説明

画像形成装置

【課題】メモリー画像を抑制できる除電光を照射できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】除電部12a,12bは、1次転写位置とクリーニング部11a,11bとの間に配置され、画像形成ユニット15aを構成する像担持体2aの1次転写位置に対向する位置からクリーニング部11aに対向する位置までの間に、第1除電光131を照射し、転写ベルト7の回転方向R1の下流側に画像形成ユニット15aと隣接して配置される画像形成ユニット15bを構成する像担持体2bにおける現像部16bに対向する位置から1次転写位置に対向する位置までの間に、第2除電光132を照射する。除電部12a,12bは、導光体の短手方向の側面における異なる位置に第1反射部及び第2反射部を有し、第1反射部は、除電光源からの光を短手方向に反射して第1除電光131を形成し、第2反射部は、除電光源からの光を短手方向に反射して第2除電光132を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に光を照射して像担時体を除電する除電部を備える電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、2次転写方式が広く採用されている。2次転写方式は、像担持体である感光体ドラムの表面を帯電させ、帯電された感光体ドラムの表面を露光することにより感光体ドラムの表面に静電潜像を形成し、静電潜像をトナーで現像することによりトナー画像を形成し、トナー画像を中間転写ベルトに1次転写し、中間転写ベルトに転写されたトナー画像を、搬送される被転写材である用紙に2次転写する方式である。
【0003】
例えば、タンデム型式の画像形成装置においては、中間転写ベルトとして、駆動ローラーと従動ローラーとの間に亘って掛け渡され且つ所定方向に回転する環状の転写ベルトが、使用される。そして、環状の中間転写ベルトの回転方向に間隔をあけて、各色(マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(Bk))の感光体ドラム(像担持体)は、中間転写ベルトを挟んで1次転写ローラーと対向して配設される。このタンデム型の画像形成装置は、露光装置により各感光体ドラムの周面に静電潜像を形成し、現像装置によりこの静電潜像を現像し、各感光体ドラム上に形成された各トナー画像を中間転写ベルトに多重に転写し、中間転写ベルト上のトナー画像を、搬送される用紙に転写して画像を形成(印刷)する。
【0004】
このような画像形成装置の場合には、感光体ドラムの表面に転写メモリー画像及び露光メモリー画像が発生するという問題がある。転写メモリー画像は、転写時に、印刷部分と非印刷部分との間に、用紙から感光体ドラムに流れる転写電流の差が生じ、印刷部分ではトナーが存在して電流値が少なくなり、再帯電時に非印刷部分に対応する周辺電位よりも数Vから数十Vの高い表面電位差が生じることが原因で、発生する。転写メモリー画像が発生すると、背景部の周辺濃度よりもメモリー画像の発生部分が薄く印刷される。
【0005】
また、露光メモリー画像は、露光部分の再帯電時に周辺電位よりも数Vから数十Vの低い表面電位差が生じることが原因で、発生する。露光メモリー画像が発生すると、背景部の周辺濃度よりもメモリー画像の発生部分が濃く印刷される。
なお、転写メモリー画像及び露光メモリー画像が発生する表面電位差は、装置の仕様などによって異なる。
【0006】
上記のような転写メモリー画像及び露光メモリー画像の発生を抑制するためには、感光体ドラムにおける1次転写前の領域及び1次転写後の領域それぞれに除電光を照射して、感光体ドラムの表面を除電することが望まれる。
【0007】
このような感光体ドラムにおける1次転写前の領域及び1次転写後の領域のそれぞれに除電光を照射する除電部として、感光体ドラムの1次転写位置と、感光体ドラムに残った残トナーをクリーニングするクリーニング部との間に、基板を配置し、この基板の一方の面に、感光体ドラムにおける1次転写後の領域に向けて除電光を照射する除電光源となるLEDチップを取り付けると共に、前記基板のLEDチップが取り付けられる箇所に、LEDチップから照射された光の一部が基板の他方の面側に透過されて、隣接する感光体ドラムにおける1次転写前の領域に向けて除電光を照射する貫通開口を形成した構成の除電部を備えた画像形成装置が、提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−221405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に記載される画像形成装置においては、LEDチップから照射される光の一部を、基板に形成された貫通開口に透過させることが必要である。そのため、隣接する感光体ドラムにおける1次転写前の領域に向けて照射される除電光の光量が不安定で、ばらつきやすく、貫通開口を透過する光量を適正に調整することが難しい。その結果、1次転写前の領域における除電光の光強度が過大となって、特に、タンデム型式における多重転写時に下流側の色のトナーが感光体ドラムから飛び散るような不具合を発生する可能性がある。また、貫通開口の形状や仕上がり具合によって、1次転写前の領域に対する除電光が局部的な強度ピークを持ちやすく、画像に薄い縦筋を生じる可能性がある。
【0010】
本発明は、転写メモリー画像及び露光メモリー画像の発生の抑制に適した光量の除電光を、安定的に照射することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、所定方向に回転する環状の転写ベルトと、前記転写ベルトの回転方向に間隔をあけて配置される複数の画像形成ユニットと、を備える画像形成装置であって、前記複数の画像形成ユニットは、それぞれ、前記転写ベルトの外面側の1次転写位置に対向して配置されると共に回転可能に構成される像担持体と、前記像担持体を帯電させる帯電部と、前記像担持体に静電潜像を形成する露光部と、前記露光部により形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像部と、前記像担持体に光を照射して該像担持体を除電する除電部と、前記像担持体に残った残トナーをクリーニングするクリーニング部と、を備え、前記複数の画像形成ユニットのうち少なくとも1つの画像形成ユニットにおいて、前記除電部は、前記像担持体の回転方向において前記1次転写位置と前記クリーニング部との間に配置され、当該画像形成ユニットを構成する前記像担持体における前記1次転写位置に対向する位置から前記クリーニング部に対向する位置までの間の領域に、第1除電光を照射すると共に、前記転写ベルトの回転方向下流側に当該画像形成ユニットと隣接して配置される画像形成ユニットを構成する前記像担持体における前記現像部に対向する位置から前記1次転写位置に対向する位置までの間の領域に、第2除電光を照射するよう構成され、前記除電部は、長手方向及び該長手方向と直交する短手方向を有する長尺状の導光体と、該導光体にその長手方向の端面から長手方向に光を導入させる除電光源と、前記導光体の短手方向の側面における異なる位置に設けられる第1反射部及び第2反射部を有し、前記第1反射部は、前記除電光源からの光を前記短手方向に反射して、前記第1除電光を形成し、前記第2反射部は、前記除電光源からの光を前記短手方向に反射して、前記第2除電光を形成する画像形成装置に関する。
【0012】
また、前記第1反射部及び前記第2反射部は、前記導光体の側面に一体的に且つ前記長手方向に配列する複数の凹部溝を有する鋸歯状に形成されることが好ましい。
【0013】
また、鋸歯状の前記第1反射部における前記複数の凹部溝のピッチは、鋸歯状の前記第2反射部における前記複数の凹部溝のピッチよりも、小さく設定されることが好ましい。
【0014】
また、前記導光体は、略円柱形状を有し、前記第1反射部及び前記第2反射部それぞれにおける前記導光体の周方向の中心位置は、前記第1除電光が前記第2反射部に入射しないように且つ前記第2除電光が前記第1反射部に入射しないように、前記導光体の周方向に180度以外の位置関係にあることが好ましい。
【0015】
前記第1反射部及び前記第2反射部は、前記第1除電光がそれに対応する前記像担持体の表面へ入射する角度が、前記第2除電光がそれに対応する前記像担持体の表面へ入射する角度よりも小さくなるように、設けられることが好ましい。
【0016】
また、前記第1除電光の光量は、前記第2除電光の光量よりも大きいことが好ましい。
【0017】
前記転写ベルトの外面であって該転写ベルトの回転方向において前記複数の画像形成ユニットの上流側に対向して配置され、前記転写ベルトに残った残トナーを除去するベルトクリーニング部を更に備え、前記複数の画像形成ユニットのうち前記転写ベルトの回転方向において最も上流側に配置される画像形成ユニットを構成する前記像担持体には、前記第2除電光が照射されないことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、転写メモリー画像及び露光メモリー画像の発生の抑制に適した光量の除電光を、安定的に照射することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態のプリンター1の各構成要素の配置を説明するための図である。
【図2】第1実施形態のプリンター1における画像形成部GKの構成を説明する縦断面図である。
【図3】4台の画像形成ユニット15a、15b、15c、15dのうち中間転写ベルト7の回転方向R1において上流側に配置された2台の画像形成ユニット15a、15bの構成を示す拡大縦断面図である。
【図4】除電部12a、12b、12c、12dの構成を示す正面図である。
【図5】図4に示す除電部12a、12b、12c、12dを構成する導光体121の拡大縦断面図である。
【図6】図5のA−O−B線断面図である。
【図7】図3に示す2台の画像形成ユニット15a、15bにおける感光体ドラム2a、2bに対する除電光の照射方向を説明する図である。
【図8】本発明の第2実施形態における除電部12a、12b、12c、12dを構成する導光体121の拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の第1実施形態を説明する。図1及び図2により、本発明の画像形成装置の第1実施形態としてのプリンター1における全体構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態のプリンター1の各構成要素の配置を説明するための図である。図2は、第1実施形態のプリンター1における画像形成部GKの構成を説明する縦断面図である。
【0021】
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンター1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tに所定のトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHとを有する。装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
【0022】
図1及び図2に示すように、画像形成部GKは、図2の矢印で示す所定方向に回転する無端ベルトを用いた環状の中間転写ベルト7と、4台の画像形成ユニット15a、15b、15c、15dと、ベルトクリーニング部20と、を備える。4台の画像形成ユニット15a、15b、15c、15dは、中間転写ベルト7の回転方向R1に沿って、回転方向R1の上流側(図1において左側)から下流側(図1において右側)に向けて中間転写ベルト7の回転方向R1に間隔をあけて、一列に配置される。
【0023】
4台の画像形成ユニットとは、上流側から順に、イエロー用の画像形成ユニット15a、シアン用の画像形成ユニット15b、マゼンダ用の画像形成ユニット15c、及びブラック用の画像形成ユニット15dである。
【0024】
ベルトクリーニング部20は、中間転写ベルト7の外面であって、中間転写ベルト7の回転方向R1において4台の画像形成ユニット15a、15b、15c、15dの上流側に対向して配置され、中間転写ベルト7に残った残存トナーを除去する。ベルトクリーニング部20は、中間転写ベルト7に接触して回転する回転ブラシ21と、回転ブラシ21により掻き取られた残存トナーを払い落とす回転ローラー22と、払い落とされた残存トナーを収容する残存トナー収容ケース23と、を有する。
【0025】
4台の画像形成ユニット15a、15b、15c、15dは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2a、2b、2c、2dと、帯電部10a、10b、10c、10dと、露光部としてのレーザースキャナーユニット4a、4b、4c、4dと、現像部16a、16b、16c、16dと、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dと、トナー供給部6a、6b、6c、6dと、クリーニング部11a、11b、11c、11dと、除電部12a、12b、12c、12dと、中間転写ベルト7と、1次転写ローラー37a、37b、37c、37dと、2次転写ローラー8と、対向ローラー18と、定着部9と、を備える。
【0026】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラー対80と、複数のローラー又はローラー対と、排紙部50と、を備える。なお、搬送路Lは、後述するように、第1搬送路L1と、第2搬送路L2と、第3搬送路L3と、手差し搬送路Laと、戻し搬送路Lbとの集合体である。
【0027】
以下、画像形成部GKの4台の画像形成ユニット15a、15b、15c、15d及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。まず、画像形成部GKの画像形成ユニット15a、15b、15c、15dについて説明する。
画像形成ユニット15a、15b、15c、15dにおいては、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に沿って順に、上流側から下流側に順に、帯電部10a、10b、10c、10dによる帯電、レーザースキャナーユニット4a、4b、4c、4dによる露光、現像部16a、16b、16c、16dによる現像、中間転写ベルト7及び1次転写ローラー37a、37b、37c、37dによる1次転写、除電部12a、12b、12c、12dによる除電、及びクリーニング部11a、11b、11c、11dによるクリーニングが行われる。また、中間転写ベルト7、2次転写ローラー8及び対向ローラー18による2次転写、並びに定着部9による定着が行われる。
【0028】
感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、中間転写ベルト7の外面側の1次転写位置(後述)に対向して配置され、中間転写ベルト7の進行方向に対して直交する方向に延びる機軸を中心に矢印の方向に回転可能に配置される。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面には、静電潜像が形成され得る。
【0029】
帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
【0030】
レーザースキャナーユニット4a、4b、4c、4dは、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面から離間して配置される。レーザースキャナーユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、不図示のレーザー光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モーター等を有する。
【0031】
レーザースキャナーユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、PC(パーソナルコンピューター)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を走査露光する。レーザースキャナーユニット4a、4b、4c、4dそれぞれにより走査露光されることで、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面の露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に静電潜像が形成される。
【0032】
現像部16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dにそれぞれ対応して設けられ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置される。現像部16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成された静電潜像に各色のトナーを付着させて、カラーのトナー画像を感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成する。現像部16a、16b、16c、16dそれぞれは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの色に対応する。現像部16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向配置された現像ローラー、トナー攪拌用の攪拌ローラー等を有する。
【0033】
トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、現像部16a、16b、16c、16dそれぞれに対応して設けられており、現像部16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、イエローのトナー、シアンのトナー、マゼンタのトナー、ブラックのトナーを収容する。
【0034】
トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれは、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d及び現像部16a、16b、16c、16dにそれぞれ対応して設けられており、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれに収容された各色のトナーを、現像部16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給する。トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれと現像部16a、16b、16c、16dそれぞれとは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
【0035】
中間転写ベルト7には、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに形成された各色のトナー画像が順次1次転写される。中間転写ベルト7は、従動ローラー35、駆動ローラーからなる対向ローラー18、テンションローラー36(図2では省略)等に掛け渡される。テンションローラー36が中間転写ベルト7を内側から外側に付勢するため、中間転写ベルト7には所定の張力が与えられる。
【0036】
中間転写ベルト7を挟んで感光体ドラム2a、2b、2c、2dと反対の側には、1次転写ローラー37a、37b、37c、37dそれぞれが対向して配置される。
【0037】
中間転写ベルト7における所定部分は、1次転写ローラー37a、37b、37c、37dそれぞれと、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれとにより挟み込まれる。この挟み込まれた所定部分は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面に押し当てられる。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと1次転写ローラー37a、37b、37c、37dそれぞれとの間で、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成される。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dそれぞれにおいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに現像された各色のトナー画像が中間転写ベルト7に順次1次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、フルカラーのトナー画像が形成される。
【0038】
1次転写ローラー37a、37b、37c、37dそれぞれには、不図示の1次転写バイアス印加部により、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色のトナー画像を中間転写ベルト7に転写させるための1次転写バイアスが印加される。
【0039】
除電部12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。除電部12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に光(除電光)を照射することにより、1次転写が行われた後の感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を除電する(電荷を除去する)。
除電部12a、12b、12c、12dの具体的な構成については、後述する。
【0040】
クリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。クリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0041】
2次転写ローラー8は、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる。2次転写ローラー8には、不図示の2次転写バイアス印加部により、中間転写ベルト7に形成されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに転写させるための2次転写バイアスが印加される。
【0042】
2次転写ローラー8は、中間転写ベルト7に対して当接したり離間したりする。具体的には、2次転写ローラー8は、中間転写ベルト7に当接される当接位置と中間転写ベルト7から離間する離間位置とに移動可能に構成される。詳細には、2次転写ローラー8は、中間転写ベルト7の表面に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる場合には当接位置に配置され、他の場合には離間位置に配置される。
【0043】
中間転写ベルト7における2次転写ローラー8とは反対側には、対向ローラー18が配置される。中間転写ベルト7における所定部分は、2次転写ローラー8と対向ローラー18とによって挟み込まれる。そして、用紙Tは中間転写ベルト7の外面(トナー画像が1次転写された面)に押し当てられる。中間転写ベルト7と2次転写ローラー8との間で2次転写ニップN2が形成される。2次転写ニップN2において、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像が用紙Tに2次転写される。
【0044】
定着部9は、用紙Tに2次転写されたトナー画像を構成する各色のトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒーターにより加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟まれた状態で用紙Tが搬送されることによって、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧をされることで用紙Tに定着される。
【0045】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する主収容部としての給紙カセット52が配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの筐体から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容される。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されるカセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラー対81とからなる重送防止機構を備える。
【0046】
装置本体Mの左側面(図1において左側)には、用紙Tを収容する手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの左側面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端において給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置される。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0047】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から2次転写ニップN2までの第1搬送路L1と、2次転写ニップN2から定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から排紙部50までの第3搬送路L3と、給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻し搬送路Lbと、を備える。
【0048】
第1搬送路L1は、給紙カセット52に収容される用紙Tを画像形成部GKに向けて搬送する。手差し搬送路Laは、手差し給紙部64に収容される用紙Tを後述するレジストローラー対80に向けて搬送する。
【0049】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻し搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。第1分岐部Q1は、戻し搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部である。
【0050】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と2次転写ローラー8との間)には、用紙Tを検出するための用紙検出センサー(図示せず)と、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とタイミングを合わせるためのレジストローラー対80とが配置される。前記用紙検出センサーは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラー対80の直前(搬送方向における上流側)に配置される。レジストローラー対80は、前記用紙検出センサーからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0051】
第1搬送路L1における第1合流部P1と第2合流部P2との間には、第1ローラーとしての第1搬送ローラー対82が配置される。第1搬送ローラー対82は、給紙ローラー対81の下流側に配置され、給紙ローラー対81により搬送される用紙Tを挟持して、第2ローラーとしてのレジストローラー対80へ搬送する。
【0052】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を中間転写ベルト7に対向させるために設けられる搬送路である。戻し搬送路Lbには、用紙Tを第2合流部P2に向けて搬送する複数の第2搬送ローラー対83が所定の間隔ごとに配置される。戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻して、2次転写ローラー8の上流側に配置されたレジストローラー対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tにおける未印刷面には、2次転写ニップN2において所定のトナー画像が転写される。
【0053】
第1分岐部Q1には、整流部材58が設けられている。整流部材58は、定着部9から搬出され第3搬送路L3を上流側から下流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、排紙部50に向かう方向に整流すると共に、排紙部50から第3搬送路L3を下流側から上流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、戻し搬送路Lbに向かう方向に整流する。
【0054】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの左側面側(図1において左側)に向けて開口している。排紙部50は、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50は、排出ローラー対53を有している。排出ローラー対53によれば、第3搬送路L3を上流側から下流側に搬送される用紙Tを装置本体Mの外部に排紙すると共に、排紙部50において用紙Tの搬送方向を反転させて用紙Tを第3搬送路L3の上流側に向けて搬送することができる。
【0055】
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する開閉部材としてのトップカバー部材M2により形成される。排紙集積部M1を形成するトップカバー部材M2の上面には、所定のトナー画像が形成され且つ排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサーが配置される。
【0056】
次に、図1を参照して、第1実施形態のプリンター1の動作について、簡単に説明する。まず、給紙カセット52に収容された用紙Tに片面印刷を行う場合について説明する。
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ61及び給紙ローラー対81によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、第1搬送ローラー対82により、レジストローラー対80に搬送される。レジストローラー対80においては、用紙Tのスキュー補正や、画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とのタイミング調整が行われる。
【0057】
レジストローラー対80から排出された用紙Tは、第1搬送路L1を介して中間転写ベルト7と2次転写ローラー8との間(2次転写ニップN2)に導入される。そして、用紙Tには、中間転写ベルト7と2次転写ローラー8との間において、トナー画像が転写される。その後、用紙Tは、中間転写ベルト7と2次転写ローラー8との間から排出され、第2搬送路L2を介して、定着部9における加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップに導入される。そして、定着ニップにおいてトナーが溶融し、トナーが用紙Tに定着される。
【0058】
次いで、用紙Tは、第3搬送路L3を通して排紙部50に搬送され、排出ローラー対53により排紙部50から排紙集積部M1に排出される。このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
【0059】
手差しトレイ65に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ65に載置された用紙Tは、給紙コロ66によって手差し搬送路Laに送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、レジストローラー対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
【0060】
次に、両面印刷を行う場合のプリンター1の動作について説明する。
片面印刷の場合には、前述した通り、片面印刷がされた用紙Tが、排紙部50から排紙集積部M1に排出されて印刷動作が完了する。これに対し、両面印刷を行う場合には、片面印刷がされた用紙Tが、戻し搬送路Lbを介して、片面印刷時とは表裏反転して、レジストローラー対80に再度搬送されることにより、用紙Tに両面印刷が施される。
【0061】
詳述すると、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラー対53により排紙部50から排出されるまでは、前述した片面印刷の動作と同様である。而して、両面印刷の場合には、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラー対53により保持されている状態において、排出ローラー対53の回転を停止させ、逆方向に回転させる。このように排出ローラー対53を逆方向に回転させると、排出ローラー対53に保持されている用紙Tは、第3搬送路L3を逆方向(排紙部50から第1分岐部Q1に向かう方向)に搬送される。
【0062】
前述したように、用紙Tが、第3搬送路L3を逆方向に搬送されると、整流部材58により、用紙Tは、戻し搬送路Lbへ整流され、その後、第2合流部P2を介して、第1搬送路L1に合流する。ここで、用紙Tは、片面印刷時とは表裏反転している。
【0063】
更に、用紙Tは、レジストローラー対80により前記補正又は前記調整が行われ、第1搬送路L1を介して、2次転写ニップN2に導入される。用紙Tは、戻し搬送路Lbを経由することにより、未印刷面が中間転写ベルト7に対向するので、未印刷面にトナー画像が転写され、その結果、両面印刷が施される。
【0064】
次に、第1実施形態のプリンター1の4台の画像形成ユニット15a、15b、15c、15dにおける除電部12a、12b、12c、12dの構成について、図3から図7を参照しながら説明する。図3は、4台の画像形成ユニット15a、15b、15c、15dのうち中間転写ベルト7の回転方向R1において上流側に配置された2台の画像形成ユニット15a、15bの構成を示す拡大縦断面図である。図4は、除電部12a、12b、12c、12dの構成を示す正面図である。図5は、図4に示す除電部12a、12b、12c、12dを構成する導光体121の拡大縦断面図である。図6は、図5のA−O−B線断面図である。図7は、図3に示す2台の画像形成ユニット15a、15bにおける感光体ドラム2a、2bに対する除電光の照射方向を説明する図である。
【0065】
図2及び図3に示すように、4台の画像形成ユニット15a、15b、15c、15dにおいて、各除電部12a、12b、12c、12dは、それぞれ、1次転写位置と、クリーニング部11a、11b、11c、11dとの間に配置される。1次転写位置は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの回転方向において1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成される位置である
【0066】
各除電部12a、12b、12c、12dは、4台の画像形成ユニット15a、15b、15c、15dを構成する感光体ドラム2a、2b、2c、2dにおける1次転写位置に対向する位置から、クリーニング部11a、11b、11c、11dに対向する位置までの間の領域それぞれに、第1除電光131を照射する。各除電部12a、12b、12cは、中間転写ベルト7の回転方向R1の下流側に各画像形成ユニット15a、15b、15cそれぞれと隣接して配置される3台の画像形成ユニット15b、15c、15dを構成する感光体ドラム2b、2c、2dにおける現像部16b、16c、16dに対向する位置から、1次転写位置に対向する位置までの間の領域に、第2除電光132を照射するよう構成される。
なお、4台の画像形成ユニット15a、15b、15c、15dのうち中間転写ベルト7の回転方向R1において最も上流側に配置される画像形成ユニット15aを構成する感光体ドラム2aには、第2除電光132が照射されない。
【0067】
図4に示すように、各除電部12a、12b、12c、12dは、長尺状の導光体121と、除電光源122と、を備える。
長尺状の導光体121は、中間転写ベルト7の回転方向R1に直交する長手方向X1−X2と、長手方向X1−X2と直交する短手方向Y1−Y2と、を有する。除電光源122は、導光体121の長手方向X1−X2の一端面121aから長手方向X1−X2の他端面121bに向けて光を導入する。除電光源122としては、LEDが使用される。
【0068】
図5に示すように、長尺状の導光体121は、略円柱形状を有する。この略円柱形状の長尺状の導光体121の短手方向Y1−Y2の側面には、即ち、導光体121の外周面における周方向の異なる位置には、第1反射部123及び第2反射部124がそれぞれ周方向に所定の幅を有して形成されている。
【0069】
第1反射部123及び第2反射部124は、長尺状の導光体121の長手方向X1−X2の略全長、少なくとも帯電幅以上にわたって形成される。第1反射部123及び第2反射部124それぞれにおける略円柱形状の導光体121の周方向幅の中心位置123a及び124aは、導光体121の周方向に180度以外の位置関係、例えば、120°から150°の位置関係に設定される。
【0070】
第1反射部123は、除電光源122から照射される光を短手方向に、つまり、略円柱形状の導光体121の中心Oから径方向外側に向かう方向に反射して、第1除電光131を形成する。第2反射部124は、除電光源122から照射される光を短手方向に、つまり、略円柱形状の導光体121の中心Oから、第1除電光131とは異なる径方向外側に向かう方向に反射して、第2除電光132を形成する。
前述の180度以外の位置関係を採用することで、第1除電光131が第2反射部124に入射せず、且つ、第2除電光132が第1反射部123に入射しない構成を実現できる。
【0071】
図6に示すように、導光体121における第1反射部123及び第2反射部124は、導光体121の側面である外周面に一体的に且つ導光体121の長手方向X1−X2に沿って複数の凹部溝125及び凹部溝126が配列する鋸歯状に形成される。鋸歯状の第1反射部123における複数の凹部溝125のピッチP10は、鋸歯状の第2反射部124における複数の凹部溝126のピッチP20よりも小さく設定される。凹部溝125のピッチP10は、例えば、凹部溝126のピッチP20の2から3倍である。これにより、第1反射部123において反射される第1除電光131の光量は、第2反射部124において反射される第2除電光132の光量よりも大きくなる。光量は凹部溝のピッチにほぼ比例する。
【0072】
上記した構成によって、図7に示すように、各除電部12a、12b、12c、12dにおける第1反射部123及び第2反射部124は、第1除電光131がそれに対応する感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面へ入射する角度θ1が、第2除電光132がそれに対応する感光体ドラム2b、2c、2dの表面へ入射する角度θ2よりも小さくなるように設定される。
転写後除電を行う第1除電光131は、比較的光路長が短いため、入射する角度θ1が比較的小さくても問題が少ない。一方、転写前除電を行う第2除電光132は、比較的光路長が長いため、入射する角度θ2を比較的大きくする必要がある。
【0073】
なお、第1除電光131の入射角度θ1及び第2除電光132の入射角度θ2は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面における第1除電光131及び第2除電光132の入射位置と、その入射位置を通る感光体ドラム2a、2b、2c、2dの接線(図7の一点鎖線)とが成す角度である。
【0074】
次に、本実施形態における各除電部12a、12b、12c、12dの動作について説明する。除電光源122を点灯させて、略円柱形状を有する長尺状の導光体121の長手方向X1−X2の一端面121aから導光体121の長手方向に光を導入する。導入された光は、第1反射部123及び第2反射部124において反射され、第1除電光131及び第2除電光132を形成する。
【0075】
そのうち、第1除電光131は、4台の画像形成ユニット15a、15b、15c、15dを構成する感光体ドラム2a、2b、2c、2dにおける1次転写位置に対向する位置からクリーニング部11a、11b、11c、11dに対向する位置までの間の領域それぞれに、照射される。これにより、第1除電光131は、トナー像が中間転写ベルト7に1次転写された後における感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に残存する残留電荷を除電する(転写後除電)。
【0076】
その結果、露光部分の再帯電時に周辺電位よりも低い表面電位差が生じることに起因する露光メモリー画像の発生を軽減でき、背景部の周辺濃度よりもメモリー画像の発生部分が濃く印刷されることを抑制できる。
【0077】
一方、第2除電光132は、4台の画像形成ユニット15a、15b、15c、15dを構成する感光体ドラム2b、2c、2dにおける現像部16b、16c、16dに対向する位置から1次転写位置に対向する位置までの間の領域に、照射される。これにより、第2除電光132は、トナー像が形成された感光体ドラム2b、2c、2dの領域における表面電荷を一様にするように、除電する(転写前除電)。
【0078】
その結果、トナーが残留することで電流値が少なくなって再帯電時に非印刷部分に対応する周辺電位よりも高い表面電位差が生じることに起因する転写メモリー画像の発生を軽減でき、背景部の周辺濃度よりもメモリー画像の発生部分が薄く印刷されることを抑制できる。
【0079】
以上のように、本実施形態においては、長尺状の導光体121と除電光源122とからなる除電部12a、12b、12c、12dを4台の画像形成ユニット15a、15b、15c、15dにそれぞれ設置することにより、中間転写ベルト7へのトナー像の転写後に感光体ドラム2a、2b、2c、2d上に残存する残留電荷を除電する第1の除電(転写後除電)と、中間転写ベルト7の回転方向R1の下流側に配置された3台の画像形成ユニット15b、15c、15dの感光体ドラム2b、2c、2d上の周面全体の電位を下げるために除電する第2の除電(転写前除電)とを、同時に行うことができる。これにより、各感光体ドラム2a、2b、2c、2d上の残留電荷を十分に除電し、転写メモリー画像や露光メモリー画像の発生を十分に抑制することができる。
【0080】
第1実施形態によれば、例えば、次の効果が奏される。
第1実施形態のプリンター1は、複数(4台)の画像形成ユニット15a、15b、15c、15dにおいては、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの回転方向において1次転写位置とクリーニング部11a、11b、11c、11dとの間に配置される除電部12a、12b、12c、12dは、各画像形成ユニット15a、15b、15c、15dを構成する感光体ドラムにおける1次転写位置に対向する位置からクリーニング部11a、11b、11c、11dに対向する位置までの間の領域に、第1除電光131を照射する。また、除電部12b、12c、12dは、中間転写ベルト7の回転方向下流側に隣接して配置される画像形成ユニット15b、15c、15dを構成する感光体ドラム2b、2c、2dにおける現像部16b、16c、16dに対向する位置から1次転写位置に対向する位置までの間の領域に、第2除電光132を照射する。
【0081】
そのため、第1除電光131の照射により、トナー像が中間転写ベルト7に1次転写された後における感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に残存する残留電荷を除電して、露光メモリー画像の発生を軽減することができる。また、第2除電光132の照射により、トナー像が形成された感光体ドラム2b、2c、2dの領域における表面電荷を一様にするよう除電して、転写メモリー画像の発生を軽減することができる。これにより、背景部の周辺濃度よりもメモリー画像の発生部分が薄く印刷されたり、濃く印刷されたりすることを抑制することができる。
【0082】
また、第1実施形態のプリンター1において、除電部12a、12b、12c、12dは、長尺状の導光体121と、導光体121にその長手方向X1−X2の端面121aから長手方向に光を導入させる除電光源122と、導光体121の短手方向Y1−Y2の側面における異なる位置に、除電光源122からの光を短手方向Y1−Y2に反射して、第1除電光131を形成する第1反射部123と、除電光源122からの光を短手方向Y1−Y2に反射して、第2除電光132を形成する第2反射部124と、を有している。
【0083】
そのため、露光メモリー画像の発生の軽減に有効な第1除電光131及び転写メモリー画像の発生の軽減に有効な第2除電光132を、1組の除電光源122及び導光体121により形成することが可能である。従って、除電部12a、12b、12c、12dの構成の簡素化、低コスト化、更には省電力化を図ることができる。
【0084】
また、除電光源122からの光を、貫通開口等に通過させることなく、長尺状の導光体121にその長手方向X1−X2の端面121aから導入して反射させることにより、第1除電光131及び第2除電光132を形成することが可能である。そのため、第1除電光131及び第2除電光132の光量を、ばらつきなく安定させ、適正化することができる。従って、露光メモリー画像及び転写メモリー画像の発生の抑制効果を一層確実に達成することができる。
【0085】
また、第1実施形態のプリンター1においては、第1反射部123及び第2反射部124は、導光体121の側面に一体的に且つ複数の凹部溝125及び凹部溝126を有する鋸歯状に形成される。そのため、複数の凹部溝125のピッチP10及び凹部溝126のピッチP20を適宜、変更することにより、第1除電光131及び第2除電光132の光量を簡単に且つ適正に調整して、露光メモリー画像及び転写メモリー画像の発生の抑制効果を一層向上することができる。
【0086】
更に、第1実施形態のプリンター1においては、第1反射部123における複数の凹部溝125のピッチP10を、第2反射部124における複数の凹部溝126のピッチP20よりも小さく設定している。そのため、第1除電光131の光量を第2除電光132の光量よりも大きくすることが可能であり、露光メモリー画像の発生を十分に抑制することができる。また、第2除電光132の光量は比較的小さく、局部的な強度ピークを持たないので、多色を重ねた転写時に下流に位置するトナーが感光体ドラムから飛び散る不都合や、画像に薄い縦筋を生じる不具合の発生を抑制することができる。
【0087】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態については、主として、第1実施形態とは異なる点を説明し、第1実施形態と同様の構成について同じ符号を付し、説明を省略する。第2実施形態について特に説明しない点については、第1実施形態についての説明が適宜適用される。第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0088】
第2実施形態は、第1実施形態に比して、各除電部12a、12b、12c、12dにおける導光体121の縦断面形状が異なる。従って、第2実施形態については、その相違点を中心に説明する。図8は、本発明の第2実施形態における除電部12a、12b、12c、12dを構成する導光体121の拡大縦断面図である。
【0089】
図8に示すように、第2実施形態における導光体121は、縦断面において対向する各2つの側面同士の頂点が内側に向けて互いに接近し、対向する他の各2つの側面の頂点同士が外側に向けて互いに離反するような異形8面柱形状を有する長尺状の導光体である。
【0090】
上記した異形8面柱形状の長尺状の導光体121の8つの側面のうち、頂点同士が外側に向けて互いに離反する各2つの側面の各一方の面にそれぞれ、鋸歯状の第1反射部123及び鋸歯状の第2反射部124が、導光体121の長手方向X1−X2の全長にわたって形成されている。
【0091】
第1反射部123及び第2反射部124それぞれにおける導光体121の周方向幅の中心位置123a及び124aは、第1実施形態と同様に、導光体121の周方向に180度以外の位置関係に設定される。
【0092】
第1反射部123は、除電光源122から照射される光を短手方向に、つまり、異形8面柱形状の導光体121の中心Oから径方向外側に向かう方向に反射して、第1除電光131を形成する。第2反射部124は、除電光源122から照射される光を短手方向に、つまり、異形8面柱形状の導光体121の中心Oから、第1除電光131とは異なる径方向外側に向かう方向に反射して、第2除電光132を形成する。
【0093】
また、異形8面柱形状の長尺状の導光体121の8つの側面のうち、頂点同士が内側に向けて互いに接近する各2つの側面には、反射層128、129がコーティングされている。これら反射層128、129は、コーティングの厚さやコーティング剤の選択等により、第1除電光131及び第2除電光132を適正な光量に調整することを可能にしている。
第2実施形態における導光体121によれば、第1除電光131及び第2除電光132が拡散すること、及びフレア光が発生することを抑制することができる。
【0094】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、前述の実施形態においては、略円柱形状又は異形8面柱形状の導光体121を用いた場合について説明しているが、これに制限されない。第1反射部123及び第2反射部124を導光体121の周方向に180度以外の位置関係に設定可能であれば、略正6角形や略正8角形等の縦断面形状を有する導光体121を用いてもよい
【0095】
本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、プリンター以外に、カラーコピー機、ファクシミリ、又はこれらの複合機などであってもよい。
【符号の説明】
【0096】
1……プリンター(画像形成装置)、2a、2b、2c、2d……感光体ドラム(像担持体)、4a、4b、4c、4d……レーザースキャナーユニット(露光部)、7……中間転写ベルト(転写ベルト)、10a、10b、10c、10d……帯電部、11a、11b、11c、11d……クリーニング部、12a、12b、12c、12d……除電部、15a、15b、15c、15d……画像形成ユニット、16a、16b、16c、16d……現像部、20……ベルトクリーニング部、121……導光体、122……除電光源、123……第1反射部、124……第2反射部、125、126……凹部溝、131……第1除電光、132……第2除電光、P10、P20……凹部溝のピッチ、X1−X2……長手方向、Y1−Y2……短手方向、θ1、θ2……入射角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に回転する環状の転写ベルトと、
前記転写ベルトの回転方向に間隔をあけて配置される複数の画像形成ユニットと、を備える画像形成装置であって、
前記複数の画像形成ユニットは、それぞれ、
前記転写ベルトの外面側の1次転写位置に対向して配置されると共に回転可能に構成される像担持体と、
前記像担持体を帯電させる帯電部と、
前記像担持体に静電潜像を形成する露光部と、
前記露光部により形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像部と、
前記像担持体に光を照射して該像担持体を除電する除電部と、
前記像担持体に残った残トナーをクリーニングするクリーニング部と、を備え、
前記複数の画像形成ユニットのうち少なくとも1つの画像形成ユニットにおいて、前記除電部は、
前記像担持体の回転方向において前記1次転写位置と前記クリーニング部との間に配置され、
当該画像形成ユニットを構成する前記像担持体における前記1次転写位置に対向する位置から前記クリーニング部に対向する位置までの間の領域に、第1除電光を照射すると共に、
前記転写ベルトの回転方向下流側に当該画像形成ユニットと隣接して配置される画像形成ユニットを構成する前記像担持体における前記現像部に対向する位置から前記1次転写位置に対向する位置までの間の領域に、第2除電光を照射するよう構成され、
前記除電部は、
長手方向及び該長手方向と直交する短手方向を有する長尺状の導光体と、該導光体にその長手方向の端面から長手方向に光を導入させる除電光源と、前記導光体の短手方向の側面における異なる位置に設けられる第1反射部及び第2反射部を有し、
前記第1反射部は、前記除電光源からの光を前記短手方向に反射して、前記第1除電光を形成し、前記第2反射部は、前記除電光源からの光を前記短手方向に反射して、前記第2除電光を形成する
画像形成装置。
【請求項2】
前記第1反射部及び前記第2反射部は、前記導光体の側面に一体的に且つ前記長手方向に配列する複数の凹部溝を有する鋸歯状に形成される
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
鋸歯状の前記第1反射部における前記複数の凹部溝のピッチは、鋸歯状の前記第2反射部における前記複数の凹部溝のピッチよりも、小さく設定される
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記導光体は、略円柱形状を有し、
前記第1反射部及び前記第2反射部それぞれにおける前記導光体の周方向の中心位置は、前記第1除電光が前記第2反射部に入射しないように且つ前記第2除電光が前記第1反射部に入射しないように、前記導光体の周方向に180度以外の位置関係にある
請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1反射部及び前記第2反射部は、前記第1除電光がそれに対応する前記像担持体の表面へ入射する角度が、前記第2除電光がそれに対応する前記像担持体の表面へ入射する角度よりも小さくなるように、設けられる
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1除電光の光量は、前記第2除電光の光量よりも大きい
請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写ベルトの外面であって該転写ベルトの回転方向において前記複数の画像形成ユニットの上流側に対向して配置され、前記転写ベルトに残った残トナーを除去するベルトクリーニング部を更に備え、
前記複数の画像形成ユニットのうち前記転写ベルトの回転方向において最も上流側に配置される画像形成ユニットを構成する前記像担持体には、前記第2除電光が照射されない
請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−113901(P2013−113901A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257631(P2011−257631)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】