説明

画像形成装置

【課題】 一部が重ねられて搬送される2枚の用紙の各用紙に対して適切な片面印刷を実行することができる構成か否かに関わらず、搬送路上に同時に複数枚の用紙を存在させずに片面印刷を実行する場合と比較して、2枚の用紙に対する印刷時間を短縮する印刷を実行することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 MFPは、2枚の用紙91に対して重送を発生させる重送発生部と、重送発生部によって重送が発生させられた2枚の用紙91の組92に対して両面印刷を実行する両面印刷実行部とを備えており、両面印刷実行部は、組92のうちの一方の用紙91のうち他方の用紙91側とは反対側の面91aと、他方の用紙91のうち一方の用紙91側とは反対側の面91bとに印刷を実行することによって、組92に対して両面印刷を実行することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重送を発生させることができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、重送を発生させることができる画像形成装置として、連続して搬送される2枚の用紙の一部が重ねられる重送を発生させて、この2枚の用紙の各用紙に対して適切な片面印刷を実行することによって、搬送路上に同時に複数枚の用紙を存在させずに片面印刷を実行する場合と比較して、2枚の用紙に対する印刷時間、すなわち、2枚の用紙のうちの最初の用紙に対して供給元からの搬送を開始してから、2枚の用紙のうちの最後の用紙に対して排出先への搬送を終了するまでの時間を短縮することができる画像形成装置が知られている(特許文献1〜3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−144779号公報
【特許文献2】特開2000−15881号公報
【特許文献3】特開2002−37474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置においては、一部が重ねられて搬送される2枚の用紙の各用紙に対して適切な片面印刷を実行することができる構成を備えていなければならないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、一部が重ねられて搬送される2枚の用紙の各用紙に対して適切な片面印刷を実行することができる構成か否かに関わらず、搬送路上に同時に複数枚の用紙を存在させずに片面印刷を実行する場合と比較して、2枚の用紙に対する印刷時間を短縮する印刷を実行することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、2枚の用紙に対して重送を発生させる重送発生部と、前記重送発生部によって重送が発生させられた前記2枚の用紙の組に対して両面印刷を実行する両面印刷実行部とを備えており、前記両面印刷実行部は、前記組のうちの一方の用紙のうち他方の用紙側とは反対側の面と、前記他方の用紙のうち前記一方の用紙側とは反対側の面とに印刷を実行することによって、前記組に対して両面印刷を実行することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の画像形成装置は、重送を発生させた2枚の用紙の組のうちの一方の用紙のうち他方の用紙側とは反対側の面と、他方の用紙のうち一方の用紙側とは反対側の面とに印刷を実行することによって、2枚の用紙の組に対して両面印刷を実行するので、一部が重ねられて搬送される2枚の用紙の各用紙に対して適切な片面印刷を実行することができる構成か否かに関わらず、搬送路上に同時に複数枚の用紙を存在させずに片面印刷を実行する場合と比較して、2枚の用紙に対する印刷時間を短縮する印刷を実行することができる。
【0008】
また、本発明の画像形成装置の前記両面印刷実行部は、用紙の搬送路上において複数の前記組を同時に搬送しても良い。
【0009】
この構成により、本発明の画像形成装置は、用紙の搬送路上において2枚の用紙の組を同時に複数搬送するので、搬送路上において複数の組を同時に搬送しない場合と比較して、多くの用紙に対する印刷時間を短縮する印刷を実行することができる。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、前記両面印刷実行部によって両面印刷が実行された前記組を各用紙に分離させる用紙分離部と、前記用紙分離部によって分離された前記各用紙を排出先に搬送する用紙排出部とを備えており、前記用紙排出部は、前記排出先に搬送された前記各用紙が前記重送発生部によって重送が発生させられていた状態とは異なる状態になるように前記各用紙を前記排出先に搬送しても良い。
【0011】
この構成により、本発明の画像形成装置は、両面印刷を実行した2枚の用紙の組を各用紙に分離した後、分離した各用紙が排出先に搬送されたときに印刷時の状態とは異なる状態になるように、各用紙を排出先に搬送するので、両面印刷を実行した2枚の用紙が排出先に搬送されたときに印刷時の状態と同じ状態である場合と比較して、印刷後の用紙に対する利用者の取り扱いを容易化することができる。
【0012】
また、本発明の画像形成装置の前記用紙排出部は、前記各用紙を別々の前記排出先に搬送しても良い。
【0013】
この構成により、本発明の画像形成装置は、両面印刷を実行した2枚の用紙の組を各用紙に分離した後、分離した各用紙を別々の排出先に搬送するので、各用紙を同一の排出先に搬送する場合と比較して、印刷後の用紙に対する利用者の取り扱いを容易化することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像形成装置は、一部が重ねられて搬送される2枚の用紙の各用紙に対して適切な片面印刷を実行することができる構成か否かに関わらず、搬送路上に同時に複数枚の用紙を存在させずに片面印刷を実行する場合と比較して、2枚の用紙に対する印刷時間を短縮する印刷を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係るMFPのブロック図である。
【図2】図1に示すMFPの構造の概略図である。
【図3】印刷データに基づいた印刷を実行するときの図1に示すMFPの動作のフローチャートである。
【図4】図3に示す動作の続きの動作のフローチャートである。
【図5】図3に示す動作の続きの動作であって、図4に示す動作とは異なる動作のフローチャートである。
【図6】2枚の用紙に対して図2に示す重送発生部によって重送を発生させる方法の説明図である。
【図7】2枚の用紙の組を図2に示す用紙分離部によって各用紙に分離させる方法の説明図である。
【図8】図1に示すMFPによって重送を発生させた2枚の用紙の組の印刷面の説明図である。
【図9】搬送路上において2枚の用紙の組を同時に複数搬送している状態での図1に示すMFPの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
まず、本実施の形態に係る画像形成装置としてのMFP(Multifunction Peripheral)の構成について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係るMFP10のブロック図である。
【0019】
図1に示すように、MFP10は、MFP10全体を制御する制御部11と、各種のデータを記憶しているEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの記憶デバイスである記憶部12と、利用者による種々の操作が入力されるボタンなどの入力デバイスである操作部13と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部14と、用紙に印刷を実行する印刷デバイスであるプリンター15と、原稿から画像を読み取る読取デバイスであるスキャナー16と、図示していない外部のファクシミリ装置と公衆電話回線などの通信回線経由でファックス通信を行うファックスデバイスであるファックス通信部17と、ネットワーク経由で外部の装置と通信を行うネットワーク通信デバイスであるネットワーク通信部18とを備えている。
【0020】
制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部12に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0021】
なお、記憶部12に記憶されているプログラムは、MFP10の製造段階でMFP10にインストールされていても良いし、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)などの記憶媒体から、または、ネットワーク上からMFP10に追加でインストールされても良い。
【0022】
図2は、MFP10の構造の概略図である。
【0023】
図2に示すように、プリンター15は、用紙91の供給元である給紙トレイ21、22と、用紙91の排出先である排紙トレイ23、24と、給紙トレイ21、22および排紙トレイ23、24の間に配置された用紙91の搬送路25と、搬送路25上に配置されて用紙91を搬送する複数の搬送ローラー対26と、2枚の用紙91に対して重送を発生させる重送発生部30と、重送発生部30によって重送が発生させられた2枚の用紙91の組に対して両面印刷を実行する両面印刷実行部40と、両面印刷実行部40によって両面印刷が実行された2枚の用紙91の組を各用紙91に分離させる用紙分離部50と、用紙分離部50によって分離された各用紙91を排紙トレイ23、24に搬送する用紙排出部60とを備えている。
【0024】
重送発生部30は、搬送路25の一部であって給紙トレイ21上の用紙91が挿入される搬送路31aと、搬送路25の一部であって給紙トレイ22上の用紙91が挿入される搬送路31bと、搬送路25の一部であって搬送路31aおよび搬送路31bが合流した搬送路31cと、複数の搬送ローラー対26の一対であって搬送路31b上に配置された搬送ローラー対32と、給紙トレイ21から搬送路31a上に用紙91を搬送する給紙ローラー33と、給紙トレイ22から搬送路31b上に用紙91を搬送する給紙ローラー34とを備えている。
【0025】
両面印刷実行部40は、搬送路25の一部であって片面印刷および両面印刷の両方において用紙91が通過する搬送路41aと、搬送路25の一部であって両面印刷において用紙91が反転させられる搬送路41bと、搬送路25の一部であって搬送路41bから搬送路41aに用紙91を戻す搬送路41cと、複数の搬送ローラー対26の一対であって搬送路41a上に配置された搬送ローラー対42aと、複数の搬送ローラー対26の一対であって搬送路41b上に配置された搬送ローラー対42bと、複数の搬送ローラー対26の一対であって搬送路41c上に配置された搬送ローラー対42cと、トナーによる画像が形成される感光体ドラム43と、感光体ドラム43に形成された画像を用紙91に転写する転写ローラー44と、用紙91に転写された画像を定着させる定着ローラー45と、用紙91を定着ローラー45に押し付ける加圧ローラー46と、用紙91の搬送先を用紙分離部50および搬送路41bの何れか一方に切り替える切替部材47とを備えている。
【0026】
用紙分離部50は、搬送路25の一部である搬送路51と、複数の搬送ローラー対26の一部であって搬送路51上に配置された搬送ローラー対52a、52bと、用紙91の搬送先を排紙トレイ23および排紙トレイ24の何れか一方に切り替える切替部材53とを備えている。
【0027】
用紙排出部60は、搬送路25の一部であって用紙91を排紙トレイ23に排出するための搬送路61aと、搬送路25の一部であって用紙91を排紙トレイ24に排出するための搬送路61bと、複数の搬送ローラー対26の一対であって搬送路61a上に配置された搬送ローラー対62aと、複数の搬送ローラー対26の一対であって搬送路61b上に配置された搬送ローラー対62bとを備えている。
【0028】
次に、MFP10の動作について説明する。
【0029】
図3は、印刷データに基づいた印刷を実行するときのMFP10の動作のフローチャートである。図4は、図3に示す動作の続きの動作のフローチャートである。図5は、図3に示す動作の続きの動作であって、図4に示す動作とは異なる動作のフローチャートである。
【0030】
PC(Personal Computer)などの図示していない外部の装置は、インストールされているプリンタドライバーによって片面印刷モード、両面印刷モード、高速片面印刷モードのうちから利用者が希望する印刷モードを受け付けることができ、受け付けた印刷モードを印刷データに含めてMFP10に送信することができる。MFP10は、外部の装置からネットワーク通信部18を介して印刷データを受信すると、図3〜図5に示す動作を実行する。
【0031】
図3〜図5に示すように、MFP10の制御部11は、受信した印刷データに含まれている印刷モードを判定する(S101)。なお、MFP10は、受信した印刷データに印刷モードが含まれていない場合の印刷モードを、例えば操作部13を介して予め設定されることができるようになっている。したがって、制御部11は、受信した印刷データに印刷モードが含まれていない場合、予め設定されている印刷モードを、印刷データに含まれている印刷モードとしてS101において判定する。
【0032】
制御部11は、S101において印刷モードが片面印刷モードであると判定すると、受信した印刷データの未だ印刷が終了していないページのうち1ページ分の画像データを読み出す(S102)。
【0033】
次いで、制御部11は、給紙トレイ21および給紙トレイ22の何れか一方から1枚の用紙91を搬送路25に供給する(S103)。ここで、制御部11は、給紙トレイ21から搬送路25に用紙91を供給する場合、給紙ローラー33を駆動させる。制御部11は、給紙トレイ22から搬送路25に用紙91を供給する場合、給紙ローラー34を駆動させる。
【0034】
なお、制御部11は、給紙トレイ21および給紙トレイ22の何れか一方が印刷データにおいて指定されている場合、給紙トレイ21および給紙トレイ22のうち、印刷データにおいて指定されている方から1枚の用紙91を搬送路25に供給する。制御部11は、給紙トレイ21および給紙トレイ22の何れも印刷データにおいて指定されていない場合、給紙トレイ21および給紙トレイ22のうち、利用者によって予め指定されている方から1枚の用紙91を搬送路25に供給する。
【0035】
次いで、制御部11は、S102において読み出した画像データに基づいて、S103において搬送路25に供給した用紙91に、感光体ドラム43、転写ローラー44、定着ローラー45および加圧ローラー46によって印刷する(S104)。ここで、制御部11は、切替部材47によって用紙91の搬送先を用紙分離部50に設定する。
【0036】
次いで、制御部11は、排紙トレイ23および排紙トレイ24の何れか一方に用紙91を排出する(S105)。ここで、制御部11は、搬送路25から排紙トレイ23および排紙トレイ24の何れに用紙91を供給するかを切替部材53によって設定する。
【0037】
なお、制御部11は、排紙トレイ23および排紙トレイ24の何れか一方が印刷データにおいて指定されている場合、排紙トレイ23および排紙トレイ24のうち、印刷データにおいて指定されている方に用紙91を排出する。制御部11は、排紙トレイ23および排紙トレイ24の何れも印刷データにおいて指定されていない場合、排紙トレイ23および排紙トレイ24のうち、利用者によって予め指定されている方に用紙91を排出する。
【0038】
次いで、制御部11は、印刷データに含まれている全てのページの印刷が終了したか否かを判断する(S106)。
【0039】
制御部11は、印刷データに含まれている全てのページの印刷が未だ終了していないとS106において判断すると、再びS102の処理に戻って、未だ印刷が終了していないページについて上述した処理を実行する。
【0040】
一方、制御部11は、印刷データに含まれている全てのページの印刷が終了したとS106において判断すると、図3〜図5に示す処理を終了する。
【0041】
制御部11は、S101において印刷モードが両面印刷モードであると判定すると、印刷データの未だ印刷が終了していないページのうち2ページ分の画像データを読み出す(S120)。ここで、制御部11は、印刷データの未だ印刷が終了していないページが1ページのみである場合、その1ページのみを読み出す。
【0042】
次いで、制御部11は、給紙トレイ21および給紙トレイ22の何れか一方から1枚の用紙91を搬送路25に供給する(S121)。ここで、制御部11は、給紙トレイ21から搬送路25に用紙91を供給する場合、給紙ローラー33を駆動させる。制御部11は、給紙トレイ22から搬送路25に用紙91を供給する場合、給紙ローラー34を駆動させる。
【0043】
なお、制御部11は、給紙トレイ21および給紙トレイ22の何れか一方が印刷データにおいて指定されている場合、給紙トレイ21および給紙トレイ22のうち、印刷データにおいて指定されている方から1枚の用紙91を搬送路25に供給する。制御部11は、給紙トレイ21および給紙トレイ22の何れも印刷データにおいて指定されていない場合、給紙トレイ21および給紙トレイ22のうち、利用者によって予め指定されている方から1枚の用紙91を搬送路25に供給する。
【0044】
次いで、制御部11は、次に印刷するページが直前のS120において読み出したページのうち1ページ目の印刷であるか否かを判断する(S122)。
【0045】
制御部11は、1ページ目の印刷であるとS122において判断すると、直前のS120において読み出したページのうち1ページ目の画像データに基づいて、S121において搬送路25に供給した用紙91に、感光体ドラム43、転写ローラー44、定着ローラー45および加圧ローラー46によって印刷する(S123)。ここで、制御部11は、切替部材47によって用紙91の搬送先を搬送路41bに設定する。
【0046】
次いで、制御部11は、用紙91を反転させて感光体ドラム43の上流に戻す(S124)。ここで、制御部11は、用紙91を搬送路41bで反転させた後、搬送路41cを通して搬送路41aに戻す。
【0047】
制御部11は、S124の処理の後、再びS122の処理に戻る。
【0048】
制御部11は、1ページ目の印刷ではないとS122において判断すると、直前のS120において読み出したページに2ページ目が存在するか否かを判断する(S125)。
【0049】
制御部11は、2ページ目が存在するとS125において判断すると、直前のS120において読み出したページのうち2ページ目の画像データに基づいて、S124において搬送路41aに戻した用紙91に、感光体ドラム43、転写ローラー44、定着ローラー45および加圧ローラー46によって印刷する(S126)。つまり、制御部11は、用紙91のうち直前のS123において印刷された面とは反対の面に印刷する。ここで、制御部11は、切替部材47によって用紙91の搬送先を用紙分離部50に設定する。
【0050】
制御部11は、2ページ目が存在しないとS125において判断すると、空白ページの画像データに基づいて、S124において搬送路41aに戻した用紙91に、感光体ドラム43、転写ローラー44、定着ローラー45および加圧ローラー46によって印刷する(S127)。つまり、制御部11は、用紙91のうち直前のS123において印刷された面とは反対の面に何も印刷しない。ここで、制御部11は、切替部材47によって用紙91の搬送先を用紙分離部50に設定する。
【0051】
制御部11は、S126またはS127の処理を終了すると、排紙トレイ23および排紙トレイ24の何れか一方に用紙91を排出する(S128)。ここで、制御部11は、搬送路25から排紙トレイ23および排紙トレイ24の何れに用紙91を供給するかを切替部材53によって設定する。
【0052】
なお、制御部11は、排紙トレイ23および排紙トレイ24の何れか一方が印刷データにおいて指定されている場合、排紙トレイ23および排紙トレイ24のうち、印刷データにおいて指定されている方に用紙91を排出する。制御部11は、排紙トレイ23および排紙トレイ24の何れも印刷データにおいて指定されていない場合、排紙トレイ23および排紙トレイ24のうち、利用者によって予め指定されている方に用紙91を排出する。
【0053】
次いで、制御部11は、印刷データに含まれている全てのページの印刷が終了したか否かを判断する(S129)。
【0054】
制御部11は、印刷データに含まれている全てのページの印刷が未だ終了していないとS129において判断すると、再びS120の処理に戻って、未だ印刷が終了していないページについて上述した処理を実行する。
【0055】
一方、制御部11は、印刷データに含まれている全てのページの印刷が終了したとS129において判断すると、図3〜図5に示す処理を終了する。
【0056】
制御部11は、S101において印刷モードが高速片面印刷モードであると判定すると、印刷データに含まれているページ数が偶数であるか否かを判断する(S140)。
【0057】
制御部11は、印刷データに含まれているページ数が偶数であるとS140で判断すると、印刷データの未だ印刷が終了していないページのうち2ページ分の画像データを読み出す(S141)。
【0058】
次いで、制御部11は、給紙トレイ21および給紙トレイ22の両方から1枚ずつの合計2枚の用紙91を重送の状態で搬送路25に供給する(S142)。ここで、制御部11は、給紙トレイ21から搬送路25に用紙91を供給する場合、給紙ローラー33を駆動させる。制御部11は、給紙トレイ22から搬送路25に用紙91を供給する場合、給紙ローラー34を駆動させる。
【0059】
図6は、2枚の用紙91に対して重送発生部30によって重送を発生させる方法の説明図である。
【0060】
図6に示すように、制御部11は、給紙ローラー33、34および搬送ローラー対32の駆動のタイミングおよび回転速度を調節することによって、給紙トレイ21から搬送路31aに供給する用紙91と、給紙トレイ22から搬送路31bに供給する用紙91とを搬送方向の先端同士が一致するように搬送路31c上で重ね合わせる。なお、制御部11は、互いに重ね合わせた2枚の用紙91の組92が後述する分離時までにずれないように搬送ローラー対26などの用紙91の搬送機構の駆動を制御する。
【0061】
図5に示すように、制御部11は、印刷データに含まれているページ数が偶数ではないとS140で判断すると、印刷データの未だ印刷が終了していないページのうち1ページ分の画像データを読み出す(S143)。
【0062】
次いで、制御部11は、給紙トレイ21および給紙トレイ22の何れか一方から1枚の用紙91を搬送路25に供給する(S144)。ここで、制御部11は、給紙トレイ21から搬送路25に用紙91を供給する場合、給紙ローラー33を駆動させる。制御部11は、給紙トレイ22から搬送路25に用紙91を供給する場合、給紙ローラー34を駆動させる。
【0063】
なお、制御部11は、給紙トレイ21および給紙トレイ22の何れか一方が印刷データにおいて指定されている場合、給紙トレイ21および給紙トレイ22のうち、印刷データにおいて指定されている方から1枚の用紙91を搬送路25に供給する。制御部11は、給紙トレイ21および給紙トレイ22の何れも印刷データにおいて指定されていない場合、給紙トレイ21および給紙トレイ22のうち、利用者によって予め指定されている方から1枚の用紙91を搬送路25に供給する。
【0064】
制御部11は、S142またはS144の処理を終了すると、次に印刷するページが直前のS141またはS143において読み出したページのうち1ページ目の印刷であるか否かを判断する(S145)。
【0065】
制御部11は、1ページ目の印刷であるとS145において判断すると、直前のS141またはS143において読み出したページのうち1ページ目の画像データに基づいて、S142またはS144において搬送路25に供給した用紙91に、感光体ドラム43、転写ローラー44、定着ローラー45および加圧ローラー46によって印刷する(S146)。ここで、制御部11は、切替部材47によって用紙91の搬送先を搬送路41bに設定する。
【0066】
次いで、制御部11は、用紙91を反転させて感光体ドラム43の上流に戻す(S147)。ここで、制御部11は、用紙91を搬送路41bで反転させた後、搬送路41cを通して搬送路41aに戻す。
【0067】
制御部11は、S147の処理の後、再びS145の処理に戻る。
【0068】
制御部11は、1ページ目の印刷ではないとS145において判断すると、直前のS141またはS143において読み出した画像データが2ページ分であるか否かを判断する(S148)。
【0069】
制御部11は、直前のS141またはS143において読み出した画像データが2ページ分である、すなわち、S141およびS143のうち直近に実行したのがS141であるとS148において判断すると、直前のS141において読み出したページのうち2ページ目の画像データに基づいて、S147において搬送路41aに戻した2枚の用紙91の組92に、感光体ドラム43、転写ローラー44、定着ローラー45および加圧ローラー46によって印刷する(S149)。つまり、制御部11は、2枚の用紙91の組92のうちの直前のS146において印刷された用紙91ではない用紙91のうち、直前のS146において印刷された用紙91側とは反対側の面に印刷する。ここで、制御部11は、切替部材47によって用紙91の搬送先を用紙分離部50に設定する。
【0070】
次いで、制御部11は、2枚の用紙91の組92を切替部材53によって各用紙91に分離して(S150)、S150において分離した用紙91を排紙トレイ23および排紙トレイ24のそれぞれに排出する(S151)。
【0071】
図7は、2枚の用紙91の組92を用紙分離部50によって各用紙91に分離させる方法の説明図である。
【0072】
制御部11は、搬送ローラー対52aの2つのローラーの回転速度を異ならせるとともに、搬送ローラー対52bの2つのローラーの回転速度も同様に異ならせることによって、2枚の用紙91の組92の各用紙91をずらす。そして、制御部11は、図7に示すように2枚の用紙91の組92の各用紙91のずれている部分に適時に切替部材53を当てることによって、2枚の用紙91の組92を各用紙91に分離する。
【0073】
図5に示すように、制御部11は、直前のS141またはS143において読み出した画像データが2ページ分ではない、すなわち、S141およびS143のうち直近に実行したのがS143であるとS148において判断すると、空白ページの画像データに基づいて、S147において搬送路41aに戻した用紙91に、感光体ドラム43、転写ローラー44、定着ローラー45および加圧ローラー46によって印刷する(S152)。つまり、制御部11は、用紙91のうち直前のS146において印刷された面とは反対の面に何も印刷しない。ここで、制御部11は、切替部材47によって用紙91の搬送先を用紙分離部50に設定する。
【0074】
次いで、制御部11は、排紙トレイ23および排紙トレイ24の何れか一方に用紙91を排出する(S153)。ここで、制御部11は、搬送路25から排紙トレイ23および排紙トレイ24の何れに用紙91を供給するかを切替部材53によって設定する。
【0075】
なお、制御部11は、排紙トレイ23および排紙トレイ24の何れか一方が印刷データにおいて指定されている場合、排紙トレイ23および排紙トレイ24のうち、印刷データにおいて指定されている方に用紙91を排出する。制御部11は、排紙トレイ23および排紙トレイ24の何れも印刷データにおいて指定されていない場合、排紙トレイ23および排紙トレイ24のうち、利用者によって予め指定されている方に用紙91を排出する。
【0076】
制御部11は、S151またはS153の処理を終了すると、印刷データに含まれている全てのページの印刷が終了したか否かを判断する(S154)。
【0077】
制御部11は、印刷データに含まれている全てのページの印刷が未だ終了していないとS154において判断すると、S141の処理に移行して、未だ印刷が終了していないページについて上述した処理を実行する。
【0078】
一方、制御部11は、印刷データに含まれている全てのページの印刷が終了したとS154において判断すると、図3〜図5に示す処理を終了する。
【0079】
MFP10は、図8に示すように、重送を発生させた2枚の用紙91の組92のうちの一方の用紙のうち他方の用紙側とは反対側の面91aと、他方の用紙のうち一方の用紙側とは反対側の面91bとに両面印刷実行部40によって印刷を実行することによって、2枚の用紙91の組92に対して両面印刷を実行する(S146およびS149)。したがって、MFP10は、一部が重ねられて搬送される2枚の用紙91の各用紙91に対して適切な片面印刷を実行することができる構成か否かに関わらず、搬送路25上に同時に複数枚の用紙91を存在させずに片面印刷を実行する場合(S102〜S106)と比較して、2枚の用紙91に対する印刷時間、すなわち、2枚の用紙91のうちの最初の用紙に対して給紙トレイからの搬送を開始してから、2枚の用紙91のうちの最後の用紙に対して排紙トレイへの搬送を終了するまでの時間を短縮する印刷を実行することができる。
【0080】
また、MFP10は、両面印刷を実行した2枚の用紙91の組92を各用紙91に分離した後、分離した各用紙91を用紙排出部60によって別々の排紙トレイ23、24に搬送するので、各用紙91を同一の排紙トレイに搬送する場合と比較して、印刷後の用紙91に対する利用者の取り扱いを容易化することができる。
【0081】
MFP10は、分離した各用紙91を用紙排出部60によって別々の排紙トレイ23、24に搬送する方法以外の方法によって、排紙トレイに搬送された各用紙91が重送発生部30によって重送が発生させられていた状態とは異なる状態になるように各用紙91を排紙トレイに搬送しても良い。例えば、MFP10は、分離した各用紙91を同一の排紙トレイ上でずらして排出する方法によって、排紙トレイに搬送された各用紙91が重送発生部30によって重送が発生させられていた状態とは異なる状態になるように各用紙91を排紙トレイに搬送しても良い。MFP10は、両面印刷を実行した2枚の用紙91の組92を各用紙91に分離した後、分離した各用紙91が排紙トレイに搬送されたときに印刷時の状態とは異なる状態になるように、各用紙91を排紙トレイに搬送する場合、両面印刷を実行した2枚の用紙91が排紙トレイに搬送されたときに印刷時の状態と同じ状態である場合と比較して、印刷後の用紙91に対する利用者の取り扱いを容易化することができる。
【0082】
MFP10は、重送発生部30によって重送が発生させられていた状態で各用紙91を排紙トレイに搬送しても良い。ただし、この場合、利用者は、印刷後の用紙91に対して1枚ずつ手作業で分離して表裏を整える必要がある。
【0083】
MFP10は、上述した例において、搬送路25上において2枚の用紙91の組92を1つずつ処理するようになっているが、図9に示すように、搬送路25上において2枚の用紙91の組92を同時に複数搬送するようになっていても良い。この場合、MFP10は、搬送路25上において複数の組92を同時に搬送しない場合と比較して、多くの用紙91に対する印刷時間を短縮する印刷を実行することができる。
【0084】
MFP10は、上述した例において、外部の装置から受信した印刷データに基づいた印刷のときに2枚の用紙91の組92に対して両面印刷を実行するようになっているが、外部の装置から受信した印刷データに基づいた印刷以外の印刷のときに2枚の用紙91の組92に対して両面印刷を実行するようになっていても良い。例えば、MFP10は、ファックス通信部17を介して受信したファックスの印刷のときに2枚の用紙91の組92に対して両面印刷を実行するようになっていても良い。また、MFP10は、コピー、すなわち、スキャナー16によって原稿から読み取った画像データに基づいた印刷のときに2枚の用紙91の組92に対して両面印刷を実行するようになっていても良い。MFP10は、ファックスおよびコピーのときの印刷モードを、例えば操作部13を介して予め設定されるようになっていても良い。
【0085】
MFP10は、本実施の形態において説明した方法以外の方法によって、2枚の用紙91に対して重送を発生させるようになっていても良い。例えば、MFP10は、同一の給紙トレイから搬送路25上に供給した2枚の用紙91に対して重送を発生させることができる構成である場合、給紙トレイを1つのみ備えていれば良い。
【0086】
MFP10は、本実施の形態において説明した方法以外の方法によって、2枚の用紙91の組92を各用紙91に分離するようになっていても良い。例えば、MFP10は、2枚の用紙91の組92の各用紙91を互いに離れる方向にそれぞれ吸引するエアー吸引装置によって、2枚の用紙91の組92を各用紙91に分離するようになっていても良い。
【0087】
本発明の画像形成装置は、本実施の形態においてMFPであるが、プリンター専用機、ファックス専用機、コピー専用機など、MFP以外の画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0088】
10 MFP(画像形成装置)
23、24 排紙トレイ(排出先)
25 搬送路
30 重送発生部
40 両面印刷実行部
50 用紙分離部
60 用紙排出部
91 用紙
91a 面
91b 面
92 組

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の用紙に対して重送を発生させる重送発生部と、前記重送発生部によって重送が発生させられた前記2枚の用紙の組に対して両面印刷を実行する両面印刷実行部とを備えており、
前記両面印刷実行部は、前記組のうちの一方の用紙のうち他方の用紙側とは反対側の面と、前記他方の用紙のうち前記一方の用紙側とは反対側の面とに印刷を実行することによって、前記組に対して両面印刷を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記両面印刷実行部は、用紙の搬送路上において複数の前記組を同時に搬送することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記両面印刷実行部によって両面印刷が実行された前記組を各用紙に分離させる用紙分離部と、前記用紙分離部によって分離された前記各用紙を排出先に搬送する用紙排出部とを備えており、
前記用紙排出部は、前記排出先に搬送された前記各用紙が前記重送発生部によって重送が発生させられていた状態とは異なる状態になるように前記各用紙を前記排出先に搬送することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記用紙排出部は、前記各用紙を別々の前記排出先に搬送することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−1519(P2013−1519A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135025(P2011−135025)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】