しているとき、前記制御手段は前記供給手段に前記像担持体への前記現像剤の供給を行わせ、前記除去手段に前記像担持体の周面にある現像剤の除去を行わせる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
装置の異常を報知する報知手段を更に備え、前記制御手段は更に前記放置手段の動作を制御するものであり、前記像担持体と前記帯電手段は、ユニットとして一体的に構成され、装置に対して着脱可能に構成されており、前記印加手段が前記第2電圧を印加したときに前記測定手段が測定した電流値が予め定められた第2閾値より小さい場合、前記制御手段は、前記報知手段に前記ユニットが未装着である旨を報知させる請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−109118(P2013−109118A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253480(P2011−253480)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】