説明

画像形成装置

【課題】 新たにセンサを設けることなく、測色手段に対する白色基準板の着脱動作の異常を検知することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 白色基準板230がカラーセンサ200に着している状態でのカラーセンサ200の測定値に基づいて白色基準板着脱モータ314による白色基準板230の着動作の異常を判別する。また、白色基準板230がカラーセンサ200から脱している状態でのカラーセンサ200の測定値に基づいて白色基準板着脱モータ314による白色基準板230の脱動作の異常を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測色機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の画像品質(以下画質と呼ぶ)には、粒状性、面内一様性、文字品位、色再現性(色安定性を含む)などがある。多色画像形成装置が普及した今日においては、最も重要な画質は色再現性であると言われることもある。
【0003】
人間は経験に基づいた期待する色(特に人肌、青空、金属など)についての記憶があり、その許容範囲を超えると違和感を覚えてしまう。これらの色は記憶色と呼ばれ、写真などを出力する際にその再現性を問われることが多くなった。
【0004】
写真画像に限らず、文書画像においても、モニタとの色の差に違和感を覚えてしまうオフィスユーザ層、CG画像の色再現性を追求するグラフィックアーツユーザ層など、画像形成装置に対する色再現性(安定性を含む)の要求度が増している。
【0005】
そこで、ユーザの色再現性の要求を満たすべく、記録紙の搬送経路に設けられた測色手段(カラーセンサ)によって、記録紙上に形成された測定用画像(パッチ画像)を読み取る画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この画像形成装置によれば、カラーセンサによるパッチ画像の読取結果に基づいて、露光量や現像バイアスなどのプロセス条件にフィードバックをかけることで、一定の濃度、階調性、色味を再現することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−086013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のカラーセンサは、環境温度の変化による光源の出力変動などの要因によって、色度の検出精度が悪化する。そこで、カラーセンサの対向位置に白色基準板を配置し、白色基準板をカラーセンサで測定してカラーセンサの検出値を補正することが考えられる。
【0008】
具体的には、白色基準板からの反射光をW(λ)、パッチ画像からの反射光をP(λ)とすると、パッチ画像の分光反射率R(λ)は、R(λ)=P(λ)/W(λ)により求めることができる。
【0009】
白色基準板を用いてパッチ画像の分光反射率を求める場合、白色基準板をカラーセンサ測定面に近い位置に配置して測定する必要があるが、パッチ画像を測定する際には白色基準板にパッチ画像が形成された記録紙が衝突してジャムが発生してしまう。そこで、白色基準板に着脱機構を設け、白色基準板を測定する際にはカラーセンサ測定面に着させ、パッチ画像を測定する際にはカラーセンサ測定面から脱させる必要がある。
【0010】
しかしながら、白色基準板を正常に着動作させることができないと、白色基準板の測定値に誤差が発生し、これが原因でパッチ画像の分光反射率にも誤差が生じてしまう。また、白色基準板を正常に脱動作させることができないと、パッチ画像が形成された記録紙が白色基準板に衝突してジャムが発生してしまう。これに対し、着脱動作を検知するためのセンサを新たに設けるとすると、コストアップにつながる。
【0011】
そこで、本発明は、新たにセンサを設けることなく、測色手段に対する白色基準板の着脱動作の異常を検知することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、色材によって記録紙に複数の測定用画像を形成する像形成手段と、前記記録紙に形成された前記測定用画像を測色して分光反射率を出力する測色手段と、前記測色手段に対向する位置に設けられた白色基準板と、前記白色基準板を前記測色手段に対して着脱させる着脱手段と、前記白色基準板が前記測色手段に着している状態での前記測色手段の測定値に基づいて前記着脱手段による前記白色基準板の着動作の異常を判別し、前記白色基準板が前記測色手段から脱している状態での前記測色手段の測定値に基づいて前記着脱手段による前記白色基準板の脱動作の異常を判別する判別手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、測色手段に対する白色基準板の着脱動作の異常を検知することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成装置100の構造を示す断面図である。
【図2】カラーセンサ200の構造を示す図である。
【図3】画像形成装置100のシステム構成を示すブロック図である。
【図4】カラーマネージメント環境の概略図である。
【図5】白色基準板230を用いたキャリブレーション動作を示すフローチャートである。
【図6】白色基準板着動作1を示すフローチャートである。
【図7】白色基準板脱動作を示すフローチャートである。
【図8】白色基準板着動作2を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(画像形成装置)
本実施形態では電子写真方式のレーザビームプリンタを用いて上記課題の解決方法を説明する。ここでは、一例として、画像形成方式として電子写真方式を採用する。しかし、本発明は、インクジェット方式や昇華方式にも適用できる。これは、本発明が、測定対象物の色度が温度によって変化するというサーモクロミズム現象が発生しうる画像形成装置において有効な発明だからである。なお、インクジェット方式では、インクを吐出して記録紙に画像を形成する画像形成手段やインクを乾燥させる定着手段(乾燥手段)が使用される。
【0016】
図1は、画像形成装置100の構造を示す断面図である。画像形成装置100は、筐体101を備える。筐体101には、エンジン部を構成するための各機構と、制御ボード収納部104とが設けられている。制御ボード収納部104には、各機構による各印刷プロセス処理(例えば、給紙処理など)に関する制御を行なうエンジン制御部102と、プリンタコントローラ103が収納されている。
【0017】
図1が示すように、エンジン部にはYMCKに対応した4つのステーション120、121、122、124が設けられている。ステーション120、121、122、124は、トナーを記録紙110に転写して画像を形成する像形成手段である。ここで、YMCKは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの略称である。各ステーションは、ほぼ共通の部品により構成されている。感光ドラム105は、像担持体の一種であり、一次帯電器111により一様の表面電位に帯電する。感光ドラム105は、レーザ108が出力するレーザ光によって、潜像が形成される。現像器112は、色材(トナー)を用いて潜像を現像してトナー像を形成する。トナー像(可視像)は、中間転写体106上に転写される。中間転写体106上に形成された可視像は、収納庫113から搬送されてきた記録紙110に対して、転写ローラ114により転写される。
【0018】
本実施形態の定着処理機構は、記録紙110に転写されたトナー像を加熱および加圧して記録紙110に定着させる第一定着器150および第二定着器160を有している。第一定着器150には、記録紙110に熱を加えるための定着ローラ151、記録紙110を定着ローラ151に圧接させるための加圧ベルト152、定着完了を検知する第一定着後センサ153を含む。これらローラは中空ローラであり、内部にそれぞれヒータを有している。
【0019】
第二定着器160は、第一定着器150よりも記録紙110の搬送方向で下流に配置されている。第二定着器160は、第一定着器150により定着した記録紙110上のトナー像に対してグロス(光沢)を付与したり、定着性を確保したりする。第二定着器160も、第一定着器150と同様に定着ローラ161、加圧ローラ162、第二定着後センサ163を有している。記録紙110の種類によっては第二定着器160を通す必要がない。この場合、エネルギー消費量低減の目的で第二定着器160を経由せずに記録紙110は搬送経路130を通過する。
【0020】
例えば、記録紙110にグロスを多く付加する設定がされた場合や、記録紙110が厚紙のように定着に多くの熱量を必要とする場合は、第一定着器150を通過した記録紙110は、第二定着器160にも搬送される。一方、記録紙110が普通紙や薄紙の場合であって、グロスを多く付加する設定がされていない場合は、記録紙110は、第二定着器160を迂回する搬送経路130を搬送される。第二定着器160に記録紙110を搬送するか、第二定着器160を迂回して記録紙110を搬送するかは、フラッパ131の切り替えにより制御される。
【0021】
搬送経路切り替えフラッパ132は、記録紙110を搬送経路135へと誘導するか、外部への排出経路139に誘導する誘導部材である。搬送経路135へと導かれた記録紙110の先端は、反転センサ137を通過し、反転部136へ搬送される。反転センサ137が記録紙110の後端を検出すると、記録紙110の搬送方向が切り替えられる。搬送経路切り替えフラッパ133は、記録紙110を両面画像形成用の搬送経路138へと誘導するか、搬送経路135に誘導する誘導部材である。
【0022】
搬送経路135には、記録紙110上の測定用画像(以下、パッチ画像)を検知するカラーセンサ200が配置されている。カラーセンサ200は、記録紙110の搬送方向に直交する方向に4つ並べて配置されており、4列のパッチ画像を検知できる。操作部180からの指示により色検出が指示されると、エンジン制御部102は濃度調整、階調調整、多次色調整などを実行する。
【0023】
搬送経路切り替えフラッパ134は、記録紙110を外部への排出経路139に誘導する誘導部材である。排出経路139を搬送された記録紙110は、画像形成装置100の外部へと排出される。
【0024】
(カラーセンサ)
図2は、カラーセンサ200の構造を示す図である。カラーセンサ200の内部には、白色LED201、回折格子202、ラインセンサ203、演算部204、及びメモリ205が設けられている。白色LED201は、記録紙110上のパッチ画像220に光を照射する発光素子である。パッチ画像220から反射した光は、透明部材で構成されるセンサ面206を通過する。
【0025】
回折格子202はパッチ画像220から反射した光を波長ごとに分光する。ラインセンサ203は、回折格子202により波長ごとに分解された光を検出するn個の受光素子を備えた光検出素子である。演算部204は、ラインセンサ203により検出された各画素の光強度値から各種の演算を行う。
【0026】
メモリ205は、演算部204が使用する各種のデータを保存する。演算部204は、例えば、光強度値から分光演算する分光演算部やLab値を演算するLab演算部などを有する。また、白色LED201から照射された光を記録紙110上のパッチ画像220に集光したり、パッチ画像220から反射した光を回折格子202に集光したりするレンズがさらに設けられてもよい。
【0027】
環境温度の変化により、白色LED201の出力に変動が生じる。この変動を補正するために、白色基準板230がカラーセンサ200のセンサ面206に着脱可能に設けられている。
【0028】
図2では、説明の都合上白色基準板230をセンサ面206から遠ざけた状態(脱状態)を示しているが、実際に測定動作を行う際には白色基準板230をセンサ面206に近づけた状態(着状態)にする。つまり、白色基準板230の測定を行う場合は、白色基準板230を着状態にして白色基準板230からの反射光を測定する。この反射光に基づいて、カラーセンサ200の検出値が補正される。以下、白色基準板230を用いた補正処理をキャリブレーションと称する。
【0029】
(プロファイル)
多次色補正処理を行うにあたり、画像形成装置100は、パッチ画像の検出結果からプロファイルを作成し、そのプロファイルを用いて入力画像を変換して出力画像を形成する。
【0030】
ここで、多次色を含むパッチ画像は、CMYKの4色それぞれについて網点面積率を3段階(0%、50%、100%)に変化させ、色毎の網点面積率の全ての組み合わせのパッチ画像を形成する。つまり、パッチ画像の網点面積率を(C,M,Y,K)で表すと、1番目(0%、0%、0%、0%)、2番目(50%、0%、0%、0%)、3番目(50%、50%、0%、0%)・・・81番目(100%、100%、100%、100%)となる。このように、全部で81パターン(3の4乗)のパッチ画像が形成される。
【0031】
優れた色再現性を実現するプロファイルとして、ここでは近年市場で受け入れられているICCプロファイルを用いることとする。ただし、本発明は、ICCプロファイルでなければ適用できない発明ではない。本発明は、Adobe社が提唱したPostScriptのレベル2から採用されているCRD(Color Rendering Dictionary)やPhotoshop内の色分解テーブルなどにも適用できる。
【0032】
カスタマエンジニアによる部品交換時や、カラーマッチング精度が要求されるジョブの前、さらには、デザイン構想段階などで最終出力物の色味が知りたい時などに、ユーザは操作部180を操作してカラープロファイルの作成処理を指示する。
【0033】
プロファイルの作成処理は、図3のブロック図に示すプリンタコントローラ103において行われる。プリンタコントローラ103はCPUを有し、後述するフローチャートを実行するためのプログラムを記憶部350から読み出して実行する。なお、図3では、プリンタコントローラ103により行われる処理を分かり易くするために、プリンタコントローラ103内をブロックで表現している。
【0034】
操作部180がプロファイル作成指示を受け付けると、プロファイル作成部301は、ISO12642テストフォームであるCMYKカラーチャート210を、プロファイルを介さずにエンジン制御部102に出力する。プロファイル作成部301は、カラーセンサ制御部302に測色指示を送る。エンジン制御部102は、画像形成装置100を制御して帯電、露光、現像、転写、定着といったプロセスを実行させる。これにより、記録紙110にはISO12642テストフォームが形成される。カラーセンサ制御部302はカラーセンサ200を制御して、ISO12642テストフォームを測色させる。カラーセンサ200は、測色結果である分光反射率データをプリンタコントローラ103のLab演算部303に出力する。Lab演算部303は、分光反射率データをL*a*b*データに変換して、プロファイル作成部301に出力する。なお、Lab演算部303は、機器に依存しない色空間信号であるCIE1931XYZ表色系へ分光反射率データを変換してもよい。
【0035】
プロファイル作成部301は、エンジン制御部102に出力したCMYK色信号と、Lab演算部303から入力されたL*a*b*データとの関係から出力ICCプロファイルを作成する。プロファイル作成部301は、出力ICCプロファイル格納部305に格納されている出力ICCプロファイルに代えて、作成した出力ICCプロファイルを格納する。
【0036】
ISO12642テストフォームは一般的な複写機が出力可能な色再現域を網羅するCMYK色信号のパッチを含んでいる。よって、プロファイル作成部301は、それぞれの色信号値と測色したL*a*b*値との関係から色変換表を作成する。つまりCMYK→Labの変換表が作成される。この変換表をもとにして、逆変換表が作成される。
【0037】
プロファイル作成部301は、ホストコンピュータからI/F308を通じてプロファイル作成命令を受け付けると、作成した出力ICCプロファイルをI/F308を通じてホストコンピュータに出力する。ホストコンピュータは、ICCプロファイルに対応した色変換をアプリケーションプログラムで実行することができる。
【0038】
なお、第一定着駆動モータは第一定着器150を駆動するためのモータであり、第二定着駆動モータは第二定着器160を駆動するためのモータであり、これらのモータはエンジン制御部102により制御される。また、エンジン制御部102は、白色基準板230をカラーセンサ200のセンサ面206に対して着脱するための白色基準板着脱モータ314を制御する。この制御の詳細については後述する。
【0039】
(色変換処理)
通常のカラー出力における色変換においては、スキャナ部からI/F308を介して入力されたRGB信号値やJapanColorなどの標準印刷CMYK信号値を想定して入力された画像信号は、外部入力用の入力ICCプロファイル格納部307に送られる。入力ICCプロファイル格納部307は、I/F308から入力された画像信号に応じて、RGB→L*a*b*あるいはCMYK→L*a*b*変換を実行する。入力ICCプロファイル格納部307に格納されている入力ICCプロファイルは、複数のLUT(ルックアップテーブル)により構成されている。
【0040】
これらのLUTは、たとえば、入力信号のガンマをコントロールする1次元LUT、ダイレクトマッピングといわれる多次色LUT、生成された変換データのガンマをコントロールする1次元LUTである。入力された画像信号は、これらのLUTを用いてデバイスに依存した色空間からデバイスに依存しないL*a*b*データに変換される。
【0041】
L*a*b*色度座標に変換された画像信号はCMM306に入力される。CMMはカラーマネージメントモジュールの略語である。CMM306は、各種の色変換を実行する。たとえば、CMM306は、入力機器としてのスキャナ部などの読取色空間と、出力機器としての画像形成装置100の出力色再現範囲のミスマッチをマッピングするGUMAT変換を実行する。また、CMM306は、入力時の光源種と出力物を観察するときの光源種のミスマッチ(色温度設定のミスマッチとも言う)を調整する色変換を実行する。
【0042】
このようにしてCMM306は、L*a*b*データをL’*a’*b’*データへ変換し、出力ICCプロファイル格納部305に出力する。測色によって作成されたプロファイルが出力ICCプロファイル格納部305に格納されている。よって、出力ICCプロファイル格納部305は、新たに作成したICCプロファイルによってL’*a’*b’*データを色変換し、出力機器に依存したCMYK信号へと変換してエンジン制御部102へ出力する。
【0043】
図3で、CMM306は、入力ICCプロファイル格納部307と出力ICCプロファイル格納部305と分離されている。しかし、図4が示すようにCMM306はカラーマネージメントを司るモジュールのことであり、入力プロファイル(印刷ICCプロファイル501)と出力プロファイル(プリンタICCプロファイル502)を使って色変換を行うモジュールである。
【0044】
(白色基準板の着脱動作)
図5は、白色基準板230を用いたキャリブレーション動作を示すフローチャートである。
【0045】
このフローチャートは、プリンタコントローラ103により実行される。なお、画像形成装置100の制御は、プリンタコントローラ103からの指示によりエンジン制御部102により実行される。また、記憶部350には、工場での装置組み立て時に測定した、白色基準板230をカラーセンサ200のセンサ面206に着させた状態でのカラーセンサ200測定値(初期値A)と、脱させた状態でのカラーセンサ200測定値(初期値B)とが予め記憶されている。
【0046】
まず、プリンタコントローラ103は、白色基準板230をカラーセンサ200のセンサ面206に着させる(S501)。この白色基準板着動作の詳細は図6を用いて後述する。着動作が完了すると、プリンタコントローラ103は、カラーセンサ200により白色基準板230からの反射光W(λ)を測定する(S502)。
【0047】
次に、プリンタコントローラ103は、白色基準板230をカラーセンサ200のセンサ面206から脱させる(S503)。この白色基準板脱動作の詳細は図7を用いて後述する。脱動作が完了すると、プリンタコントローラ103は、測定用のパッチ画像が形成された記録紙、すなわちカラーチャート210の通紙を開始する(S504)。
【0048】
次に、プリンタコントローラ103は、カラーセンサ200のからの出力に基づきカラーチャート210の先端を検知するまで待機する(S505)。ここで、プリンタコントローラ103は、カラーセンサ200の出力を常時モニタし、受光光量がアップしたタイミングをカラーチャート210の先端タイミングとして検知する。なお、カラーチャート210の先端を検知するセンサを新たに設けても構わない。
【0049】
カラーチャート210の先端を検知すると、プリンタコントローラ103は、白色基準板230をカラーセンサ200のセンサ面206に着させる(S506)。この白色基準板着動作の詳細は図8を用いて後述する。着動作が完了すると、プリンタコントローラ103は、カラーチャート210上のパッチ画像220からの反射光P(λ)を測定する(S507)。そして、プリンタコントローラ103は、パッチ画像220の分光反射率をR(λ)=P(λ)/W(λ)を演算する(S508)。
【0050】
次に、プリンタコントローラ103は、白色基準板230をカラーセンサ200のセンサ面206から脱させ(S503)、このフローチャートによる処理を終了する。この白色基準板脱動作の詳細は図7を用いて後述する。
【0051】
なお、白色基準板230の着状態においては、白色基準板230が完全にカラーセンサ200のセンサ面206に接触しているわけではなく、白色基準板230とセンサ面206との間にカラーチャート210が入るだけの隙間が設けられている。
【0052】
図6は、白色基準板着動作1を示すフローチャートである。
このフローチャートは、図5のステップS501の処理を示すサブルーチンであり、プリンタコントローラ103により実行される。なお、画像形成装置100の制御は、プリンタコントローラ103からの指示によりエンジン制御部102により実行される。
【0053】
まず、プリンタコントローラ103は、白色基準板230をカラーセンサ200のセンサ面206へ着させるよう、白色基準板着脱モータ314の駆動を開始する(S601)。次に、プリンタコントローラ103は、白色基準板230がカラーセンサ200のセンサ面206に着するのに十分な時間が経過するまで待機する(S602)。
【0054】
次に、プリンタコントローラ103は、カラーセンサ200により白色基準板230からの反射光を測定し(S603)、記憶部350から着状態での初期値Aを読み出す(S604)。そして、プリンタコントローラ103は、ステップS603での測定値が(初期値A−α)より大きいかどうかを判断する(S605)。ここでαは、カラーセンサ200からの出力信号のS/N比に起因するばらつきや、白色基準板230の劣化などを考慮した値である。なお、(初期値A−α)は第1の閾値に対応する。
【0055】
ステップS603での測定値が(初期値A−α)以下の場合は、白色基準板230からの反射光の測定値が小さすぎる、すなわち白色基準板230がカラーセンサ200のセンサ面206に着できていないことになる。
【0056】
したがって、プリンタコントローラ103は、ステップS603での測定値が(初期値A−α)より大きいと判断した場合は、正常に着動作ができているので本サブルーチンの処理フローから抜けて図5の処理に戻る。逆に、ステップS603での測定値が(初期値A−α)以下の場合は、プリンタコントローラ103は着動作不良であるとして操作部180上のディスプレイに異常報知を行い(S606)、このフローチャートによる処理を終了する。
【0057】
図7は、白色基準板脱動作を示すフローチャートである。
このフローチャートは、図5のステップS503及びS509の処理を示すサブルーチンであり、プリンタコントローラ103により実行される。なお、画像形成装置100の制御は、プリンタコントローラ103からの指示によりエンジン制御部102により実行される。
【0058】
まず、プリンタコントローラ103は、白色基準板230をカラーセンサ200のセンサ面206から脱させるよう、白色基準板着脱モータ314の駆動を開始する(S701)。次に、プリンタコントローラ103は、白色基準板230がカラーセンサ200のセンサ面206から脱するのに十分な時間が経過するまで待機する(S702)。
【0059】
次に、プリンタコントローラ103は、カラーセンサ200により白色基準板230からの反射光を測定し(S703)、記憶部350から脱状態での初期値Bを読み出す(S704)。そして、プリンタコントローラ103は、ステップS703での測定値が(初期値B+β)より小さいかどうかを判断する(S705)。ここでβは、カラーセンサ200からの出力信号のS/N比に起因するばらつきや、白色基準板230の劣化などを考慮した値である。なお、(初期値B+β)は第2の閾値に対応する。なお、脱状態時の初期値である初期値Bは、着状態時の初期値である初期値Aよりも小さい値である。
【0060】
ステップS703での測定値が(初期値B+β)以上の場合は、白色基準板230からの反射光の測定値が大きすぎる、すなわち白色基準板230がカラーセンサ200のセンサ面206から脱できていないことになる。
【0061】
したがって、プリンタコントローラ103は、ステップS703での測定値が(初期値B+β)より小さいと判断した場合は、正常に脱動作ができているので本サブルーチンの処理フローから抜けて図5の処理に戻る。逆に、ステップS703での測定値が(初期値B+β)以上の場合は、プリンタコントローラ103は脱動作不良であるとして操作部180上のディスプレイに異常報知を行い(S706)、このフローチャートによる処理を終了する。
【0062】
図8は、白色基準板着動作2を示すフローチャートである。
このフローチャートは、図5のステップS506の処理を示すサブルーチンであり、プリンタコントローラ103により実行される。なお、画像形成装置100の制御は、プリンタコントローラ103からの指示によりエンジン制御部102により実行される。
【0063】
まず、プリンタコントローラ103は、白色基準板230が脱状態のままでカラーセンサ200による測定動作を行い、カラーチャート210の先端の余白部分の測定値1を取得する(S801)。次に、プリンタコントローラ103は、白色基準板230をカラーセンサ200のセンサ面206へ着させるよう、白色基準板着脱モータ314の駆動を開始する(S802)。次に、プリンタコントローラ103は、白色基準板230がカラーセンサ200のセンサ面206に着するのに十分な時間が経過するまで待機する(S803)。
【0064】
次に、プリンタコントローラ103は、カラーセンサ200による測定動作を行い、カラーチャート210の先端の余白部分の測定値2を取得する(S804)。そして、プリンタコントローラ103は、測定値2が(測定値1+σ)より大きいかどうかを判断する(S805)。ここでσは、記録紙の裏から白色基準板230を当接させた場合の光量アップ分に基づいて決められた値である。光量アップ分は記録紙の光透過量によって決まるため、紙種に応じてσの値を設定してもよい。
【0065】
測定値2が(測定値1+σ)以下の場合は、白色基準板230からの反射光の測定値が小さすぎる、すなわち白色基準板230がカラーセンサ200のセンサ面206に着できていないことになる。
【0066】
したがって、プリンタコントローラ103は、測定値2が(測定値1+σ)より大きいと判断した場合は、正常に着動作ができているので本サブルーチンの処理フローから抜けて図5の処理に戻る。逆に、測定値2が(測定値1+σ)以下の場合は、プリンタコントローラ103は着動作不良であるとして操作部180上のディスプレイに異常報知を行い(S806)、このフローチャートによる処理を終了する。
【0067】
以上で説明したように、本実施形態では、白色基準板230がカラーセンサ200に着している状態でのカラーセンサ200の測定値に基づいて白色基準板着脱モータ314による白色基準板230の着動作の異常を判別する。また、白色基準板230がカラーセンサ200から脱している状態でのカラーセンサ200の測定値に基づいて白色基準板着脱モータ314による白色基準板230の脱動作の異常を判別する。これによって、本実施形態によれば、新たにセンサを設けることなく、カラーセンサ200に対する白色基準板230の着脱動作の異常を検知することができる。
【符号の説明】
【0068】
100 画像形成装置
102 エンジン制御部
103 プリンタコントローラ(判別手段)
110 記録紙
150 第一定着器(定着手段)
160 第二定着器(定着手段)
200 カラーセンサ(測色手段)
230 白色基準板
314 白色基準板着脱モータ(着脱手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色材によって記録紙に複数の測定用画像を形成する像形成手段と、
前記記録紙に形成された前記測定用画像を測色して分光反射率を出力する測色手段と、
前記測色手段に対向する位置に設けられた白色基準板と、
前記白色基準板を前記測色手段に対して着脱させる着脱手段と、
前記白色基準板が前記測色手段に着している状態での前記測色手段の測定値に基づいて前記着脱手段による前記白色基準板の着動作の異常を判別し、前記白色基準板が前記測色手段から脱している状態での前記測色手段の測定値に基づいて前記着脱手段による前記白色基準板の脱動作の異常を判別する判別手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判別手段は、前記白色基準板が前記測色手段に着している状態での前記測色手段の測定値が第1の閾値以下の場合に、前記着脱手段による前記白色基準板の着動作の異常を判別することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判別手段は、前記白色基準板が前記測色手段から脱している状態での前記測色手段の測定値が第2の閾値以上の場合に、前記着脱手段による前記白色基準板の脱動作の異常を判別することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の閾値は、前記白色基準板が前記測色手段に着している状態での前記測色手段の測定値の初期値に基づいて設定されることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2の閾値は、前記白色基準板が前記測色手段に脱している状態での前記測色手段の測定値の初期値に基づいて設定されることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−114080(P2013−114080A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260884(P2011−260884)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】