説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置におけるAPS/ATSでの給紙トレイ選択に際し、連続給紙を長い時間行うことを可能にする。
【解決手段】自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の実行に際し、該実行が可能な複数の給紙トレイが有り、実行可能な前記給紙トレイ中に、前記実行が可能な他の給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な給紙トレイと、前記実行が可能な他のいずれかの給紙トレイで給紙中に用紙補給が不可となる給紙トレイとが存在する場合、前者の前記給紙トレイを選択して給紙することで、用紙切れした後、他の給紙トレイで給紙中に、用紙の補給が可能な給紙トレイが選択され、連続給紙をより長い時間行うことが可能になり、画像形成の生産性が向上する効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像データーに基づいて、給紙トレイから給紙される用紙への画像形成を行う画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像データーに基づいて画像形成を行う複写機、ファクシミリ、プリンター、複合機などの画像形成装置では、原稿読み取りなどによって取得した画像データーに基づいて画像形成部で感光体上に画像を形成し、これを給紙トレイから給紙される用紙に転写し、さらに定着器で定着することで用紙への印刷を行っている。
前記給紙トレイに対しては、給紙される用紙の紙種や紙サイズなどの用紙条件の設定が可能であり、画像形成に際しては、所望の紙種、紙サイズなどの用紙条件が一致する用紙が格納された給紙トレイを選択して給紙を行う。この給紙トレイの選択において、操作者が手動で給紙トレイを選択することも可能であるが、画像形成を行う所望の紙種、紙サイズなどの給紙条件と一致する用紙が格納されている給紙トレイを自動的に選択するAPS(AutoPaperSelect:自動用紙選択)機能や、給紙中の給紙トレイで用紙切れが生じた際に、同一の紙種や紙サイズなどの用紙が格納されている給紙トレイを選択して自動的に切り換えて給紙を継続するATS(AutoTraySwitching:自動給紙トレイ切換)機能を有する画像形成装置が実用化されている。APSとATSとは、両方を実行可能な他、一方のみを実行可能な画像形成装置が存在する。
【0003】
また、最近の画像形成装置では、大量の印刷を必要とする軽印刷分野などの要請もあり、多段、多連の給紙トレイを備え、必要に応じて給紙トレイを選択して給紙するものが実用化されている。この多段、多連の給紙トレイを備える画像形成装置においても、上記した自動用紙選択機能や自動給紙トレイ切換機能を有するものでは、給紙トレイの自動選択や自動切り換えが行われ、生産性の向上が図られている。
【0004】
また、自動用紙選択機能や自動給紙トレイ切換機能において、生産性をさらに高める工夫もなされている。
例えば、特許文献1では、自動給紙トレイ切換機能によって給紙トレイAから給紙トレイBに切り換え、用紙切れの給紙トレイAに用紙補給を行った後、優先度が給紙トレイA>給紙トレイBとなった場合にも、給紙トレイBを優先して使用し、給紙トレイBの紙無しに伴って給紙トレイAに自動給紙トレイ切換を行うことで、生産性を向上させた画像形成装置が提案されている。
また、特許文献2では、自動給紙トレイ切換先トレイ(予測)の紙残量も含めて、紙補給となる場合に警告を行うことで、生産性の低下を防止する画像形成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−274818号公報
【特許文献2】特開2005−14361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した多段、多連の給紙トレイでは、装置の省スペース化などの観点から用紙の搬送路の一部を複数の給紙トレイで共用したり、給紙トレイの挿抜構造と干渉する搬送路が組み込まれたりする場合があり、その搬送路を使用する上流側の給紙トレイが給紙中の場合、搬送に使用する搬送路や給紙トレイの挿抜干渉が制約となって下流側の給紙トレイで用紙の補給ができなくなる場合がある。
【0007】
例えば、自動用紙選択機能や自動給紙トレイ切換機能によって選択された給紙トレイが用紙切れして他の給紙トレイが選択されて給紙されている際に、その給紙に制約を受けて用紙切れをしている給紙トレイへの用紙補給を行えない場合がある。他に選択可能な給紙トレイがなければ、現給紙中の給紙トレイで用紙切れが生じると、一旦給紙を停止して用紙補給を行うことが必要になり、生産性が低下する要因となる。
【0008】
具体的には、例えば、自動給紙トレイ切り換えが可能トレイが2つ有り、一方が他の給紙トレイで給紙中に紙補給が不可なトレイ(Aとする)、もう一方が他の給紙トレイで給紙中に紙補給が可能なトレイ(Bとする)の場合、トレイA→トレイB→トレイAと切り換えた場合、下記ワークフローとなり連続給紙が行えない。
・トレイA紙無し→トレイB給紙→トレイB紙無し→トレイA紙補給(給紙停止)→トレイA給紙→JOB終了
【0009】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、他の給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な給紙トレイを自動用紙選択機能や自動給紙トレイ切換機能で優先して選択することで連続給紙を可能にし、生産性の高い稼働を可能にする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明の画像形成装置は、用紙を収納して給紙する複数の給紙トレイと、
前記給紙を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、複数の給紙トレイのうちから給紙条件を満たす用紙を収納した給紙トレイを自動的に選択する自動用紙選択機能と、給紙トレイから所定の用紙を給紙中に当該給紙トレイで用紙切れになったときに、前記所定の用紙と同じ給紙条件を満たす用紙が収納された他の給紙トレイを選択して切り換える自動給紙トレイ切換機能の一方または両方の機能を有し、
自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の実行に際し、該実行が可能な複数の給紙トレイが有り、実行可能な前記給紙トレイ中に、前記実行が可能な他の給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な給紙トレイと、前記実行が可能な他のいずれかの給紙トレイで給紙中に用紙補給が不可となる給紙トレイとが存在する場合、前者の前記給紙トレイを選択して給紙することを特徴とする。
【0011】
上記本発明によれば、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の実行に伴って選択された給紙トレイで給紙が行われ、この給紙トレイで用紙切れが生じて他の給紙トレイで給紙が行われる際に、給紙を停止することなく用紙切れの前記給紙トレイに用紙補給を行うことができ、連続給紙を長く行うことが可能になる。
例えば、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の実行で、他の給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な給紙トレイBが選択され、給紙トレイBで用紙切れが生じると、トレイB紙無し→トレイA給紙(トレイB用紙補給)→トレイA紙無し→トレイB給紙のフローとなり、連続給紙が可能になる。
【0012】
なお、自動用紙選択機能や自動給紙トレイ切換機能で給紙トレイの選択条件となる給紙条件としては、用紙の紙種、サイズ、坪量などが挙げられる。自動用紙選択機能や自動給紙トレイ切換機能で用いる給紙条件としては、これらの1つの条件からなるものであってもよく、また、複数の条件からなるものであってもよく、本発明としては特定の条件に限定されるものではない。
【0013】
第2の本発明の画像形成装置は、用紙を収納して給紙する複数の給紙トレイと、
前記給紙を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、複数の給紙トレイのうちから給紙条件を満たす用紙を収納した給紙トレイを自動的に選択する自動用紙選択機能と、給紙トレイから所定の用紙を給紙中に当該給紙トレイで用紙切れになったときに、前記所定の用紙と同じ給紙条件を満たす用紙が収納された他の給紙トレイを選択して切り換える自動給紙トレイ切換機能の一方または両方の機能を有し、
自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の実行があると、該実行が可能な給紙トレイがその際になく、かつ用紙補給をすれば前記実行が可能な複数の給紙トレイがあり、用紙補給により実行が可能な前記給紙トレイ中に、前記実行が可能な他の給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な給紙トレイと、前記実行が可能な他のいずれかの給紙トレイで給紙中に用紙補給が不可となる給紙トレイとが存在する場合、後者の前記給紙トレイであって現給紙中に用紙補給が可能な前記給紙トレイを選択して用紙補給を促すことを特徴とする。
【0014】
上記本発明によれば、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能が実行されると選択可能な給紙トレイがない場合、用紙補給が促された給紙トレイで用紙補給が行われると、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の実行に際し当該給紙トレイから給紙を行うことができ、しかも、この給紙トレイでの給紙中には、他の給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な給紙トレイに用紙補給を行うことができ、給紙を停止することなく用紙切れとなった前記給紙トレイに用紙補給を行うことができ、連続給紙を長く行うことが可能になる。
なお、用紙補給を促すタイミングは本発明としては特に限定されるものではなく、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能が実行されるまでに警告がなされているのが望ましい。自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能が実行されるまでに用紙補給を促す警告を行う場合、給紙中のトレイの用紙残量が所定量以下になると上記用紙補給を促すようにしてもよい。所定量は適宜設定が可能であり、用紙切れになるまでに用紙補給を行える時間を確保できるように設定するのが望ましい。
【0015】
第3の画像形成装置は、前記第2の本発明において、前記制御部は、後者の前記給紙トレイであって現給紙中に用紙補給が可能な前記給紙トレイが複数ある場合、互いの給紙トレイ間で、一方の給紙トレイが給紙中に他方の給紙トレイで用紙補給が不可となるとき、前記他方の給紙トレイを優先して選択することを特徴とする。
【0016】
上記本発明によれば、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の実行の際に、給紙中の用紙補給がより困難な給紙トレイを優先して用紙補給を行うので、連続給紙を一層確実に行うことが可能になる。
【0017】
第4の画像形成装置は、前記第2または第3の本発明において、前記制御部によって制御される表示部を備え、
前記制御部は、前記表示部に前記用紙補給を促す表示を行うことを特徴とする。
【0018】
上記本発明によれば、用紙補給を促す表示が表示部によって行われ、操作者が前記表示を容易に確認することができる。
【0019】
第5の画像形成装置は、前記第1〜第3のいずれかの本発明において、前記制御部は、他のいずれかの給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な前記給紙トレイが複数存在する場合、予め設定された自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能における給紙トレイの優先順序に従って、前記給紙トレイの選択を行うことを特徴とする。
【0020】
上記本発明によれば、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能において定められている優先順序を併せて条件とすることで、設定内容を考慮した給紙トレイの選択が行われる。
自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能における優先順序は、予め機械設定として記憶部に記憶させておくことができ、給紙トレイ間で優先順序を設定しておくことで、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能に基づいて、選択される給紙トレイの優先順序を決定することができる。設定は操作者が行えるようにしてもよく、また機械設定を操作者が変更できるようにしてもよい。
【0021】
第6の画像形成装置は、前記第1〜第5のいずれかの本発明において、前記制御部は、他のいずれかの給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な給紙トレイがない場合、前記自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の実行に際し、予め設定された自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能における給紙トレイの優先順序に従って、給紙トレイの選択を行うことを特徴とする。
【0022】
上記本発明によれば、他のいずれかの給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な給紙トレイがない場合には、設定された優先順位にしたがって、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能によって給紙トレイを選択することができる。
【0023】
第7の画像形成装置は、前記第1〜第6のいずれかの本発明において、前記他のいずれかの給紙トレイが、前記自動用紙選択機能または前記自動給紙トレイ切換機能によって選択されたものであることを特徴とする。
【0024】
上記本発明によれば、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能によって順次給紙トレイが選択される際に、連続給紙をより長く行うことを可能にする。
【0025】
第8の画像形成装置は、前記第1〜第7のいずれかの本発明において、給紙トレイが他の給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能かを給紙トレイ相互の関係で定めた用紙補給関係データーを格納する記憶部を有し、
前記制御部は、前記データーに基づいて、他のいずれかの給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な前記給紙トレイを選択することを特徴とする。
【0026】
上記本発明によれば、自動用紙選択機能または前記自動給紙トレイ切換機能によって給紙トレイを選択する際に、上記用紙補給関係データーを用いて、他のいずれかの給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な給紙トレイを容易に選択することができる。
【0027】
第9の画像形成装置は、前記第8の本発明において、前記制御部は、前記給紙トレイの設置変更に伴って前記記憶部に格納されている前記用紙補給関係データーの変更が可能であることを特徴とする。
【0028】
上記本発明によれば、給紙トレイの設置構成が変更された際、例えば増設などに際しても、上記給紙トレイの選択を用紙補給関係データーを用いて行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように本発明によれば、自動用紙選択機能または前記自動給紙トレイ切換機能の実行に際し、用紙切れした後、他の給紙トレイで給紙中に、用紙の補給が可能な給紙トレイが選択され、連続給紙をより長い時間行うことが可能になり、画像形成の生産性が向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態における画像形成装置の全体図を示す。
【図2】同じく、画像形成システムの全体ブロック図を示す。
【図3】同じく、画像形成装置の制御ブロックの詳細構成を示すブロック図を示す。
【図4】同じく、発明例と従来例における複数の給紙トレイを切り換えた給紙状態を説明する図である
【図5】同じく、発明例と従来例における複数の給紙トレイを切り換えた他の給紙状態を説明する図である
【図6】同じく、発明例と従来例における複数の給紙トレイを切り換えたさらに他の給紙状態を説明する図である
【図7】同じく、操作部の設定メニュー画面を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態における給紙トレイ選択の制御手順を示すフローチャートである。
【図9】同じく、他の実施形態における給紙トレイ選択の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の一実施形態の画像形成装置を添付図面に基づいて説明する。
図1は、画像形成装置全体の中央断面図であり、機械的な構成を示している。以下に、その構成を説明する。
画像形成装置1は、画像形成装置本体1aの上部側に、CCD131を含むスキャナー部130、流し込みtype自動原稿給送装置(ADF)135が設けられており、プラテンガラス137またはADF原稿読み取り用スリットガラス138を通して原稿の画像読取が可能になっている。
上記したスキャナー部130、流し込みtype自動原稿給送装置(ADF)135、プラテンガラス137、ADF原稿読み取り用スリットガラス138などにより、スキャナー部130に係わる画像読込部が構成されている。
また、画像形成装置本体1aの上部側で、プラテンガラス137が位置しない箇所に、タッチパネルからなる操作部140(図2示)が設けられて、操作者による操作および情報の表示が可能になっている。操作部140は、操作部を構成するとともに本発明の表示部を兼用している。なお、本発明としては、操作部と表示部とを別体で構成することも可能である。
【0032】
画像形成装置本体1aの下部側には、複数の給紙トレイ(1〜3)153(図では3段)が配置され、さらに画像形成装置本体1aに付設するようにして、それぞれ3段の給紙トレイを有する大容量給紙ユニット154、155、156が配置されている。すなわち、この例では、画像形成装置本体1a外に、3段、3連の給紙トレイが設置されている。
画像形成装置本体1a内には、給紙トレイから給紙される用紙を搬送する搬送路、第二給紙ローラー157などが設けられており、該搬送路途中に、LD部151a、感光体151b、帯電器151c、現像器151d、転写部151e、定着器151fなどで構成される画像形成部151が設けられている。また、大容量給紙ユニット154、155、156にはそれぞれ給紙された用紙を搬送して画像形成装置1a内に導入する搬送路(図示しない)が設けられており、一部で複数の給紙トレイで搬送路を共用している。
上記画像形成部151、給紙トレイ(1−3)153、大容量給紙ユニット154、155、156、搬送路、第二給紙ローラー157などによって、本発明のプリンター部150が構成されている。
【0033】
帯電器151c、現像器151d、転写部151eは、感光体151bの周囲に配置されている。帯電器151cは、画像書込み前に感光体151bの表面を一様に帯電する。LD部151aは、表面が一様に帯電された感光体151bに半導体レーザを照射することにより感光体151bに静電潜像を形成する。現像器151dは、LD部151aによって感光体151bに形成された静電潜像をトナー部材によって現像する。この現像処理によって感光体151bにトナー画像が形成される。転写部151eは、給紙トレイ(1−3)153や大容量給紙トレイ154、155、156から搬送されてきた用紙に感光体151bのトナー画像を転写する。トナー画像が転写された用紙は、感光体151bから分離されて定着器151fに搬送される。感光体151bに残留したトナー部材は、クリーニング部によって除去される。
【0034】
定着器151fは、搬送された用紙を加熱することにより用紙の表面側に転写されたトナー画像を定着する。定着処理が施された用紙は、片面印刷の場合には画像形成装置本体1aの側方に位置する後処理装置(FNS)170にそのまま搬送される。後処理装置(FNS)170では、中折りなど後処理などが行われる。一方、両面印刷の場合には、定着後の用紙がスイッチバックされて当該用紙の裏面側に画像形成部151で所定の画像が転写される。そして、両面に画像が形成された用紙は定着後に後処理装置(FNS)170に搬送される。
なお、この実施形態では、後処理装置(FNS)170を備える画像形成装置1について説明をしているが、本発明としては後処理装置(FNS)を備えない画像形成装置であってもよい。
【0035】
図2は、デジタル複合機(コピア、プリンター、スキャナー)である画像形成装置1の回路ブロックと外部機器である端末(PC)2との接続を示しており、画像形成システムの全体ブロック図である。その内容を以下に詳細に説明する。
画像形成装置1は、制御ブロック100とスキャナー部130と操作部140とプリンター部150とを有するデジタルコピア本体と、LAN3を通して端末(PC)2から入力される画像データーを処理し、またはスキャナー部130で得た画像データーを、LAN3を通して外部機器(例えば端末(PC)2)に転送可能にする画像処理手段(プリント&スキャナーコントローラー)160とを備えている。
【0036】
制御ブロック100には前記画像処理手段(プリント&スキャナーコントローラー)160に接続されたPCIバス101を有しており、該PCIバスにDRAM制御IC115が接続されている。DRAM制御IC115には、圧縮メモリー121とページメモリー122とからなる画像メモリー120が接続されている。圧縮メモリー121は、圧縮画像データーを格納するためのメモリーであり、ページメモリー122は、画像形成前にプリント対象の非圧縮画像データーを一時的に格納するためのメモリーである。
【0037】
上記画像処理手段(プリント&スキャナーコントローラー)160で取得される画像データーは、プリント動作に伴ってPCIバス101を通してDRAM制御IC115へと送信される。
【0038】
また、制御ブロック部100には、画像制御CPU111を備えており、該画像制御CPU111に前記DRAM制御IC115が接続されている。
また、画像制御CPU111には、フラッシュメモリーなどにより構成される不揮発メモリー114が接続されている。該不揮発メモリー114には、画像形成装置1の初期印刷設定情報や、プロセス制御パラメータ等の機械設定情報、ユーザ設定値、自動用紙選択機能や自動給紙トレイ切換機能における給紙トレイの優先順序データー、各給紙トレイ間で一方の給紙トレイの給紙中に他方の給紙トレイで用紙補給が可能かを示す用紙補給関係データーなどが格納されており、本発明の記憶部を構成する。また、不揮発メモリー114には、上記画像制御CPU111を動作させるための本発明のプログラム等が格納されている。
【0039】
画像制御CPU111は、不揮発メモリー114の不揮発データーを読み取り可能であり、また、所望のデーターを不揮発メモリー114に書き込むことが可能である。画像制御CPU111は、上記機械設定情報や印刷設定情報などに従って画像形成装置1の各部を動作制御する。画像制御CPU111は、本発明の制御部を構成する。画像制御CPU111は、圧縮メモリー121に格納された画像データーやジョブに関するデーターに基づいてJOBの作成、編集、予約、実行、削除等の管理制御を行う。
【0040】
スキャナー部130は、光学読み取りを行うCCD131と、スキャナー部130全体の制御を行うスキャナー制御部132とを備えている。スキャナー制御部132は、前記画像制御CPU111とシリアル通信可能に接続されている。また、前記CCD131は、該CCD131で読み取った画像データーを処理する読み取り処理部117に接続され、該読み取り処理部117は前記したDRAM制御IC115に制御可能に接続されている。
また、スキャナー部130での複数枚の原稿の読み取りを行うために、流し込みtype自動原稿給送装置135を有しており、該流し込みtype自動原稿給送装置135は、該装置全体の制御を行うADF制御部(図示しない)を備えている。ADF制御部は、前記画像制御CPU111とシリアル通信可能に接続されている。
【0041】
操作部140は、表示部と操作部とを兼ね、タッチパネルで構成されるLCD141と、操作部全体を制御する操作部制御部142とを備えており、操作部制御部142は画像制御CPU111にシリアル通信可能に接続されている。
操作部140では、画像制御CPU111の制御を受けて、LCD141によって、画像形成装置1における出力条件設定や動作制御条件などの機械設定入力、各給紙トレイの用紙情報(サイズ、紙種)の設定入力や、設定内容の表示、警告、用紙補給の促しなどの所望の情報等の表示などが可能になっている。
【0042】
前記DRAM制御IC115には、画像データーを圧縮する圧縮IC118と、圧縮されている画像データーを伸長する伸長IC124とが接続されている。書き込み処理部125は、プリンター部150のLD151aなどを備える画像形成部151(図2ではLDと表示されている)に接続され、LD151aの動作に用いられる書き込みデーターの処理を行う。
プリンター部150は、上記画像形成部151の他、給紙トレイ(1−3)153、大容量給紙ユニット154、155、156、搬送路や第二給紙コントローラー157を備える搬送部などを含む。
【0043】
また、プリンター部150は、プリンター部150の全体(給紙、画像形成、排紙、後処理など)を制御するプリンター制御部152を備えており、プリンター制御部152は前記した画像制御CPU111に接続されている。プリンター制御部152は画像制御CPU111の制御指令に従って動作してプリンター部150を制御する。プリンター制御部152を介して後処理装置(FNS)170の制御がなされる。
【0044】
また、前記DRAM制御IC115が接続されたPCIバス101には、前記画像処理手段(プリント&スキャナーコントローラー)160のDRAM制御IC161が接続されている。前記画像処理手段(プリント&スキャナーコントローラー)160は、画像形成装置1をネットワークプリンターやネットワークスキャナーとして使用する場合に、LAN3に接続される外部機器、例えば端末(PC)2などから画像データー等を画像形成装置1で受信したり、スキャナー部130で取得した画像データーをLAN3に接続される端末(PC)2などに送信したりするものである。
【0045】
画像処理手段(プリント&スキャナーコントローラー)160では、DRAM制御IC161に、DRAMなどで構成される画像メモリー162が接続されている。また、画像処理手段(プリント&スキャナーコントローラー)160では、共通バスに前記DRAM制御IC161と、画像処理手段(プリント&スキャナーコントローラー)160全体の制御を行うコントローラー制御CPU163、LANインターフェース165が接続されている。LANインターフェース165は、LAN3に接続されている。
【0046】
図3は、制御ブロック100に含まれ、主として画像制御CPU111によって構成される制御回路を示すブロック図である。
すなわち、画像制御CPU111を主として、プリンター制御基板300と画像制御基板320とが構成されている。画像制御基板320には、状態管理部321と画像処理部322が組み込まれ、操作部140や流し込みtype自動原稿給送装置(ADF)135からの情報交換がなされている。さらに画像制御基板320には、原稿サイズセンサなどによって自動的に検知された原稿のサイズが、APS(自動用紙選択機能)の実行に伴って入力され、また、CCDにより原稿の画像情報が画像制御基板320の画像処理部321に入力され、画像露光信号として感光体151b上に書き込まれるようにしてある。そして前記状態管理部321と画像処理部322との間では互いに情報の交換が行われるようにしてある。
【0047】
また、プリンター制御基板300にはメインCPU301とサブCPU302やゲートアレイ(G/A)303が組み込まれていて、プリンター制御基板300は各種センサの入力、用紙サイズの入力及び画像制御基板320からの定着制御方法の決定入力を受ける。さらに、DC駆動、AC駆動の命令や画像制御基板320へのウォーミングアップ完了などの情報伝達の出力がなされる。画像制御基板320とプリンター制御基板300との情報伝達はこれだけではなく画像形成に関する様々な情報が交わされる。
【0048】
その他、プリンター制御基板300は用紙サイズの検知、スキャナー駆動、ADU(自動両面コピーユニット)駆動、LCT(大容量給紙トレイ)駆動等を制御する。画像制御基板320は画像処理部322からの画像情報を書き込み処理部125へ出力して画像形成が行われる。
そしてプリンター制御基板300は定着装置151fに対して定着温度制御を実施するために通電のON/OFF及び電力指示を行う。定着装置151fは定着温度をプリンター制御基板300にフィードバックし、適正な定着温度に制御する。
また、プリンター制御基板300では、給紙トレイからの残量が通知されている。
【0049】
次に、上記画像形成装置1の画像データーの処理に関わる基本的動作について説明する。
先ず、画像形成装置1において画像データーを蓄積する手順について説明する。
第1に画像形成装置1において、スキャナー部130で画像を読み取り画像データーを生成する場合について説明する。スキャナー部130において原稿からCCD131により画像を光学的に読み取る。この際には、画像制御CPU111から指令を受けるスキャナー制御部132によってCCD131の動作制御を行う。原稿の読み取りは、流し込みtype自動原稿給送装置(ADF)135によって原稿を給送しつつ行ってもよく、また、プラテンガラス137上に原稿を置いて行ってもよい。
【0050】
画像制御CPU111はプログラムによって動作し、操作部140による操作に基づいてスキャナー部130への指令を発行する。CCD131で読み取られた画像は、読み取り処理部117でデーター処理がなされ、データー処理された画像データーは、DRAM制御IC115を介して圧縮IC118に送られて所定の方法によって圧縮される。圧縮されたデーターは、DRAM制御IC115を介して圧縮メモリー121に格納される。
【0051】
この他に画像データーは、LAN3を介して画像形成装置1に入力される。上記画像データーとしては、例えば端末(PC)2などのアプリケーションプログラム等により生成されたものや他の画像形成装置1により生成されたものが挙げられる。該データーは、LAN3、LANインターフェース165を介して画像処理手段(プリント&スキャナーコントローラー)160で受信され、DRAM制御IC161によって画像メモリー162に一旦格納される。LAN3を通して送られるベクターデーターは、コントローラー制御CPU163で画像データー化される。上記画像メモリー162に格納されたデーターは、PCIバスを介してDRAM制御IC115に転送され、ページメモリー122に一旦格納される。ページメモリー122に格納されたデーターは、DRAM制御IC115を介して圧縮IC118に送られて圧縮処理され、DRAM制御IC115を介して圧縮メモリー121に格納される。
【0052】
上記画像データーの蓄積に際しては、画像データーの蓄積前または蓄積後に出力設定がなされる。該出力設定は、前記操作部140に操作入力が可能な設定画面を表示して、操作者による操作入力によって行うことができる。また、初期設定において出力設定項目が選択されており、操作者による設定入力がなされない場合にも該初期設定によって出力設定がなされる。出力設定では、用紙サイズなどの給紙条件も設定される。
【0053】
画像形成装置1で画像出力を行う場合、すなわち複写機やプリンターとして使用する場合、圧縮メモリー121に格納された画像データーをDRAM制御IC115を介して伸長IC124に送出してデーターを伸長し、伸長したデーターを書込み処理部125に送出し、帯電部151cで帯電した感光体151bへLD151aによって書き込みを行う。
【0054】
プリンター部150では、画像制御CPU111の指令を受けたプリンター制御部152によって各部の制御が行われる。画像形成部151では感光体151bに書き込まれた潜像が現像部151dでトナー像として現像され、該トナー像が転写部151eで搬送路によって供給される用紙に転写され、定着装置151fで定着がなされる。用紙は、給紙トレイ(1〜3)153や大容量給紙ユニットトレイ154、155、156のいずれかの給紙トレイから給紙される。
画像形成がなされた用紙は搬送路を経て後処理装置(FNS)170へと搬送されるか、反転され裏面への画像を転写した後、後処理装置(FNS)170へと搬送される。
感光体151bでは、トナー像が用紙転写された後、クリーニング部によって残留トナーが除去される。
【0055】
また、本実施形態の画像形成装置1では、画像形成を行う所望の紙種、紙サイズなどの給紙条件と一致する用紙が格納されている給紙トレイを自動的に選択する自動用紙選択(APS)機能と、給紙中の給紙トレイで用紙切れが生じた際に、同一の紙種や紙サイズなどの用紙が格納されている給紙トレイを選択して自動的に切り換えて給紙を継続する自動給紙トレイ切換(ATS)機能を有している。
画像制御CPU111では、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能によって給紙トレイを自動的に選択する際に、選択対象の給紙トレイ中で、他の給紙トレイで給紙中に用紙補給をすることができる給紙トレイを選択する給紙トレイ選択機能を有している。
【0056】
上記給紙トレイ選択機能を図4の概略図を用いて説明する。図では、給紙トレイ1〜8が多段多連で設置されている例を示している。例えば、給紙トレイ1、2は、画像形成装置に内蔵されている給紙トレイであり、給紙トレイ3〜8は、2連の大容量給紙ユニットに設けられた給紙トレイである。各大容量給紙ユニットは3段の給紙トレイを有している。
自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能では、給紙トレイ3、6が選択対象になっており、給紙トレイ3は、給紙トレイ6で給紙中はトレイを引き出して用紙補給をすることは不可であり、給紙トレイ6は、給紙トレイ3で給紙中でも用紙補給することが可能である。
【0057】
従来例のように、他の給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な否かを考慮することなく給紙トレイを選択すると、例えば優先順位の高い給紙トレイ3から給紙が開始される(ステップa)。給紙トレイ3が給紙切れになると、給紙トレイ6が選択されて給紙が開始される(ステップb)。この給紙中には、用紙切れになっている給紙トレイ3では、用紙補給をすることはできず、用紙補給のためには給紙トレイ6での給紙が停止するまで待たなければならない。給紙トレイ6が用紙切れになると、給紙トレイ3、6がともに用紙切れの状態になっている(ステップc)。さらに給紙が必要な場合、給紙トレイ3を引き出して(ステップd)、用紙を補給した後、給紙トレイ3から給紙が開始される(ステップe)。以上のように従来例では、2トレイ分の用紙の排出を完了した時点で給紙ができず装置を停止する必要あり、連続給紙ができない。
【0058】
一方、本発明の例では、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の実行の際に、他の給紙トレイで給紙中に用紙補給な可能な給紙トレイが優先して選択される。すなわち、給紙トレイ6が選択されて給紙が開始される(ステップA)。給紙トレイ6が給紙切れになると、給紙トレイ3が選択されて給紙が開始される(ステップB)。給紙トレイ3で給紙中には、給紙トレイ6を引き出して給紙トレイ6への用紙補給を行うことができる(ステップC、D)。給紙トレイ3で用紙切れになると、先に用紙補給がなされた給紙トレイ6が選択されて給紙が開始される(ステップE)。このように、発明例では、2トレイ分の用紙排出が完了した後も、給紙を継続することができ、長時間に亘って連続給紙が可能になる。
【0059】
次に、上記給紙トレイ選択機能を図5の概略図を用いて説明する。図では、給紙トレイ1〜11が多段多連で設置されている例を示している。例えば、給紙トレイ1、2は、画像形成装置に内蔵されている給紙トレイであり、給紙トレイ3〜11は、3連の大容量給紙ユニットに設けられた給紙トレイである。各大容量給紙ユニットは3段の給紙トレイを有している。
自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能では、給紙トレイ3、6、9が選択対象になっており、給紙トレイ3は、給紙トレイ6または給紙トレイ9で給紙中はトレイを引き出して用紙補給をすることは不可であり、給紙トレイ6は、給紙トレイ3で給紙中はトレイを引き出して用紙補給が可能であるが、給紙トレイ9で給紙中はトレイを引き出して用紙補給をすることは不可である。給紙トレイ9では給紙トレイ3または給紙トレイ6で給紙中でも用紙補給することが可能である。
【0060】
従来例のように、他の給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な否かを考慮することなく給紙トレイを選択すると、例えばより優先度の高い給紙トレイ3から給紙が開始される(ステップa)。給紙トレイ3が給紙切れになると、次に優先度の高い給紙トレイ6が選択されて給紙が開始される(ステップb)。この給紙中に用紙切れになっている給紙トレイ3では、用紙補給をすることはできず、用紙補給のためには給紙トレイ6での給紙が停止するまで待たなければならない。給紙トレイ6が用紙切れになると、給紙トレイ3、6が用紙切れの状態になり、給紙トレイ9が選択されて給紙が開始される(ステップc)。この給紙中に用紙切れになっている給紙トレイ3、6では、トレイを引き出して用紙補給をすることはできず、用紙補給のためには給紙トレイ9での給紙が停止するまで待たなければならない。
給紙トレイ9が用紙切れになると、選択対象の給紙トレイ3、6、9が全て用紙切れの状態になり、装置が停止する。必要に応じてこれら給紙トレイ3、6、9への用紙補給を行うことで給紙を再開することができる。
以上のように従来例では、3トレイ分の用紙の排出を完了した時点で給紙ができず装置を停止する必要あり、連続給紙を長く行うことができない。
【0061】
一方、本発明の例では、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の実行の際に、他の給紙トレイで給紙中に用紙補給な可能な給紙トレイが選択される。すなわち、給紙トレイ9が選択されて給紙が開始される(ステップA)。給紙トレイ9が給紙切れになると、給紙トレイ3との関係で、他の給紙トレイから給紙中に用紙補給が可能な給紙トレイ6が選択されて給紙が開始される(ステップB)。給紙トレイ6で用紙切れになると、給紙トレイ3が選択されて給紙が開始される(ステップC)。この給紙の際に用紙切れしている給紙トレイ9への用紙補給(ステップD、E)、用紙切れしている給紙トレイ6への用紙補給(ステップF、G)を行うことができる。この際の用紙補給では、機械設定として給紙トレイ9>給紙トレイ6の優先順位を有しているものとする。
給紙中の給紙トレイ3で用紙切れになると、給紙トレイ6で給紙中に用紙補給が可能な給紙トレイ9が選択されて給紙が開始される(ステップH)。給紙中の給紙トレイ9で用紙切れになると、給紙トレイ6が選択されて給紙が開始される(ステップI)。
このように、発明例では、3トレイ分の用紙排出を完了した後も、給紙を継続することができ、長時間に亘って連続給紙が可能になる。
なお、上記のように3連の大容量給紙ユニットを有する例では、2連の大容量給紙ユニットを有する例よりも、紙なし停止を待つ状態が多く発生し得るため、本発明の効果がより現れる。
【0062】
次に、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の実行の際に直ちに選択可能な給紙トレイがなく、用紙補給をすれば選択可能な複数の給紙トレイが存在する場合の例について図6を参照して説明する。
図では、給紙トレイ1〜11が多段多連で設置されている例を示している。例えば、給紙トレイ1、2は、画像形成装置に内蔵されている給紙トレイであり、給紙トレイ3〜11は、3連の大容量給紙ユニットに設けられた給紙トレイである。各大容量給紙ユニットは3段の給紙トレイを有している。
自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能では、給紙トレイ3、6、9が選択対象になっているが、給紙トレイ6、9は用紙切れであって選択不可になっている。ただし、用紙補給をすれば選択対象となることができる。給紙トレイ3は、給紙トレイ6または給紙トレイ9で給紙中はトレイを引き出して用紙補給をすることは不可であり、給紙トレイ6は、給紙トレイ3で給紙中はトレイを引き出して用紙補給が可能であるが、給紙トレイ9で給紙中はトレイを引き出して用紙補給をすることは不可である。給紙トレイ9では給紙トレイ3または給紙トレイ6で給紙中でも用紙補給することが可能である。
【0063】
従来例で、先ず、用紙がある給紙トレイ3で給紙がなされる(ステップa)。給紙トレイ3の残量が所定量以下になると、優先度の高い給紙トレイに対し、操作部140で用紙残量の警告表示を行う。すなわち、操作部140に「トレイ3の用紙はもうすぐなくなります。トレイ9に用紙を補給してください」と表示する。この場合、給紙トレイ9の優先度は、給紙トレイ6よりも高くなっているものとする。警告に従って、操作者は現給紙中に給紙トレイ9に用紙補給することができる(ステップb、c)。給紙トレイ3で用紙切れが生じると、用紙補給がされた給紙トレイ9が選択されて給紙が開始される(ステップd)。給紙トレイ9で給紙中は、給紙トレイ3、6の引き出しは不可で、給紙トレイ3、6の用紙補給はできない。このため、給紙トレイ3、6の用紙補給は給紙トレイ9の紙無しによる給紙停止まで待つ必要がある。
【0064】
給紙トレイ9が用紙切れになると(ステップe)、選択対象の給紙トレイ3、6、9が全て用紙切れの状態のため、給紙を行うことができず、装置が停止する。必要に応じてこれら給紙トレイ3、6、9への用紙補給を行うことで給紙を再開することができる。
以上のように従来例では、2トレイ分の用紙の排出を完了した時点で給紙ができず装置を停止する必要あり、連続給紙を長く行うことができない。
【0065】
一方、本発明の例では、先ず、用紙がある給紙トレイ3から給紙がなされる(ステップA)。給紙トレイ3が用紙切れになって、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の実行の際に、用紙補給をすれば給紙が可能な給紙トレイ6、9の中から、他のいずれかの給紙トレイで給紙中に用紙補給な不可な給紙トレイが選択される。すなわち、給紙トレイ6が選択される(ステップA)。給紙トレイ9は、給紙トレイ3、6で給紙中であっても用紙補給が可能なため選択外となる。
上記給紙トレイ6の選択に従って給紙トレイ3の残量が所定量以下になると、操作部140に用紙残量の警告表示を行う。なお、警告表示の開始時期はこれに限定されず、給紙トレイ3での給紙開始以降、給紙切換までの間のいずれかの時期に警告表示を行ってもよい。操作者は、この警告表示に従って、給紙トレイ3からの現給紙中に給紙トレイ6を引きだして(ステップB)、給紙トレイ6への用紙補給を行うことができる(ステップC)。
【0066】
給紙トレイ3が用紙切れになると、用紙補給がされた給紙トレイ6が選択されて給紙が開始される(ステップD)。給紙トレイ6が用紙切れになって、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の実行の際に用紙補給をすれば給紙が可能な給紙トレイ3、9の中から、他の給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な給紙トレイが選択される。すなわち、給紙トレイ9が選択される。給紙トレイ3は、給紙トレイ6による現給紙中に用紙補給ができないため選択外となる。
【0067】
上記給紙トレイ9の選択に従って給紙トレイ6の残量が所定量以下になると、操作部140に用紙残量の警告表示を行う。なお、警告表示の開始時期はこれに限定されず、給紙トレイ3での給紙開始以降、給紙切換までの間のいずれかの時期に警告表示を行ってもよい。操作者は、この警告表示に従って、給紙トレイ9を引きだして(ステップE)、給紙トレイ9への用紙補給を行うことができる(ステップF)。給紙トレイ6が給紙切れになると、用紙補給がされた給紙トレイ9が選択されて給紙が開始される(ステップG)。すなわち、2トレイ分の用紙排出が完了した後も、給紙トレイ9からの給紙が可能であり、連続給紙をより長く行うことができ、生産性が向上する。
【0068】
なお、他の給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能か否を判定する場合、予め給紙トレイ間で、一方の給紙トレイで給紙中に他方の給紙トレイで用紙補給が可能かを示す用紙補給関係データーを記憶しておき、これを参照して判定を行うことができる。
この用紙補給関係データーを示すテーブルの例を下記表1に示す。表1では、給紙中の給紙トレイに対し、各給紙トレイでの紙補給の可否を○(補給可)、×(補給不可)で示している。例えば、給紙トレイ3では、給紙トレイ6〜11で給紙中は用紙補給が不可であり、給紙トレイ1、2、4、5で給紙中にのみ、用紙補給が可になる。
用紙補給関係データーは給紙トレイの設置状態によって異なるため、給紙トレイの設定が異なる画像形成装置では、別途の異なる用紙補給関係データーが必要になる。また、給紙トレイの設置状態が変更される場合、例えば、給紙トレイの減数、増設などがあれば、設置変更に応じて用紙補給関係データーを変更することが必要である。
【0069】
【表1】

【0070】
また、他の給紙トレイで給紙中に用紙補給可能な給紙トレイが複数存在する場合、その選択は、画像形成装置で予め設定されている、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の優先順位に従って給紙トレイを選択することができる。
【0071】
図7は、操作部140に表示されたAPS/ATS優先度設定メニュー画面1400を示すものである。
APS/ATS優先度設定メニュー画面1400では、自動選択の有無を給紙トレイ毎に設定が可能であり、この例では、給紙トレイ1〜給紙トレイ5がAPS/ATSでの自動選択有りの対象になっている。APS/ATS優先度設定メニュー画面1400の左欄には、給紙トレイのトレイNo.釦1410が自動選択の有無を判別可能に表示されている。すなわち、給紙トレイのトレイNo.釦1410では、自動選択有りの給紙トレイは反転表示されており、所望のトレイNo.釦1410を押釦することで、当該給紙トレイを自動選択無しに設定することができ、自動選択無しの給紙トレイNo.釦1410を押釦すると反転されて自動選択有りに設定される。
【0072】
また、APS/ATS優先度設定メニュー画面1400の右欄には、自動選択有りの給紙トレイの優先順位リスト1422が設けられており、上から順位に優先順位の高い給紙トレイが表示されている。優先順位リスト1422の近傍には、リストの順位を入れ替える昇降釦1423が押釦可能に表示されている。優先順位リスト1422のいずれかの給紙トレイを選択し、昇降釦1423は押釦操作することで、優先順位リスト1422の給紙トレイの順位をアップまたはダウンして順位を入れ替えることができる。
【0073】
また、APS/ATS優先度設定メニュー画面1400の下欄には、OK釦1425とキャンセル釦1426とが押釦可能に表示されており、OK釦1425を押釦することで、現表示のAPS/ATS優先度設定メニュー画面1400で設定した給紙トレイの自動選択の有無や給紙トレイの優先順位の設定が確定する。また、キャンセル1426を押釦することで、現表示のAPS/ATS優先度設定メニュー画面1400で設定した給紙トレイの自動選択の有無や給紙トレイの優先順位の設定がキャンセルされ、現表示の設定前の状態になる。
【0074】
次に、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の実行に際し、他のいずれかの給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な給紙トレイを選択する制御手順を図8のフローチャートに基づいて説明する。なお、制御手順は画像制御CPU111の動作によって実行される。
【0075】
自動用紙選択機能(APS)または自動給紙トレイ切換機能(ATS)の実行にともなって、APSまたはATSで選択可能な給紙トレイがあるかを判定する(ステップs1)。選択可能な給紙トレイがなければ(ステップs1、NO)、紙無しによる給紙停止を行い(ステップs8)、処理を終了する。
APSまたはATSで選択可能な給紙トレイがあれば(ステップs1、YES)、該当トレイに、他の給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な給紙トレイ(以下、給紙トレイAという)があるかを判定する(ステップs2)。給紙トレイAがあれば(ステップs2、YES)、給紙トレイAのみを対象とした、機械の優先度設定による給紙トレイのサーチを行う(ステップs3)。給紙トレイAがなければ(ステップs2、NO)、機械の優先度設定による給紙トレイのサーチを行う(ステップs4)。ステップs3、s4後、トレイサーチによって決定した給紙トレイから給紙をしてプリントを開始する(ステップs5)。次いで、JOB終了かを判定し(ステップs6)、JOB終了であれば(ステップs6、YES)、処理を終了し、JOB終了でなければ(ステップs6、NO)、ステップs7に移行して紙無しかを判定する(ステップs6)。紙無しであれば(ステップs7、YES)、ステップs1に戻り、APSまたはATSで選択可能な給紙トレイがあるかを判定し、上記の手順を繰り返す。紙無しでなければ(ステップs7、NO)、プリントを継続しつつ紙無し判定を繰り返す。
【0076】
次に、自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能が実行可能な状態で、これら機能によって選択可能な給紙トレイがなく、用紙補給をすれば選択して給紙が可能な給紙トレイがある場合に、給紙トレイを選択して用紙補給を促す制御手順について図9に基づいて説明する。なお、制御手順は画像制御CPU111の動作によって実行される。
【0077】
自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能が実行された際に、次のATSトレイがあるかを判定する(ステップs10)。次ATSトレイがあれば(ステップs10、YES)、処理を終了する。次ATSトレイがなければ(ステップs10、NO)、用紙補給すればATSが可能であり、用紙サイズが一致する給紙トレイがあるかを判定する(ステップs11)。当該給紙トレイがなければ(ステップs11、NO)、処理を終了する。当該給紙トレイがあれば(ステップs11、YES)、該当トレイ中に給紙トレイAがあるかを判定する(ステップs12)。
なお、このフローでは、前記機能の実行が可能な他のいずれかの給紙トレイで給紙中に用紙補給が不可で、現給紙中には用紙補給が可能な給紙トレイを給紙トレイAとする。
該当トレイ中に給紙トレイAがあれば、給紙トレイAのみを対象にして、機械の優先度設定によるトレイサーチを行う(ステップs13)。該当トレイ中に給紙トレイAがなければ、機械の優先度設定によるトレイサーチを行う(ステップs14)。
また、給紙トレイAが複数ある場合、二つの給紙トレイ間で一方の給紙トレイで給紙中に用紙補給が不可となる他方の給紙トレイをさらに機械の優先度に優先して選択することができる。
【0078】
ステップs13、s14後、トレイサーチによって決定された給紙トレイを対象にして、紙補給を警告する表示を操作部14に行い(ステップs15)、処理を終了する。
対象となる給紙トレイに用紙補給がなされると、ATS実行に際し、当該給紙トレイが選択されて給紙が開始される。
なお、上記手順では、ATSのトレイ選択条件として用紙サイズが設定されているが、本発明としてはこれに限定されず、紙種などを含めた給紙条件によってトレイを選択するものであってもよい。
なお、上記手順では、ATSのみを対象としたが、APSにおいても同様の処理をおこなうことができる。
【0079】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 画像形成装置
111 画像制御CPU
140 操作部
150 プリンター部
153 給紙トレイ(1〜3)
154 大容量給紙ユニット
155 大容量給紙ユニット
156 大容量給紙ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を収納して給紙する複数の給紙トレイと、
前記給紙を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、複数の給紙トレイのうちから給紙条件を満たす用紙を収納した給紙トレイを自動的に選択する自動用紙選択機能と、給紙トレイから所定の用紙を給紙中に当該給紙トレイで用紙切れになったときに、前記所定の用紙と同じ給紙条件を満たす用紙が収納された他の給紙トレイを選択して切り換える自動給紙トレイ切換機能の一方または両方の機能を有し、
自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の実行に際し、該実行が可能な複数の給紙トレイが有り、実行可能な前記給紙トレイ中に、前記実行が可能な他の給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な給紙トレイと、前記実行が可能な他のいずれかの給紙トレイで給紙中に用紙補給が不可となる給紙トレイとが存在する場合、前者の前記給紙トレイを選択して給紙することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
用紙を収納して給紙する複数の給紙トレイと、
前記給紙を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、複数の給紙トレイのうちから給紙条件を満たす用紙を収納した給紙トレイを自動的に選択する自動用紙選択機能と、給紙トレイから所定の用紙を給紙中に当該給紙トレイで用紙切れになったときに、前記所定の用紙と同じ給紙条件を満たす用紙が収納された他の給紙トレイを選択して切り換える自動給紙トレイ切換機能の一方または両方の機能を有し、
自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の実行があると、該実行が可能な給紙トレイがその際になく、かつ用紙補給をすれば前記実行が可能な複数の給紙トレイがあり、用紙補給により実行が可能な前記給紙トレイ中に、前記実行が可能な他の給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な給紙トレイと、前記実行が可能な他のいずれかの給紙トレイで給紙中に用紙補給が不可となる給紙トレイとが存在する場合、後者の前記給紙トレイであって現給紙中に用紙補給が可能な前記給紙トレイを選択して用紙補給を促すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、後者の前記給紙トレイであって現給紙中に用紙補給が可能な前記給紙トレイが複数ある場合、互いの給紙トレイ間で、一方の給紙トレイが給紙中に他方の給紙トレイで用紙補給が不可となるとき、前記他方の給紙トレイを優先して選択することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部によって制御される表示部を備え、
前記制御部は、前記表示部に前記用紙補給を促す表示を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、他のいずれかの給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な前記給紙トレイが複数存在する場合、予め設定された自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能における給紙トレイの優先順序に従って、前記給紙トレイの選択を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、他のいずれかの給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な給紙トレイがない場合、前記自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能の実行に際し、予め設定された自動用紙選択機能または自動給紙トレイ切換機能における給紙トレイの優先順序に従って、給紙トレイの選択を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記他のいずれかの給紙トレイが、前記自動用紙選択機能または前記自動給紙トレイ切換機能によって選択されたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
給紙トレイが他の給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能かを給紙トレイ相互の関係で定めた用紙補給関係データーを格納する記憶部を有し、
前記制御部は、前記データーに基づいて、他のいずれかの給紙トレイで給紙中に用紙補給が可能な前記給紙トレイを選択することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記給紙トレイの設置変更に伴って前記記憶部に格納されている前記用紙補給関係データーの変更が可能であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−112480(P2013−112480A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260917(P2011−260917)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】