説明

画像形成装置

【課題】定着装置の内部に発生した熱気が周辺へ漏れるのを回避できて、機内の熱汚染を抑制可能な画像形成装置の提供を図る。
【解決手段】定着装置30を隔壁12Fの開窓部13に挿入して格納位置にセットすると、カバー50が押圧手段51によって開窓部13の外側周縁部に相対的に軸方向移動可能に弾性的に押圧されて当接する。これにより、定着装置30の内部に発生した熱気が開窓部13を通して隔壁12の外側に漏れるのを回避して、機内の熱汚染を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファックス等、およびこれら複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、用紙にトナー画像を形成する場合、用紙にトナー画像を転写し、その後、当該用紙が定着装置における定着ニップ部を通過することにより用紙にトナー画像を定着させるというプロセスを実行する。
【0003】
この定着装置は、メンテナンス作業を容易にするため、例えば、特許文献1に示されているように、画像形成装置の本体筺体に対して挿抜可能に配設してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−171251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
定着装置による用紙画像の定着が高温で行われるため、該定着装置による機内の熱汚染が問題となる。
【0006】
そこで、本発明は定着装置の内部に発生した熱気が該定着装置の周辺へ漏れるのを回避できて、定着装置による機内の熱汚染を抑制することができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置にあっては、本体筺体およびその内側の隔壁に対して挿抜可能に配設された定着装置と、前記定着装置の挿入後方側の端部に装着されて、該定着装置が挿通する前記隔壁の開窓部の外側周縁部に当接するカバーと、前記カバーを前記開窓部の外側周縁部に相対的に軸方向移動可能に弾性的に押圧して当接させる押圧手段と、を備えたことを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、定着装置を隔壁の開窓部に挿入して格納位置にセットすると、挿入後方側の端部のカバーが、押圧手段によって開窓部の外側周縁部に相対的に軸方向移動可能に弾性的に押圧されて当接する。
【0009】
この結果、定着装置の内部に発生した熱気が開窓部を通して隔壁の外側に漏れるのを回避して、定着装置による機内の熱汚染を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の画像形成装置を概念的に示す全体構成図。
【図2】本体筺体の前扉を開いて内側の隔壁と定着装置およびカバーとの配置関係を略示的に示す正面説明図。
【図3】図2のA−A線に沿う断面説明図。
【図4】図2におけるカバー周辺を拡大して示す正面図。
【図5】図4のB−B線に沿う断面説明図。
【図6】図4のC−C線に沿う断面説明図。
【図7】押圧手段の異なる例を示す図5と同様の断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0012】
図1は、本発明に係る画像形成装置Aを説明する図である。
【0013】
画像形成装置Aは、タンデム型カラー画像形成装置と称されるもので、4組の画像形成部により画像形成を行う。
【0014】
原稿台上に載置された原稿は画像読取装置SCの走査露光装置の光学系により画像が走査露光され、ラインイメージセンサに読み込まれ、光電変換された画像情報信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、画像形成部の光書込部に入力される。
【0015】
4組の画像形成部はイエロー(Y)色の画像を形成する画像形成部10Y、マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成部10M、シアン(C)色の画像を形成する画像形成部10C、黒(K)色の画像を形成する画像形成部10Kであり、それぞれ共通する符号10の後に形成する色をあらわす符号Y、M、C、Kを付して表記する。
【0016】
画像形成部10Yは、感光体ドラム1Yおよびその周囲に配置された帯電部2Y、光書込部3Y、現像装置4Y、およびドラムクリーナ5Yを備えている。
【0017】
その他の画像形成部10M,10C,10Kも、画像形成部10Yと同様な構成であり、感光体ドラム1M,1C,1Kの周辺に、帯電部2M,2C,2K、光書込部3M,3C,3K、現像装置4M,4C,4K、およびドラムクリーナ5M,5C,5Kを備えている。
【0018】
画像形成部10は、光書込部3にて画像情報信号を感光体ドラム1に書き込み、感光体ドラム1に画像情報信号にもとづく潜像を形成する。そして、潜像は現像装置4により現像され、感光体ドラム1上に可視画像であるトナー画像が形成される。
【0019】
画像形成部10Y,10M,10C,10Kのそれぞれの感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、黒(K)色の画像が形成される。
【0020】
中間転写ベルト6は、複数のローラにより巻回され、走行可能に支持されている。
【0021】
画像形成部10Y,10M,10C,10Kにより形成された各色のトナー画像は、走行する中間転写ベルト6上に一次転写部7Y,7M,7C,7Kにより逐次転写されて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色が重畳したカラー画像が形成される。
【0022】
用紙搬送部20は用紙Sを搬送する。用紙Sは給紙トレイ291,292,293に収容されている。用紙Sは第1給紙部21により給紙され、レジストローラ22を経て二次転写部7Aに搬送され、用紙S上に中間転写ベルト6上のカラー画像が転写される。カラー画像が転写された用紙Sは、定着装置30にて加熱・加圧することにより用紙S上のトナー画像が定着され、定着搬送ローラ23および排紙ローラ25を経て機外に排出される。
【0023】
また、画像形成装置Aは用紙反転部24を備えており、定着がなされた用紙Sを定着搬送ローラ23から用紙反転部24に導いて表裏を反転して排紙ローラ25を経由して排出し、あるいは画像形成部10の上流位置へ再給紙して、用紙Sの両面に画像形成を行うことを可能としている。
【0024】
この画像形成装置Aは、その本体上部に設置された操作表示部80により、画像形成を行うことを可能としている。
【0025】
上述の定着装置30として、本実施形態では装置筺体31内に配設した定着ベルトユニット32と、該定着ベルトユニット32と圧接して定着ニップ部NPを形成する加圧ローラ36と、を備えている。
【0026】
定着ベルトユニット32は、定着ローラ33と、加熱ローラ34と、これら両ローラ33,34に掛架した定着用ベルト35と、を備えている。
【0027】
この定着装置30において、用紙Sは定着対象面が定着ベルトユニット32と向き合う格好で搬送されており、用紙Sの搬送過程で定着ニップ部NPを通過する。これにより、定着ベルトユニット32の定着ローラ33と加圧ローラ36とによる加圧、および定着用ベルト35の有する熱の作用によって、用紙Sの定着対象面へのトナー画像の定着が行われる。
【0028】
定着装置30における定着ニップ部NPの排紙側近傍に、該定着ニップ部NPに通紙された用紙の先端に定着用ベルト35から分離させるための分離風を吹きつける分離風吹きつけ手段40を配設してある。
【0029】
また、定着装置30における用紙Sの導入側近傍には、加圧ローラ36の下面側に冷却風を吹きつける冷却風吹きつけ手段41を配設してある。
【0030】
画像形成装置Aの本体筺体11の内側には、図2,図3に示すように前述の画像形成部10、用紙搬送部20、定着装置30の配設部を隔成する隔壁12を設けてある。
【0031】
本実施形態では、本体筺体11の正面側と背面側、即ち、用紙Sの搬送方向と直交する方向の両側近傍位置に前,後隔壁12F,12Rとして設けられ、これら隔壁12F,12Rは前記各部の機構部品の支持フレームとして機能している。
【0032】
本体筺体11の正面側は開閉扉として構成され、これに隣接した前部隔壁12Fには開窓部13を設けてある。そして、開閉扉を開き、この開窓部13を通して定着装置30を本体筺体11および前部隔壁12Fに対して前後方向に挿抜可能に配設してある。
【0033】
定着装置30は、図外の移動ガイド手段を介して前部隔壁12Fの内側の格納位置と、外側の取出位置とに可動的に配設してある。この移動ガイド手段としては、例えば、ガイドレールと転動ローラとの組み合わせからなる汎用のガイド手段を用いることができる。
【0034】
また、定着装置30は、前記移動ガイド手段に組み込まれた可動調整機構により、前記格納位置にあっては、定着ニップ部NPに通紙される用紙Sの搬送方向と直交方向に、即ち、図3に矢印aで示す紙幅方向に揺動するようにしている。これにより用紙Sの端部が定着ベルト35および加圧ローラ36の表面の同一箇所に接することで、当該表面が損傷するのを回避し、常に安定した定着を可能としている。
【0035】
図2に示す例では、上述の前部隔壁12Fの開窓部13を、定着装置30に対応した部分の他に、画像形成部10の現像装置および転写装置に対応する部分と、用紙搬送部20に対応した部分とに亘る広がりをもって矩形形状が連設した形状に形成してある。
【0036】
これにより、画像形成部10および用紙搬送部20のメンテナンス作業を開窓部13を通して容易に行えるようにしている。また、用紙搬送部20は、これに対応した部分から定着装置30と同様に前後方向に挿抜可能として、ジャム処理やメンテナンス作業の容易化を図っている。
【0037】
定着装置30の挿入後方側の端部、即ち、装置筺体31の正面側の端部には、開窓部13の該定着装置30に対応する部分の外側周縁部に当接するカバー50と、該カバー50をこの外側周縁部に相対的に軸方向移動可能に弾性的に押圧して当接させる押圧手段51と、を備えている。
【0038】
押圧手段51は、図4,図5に示すように、装置筺体31の端壁の上部両側と、下部中央の3ヶ所に突設されて、カバー50を定着装置30の軸方向に摺動可能に挿通支持する複数のガイドピン52と、各カイドピン52に外装されてカバー50に隔壁12F側に向けてばね力を付勢するコイルスプリング53と、を備えている。
【0039】
コイルスプリング53は、ガイドピン52の先端部に設けたストッパー52aとカバー50との間に配設され、カバー50を開窓部13の定着装置30に対応する部分の外側周縁部に押圧可能としている。
【0040】
これにより、定着装置30を開窓部13を通して隔壁12Fの内側の格納位置にセットすると、その移動過程でカバー50の周縁フランジ50aが開窓部13の外側周縁部に係止する。すると、カバー50がコイルスプリング53のばね力に抗してガイドピン52上を相対的に軸方向に移動し、周縁フランジ50aを開窓部13の対応する外側周縁部に弾性的に押圧して当接させる。
【0041】
本実施形態では、開窓部13の外側周縁部には、カバー50の周縁フランジ50aが当接する部分に、該周縁フランジ50aと密接するゴム,合成樹脂等の所要厚みの弾性部材54を固着して、定着装置30の格納時におけるバンパー機能と、開窓部13周りのシール機能とが得られるようにしている。
【0042】
以上の構成からなる本実施形態の画像形成装置によれば、本体筺体11の正面の開閉扉を開いて、定着装置30を前部隔壁12Fの開窓部13に挿入して格納位置にセットすると、その移動過程でカバー50の周縁フランジ50aが開窓部13の外側周縁部に係止する。
【0043】
すると、カバー50が押圧手段51を構成するコイルスプリング53のばね力に抗してガイドピン52上を相対的に軸方向に移動し、周縁フランジ50aを開窓部13の対応する外側周縁部に弾性的に押圧して当接させる。
【0044】
この結果、定着装置30の内部に発生した熱気が開窓部13を通して隔壁12Fの外側に漏れるのを回避する。これにより、定着装置30のメンテナンス作業性の向上と、定着装置30による機内の熱汚染の抑制との両立を図ることができる。
【0045】
特に本実施形態では、押圧手段51はカバー50の軸方向移動を可能としているので、定着装置30を上述のように用紙Sの紙幅方向に揺動して定着ベルト35および加圧ローラ36の損傷を回避するようにした場合でも、カバー50による開窓部13の閉塞状態を維持することができる。これにより、紙幅サイズに合わせた定着領域調整による定着性能の向上と、機内の熱汚染の抑制との両立を図ることができる。
【0046】
また、開窓部13の外側周縁部には、カバー50の周縁フランジ50aが当接する部分に、該周縁フランジ50aと密接する弾性部材54を固着してあるので、定着装置30の格納時にバンパー機能が得られて不快な衝接異音の発生や、カバー50,隔壁12相互の損傷を回避できると共に、開窓部13周りのシール機能が得られて前述の熱気の漏出防止を徹底することができる。
【0047】
更に、分離風吹きつけ手段40や冷却風吹きつけ手段41等、定着装置30の装置筺体31内への送風手段を付設したものでは、開窓部13から隔壁12の外側への熱気の漏出が助長される傾向となるが、カバー50と、その押圧手段51および弾性部材54との相乗作用によって、熱気の漏出防止効果を得ることができる。
【0048】
図7は押圧手段51の変形例を示しており、この変形例では前述のコイルスプリング53を本体筺体11の開閉扉11Aの背面に設け、定着装置30を格納した後、開閉扉11Aを閉じると、コイルスプリング53でカバー50を開窓部13の外側周縁部に押圧するようにしている。
【0049】
従って、この変形例にあっても前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0050】
11…本体筺体
12…隔壁
13…開窓部
30…定着装置
40…分離風吹きつけ手段(送風手段)
41…冷却風吹きつけ手段(送風手段)
50…カバー
51…押圧手段
54…弾性部材
A…画像形成装置
NP…定着ニップ部
S…用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体筺体およびその内側の隔壁に対して挿抜可能に配設された定着装置と、
前記定着装置の挿入後方側の端部に装着されて、該定着装置が挿通する前記隔壁の開窓部の外側周縁部に当接するカバーと、
前記カバーを前記開窓部の外側周縁部に相対的に軸方向移動可能に弾性的に押圧して当接させる押圧手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記定着装置は、定着ニップ部に通紙される用紙の搬送方向と直交方向である紙幅方向に揺動可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記開窓部の外側周縁部に、前記カバーと密接可能な弾性部材を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記定着装置の装置筺体内へ送風する送風手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−109247(P2013−109247A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255711(P2011−255711)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】