説明

画像形成装置

【課題】本発明は、色味の安定と生産性の維持を両立した効率のよい調整動作を行うことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】プリンタ制御部300は、各色の温湿度センサ(51Kなど)の検出値の色間差の変化量のいずれかが第1の所定値より大きい場合に、調整手段によりトナー像の画像濃度を調整し、各色の温湿度センサ(51Kなど)の検出値の色間差の変化量のすべてが第1の所定値以下の場合に、調整手段によるトナー像の画像濃度の調整を行わない制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数色のトナーを用いてカラー画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置として、一次帯電器、露光手段を用いて、感光ドラム上に明部領域と暗部領域とを形成し、これら電位を検出し、その検出値を予め設定した目標値に収束させるように、一次帯電器を制御するものがある(特許文献1)。
【0003】
また、従来の画像形成装置として、温湿度センサを、現像装置に設置し、現像剤が実際に含んでいる水分によって環境状況を把握する。そして、精度の高いフィードバックを行い、画像形成の際に現像剤を所定の帯電量まで帯電させ、適正な画像形成を行うものがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−261480号公報
【特許文献2】特開2007−65581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような電位制御などの画像形成条件調整動作は、1つの温湿度センサの出力信号をもって目標値を設定するのが通例であった。しかし、特許文献2のように温湿度センサを現像装置に設置した場合、フルカラーの画像形成装置においては4つの温湿度情報が入力されてくる。これらの従来例は、単色それぞれの濃度変動にしか言及していない。このため、この濃度変動の傾向が各色で異なると、複数色のトナーからなる2次色の色味変動として認識されてしまう。
【0006】
この解決方法としては、所定時間、所定枚数などの共通のタイミングで4色の温湿度情報を検知し、その値に基づいて画像形成条件調整動作を行うことが考えられる。また、4つの温湿度センサそれぞれの温湿度情報の変化度合いが所定範囲を超えたら調整動作を行う方法が考えられる。
【0007】
しかし、このような解決方法では、画像形成条件調整動作を行う頻度が多く、生産性が低下するという課題があった。そこで本発明は、色味の安定と生産性の維持を両立した効率のよい調整動作を行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、静電潜像を担持する像担持体と、前記像担持体に担持された静電潜像を現像して有彩色のトナー像を形成する複数の現像装置と、前記現像装置のそれぞれの温度及び/または湿度を検出する雰囲気検出手段と、前記トナー像の画像濃度を調整する画像濃度調整手段と、前記雰囲気検出手段の検出結果に基づいて、前記画像濃度調整手段により前記トナー像の画像濃度を調整する制御手段と、を有する画像形成装置において、前記制御手段は、前記雰囲気検出手段の検出値の色間差の変化量のいずれかが第1の所定値より大きい場合に、前記調整手段により前記トナー像の画像濃度を調整し、前記雰囲気検出手段の検出値の色間差の変化量のすべてが前記第1の所定値以下の場合に、前記調整手段による前記トナー像の画像濃度の調整を行わない制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、色味の安定と生産性の維持を両立した効率のよい調整動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】第1実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態の温湿度センサの構成図である。
【図4】(a)帯電バイアスと感光ドラム表面電位の関係を示す図である。(b)相対湿度とVcont、Vbackの対応を示すテーブルである。
【図5】第1実施形態の電位制御を説明するフローチャートである。
【図6】第1実施形態の画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図7】第2実施形態のパッチセンサの構成図である。
【図8】第2実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図9】第2実施形態の階調制御を説明するフローチャートである。
【図10】第2実施形態の画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
本発明に係る画像形成装置の第1実施形態について、図を用いて説明する。図1は実施形態に係る画像形成装置1000の構成図である。図1に示すように、本実施形態の画像形成装置1000は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各ステーションを有している。各ステーションにおいて、1次帯電器(画像濃度調整手段)21Y〜21Kに帯電バイアス電源41Y〜41Kから直流成分Vchg(V)に交流成分を重畳した帯電バイアスを印加する。これにより、1次帯電器21Y〜21Kによって感光ドラム(像担持体)28Y〜28Kの表面を白地部電位Vd(V)に帯電する。このような「AC帯電方式」では、Vchg(V)の値がほぼVd(V)になるように交流成分が調整される。
【0012】
そして、画像情報に基づいてレーザ22Y〜22Kによって露光して除電し、感光ドラム28上に静電潜像を形成する。最大露光を行った倍、最大濃度部電位Vl(V)が形成される。静電潜像は、複数の現像装置1Y〜1Kによって各色のトナーを用いて有彩色のトナー像として現像される。現像装置1Y〜1Kには、現像バイアス電源(画像濃度調整手段)42Y〜42Kから、直流成分に交流成分を重畳した現像バイアスが印加されている。
【0013】
各色のトナー像は、1次帯電ローラ23Y〜23Kによって、中間転写ベルト24に重ねて転写され、シート27に転写される。トナー像を転写されたシート27は、定着器25により加熱、加圧されて、トナー像が定着される。また、転写後に感光ドラム28上に残った残トナーは、クリーナー26Y〜26Kにより除去される。
【0014】
(温湿度センサ51、電位センサ52)
現像装置1Y〜1Kの内部には、温湿度センサ(雰囲気検出手段)51Y〜51Kが配置されている。温湿度センサ51Y〜51Kは、現像装置1Y〜1K内部の温湿度を検知する。レーザ22Y〜22Kと現像装置1Y〜1Kとの間には、電位センサ52Y〜52Kが設置されている。電位センサ52Y〜52Kは、感光ドラム28Y〜28Kの表面電位を検知する。
【0015】
本実施形態では、温湿度センサ51Y〜51Kとして用いたセンシリオン(SENSIRION)社製温湿度センサSHT1Xシリーズを用いた。図3に示すように、温湿度センサ51Y〜51Kは、湿度検知デバイスとして静電容量ポリマーのセンシング素子1001、温度検知デバイスとしてバンドギャップ温度センサ1002を有している。センシング素子1001、バンドギャップ温度センサ1002とも、14ビットA/Dコンバータ1003にカップリングされ、デジタルインターフェース1004を通じてシリアル出力を行う仕様のCMOSデバイスである。
【0016】
バンドギャップ温度センサ1002は、温度に対して線形に抵抗値が変化するサーミスタを用いることで、その抵抗値から温度を算出している。また、センシング素子1001は、誘電体としてポリマーを挿入したコンデンサであり、湿度に応じてポリマーに吸着する水分量が変化する結果、コンデンサの静電容量が湿度に対して線形に変化することを利用して、静電容量を湿度に変換することで検知している。
【0017】
(画像形成装置1000のシステム構成)
図2は図1の画像形成装置1000のシステム構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像形成装置1000は、外部入力インターフェース(外部入力I/F)213を介して必要に応じて原稿スキャナ、コンピュータ(情報処理装置)等の不図示の外部装置からRGB画像データとしてカラー画像データを入力する。
【0018】
そして、LOG変換部204、ROM210に格納されているデータ等により構成されるγLUT(ルックアップテーブル)に基づいて、入力されたRGB画像データの輝度データをCMYの濃度データ(CMY画像データ)に変換する。マスキング・UCR部205が、CMKY画像データにマトリクス演算を施し、CMY画像データから黒(Bk)成分データを抽出し、記録色材の色濁りを補正する。LUT部206が、γLUTを用いて入力されたCMYK画像データの各色毎に濃度補正を施し、画像データをプリンタ部の理想的な階調特性に合わせる。なお、γLUTは、RAM211上に展開されたデータに基づいて作成され、そのテーブル内容はCPU209によって設定される。
【0019】
パルス幅変調部207は、LUT部206から入力された画像データ(画像信号)のレベルに対応するパルス幅のパルス信号を出力する。このパルス信号に基づいてレーザドライバ102がレーザ22を駆動し、感光ドラム28上を照射することで静電潜像が形成される。
【0020】
プリンタ制御部300は、温湿度センサ51、電位センサ52の検知結果を受信し、帯電バイアス電源41、現像バイアス電源42などの画像形成動作を制御する。上述したプリンタ制御部300等のシステム構成は、制御手段を構成する。
【0021】
(電位制御)
電位制御は、各色ステーション共通の動作を並行して行うことになる。ここでは、ひとつのステーションについて説明し、他のステーションの動作については省略する。
【0022】
図4(a)は帯電バイアスの直流成分Vchg(V)を変化させていったときの、白地部電位Vd(V)と最大濃度部電位Vl(V)の値を概略で示したものである。なお図4(a)では電位がプラスの値で示されているが、実際の値は全てマイナスの電位である。VchgとVdの値は概略同じである。
【0023】
ここで、0〜255レベルの256階調のパルス信号のうち最大の255レベルのパルス信号をもってレーザ22を駆動し、感光ドラム28を露光することで、感光ドラムの表面電位がVlになる。Vlの値は、図4(a)に示したように、Vchg(≒Vd)が大きくなるにつれて増加するが、VdとVlの差分も同時に増加していく。
【0024】
図4(b)は現像剤の相対湿度(%)に応じて必要となる潜像条件を示したものである。Vcontとは、現像バイアスの直流成分Vdevと最大濃度部電位Vlとの差分である。Vbackとは、現像バイアスの直流成分Vdevと白地部電位Vdとの差分である。
【0025】
図4(b)に示すように、Vcontの値は、現像剤の相対湿度に応じて所望の画像濃度を得るために変化する。Vbackの値は、現像剤の相対湿度に応じて画像白地部のトナーかぶり、および磁性キャリアの付着が発生しないよう最適な値に変化する。そして、Vcont+Vback=Vd−Vlであるから、現像剤の相対湿度に応じて設定するべきVd−Vlが変化することになる。
【0026】
ここで、現像剤の相対湿度が50%であった場合の、電位制御について説明する。図5は本実施形態の電位制御を説明するフローチャートである。図5に示すように、プリンタ制御部300は、まず帯電バイアスの直流成分Vchgを−200Vに設定する(S101)。
【0027】
その際、レーザ22のパルス信号を0レベルとして露光した部分の白地部電位Vdを電位センサ52を用いて測定する。また、パルス信号を255レベルとして露光した最大濃度部電位Vlを測定する(S102)。そして、帯電バイアスの直流成分Vchgを−450V、−700Vに設定して、同様にしてVd、Vlの値を測定する(S103〜S106)。
【0028】
また、S101〜S106と並行して、プリンタ制御部300は、現像剤の相対湿度の値を温湿度センサ51から検出し(S107)、検出結果に基づいて必要とされるVcont、Vbackの値を図4(b)を参照して決定する(S108)。ここでは、相対湿度は50%であるから、Vcont、Vbackはそれぞれ240V、120Vと決定される。即ち必要とされるVd−Vlの値は360Vということになる。
【0029】
次に、プリンタ制御部300は、S101〜S106で測定した3組のVd、Vlの値から近似的にVd−Vl=360VとなるためのVchgを求め、この値からVbackを差し引いたものをVdevとして算出する(S109)。プリンタ制御部300はこのようにして算出されたVchg、Vdevを帯電バイアス電源41、現像バイアス電源42に対して設定する(S110)。
【0030】
(従来の電位制御のタイミング)
特許文献1(特開平7−261480号公報)では、999枚連続の画像形成を行なう際に、100枚目と101枚目の間、200枚目と201枚目の間…、のように、100枚毎に、図5に示した電位制御を行っている。
【0031】
このような電位制御によって感光ドラム28の表面電位を管理することで、画像濃度は正確なものとなり安定する。しかし、電位制御を行っている間は通常の画像形成を中断することになり、生産性低下の要因となっていた。
【0032】
(本実施形態の電位制御のタイミング)
図6は本実施形態の画像形成装置の画像形成動作及び電位制御のフローチャートである。図6に示すように、プリンタ制御部300はジョブ開始指令を受信すると(S201)、まず各ステーションの温湿度センサ51から湿度情報RH(RHY、RHM、RHC、RHK)を読み込む(S202)。次に、1ページのプリント動作を行い(S203)、プリンタ制御部(カウント手段)300内のカウンタ変数(カウント値)nを1増加させる(S204)。この後、nが100未満(第1の画像形成枚数未満)かどうかを判断する(S205)。
【0033】
S205でnが100未満の場合は、ジョブが終了したかどうかを判断する(S213)。ジョブ終了の場合は画像形成動作を終了する。ジョブ終了でない場合は、S202に戻り、次のページのプリント動作を行う。
【0034】
S205でnが100以上(第1の画像形成枚数以上)だった場合、さらにnが500未満(第2の画像形成枚数未満)かどうかを判定する(S206)。S206でnが500以上(第2の画像形成枚数以上)だった場合、強制的に図5の電位制御を行う(S210)。そして、後述するΔRHr、ΔRHg、ΔRHbの値を算出してそれぞれΔRHr(m)、ΔRHg(m)、ΔRHb(m)としてプリンタ制御部300のメモリ上に記憶する(S211)。そして、カウンタ変数nを0にリセットして(S212)、S213へ戻る。
【0035】
S206でnが500未満であった場合、有彩色の現像装置1Y〜1Cの温湿度センサ51で検知した湿度情報RH(RHY、RHM、RHC)の色間差を算出する(S207)。ここで、湿度情報RHの色間差は、ΔRHr=RHY−RHM、ΔRHg=RHC−RHY、ΔRHb=RHM−RHCで表される。
【0036】
そして、プリンタ制御部300のメモリ上に記憶されている湿度情報RHの色間差の前回の算出値ΔRHr(m)、ΔRHg(m)、ΔRHb(m)を読み出す(S208)。そして、今回計算したΔRHr、ΔRHg、ΔRHbと、記憶された値ΔRHr(m)、ΔRHg(m)、ΔRHb(m)との差分(色間差の変化量)を求める。そして、色間差の変化量の絶対値3つが全て第1の所定値以下(本実施形態では2%以下)であることを判断する(S209)。すなわち、|ΔRHr−ΔRHr(m)|≦2%かつ、|ΔRHg−ΔRHg(m)|≦2%かつ、|ΔRHb−ΔRHb(m)|≦2%であるかどうかを判断する。
【0037】
ここで、Y、M、C3色の相対湿度の上下の変化方向が全て揃っていれば、Y、M、C3色の画像濃度もすべて同じ方向に移動していく。このとき、Y、M、Cから形成される2次色であるレッド、グリーン、ブルーについて、色相の変動は少なくなり、人間の目には感じにくくなる(L*C*H表色系で、H方向の変化が少ない)。
【0038】
このため、S209で色間差の変化量の絶対値が全て2%以下と判断された場合には、電位制御(S210)により画像濃度を補正する必要がなく、S210〜S212をスキップしてS213に戻る。一方、S209で色間差の変化量の絶対値が全て2%より大きいと判断された場合には、2次色について、色相の変動は大きくなり、人間の目に感じやすくなる。このため、S210〜S212を行って、画像濃度を補正した後、S213に戻る。
【0039】
これにより、色相の変化がないと判断した場合には、電位制御を省略することで、画像形成動作を中断させる必要がなく、生産性の低下を抑制できる。一方、色相の変化があると判断した場合には、電位制御を行って画像濃度を調整し、画像品質を維持することができる。よって、色味の安定と生産性の維持を両立した効率のよい調整動作を行うことができる。
【0040】
なお、本実施形態では省略したが、RHY、RHM、RHC、RHKが単独である程度以上変化した場合には電位制御を行うことが好ましい。
【0041】
[第2実施形態]
次に本発明に係る画像形成装置の第2実施形態について図を用いて説明する。上記第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
本実施形態の画像形成装置は、上記第1実施形態の画像形成装置において、電位制御に変えて、階調制御を行うものである。また、上記第1実施形態のカウンタ変数nに変えて、湿度情報RHに基づいて強制的に階調制御を行うか否かを判断するものである。本実施形態の画像形成装置の各ステーションのVchgは−600V、Vdevは−450Vとなっている。Vdは−600V、Vlは−200Vとなる。
【0043】
図8は本実施形態の画像形成装置1000のシステム構成を示すブロック図である。図8に示すように、プリンタ制御部300は、温湿度センサ51、パッチセンサ(濃度検知手段)53の検知結果を受信し、画像形成動作を制御する。
【0044】
基準となるデータレベルにおいて露光した基準トナー像の反射光量をパッチセンサ53で検出し、画像濃度を検知し、最適なγLUT(ガンマルックアップテーブル)を作成する階調制御によって、画像濃度の安定化を行う。γLUTは、入力された画像信号に対しどのくらいのパルス幅のレーザ露光を行えば画像形成装置の出力物が所望の濃度階調を得られるかを記述した、入力256レベルと出力256レベルの関係を定めるためのテーブルである。
【0045】
パッチセンサ53は、図1に示すように、中間転写ベルト24に対向して配置されている。図7はパッチセンサ53の構成図である。図7に示すように、パッチセンサ53は、中間転写ベルト24上に転写された基準トナー像にLED53dから波長670nmの光を照射して、その反射光量を受光素子53a、53b、53cにて測定し比較することでそのトナー像のトナー付着量を検知する。
【0046】
(階調制御)
図9は本実施形態の画像形成装置の階調制御のフローチャートである。図9に示すように、まず各ステーションにおいて、レーザ22を駆動するパルス信号が32レベル、64レベル、128レベルであるような基準潜像を形成し現像することで、基準トナー像を形成する(S301)。次に基準トナー像を中間転写ベルト24に転写し(S302)、パッチセンサ53対向位置まで搬送してトナー付着量を検知する(S303)。各色の基準トナー像は、それぞれ重なり合わないようにタイミングを調整されている。
【0047】
検出されたトナー付着量はあらかじめ調べられてプリンタ制御部300に記憶されたテーブルによって、画像濃度に変換される(S304)。これによってパルス信号が32レベル、64レベル、128レベルに相当する画像濃度がそれぞれ得られるので、CMYKの画像データと画像濃度がリニアに対応するようにγLUTを作成する(S305)。作成されたγLUTは、RAM211上に展開され(S306)、プリント動作時に用いられる。
【0048】
上記のような本体の動作は、プリンタ制御部300によって統括的に行われる。プリンタ制御部300内部のCPUは、インターフェースを通じて画像処理ユニット側のCPU209と連携を取る。
【0049】
このような階調制御によってγLUTを作成することで、濃度は正確なものとなり安定する。しかし、階調制御を行っている間は通常の画像形成を中断することになり、生産性が低下する。そこで、本実施形態では、図10に示すタイミングで階調制御を行い、生産性の低下を抑制している。
【0050】
図10は本実施形態の画像形成装置の画像形成動作及び階調制御のフローチャートである。図10に示すように、プリンタ制御部300はジョブ開始指令を受信すると(S201)、まず各ステーションの温湿度センサ51から湿度情報RH(RHY、RHM、RHC、RHK)を読み込む(S202)。そして、1ページのプリント動作を行う(S203)。
【0051】
その後、プリンタ制御部300内に記憶されていたひとつ前のRHY〜RHKの値と、S402で読み込んだRHY〜RHKの値をそれぞれ比較して、その変化量がすべて2%以下(第2の所定値以下)かどうかを判断する(S404)。
【0052】
S405で2%以下と判断した場合は、濃度変化の恐れは少ないと判断し、ジョブが終了したかどうかを判断する(S213)。S213で、ジョブが終了したと判断した場合は、画像形成動作を終了する。S213で、ジョブが終了していないと判断した場合は、S402に戻り、次のページのプリント動作を行う。
【0053】
S404で2%より大きい(第2の所定値より大きい)と判断した場合は、濃度変化の可能性があると判断し、さらにRHY、RHM、RHC、RHKの変化量がすべて8%以下(第3の所定値以下)かどうかを判断する(S405)。S405で8%より大きい(第2の所定値より大きい)と判断した場合は、濃度変化の可能性が大きいと判断し、強制的に図9の階調制御を行う(S409)。そして、S402で読み込んだRHY、RHM、RHC、RHKをプリンタ制御部300のメモリ上に記憶し(S410)、S213へ戻る。
【0054】
S405で8%より大きいと判断した場合は、上記第1実施形態のS207〜S209を行う。S209で色間差の変化量の絶対値が全て2%以下と判断された場合には、階調制御(S409)により画像濃度を補正する必要がなく、S409、S410をスキップしてS213に戻る。一方、S209で色間差の変化量の絶対値が全て2%より大きいと判断された場合には、2次色について、色相の変動は大きくなり、人間の目に感じやすくなる。このため、S409、S410を行って、画像濃度を補正した後、S213に戻る。
【0055】
これにより、色相の変化がないと判断した場合には、階調制御を省略することで、画像形成動作を中断させる必要がなく、生産性の低下を抑制できる。一方、色相の変化があると判断した場合には、階調制御を行って画像濃度を調整し、画像品質を維持することができる。よって、色味の安定と生産性の維持を両立した効率のよい調整動作を行うことができる。
【0056】
なお、本実施形態では省略したが、RHY、RHM、RHC、RHKが単独である程度以上変化した場合には階調制御を行うことが好ましい。
【0057】
以上2つ実施形態に基づいて本発明について説明したが、本発明の主旨に従う形で様々な様態をとることができる。例えば、上記実施形態にて相対湿度で判断、制御した箇所を、絶対水分量を用いるなど、温度と相対湿度の2つの検出値に相関のある判断、制御にしてもよい。また、上記実施形態では記載しなかったが、ブラックの検知結果に対して判断、制御を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 …現像装置
21 …1次帯電器
22 …レーザ
23 …1次帯電ローラ
24 …中間転写ベルト
28 …感光ドラム(像担持体)
41 …帯電バイアス電源(画像濃度調整手段)
42 …現像バイアス電源(画像濃度調整手段)
51 …温湿度センサ(雰囲気検出手段)
52 …電位センサ
53 …パッチセンサ
53a〜53c …受光素子
53d …LED
102 …レーザドライバ(制御手段)
204 …LOG変換部(制御手段)
205 …マスキング・UCR部(制御手段)
206 …LUT部(制御手段)
209 …CPU(制御手段)
210 …ROM(制御手段)
211 …RAM(制御手段)
213 …外部入力インターフェース
300 …プリンタ制御部(制御手段、カウント手段)
1000 …画像形成装置
1001 …センシング素子
1002 …バンドギャップ温度センサ
1003 …14ビットA/Dコンバータ
1004 …デジタルインターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を担持する像担持体と、
前記像担持体に担持された静電潜像を現像して有彩色のトナー像を形成する複数の現像装置と、
前記現像装置のそれぞれの温度及び/または湿度を検出する雰囲気検出手段と、
前記トナー像の画像濃度を調整する画像濃度調整手段と、
前記雰囲気検出手段の検出結果に基づいて、前記画像濃度調整手段により前記トナー像の画像濃度を調整する制御手段と、を有する画像形成装置において、
前記制御手段は、
前記雰囲気検出手段の検出値の色間差の変化量のいずれかが第1の所定値より大きい場合に、前記調整手段により前記トナー像の画像濃度を調整し、
前記雰囲気検出手段の検出値の色間差の変化量のすべてが前記第1の所定値以下の場合に、前記調整手段による前記トナー像の画像濃度の調整を行わない制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像形成枚数をカウントするカウント手段を有し、
前回の画像濃度を調整から数えて前記カウント手段のカウント値が第1の画像形成枚数未満の場合に、前記調整手段による前記トナー像の画像濃度の調整を行わず、
前回の画像濃度を調整から数えて前記カウント手段のカウント値が前記第1の画像形成枚数以上の第2の画像形成枚数以上の場合に、前記調整手段により前記トナー像の画像濃度の調整を行い、
前回の画像濃度を調整から数えて前記カウント手段のカウント値が第1の画像形成枚数以上の場合かつ、前記カウント値が前記第2の画像形成枚数未満の場合に、前記雰囲気検出手段の検出値の色間差の変化量に基づく制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記雰囲気検出手段の検出値のすべてが第2の所定値以下の場合に、前記調整手段による前記トナー像の画像濃度の調整を行わず、
前記雰囲気検出手段の検出値のいずれかが前記第2の所定値より大きい第3の所定値より大きい場合に、前記調整手段により前記トナー像の画像濃度の調整を行い、
前記雰囲気検出手段の検出値のいずれかが第2の所定値より大きい場合かつ、前記雰囲気検出手段の検出値のすべてが前記第3の所定値以下の場合に、前記雰囲気検出手段の検出値の色間差の変化量に基づく制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像濃度調整手段は、前記像担持体に帯電する帯電バイアスと、前記現像装置がトナー像の形成に用いる現像バイアスと、を制御して前記トナー像の画像濃度を調整することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記像担持体にレーザーを露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記トナー像の画像濃度を検知する濃度検知手段を有し、
前記画像濃度調整手段は、前記濃度検知手段により検知した画像濃度に基づいて、前記露光手段のレーザーの強さと画像濃度との関係を定めたルックアップテーブルを作成して、前記トナー像の画像濃度を調整することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。



前記雰囲気検出手段の検出値のいずれかが第1の所定値より大きい場合かつ、

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−114211(P2013−114211A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262594(P2011−262594)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】