説明

画像形成装置

【課題】スクリーン線数が変化しても高品位な画像を得ることができる画像形成装置を提供することである。
【解決手段】光走査装置は、画像データに基づく制御部の制御によって、感光体ドラム4に静電潜像を形成する。現像ローラ78は、トナーを含む現像剤を担持し、かつ、該トナーを感光体ドラム4に付与して静電潜像を現像する。電圧印加部32は、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスを現像ローラ78に印加する。制御部は、画像データに基づいてスクリーン線数を選択すると共に、交流電圧の周波数を選択する。制御部は、スクリーン線数として190lpiを選択した場合には周波数として9kHzを選択し、スクリーン線数として210lpiを選択した場合には周波数として5kHzを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、より特定的には、トナーにより静電潜像を現像する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置では、磁性キャリア及び非磁性トナーからなる現像剤を現像ローラが担持する。そして、現像ローラは、静電潜像が形成された感光体ドラムに対して非磁性トナーを付与して静電潜像を現像する。このような、画像形成装置では、現像ローラから感光体ドラムへとトナーが移動するための電界が発生するように、現像ローラには現像バイアスが印加されている。
【0003】
また、現像バイアスとして直流電圧が印加されるDC印加方式と、現像バイアスとして直流電圧及び交流電圧が重畳された電圧が印加されるAC印加方式との2種類の方式が存在する。そして、AC印加方式では、DC印加方式に比べて、感光体ドラム表面の静電潜像がより忠実にトナーにより現像されるので、むらがなく滑らかな(すなわち、粒状性が良い)トナー画像が得られる。
【0004】
図5は、AC印加方式における現像バイアスの交流電圧の周波数と粒状性との関係を示したグラフである。横軸は現像バイアスの交流電圧の周波数を示し、縦軸は粒状性を示している。粒状性とは、トナー画像のむらを意味する。粒状性が高くなると、トナー画像にむらが生じる。図5では、210lpiのスクリーン線数のハーフトーンパッチを用いた。スクリーン線数とは、網点の細かさ(1インチに網点が何個入るか)を意味し、単位はlpi(line per inch)である。
【0005】
図5に示すように、現像バイアスの交流電圧の周波数が高くなると、粒状性は低くなり、トナー画像の画質が向上する。よって、粒状性の観点からは、現像バイアスの交流電圧の周波数は高い方が好ましい。具体的には、現像バイアスの交流電圧の周波数は、5kHz以上であれば、むらが視認されることが抑制される。
【0006】
図6は、現像バイアスの交流電圧の周波数と端部エッジの濃さとの関係を示したグラフである。横軸は現像バイアスの交流電圧の周波数を示し、縦軸は端部エッジ濃さを示している。端部エッジの濃さとは、トナー画像の副走査方向の端部におけるトナー濃度を意味する。端部エッジ濃さが大きくなると、トナー画像の副走査方向の端部のトナー濃度とトナー画像の副査方向の中央部のトナー濃度との差(以下、濃度段差と称す)が大きくなり、トナー画像の画質が悪くなる。図6では、210lpiのスクリーン線数のハーフトーンパッチを用いた。
【0007】
図6に示すように、現像バイアスの交流電圧の周波数が低くなると、端部エッジの濃さが小さくなり、濃度段差が小さくなるので、トナー画像の画質が向上する。よって、濃度段差の観点からは、現像バイアスの交流電圧の周波数は低い方が好ましい。具体的には、現像バイアスの交流電圧の周波数は、5kHz以下であれば、濃度段差が視認されることが抑制される。
【0008】
以上より、現像バイアスの交流電圧の周波数は、粒状性及び濃度段差の観点から、5kHzであることが好ましいことが分かる。
【0009】
ところで、従来の画像形成装置は、文字や写真等の画像の種類に応じてスクリーン線数を切り換えている。具体的には、画像が文字である場合には、シャープな文字エッジの再現を重視する必要があるので、高いスクリーン線数が用いられる。一方、画像が写真である場合には、スムーズな階調表現を重視する必要があるので、低いスクリーン線数が用いられる。このようにスクリーン線数が切り換えられると、従来の画像形成装置では、以下に説明するように、粒状性の抑制と濃度段差の抑制とを両立させることが困難である。
【0010】
図7は、現像バイアスの交流電圧の周波数と粒状性との関係を示したグラフである。横軸は現像バイアスの交流電圧の周波数を示し、縦軸は粒状性を示している。図8は、現像バイアスの交流電圧の周波数と端部エッジの濃さとの関係を示したグラフである。横軸は現像バイアスの交流電圧の周波数を示し、縦軸は端部エッジ濃さを示している。図7及び図8では、190lpiのスクリーン線数のハーフトーンパッチ及び210lpiのスクリーン線数のハーフトーンパッチを用いた。
【0011】
図7に示すように、スクリーン線数が190lpiである場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHzであると、粒状性が高くなってトナー画像にむらが視認されてしまう。そのため、現像バイアスの交流電圧の周波数を8kHz以上にしなければならない。
【0012】
しかしながら、図8に示すように、スクリーン線数が210lpiである場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数が8kHzであると、トナー画像に濃度段差が視認されてしまう。
【0013】
以上のように、従来の画像形成装置では、粒状性の抑制と濃度段差の抑制とを両立させることが困難である。
【0014】
なお、従来の画像形成装置としては、例えば、特許文献1に記載の画像形成装置が知られている。該画像形成装置は、環境変化や使用履歴による影響を少なくして安定した画像再現を実現するために、現像AC周波数を画像密度とスクリーン線数により切り換えている。しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、スクリーン線数が高い場合には、現像AC周波数を高くし、スクリーン線数が低い場合には、現像AC周波数を低くしているので、粒状性の抑制と濃度段差の抑制とを両立させることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平7−325468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本発明の目的は、スクリーン線数が変化しても高品位な画像を得ることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、潜像担持体と、画像データに基づいて前記潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、トナーを含む現像剤を担持し、かつ、該トナーを前記潜像担持体に付与して前記静電潜像を現像する現像剤担持体と、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスを前記現像剤担持体に印加する電圧印加手段と、前記画像データに基づいてスクリーン線数を選択する第1の選択手段と、前記交流電圧の周波数を選択する第2の選択手段と、を備えており、前記第2の選択手段は、前記第1の選択手段が第1のスクリーン線数を選択した場合には第1の周波数を選択し、該第1の選択手段が該第1のスクリーン線数よりも高い第2のスクリーン線数を選択した場合には該第1の周波数よりも低い第2の周波数を選択すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スクリーン線数が変化しても高品位な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】画像形成装置の全体構成を示した図である。
【図2】現像装置を上方から透視した図である。
【図3】画像形成装置がトナー画像を形成する際に制御部が行う動作を示したフローチャートである。
【図4】変形例に係る画像形成装置がトナー画像を形成する際に制御部が行う動作を示したフローチャートである。
【図5】現像バイアスの交流電圧の周波数と粒状性との関係を示したグラフである。
【図6】現像バイアスの交流電圧の周波数と端部エッジの濃さとの関係を示したグラフである。
【図7】現像バイアスの交流電圧の周波数と粒状性との関係を示したグラフである。
【図8】現像バイアスの交流電圧の周波数と端部エッジの濃さとの関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0021】
(画像形成装置の構成)
以下に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、画像形成装置1の全体構成を示した図である。
【0022】
画像形成装置1は、電子写真方式によるカラープリンタであって、いわゆるタンデム式で4色(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)の画像を合成するように構成したものである。該画像形成装置1は、スキャナにより読み取った画像データに基づいて、トナー画像を用紙(印刷媒体)Pに形成する機能を有し、図1に示すように、印刷部2、給紙部15、タイミングローラ対19、定着装置20、排紙ローラ対21、排紙トレイ23、制御部30及び電圧印加部32を備えている。
【0023】
制御部30は、画像形成装置1の全体を制御し、例えば、CPUにより構成されている。また、制御部30は、入力してくる画像データの画像の種類に応じてスクリーン線数を選択する第1の選択手段として機能する。具体的には、画像が文字である場合には、制御部30は、高いスクリーン線数(例えば、210lpi)を選択する。一方、画像が写真である場合には、制御部30は、低いスクリーン線数(例えば、190lpi)を選択する。制御部30は、例えば、スキャナで読み取った画像を解析することによって画像の種類の識別を行ってもよいし、ユーザが選択した印字モードから推測して画像の種類の識別を行ってもよい。
【0024】
給紙部15は、用紙Pを1枚ずつ供給する役割を果たし、用紙トレイ16及び給紙ローラ17を含んでいる。用紙トレイ16には、印刷前の状態の用紙Pが複数枚重ねて載置される。給紙ローラ17は、用紙トレイ16に載置された用紙Pを1枚ずつ取り出す。タイミングローラ対19は、印刷部2においてトナー画像が用紙Pに2次転写されるように、タイミングを調整しながら用紙Pを搬送する。
【0025】
印刷部2は、給紙部15から供給されてくる用紙Pにトナー画像を形成し、光走査装置6、転写部8(8Y,8M,8C,8K)、中間転写ベルト11、駆動ローラ12、従動ローラ13、2次転写ローラ14、クリーニング装置18、作像部22(22Y,22M,22C,22K)及びトナーボトル24(24Y,24M,24C,24K)を含んでいる。また、作像部22(22Y,22M,22C,22K)は、感光体ドラム4(4Y,4M,4C,4K)、帯電器5(5Y,5M,5C,5K)、現像装置7(7Y,7M,7C,7K)、クリーナー9(9Y,9M,9C,9K)及びイレーサ10(10Y,10M,10C,10K)を含んでいる。
【0026】
感光体ドラム4は、円筒状をなしており、図1に示すように、時計回りに回転している。感光体ドラム4は、静電潜像を周面において担持する静電潜像担持体として機能する。帯電器5は、感光体ドラム4の周面を負に帯電させる。光走査装置6は、制御部30の制御により、感光体ドラム4の周面に対してビームBY,BM,BC,BKを走査する。この際、制御部30は、選択したスクリーン線数に基づいて、光走査装置6の動作を制御する。ビームBY,BM,BC,BKが照射された部分の電位は、0Vに近づく。これにより、感光体ドラム4の周面には静電潜像が形成される。よって、光走査装置6は、制御部30と共に、画像データに基づいて感光体ドラム4に静電潜像を形成する静電潜像形成手段として機能する。
【0027】
現像装置7は、非磁性トナー及び磁性キャリアからなる2成分現像剤を用いて感光体ドラム4に静電潜像に従ったトナー画像を形成する。以下に、現像装置7について図面を参照しながら説明する。図2は、現像装置7を上方から透視した図である。以下では、図2の上下方向を単に左右方向と呼び、図2の左右方向を単に前後方向と呼び、図2の紙面垂直方向を上下方向と呼ぶ。
【0028】
現像装置7は、図2に示すように、本体72、撹拌スクリュー74、供給スクリュー76、現像ローラ78、センサ79及びモータ80を備えている。
【0029】
本体72は、現像剤、撹拌スクリュー74、供給スクリュー76及び現像ローラ78を収容している筐体である。本体72は、前後方向に延在しており、左右方向に隣り合う撹拌空間Sp1及び供給空間Sp2を有している。撹拌空間Sp1は、本体72において供給空間Sp2よりも左側に設けられている。撹拌空間Sp1と供給空間Sp2とは、前後方向の両端において繋がっている。
【0030】
撹拌スクリュー74は、撹拌空間Sp1内に設けられ、前後方向に延在している。撹拌スクリュー74は、回転させられることにより、現像剤を撹拌しながら後ろ側から前側へと搬送する。これにより、トナーが負に帯電し、キャリアが正に帯電する。撹拌スクリュー74により搬送された現像剤は、撹拌空間Sp1の前側の端部から供給空間Sp2に流入する。
【0031】
供給スクリュー76は、供給空間Sp2内に設けられ、前後方向に延在している。供給スクリュー76は、回転させられることにより、現像剤を前側から後ろ側へと搬送する。そして、供給スクリュー76により搬送された現像剤は、供給空間Sp2の後ろ側の端部から撹拌空間Sp1に流入する。よって、現像剤は、撹拌空間Sp1と供給空間Sp2との間を循環している。
【0032】
現像ローラ78は、供給空間Sp2内に設けられ、前後方向に延在している。これにより、現像ローラ78は、供給スクリュー76と対向している。更に、現像ローラ78は、本体72から露出しており、感光体ドラム4と対向している。現像ローラ78は、磁石を内蔵しており、磁力により磁性キャリアを非磁性トナーと共に吸着して、供給スクリュー76により搬送されてきた現像剤を担持する。
【0033】
センサ79は、本体72に取り付けられており、現像剤の透磁率を検出することで非磁性トナーと磁性トナーとの比率であるトナー濃度を検出する磁気センサである。制御部30は、センサ79が検出したトナー濃度が所定値よりも低い場合には、トナーボトル24から本体72にトナーを補給する。
【0034】
また、現像ローラ78は、トナーを感光体ドラム4に付与して静電潜像を現像する。具体的には、電圧印加部32は、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスを現像ローラ78に印加している。これにより、現像ローラ78の周面の電位は、感光体ドラム4の周面のビームBY,BM,BC,BKが照射された部分の電位(略0V)よりも低く、かつ、感光体ドラム4の周面のビームBY,BM,BC,BKが照射されていない部分の電位よりも高くなる。現像ローラ78が担持している現像剤の内の非磁性トナーは、負に帯電しているので、感光体ドラム4の周面のビームBY,BM,BC,BKが照射された部分に付着する。これにより、感光体ドラム4の周面には負に帯電したトナー画像が形成される。
【0035】
モータ80は、撹拌スクリュー74、供給スクリュー76及び現像ローラ78を回転させる。
【0036】
中間転写ベルト11は、駆動ローラ12と従動ローラ13との間に張り渡されており、感光体ドラム4に現像されたトナー画像が1次転写される。
【0037】
転写部8は、中間転写ベルト11の内周面に対向するように配置されており、1次転写電圧を印加されることにより、感光体ドラム4に形成されたトナー画像を中間転写ベルト11に1次転写する。このように、転写部8Y,8M,8C,8K及び作像部22Y,22M,22C,22Kは、中間転写ベルト11に複数色のトナー画像を形成するトナー画像形成手段として機能する。クリーナー9は、1次転写後に感光体ドラム4の周面に残存しているトナーを回収する役割を果たす。イレーサ10は、感光体ドラム4の周面の電荷を除去する。駆動ローラ12は、中間転写ベルト駆動部(図1には記載せず)により回転させられることにより、中間転写ベルト11を矢印αの方向に駆動させる。これにより、中間転写ベルト11は、トナー画像を2次転写ローラ14まで搬送する。
【0038】
2次転写ローラ14は、中間転写ベルト11に接触し、ドラム形状をなしている。以下では、中間転写ベルト11と2次転写ローラ14との間の領域をニップ部Nと称す。2次転写ローラ14には、正のバイアス電圧が印加される。これにより、2次転写ローラ14は、ニップ部Nを通過する用紙Pに対して、中間転写ベルト11が担持しているトナー画像を2次転写する。より詳細には、駆動ローラ12は接地電位に保たれている。また、中間転写ベルト11は、駆動ローラ12に接触しているので、接地電位に近い正の電位に保たれている。そして、2次転写ローラ14には、2次転写ローラ14の電位が駆動ローラ12及び中間転写ベルト11の電位よりも高くなるように、正のバイアス電圧が印加されている。トナー画像は、負に帯電しているので、駆動ローラ12と2次転写ローラ14との間に発生している電界によって、中間転写ベルト11から用紙Pに対して転写される。
【0039】
クリーニング装置18は、中間転写ベルト11に接触しているブレードを有しており、用紙Pへのトナー画像の2次転写後に、中間転写ベルト11に残存しているトナーを除去する。
【0040】
トナー画像が2次転写された用紙Pは、定着装置20に搬送される。定着装置20は、用紙Pに対して加熱処理及び加圧処理を施すことにより、トナー画像を用紙Pに定着させる。排紙ローラ対21は、用紙Pを排紙トレイ23に出力する。排紙トレイ23には、印刷済みの用紙Pが載置される。
【0041】
以上のように構成された画像形成装置1では、制御部30は、現像バイアスの交流電圧の周波数を選択する第2の選択手段として機能することができる。より詳細には、スクリーン線数が高くなれば、再現可能な階調段数が少なくなり、解像度が高くなる。そのため、画像が文字である場合には、制御部30は、解像度に優れた高いスクリーン線数(例えば、210lpi)を選択する。一方、画像が写真である場合には、制御部30は、階調段数が多い低いスクリーン線数(例えば、190lpi)を選択する。
【0042】
ただし、スクリーン線数が変更されると、以下に説明するように、粒状性と濃度段差とを両立させることが困難である。表1は、現像バイアスの交流電圧の周波数とスクリーン線数と粒状性との関係を図7のグラフに基づいて作成した表である。表2は、現像バイアスの交流電圧の周波数とスクリーン線数と濃度段差との関係を図8のグラフに基づいて作成した表である。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
表1に示すように、スクリーン線数が210lpiである場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHz〜9kHzにおいて、トナー画像にむらが視認されず、粒状性が抑制されていることが分かる。一方、スクリーン線数が190lpiである場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHz〜7kHzにおいて、むらが視認され、粒状性が抑制されていないことが分かる。したがって、粒状性の抑制のためには、スクリーン線数が相対的に低い場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数が相対的に高い方が好ましいことが分かる。
【0046】
また、表2に示すように、スクリーン線数が190lpiである場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHz〜9kHzにおいて、濃度段差が視認されていないことが分かる。一方、スクリーン線数が210lpiである場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数が7kHz〜9kHzにおいて、濃度段差が視認されていることが分かる。したがって、濃度段差の抑制のためには、スクリーン線数が相対的に高い場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数が相対的に低い方が好ましいことが分かる。
【0047】
以上より、画像形成装置1では、制御部30は、相対的に低いスクリーン線数(190lpi)を選択した場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数として相対的に高い周波数(9kHz)を選択し、相対的に高いスクリーン線数(210lpi)を選択した場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数として相対的に低い周波数(5kHz)を選択する。これにより、画像形成装置1は、粒状性の抑制と濃度段差の抑制との両立を実現している。
【0048】
(画像形成装置の動作)
次に、画像形成装置1の動作について説明する。図3は、画像形成装置1がトナー画像を形成する際に制御部30が行う動作を示したフローチャートである。
【0049】
まず、本処理は、制御部30が画像データを取得することにより開始される。画像データは、スキャナから出力されてきてもよいし、図示しない記憶部から取得してもよい。
【0050】
制御部30は、取得した画像データに基づいて、スクリーン線数を選択する(ステップS1)。本実施形態では、制御部30は、画像が文字である場合には、スクリーン線数として210lpiを選択する。一方、画像が写真である場合には、スクリーン線数として190lpiを選択する。
【0051】
次に、制御部30は、選択したスクリーン線数が200lpi以上であるか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2では、制御部30は、選択したスクリーン線数が相対的に高いスクリーン線数(210lpi)であるのか相対的に低いスクリーン線数(190lpi)であるのかを判定している。スクリーン線数が200lpi以上である場合には、本処理はステップS3に進む。スクリーン線数が190lpi以上でない場合には、本処理はステップS4に進む。
【0052】
スクリーン線数が200lpi以上である場合、制御部30は、スクリーン線数が210lpiであると判定し、現像バイアスの交流電圧の周波数として5kHzを選択する(ステップS3)。この後、本処理はステップS5に進む。
【0053】
スクリーン線数が200lpi以上でない場合、制御部30は、スクリーン線数が190lpiであると判定し、現像バイアスの交流電圧の周波数として9kHzを選択する(ステップS4)。この後、本処理はステップS5に進む。
【0054】
前記ステップS5において、制御部30は、印刷部2にトナー画像の形成を行わせる(ステップS5)。なお、トナー画像の形成については、一般的な動作であるので、説明を省略する。
【0055】
トナー画像の形成が終了した場合、制御部30は、電圧印加部32に現像バイアスの出力を停止させる(ステップS6)。以上の動作により、トナー画像の形成が完了する。
【0056】
(効果)
以上のように構成された画像形成装置1では、スクリーン線数が変化しても高品位な画像を得ることができる。より詳細には、表1に示すように、粒状性の抑制のためには、スクリーン線数が相対的に低い場合(すなわち、190lpiである場合)には、現像バイアスの交流電圧の周波数が相対的に高い方が好ましいことが分かる。一方、表2に示すように、濃度段差の抑制のためには、スクリーン線数が相対的に高い場合(すなわち、210lpiである場合)には、現像バイアスの交流電圧の周波数が相対的に低い方が好ましいことが分かる。
【0057】
そこで、制御部30は、相対的に低いスクリーン線数(190lpi)を選択した場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数として相対的に高い周波数(9kHz)を選択し、相対的に高いスクリーン線数(210lpi)を選択した場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数として相対的に低い周波数(5kHz)を選択する。これにより、画像形成装置1は、粒状性の抑制と濃度段差の抑制との両立を実現している。その結果、画像形成装置1では、スクリーン線数が変化しても高品位な画像を得ることができる。
【0058】
ところで、本実施形態に係る画像形成装置1では、制御部30は、2種類のスクリーン線数から画像に適したスクリーン線数を選択している。しかしながら、制御部30は、3種類以上のスクリーン線数から画像に適したスクリーン線数を選択してもよい。この場合、制御部30が選択したスクリーン線数が高くなるにしたがって、制御部30が選択する現像バイアスの交流電圧の周波数が低くなる。以下に、変形例に係る画像形成装置1について説明する。
【0059】
(変形例)
変形例に係る画像形成装置1では、制御部30は、210lpi、200lpi及び190lpiの3種類のスクリーン線数のいずれかを選択する。表3は、現像バイアスの交流電圧の周波数とスクリーン線数と粒状性との関係を示した表である。表4は、現像バイアスの交流電圧の周波数とスクリーン線数と濃度段差との関係を示した表である。
【0060】
【表3】

【0061】
【表4】

【0062】
表3に示すように、スクリーン線数が200lpiである場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数が7kHz〜9kHzにおいて、トナー画像にむらが視認されず、粒状性が抑制されていることが分かる。また、表4に示すように、スクリーン線数が200lpiである場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHz〜7kHzにおいて、濃度段差が視認されていないことが分かる。
【0063】
以上より、制御部30は、スクリーン線数として190lpiを選択した場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数として9kHzを選択し、スクリーン線数として200lpiを選択した場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数として7Hzを選択し、スクリーン線数として210lpiを選択した場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数として5kHzを選択する。
【0064】
次に、変形例に係る画像形成装置1の動作について説明する。図4は、変形例に係る画像形成装置1がトナー画像を形成する際に制御部30が行う動作を示したフローチャートである。
【0065】
まず、本処理は、制御部30が画像データを取得することにより開始される。画像データは、スキャナから出力されてきてもよいし、図示しない記憶部から取得してもよい。
【0066】
制御部30は、取得した画像データに基づいて、210lpi、200lpi又は190lpiのいずれかのスクリーン線数を選択する(ステップS11)。
【0067】
次に、制御部30は、選択したスクリーン線数が205lpi以上であるか否かを判定する(ステップS12)。スクリーン線数が205lpi以上である場合には、本処理はステップS13に進む。スクリーン線数が205lpi以上でない場合には、本処理はステップS14に進む。
【0068】
スクリーン線数が205lpi以上である場合、制御部30は、スクリーン線数が210lpiであると判定し、現像バイアスの交流電圧の周波数として5kHzを選択する(ステップS13)。この後、本処理はステップS17に進む。
【0069】
スクリーン線数が205lpi以上でない場合、制御部30は、選択したスクリーン線数が195lpi以上であるか否かを判定する(ステップS14)。スクリーン線数が195lpi以上である場合には、本処理はステップS15に進む。スクリーン線数が195lpi以上でない場合には、本処理はステップS16に進む。
【0070】
スクリーン線数が195lpi以上である場合、制御部30は、スクリーン線数が200lpiであると判定し、現像バイアスの交流電圧の周波数として7kHzを選択する(ステップS15)。この後、本処理はステップS17に進む。
【0071】
スクリーン線数が195lpi以上でない場合、制御部30は、スクリーン線数が190lpiであると判定し、現像バイアスの交流電圧の周波数として9kHzを選択する(ステップS16)。この後、本処理はステップS17に進む。
【0072】
前記ステップS17において、制御部30は、印刷部2にトナー画像の形成を行わせる(ステップS17)。なお、トナー画像の形成については、一般的な動作であるので、説明を省略する。
【0073】
トナー画像の形成が終了した場合、制御部30は、電圧印加部32に現像バイアスの出力を停止させる(ステップS18)。以上の動作により、トナー画像の形成が完了する。
【0074】
以上のように構成された変形例に係る画像形成装置1でも、前記実施形態に係る画像形成装置1と同様に、スクリーン線数が変化しても高品位な画像を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明は、画像形成装置に有用であり、特に、スクリーン線数が変化しても高品位な画像を得ることができる点において優れている。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成装置
4Y,4M,4C,4K 感光体ドラム
6 光走査装置
30 制御部
32 電圧印加部
78 現像ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体と、
画像データに基づいて前記潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤を担持し、かつ、該トナーを前記潜像担持体に付与して前記静電潜像を現像する現像剤担持体と、
直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスを前記現像剤担持体に印加する電圧印加手段と、
前記画像データに基づいてスクリーン線数を選択する第1の選択手段と、
前記交流電圧の周波数を選択する第2の選択手段と、
を備えており、
前記第2の選択手段は、前記第1の選択手段が第1のスクリーン線数を選択した場合には第1の周波数を選択し、該第1の選択手段が該第1のスクリーン線数よりも高い第2のスクリーン線数を選択した場合には該第1の周波数よりも低い第2の周波数を選択すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の選択手段が選択したスクリーン線数が高くなるにしたがって、前記第2の選択手段が選択する前記周波数が低くなること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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