説明

画像形成装置

【課題】大型で高速駆動を行う中間転写ベルトの安定した駆動を長期にわたり持続でき、ベルト特性のバラツキが小さく良好な画像が得られ、白ポチなどの異常が発生せず、環境変化に対してベルトの形状、寸法の安定性が高いベルトの提供。
【解決手段】中間転写ベルトの周長が2000mm以上で、中間転写ベルトが線速350mm/sec以上で駆動され、中間転写ベルトは基体層とより抵抗の高い高抵抗層とが積層されて成り、基体層側の表面における表面抵抗率よりも、高抵抗層側の表面における表面抵抗率の方が500Vの電圧印加時の表面抵抗率の常用対数値において0.3〜2.5logΩ/□高く、基体層は特定のポリイミド樹脂成分が特定の割合で配合されてなるポリイミド樹脂からなり、中間転写ベルトの内周面の表面粗さRa(JIS B0601:’01)が0.2〜0.4μmである画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー・プリンター等の画像形成装置に装備されるシームレスベルトを用いた画像形成装置、特にフルカラー画像形成に好適な中間転写ベルトを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真装置においては様々な用途でシームレスベルトが部材として用いられている。特に近年のフルカラー電子写真装置においては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の現像画像を一旦中間転写媒体上に色重ねし、その後一括して紙などの転写媒体に転写する中間転写ベルト方式が用いられている。
【0003】
このような中間転写ベルト方式は、1つの感光体に対して4色の現像器を用いるシステムで用いられていたがプリント速度が遅いという欠点があった。そのため、高速プリントとしては、感光体を4色分並べ、各色を連続して紙に転写する4連タンデム方式が用いられている。しかし、この方式では紙の環境による変動などもあり、各色画像を重ねる位置精度を合わせることが非常に困難であり、色ずれ画像を引き起こしていた。そこで近年では、4連タンデム方式に中間転写方式を採用することが主流になってきている。
【0004】
このような情勢の中で中間転写ベルトにおいても、従来よりも要求特性(高速転写、位置精度)が厳しいものとなっており、これらの要求に対応する特性を満足することが必要となってきている。特に、位置精度に対しては、連続使用によるベルト自体の伸び等の変形による変動を抑えることが求められる。また、中間転写ベルトは、装置の広い領域に渡ってレイアウトされ、転写のために高電圧が印加されることから難燃性であることが求められている。このような要求に対応するため、中間転写ベルト材料として主に高弾性率で高耐熱樹脂であるポリイミド樹脂が用いられている。
【0005】
特に、最近では、カラー電子写真画像形成装置でも印刷枚数の高速化が進んでいて、極めて高速で、かつ耐久性と安定性の高いカラー画像形成装置が要求されるようになりつつある。このようなカラー画像形成装置は、高速化、高耐久化に対応するために、大型の装置を高速で駆動させる。中間転写ベルトについても、周長が長いベルトを高速駆動させる必要性がある。
このような、大型化した中間転写ベルトやそれを使用したシステムでは、従来のベルト/システムでは問題とならなかった新たな課題が生まれる。
新たな課題1つとして、中間転写ベルトの搬送安定性がある。具体的には、「高速回転する事で中間転写ベルトとベルトを駆動させるローラでスリップが発生して色ずれが発生しやすくなる事」、「ベルト寄りが発生した場合にベルトが損傷しやすい事」、などの不具合が生じる。
【0006】
さらに、別な課題として、ベルトの特性値のバラツキがある。1本のベルトの中で、場所により、ベルト特性値にばらつきがあり、その影響で画像にムラが発生する場合がある。ポリイミドベルト作製時は、樹脂溶液を塗布した金型を、加熱して乾燥/硬化を行うが、周長が2000mm以上ある大型ベルトの作製では、従来のベルトサイズに比べ、非常に大きな金型を使用するため、金型全体を均一に温度制御する事が難しく、ベルト特性にバラツキを生じると考えられる。
このよう課題は、従来のベルトサイズでは問題とならなかった、ベルトを大型化した事に伴う新たな課題である。
【0007】
また、別な課題としては、画像部にトナーが転写されず、転写されない部分が微小な白い斑点が生じる、いわゆる「白ポチ」が発生しやすくなる。定電流制御で転写バイアスを制御する場合は、低温低湿環境時、両面印刷時の裏面、抵抗が高い紙種などの条件で、「白ポチ」が発生しやすく、転写バイアスが高くなる条件で発生している。高線速の機械では、ベルトの高速駆動により、転写ニップの通過時間が短くなるため、転写時に高い電圧が印加する必要があり、白ポチが発生しやすくなると考えられる。
このような事項は、従来のベルトサイズやベルト線速で使用する場合は、特に大きな問題とはならなかったが、大型のベルトにおいては様々なスペックへの特性要求が非常に高くこの要求を包括的に解決しなくてはならないという新たな課題に直面することとなっている。
【0008】
さらに、中間転写ベルトの大きな課題の1つとして、環境変化に対してベルトの形状安定性、及び寸法安定性がある。
環境変化に対するベルトの形状安定性として、ベルトのカール癖がある。
中間転写ベルトは、複数のローラ等によって張架された無端状のベルトで構成されている。これらのベルトにはテンションローラ等によって所定の張力が付与されており、この張力はベルトが静止した状態であっても作用している。 このため、ベルトを走行させずに長時間放置しておくと、ローラで支持された箇所においてベルトにカール癖が付く。ベルトの走行性に支障をきたす場合や、カール癖が付いたまま、その上に画像を転写すると、カール癖が付いた部分で、転写不良が発生し、カール癖の部分で横帯状の画像ムラなど異常画像を発生する場合がある。
また、環境変化に対するベルト寸法安定性としては、吸湿時の寸法安定性がある。湿度に対する寸法変化率が同じ材料でも、周長が長い大型ベルトの場合は、周長が長い分、寸法変化量としては、大きくなるため、特に注意が必要である。
環境変化に対するベルトの形状安定性/寸法安定性は、大型ベルトで安定した画質を確保するために重要な課題である。
【0009】
特許文献1では、ベルト内面の表面粗さ(Ra)が0.15〜0.6μm、最大表面粗さ(Rmax)が3〜15μmである事を特徴とするポリイミドベルトが開示されていて、ベルトの摺動性と摩耗粉の発生を抑えることの両立を目的としている。しかしながら、大型化していない従来サイズのベルトの検討結果であり、大型化したベルトでは十分なベルト搬送性は得られない場合がある。また白ポチに対する対策なども検討されていないため、大型ベルトを試作して、高速機で評価した場合は様々な不具合が生じる。
一方、特許文献2では、温度ムラを少なくする管状物の製造方法/管状物が知られている。熱媒体を循環させる空洞からなるヒートパイプを周壁に配置した円筒状の金型と、金型の中に電磁加熱する電磁誘導コイルを備えた製造装置である。しかしながら、このような装置を使用した場合でも、大型化したベルトの作製では、やはり温度ムラが発生してしまい、十分な効果は得られにくい。
【0010】
特許文献3では、テトラカルボキシル残基である全芳香族骨格とジアミン残基であるp−フェニレン骨格とがイミド結合してなるA成分と、テトラカルボキシル残基である全芳香族骨格とジフェニルエーテル骨格とがイミド結合してなるB成分とを繰り返してなる共重合体、及び/又は前記A成分を繰り返し単位とする重合体と前記B成分を繰り返し単位とする重合体とを混合してなるブレンド体であり、かつA成分のモル%をR、導電性フィラーのポリイミド樹脂に対する重量部数をWとするとRが(65−W)以下である事を特徴とするポリイミド樹脂が知られている。このようなポリイミド樹脂処方にする事で可とう性と剛性のバランスが改善される。しかし、ベルト裏面の粗さが考慮されていないため、安定した搬送性を得るのは難しく、白ポチに対しても何ら対策がなされていない。
特許文献4ではトナー像を担持する側のベルト外周面を形成する高抵抗の表面層と、転写バイアスが印加される転写ベルトのベルト内周面を形成する中抵抗の基層とを有する多層構造の多層ベルトで構成されている中間転写ベルトを有する画像形成装置が開示されている。表面層を高抵抗にすることで電気的耐圧性も高くなり、前述の「白ポチ」の異常画像を抑制できる。しかしながら、大型ベルトとして高速機に使用した場合は、ベルト搬送性やベルト特性のバラツキは考慮されていないため、問題が生じる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の第一の目的は、大型の中間転写ベルトを高速駆動を行う場合の、「ベルト大型化」及び「ベルト高速駆動」に伴う新たな課題を解決することにある。具体的には、大型かつ高速駆動を行う中間転写ベルトにおいても、中間転写ベルトの安定した駆動を長期にわたり持続でき、大型ベルトでもベルト特性のバラツキが小さく良好な画像が得られ、かつ白ポチなどの異常が発生しない画像形成装置を提供することにある。また、環境変化に対して、ベルト形状安定性(耐カール性)、及び寸法安定性が高いベルトを提供して、環境変化に対しても安定した画質が得られる画像形成装置を提供することにある。
本発明の第二の目的は、長期にわたり高画質な画像を出力できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題について鋭意検討を行った結果、特定の中間転写ベルト用いることにより上記課題が達成されることを見出し本発明に至った。
即ち、以下の〔1〕〜〔9〕に記載する発明によって上記課題が解決される。
【0013】
〔1〕中間転写ベルトを使用してトナー画像を被記録媒体に転写する画像形成装置であって、前記中間転写ベルトの周長が2000mm以上であり、前記中間転写ベルトが線速350mm/sec以上で駆動され、
(1)前記中間転写ベルトは、少なくとも基体層と、前記基体層よりも抵抗の高い高抵抗層とが積層されて成り、
(2)前記中間転写ベルトにおいて、前記基体層側の表面における表面抵抗率よりも、前記高抵抗層側の表面における表面抵抗率の方が、500Vの電圧印加時の表面抵抗率の常用対数値において0.3〜2.5logΩ/□高く、
(3)前記基体層は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンがイミド結合したポリイミド樹脂成分(S成分)と、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがイミド結合したポリイミド樹脂成分(A成分)とが、S成分とA成分の重量比(S/A)で0/100〜40/60であるポリイミド樹脂で形成されており、
(4)前記中間転写ベルトの内周面は、表面粗さRa(JIS B0601:’01)が0.2〜0.4μmである
ことを特徴とする画像形成装置。
〔2〕前記高抵抗層が、中間転写ベルトの内周面側に積層され、かつ前記高抵抗層は前記S成分と前記A成分の重量比が60/40〜100/0であるポリイミド樹脂で形成されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の画像形成装置。
〔3〕前記高抵抗層は、中間転写ベルトの内周面側に積層され、基体層と高抵抗層の各層は、S成分とA成分の重量比が同じポリイミド樹脂で構成され、かつポリイミド樹脂中には同じカーボンブラックが分散され、ポリイミド樹脂に対するカーボンブラックの重量比率が、基体層に比べ高抵抗層の方が少ない事を特徴とする〔1〕に記載の画像形成層装置。
〔4〕前記基体層のS成分とA成分の重量比(S/A)は10/100〜40/60であり、吸湿線膨張係数が22ppm/%RH以下である事を特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の画像形成装置。
〔5〕前記トナー画像を形成するトナーの円形度が0.95〜0.98であることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の画像形成装置。
〔6〕前記トナー画像を形成するトナーの体積平均粒径が4μm〜8μmであることを特徴とする前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の画像形成装置。
〔7〕前記トナー画像を形成するトナーの体積平均粒径が4μm〜5.2μmであることを特徴とする前記〔6〕に記載の画像形成装置。
〔8〕前記中間転写ベルトの表面に潤滑剤を塗布する固形潤滑剤塗布装置を備えることを特徴とする前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の画像形成装置。
〔9〕前記潤滑剤がステアリン酸亜鉛であることを特徴とする前記〔8〕に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像形成装置では、中間転写ベルトの内周面を、表面粗さRa(JIS B0601:’01)が0.2μm〜0.4μmにすることにより、大型のベルトを高速駆動しても、「べルトのスリップ」や「ベルト寄りによるベルトの損傷」が発生し難く、安定したベルト駆動が可能となる。また、基体層と基体層より抵抗が高い高抵抗層とを積層させることで、電気的耐圧性を高め、白ポチの発生を抑制している。基体層側の表面における表面抵抗率よりも、高抵抗層側の表面における表面抵抗率の方が、500Vの電圧印加時の表面抵抗率の常用対数値において0.3〜2.5logΩ/□高くなるようにすることで、白ポチ抑制の効果が高く、かつ高抵抗層を設けたことによって生じ得る副作用(残像など)を低減できる。また、基体層を、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンがイミド結合したポリイミド樹脂成分(S成分)と、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがイミド結合したポリイミド樹脂成分(A成分)とが、S成分とA成分の重量比(S/A)で0/100〜40/60であるポリイミド樹脂で形成することで、高い弾性率、高い耐折性、高い引張り強度を両立され、高速駆動を行っても色ずれが発生し難く、かつ高速駆動に耐えられる高い強度が得られ、かつ大型ベルトを作製した場合でも、1本のベルトの中で、場所による特性値のバラツキが小さく、画像ムラがない良好な画像が得られる。
【0015】
前記〔2〕の発明では、前記高抵抗層を、中間転写ベルトの内周面側に積層し、かつ前記S成分と前記A成分の重量比(S/A)が60/40〜100/0のポリイミド樹脂を高抵抗層として使用する。
基体層に比べS成分の比率を高めて耐磨耗性を上げた樹脂層を、中間転写ベルトの内周に積層した事で、前記〔1〕に記載した最適な表面粗さが長期に渡り維持できて、長期にわたり安定したベルト駆動が可能となる。
前記〔3〕の発明では前記高抵抗層が、中間転写ベルトの内周面側に積層される。基体層と高抵抗層の各層は、S成分とA成分の重量比が同じポリイミド樹脂で構成され、かつポリイミド樹脂中には同じカーボンブラックが分散され、ポリイミド樹脂に対するカーボンブラックの重量比率は、基体層に比べ高抵抗層の方が少ない。
基体層と高抵抗層に同一のS/A比ポリイミド樹脂とする事で、2層間での剥がれや割れなどが発生しにくくなる。また、カーボン添加量が少ない高抵抗層を内周面側に積層したことにより、張力がかかった状態で高温高湿下に放置されても、中間転写ベルトのカール癖がつきにくく、安定した画像が得られる。
前記〔4〕の発明では前記基体層のポリイミド樹脂は、S成分とA成分の重量比で、Sの比率を10%以上とする事で、吸湿線膨張係数を22ppm%/RH以下に抑える事ができる。環境変化に対する、中間転写ベルトの寸法変化が小さくなり、環境変化に対して安定した画像が得られる。
前記〔5〕の発明では、円形度が0.95〜0.98のトナーを用いることにより、転写性が向上し良好な画像が得られる。
前記〔6〕の発明では、体積平均粒径が4μm〜8μmのトナーを用いることにより、ドット再現性が向上し、より高精細な画像が得られる。
前記〔7〕の発明では、体積平均粒径が4μm〜5.2μmのトナーを用いることにより、ドット再現性が向上し、極めて高精細な画像が得られる。
前記〔8〕の発明では、中間転写ベルト上に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置により、円形度が高く、かつ粒径の小さいトナーなどを使用した場合でもクリーニング性が維持できる。
前記〔9〕の発明では、潤滑剤がステアリン酸亜鉛であることにより、安定したクリーニング性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の画像形成装置の一例の概略図である。
【図2−1】中間転写ベルトの内側に高抵抗層を積層した中間転写ベルトの概略断面図である。
【図2−2】中間転写ベルトの外周に高抵抗層を積層した中間転写ベルトの概略断面図である。
【図3】吸湿線膨張係数を測定を行う装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明の態様について説明する。
本発明の画像形成装置は中間転写方式の駆動を採用した画像形成装置であって、大型の作像モジュールを高速で駆動させる画像形成装置である。本発明の画像形成装置において中間転写ベルトはベルト周長が2000mm以上の大型のものであり、ベルト線速350mm/sec以上で駆動する。このような大型の画像形成装置では、ベルトやOPCの周長が長いため、小型の画像形成装置と比較して同じ枚数を印刷するときの回転数は少なくてすみ、ベルトやOPCが受けるダメージ(磨耗等)が低減でき、高耐久なものとなる。
【0018】
本発明に使用する中間転写ベルトは、中間転写ベルトの駆動ローラと接触する中間転写ベルト表面(内周面)は、表面粗さRa(JIS B0601:’01)が0.2μm〜0.4μmである。接触面の粗さをこの範囲に設定する事で、高速に駆動しても「中間転写ベルトのスリップ」や「ベルト寄りによるベルトの損傷」が発生しにくい。ベルトの内周面のRaが0.4μmより大きい場合には、ベルトと駆動ローラの接触面積が減少するため、高速に駆動すると駆動ローラとベルトの間でスリップが発生しやすい。一方、Raが0.2μmより小さい場合は、駆動ローラとベルトの摩擦力が大きいため、ベルト寄りが発生した場合に、ベルト端部が他の部材と擦れる時に加わる力が大きくなる。そのため、ベルト端部は大きな損傷を受けやすく、搬送安定性も悪くなる。
【0019】
表面粗さRaはJIS B0601:’01に準じて測定を行い、東京精密製 SURFCOM 1400D で測定を行った。測定条件は測定速度0.6mm/sec、カットオフ値0.8mm、測定長さ2.5mmで行った。中間転写ベルトの駆動ローラと接触する方の中間転写ベルト表面に対して測定を行い、ベルト周方向に対して3箇所、ベルト幅方向に3箇所(中央部及び両端部)を選定し、周方向の3箇所×幅方向の3箇所の合計9箇所で、測定して、その平均値を採用した。
【0020】
本発明で使用する中間転写ベルトは、基体となる「基体層」と、基体層より抵抗が高い「高抵抗層」から少なくとも構成される、積層型のベルトである。各層の積層順序は特に制限はなく、図2−1に示すように、ベルトの内周側に「高抵抗層」を積層してもよいし、図2−2に示すようにベルトの外周側に「高抵抗層」を積層しても良い。「高抵抗層」を設けた事で、ベルトの電気的耐圧が上がり、白ポチの発生を抑える事ができる。
500V電圧印加時における、高抵抗層側ベルト表面(図2−1のA面、図2−2のD面)における表面抵抗率の常用対数値(ρs高)と、基体層側ベルト表面(図2−1のB面、図2−2のC面)における表面抵抗率の常用対数値(ρs基)は、その差分値(ρs高−ρs基)は0.3〜2.5logΩ/□である。この差分値が0.3logΩ/□より小さい場合は、十分な電気的耐圧が得られず、白ポチに対する効果が十分得られない。一方、この差分値が2.5logΩ/□を越える場合は,ベルト表面の電位が減衰しにくくなるため、残像などの異常画像が発生する。
表面抵抗率は、基体層及び高抵抗層に含有される抵抗調整材の含有量と層の厚みで制御できる。塗工液の抵抗調整材の含有量を減らし、層を厚くすると、表面抵抗率が大きくなる。抵抗調整材の含有量、層厚を調整することにより基体層及び高抵抗層の表面抵抗率を制御し、表面抵抗率の常用対数値の差分値を上記の範囲にすることができる。
【0021】
基体層には、高速駆動を行ってもベルトの変形が少なく、かつ高速駆動を行ってもベルトの割れなどが発生し難い高強度な樹脂を使用する。そのため、高弾性率、高い耐折性、高い引き裂き強度等を両立できる樹脂として、「3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンがイミド結合したポリイミド樹脂成分(以下S成分と記す)」、「3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがイミド結合したポリイミド樹脂成分(以下A成分と記す)」とすると、S成分とA成分の重量比が0/100〜40/60のポリイミド樹脂を使用する。A成分単独でも問題はないが、さらなる高弾性率化を考慮すると、S成分をブレンドする事が望ましい。ただし、周長が2000mm以上の大型のベルトを作製した場合、S成分の比率を多くすると、1本のベルトの中で、電気特性がバラツキやすく、画像ムラなどを発生させる場合がある。周長が2000mm以上のベルトは、大型の金型で作製するために、金型全体を均一な温度で制御するのが難しく、ベルト特性がばらつくと考えられる。詳細は不明だがS/AにおいてS成分の比率が40%以下の場合は、ベルト特性がばらつきにくく、S/AにおいてS成分の比率が40%より大きい場合に、大型ベルトでのベルト特性のバラツキが顕著になる。ベルト特性のバラツキという新たな課題の観点から、S成分の比率は40%以下である。
【0022】
さらに好ましくは、S/A比率はSの比率が10%以上である事が好ましい。
Sの比率が高い方が、吸湿線膨張係数が小さくなる傾向があり、環境変化に対する寸法変化が小さい。吸湿線膨張係数としては、22ppm/%RH以下である事が好ましい。
本発明における吸湿線膨張係数は、図3に示す伸び測定装置で測定した。この伸び測定装置1は、サンプルシートの両端を支持する一対のアームa、a′と、下部のアームa′の下方に設けられ、サンプルにかかる線圧を調整する錘(アルミニウム製)bと、錘bの下方に配置された反射型のレーザマイクロゲージcとから構成されている。そして、吸湿線膨張係数の測定は、シームレスベルトの中央部から所定形状(巾10mm、長さ70mm)に切断したサンプルのポリイミドシートを、アームa、a′の内端間の距離が50mmとなるように装着し、アルミニウム製の錘bの重量を調整して、サンプルにかかる線圧が150g/cmになるようする。
次いで、サンプルを装着し、線圧を調整した伸び測定装置を恒温恒湿槽に入れ、35℃/85%(RH:相対湿度)及び35℃/35%(RH:相対湿度)の両環境での伸び量を測定し、その差分(ΔL)を求め、次式を用いて吸湿線膨張係数を算出した。
吸湿線膨張係数(ppm/%RH)=(ΔL/50mm)/50%
なお、伸び量は、錘4の下部に設けた反射型のレーザマイクロゲージ5により、錘4の下部とレーザマイクロゲージ5との距離を測定することにより求める。
【0023】
さらに好ましくは、駆動ローラと接触する側の中転ベルト表面(ベルトの内周面側)に、「高抵抗層」の積層を行い、「高抵抗層」の樹脂は、前記のS成分とA成分を、重量比で60/40〜100/0(S/A)のポリイミド樹脂を使用する事が好ましい。前述したように、ベルト駆動ローラと接触する中転ベルト表面を適切な粗さを設ける事でベルト駆動が安定する事から、経時で摩擦が進行した場合に、粗さが変化してベルト駆動に不具合が生じる場合がある。S成分の比率を上げた耐磨耗性の高い樹脂を、駆動ローラと接触する側の中転ベルト表面に積層する事で、経時でも、ベルト駆動ローラと接触する中転ベルト表面を適切な粗さの維持が可能となり、経時のベルト搬送性がさらに高まる。S成分の比率を高くした樹脂は耐折性等が悪化するが、高抵抗層として使用する場合は層厚を薄くすることができるため、問題はない。
【0024】
また、好ましくは、高抵抗層が内周面側に積層され、高抵抗層と基体層で同一のS/A比の樹脂であり、かつポリイミド樹脂中には同じカーボンブラックが分散される事が望ましい。
高抵抗層と基体層で同一のS/A比の樹脂とする事で、2層間の剥がれや割れが発生し難くなる。またカーボンブラックが少ない高抵抗層が、内周面側に積層することで、カール癖が発生しにくくなる。
同一の樹脂と同一のカーボンブラックで作製する場合、高抵抗層の方がカーボンブラックの添加量が少なくなる。カーボンブラックの少ない高抵抗層側の面をローラに巻きつけた場合と、カーボンブラックの多い基体層側の面をローラに巻きつけた場合では、カール癖の特性が異なる。カーボンブラックの少ない高抵抗層側の方が、カール癖は良好である。中間転写ベルトのローラ等によって張架する場合、主に、ベルト内周面側をローラに巻きつけて張架する。そのためカール癖が良好な高抵抗層を、ベルト内周面側に積層する事でカール癖を改善できる。
【0025】
また、高抵抗層と基体層で樹脂処方が異なる場合は、高抵抗層と基体層では、機械特性など種々の特性が異なるため、高抵抗層の層厚が厚い場合は、2層間で剥がれや割れが発生る恐れがある。高抵抗層と基体層で樹脂処方が異なる場合は、ベルト全体の膜厚をt2、高抵抗層の膜厚をt1とすると(t1/t2)×100が20以下である事が望ましい。
また、上記耐折性を考慮した場合も、(t1/t2)×100が20以下にする事が望ましい。
またベルト全体の厚みとしては、100μm以下が好ましい。100μmより厚いと、感光体の進行方向に形成されたライン像や孤立ドットなどで、一部のトナーが転写されない、いわゆる「虫食い」の異常画像が発生しやすい。
【0026】
中間転写ベルトの構成材料(抵抗制御材料)
本発明に使用する中間転写ベルトの構成材料としては、前記のポリイミド樹脂中に電気抵抗を調整する電気抵抗調整材を含有する。
電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などがある。
金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、分散性を良くするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。
イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられ、これらを併用して用いてもよい。
なお、本発明における電気抵抗調整材は、上記例示化合物に限定されるものではない。
また、本発明の中間転写ベルトの製造方法における少なくとも樹脂成分を含む塗工液には必要に応じて、さらに分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加材を含有してもよい。
【0027】
本発明にかかる中間転写ベルトの基体層における電気抵抗調整材の含有量としては、カーボンブラックの場合には、塗工液中の全固形分の10〜25wt%、好ましくは15〜20wt%である。また、金属酸化物の場合の含有量としては、塗工液中の全固形分の1〜50wt%、好ましくは10〜30wt%である。
【0028】
また、高抵抗層を積層した中間転写ベルトの電気抵抗値としては、高抵抗層側の表面から測定した表面抵抗率は1×1010〜1×1014Ω/□、基体層側の表面から測定した表面抵抗率は1×109〜1×1012Ω/□である事が望ましい。
【0029】
ポリイミド樹脂の説明
次に本発明に使用するポリイミド樹脂について説明する。
芳香族系のポリイミド樹脂は、芳香族多価カルボン酸無水物(又はその誘導体)と芳香族ジアミンとの反応によって、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を経由して得られる。
本発明において、ポリイミド樹脂としては、芳香族多価カルボン酸無水物として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用い、芳香族ジアミンとしてはp−フェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとのいずれか一方または両方を用いる。
【0030】
以下では、特に断りがない限りは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を芳香族多価カルボン酸無水物と、p−フェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルはどちらも芳香族ジアミンと称し、上述のS成分およびA成分の作製方法についてまとめて説明する。
【0031】
芳香族系のポリイミドは、その剛直な主鎖構造により溶媒等に対して不溶であり、また不融の性質を有する。そのため、先ず、芳香族多価カルボン酸無水物と芳香族ジアミンとの反応により、有機溶媒に可溶なポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を合成し、このポリアミック酸の段階で様々な方法で成形加工が行われ、その後ポリアミック酸を加熱もしくは化学的な方法で脱水反応させて環化(イミド化)しポリイミドとされる。芳香族系のポリイミドを得る反応を例にその概略を下記式(1)に示す。
【化1】

【0032】
(1)においてAr1
【化2】

で表され、
(1)においてAr2
【化3】

で表される。因みにAr2が左側の構造式のとき、p−フェニレンジアミンであり、右側の構造式のとき4,4’−ジアミノジフェニルエーテルである。
【0033】
芳香族系のポリイミドを得る場合には、上記芳香族多価カルボン酸無水物成分と芳香族ジアミン成分とを略等モル用いて有機極性溶媒中で重合反応させることにより、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を得、その後ポリアミック酸を脱水反応させて環化し、イミド化する。下記にポリアミック酸の製造方法について具体的に説明する。
【0034】
ここで、ポリアミック酸を得る際の重合反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系、又はヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合溶媒として用いるのが望ましい。
溶媒は、前記ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されないが、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
【0035】
ポリイミド前駆体を製造する場合の例として、先ず、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気下において、1種又は複数種のジアミンを上記の有機溶媒に溶解するか、又はスラリー状に分散させる。この溶液に前記した少なくとも1種の芳香族多価カルボン酸無水物(又はその誘導体)を添加(固体状態のままでも、有機溶媒に溶解した溶液状態でも、スラリー状態でもよい)すると、発熱を伴って開環重付加反応が起こり、急速に溶液の粘度増大が見られ、高分子量のポリアミック酸溶液が得られる。この際の反応温度は、通常−20℃〜100℃、望ましくは60℃以下に制御することが好ましい。反応時間は、30分〜12時間程度である。
【0036】
上記は一例であり、反応における上記添加手順とは逆に、先ず、芳香族テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体を有機溶媒に溶解又は分散させておき、この溶液中に前記芳香族ジアミン(略、「ジアミン」)を添加させてもよい。ジアミンの添加は、固体状態のままでも、有機溶媒に溶解した溶液状態でも、スラリー状態でもよい。すなわち、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分との混合順序は限定されない。さらには、芳香族テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを同時に有機極性溶媒中に添加して反応させてもよい。
【0037】
上記のようにして、芳香族多価カルボン酸無水物又はその誘導体と、芳香族ジアミン成分とをおよそ等モル、有機極性溶媒中で重合反応することにより、ポリアミック酸が有機極性溶媒中に均一に溶解した状態でポリイミド前駆体溶液が得られる。
本発明におけるポリイミド前駆体溶液(ポリアミック酸溶液:「ポリイミド樹脂前駆体を含む塗工液」)は、上記のようにして合成したものを使用することが可能であるが、簡便には有機溶媒にポリアミック酸組成物が溶解された状態の、いわゆるポリイミドワニスとして上市されているものを入手して使用することもできる。
【0038】
このような例としては、U−ワニス(宇部興産社製)が代表的なものとして挙げられる。
合成又は入手したポリアミック酸溶液に、必要に応じて電気抵抗調整材を適量加える。例えば高抵抗層を形成したい場合は、電気抵抗調整剤の添加量を基体層よりも少なくすればよい。さらに分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加剤を適宜混合・分散して塗工液が調製される。塗工液を後述のように支持体(成形用の型)に塗布した後、加熱等の処理することにより、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸からポリイミドへの転化(イミド化)が行われる。
尚、イミド化され得られるポリイミド樹脂におけるS成分とA成分の重量比は、用いたポリアミック酸溶液におけるイミド化してS成分となるポリアミック酸固形分換算量と、イミド化してA成分となるポリアミック酸固形分換算量の重量比と同じと考えられる。
【0039】
ポリアミック酸は、前述のように加熱する方法(1)、又は化学的方法(2)によってイミド化することができる。
加熱する方法(1)は、ポリアミック酸を、例えば、250〜450℃程度に高温加熱処理することによってポリイミドに転化する方法であり、ポリイミド(ポリイミド樹脂)を得る簡便かつ実用的な方法である。
一方、化学的方法(2)は、ポリアミック酸を脱水環化試薬(例えば、カルボン酸無水物と第3アミンの混合物など)により反応した後、加熱処理して完全にイミド化する方法であり、(1)の加熱する方法に比べると煩雑でコストのかかる方法であるため、通常(1)の方法が多く用いられている。
なお、ポリイミドの本来的な性能を発揮させるためには、相当するポリイミドのガラス転移温度以上に加熱して、イミド化を完結させることが好ましい。
【0040】
イミド化の進行状況(イミド化の程度)は、通常行われているイミド化率の測定手法により評価することができる。
このようなイミド化率の測定方法としては、例えば、9〜11ppm付近のアミド基に帰属される1Hと、6〜9ppm付近の芳香環に帰属される1Hとの積分比から算出する核磁気共鳴分光法(NMR法)、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR法)、イミド閉環に伴う水分を定量する方法、カルボン酸中和滴定法など種々の方法が用いられているが、中でもフーリエ変換赤外分光法(FT−IR法)は最も一般的な方法である。
【0041】
フーリエ変換赤外分光法(FT−IR法)では、イミド化率を、例えば、下記式(a)のように定義する。
すなわち、焼成段階(イミド化処理段階)でのイミド基のモル数を(A)とし、100%イミド化された場合(理論的)のイミド基のモル数を(B)とすると、次により表される。
イミド化率(%)=[(A)/(B)]×100 ・・・ (a)
【0042】
この定義におけるイミド基のモル数は、FT−IR法により測定されるイミド基の特性吸収の吸光度比から求めることができる。例えば、代表的な特性吸収として、以下の吸光度比を用いてイミド化率を評価することができる。
(1)イミドの特性吸収の1つである725cm-1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,015cm-1との吸光度比
(2)イミドの特性吸収の1つである1,380cm-1(イミド環C−N基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm-1との吸光度比
(3)イミドの特性吸収の1つである1,720cm-1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm-1との吸光度比
(4)イミドの特性吸収の1つである1,720cm-1とアミド基の特性吸収1,670cm-1(アミド基N−H変角振動とC−N伸縮振動の間の相互作用)との吸光度比
また、3000〜3300cm-1にかけてのアミド基由来の多重吸収帯が消失していることを確認すればさらにイミド化完結の信頼性は高まる。
【0043】
ベルトの作製方法
次に、前記ポリイミド樹脂前駆体を含む塗工液を用いて中間転写ベルトを製造する方法について説明する。
本発明において、前記ポリイミド樹脂前駆体を含む塗工液を用いてシームレスベルトを製造する方法としては、ノズルやディスペンサーによって金型(円筒状の型)の外面に塗布する方法がある。金型外面に接する面が、ベルトの内周側の表面(つまり内周面)になる。ベルト内周面側の表面を、ベルト駆動ローラと接触する面として使用するため、ベルトの内周面の表面粗さRaが0.2μm〜0.4μmになるように、金型表面にはサンドブラストなどにより表面を粗した加工を施す。
金型外面に形成した塗膜を乾燥及び/又は硬化させてシームレスベルト状の成形膜とした後に、脱型することにより、目的の中間転写ベルトが得られる。
なお、中間転写ベルトの成型方法として、遠心成形のように塗工液を金型(円筒状の型)の内面に塗布する方法も広く一般的に知られているが、ベルトの内周面側は金型と接しないエアー面であるため、ベルトの内周側の表面は滑らかな表面になり、本発明の粗さのベルトを作製するのは難しい。
【0044】
図2−1に示すような、ベルトの内周側に高抵抗層がある場合の作製方法について説明する。
まずは、高抵抗層の塗工から行う。円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、塗工液をノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで、除冷を行う。
【0045】
次に、高抵抗層の上に基体層の塗工を行う。上述の高抵抗層が形成された円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、塗工液をノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、段階的に昇温し、最終的に250℃〜450℃程度の高温加熱処理(焼成)し、十分にポリイミド樹脂前駆体のイミド化を行う。イミド化が完了後、徐冷して脱型を行い、ベルトの内面が、高抵抗層で覆われたベルトを得る事ができる。
なお、図2−2のようにベルト外周側に高抵抗層を設ける場合は、各層の塗工順序を変えて、基体層の塗工を先に行う。
【0046】
本発明に使用するトナー
使用するトナーについては、好ましくは円形度が0.95以上0.98以下であることが望ましい。球形に近いトナーを使用することで、転写率が向上し、高画質な画像が得られる。
トナーの体積平均粒径は4μm以上8μm以下、さらに好ましくは4μm以上5.2μm以下である。トナーは小径化する事でドットの再現性が向上し、特に5.2μm以下では、高精細な画像が得られる。ただし、トナーが小さすぎると、クリーニング工程でクリーニング不良の発生を低減するために、4μm以上の大きさが好ましい。
なおトナーの体積平均粒径及び円形度は Sysmex製FPIA−2100を用いて測定し得られた値に基づいている。
【0047】
本発明に使用するトナーは、例えば、少なくともバインダー用の樹脂材料又は/及びそのプレポリマー、着色剤、離型剤を有機溶媒中に含むトナー材料の有機溶媒液を水系媒体中に微細液滴状に分散させた後、該有機溶媒及び水系媒体を除去することにより、又は/及び該分散している間若しくはその後に該液滴中のプレポリマーを架橋及び/又は伸長反応させた後、該有機溶媒及び水系媒体を除去することにより製造することができる。
好適には、少なくとも有機溶媒中に、活性水素を有する化合物及びこれと反応可能な部位を有する重合体、又は、分子内に活性水素及びこれと反応可能な部位を同時に有する自己重合性材料、着色剤、離型剤を、好ましくはこれらを含有した組成物の形で、溶解又は分散させ、水系媒体中で、該活性水素と反応可能な部位を反応させた後、もしくは反応させながら、該有機溶媒及び水系媒体を除去し、洗浄、乾燥することにより製造することができる。前記反応時に攪拌強さを調整したり、乾燥後に強攪拌する事でトナーの円形度を調整しても良い。樹脂材料又は/及びそのプレポリマーとしては、各種の材料を用いることができ、特にポリエステル樹脂又は/及びポリエステルプレポリマーを好ましく用いることができる。
【0048】
上述の製造方法の説明は単なる一態様であって、球形状トナーは、このような製法以外の方法で製造しても無論、かまわない。
【0049】
本発明に使用する画像形成装置について
本発明の画像形成装置は中間転写を使用した所謂タンデム型の画像形成装置である。高速かつ高耐久な画像形成装置を提供するために、大型の作像モジュールを高速で駆動させる。そのため、本発明に使用する中間転写ベルトは、ベルト周長が2000mm以上であり、ベルト線速が350mm/sec以上で駆動する。
【0050】
本発明の画像形成装置の一例を図1に示す。
本発明の画像形成装置は、カラー画像印刷時でも高速印刷ができるように、複数の感光体ドラムをシームレスベルトからなる一つの中間転写ベルトに沿って並設した画像形成装置が望ましい。図1は、4つの異なる色(ブラック、マゼンタ、イエロー、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム21BK、21M、21Y、21Cを備えた4ドラム型の画像形成装置の一構成例を示す。
【0051】
図1において、画像形成装置本体10は電子写真方式によるカラー画像形成を行うための、画像書込部12、画像形成部13、給紙部14、から構成されている。画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用の黒(BK)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部12に送信する。画像書込部12は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部13の各色毎に設けられた像坦持体(感光体)21BK、21M、21Y、21Cに各色信号に応じた画像書込を行う。
【0052】
画像形成部13は黒(BK)用、マゼンタ(M)用、イエロー(Y)用、シアン(C)用の各像坦持体である感光体21BK、21M、21Y、21Cを備えている。この各色用の各感光体としては、通常OPC感光体が用いられる。各感光体21BK、21M、21Y、21Cの周囲には、帯電装置、上記書込部12からのレーザ光の露光部、黒、マゼンタ、イエロー、シアンの各色用の現像装置20BK、20M、20Y、20C、1次転写手段としての1次転写バイアスローラ23BK、23M、23Y、23C、クリーニング装置(表示略)、及び図示しない感光体除電装置等が配設されている。なお、上記現像装置20BK、20M、20Y、20Cには、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。ベルト構成部である中間転写ベルト22は、各感光体21BK、21M、21Y、21Cと、各1次転写バイアスローラ23BK、23M、23Y、23Cとの間に介在し、各感光体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
【0053】
一方、転写紙Pは、給紙部14から給紙された後、レジストローラ16を介して、ベルト構成部である転写搬送ベルト50に担持される。そして、中間転写ベルト22と転写搬送ベルト50とが接触するところで、上記中間転写ベルト22上に転写されたトナー像が、2次転写手段としての2次転写バイアスローラ60により2次転写(一括転写)される。これにより、転写紙P上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙Pは、転写搬送ベルト50により定着装置15に搬送され、この定着装置15により転写された画像が定着された後、画像形成装置本体外に排出される。
【0054】
なお、上記2次転写時に転写されずに上記中間転写ベルト22上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング部材25によって中間転写ベルト22から除去される。このベルトクリーニング部材25の下流側には、潤滑剤塗布装置27が配設されている。この潤滑剤塗布装置27は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト22に摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されている。前記導電性ブラシは、中間転写ベルト22に常時接触して、中間転写ベルト22に固形潤滑剤を塗布している。固形潤滑剤は、中間転写ベルト22のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。特に小径トナーや円形度の高いトナーはクリーニング性が悪いので、潤滑剤を塗布する事が望ましい。固形潤滑剤としては、従来公知の潤滑剤を使用できるが、特にステアリン酸亜鉛で良好なクリーニング性が得られる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りこれらの実施例を適宜改変したものも本件の発明の範囲内である。
【0056】
[実施例1]
下記により塗工液を調製し、この塗工液を用いてシームレスベルトを製造した。
○ベルトの作製
<塗工液の調製>
先ず、基体層用の塗工液として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンを反応させたポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスS;宇部興産社製)と、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを反応させたポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスA;宇部興産社製)について、U−ワニスSとU−ワニスAのポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)が10/90になるように計りとり2種のポリイミドワニスの攪拌混合を行なう。予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(SpecialBlack4;エボニックデグサ社製)の分散液を、カーボンブラック含有率(以下CB含有率と記す)がポリアミック酸固形分の16.5重量%になるように調合し、よく攪拌混合して、基体層用の塗工液を調製した。
高抵抗層の塗工液については、CB含有率がポリアミック酸固形分の15重量%になるように調合した以外は基体層用の塗工液と同様に、塗工液を調整した。
【0057】
<シームレスベルトの製造>
図2−2に示すように、ベルトの外周側に高抵抗層を積層させた積層ベルトを作製した。
外径700mm、長さ400mmの外面をブラスト処理にて粗面化した円筒状の金型Aを用い、この円筒型を50rpm(回/分)で回転させながら、上記の基体層用の塗工液を円筒外面に均一に流延するようにディスペンサーにて塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転数を100rpmに上げ、熱風循環乾燥機に導入して、110℃まで徐々に昇温して60分加熱して、さらに昇温して200℃で20分加熱し、回転を停止、徐冷して基体層が形成された円筒型を取り出した。
次に、形成された基体層上に、高抵抗層用に調整した塗工液を塗工し高抵抗層を形成した。基体層が形成された円筒外面に均一に流延するように、ディスペンサーにて、高抵抗層の塗工を行う。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転数を100rpmに上げ、熱風循環乾燥機に導入して、110℃まで徐々に昇温して60分加熱した。さらに昇温して200℃で20分加熱し、回転を停止、徐冷して成形膜が形成された円筒型を取り出しこれを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)して、イミド化を行った。除冷した後、脱型を行った。
【0058】
上記のような作製方法で、ベルト端部の部分は切断して、周長2200mm、幅長376mm、のベルトAを得た。ベルトの厚み(t2)は91μmであった。ベルトの断面をSEMで観察したところ、ベルトの外周側に高抵抗層が形成され、その厚さは(t1)は32μmであった。
【0059】
○ベルトの特性値評価
次に得られたベルトの特性値評価を行なった。測定項目及び測定方法を下記に記す。
<ベルト駆動ローラと接触するベルト表面の表面粗さ>
作製したベルトは、ベルトの内面が、ベルト駆動ローラと接触するベルト表面となる。
ベルトの内面(金型外面と接していた方の面)の表面粗さを JIS B0601:’01に準じて測定を行った。東京精密製 SURFCOM 1400D で測定を行った。測定条件は測定速度0.6mm/sec、カットオフ値0.8mm、測定長さ2.5mmで行った。ベルト周方向に対して733mmの間隔をおいて3箇所、ベルト幅方向に120mmの間隔をおいて3箇所(中央部及び両端部)を選定し、周方向の3箇所×幅方向の3箇所の合計9箇所で計測を行い、その平均値を採用した。
ベルトAのベルト内周面は、表面粗さRaが0.26μmであった。
【0060】
<表面抵抗率の測定>
ハイレスター(三菱化学製)にて、URSプローブを使用して測定した。
500V/10秒印加時の表面抵抗値を測定した。ベルト周方向に対して733mmの間隔をおいて3箇所、ベルト幅方向に120mmの間隔をおいて3箇所(中央部及び両端部)を選定し、周方向3箇所×幅方向3箇所の合計9箇所で計測を行い、その平均値を採用した。ベルト外周面とベルト内周面のそれぞれについて行い、外周面、内周面における表面抵抗率を算出している。高抵抗層側の表面の、表面抵抗率の常用対数値(ρS高)(LogΩ/□)、基体層側の表面の表面抵抗率の常用対数値(ρS基)(LogΩ/□)、及びその差分(ρS高−ρS基)(LogΩ/□)を表1に示す。
また、ベルト特性値のバラツキとして、表面抵抗率のバラツキも評価している。前述の表面抵抗率の測定において、基体層側表面で測定した9箇所の表面抵抗率測定値について、MAX値とMIN値の比(MAX/MIN)を算出して、表面抵抗のバラツキを評価した。
【0061】
<吸湿線膨張係数の測定>
吸湿線膨張係数は図3に示す装置で測定した。図3において、測定装置のアームa、a’に、シームレスベルトの中央部周方向、軸方向から所定形状(巾10mm、長さ70mm)に切断したサンプルのポリイミドシートを装着し、Al製錘bの重量を調整してサンプルにかかる線圧が150g/cmになるように調整する。
錘bの下部には反射型のレーザマイクロゲージcを測定装置にセットし、錘bの下部との距離を測定するようにする。
この伸び測定装置を恒温恒湿槽に入れ、35℃/35%(RH:相対湿度)及び35℃/85%(RH:相対湿度)の両環境での伸び量(ΔL)を測定し、次式を用いて吸湿線膨張率を算出した。
吸湿線膨張率(ppm/%)=(ΔL/50mm)/50%。
【0062】
実機評価試験
次に、作製したベルトの実機に装着した実機評価を行なった。
<評価画像形成装置>
上記の方法で作製したベルトの内周長2200mm、幅376mm、厚み91μmのベルトAを、図1に示すようなタンデム型の画像形成装置に装着し、中間転写ベルト線速425mm/secで駆動させて、実機試験を行なった。ベルトの内周面が、駆動ローラと接触する。
【0063】
<評価トナー>
トナーは重合法で作製した体積平均粒径が5.2μm、円形度0.95のトナーAを使用した。
【0064】
<ランニング試験評価>
温度23℃/湿度50%の環境下で、印字率5%文字画像を100P/Jで200K枚出力する印刷試験を行う。さらに10℃/15%の環境下で印字率5%文字画像を100P/Jで100K枚出力を行う。最後に23℃/50%の環境下で印字率5%文字画像を100P/Jで200K枚出力する印刷試験を行う。計500K枚の印刷試験を行い、異常画像の発生や機械に異常がないか確認した。さらに、200K、300K、500K終了時には全べた画像、ハーフトーン画像、細線画像の出力も行った。べた画像の均一性、ハーフトーンの均一性、細線の再現性などランク付けによる画質の評価と、「白ポチ」及び「残像」の異常画像についても評価した。ランク付けによる評価では、いずれも最高ランクが5であり、ランク2.5以上が実使用で許容できるレベルである。
試験結果は表2にまとめて記す。
【0065】
[実施例2]
<シームレスベルトの製造>
実施例1と同じ、図2−2にあるように、ベルトの外周側に高抵抗層を積層させた積層ベルトを作製した。
基体層及び高抵抗層の塗工液として、U−ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)で40/60に変更し、かつ高抵抗層用塗工液のCB含有率を10.72重量%に変更し、高抵抗層の塗布液量を実施例1に比べ1/3に変更し、使用する金型を金型B(金型Aと同じサイズで表面をサンドブラスト処理しているが、金型Aよりも表面が粗れている金型)に変更した以外は実施例1と全く同様に作製して、周長2200mm、幅長376mmのベルトBを得た。ベルトの厚み(t2)は77μmであり、ベルトの断面をSEMで観察したところ、ベルト外周面側に高抵抗層が形成され、その厚さは(t1)は13μmであった。またベルト内周面は、表面粗さRaが0.39μmであった。
ベルトBの各種特性値を表1に記す。
【0066】
<ランニング試験評価>
評価に使用した中間転写ベルトをベルトBに変更した以外は、実施例1と全く同様に評価を行った。
【0067】
[実施例3]
<シームレスベルトの製造>
実施例1と同じ、図2−2にあるように、ベルトの外周側に高抵抗層を積層させた積層ベルトを作製した。
基体層及び高抵抗層の塗工液として、U−ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)で0/100に変更を行い、かつ基体層塗工液のCB含有量を17.2重量%に、高抵抗層用塗工液のCB含有量を10.72重量%に変更し、かつ高抵抗層の塗布液量を実施例1に比べ2/3に変更した以外は実施例1と全く同様に作製して、周長2200mm、幅長376mm、のベルトCを得た。ベルトの厚み(t2)は83.9μmであり、ベルトの断面をSEMで観察したところ、ベルト外周面側に高抵抗層が形成されその厚さは(t1)は20.5μmであった。またベルト内周側のベルト表面は、表面粗さRaが0.24μmであった。
ベルトCの各種特性値を表1に記す。
【0068】
<ランニング試験評価>
評価に使用した中間転写ベルトをベルトCに変更した以外は、実施例1と全く同様に評価を行った。
【0069】
<高温高湿放置 ベルト耐カール性試験>
また、実施例3で作製したベルトCについては、高温高湿下で放置を行い、ベルトの耐カール性を評価した。評価したベルトは、ランニング試験評価を行ったベルトとは別に、ベルトCを新しく作製した。
作製したベルトを図1に示すようなタンデム型画像形成装置の中間転写ユニットに、中間転写ベルトを装着して、張力をかけてベルトを張架した。
中間転写ベルトに張力がかった状態の中間転写ユニットを、45℃90%の高温高湿の恒温曹で、2週間放置した。高温高湿下から取り出した中間転写ユニットは常温常湿環境で、4時間調湿を行ったのち、図1に示すようなタンデム型画像形成装置に装着を行い、ハーフトーンの画像を印刷して画像評価を行った。
ベルトCでは画像の一部に横帯状の画像ムラが発生し、中間転写ベルトを確認すると中間転写ベルトにカール癖があり、その部分で画像ムラが発生していた。
【0070】
[実施例4]
<シームレスベルトの製造>
実施例1と積層順序が異なる、図2−1にあるような、ベルトの内周側に高抵抗層を積層させた積層ベルトを作製した。
基体層用及び、高抵抗層用の塗工液として、U−ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)で30/70に変更を行い、かつ高抵抗層塗工液のCB含有量を14.3重量%に変更し、実施例1に比べ高抵抗層の液量を1/3に変更し、かつ高抵抗層の塗布を先に行ったのち基体層の塗布するように塗工順序を変更した以外は実施例1と全く同様に作製した。周長2200mm、幅長376mmのベルトDを得た。
ベルトの厚み(t2)は81μmであり、ベルトの断面をSEMで観察したところ、ベルト内周面側に高抵抗層が形成されその厚さは(t1)は14μmであった。またベルト内周面側の表面は、表面粗さRaが0.25μmであった。
ベルトDの各種特性値を表1に記す。
【0071】
<ランニング試験評価>
評価に使用した中間転写ベルトをベルトDに変更した以外は、実施例1と全く同様に評価を行った。
【0072】
[実施例5]
<シームレスベルトの製造>
実施例1と積層順序が異なる、図2−1にあるような、ベルトの内周側に高抵抗層を積層させた積層ベルトを作製した。
基体層用の塗工液として、U−ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)で30/70に変更を行い、高抵抗層用の塗工液として、U−ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)で50/50に変更を行い、かつ高抵抗層塗工液のCB含有量を14.3重量%に変更し、実施例1に比べ高抵抗層の液量を1/3に変更し、かつ高抵抗層の塗布を先に行ったのち基体層の塗布するように塗工順序を変更した以外は実施例1と全く同様に作製した。周長2200mm、幅長376mmのベルトEを得た。
ベルトの厚み(t2)は79μmであり、ベルトの断面をSEMで観察したところ、ベルト内周面側に高抵抗層が形成されその厚さは(t1)は13.5μmであった。またベルト内周面は、表面粗さRaが0.24μmであった。
ベルトEの各種特性値を表1に記す。
【0073】
<ランニング試験評価>
評価に使用した中間転写ベルトをベルトEに変更した以外は、実施例1と全く同様に評価を行った。
【0074】
[実施例6]
実施例1において、使用するトナーを、体積平均粒径が6.8μm、円形度0.95の重合法で作製したトナーBに変更した以外は、実施例1と全く同様に評価を行った。
【0075】
[実施例7]
実施例1において、使用するトナーを、体積平均粒径が8.1μm、円形度0.95の重合法で作製したトナーCに変更した以外は、実施例1と全く同様に評価を行った。
【0076】
[実施例8]
実施例1において、使用するトナーを、体積平均粒径が8.4μm、円形度0.93の粉砕法で作製したトナーDに変更した以外は実施例1と全く同様に評価を行った。
【0077】
[実施例9]
<シームレスベルトの製造>
外径955mm、長さ400mmの外面をブラスト処理にて粗面化した円筒状の金型Eを使用し、基体層および高抵抗層の塗工液の液量を、実施例1に比べ1.3倍にした以外は、実施例1と同様にベルトを作製を行い、周長3000mm、幅長376mmのベルトFを得た。ベルトの厚み(t2)は87.4μmであり、ベルトの断面をSEMで観察したところ、ベルト外周面側に高抵抗層が形成されその厚さは(t1)は29.2μmであった。またベルト内周面は、表面粗さRaが0.24であった。
ベルトFの各種特性値を表1に記す。
【0078】
<ランニング試験評価>
実施例1で使用した画像形成装置より大型で、図1に示すようなタンデム型の画像形成装置にベルトFを装着し、中間転写ベルト線速500mm/secで駆動させて、実機試験を行った。ベルトの内周面が、駆動ローラと接触する。
使用するトナーを、体積平均粒径が8.4μm、円形度0.93の粉砕法で作製したトナーDを使用した。
画像形成装置、及び中間転写ベルト線速を変更した以外は実施例1と同様に評価をおこなった。
【0079】
[実施例10]
<シームレスベルトの製造>
実施例1と積層順序が異なる、図2−1にあるような、ベルトの内周側に高抵抗層を積層させたベルトを作製した。
基体層及び高抵抗層の塗工液として、U−ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)で0/100に変更を行い、かつ基層用塗工液のCB含有量を17.2重量%に、高抵抗層用塗工液のCB含有量を10.72重量%に変更を行い、塗工順序を高抵抗層の塗布を行ったのち基体層の塗布するように変更を行い、高抵抗層の塗布液量を実施例1に比べ2/3に変更した以外は、実施例1と全く同様に作製して、周長2200mm、幅長376mm、のベルトMを得た。ベルトの厚み(t)は84.5μmであり、ベルトの断面をSEMで観察したところ、ベルト内周面側に高抵抗層が形成されその厚さは(t)は21.2μmであった。またベルト内周側のベルト表面は、表面粗さRaが0.24μmであった。
ベルトMの各種特性値を表1に記す。
【0080】
<ランニング試験評価>
評価に使用した中間転写ベルトをベルトMに変更した以外は、実施例1と全く同様に評価を行った。
<高温高湿放置 ベルト耐カール性試験>
また、実施例10で作製したベルトMについては、高温高湿下で長期間放置を行い、ベルトの耐カール性を評価した。評価したベルトは、ランニング試験評価を行ったベルトとは別に、ベルトMを新しく作製して、実施した。
作製したベルトを図1に示すようなタンデム型画像形成装置の中間転写ユニットに、中間転写ベルトを装着して、張力をかけてベルトを張架した。
中間転写ベルトに張力がかった状態の中間転写ユニットを、45℃90%の高温高湿の恒温曹で、2週間放置した。高温高湿下から取り出した中間転写ユニットは常温常湿環境で、4時間調湿を行ったのち、図1に示すようなタンデム型画像形成装置に装着を行い、ハーフトーンの画像を印刷して画像評価を行った。
ベルトMで画像出しを行った場合は、ベルトCの試験で発生したような横帯状の画像ムラが発生せず、画像の異常は発生しなかった。
【0081】
[実施例11]
<シームレスベルトの製造>
実施例1と積層順序が異なる、図2−1にあるような、ベルトの内周側に高抵抗層を積層させた積層ベルトを作製した。
基体層及び高抵抗層の塗工液として、U−ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)で5/95に変更を行い、かつ基層用塗工液のCB含有量を16.5重量%に、高抵抗層用塗工液のCB含有量を14.8重量%に変更を行い、塗工順序を高抵抗層の塗布を先に行ったのち基体層の塗布するように変更を行った以外は、実施例1と全く同様に作製して、周長2200mm、幅長376mmのベルトNを得た。ベルトの厚み(t)は89.5μmであり、ベルトの断面をSEMで観察したところ、ベルト内周面側に高抵抗層が形成されその厚さは(t)は31.0μmであった。またベルト内周側のベルト表面は、表面粗さRaが0.25μmであった。
ベルトNの各種特性値を表1に記す。
<ランニング試験評価>
評価に使用した中間転写ベルトをベルトNに変更した以外は、実施例1と全く同様に評価を行った。
【0082】
[比較例1]
<ベルトの作製>
実施例1において、高抵抗層の塗工を行わなかった以外は、実施例1と全く同様に作製して、周長2200mm、幅長376mmの単層ベルト、ベルトGを得た。ベルトの厚み(t2)は60.2μmであり、ベルト内周面は、表面粗さRaが0.24μmであった。
ベルトGの各種特性値を表1にまとめて記す。
<ランニング試験評価>
評価に使用した中間転写ベルトをベルトGにした以外は、実施例1と全く同様に評価を行った。
<高温高湿放置 ベルト耐カール性試験>
また、比較例1で作製したベルトGについては、高温高湿下で放置を行い、ベルトの耐カール性を評価した。評価ベルトはランニング試験評価を行ったベルトとは別に、ベルトGを新しく作製して、評価を実施した。
作製したベルトを図1に示すようなタンデム型画像形成装置の中間転写ユニットに、中間転写ベルトを装着して、張力をかけてベルトを張架した。
中間転写ベルトに張力がかった状態の中間転写ユニットを、45℃90%の高温高湿の 恒温曹で、2週間放置した。高温高湿下から取り出した中間転写ユニットは常温常湿環境で、4時間調湿を行ったのち、図1に示すようなタンデム型画像形成装置に装着を行い、ハーフトーンの画像を印刷して画像評価を行った。
ベルトGで画像出しを行った場合は、ベルトCと同様に、横帯状の画像ムラが発生して、中間転写ベルトを確認すると中間転写ベルトにカール癖があり、その部分で画像ムラが発生していた。
【0083】
[比較例2]
基体層及び高抵抗層の塗工液として、U−ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)で50/50に変更を行い、かつ高抵抗層塗工液のCB含有量を10.72重量%に変更し、高抵抗層の塗布液量を実施例1に比べ2/3に変更して、かつ高抵抗層の塗布を先に行った後に、基体層の塗布を行うようにに塗工順序を変更した以外は、実施例1と全く同様に作製して、周長2200mm、幅長376mmのベルトHを得た。ベルトの厚み(t)は81μmであり、ベルトの断面をSEMで観察したところ、ベルト内周面側に高抵抗層が形成されその厚さは(t1)は22μmであった。またベルト内周側の表面は、表面粗さRaが0.26μmであった。
ベルトHの各種特性値を表1に記す。
<ランニング試験評価>
評価に使用した中間転写ベルトをベルトHにした以外は、実施例1と全く同様に評価を行った。
【0084】
[比較例3]
<ベルトの作製>
基体層の塗工液として、U−ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)で35/65に変更を行い、高抵抗層の塗工液としてU−ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)で80/20に変更を行い、かつ高抵抗層塗工液のCB含有量を14.3重量%に変更を行い、かつ塗工順序は高抵抗層の塗布を先に行ったのち基本層の塗布を行い、高抵抗層塗工液の液量を実施例1に比べ1/3に変更を行い、かつ使用する金型を金型C(金型Aと同じサイズで表面をサンドブラスト処理しているが、金型Aよりも表面が滑らかな金型)に変更した以外は実施例1と全く同様に作製して、周長2200mm、幅長376mmのベルトIを得た。ベルトの厚み(t2)は76.1μmであり、ベルトの断面をSEMで観察したところ、ベルト内周面側に高抵抗層が形成され、その厚さは(t1)は13μmであった。またベルト内周面は、表面粗さRaが0.18μmであった。
ベルトIの各種特性値を表1に記す。
<ランニング試験評価>
評価に使用した中間転写ベルトをベルトIにした以外は、実施例1と全く同様に評価を行った。
【0085】
[比較例4]
<ベルトの作製>
基体層及び高抵抗層の塗工液として、U−ワニスSとU−ワニスAの混合比を、ポリアミック酸固形分換算の重量比(S/A)で30/70に変更を行い、かつ高抵抗層塗工液のCB含有量を14.3重量%に変更を行い、かつ塗工順序は高抵抗層の塗布を先に行ったのち基本層の塗布を行い、かつ使用する金型を金型D(金型Aと同じサイズで表面をサンドブラスト処理しているが、金型A、金型Bよりも表面が粗れている金型)に変更した以外は実施例1と全く同様に作製して、周長2200mm、幅長376mmのベルトJを得た。ベルトの厚み(t2)は91.5μmであり、ベルトの断面をSEMで観察したところ、ベルト内周面側に高抵抗層が形成され、その厚みは(t1)は31μmであった。またベルト内周面は、表面粗さRaが0.43μmであった。
ベルトJの各種特性値を表1に記す。
<ランニング試験評価>
評価に使用した中間転写ベルトをベルトJにした以外は、実施例1と全く同様に評価を行った。
【0086】
[比較例5]
<ベルトの作製>
高抵抗層塗工液のCB含有量を10.72重量%に、基体層塗工液のCB含有量を17.2重量%にそれぞれ変更を行った以外は実施例1と全く同様に作製して、周長2200mm、幅長376mmのベルトKを得た。ベルトの厚み(t2)は91.5μmであり、ベルトの断面をSEMで観察したところ、ベルト外周面側に高抵抗層が形成されその厚さは(t1)は33μmであった。またベルト内周面は、表面粗さRaが0.25μmであった。
ベルトKの各種特性値を表1に記す。
<実機評価>
評価に使用した中間転写ベルトをベルトKにした以外は、実施例1と全く同様に評価を行った。
【0087】
[比較例6]
<ベルトの作製>
高抵抗層塗工液のCB含有量を15.3重量%に変更を行い、高抵抗層塗工液の液量を実施例1に比べ2/3にした以外は実施例1と全く同様に作製して、周長2200mm、幅長376mmのベルトLを得た。ベルトの厚み(t2)は82μmであり、ベルトの断面をSEMで観察したところ、ベルト外周面側に高抵抗層が形成されその厚さは(t1)は22.2μmであった。またベルト内周面の表面粗さRaは、0.24であった。
ベルトLの各種特性値を表1に記す。
<実機評価>
評価に使用した中間転写ベルトをベルトLにした以外は、実施例1と全く同様に評価を行った。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
実施例、比較例の対比
表1、2に示すように、実施例1〜5では、「基体層」と「高抵抗層」を積層した積層ベルトであり、ベルトの表面抵抗率は、「基体層」側より「高抵抗層」側の方が高く、500V印加時の表面抵抗率の常用対数値で、その差分が0.3〜2.5logΩ/□であり、「基体層」の樹脂は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンがイミド結合したポリイミド樹脂成分(S成分)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがイミド結合したポリイミド樹脂成分(A成分)との重量比(S/A)が0/100〜40/60のポリイミド樹脂であり、ベルト駆動ローラと接触する中間転写ベルト表面は、表面粗さRa(JIS B0601:’01)を0.2〜0.4μmとする事で、大型のベルトでも抵抗のバラツキが小さく、良好な画像得られ、かつ「白ポチ」や「残像」などの異常画像も発生し難く、大型ベルトを高速駆動しても、「ベルト寄り」や「ベルトスリップ」等が発生せず、ベルト駆動が安定している。
【0091】
また、実施例3と実施例10の対比により、カーボンブラックの添加量が少ない高抵抗層は、内周面側に積層させた方が、耐カール性が高く、高温高湿下で放置後でも、カール癖による画像の乱れが発生しにくい。
また、実施例1〜5と、実施例6〜8との対比により、粒径が小さく、円形度が大きいトナーを使用することで画質がさらに向上することが分かる。
また、実施例1〜11のサンプルにおいて、基層のポリイミド樹脂のS/A比は、Sの比率が大きいとサンプルは吸湿線膨張係数が小さくなる傾向があり、Sの比率が10%以上のサンプルでは、特に吸湿線膨張係数が良好である。
【0092】
一方、比較例1では、高抵抗層が積層されていないため、異常画像の「白ポチ」に対する余裕度が低い。「白ポチ」が悪化しやすいLL環境の試験で、白ポチのランク評価が1.5となり、許容できる範囲ではない。
また比較例6は高抵抗層が積層されているものの、「高抵抗層側」と「基層側」の、表面抵抗率の差が0.3logΩ/□未満であるため、同様に、「白ポチ」に対する余裕度が低い。「白ポチ」が悪化しやすい、LL環境の試験では、白ポチのランク評価が2となり、許容できる範囲ではない。
【0093】
比較例2では、基体層のS/A比が50/50であるため、ベルトの抵抗のバラツキが大きく、画像評価では、べた画像やハーフトーン画像では、画像のランクも2となり、実用上許容できる範囲とならない。
比較例3では駆動ローラと接するベルト表面の表面粗さが小さいため、駆動ローラとベルトの摩擦力が大きく、走行中にベルト寄りが発生し、ベルト端部の損傷がひどくなり、比較例4では、駆動ローラと接するベルト表面の表面粗さが大きいため、ベルトと駆動ローラの接触面積が減少するため、駆動ローラとベルトの間でスリップが発生した。
比較例5では高抵抗層は積層されているが、「高抵抗層側」と「基層側」の、表面抵抗率の差が2.5logΩ/□を越えているため、「残像」の異常画像ランクが許容範囲を越えている。
【符号の説明】
【0094】
10 画像形成装置
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK、20M、20Y、20C 現像装置
21BK、21M、21Y、21C 像坦持体
22 中間転写ベルト
23 バイアスローラ
25 クリーニング部材
26 駆動ローラ
27 潤滑剤塗布装置
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスロール
a、a’ アーム
b 錘
c レーザマイクロゲージ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】特開2008−225182号公報
【特許文献2】特開2005−74914号公報
【特許文献3】特開2001−142313号公報
【特許文献4】特開平11−282277号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間転写ベルトを使用してトナー画像を被記録媒体に転写する画像形成装置であって、前記中間転写ベルトの周長が2000mm以上であり、前記中間転写ベルトが線速350mm/sec以上で駆動され、
(1)前記中間転写ベルトは、少なくとも基体層と、前記基体層よりも抵抗の高い高抵抗層とが積層されて成り、
(2)前記中間転写ベルトにおいて、前記基体層側の表面における表面抵抗率よりも、前記高抵抗層側の表面における表面抵抗率の方が、500Vの電圧印加時の表面抵抗率の常用対数値において0.3〜2.5logΩ/□高く、
(3)前記基体層は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンがイミド結合したポリイミド樹脂成分(S成分)と、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがイミド結合したポリイミド樹脂成分(A成分)とが、S成分とA成分の重量比(S/A)で0/100〜40/60であるポリイミド樹脂で形成されており、
(4)前記中間転写ベルトの内周面は、表面粗さRa(JIS B0601:’01)が0.2〜0.4μmである
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記高抵抗層が、中間転写ベルトの内周面側に積層され、かつ前記高抵抗層は前記S成分と前記A成分の重量比が60/40〜100/0であるポリイミド樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記高抵抗層が中間転写ベルトの内周面側に積層され、基体層と高抵抗層の各層は、S成分とA成分の重量比が同じポリイミド樹脂で構成され、かつポリイミド樹脂中には同じカーボンブラックが分散され、ポリイミド樹脂に対するカーボンブラックの重量比率は、基体層に比べ高抵抗層の方が少ない事を特徴とする請求項1に記載の画像形成層装置。
【請求項4】
前記基体層のS成分とA成分の重量比(S/A)は10/100〜40/60であり、
かつ吸湿線膨張係数が22ppm/%RH以下である事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー画像を形成するトナーの円形度が0.95〜0.98であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかにに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナー画像を形成するトナーの体積平均粒径が4μm〜8μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記トナー画像を形成するトナーの体積平均粒径が4μm〜5.2μmであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記中間転写ベルトの表面に潤滑剤を塗布する固形潤滑剤塗布装置を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記潤滑剤がステアリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−15818(P2013−15818A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−102106(P2012−102106)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】