説明

画像形成装置

【課題】 転写ローラから感光体ドラムの表面へ放電が生じることを、簡単な構成で有効に防止しうる手段を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 感光体ドラムと、該感光体ドラムに対向して位置に設けられている転写ローラと、を備えている電子写真式の画像形成装置であって、前記転写ローラは、導電性シャフトと、該シャフトの両端以外の部分を覆い、感光体ドラムの円筒面の幅よりも狭い幅の円筒状の転写部材と、で構成されており、前記シャフトの少なくとも一方の端であって、前記感光面近傍にシャフトの軸中心方向に向かう環状の溝が設けられており、前記溝のエッジ部分のみが、電気絶縁物質で被われている、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
感光体ドラムを用いる電子写真式の画像形成装置では、まず、帯電器によって帯電されている感光体ドラムの感光層が形成された円筒状の感光体ドラムの表面に、出力画像のレーザ光を照射して静電潜像を形成する。現像器は、静電潜像に、ある色のトナーを付着させてトナー像を形成する。トナー像は、感光体ドラムに対向して設けられている転写ローラによって複写紙又は中間転写ベルトに転写される。前記転写ローラの円筒状転写部材には、トナーと逆極性の電圧が印加される。
【0003】
装置のコスト低減、小型化を図るため、前記転写ローラの小径化が図られている。この小径化は、転写ローラのシャフト直径を小さくするだけでなく、その上に設けられているゴム部を薄くすることによって行なわれる。一般に3.5mm程に設定されているゴム部を、それよりも薄くすると、感光体ドラムの表面とシャフトとの距離が短くなり、シャフトから感光体ドラムの表面への放電が発生しやすくなる。
【0004】
下記特許文献1には、前記転写ローラの導電性シャフトに電気絶縁部品を被せることで、前記放電を防止する、除帯電装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−3924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
転写ローラの転写面の軸方向の幅が感光体ドラムの表面の幅よりも小さく、シャフトの周面から軸中心に向かう溝が前記シャフトの両端の前記感光体ドラムの表面に対向又は近傍の位置に設けられる場合がある。前記溝は、例えば、転写ローラを軸方向において画像形成装置内の定めた位置に保持するのに用いられるものである。
【0007】
前記特許文献1に記載の技術を用いれば、前記溝を含め、シャフト全体を電気絶縁物質で覆うという構成が得られる。しかし、この場合、使用する部材の増加と、その厚みにより装置の小型化が難しいという問題がある。
【0008】
本発明は、前記溝を設ける構成において、必要最小限の部品で、前記放電を有効に防ぐ手段を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の画像形成装置は、感光体ドラムと、該感光体ドラムに対向して設けられている転写ローラと、を備えている電子写真式の画像形成装置であって、前記転写ローラは、導電性シャフトと、該シャフトの両端以外の部分を覆い、感光体ドラムの円筒面の幅よりも狭い幅の円筒状の転写部材と、で構成されており、前記シャフトの少なくとも一方の端であって、前記感光体ドラムの表面に対向又は近傍の位置にシャフトの軸中心方向に向かう環状の溝が設けられており、前記溝のエッジ部分のみが、電気絶縁物質で被われている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の画像形成装置は、感光体ドラムと、該感光体ドラムに向き合う位置に設けられている転写ローラと、を備えている電子写真式の画像形成装置であって、前記転写ローラは、導電性シャフトと、該シャフトの両端以外の部分を覆い、感光体ドラムの円筒面の幅よりも狭い幅の円筒状の転写部材と、で構成されており、前記シャフトの少なくとも一方の端であって、前記感光体ドラムの表面に対向又は近傍の位置にシャフトの軸中心方向に向かう環状の溝が設けられており、前記溝のエッジ部分に、該エッジ部分を斜めに除去した形状の平面を備える、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の画像形成装置は、感光体ドラムと、該感光体ドラムに向き合う位置に設けられている転写ローラと、を備えている電子写真式の画像形成装置であって、前記転写ローラは、導電性シャフトと、該シャフトの両端以外の部分を覆い、感光体ドラムの円筒面の幅よりも狭い幅の円筒状の転写部材と、で構成されており、前記シャフトの少なくとも一方の端であって、前記感光体ドラムの表面に対向又は近傍の位置にシャフトの軸中心方向に向かう環状の溝が設けられており、前記溝のエッジ部分に、該エッジ部分にRをつける、R面処理を施して得られる面を備える、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の画像形成装置は、請求項2又は3に記載の画像形成装置であって、前記シャフトのエッジ部分のみが、電気絶縁物質で被われている、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の画像形成装置は、請求項1又は4に記載の画像形成装置であって、前記電気絶縁物質が、フッ素樹脂である、ことを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の画像形成装置は、感光体ドラムと、該感光体ドラムに向き合う位置に設けられている転写ローラと、を備えている電子写真式の画像形成装置であって、前記転写ローラは、導電性シャフトと、該シャフトの両端以外の部分を覆い、感光体ドラムの円筒面の幅よりも狭い幅の円筒状の転写部材と、で構成されており、前記シャフトの少なくとも一方の端であって、前記感光面近傍にシャフトの軸中心方向に向かう環状の溝が設けられており、前記溝の軸方向内側のエッジ部分が、該溝に取り付けて用いる、高抵抗又は電気絶縁性の樹脂部品によって完全に被われており、かつ、転写部材と該樹脂部品との間のシャフトに、該樹脂部品によって被われていない部分が存在する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の画像形成装置は、請求項1乃至6の何れか1つに記載の画像形成装置であって、前記感光体ドラムの少なくとも前記転写ローラの前記導電性シャフトに対向する表面がアルマイト処理されている、ことを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の画像形成装置は、請求項1乃至7の何れか1つに記載の画像形成装置であって、前記感光体ドラムの表面と導電性シャフトとの間に介在する前記転写部材が、肉厚3.5mm以下で、かつ、0.5mm以上のイオン導電性ゴムである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の画像形成装置では、電荷が集中し、放電し易いエッジ部分だけを電気絶縁物質で覆ったことで、シャフト全体を電気絶縁物質で覆う場合に比べ、極めて簡単な構成で、シャフトから感光体ドラムの表面への放電を減少することができる。
【0018】
請求項2記載の画像形成装置では、シャフトの溝のエッジ部分を斜めに除去した形状の平面を備えることで、電荷の集中を防ぎ、シャフト全体を電気絶縁物質で覆う場合に比べ、極めて簡単な構成で、シャフトから感光体ドラムの表面への放電を減少することができる。
【0019】
請求項3記載の画像形成装置では、電化が集中し、放電し易いエッジ部分にRをつけるように加工する、R面処理を施して得られる面を備えることで、電荷の集中する部分をなくし、シャフト全体を電気絶縁物質で覆う場合に比べ、極めて簡単な構成で、シャフトから感光面への放電を減少することができる。
【0020】
請求項4記載の画像形成装置では、前記請求項2又は3に記載の画像形成装置において、エッジ部分のみを電気絶縁物質で覆ったことによって、シャフト全体を電気絶縁物質で覆う場合に比べ、極めて簡単な構成で、シャフトから感光体ドラムの表面への放電を減少することができる。
【0021】
請求項5記載の画像形成装置では、前記請求項2又は3に記載の画像形成装置において、エッジ部分のみが電気絶縁物質であるフッ素樹脂によってコーティングしたことによって、シャフト全体を電気絶縁物質で覆う場合に比べ、極めて簡単な構成で、シャフトから感光体ドラムの表面への放電を減少することができる。
【0022】
請求項6記載の画像形成装置では、樹脂製の部品で、エッジ部分のみを覆う構成を採用したことによって、シャフト全体を電気絶縁物質で覆う場合に比べ、極めて簡単な構成で、シャフトから感光体ドラムの表面への放電を減少することができる。
【0023】
請求項7記載の画像形成装置では、請求項1乃至6の何れか1つに記載の画像形成装置において、感光面をアルマイト処理したことによって、シャフトから感光体ドラムの表面への放電をさらに効率よく減少することができる。
【0024】
請求項8記載の画像形成装置では、請求項1乃至7の何れか1つに記載の画像形成装置において、前記感光体ドラムの表面と導電性シャフトとの間に介在する前記転写部材が、肉厚3.5mm以下の薄いイオン導電性ゴムであるにもかかわらず、シャフト全体を絶縁性物質で覆う場合と同等の、シャフトから感光体ドラムの表面への放電防止を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】感光体ドラムと、転写ローラとの構造を示す図である。
【図3】(a)低温低湿環境において転写ローラに流れる転写電流と転写電圧の関係を示すグラフである。(b)転写部材の肉厚とリーク発生電圧の関係を示すグラフである。(c)シャフト部に環状の溝を形成して電界強度をシュミレーションした結果を示したものである。
【図4】第2実施形態の構成を示す図である。
【図5】第2実施形態の処理の有無による放電発生電圧の変化を示すグラフである。
【図6】第3実施形態の構成を示す図である。
【図7】第4実施形態の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
電子写真式の画像形成装置であって、転写ローラは、導電性シャフトと、該シャフトの両端以外の部分を覆い、感光体ドラムの円筒面の幅よりも狭い幅の円筒状の転写部材と、で構成されており、前記シャフトの少なくとも一方の端であって、前記感光面近傍にシャフトの軸中心方向に向かう環状の溝が設けられている、画像形成装置において、本願出願人は、感光体ローラに向き合う又は近くにあるシャフトの全てを電気絶縁物質で覆わずとも、前記エッジ部分だけに、放電を抑制又は防ぐ絶縁処理を施すことで、前記放電を有効に防止できることを確認した。
【0027】
本発明の画像形成装置は、前記のような電子写真式の画像形成装置において、前記溝のエッジ部分を含む一部分のみに電気絶縁処理を施したことを特徴とする。
【0028】
電荷が集中し、感光体ドラムの表面へと放電しやすいエッジ部分のみに電気絶縁処理を施すことによって、転写ローラのシャフトから感光体ドラムの表面への放電現象を有効に防止する。
以下、該構成の画像形成装置の第1乃至第4実施形態について説明する。
【0029】
(1)第1実施形態
図1は、胴内排紙方式の画像形成装置の内部構成の概略断面図である。画像形成装置1の下部には、カセットタイプの用紙給紙部10が配設されている。用紙給紙部10は上下2段の給紙カセット10a、10bを有し、給紙カセット10a、10bには印刷前の用紙が積載して収容されている。給紙カセット10a、10bに収容された用紙は、選択された給紙カセット10a(10b)から用紙ピックアップローラー10d(10e)により1枚ずつ繰り出され、繰り出された用紙は用紙搬送路11へと送り出される。
【0030】
画像形成装置1の右側面には、手差しトレー10cが配設されている。手差しトレー10cは、給紙カセット10a、10bと異なるサイズの用紙が載置可能である。手差しトレー10cに載置された用紙は用紙搬送路11へと送り出される。
【0031】
用紙搬送路11は、用紙給紙部10の左方にて装置本体2の上下方向に延設される。用紙給紙部10から送り出された用紙が、用紙搬送路11上方のレジストローラー対12に搬送される。レジストローラー対12は、用紙にトナー像を転写するタイミングと同期をとって、画像形成部3に向けて用紙を送り出す。
【0032】
画像形成装置1の上部には原稿読取装置2が配設され、原稿読取装置2の上面には、プラテン(原稿押さえ)25が開閉可能に設けられ、さらに、プラテン25上には原稿搬送装置26が付設されている。原稿のコピーを行う場合、原稿搬送装置26に載置された原稿が1枚ずつ分離されて原稿読取部に送り出され、原稿読取装置2によって原稿の画像データが読み取られる。
【0033】
画像形成装置1の略中央部には、画像形成部3が配設されている。画像形成部3は、像担持体である感光体ドラム21を備え、さらに感光体ドラム21の周辺にその回転方向(図中のA方向)に沿って順に、帯電部4と、露光ユニット7と、現像部8と、転写ローラ6、及びクリーニング部5を備える。現像部8へのトナーの供給はトナーコンテナ9から行われる。クリーニング部5は、ブレードやブラシ或いは研磨ローラ等のクリーニング部材を有し、クリーニング部材によって感光体ドラム21の表面に残留するトナーを剥ぎ取り、回収する。
【0034】
感光体ドラム21の表面が帯電部4によって所定の極性および電位で一様に帯電されると、 露光ユニット7は、原稿読取装置2によって読み取られた原稿の画像データに基づいて、感光体ドラム21上に原稿画像の静電潜像を形成する。
【0035】
現像部8は、帯電したトナーを感光体ドラム21の表面に供給し、感光体ドラム21上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。トナー像は転写ローラ6によって用紙上に転写される。トナー像が転写された用紙は、用紙搬送路11の上方に配設される定着部22へと搬送される。用紙にトナー像が転写された後、感光体ドラム21の表面に残留するトナーがクリーニング部5によってクリーニングされて回収され、さらに図示しない除電装置によって感光体ドラム21の表面の残留電荷が除去される。
【0036】
定着部22は、熱源を内蔵する定着ローラ22aと加圧ローラ22bとを有し、トナー像が転写された用紙を定着ローラ22a及び加圧ローラ22bによって加圧加熱し、用紙上のトナー像を溶融定着させる。トナー像が定着された用紙は、用紙搬送路11において右上方に搬送され排出ローラ対23によって排出部である胴内排紙部24に排出される。
【0037】
図2は、感光体ドラム21と、転写ローラ6との構造を示す図である。図2(a)は、軸方向から見た図であり、図2(b)は、図2(a)に示す矢印200方向から見た図である。転写ローラ6は、導電性の金属シャフト13と、該シャフトを覆うゴム部14と、溝15と、を備えている。ゴム部14は、シャフト13の両端以外の部分を覆う円筒状転写面であって、感光体ドラム21の円筒面の幅よりも小さな幅を有している。溝15は、シャフト13の少なくとも一方の端であって、感光体ドラム21の表面に対向又は近傍の位置に設けられている、シャフトの軸中心方向に向かう環状の溝である。該溝15は、転写ローラ6を画像形成装置1本体のフレームに固定すると共に、駆動力を伝達するのに用いる。ゴム部14は、肉厚3.5mmのイオン導電性ゴムである。
【0038】
図3(a)は、低温低湿環境において転写ローラ6に流れる転写電流と転写電圧の関係を示すグラフである。図2に示す転写ローラ6は、φ6のSUS製のシャフト上に外径がφ12.3で抵抗値が10log7Ωのイオン導電部材(ECO+NBR)の転写部材を形成したものである。転写部材の長さは306mmである。イオン導電部材は低湿低温環境では常温環境よりも抵抗が高くなるとともに、転写ローラを使用するのにともなって低下していく。低温低湿環境においては、転写ローラに30μAの転写電流を流す。このとき、初期の転写ローラでは約6kVの電圧が発生する。30万枚の印刷に使用した後の転写ローラでは約2.5kVの電圧が発生する。
【0039】
図3(b)は、図3(a)と同じ転写ローラにおいて転写部材の肉厚とリーク発生電圧の関係を示すグラフである。肉厚が2mmの場合は4.5kV以上ではリークが発生し、肉厚が3mmの場合は7.2kV以上になるとリークが発生することが分かる。
【0040】
図3(c)は、転写ローラの転写部材の外側のシャフト部に、幅1mmで深さが0.5mmの軸中心方向に向かう環状の溝を形成して、電界強度をシュミレーションした結果を示したものである。設定条件は、転写ローラの抵抗値が10log8Ωであり、転写ローラのシャフトに30μAの定電流を流す場合である。また、C面加工は0.2mmである。転写ローラの転写部材の厚みを3mmとした場合の低温低湿環境における放電が発生し始める放電限界の電界強度は6.2MV/mである。シュミレーション結果から、溝のエッジ部では電界強度が急激に上昇して放電限界に近い電界強度になっており、エッジ部をC面加工することで電界強度の上昇が抑制されることがわかる。
【0041】
図3(a)〜(c)に示す結果から、シャフト13は、溝15のエッジ部分を含む一部分だけが、電気絶縁物質16、例えば、フッ素樹脂によってコーティングされており、かつ、ゴム部14と溝15との間に電気絶縁物質16によって被われていない部分が存在する構成とした。該構成を採用した場合、ゴム部14の厚みが1.5mm〜3.5mmの範囲にある場合であっても、通常の動作時に印加される電圧では、放電は全く発生しなかった。このことは、必要最小限の絶縁処理で、シャフト13の全てを電気絶縁物質で覆う場合と同等の効果が得られること意味する。
【0042】
なお、感光体ドラム21の感光面には、アルマイト処理を施しても良い。この場合、シャフト13からの放電をより有効に防ぐことができる。
【0043】
(2)第2実施形態
図4は、第2実施形態の画像形成装置が備える、シャフト13’を示す。第1実施形態の画像形成装置1と同じ構成物には同じ参照番号を付して示し、重複した説明は省く。
【0044】
シャフト13’は、表面(例えば、A面という)と、該表面と直交する溝15の壁(例えばB面という)と、が接続されるエッジ部分を斜めに除去した形状の、平面17(前記A面、B面に対し、いわゆるC面と呼ばれている)を備えていることを特徴とする。
【0045】
前記平面17を形成することによって、電荷の集中を分散することができ、結果として、放電を抑えることができる。エッジ部に新たな平面を追加することによって、電荷の集中を分散するという観点に基づけば、平面17と、シャフト13’の表面、及び/又は、平面17と溝15の壁、の接続部分に形成されるエッジに更に1又は複数の平面を追加することもできる。
【0046】
図5は、平面17の有無による放電発生電圧の変化を示すグラフである。平面17を有している場合を実線で示し、有していない場合を点線で示す。グラフから明らかなように、エッジ部分に平面17を形成しただけで、放電発生電圧を1KV以上高くすることができた。
【0047】
第2実施形態の画像形成装置は、第1実施形態の画像形成装置1に比べて、より簡単な加工で、効率よく放電防止を行なうことができる。
【0048】
なお、第1実施形態の画像形成装置1のように、平面17を含む一部分だけを、電気絶縁物質16、例えば、フッ素樹脂によってコーティングすることによって、より効率よく放電を防ぐことができる。この場合、平面17の前記効果に起因して、第1実施形態の場合に比べて、より薄いコーディングによって、同等の放電防止効果を奏することができる。
【0049】
(3)第3実施形態
図6は、第3実施形態の画像形成装置が備えるシャフト13”を示す。第1実施形態の画像形成装置1と同じ構成物には同じ参照番号を付して示し、重複した説明は省く。
【0050】
シャフト13”は、表面と、該表面と直交する溝15の壁と、の接続部分に、Rをつけた(いわゆるR面処理を施した)ことを特徴とする。以下、このRをつけた面をR面18という。
【0051】
前記処理を施すことによって、第2実施形態の平面17を形成する場合に比べ、エッジ部分が減り、電荷の集中を分散することができ、結果として、より効率よくシャフトから感光面への放電を抑えることができる。
【0052】
なお、第1実施形態の画像形成装置1のように、シャフト13”のR面18を含む一部分だけを、電気絶縁物質16、例えば、フッ素樹脂によってコーティングすることによって、より効率よく放電を防ぐことができる。この場合、前記R面18の効果に起因して、第1実施形態の場合に比べて、より薄いコーディングによって、同等の放電防止効果を奏することができる。
【0053】
(4)第4実施形態
図7は、第4実施形態の画像形成装置が備えるシャフト13'"を示す。第1実施形態の画像形成装置1と同じ構成物には同じ参照番号を付して示し、重複した説明は省く。
【0054】
シャフト13'"は、溝15を有しているシャフトの端部の内、駆動用ギアが設けられる側の端部において、電気絶縁性の駆動用ギア19を、溝15を完全に覆うような形態で取り付けたことを特徴とする。
【0055】
溝15を駆動用ギア19で覆うことで、前記放電をほぼ完全に防ぐことができる。
【0056】
前記構成を採用することで、溝15のエッジ部分に前記平面17、R面18を設ける必要を無くし、加工工程を少なくすることができる。なお、駆動ギア19を設けない側については、前記第1乃至第3実施形態の画像形成装置の備える何れかのシャフトの形態を採用する。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、図1に示した形式に限らず、感光体ドラムと、転写ローラと、を備える種々の形式の電子写真式の画像形成装置に用いることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置
6 転写ローラ
13、13’、13”、13'" シャフト
14 ゴム部
15 溝
16 電気絶縁物質
17 平面
18 R面
19 駆動ギア
21 感光体ドラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムと、該感光体ドラムに対向して設けられている転写ローラと、を備えている電子写真式の画像形成装置であって、
前記転写ローラは、導電性シャフトと、該シャフトの両端以外の部分を覆い、感光体ドラムの円筒面の幅よりも狭い幅の円筒状の転写部材と、で構成されており、前記シャフトの少なくとも一方の端であって、前記感光体ドラムの表面に対向又は近傍の位置にシャフトの軸中心方向に向かう環状の溝が設けられており、
前記溝のエッジ部分のみが、電気絶縁物質で被われている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
感光体ドラムと、該感光体ドラムに向き合う位置に設けられている転写ローラと、を備えている電子写真式の画像形成装置であって、
前記転写ローラは、導電性シャフトと、該シャフトの両端以外の部分を覆い、感光体ドラムの円筒面の幅よりも狭い幅の円筒状の転写部材と、で構成されており、前記シャフトの少なくとも一方の端であって、前記感光体ドラムの表面に対向又は近傍の位置にシャフトの軸中心方向に向かう環状の溝が設けられており、
前記溝のエッジ部分に、該エッジ部分を斜めに除去した形状の平面を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
感光体ドラムと、該感光体ドラムに向き合う位置に設けられている転写ローラと、を備えている電子写真式の画像形成装置であって、
前記転写ローラは、導電性シャフトと、該シャフトの両端以外の部分を覆い、感光体ドラムの円筒面の幅よりも狭い幅の円筒状の転写部材と、で構成されており、前記シャフトの少なくとも一方の端であって、前記感光体ドラムの表面に対向又は近傍の位置にシャフトの軸中心方向に向かう環状の溝が設けられており、
前記溝のエッジ部分に、該エッジ部分にRをつける、R面処理を施して得られる面を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記シャフトのエッジ部分のみが、電気絶縁物質で被われている、
ことを特徴とする請求項2又は3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電気絶縁物質が、フッ素樹脂である、
ことを特徴とする請求項1又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
感光体ドラムと、該感光体ドラムに向き合う位置に設けられている転写ローラと、を備えている電子写真式の画像形成装置であって、
前記転写ローラは、導電性シャフトと、該シャフトの両端以外の部分を覆い、感光体ドラムの円筒面の幅よりも狭い幅の円筒状の転写部材と、で構成されており、前記シャフトの少なくとも一方の端であって、前記感光面近傍にシャフトの軸中心方向に向かう環状の溝が設けられており、
前記溝の軸方向内側のエッジ部分が、該溝に取り付けて用いる、高抵抗又は電気絶縁の樹脂部品によって完全に被われており、かつ、転写部材と該樹脂部品との間のシャフトに、該樹脂部品によって被われていない部分が存在する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記感光体ドラムの少なくとも前記転写ローラの前記導電性シャフトに対向する表面がアルマイト処理されている、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記感光体ドラムの表面と導電性シャフトとの間に介在する前記転写部材が、肉厚3.5mm以下で、かつ、0.5mm以上のイオン導電性ゴムである、
ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−11772(P2013−11772A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145002(P2011−145002)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】