説明

画像形成装置

【課題】用紙の両面に画像を形成する場合に、転写部・定着部間を搬送される用紙が搬送ガイド部に吸着されて擦られることによる画像品質の低下を防止する。
【解決手段】中間転写ベルト6上に形成されたトナー像を用紙Sに転写する二次転写部7Aと、二次転写部7Aよりも用紙搬送方向の下流側に設けられ、転写されたトナー像を加熱により用紙Sに定着する定着部30と、二次転写部7Aと定着部30との間に設けられ、用紙Sを吸着するための吸引口13を有する搬送ガイド部12と、吸引口13からエアを吸引し、用紙Sを搬送ガイド部12に吸着させる吸引部11と、吸引部11の駆動を制御する制御部90と、を備え、用紙Sの両面に画像を形成可能な画像形成装置Aであって、制御部90は、少なくとも用紙Sの後端部Sbが吸引口13を通過する時は吸引部11による吸引を停止する用紙吸着制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成し、形成されたトナー像を用紙に転写し、転写されたトナー像を加熱定着することで、用紙上に画像を形成する画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置において、転写部・定着部間で用紙を搬送する搬送ベルトに吸引部が設けられ、当該吸引部により用紙を搬送ベルトに密着させ、用紙を安定して搬送する技術が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−203767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したような従来の技術にあっては、用紙の両面に画像を形成する場合であって、転写部・定着部間を搬送される用紙の搬送方向後端部が転写部を離脱した時、当該用紙の後部が吸引部により搬送ガイド部に吸着されて擦られることにより、用紙の搬送ガイド部に対向する面に形成される画像に搬送ガイド部のリブ傷が付いてしまい、画像品質が低下してしまう場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、用紙の両面に画像を形成する場合において、転写部・定着部間を搬送される用紙が搬送ガイド部に吸着されて擦られることによる画像品質の低下を防止する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的は、
像担持体上に形成されたトナー像を用紙に転写する転写部と、
前記転写部よりも用紙搬送方向の下流側に設けられ、転写されたトナー像を加熱により前記用紙に定着する定着部と、
前記転写部と前記定着部との間に設けられ、前記用紙を吸着するための吸引口を有する搬送ガイド部と、
前記吸引口からエアを吸引し、前記用紙を前記搬送ガイド部に吸着させる吸引部と、
前記吸引部の駆動を制御する制御部と、を備え、前記用紙の両面に画像を形成可能な画像形成装置であって、
前記制御部は、少なくとも前記用紙の搬送方向後端部が前記吸引口を通過する時は前記吸引部による吸引を停止する用紙吸着制御を行う画像形成装置により達成できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、用紙の両面に画像を形成する場合において、少なくとも用紙の搬送方向後端部が吸引口を通過する時は吸引部による吸引を停止する用紙吸着制御を行うので、転写部を離脱した用紙の後部が搬送ガイド部に吸着して擦れられることを防止でき、これにより画像品質の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る画像形成装置を説明する図である。
【図2】画像形成装置の制御系を示すブロック図である。
【図3】画像形成装置における二次転写部及び定着部の周辺構成を示す概略構成図である。
【図4】吸引部によるエアの吸引を開始又は停止するタイミングを説明する図である。
【図5】用紙吸着制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】変形例に係る用紙吸着制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本欄の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。
【0011】
図1は、本発明に係る画像形成装置Aを説明する図である。
【0012】
画像形成装置Aは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部によりカラー画像形成を行う。
【0013】
原稿台上に載置された原稿は画像読み取り装置SCの走査露光装置の光学系により画像が走査露光され、ラインイメージセンサーに読み込まれ、光電変換された画像情報信号は、画像処理部(非図示)において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、画像形成部の光書込部に入力される。
【0014】
4組の画像形成部はイエロー(Y)色の画像を形成する画像形成部10Y、マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成部10M、シアン(C)色の画像を形成する画像形成部10C、黒(K)色の画像を形成する画像形成部10Kであり、それぞれ共通する符号10の後に形成する色をあらわす符号Y、M、C、Kを付して表記する。
【0015】
画像形成部10Yは、感光体ドラム1Y及びその周囲に配置された帯電部2Y、光書込部3Y、現像装置4Y及びドラムクリーナ5Yを有して構成される。
【0016】
同様に、画像形成部10Mは、感光体ドラム1Mの周囲に配置された帯電部2M、光書込部3M、現像装置4M及びドラムクリーナ5Mを、画像形成部10Cは、感光体ドラム1Cの周囲に配置された帯電部2C、光書込部3C、現像装置4C及びドラムクリーナ5Cを、画像形成部10Kは、感光体ドラム1Kの周囲に配置された帯電部2K、光書込部3K、現像装置4K及びドラムクリーナ5Kを有して構成される。
【0017】
画像形成部10Y、10M、10C、10Kにおけるそれぞれの感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、帯電部2Y、2M、2C、2K、光書込部3Y、3M、3C、3K、現像装置4Y、4M、4C、4K及びドラムクリーナ5Y、5M、5C、5Kはそれぞれ共通する内容の構成である。以下、特に区別が必要な場合を除き符号Y、M、C、Kを付さずに表記することにする。
【0018】
画像形成部10は、光書込部3にて画像情報信号を感光体ドラム1に書き込み、感光体ドラム1に画像情報信号に基づく潜像を形成する。そして潜像は現像装置4により現像され、感光体ドラム1上に可視画像であるトナー画像が形成される。
【0019】
画像形成部10Y、10M、10C、10Kのそれぞれ感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに、それぞれ、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、黒(K)色、の画像が形成される。
【0020】
像担持体である中間転写ベルト6は、複数のローラーにより巻回され、走行可能に支持されている。
【0021】
画像形成部10Y、10M、10C、10Kより形成された各色のトナー画像は、走行する中間転写ベルト6上に一次転写部7Y、7M、7C、7Kにより逐次転写されてY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の各色層が重畳したカラー画像が形成される。
【0022】
用紙搬送部20は用紙Sを搬送する。用紙Sは給紙トレイ291、292、293に収容されており、第1給紙部21により給紙され、レジストローラー22を経て、二次転写部7Aに搬送され、用紙S上に中間転写ベルト6上のカラー画像が転写される。カラー画像が転写された用紙Sは、定着部30にて熱と圧力とを加えることにより用紙S上のトナー像が定着され、定着搬送ローラー23及び排紙ローラー25を経て装置外に排出される。
【0023】
また、画像形成装置Aは用紙反転部24を備えており、定着がなされた用紙を定着搬送ローラー23から用紙反転部24に導いて表裏を反転し排出、あるいは用紙の両面に画像形成を行うことを可能としている。
【0024】
画像形成装置Aの本体上部に設置された操作表示部80から画像形成を行うに際しての用紙Sのサイズ、枚数等を設定できる。
【0025】
図3は、本発明に係る画像形成装置Aにおける二次転写部7A及び定着部30の周辺構成を説明する図である。なお、図3においては、定着部30における加熱ローラー31及び加圧ローラー32以外の構成の図示を省略する。
【0026】
二次転写部7Aは、中間転写ベルト6を介してローラー61に対向配置され、中間転写ベルト6との間に用紙Sをニップし、中間転写ベルト6上のカラー画像を用紙Sに転写しながら当該用紙Sを用紙搬送方向の下流側に搬送する。
【0027】
定着部30は、二次転写部7Aによりカラー画像が転写された用紙Sを所定の定着温度で加熱して定着させる加熱ローラー31、加熱ローラー31との間に用紙Sをニップして、加熱ローラー31に用紙Sを押圧させる加圧ローラー32等を備えている。定着部30は、加熱ローラー31と加圧ローラー32との間に用紙Sをニップして、用紙Sに熱と圧力とを加えながら当該用紙Sを用紙搬送方向の下流側に搬送する。
【0028】
二次転写部7Aと定着部30との間には、搬送ガイド部12が設けられている。
搬送ガイド部12は、二次転写部7Aと定着部30との間において搬送される用紙Sを支持する。また、搬送ガイド部12は、二次転写部7Aを通過する用紙Sの搬送方向における前端部Saが、定着部30の定着ニップ部33にニップされるように、用紙Sをガイドする。また、搬送ガイド部12の用紙Sの搬送方向における中間位置には、上下方向に貫通する吸引口13が設けられている。
なお、図示例では、搬送ガイド部12に吸引口13が1つ設けられるものとしたが、吸引口13は複数設けられていても良い。
【0029】
吸引部11は、搬送ガイド部12の下方に対向して設けられ、ファンが回転駆動することによりエアを下方へと吸引し、搬送ガイド部12の吸引口13からエアを吸引する。これにより、搬送ガイド部12の上を搬送される用紙Sが搬送ガイド部12に吸着されて、用紙Sが搬送ガイド部12にガイドされることで、用紙Sの前端部Saが定着部30の定着ニップ部33に正確にニップされる。また、吸引部11と搬送ガイド部12の吸引口13との間にはエア通路14が設けられ、これにより吸引部11によるエアの吸引が効率的に行われる。
【0030】
シャッター15は、エア通路14内において吸引部11と搬送ガイド部12の吸引口13との間に設けられ、スライド移動可能に構成されている。シャッター15は、スライド移動することにより、エア通路14を開放又は閉鎖する。シャッター15によりエア通路14を開放することで、吸引部11によるエアの吸引を開始することができ、シャッター15によりエア通路14を閉鎖することで、吸引部11によるエアの吸引を停止することができる。
【0031】
第1センサー16は、二次転写部7Aの近傍に設けられ、二次転写部7Aと中間転写ベルト6との転写ニップ部8における用紙Sの存否を検知するセンサーである。第2センサー17は、定着部30の近傍に設けられ、加熱ローラー31と加圧ローラー32との定着ニップ部33における用紙Sの存否を検知するセンサーである。これらの第1センサー16及び第2センサー17は、例えば、対象物に向けて光を射出する発光素子と、当該対象物からの反射光を受光する受光素子とから構成される非接触式の反射型光センサーであり、対象物からの反射光を受光素子により検知することにより対象物の有無を検知する。
【0032】
制御部90は、図2に示すように、画像形成装置Aの各部を制御する。制御部90は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を備え、画像形成装置A用の各種処理プログラムに従って各種動作を行う。
具体的には、制御部90は、少なくとも用紙Sの搬送方向における後端部Sbが吸引口13を通過する時は吸引部11による吸引を停止する用紙吸着制御を行う。より具体的には、制御部90は、用紙Sの前端部Saが定着部30に到達してから用紙Sの後端部Sbが吸引口13よりも用紙搬送方向の下流側の位置に到達するまでの間、吸引部11による吸引を停止する。
また、制御部90は、少なくとも用紙Sの前端部Saが吸引口13に到達する時までに、吸引部11による吸引を開始する用紙吸着制御を行う。より具体的には、制御部90は、用紙Sの前端部Saが二次転写部7Aに到達した後に、吸引部11による吸引を開始する。
制御部90が吸引部11によるエアの吸引を開始又は停止するタイミングについて図4を参照して説明する。なお、図4においては、定着部30における加熱ローラー31及び加圧ローラー32以外の構成の図示を省略する。
【0033】
図4(a)は、用紙Sの前端部Saが二次転写部7Aと中間転写ベルト6との転写ニップ部8に到達する時の用紙Sの位置を示しており、制御部90は、例えば、図4(a)に示す時にシャッター15によりエア通路14を開放して吸引部11によるエアの吸引を開始する。なお、制御部90は、図4(a)に示す時に限られず、少なくとも用紙Sの前端部Saが吸引口13に到達する時までに吸引部11によるエアの吸引を開始すれば良い。
【0034】
図4(b)は、用紙Sの前端部Saが定着部30の定着ニップ部33に到達する時の用紙Sの位置を示しており、図4(c)は、用紙Sの後端部Sbが二次転写部7Aと中間転写ベルト6との転写ニップ部8を離脱した後の用紙Sの位置を示している。制御部90は、用紙Sの前端部Saが定着部30に到達した時(図4(b)に示す時)から用紙Sの後端部Sbが吸引口13よりも用紙搬送方向の下流側の位置に到達する時までの間、シャッター15によりエア通路14を閉鎖して吸引部11によるエアの吸引を停止する。これにより、図4(c)に示すように、用紙Sの後端部Sbは搬送ガイド部12に吸着されることなく、用紙搬送方向の下流側に搬送され、用紙Sの後部が搬送ガイド部12に擦られることによる画像品質の低下を防止することができる。なお、制御部90は、上記した間に限られず、少なくとも用紙Sの後端部Sbが吸引口13を通過する時に、吸引部11によるエアの吸引を停止しておけば良い。
【0035】
次に、以上のようにして構成された画像形成装置Aを用いて、用紙Sの両面に画像形成を行う場合において、制御部90により一の用紙Sに対して行われる用紙吸着制御処理の一例について、図5を参照して以下説明する。なお、以下に説明する用紙吸着制御処理においては、図4(a)に示す時にエアの吸引を開始し、図4(b)に示す時から用紙Sの後端部Sbが吸引口13よりも用紙搬送方向の下流側の位置に到達する時までの間、エアの吸引を停止するものとする。
【0036】
先ず、制御部90は、用紙Sの前端部Saが二次転写部7Aに到達したか否かを判定する(ステップS1)。具体的には、制御部90は、第1センサー16により、二次転写部7Aと中間転写ベルト6との転写ニップ部8において用紙Sが存在するか否かを判定する。なお、このとき制御部90は、すでに吸引部11の駆動を開始しているが、シャッター15によりエア通路14は閉鎖されており、吸引口13からエアは吸引されていない。
【0037】
用紙Sの前端部Saが二次転写部7Aに到達したと判定されると(ステップS1;YES)、制御部90は、シャッター15によりエア通路14を開放し、吸引口13からエアの吸引を開始する(ステップS2)。これにより、搬送ガイド部12上を搬送される用紙Sが搬送ガイド部12に吸着されて、用紙Sの前端部Saが定着部30の定着ニップ部33にガイドされ、用紙Sの前端部Saが定着ニップ部33に正確にニップされる。
【0038】
次に、制御部90は、用紙Sの前端部Saが定着部30に到達したか否かを判定する(ステップS3)。具体的には、制御部90は、第2センサー17により、定着部30の定着ニップ部33において用紙Sが存在するか否かを判定する。
【0039】
用紙Sの前端部Saが定着部30に到達したと判定されると(ステップS3:YES)、制御部90は、シャッター15によりエア通路14を閉鎖し、吸引口13からのエアの吸引を停止し、少なくとも用紙Sの後端部Sbが吸引口13よりも用紙搬送方向の下流側の位置に到達する時までの間、吸引部11による吸引の停止状態を維持する(ステップS4)。これにより、用紙Sの後端部Sbが転写ニップ部8を離脱した時に、用紙Sの後部が搬送ガイド部12に吸着されず、トナー像が転写された用紙Sが搬送ガイド部12に擦られない。また、吸引部11によるエアの吸引の停止をシャッター15により行っているため応答性が良く、用紙Sの前端部Saが定着部30に到達した時点で確実にエアの吸引を停止することができる。
これにより、吸引制御処理を終了する。
【0040】
以上、本実施形態によれば、少なくとも用紙Sの後端部Sbが吸引口13を通過する時は、吸引部11によるエアの吸引を停止する用紙吸着制御を行うので、転写ニップ部8を離脱した用紙Sの後部が吸引部11により搬送ガイド部12に吸着されることを防止でき、これにより用紙Sが搬送ガイド部12に擦られることによる画像品質の低下を防止することができる。
【0041】
また、用紙Sの前端部Saが定着部30に到達してから用紙Sの後端部Sbが吸引口13よりも用紙搬送方向の下流側の位置に到達するまでの間、吸引部11による吸引を停止する用紙吸着制御を行うので、用紙Sの搬送速度が速い場合であっても、用紙Sの後端部Sbが二次転写部7Aを離脱する前に確実に吸引部11によるエアの吸引を停止することができる。
【0042】
また、少なくとも用紙Sの前端部Saが吸引口13に到達する時までに、吸引部11による吸引を開始する用紙吸着制御を行うので、搬送ガイド部12の上を搬送される用紙Sが搬送ガイド部12に吸着されてガイドされ、用紙Sの前端部Saが定着部30の定着ニップ部33に正確にニップされる。
【0043】
また、用紙Sの前端部Saが二次転写部7Aに到達した後に、吸引部11による吸引を開始する用紙吸着制御を行うので、用紙Sの搬送速度が速い場合であっても、用紙Sの前端部Saが吸引口13に到達する前に確実に吸引部11による吸引を開始することができる。
【0044】
また、吸引部11と吸引口13との間でエア通路14の開閉を行うシャッター15が設けられているので、所望のタイミングで応答性良くエアの吸引を開始及び停止することができ、用紙Sが搬送ガイド部12に吸着されることを効果的に防止することができる。
【0045】
<変形例>
ここで、図6を参照して画像形成装置Aにおける用紙吸着制御処理の変形例について説明する。変形例においては、制御部90は、吸引部11による吸引の開始とともに計時を開始し、所定時間経過後に、吸引部11による吸引を停止する用紙吸着制御を行う。なお、変形例における画像形成装置の構成は、上記実施形態の画像形成装置Aと略同様である。
【0046】
先ず、制御部90は、用紙Sの前端部Saが二次転写部7Aに到達したか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、制御部90は、第1センサー16により、二次転写部7Aと中間転写ベルト6との転写ニップ部8において用紙Sが存在するか否かを判定する。なお、このとき制御部90は、すでに吸引部11の駆動を開始しているが、シャッター15によりエア通路14は閉鎖されており、吸引口13からエアは吸引されていない。
【0047】
用紙Sの前端部Saが二次転写部7Aに到達したと判定されると(ステップS11;YES)、制御部90は、シャッター15によりエア通路14を開放し、吸引口13からエアの吸引を開始する(ステップS12)。
【0048】
制御部90は、吸引口13からエアの吸引を開始すると共に、計時を開始する(ステップS13)。具体的には、制御部90は、用紙Sの前端部Saが二次転写部7Aと中間転写ベルト6との転写ニップ部8に到達したタイミングから計時を開始する。
【0049】
次に、制御部90は、計時した時間が所定のタイマー値に達したか否かを判定する(ステップS14)。ここで、所定のタイマー値とは、予め設定され入力されている数値であって、所定の搬送速度で搬送される用紙Sの前端部Saが、転写ニップ部8から定着部30の定着ニップ部33まで搬送される時間を示す値である。
【0050】
タイマー値に達したと判定されると(ステップS14:YES)、制御部90は、シャッター15によりエア通路14を閉鎖し、吸引口13からのエアの吸引を停止し、少なくとも用紙Sの後端部Sbが吸引口13よりも用紙搬送方向の下流側の位置に到達する時までの間、吸引部11による吸引の停止状態を維持する(ステップS15)。
これにより、変形例に係る吸引制御処理を終了する。
【0051】
以上、変形例によれば、吸引部11による吸引の開始とともに計時を開始し、所定時間経過後に、吸引部11による吸引を停止する用紙吸着制御を行うので、第2センサー17を設ける必要がなく、装置構成を簡易にすることができる。
【0052】
なお、本発明の実施の形態では、吸引部11による吸引を開始及び停止するためのシャッター15が設けられるものとしたが、シャッター15が設けられていなくとも良い。例えば、制御部90が、所定のタイミングで吸引部11の駆動を開始及び停止することにより、エアの吸引を開始及び停止するものとしても良い。
【0053】
また、本発明の実施の形態では、シャッター15がスライド式の開閉シャッターであるものとしたが、吸引部11と吸引口13との間でエア通路14を物理的に遮断することができるものであれば良い。例えば、エア通路14を開閉するバルブが挙げられる。
【0054】
また、本発明の実施の形態では、用紙Sの前端部Saが二次転写部7Aに到達するタイミングで吸引部11によるエアの吸引を開始するものとしたが、用紙Sの前端部Saが吸引口13に到達する時までに吸引部11によるエアの吸引を開始していれば良い。この場合、第1センサー16は、転写ニップ部8における用紙Sの存否を検知するものではなく、吸引口13よりも用紙搬送方向の上流側の所定位置における用紙Sの存否を検知するように構成される。
【0055】
また、本発明の実施の形態では、用紙Sの前端部Saが定着部30に到達してから用紙Sの後端部Sbが吸引口13よりも用紙搬送方向の下流側の位置に到達するまでの間、吸引部11によるエアの吸引を停止するものとしたが、少なくとも用紙Sの後端部Sbが吸引口13を通過する時に吸引部11によるエアの吸引を停止しておけば良い。この場合、第1センサー16により転写ニップ部8における用紙Sの存否を検知し、その検知信号に基づいてエアの吸引を停止するものとしても良いし、第2センサー17が定着部30よりも用紙搬送方向の下流側の所定位置に設けられ、第2センサー17による検知信号に基づいてエアの吸引を停止するものとしても良い。
【0056】
また、本発明の実施の形態では、用紙Sの両面のうち2面目に画像形成を行う場合にのみ、吸引部11による吸引の開始及び停止を行うものとしたが、用紙Sの両面のうち1面目に画像形成を行う場合にも行うものとしても良いし、用紙Sの片面のみに画像形成を行う場合にも行うものとしても良い。
【符号の説明】
【0057】
6 中間転写ベルト(像担持体)
7Y、7M、7C、7K 一次転写部
7A 二次転写部(転写部)
8 転写ニップ部
10Y、10M、10C、10K 画像形成部
11 吸引部
12 搬送ガイド部
13 吸引口
14 エア通路
15 シャッター
16 第1センサー
17 第2センサー
20 用紙搬送部
21 給紙部
24 用紙反転部
25 排紙ローラー
30 定着部
31 加熱ローラー
32 加圧ローラー
33 定着ニップ部
61 ローラー
80 操作表示部
90 制御部
291、292、293 給紙トレイ
A 画像形成装置
SC 画像読み取り装置
S 用紙
Sa 前端部
Sb 後端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に形成されたトナー像を用紙に転写する転写部と、
前記転写部よりも用紙搬送方向の下流側に設けられ、転写されたトナー像を加熱により前記用紙に定着する定着部と、
前記転写部と前記定着部との間に設けられ、前記用紙を吸着するための吸引口を有する搬送ガイド部と、
前記吸引口からエアを吸引し、前記用紙を前記搬送ガイド部に吸着させる吸引部と、
前記吸引部の駆動を制御する制御部と、を備え、前記用紙の両面に画像を形成可能な画像形成装置であって、
前記制御部は、少なくとも前記用紙の搬送方向後端部が前記吸引口を通過する時は前記吸引部による吸引を停止する用紙吸着制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、少なくとも前記用紙の搬送方向前端部が前記定着部に到達してから前記用紙の搬送方向後端部が前記吸引口よりも用紙搬送方向の下流側の位置に到達するまでの間、前記吸引部による吸引を停止する用紙吸着制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、少なくとも前記用紙の搬送方向前端部が前記吸引口に到達する時までに、前記吸引部による吸引を開始する用紙吸着制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記用紙の搬送方向前端部が前記転写部に到達した後に、前記吸引部による吸引を開始する用紙吸着制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記吸引部による吸引の開始とともに計時を開始し、所定時間経過後に、前記吸引部による吸引を停止する用紙吸着制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記吸引部と前記搬送ガイド部との間に設けられたシャッターを更に備え、
前記制御部は、前記シャッターを開閉することにより、前記吸引部による吸引開始又は停止の用紙吸着制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記用紙の両面のうち2面目に画像を形成するときに、前記用紙吸着制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−11635(P2013−11635A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142422(P2011−142422)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】