説明

画像形成装置

【課題】縁無し印刷を行う場合に、記録媒体が汚れてしまうのを抑制することができる画像形成装置を得る。
【解決手段】画像形成装置を作動させると、先ず、ステップ100で、制御部が、露光装置に入力される画像データに基づいてシート部材Pに転写される画像が縁無し画像であるか否かを判断し、縁無し画像である場合には、ステップ200に移行する。ステップ200では、制御部は、加熱ロールを制御して、加熱ロールの加熱温度を、シート部材に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して、低くする。このように、加熱ロールの加熱温度を低温にして定着することにより、トナーの溶融が抑制される。これにより、縁無し印刷の場合に発生するオフセット現象が抑制させる。つまり、縁無し印刷を行う場合に、シート部材Pが汚れてしまうのが抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、縁無しプリント(縁無し印刷)と通常プリントとで転写ユニットを切り替える画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−41582
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、縁無し印刷を行う場合に、記録媒体が汚れてしまうのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、記録媒体に転写される画像が縁無し画像である場合に、前記加熱部材を制御して、前記加熱部材の加熱温度を、記録媒体に転写される画像が縁無し画像でない場合と比して、低くする制御部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、記録媒体に転写される画像が縁無し画像である場合に、前記加圧部材を制御して、前記加圧部材の加圧力を、記録媒体に転写される画像が縁無し画像でない場合と比して、低くする制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、請求項1又は2に記載において、前記加熱部材及び前記加圧部材の少なくとも一方を回転させるための駆動源を備え、前記制御部は、記録媒体に転写される画像が縁無し画像である場合に、前記駆動源を制御して、回転する加熱部材及び加圧部材の周速度を、記録媒体に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して、遅くすることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、前記加熱部材及び前記加圧部材の少なくとも一方を回転させるための駆動源と、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無し画像である場合に、前記加熱部材を制御して、前記加熱部材の加熱温度を、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して低くすると共に、前記駆動源を制御して、回転する加熱部材及び加圧部材の周速度を、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して遅くする制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る画像形成装置は、像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、前記加熱部材及び前記加圧部材の少なくとも一方を回転させるための駆動源と、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無し画像である場合に、前記加圧部材を制御して、前記加圧部材の加圧力を、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して低くすると共に、前記駆動源を制御して、回転する加熱部材及び加圧部材の周速度を、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して遅くする制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無しベタ画像である場合に、前記加熱部材を制御して、前記加熱部材の加熱温度を、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無しベタ画像でない場合と比して、低くする制御部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無しベタ画像である場合に、前記加圧部材を制御して、前記加圧部材の加圧力を、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無しベタ画像でない場合と比して、低くする制御部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係る画像形成装置は、像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、記録媒体に転写される画像が縁無し画像かを入力する入力手段と、記録媒体に転写される画像が縁無し画像であることが前記入力手段から入力された場合に、前記加熱部材を制御して、前記加熱部材の加熱温度を、記録媒体に転写される画像が縁無し画像であることが前記入力手段に入力されない場合と比して、低くする制御部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9に係る画像形成装置は、像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、記録媒体に転写される画像が縁無し画像かを入力する入力手段と、記録媒体に転写される画像が縁無し画像であることが前記入力手段から入力された場合に、前記加圧部材を制御して、前記加圧部材の加圧力を、記録媒体に転写される画像が縁無し画像であることが前記入力手段に入力されない場合と比して、低くする制御部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項10に係る画像形成装置は、像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、前記像保持体に形成されたトナー画像が転写される一の記録媒体が、他の記録媒体と比してトナー画像の記録媒体への定着温度が高く設定されている高温定着記録媒体で有るか否かを入力する入力手段と、トナー画像が転写される記録媒体が高温定着記録媒体であることを前記入力手段から入力され、かつ高温定着記録媒体に転写される画像が縁無し画像である場合に、前記加熱部材を制御して、前記加熱部材の加熱温度を、トナー画像が転写される記録媒体が高温定着記録媒体であることを前記入力手段から入力され、かつ高温定着記録媒体に転写される画像が縁無し画像でない場合と比して、低くする制御部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項11に係る画像形成装置は、像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、前記像保持体に形成されたトナー画像が転写される一の記録媒体が、他の記録媒体と比してトナー画像の記録媒体への定着温度が高く設定されている高温定着記録媒体で有るか否かを入力する入力手段と、トナー画像が転写される記録媒体が高温定着記録媒体であることを前記入力手段から入力され、かつ高温定着記録媒体に転写される画像が縁無し画像である場合に、前記加圧部材を制御して、前記加圧部材の加圧力を、トナー画像が転写される記録媒体が高温定着記録媒体であることを前記入力手段から入力され、かつ高温定着記録媒体に転写される画像が縁無し画像でない場合と比して、低くする制御部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項12に係る画像形成装置は、請求項6、8、10の何れか1項に記載において、前記加熱部材及び前記加圧部材の少なくとも一方を回転させるための駆動源を備え、前記制御部は、記録媒体に転写される画像が縁無し画像であるために前記加熱部材の加熱温度を低くする場合に、前記駆動源を制御して、回転する加熱部材及び加圧部材の周速度を、記録媒体に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して、遅くすることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項13に係る画像形成装置は、請求項7、9、11の何れか1項に記載において、前記加熱部材及び前記加圧部材の少なくとも一方を回転させるための駆動源を備え、前記制御部は、記録媒体に転写される画像が縁無し画像であるために前記加圧部材の加圧力を低くする場合に、前記駆動源を制御して、回転する加熱部材及び加圧部材の周速度を、記録媒体に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して、遅くすることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項14に係る画像形成装置は、像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、記録媒体に転写される画像が縁無し画像である場合に、定着装置を制御して、記録媒体に転写される画像が縁無し画像でない場合と比して、記録媒体に与えるエネルギーを小さくする制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1の画像形成装置によれば、縁無し画像である場合と縁無し画像でない場合とで加熱部材の加熱温度が同じ場合と比して、縁無し印刷を行う場合に、記録媒体が汚れてしまうのを抑制することができる。
【0020】
本発明の請求項2の画像形成装置によれば、縁無し画像である場合と縁無し画像でない場合とで加圧部材の加圧力が同じ場合と比して、縁無し印刷を行う場合に、記録媒体が汚れてしまうのを抑制することができる。
【0021】
本発明の請求項3の画像形成装置によれば、縁無し画像である場合と縁無し画像でない場合とで加熱部材及び加圧部材の周速度が同じ場合と比して、記録媒体に転写された画像の光沢(グロス)が低下するのを抑制することができる。
【0022】
本発明の請求項4の画像形成装置によれば、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無し画像である場合と、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無し画像でない場合とで加熱部材の加熱温度が同じ場合と比して、縁無し印刷を行う場合に、記録媒体が汚れてしまうのを抑制した上で、生産性が低下するのを抑制することができる。
【0023】
本発明の請求項5の画像形成装置によれば、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無し画像である場合と、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無し画像でない場合とで加圧部材の加圧力が同じ場合と比して、縁無し印刷を行う場合に、記録媒体が汚れてしまうのを抑制した上で、生産性が低下するのを抑制することができる。
【0024】
本発明の請求項6の画像形成装置によれば、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無しベタ画像ある場合と、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無しベタ画像でない場合とで加熱部材の加熱温度が同じ場合と比して、縁無し印刷を行う場合に、記録媒体が汚れてしまうのを抑制することができる。
【0025】
本発明の請求項7の画像形成装置によれば、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無しベタ画像ある場合と、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無しベタ画像でない場合とで加圧部材の加圧力が同じ場合と比して、縁無し印刷を行う場合に、記録媒体が汚れてしまうのを抑制することができる。
【0026】
本発明の請求項8の画像形成装置によれば、記録媒体に転写される画像が縁無し画像か否かを入力する入力手段が設けられていない場合と比して、縁無し印刷を行う場合に、記録媒体が汚れてしまうのを抑制することができる。
【0027】
本発明の請求項9の画像形成装置によれば、記録媒体に転写される画像が縁無し画像か否かを入力する入力手段が設けられていない場合と比して、縁無し印刷を行う場合に、記録媒体が汚れてしまうのを抑制することができる。
【0028】
本発明の請求項10の画像形成装置によれば、トナー画像の記録媒体への定着温度が他の記録媒体と比して高く設定されている高温定着記録媒体で、かつ転写される画像が縁無し画像である場合と、トナー画像の記録媒体への定着温度が他の記録媒体と比して高く設定されている高温定着記録媒体で、かつ転写される画像が縁無し画像でない場合とで加熱部材の加熱温度が同じ場合と比して、縁無し印刷を行う場合に、記録媒体が汚れてしまうのを抑制することができる。
【0029】
本発明の請求項11の画像形成装置によれば、トナー画像の記録媒体への定着温度が他の記録媒体と比して高く設定されている高温定着記録媒体で、かつ転写される画像が縁無し画像である場合と、トナー画像の記録媒体への定着温度が他の記録媒体と比して高く設定されている高温定着記録媒体で、かつ転写される画像が縁無し画像でない場合とで加圧部材の加圧力が同じ場合と比して、縁無し印刷を行う場合に、記録媒体が汚れてしまうのを抑制することができる。
【0030】
本発明の請求項12の画像形成装置によれば、記録媒体に転写される画像が縁無し画像であるために加熱部材の加熱温度を低くする場合に、回転する加熱部材の周速度が、記録媒体に転写される画像が縁無し画像ではない場合と同じ場合と比して、縁無し印刷を行う場合に、記録媒体に転写された画像の光沢(グロス)が低下するのを抑制することができる。
【0031】
本発明の請求項13の画像形成装置によれば、記録媒体に転写される画像が縁無し画像であるために加圧部材の加圧力を低くする場合に、回転する加熱部材の周速度が、記録媒体に転写される画像が縁無し画像ではない場合と同じ場合と比して、縁無し印刷を行う場合に、記録媒体に転写された画像の光沢(グロス)が低下するのを抑制することができる。
【0032】
本発明の請求項14の画像形成装置によれば、記録媒体に転写される画像が縁無し画像である場合に、記録媒体に与えるエネルギーが、記録媒体に転写される画像が縁無し画像でない場合と同じ場合と比して、縁無し印刷を行う場合に、記録媒体が汚れてしまうのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に用いられる制御フローを示したフロー図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置に用いられる制御フローを示したフロー図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置に用いられる制御フローを示したフロー図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る画像形成装置に用いられる制御フローを示したフロー図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る画像形成装置に用いられる制御フローを示したフロー図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係る画像形成装置に用いられる制御フローを示したフロー図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【図11】本発明の第7実施形態に係る画像形成装置に用いられる制御フローを示したフロー図である。
【図12】本発明の第8実施形態に係る画像形成装置に用いられる制御フローを示したフロー図である。
【図13】本発明の第9実施形態に係る画像形成装置に用いられる制御フローを示したフロー図である。
【図14】本発明の第9実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【図15】本発明の第10実施形態に係る画像形成装置に用いられる制御フローを示したフロー図である。
【図16】本発明の第10実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例を図1〜図2に従って説明する。なお図中に示す矢印UPは鉛直方向上方を示す。
【0035】
(全体構成)
図2に示されるように、画像形成装置10は、一様に帯電された後、レーザー光を照射することにより表面に静電潜像が形成される像保持体12と、像保持体12の表面を一様に帯電させる帯電装置14と、外部からの画像データに基づいて像保持体12にレーザー光を照射して静電潜像を形成する露光装置16と、この静電潜像にトナーを転移してトナー画像として可視化する現像装置18と、搬送経路20に沿って供給される記録媒体としてのシート部材Pに像保持体12の表面のトナー画像を転写する転写部材の一例としての転写ロール22と、シート部材P上のトナー画像を加熱・加圧してシート部材Pに定着させる定着装置24と、トナー画像が転写された後の像保持体12に残留するトナーを清掃するクリーニング装置26とを備えている。
【0036】
また、画像形成装置10は、本体側面カバー10B及び天板10Aで覆われている。そして、本体側面カバー10Bの上端角部分には、天板10Aを回転可能に本体側面カバー10Bに連結する軸10Cが設けられており、天板10Aを、軸10Cを中心とて矢印A方向に回転させることで、画像形成装置10の内部が開放されるようになっている。
【0037】
ここで、帯電装置14とクリーニング装置26とは一つの帯電ユニット28として構成され、現像装置18と像保持体12とは一つのプロセスカートリッジとしての交換カートリッジ30とされている。そして、画像形成装置10の天板10Aを開放することで、帯電ユニット28及び交換カートリッジ30は、夫々画像形成装置10内部の本体フレーム(図示せず)に対して着脱可能となっている。
【0038】
また、この画像形成装置10の側方には、像保持体12と転写ロール22とで形成される画像形成部31に、シート部材Pを手差しで供給することができる手差給紙台32が備えており、この手差給紙台32には、半月形状の送出ロール34が設けられている。さらに、送出ロール34に対してシート部材Pを挟んで分離ロール36が設けられている。
【0039】
この分離ロール36は、両端部に設けられた図示せぬ支持部材に回転可能に支持され、さらに、支持部材の内部に設けられたコイルスプリングの付勢力で、送出ロール34に向って付勢されている。この構成により、送出ロール34が回転すると手差給紙台32に載せられたシート部材Pが送出ロール34と分離ロール36によって一枚ずつ、画像形成部31に送られるようになっている。
【0040】
また、この画像形成装置10内の下側には、シート部材Pを一枚ずつ給紙する給紙装置40が設けられている。給紙装置40は、シート部材Pが複数枚積載された給紙部材41を備えており、給紙部材41に積載されたシート部材Pは、取出ロール42によって順次取り出され、さらに、回転駆動する給紙ロール44と給紙部材41に設けられた分離ロール46によって、一枚ずつ搬送される構成となっている。
【0041】
さらに、シート部材Pの搬送経路20に沿って複数個の搬送ロール48が設けられており、シート部材Pが搬送経路20に沿ってシート部材Pの搬送方向の下流側(以下単に搬送方向下流側)へ搬送されるようになっている。
【0042】
また、画像形成部31の搬送方向下流側には、前述した定着装置24が設けられている。定着装置24は、内部に発熱体を備えて外周面が加熱される加熱部材の一例としての加熱ロール24Hと、加熱ロール24Hに接して回転すると共にシート部材Pを加熱ロール24Hに向けて押し付ける加圧部材の一例としての加圧ロール24Nとを備えている。
【0043】
さらに、加熱ロール24Hを回転させるための駆動源の一例としてのモータ60が加熱ロール24Hに隣接して配置されている。
【0044】
この構成により、回転する加熱ロール24Hと加圧ロール24Nとの間をシート部材Pが挟持搬送されることで、シート部材Pに転写されたトナー画像がシート部材Pに定着させるようになっている。
【0045】
さらに、定着装置24の搬送方向下流側には、トナー画像が定着されたシート部材Pを天板10Aの上面に排出する排出ロール50が設けられている。
【0046】
また、この画像形成装置10には、露光装置16に入力される画像データに基づいてシート部材Pに転写される画像が縁無し画像であるか否かを判断し、加熱ロール24H及びモータ60を制御する制御部62が設けられている。なお、制御部62の構成については、後述する作用と共に説明する。
【0047】
ここで、シート部材Pの何れかの辺に縁(余白)が存在しないトナー画像が転写される場合を縁無し画像と称する。つまり、縁無し画像とは、シート部材Pの全ての辺(4辺)に縁が存在しないトナー画像に限られるものではない。
【0048】
上記構成による画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
【0049】
まず、電圧が印加された帯電装置14は、像保持体12の表面を予定の電位で一様にマイナス帯電する。続いて、外部から入力された画像データに基づいて露光装置16が帯電された像保持体12の表面を露光し、像保持体12の表面に静電潜像を形成する。
【0050】
つまり、図示しない制御装置から供給される画像データに基づき、露光装置16のレーザーをオン・オフすることによってこの画像データに対応した静電潜像が像保持体12上に形成される。さらに、この静電潜像は、現像装置18から供給されるトナーによってトナー画像として可視化される。
【0051】
そこで、給紙部材41から取出ロール42によって取り出されたシート部材Pが、給紙ロール44と分離ロール46とによって一枚ずつ搬送ロール48に渡されて搬送経路20に送り出される。搬送経路20に送り出されたシート部材Pは、像保持体12と転写ロール22との間に形成された画像形成部31を通り、トナー画像がシート部材Pに転写される。この転写されたトナー画像は、定着装置24に備えられた加熱ロール24Hと加圧ロール24Nとの間を通過することでシート部材Pに定着され,排出ロール50によって天板10Aの上面に排出される。
【0052】
なお、本実施形態の画像形成装置10では、現像装置18は1台であるが、カラー画像を形成する場合には、像保持体12と対向する位置に、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色分の現像装置18が配置される構成となる。
【0053】
(要部構成の作用)
次に、制御部62の制御について、図1に示すフロー図を用いて説明する。
【0054】
図1に示されるように、画像形成装置10を作動させると、先ず、ステップ100で、制御部62が、露光装置16に入力される画像データに基づいてシート部材Pに転写される画像が縁無し画像であるか否かを判断する。シート部材Pに転写されるトナー画像が縁無し画像であると判断された場合には、ステップ200に移行する。
【0055】
ステップ200では、制御部62は、加熱ロール24Hを制御して、加熱ロール24Hの加熱温度を、シート部材に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して、低くする。具体的には、一例として、シート部材に転写される画像が縁無し画像ではない場合に加熱温度(定着温度)が145〔℃〕であるのに対して、シート部材Pに転写されるトナー画像が縁無し画像である場合には、加熱温度(定着温度)を140〔℃〕とする。
【0056】
さらに、制御部62は、モータ60を制御して、加熱ロール24Hの周速度を、シート部材に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して、遅くする。具体的には、一例として、シート部材に転写される画像が縁無し画像ではない場合に周速度(定着速度)が266〔mm/sec〕であるのに対して、シート部材Pに転写されるトナー画像が縁無し画像である場合には、周速度(定着速度)を224〔mm/sec〕とする。
【0057】
制御部62が、前述したように加熱ロール24H及びモータ60を制御すると、ステップ300に移行する。
【0058】
ステップ300では、回転する加熱ロール24Hと加圧ロール24Nとの間をトナー画像が転写されたシート部材Pが挟持搬送される。これにより、シート部材Pに転写されたトナー画像をシート部材Pに定着させ、ステップ400に移行する。
【0059】
ステップ400では、トナー画像が定着したシート部材Pが、排出ロール50によって
天板10Aの上面に排出されて終了する。
【0060】
なお、ステップ100で、制御部62が、シート部材Pに転写されるトナー画像が縁無し画像でないと判断された場合には、直接ステップ300、ステップ400に移行する。
【0061】
以上説明したように、加熱ロール24Hの加熱温度を低温にして定着することにより、トナーの溶融が抑制される。これにより、縁無し印刷の場合に発生するオフセット現象が抑制させる。つまり、縁無し印刷を行う場合に、シート部材Pが汚れてしまうのが抑制される。なお、オフセット現象とは、トナー画像の一部が加熱ロール24Hに付着及び/又は転移し、次のシート部材Pに再転移して、次のシート部材Pに形成された画像の品質を低下させる現象である。
【0062】
また、加熱ロール24Hの周速度を低速にして定着することにより、定着に必要な熱量(熱エネルギ)を確保することで、出力画像に光沢(グロス)低下が発生したり、トナー画像の定着不良が発生するのが抑制される。
【0063】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の一例を図3に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0064】
図3に示されるように、画像形成装置10を作動させると、先ず、ステップ100で、制御部62が、露光装置16に入力される画像データに基づいてシート部材Pの先端部に転写される画像が縁無し画像であるか否かを判断する。シート部材Pの先端部に転写されるトナー画像が縁無し画像であると判断された場合には、ステップ200に移行する。
【0065】
このように、オフセット現象が生じ易い、シート部材の先端部に転写されるトナー画像が縁無し画像である場合にのみ、加熱ロール24Hの加熱温度を低くし、さらに、加熱ロール24Hの周速度を低速にする。これにより、縁無し印刷を行う場合に、シート部材Pが汚れてしまうのを抑制した上で、生産性が低下するのが抑制される。
【0066】
他の作用については、第1実施例と同様である。
【0067】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の一例を図4に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0068】
図4に示されるように、画像形成装置10を作動させると、先ず、ステップ100で、制御部62が、露光装置16に入力される画像データに基づいてシート部材Pの先端部に転写される画像が縁無しベタ画像であるか否かを判断する。シート部材Pの先端部に転写されるトナー画像が縁無しベタ画像であると判断された場合には、ステップ200に移行する。ここで、ベタ画像とは、シート部材Pの生地が見えなくなるようにトナーが転写される画像である。
【0069】
このように、オフセット現象が生じ易い、シート部材の先端部に転写されるトナー画像が縁無しベタ画像である場合にのみ、加熱ロール24Hの加熱温度を低くし、さらに、加熱ロール24Hの周速度を低速にする。これにより、縁無し印刷を行う場合に、シート部材Pが汚れてしまうのを抑制した上で、生産性が低下するのが抑制される。
【0070】
他の作用については、第1実施例と同様である。
【0071】
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態に係る画像形成装置の一例を図5〜図6に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0072】
図6に示されるように、画像形成装置10には、シート部材Pに転写される画像が縁無し画像かをユーザが入力する入力手段の一例としての入力部70が設けられている。
【0073】
図5に示されるように、画像形成装置10を作動させると、先ず、ステップ100で、制御部62が、入力部70への入力に基づいてシート部材Pに転写される画像が縁無し画像であるか否かを判断する。シート部材Pに転写されるトナー画像が縁無し画像であると判断された場合には、ステップ200に移行する。
【0074】
このように、シート部材Pに転写される画像が縁無し画像であることをユーザが入力部70に入力した場合にのみ、加熱ロール24Hの加熱温度を低くし、さらに、加熱ロール24Hの周速度を低速にする。これにより、縁無し印刷を行う場合に、シート部材Pが汚れてしまうのを抑制した上で、生産性が低下するのが抑制される。
【0075】
他の作用については、第1実施例と同様である。
【0076】
<第5実施形態>
本発明の第5実施形態に係る画像形成装置の一例を図7〜図8に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0077】
図8に示されるように、画像形成装置10には、使用される記録媒体が、他の記シート部材Pと比してトナー画像のシート部材Pへの定着温度(加熱温度)が高く設定されている高温定着記録媒体であるか否かをユーザが入力する入力手段の一例としての入力部74が設けられている。
【0078】
図7に示されるように、画像形成装置10を作動させると、先ず、ステップ100で、制御部62は、入力部74への入力に基づいて使用される記録媒体が高温定着記録媒体であるか否かを判断する。さらに、制御部62は、露光装置16に入力される画像データに基づいてシート部材Pに転写される画像が縁無し画像であるか否かを判断する。
【0079】
制御部62が、使用される記録媒体が高温定着記録媒体で、かつ高温定着記録媒体に転写される画像が縁無し画像であると判断した場合に、ステップ200に移行する。
【0080】
なお、高温定着記録媒体の一例としては、コート紙や厚紙等があげられる。
【0081】
使用される記録媒体が高温定着記録媒体で、かつ高温定着記録媒体に転写される画像が縁無し画像である場合にのみ、加熱ロール24Hの加熱温度を低くし、さらに、加熱ロール24Hの周速度を低速にする。
【0082】
このように、オフセット現象が生じ易い、高温定着記録媒体を用いて縁無し印刷を行う場合にのみ、加熱ロール24Hの加熱温度を低くし、さらに、加熱ロール24Hの周速度を低速にする。これにより、縁無し印刷を行う場合に、シート部材Pが汚れてしまうのを抑制した上で、生産性が低下するのが抑制される。
【0083】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、単色の画像を出力するために用いられる画像形成装置10を用いて、制御部62の制御を説明したが、複数色のトナー画像を重ね合せてカラー画像を出力するために用いられる画像形成装置であってもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、制御部62が、露光装置16に入力される画像データに基づいてシート部材Pに転写される画像が縁無し画像であるか否かを判断したが、縁無し画像であるか否かを判断する判断部を制御部とは別に設けてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、モータ60が加熱ロール24Hを回転させ、加圧ロール24Nが加熱ロール24Hと接して回転(従動回転)する構成について説明したが、加圧ロールに別の駆動源を設けて加圧ロールを回転させてもよい、この場合には、制御部は、加熱ロール及び加圧ロールの駆動源を制御することとなる。
【0086】
また、上記実施形態では、加熱ロール24Hの周速度を制御することについて記載したが、加熱ロールの周速度を速く又は遅く制御するという記載は、加圧ロールが加熱ロールに接しているため、加圧ロールの周速度を速く又は遅く制御すると同義となる。
【0087】
<第6実施形態>
本発明の第6実施形態に係る画像形成装置の一例を図9、10に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0088】
図10に示されるように、画像形成装置10には、露光装置16に入力される画像データに基づいてシート部材Pに転写される画像が縁無し画像であるか否かを判断し、加圧ロール2N及びモータ60を制御する制御部80が設けられている。
【0089】
図9に示されるように、画像形成装置10を作動させると、先ず、ステップ100で、制御部80が、露光装置16に入力される画像データに基づいてシート部材Pに転写される画像が縁無し画像であるか否かを判断する。シート部材Pに転写されるトナー画像が縁無し画像であると判断された場合には、ステップ200に移行する。
【0090】
ステップ200では、制御部80は、加熱ロール24Hではなく、加圧ロール24Nを制御して、加圧ロール24Nの加圧力を、シート部材に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して、低くする。具体的には、一例として、シート部材に転写される画像が縁無し画像ではない場合に加圧力が4.0〔Kgf/cm〕であるのに対して、シート部材Pに転写されるトナー画像が縁無し画像である場合には、加圧力を2.0〔Kgf/cm〕とする。
【0091】
さらに、制御部80は、モータ60を制御して、加熱ロール24Hの周速度を、シート部材Pに転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して、遅くする。具体的には、一例として、シート部材に転写される画像が縁無し画像ではない場合に周速度(定着速度)が266〔mm/sec〕であるのに対して、シート部材Pに転写されるトナー画像が縁無し画像である場合には、周速度(定着速度)を224〔mm/sec〕とする。
【0092】
制御部80が、前述したように加圧ロール24N及びモータ60を制御すると、ステップ300に移行する。
【0093】
以上説明したように、加圧ロール24Nの加圧力を低圧にして定着することにより、トナーの溶融が抑制される。これにより、縁無し印刷の場合に発生するオフセット現象が抑制させる。つまり、縁無し印刷を行う場合に、シート部材Pが汚れてしまうのが抑制される。
【0094】
また、加熱ロール24Hの周速度を低速にして定着することにより、定着に必要な加圧量(加圧エネルギ)を確保することで、出力画像に光沢(グロス)低下が発生したり、トナー画像の定着不良が発生するのが抑制される。
【0095】
他の作用については、第1実施例と同様である。
<第7実施形態>
本発明の第7実施形態に係る画像形成装置の一例を図11に従って説明する。なお、第6実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0096】
図11に示されるように、画像形成装置10を作動させると、先ず、ステップ100で、制御部80が、露光装置16に入力される画像データに基づいてシート部材Pの先端部に転写される画像が縁無し画像であるか否かを判断する。シート部材Pの先端部に転写されるトナー画像が縁無し画像であると判断された場合には、ステップ200に移行する。
【0097】
このように、オフセット現象が生じ易い、シート部材の先端部に転写されるトナー画像が縁無し画像である場合にのみ、加圧ロール24Hの加圧力を低くし、さらに、加熱ロール24Hの周速度を低速にする。これにより、縁無し印刷を行う場合に、シート部材Pが汚れてしまうのを抑制した上で、生産性が低下するのが抑制される。
【0098】
他の作用については、第6実施例と同様である。
<第8実施形態>
本発明の第8実施形態に係る画像形成装置の一例を図12に従って説明する。なお、第6実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0099】
図12に示されるように、画像形成装置10を作動させると、先ず、ステップ100で、制御部80が、露光装置16に入力される画像データに基づいてシート部材Pの先端部に転写される画像が縁無しベタ画像であるか否かを判断する。シート部材Pの先端部に転写されるトナー画像が縁無しベタ画像であると判断された場合には、ステップ200に移行する。ここで、ベタ画像とは、シート部材Pの生地が見えなくなるようにトナーが転写される画像である。
【0100】
このように、オフセット現象が生じ易い、シート部材の先端部に転写されるトナー画像が縁無しベタ画像である場合にのみ、加圧ロール24Nの加圧力を低くし、さらに、加熱ロール24Hの周速度を低速にする。これにより、縁無し印刷を行う場合に、シート部材Pが汚れてしまうのを抑制した上で、生産性が低下するのが抑制される。
【0101】
他の作用については、第6実施例と同様である。
<第9実施形態>
本発明の第9実施形態に係る画像形成装置の一例を図13〜図14に従って説明する。なお、第6実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0102】
図14に示されるように、画像形成装置10には、シート部材Pに転写される画像が縁無し画像かをユーザが入力する入力手段の一例としての入力部82が設けられている。
【0103】
図13に示されるように、画像形成装置10を作動させると、先ず、ステップ100で、制御部80が、入力部82への入力に基づいてシート部材Pに転写される画像が縁無し画像であるか否かを判断する。シート部材Pに転写されるトナー画像が縁無し画像であると判断された場合には、ステップ200に移行する。
【0104】
このように、シート部材Pに転写される画像が縁無し画像であることをユーザが入力部82に入力した場合にのみ、加圧ロール24Nの加圧力を低くし、さらに、加熱ロール24Hの周速度を低速にする。これにより、縁無し印刷を行う場合に、シート部材Pが汚れてしまうのを抑制した上で、生産性が低下するのが抑制される。
【0105】
他の作用については、第6実施例と同様である。
<第10実施形態>
本発明の第10実施形態に係る画像形成装置の一例を図15〜図16に従って説明する。なお、第6実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0106】
図16に示されるように、画像形成装置10には、使用される記録媒体が、他の記シート部材Pと比してトナー画像のシート部材Pへの定着温度(加熱温度)が高く設定されている高温定着記録媒体であるか否かをユーザが入力する入力手段の一例としての入力部84が設けられている。
【0107】
図15に示されるように、画像形成装置10を作動させると、先ず、ステップ100で、制御部80は、入力部84への入力に基づいて使用される記録媒体が高温定着記録媒体であるか否かを判断する。さらに、制御部80は、露光装置16に入力される画像データに基づいてシート部材Pに転写される画像が縁無し画像であるか否かを判断する。
【0108】
制御部80が、使用される記録媒体が高温定着記録媒体で、かつ高温定着記録媒体に転写される画像が縁無し画像であると判断した場合に、ステップ200に移行する。
【0109】
なお、高温定着記録媒体の一例としては、コート紙や厚紙等があげられる。
【0110】
使用される記録媒体が高温定着記録媒体で、かつ高温定着記録媒体に転写される画像が縁無し画像である場合にのみ、加圧ロール24Nの加圧力を低くし、さらに、加熱ロール24Hの周速度を低速にする。
【0111】
このように、オフセット現象が生じ易い、高温定着記録媒体を用いて縁無し印刷を行う場合にのみ、加圧ロール24Nの加圧力を低くし、さらに、加熱ロール24Hの周速度を低速にする。これにより、縁無し印刷を行う場合に、シート部材Pが汚れてしまうのを抑制した上で、生産性が低下するのが抑制される。
【0112】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、単色の画像を出力するために用いられる画像形成装置10を用いて、制御部62、80の制御を説明したが、複数色のトナー画像を重ね合せてカラー画像を出力するために用いられる画像形成装置であってもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、制御部62、80が、露光装置16に入力される画像データに基づいてシート部材Pに転写される画像が縁無し画像であるか否かを判断したが、縁無し画像であるか否かを判断する判断部を制御部とは別に設けてもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、モータ60が加熱ロール24Hを回転させ、加圧ロール24Nが加熱ロール24Hと接して回転(従動回転)する構成について説明したが、加圧ロールに別の駆動源を設けて加圧ロールを回転させてもよい、この場合には、制御部は、加熱ロール及び加圧ロールの駆動源を制御することとなる。
【0115】
また、上記実施形態では、加熱ロール24Hの周速度を制御することについて記載したが、加熱ロールの周速度を速く又は遅く制御するという記載は、加圧ロールが加熱ロールに接しているため、加圧ロールの周速度を速く又は遅く制御すると同義となる。
【0116】
また、上記実施形態は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、明細書および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、各実施形態の組み合わせ、変更、削除および付加が可能である。
【符号の説明】
【0117】
10 画像形成装置
12 像保持体
24 定着装置
22 転写ロール(転写部材の一例)
24N 加圧ロール(加圧部材の一例)
24H 加熱ロール(加熱部材の一例)
60 モータ(駆動源の一例)
62 制御部
70 入力部(入力手段の一例)
74 入力部(入力手段の一例)
80 制御部
82 入力部(入力手段の一例)
84 入力部(入力手段の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、
記録媒体に転写される画像が縁無し画像である場合に、前記加熱部材を制御して、前記加熱部材の加熱温度を、記録媒体に転写される画像が縁無し画像でない場合と比して、低くする制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、
記録媒体に転写される画像が縁無し画像である場合に、前記加圧部材を制御して、前記加圧部材の加圧力を、記録媒体に転写される画像が縁無し画像でない場合と比して、低くする制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項3】
前記加熱部材及び前記加圧部材の少なくとも一方を回転させるための駆動源を備え、
前記制御部は、記録媒体に転写される画像が縁無し画像である場合に、前記駆動源を制御して、回転する加熱部材及び加圧部材の周速度を、記録媒体に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して、遅くする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、
前記加熱部材及び前記加圧部材の少なくとも一方を回転させるための駆動源と、
記録媒体の先端部に転写される画像が縁無し画像である場合に、前記加熱部材を制御して、前記加熱部材の加熱温度を、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して低くすると共に、前記駆動源を制御して、回転する加熱部材及び加圧部材の周速度を、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して遅くする制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項5】
像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、
前記加熱部材及び前記加圧部材の少なくとも一方を回転させるための駆動源と、
記録媒体の先端部に転写される画像が縁無し画像である場合に、前記加圧部材を制御して、前記加圧部材の加圧力を、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して低くすると共に、前記駆動源を制御して、回転する加熱部材及び加圧部材の周速度を、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して遅くする制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項6】
像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、
記録媒体の先端部に転写される画像が縁無しベタ画像である場合に、前記加熱部材を制御して、前記加熱部材の加熱温度を、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無しベタ画像でない場合と比して、低くする制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項7】
像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、
記録媒体の先端部に転写される画像が縁無しベタ画像である場合に、前記加圧部材を制御して、前記加圧部材の加圧力を、記録媒体の先端部に転写される画像が縁無しベタ画像でない場合と比して、低くする制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項8】
像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、
記録媒体に転写される画像が縁無し画像かを入力する入力手段と、
記録媒体に転写される画像が縁無し画像であることが前記入力手段から入力された場合に、前記加熱部材を制御して、前記加熱部材の加熱温度を、記録媒体に転写される画像が縁無し画像であることが前記入力手段に入力されない場合と比して、低くする制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項9】
像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、
記録媒体に転写される画像が縁無し画像かを入力する入力手段と、
記録媒体に転写される画像が縁無し画像であることが前記入力手段から入力された場合に、前記加圧部材を制御して、前記加圧部材の加圧力を、記録媒体に転写される画像が縁無し画像であることが前記入力手段に入力されない場合と比して、低くする制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項10】
像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、
前記像保持体に形成されたトナー画像が転写される一の記録媒体が、他の記録媒体と比してトナー画像の記録媒体への定着温度が高く設定されている高温定着記録媒体で有るか否かを入力する入力手段と、
トナー画像が転写される記録媒体が高温定着記録媒体であることを前記入力手段から入力され、かつ高温定着記録媒体に転写される画像が縁無し画像である場合に、前記加熱部材を制御して、前記加熱部材の加熱温度を、トナー画像が転写される記録媒体が高温定着記録媒体であることを前記入力手段から入力され、かつ高温定着記録媒体に転写される画像が縁無し画像でない場合と比して、低くする制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項11】
像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、
前記像保持体に形成されたトナー画像が転写される一の記録媒体が、他の記録媒体と比してトナー画像の記録媒体への定着温度が高く設定されている高温定着記録媒体で有るか否かを入力する入力手段と、
トナー画像が転写される記録媒体が高温定着記録媒体であることを前記入力手段から入力され、かつ高温定着記録媒体に転写される画像が縁無し画像である場合に、前記加圧部材を制御して、前記加圧部材の加圧力を、トナー画像が転写される記録媒体が高温定着記録媒体であることを前記入力手段から入力され、かつ高温定着記録媒体に転写される画像が縁無し画像でない場合と比して、低くする制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項12】
前記加熱部材及び前記加圧部材の少なくとも一方を回転させるための駆動源を備え、
前記制御部は、記録媒体に転写される画像が縁無し画像であるために前記加熱部材の加熱温度を低くする場合に、前記駆動源を制御して、回転する加熱部材及び加圧部材の周速度を、記録媒体に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して、遅くする請求項6、8、10の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記加熱部材及び前記加圧部材の少なくとも一方を回転させるための駆動源を備え、
前記制御部は、記録媒体に転写される画像が縁無し画像であるために前記加圧部材の加圧力を低くする場合に、前記駆動源を制御して、回転する加熱部材及び加圧部材の周速度を、記録媒体に転写される画像が縁無し画像ではない場合と比して、遅くする請求項7、9、11の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材に対して記録媒体の搬送方向の下流側に設けられると共に、記録媒体に転写されたトナー画像を回転しながら加熱する加熱部材と、前記加熱部材に接して回転しながら記録媒体を前記加熱部材側に加圧してトナー画像を記録媒体に定着させる加圧部材とを備える定着装置と、
記録媒体に転写される画像が縁無し画像である場合に、定着装置を制御して、記録媒体に転写される画像が縁無し画像でない場合と比して、記録媒体に与えるエネルギーを小さくする制御部と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−61615(P2013−61615A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−269742(P2011−269742)
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】