説明

画像形成装置

【課題】感光体ドラムの表面に筋状の傷が生じること及び帯電ローラーの表面に筋状の汚染が生じることを低減して、画像不良の発生を抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体2を回転軸23の軸方向X−Yに往復移動させて、像担持体2とクリーニング部材32との接触位置を変化させる第1位置変更機構60と、帯電部材11を像担持体2の回転軸23の軸方向X−Yに往復移動させて、帯電部材11と像担持体2との接触位置を変化させる第2位置変更機構70と、を備え、第1位置変更機構60及び第2位置変更機構70は、像担持体2が一方の方向Xに最大移動されたときに、帯電部材11が一方の方向Xとは反対の方向Yに最大移動された位置関係となるように、像担持体2と帯電部材11とを互いに逆方向に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンター、複写機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、像担持体の表面に帯電部材を接触配置又は近接配置し、交流電圧と直流電圧とが重畳された振動電圧を帯電部材に印加することにより、像担持体の表面を所定の電位に帯電させる接触帯電方式が採用される。
【0003】
接触帯電方式の画像形成装置においては、帯電部材への振動電圧の印加により像担持体の表面を所定の電位に帯電し、次に、露光が行われて、像担持体の表面に静電潜像を形成し、続いて、像担持体の表面の静電潜像を現像装置により現像して、可視画像(トナー画像)を形成し、このトナー画像を用紙等の被転写材に転写し、転写後の像担持体の表面がクリーニング部材により清掃される。
【0004】
このような画像形成装置において、クリーニング部材が、常に、像担持体における軸方向の同じ位置で像担持体の表面に接触して所定の清掃を行うと、クリーニング部材の先端部に生じた転写残トナー等の付着物が像担持体の表面の同じ位置に接触し続けるために、像担持体の表面に周方向の筋状の傷が生じやすい。また、傷が生じた部分において、トナー中に含まれている表面処理剤がすり抜けることがあり、そのすり抜けた表面処理剤により帯電部材の表面に周方向の筋状の汚染が生じ、その結果、帯電不良によって画像に黒筋等の不具合が発生する場合がある。
【0005】
上述のような傷や不具合の発生を抑制する技術として、クリーニング部材を像担持体の軸方向に往復駆動移動(スラスト運動)させることにより、クリーニング部材による清掃機能を向上させるようにした画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、像担持体を像進行方向と直交する方向に往復移動させて、像担持体の表面とクリーニング部材との接触位置を変化させるようにした画像形成装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−356935号公報
【特許文献2】特開2006−10955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に開示された画像形成装置においては、クリーニング部材を像担持体の軸方向にスラスト運動させるための構成が複雑となり、大きなコストアップに繋がると共に、クリーニング部材のスラスト運動方向の端部エッジからトナー等の付着物が漏れ出しやすく、クリーニング性能の信頼性が劣る。
【0009】
また、特許文献2に開示された画像形成装置においては、像担持体の往復移動に伴って、トナー像が被転写材に対して像進行方向と直交する方向にスラスト移動してしまい、スキューしたような画像となってしまう。そのため、像担持体の往復移動幅は、自ずと制限され、十分に確保できない場合が多い。その結果、像担持体の表面に筋状の傷が生じることをある程度低減することが可能であるものの、すり抜けたトナー中の表面処理剤により帯電部材の表面に周方向の筋状の汚染を生じることは、十分に低減することができない。その結果、感光体ドラムの表面において、筋状の帯電不良が生じやすいという問題があった。
【0010】
本発明は、像担持体の表面に筋状の傷が生じること、及び、帯電部材の表面に筋状の汚染が生じることを十分に低減して、画像不良の発生を抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、回転軸を中心に回転し、表面にトナー像が担持される像担持体と、前記像担持体の表面に対向して該像担持体の表面に接触するように配置され、前記像担持体の表面を帯電する帯電部材と、前記トナー像が転写された後の前記像担持体の表面を清掃するクリーニング部材と、前記像担持体を前記回転軸の軸方向に往復移動させて、該像担持体と前記クリーニング部材との接触位置を変化させる第1位置変更機構と、前記帯電部材を前記像担持体の前記回転軸の軸方向に往復移動させて、該帯電部材と前記像担持体との接触位置を変化させる第2位置変更機構と、を備え、前記第1位置変更機構及び前記第2位置変更機構は、前記像担持体が一方の方向に最大移動されたときに、前記帯電部材が前記一方の方向とは反対の方向に最大移動された位置関係となるように、前記像担持体と前記帯電部材とを互いに逆方向に移動させる画像形成装置に関する。
【0012】
また、前記第1位置変更機構と前記第2位置変更機構とは、連動部材を介して同一の駆動装置により同期的に作動するように連動されていることが好ましい。
【0013】
また、前記連動部材は、前記像担持体の移動方向の端部及び前記帯電部材の移動方向の端部にそれぞれ接触する2つの接触部を有し、該2つの接触部の中間位置を支点として前記2つの接触部が互いに逆方向に往復揺動する揺動部材であることが好ましい。
【0014】
また、前記帯電部材は、前記像担持体の表面に接触して回転する帯電ローラーであることが好ましい。
【0015】
また、前記クリーニング部材は、ブレード状のクリーニングブレードであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、像担持体の表面に筋状の傷が生じること、及び、帯電部材の表面に筋状の汚染が生じることを十分に低減して、画像不良の発生を抑制することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態のプリンター1における各構成要素の配置を説明するための図である。
【図2】画像形成部GKの主要な構成要素の配置及び構成を示す概略断面図である。
【図3】感光体ドラム2、帯電ローラー11及びクリーニングブレード32について、感光体ドラム2の回転軸23の軸方向X−Yの配置関係を説明するための図である。
【図4】感光体ドラム2を往復移動させる第1位置変更機構60及び帯電ローラー11を往復移動させる第2位置変更機構70を駆動させる駆動装置110の構成を説明するための要部の拡大図である。
【図5】本発明の第2実施形態のプリンター1における第1位置変更機構60及び第2位置変更機構70を駆動させる駆動装置110Aの構成を説明するための要部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1及び図2により、本発明の画像形成装置としての第1実施形態のプリンター1における全体構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態のプリンター1における各構成要素の配置を説明するための図である。図2は、画像形成部GKの主要な構成要素の配置及び構成を示す概略断面図である。
【0019】
図1に示すように、第1実施形態のプリンター1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tに所定のトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHと、を有する。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
【0020】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2と、帯電装置10と、レーザースキャナーユニット4と、現像装置16と、トナーカートリッジ5と、トナー供給部6と、ドラムクリーニング部3と、除電部材としてのイレースランプ12と、転写ローラー8と、定着部9とを備える。
【0021】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部164と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラー対80と、排紙部50とを備える。
【0022】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、感光体ドラム2の表面に沿って順に、上流側から下流側に順に、帯電装置10による帯電、レーザースキャナーユニット4による露光、現像装置16による現像、転写ローラー8による転写、ドラムクリーニング部3によるクリーニング、及びイレースランプ12による除電が行われる。
【0023】
図2に示すように、感光体ドラム2は、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2は、アルミニウム製シリンダー21の表面に、正帯電性光導電体であるアモルファスシリコン層22が蒸着されて形成される。感光体ドラム2は、搬送路Lにおける用紙Tの搬送方向に対して直交する方向に延びる回転軸23を中心に、矢印の方向に定速回転可能に配置される。感光体ドラム2の表面には、静電潜像が形成され得る。
【0024】
図2に示すように、帯電装置10は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。帯電装置10は、感光体ドラム2の表面を一様に正(プラス極性)に帯電させる。
帯電装置10は、帯電ローラー11を有する。帯電ローラー11は、感光体ドラム2の表面を帯電する帯電部材である。帯電ローラー11は、感光体ドラム2の回転軸23と平行な回転軸14を中心に、感光体ドラム2の表面に接触して、矢印の方向に従動回転可能に配置される。
なお、本実施形態における帯電装置10は、帯電ローラー11の表面に接触して回転することにより帯電ローラー11の表面に付着した付着物を除去するブラシロールを備えていない。
【0025】
レーザースキャナーユニット4は、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2の表面から離間して配置される。レーザースキャナーユニット4は、不図示のレーザー光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モーター等を有して構成される。
レーザースキャナーユニット4は、PC(パーソナルコンピューター)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2の表面を走査露光する。レーザースキャナーユニット4により走査露光されることで、感光体ドラム2の表面の露光された部分の電荷は除去される。これにより、感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。
【0026】
現像装置16は、感光体ドラム2に対応して設けられ、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。現像装置16は、感光体ドラム2に形成された静電潜像に単色(通常はブラック)のトナーを付着させて、単色のトナー画像を感光体ドラム2の表面に形成する。現像装置16は、感光体ドラム2の表面に対向して配置された現像ローラー17、トナー攪拌用の攪拌ローラー18等を有して構成される。
【0027】
トナーカートリッジ5は、現像装置16に対応して設けられており、現像装置16に対して供給されるトナーを収容する。
【0028】
トナー供給部6は、トナーカートリッジ5及び現像装置16に対応して設けられており、トナーカートリッジ5に収容されたトナーを現像装置16に供給する。トナー供給部6と現像装置16とは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
【0029】
転写ローラー8は、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させる。転写ローラー8には、不図示の転写バイアス印加部により、感光体ドラム2に形成されたトナー画像を用紙Tに転写させるための転写バイアスが印加される。転写ローラー8は、感光体ドラム2に対して当接した状態で回転可能に構成される。
【0030】
図2に示すように、感光体ドラム2と転写ローラー8との間で、搬送路Lを搬送される用紙Tが挟み込まれる。挟み込まれた用紙Tは、感光体ドラム2の表面に押し当てられる。感光体ドラム2と転写ローラー8との間で、転写ニップNが形成される。転写ニップNにおいて、感光体ドラム2に現像されたトナー画像が用紙Tに転写される。
【0031】
図2に示すように、ドラムクリーニング部3は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部3は、感光体ドラム2の表面に接触して回転するクリーニングローラー31と、感光体ドラム2の表面に摺接するクリーニング部材としてのクリーニングブレード32と、クリーニングローラー31の外周面に摺接するスクレーパー33と、回収スパイラル34と、を有する。
ドラムクリーニング部3は、感光体ドラム2の表面に残存したトナーや付着物(水分を含む)をクリーニングローラー31及びクリーニングブレード32により除去すると共に、除去されたトナー等を回収スパイラル34により所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0032】
イレースランプ12は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。イレースランプ12は、感光体ドラム2の表面に光を照射することにより、転写が行われた後の感光体ドラム2の表面を除電する(電荷を除去する)。
【0033】
定着部9は、用紙Tに転写されたトナー画像を構成するトナーを、溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒーターにより加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟み込まれた状態で用紙Tが搬送されることで、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧され、用紙Tに定着される。
【0034】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する1個の給紙カセット52が配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの右側(図1における右側)から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板160が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板160の上に積層された状態で収容される。載置板160に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されるカセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板160上の用紙Tを取り出すための前送りコロ161と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラー対163とからなる重送防止機構を備える。
【0035】
装置本体Mの右側(図1において右側)には、手差し給紙部164が設けられる。手差し給紙部164は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部164は、閉状態において装置本体Mの前面の一部を構成する手差しトレイ165と、給紙コロ166とを備える。手差しトレイ165は、その下端において給紙コロ166の近傍の装置本体Mに回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ165には、用紙Tが載置される。給紙コロ166は、開状態の手差しトレイ165に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0036】
装置本体Mにおける上方側には、排紙部50が設けられる。排紙部50は、第3ローラー対53により用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50の詳細については後述する。
【0037】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から転写ニップNまでの第1搬送路L1と、転写ニップNから定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部164から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbと、を備える。
【0038】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻り搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部であり、第1ローラー対54a及び第2ローラー対54bを有する。第1ローラー対54aの一方のローラーと第2ローラー対54bの一方のローラーとは、兼用される。
【0039】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と転写ローラー8との間)には、用紙Tを検出するためのセンサー(不図示)と、レジストローラー対80と、が配置される。センサーは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラー対80の直前(搬送方向における上流側)に配置される。レジストローラー対80は、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や、画像形成部GKにおけるトナー画像の形成と用紙Tの搬送とのタイミングを合わせるために、設けられる。レジストローラー対80は、センサーからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0040】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を感光体ドラム2に対向させるために設けられる搬送路である。
戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から第1ローラー対54aにより排紙部50側に搬送された用紙Tを、表裏反転させて第2ローラー対54bにより第1搬送路L1に戻して、転写ローラー8の上流側に配置されたレジストローラー対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tにおける未印刷面には、転写ニップNにおいて、所定のトナー画像が転写される。
【0041】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの右側(図1において右側、手差し給紙部164側)に向けて開口している。排紙部50は、第3搬送路L3を搬送される用紙Tを、第3ローラー対53により装置本体Mの外部に排紙する。
【0042】
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され且つ排紙部50から排紙された用紙Tが、積層して集積される。
なお、各搬送路の所定位置には、用紙検出用のセンサーが配置される。
【0043】
次に、図1を参照して、第1実施形態のプリンター1の動作について、簡単に説明する。
まず、給紙カセット52に収容された用紙Tに片面印刷を行う場合について説明する。
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ161及び給紙ローラー対163によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介してレジストローラー対80に搬送される。
レジストローラー対80においては、用紙Tのスキュー補正や、トナー画像とのタイミング調整が行われる。
【0044】
レジストローラー対80から排出された用紙Tは、第1搬送路L1を介して感光体ドラム2と転写ローラー8との間(転写ニップN)に導入される。そして、感光体ドラム2と転写ローラー8との間において、用紙Tには、トナー画像が転写される。
その後、用紙Tは、感光体ドラム2と転写ローラー8との間から排出され、第2搬送路L2を介して、定着部9における加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップに導入される。そして、定着ニップにおいてトナーが溶融し、トナーは用紙Tに定着される。
【0045】
次いで、用紙Tは、第1ローラー対54aにより第3搬送路L3を通して排紙部50に搬送され、第3ローラー対53により排紙部50から排紙集積部M1に排出される。
このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
【0046】
手差しトレイ165に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ165に載置された用紙Tは、給紙コロ166によって手差し搬送路Laに送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、レジストローラー対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
【0047】
次に、図3及び図4により、第1実施形態の特徴部分について説明する。図3は、感光体ドラム2、帯電ローラー11及びクリーニングブレード32について、感光体ドラム2の回転軸23の軸方向X−Yの配置関係を説明するための図である。図4は、感光体ドラム2を往復移動させる第1位置変更機構60及び帯電ローラー11を往復移動させる第2位置変更機構70を駆動させる駆動装置110の構成を説明するための要部の拡大図である。
【0048】
図3に示すように、感光体ドラム2は、装置本体M(図3には図示せず)に対して、回転軸23の軸方向X−Yに往復移動可能に支持されている。帯電ローラー11は、装置本体Mに対して、回転軸14と平行な回転軸23の軸方向X−Yに往復移動可能に、支持されている。
感光体ドラム2の軸方向長さLJ1は、帯電ローラー11の軸方向長さLJ3よりも大きく、すなわち、LJ1>LJ3の関係となっている。また、クリーニングブレード32の長さLJ2は、感光体ドラム2の軸方向長さLJ1よりも小さく、且つ、帯電ローラー11の軸方向長さLJ3よりも大きく、すなわち、LJ1>LJ2>LJ3の関係となっている。感光体ドラム2、帯電ローラー11及びクリーニングブレード32は、それぞれの長さLJ1、LJ2及びLJ3の中央位置が一致するように、配置される。
【0049】
プリンター1は、感光体ドラム2を移動させる第1位置変更機構60と、帯電ローラー11を移動させる第2位置変更機構70と、を備える。
第1位置変更機構60は、感光体ドラム2を回転軸23の軸方向X−Yに往復移動させることにより、感光体ドラム2の表面とクリーニングブレード32との接触位置を変化させる。第2位置変更機構70は、帯電ローラー11を、回転軸14の軸方向X−Yに往復移動させることにより、帯電ローラー11と感光体ドラム2の表面との接触位置を変化させる。
【0050】
第1位置変更機構60及び第2位置変更機構70は、感光体ドラム2が軸方向X−Yの第1方向Xに最大移動されたときに、帯電ローラー11が軸方向X−Yの第2方向Yに最大移動された関係となり且つ感光体ドラム2が軸方向X−Yの第2方向Yに最大移動されたときに、帯電ローラー11が軸方向X−Yの第1方向Xに最大移動された関係となるように、感光体ドラム2と帯電ローラー11とを互いに逆方向に移動させる機構である。
即ち、図3に示すように、感光体ドラム2と帯電ローラー11とが軸方向X−Yの互いに逆方向に往復移動される状態において、感光体ドラム2の軸方向X−Yの端面2Eと帯電ローラー11の軸方向X−Yの端面11E(端面2Eと同じ側の端面)との間の距離は、最大でA、最小でBとなる。
【0051】
感光体ドラム2の軸方向X−Yの移動距離Cは、筋状の傷の低減効果を得る点から、好ましくは0.2mm以上である。感光体ドラム2の移動距離Cは、画像のスキューの許容上限などによって決定されるが、好ましくは1mm以下である。なお、カラーの画像形成装置の場合には、感光体ドラム2の移動距離Cの好ましい上限値は、色ズレの許容値によっても決定される。
【0052】
図4に示すように、第1位置変更機構60と第2位置変更機構70とは、感光体ドラム2の往復移動方向(軸方向X−Y)の一端部(感光体ドラム2の端面2E)及び帯電ローラー11の往復移動方向(軸方向X−Y)の一端部(回転軸14の端面14E)において、連動部材100を介して同一の駆動装置110により同期的に作動するように連動されている。
連動部材100は、感光体ドラム2の軸方向X−Yの一端フランジ部2Fの端面2E及び帯電ローラー11の回転軸14の一端部の端面14Eにそれぞれ接触する2つの接触部101、102を有し、これら2つの接触部101、102の中間位置を支点103として往復揺動する揺動部材である。この揺動部材(連動部材)100が支点103を中心にして往復揺動することにより、2つの接触部101、102は、互いに逆方向に往復揺動される。
【0053】
尚、感光体ドラム2の移動距離Cと帯電ローラー11の移動距離Dとが等しい場合には、連動部材(揺動部材)100の支点103は、2つの接触部101、102を結ぶ距離の2等分位置に配置される。
一方、感光体ドラム2の移動距離Cと帯電ローラー11の移動距離Dとが等しくない場合には、連動部材(揺動部材)100の支点103は、2つの接触部101、102を結ぶ距離の2等分位置に対して移動距離の小さい側に偏倚して、配置される。感光体ドラム2の移動距離Cが大きいと画像の劣化が生じやすいため、感光体ドラム2の移動距離Cは、極力小さいことが好ましい。その場合、支点103を感光体ドラム2の側に偏倚させて配置させる構成を採用できる。
【0054】
駆動装置110は、駆動モーター111と、駆動モーター111の出力軸112に固定された回転カム113と、回転カム113と、2つのスライド部材114、115と、スライド支持部材116と、を有する。2つのスライド部材114、115の一端部は、回転カム113におけるカム面113Aにおける180°回転位相の異なる高低2箇所に当接する。スライド支持部材116は、2つのスライド部材114、115を感光体ドラム2の軸方向X−Yに往復スライド自在に受け止めて支持する。
【0055】
2つのスライド部材114、115の他端部は、連動部材(揺動部材)100における2つの接触部101、102の背面側に当接されている。
また、感光体ドラム2を軸方向X−Yの他端部側及び帯電ローラー11の他端部側には、コイルスプリング(不図示)が介装されている。コイルスプリングは、感光体ドラム2を回転軸23の軸方向X−Yの一端部側に移動させるように付勢すると共に、帯電ローラー11を回転軸14の一端部側に移動させるように付勢する。
【0056】
上述のような構成の第1位置変更機構60、第2位置変更機構70及び駆動装置110を備えるプリンター1においては、駆動モーター111を作動させて回転カム113を、駆動モーター111の出力軸112を中心にして一方向に連続駆動回転させる。これにより、2つのスライド部材114、115は、回転カム113のカム面113Aの高低に対応してそれぞれ軸方向X−Yに互いに逆方向に、往復スライドする。
【0057】
そして、2つのスライド部材114、115が軸方向X−Yへ往復スライドすることによって、連動部材100は支点103を中心にして往復揺動されて、2つの接触部101、102は、互いに逆方向に往復揺動される。この2つの接触部101、102が互いに逆方向へ往復揺動することにより、第1位置変更機構60と第2位置変更機構70とは同期的に作動する。そして、感光体ドラム2が軸方向X−Yの第1方向Xに最大移動されたときに、帯電ローラー11が軸方向X−Yの第2方向Yに最大移動された関係となり且つ感光体ドラム2が軸方向X−Yの第2方向Yに最大移動されたときに、帯電ローラー11が軸方向X−Yの第1方向Xに最大移動された関係となるように、感光体ドラム2と帯電ローラー11とは互いに逆方向に移動される。
【0058】
これによって、感光体ドラム2の表面とクリーニング部材32との接触位置が常に変化するため、感光体ドラム2の表面に筋状の傷が生じることを低減することが可能である。
【0059】
また、感光体ドラム2と帯電ローラー11とが軸方向X−Yに互いに逆方向に移動するため、感光体ドラム2の表面に生じた少ない筋状の傷からトナー中の表面処理剤がすり抜けたとしても、そのすり抜けたトナー中の表面処理剤を帯電ローラー11の軸方向X−Yに広く分散させることができる。これにより、帯電ローラー11の表面に筋状の汚染を生じることを十分に低減することが可能となり、その結果、感光体ドラム2の表面において筋状の帯電不良が生じることを抑制できる。
【0060】
本実施形態によれば、例えば、次の効果が奏される。
本実施形態のプリンター1は、感光体ドラム2を回転軸23の軸方向X−Yに往復移動させる第1位置変更機構60と、帯電ローラー11を感光体ドラム2の回転軸23の軸方向X−Yに往復移動させる第2位置変更機構70と、を備え、第1位置変更機構60及び第2位置変更機構70は、感光体ドラム2が軸方向X−Yの第1方向Xに最大移動されたときに、帯電ローラー11が軸方向X−Yの第2方向Yに最大移動された関係となり且つ感光体ドラム2が軸方向X−Yの第2方向Yに最大移動されたときに、帯電ローラー11が軸方向X−Yの第1方向Xに最大移動された関係となるように、感光体ドラム2と帯電ローラー11とを互いに逆方向に移動させる。
【0061】
そのため、本実施形態によれば、回転軸23の軸方向X−Yへの感光体ドラム2の往復移動により、感光体ドラム2の表面とクリーニングブレード32との接触位置が常に同じでなく、常時変化することになる。これによって、感光体ドラム2の表面に周方向の筋状の傷が発生することを低減できる。
【0062】
また、感光体ドラム2と帯電ローラー11との相対的な移動距離が最大となるように、感光体ドラム2及び帯電ローラー11の往復移動幅を十分に確保することが可能である。そのため、感光体ドラム2の表面からトナー中の表面処理剤がすり抜けることがあっても、そのすり抜けた表面処理剤により帯電ローラー11の表面に生じる筋状の汚染を軸方向X−Yに広く分散させることができる。これによって、帯電ローラー11の表面に筋状の汚染が生じることを低減できる。従って、帯電ローラー11による感光体ドラム2の表面への筋状帯電に伴って画像形成不良が発生することを抑制することができる。
また、帯電装置10において、帯電ローラー11の表面の汚染が少ないため、例えば、帯電ローラー11の表面に接触して回転することにより帯電ローラー11の表面に付着した付着物を除去するブラシロールを、省略することができる。従って、帯電装置10の構成を簡易化することができる。
【0063】
また、本実施形態のプリンター1において、第1位置変更機構60と第2位置変更機構70とは、連動部材100を介して同一の駆動装置110により同期的に作動するように連動されている。
そのため、第1位置変更機構60の駆動装置及び第2位置変更機構70の駆動装置を単一の駆動装置110で兼用することができる。これによって、プリンター1の全体構成を簡単化できると共に、低コスト化を図ることができる。
【0064】
また、本実施形態のプリンター1において、連動部材100は、感光体ドラム2の軸方向X−Yの一端フランジ部2Fの端面2E及び帯電ローラー11の回転軸14の一端部の端面14Eにそれぞれ接触する2つの接触部101、102を有し、これら2つの接触部101、102の中間位置を支点103として往復揺動する揺動部材である。
そのため、第1位置変更機構60と第2位置変更機構70とを連動させる連動部材100自体も比較的単純な構成で形成することができ、プリンター1の全体構成を一層簡略化できると共に、低コスト化できる。
【0065】
更に、本実施形態のプリンター1においては、帯電部材として、感光体ドラム2の表面に接触して従動回転する帯電ローラー11を用いている。そのため、長期間に渡って感光体ドラム2の表面を均一に帯電することを維持できる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定することなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、前述の実施形態では、感光体ドラム2の軸方向X−Yの一端フランジ部2Fの端面2E及び帯電ローラー11の回転軸14の一端部の端面14Eにそれぞれ接触する2つの接触部101、102の中間位置を支点103として往復揺動する揺動部材を、第1位置変更機構60及び第2位置変更機構70を同一の駆動装置110に同期的に作動させるための連動部材100として用いたが、これに限定されない。
【0067】
例えば、連動部材100の2つの接触部101、102が接触する部位は、感光体ドラム2の回転軸23の端部(端面)でもよく、帯電ローラー11の端部(端面)でもよい。
【0068】
図5は、本発明の第2実施形態のプリンター1における第1位置変更機構60及び第2位置変更機構70を駆動させる駆動装置110Aの構成を説明するための要部の拡大図である。図5に示すように、駆動装置110Aは、回転カム120,121を有する連動部材100Aと、感光体ドラム2の回転軸23に直交するように配置される駆動モーター122と、を備える。回転カム120、121は、感光体ドラム2の軸方向X−Yの一端フランジ部2Fの端面2E、及び帯電ローラー11の回転軸14の一端部の端面14Eにそれぞれ接触する。回転カム120、121は、駆動モーター122の出力軸123に固定される。2つの回転カム120、121を有する連動部材100Aを介して、第1位置変更機構60と第2位置変更機構70とは、同一の駆動装置110Aにより同期的に作動する。
【0069】
連動部材100,100A及び駆動装置110,110Aとしては、上述の構成以外のものであってもよい。また、第1位置変更機構60と第2位置変更機構70とを別々の駆動装置により同期的に作動させるように構成してもよい。
【0070】
また、上述の実施形態においては、感光体ドラム2の軸方向X−Yへの往復移動周期と帯電ローラー11の軸方向X−Yへの往復移動周期とが一致している場合について説明したが、両移動周期は、ずれていてもよい。
また、本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、コピー機、プリンター、ファクシミリ、又はこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1……プリンター(画像形成装置)、2……感光体ドラム(像担持体)、2E……端面(端部)、3……クリーニング部、10……帯電装置、11……帯電ローラー(帯電部材)、14……回転軸、14E……端面(端部)、23……回転軸、32……クリーニングブレード(クリーニング部材)、60……第1位置変更機構、70……第2位置変更機構、100、100A……連動部材(揺動部材)、101、102……接触部、103……支点、110、110A……駆動装置、X−Y……軸方向(移動方向)、X……一方の方向、Y……反対の方向、T……用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転し、表面にトナー像が担持される像担持体と、
前記像担持体の表面に対向して該像担持体の表面に接触するように配置され、前記像担持体の表面を帯電する帯電部材と、
前記トナー像が転写された後の前記像担持体の表面を清掃するクリーニング部材と、
前記像担持体を前記回転軸の軸方向に往復移動させて、該像担持体と前記クリーニング部材との接触位置を変化させる第1位置変更機構と、
前記帯電部材を前記像担持体の前記回転軸の軸方向に往復移動させて、該帯電部材と前記像担持体との接触位置を変化させる第2位置変更機構と、を備え、
前記第1位置変更機構及び前記第2位置変更機構は、前記像担持体が一方の方向に最大移動されたときに、前記帯電部材が前記一方の方向とは反対の方向に最大移動された位置関係となるように、前記像担持体と前記帯電部材とを互いに逆方向に移動させる
画像形成装置。
【請求項2】
前記第1位置変更機構と前記第2位置変更機構とは、連動部材を介して同一の駆動装置により同期的に作動するように連動されている
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記連動部材は、前記像担持体の移動方向の端部及び前記帯電部材の移動方向の端部にそれぞれ接触する2つの接触部を有し、該2つの接触部の中間位置を支点として前記2つの接触部が互いに逆方向に往復揺動する揺動部材である
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記帯電部材は、前記像担持体の表面に接触して回転する帯電ローラーである
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記クリーニング部材は、ブレード状のクリーニングブレードである
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−7824(P2013−7824A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139354(P2011−139354)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】