画像形成装置
【課題】像担持体の偏芯により露光位置での潜像書き込み位置が所定の書き込み位置からずれてしまう。このずれにより色ずれが発生するため、潜像位置を正確に把握する必要がある。
【解決手段】第1像担持体で転写された画像位置に合うように、第2像担持体以下の転写位置で画像位置を合わせるよう制御を行う画像形成装置で、像担持体の偏芯による露光位置での潜像書き込み位置のずれ量を求め、色ずれがなくなるように像担持体を制御する。像担持体の偏芯を検出し、検出結果を元に潜像書き込み位置情報を補正する。
【解決手段】第1像担持体で転写された画像位置に合うように、第2像担持体以下の転写位置で画像位置を合わせるよう制御を行う画像形成装置で、像担持体の偏芯による露光位置での潜像書き込み位置のずれ量を求め、色ずれがなくなるように像担持体を制御する。像担持体の偏芯を検出し、検出結果を元に潜像書き込み位置情報を補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動されてトナー像が形成される像担持体から搬送体に対してトナー像を重ね合わせて多重転写画像を形成する画像形成装置に関する。ここで、搬送体とは、回転駆動されるベルト型やドラム型等の中間転写体や、シート状の記録材を担持して搬送するベルト型やドラム型等の記録材搬送体である。
【背景技術】
【0002】
互いに異なる色のトナー像が形成される複数の像担持体を搬送体の移動方向に沿って配置してフルカラー画像を形成するタンデム型の画像形成装置がある。タンデム型の画像形成装置は、画像形成タイミングを制御し像担持体上に形成されたトナー像を同一の搬送体上で重ね合わせることでフルカラー画像を得る方式であるため、高速化に適しており、広く実用化されている。
【0003】
近年の高解像度化が進んだタンデム型の画像形成装置は、複数の像担持体を用いるため、像担持体各々や搬送体の特性(機械精度や駆動制御精度など)に起因するトナー像の位置ずれの影響が大きくなりやすい。この位置ずれが高精細なフルカラー画像においては影響がおおきくなり、色ずれ・色むらが問題となっている。
【0004】
特許文献1では、複数の像担持体からそれぞれ中間転写体に転写させた制御用トナー像を中間転写体上で検知して、検知結果を元に複数の像担持体における露光開始タイミングを調整する画像形成装置が示されている。制御用トナー像は、中間転写体の移動方向と幅方向に形成される。検知結果に基づいて像担持体への静電像の書き込み開始タイミングが調整される。
【0005】
特許文献2では像担持体の回転方向、搬送体の移動方向に位置指標を設け、その位置指標の検知装置が転写位置に配置された画像形成装置が示されている。搬送体と像担持体の位置指標の検知結果に基づいて、搬送体位置指標に対して対応する像担持体の位置を調整するように像担持体の回転制御を行う。像担持体と搬送体の短い周期の速度変動にも追従して、トナー像を転写部で精密に重ね合わせるため、色ずれが低減される。
【0006】
特許文献3では、像担持体の偏芯による転写位置での転写位置がずれることによって発生する色ずれを推測し、露光開始タイミングもしくは露光位置を調整する画像形成装置が示されている。像担持体の偏芯状態を検知し、偏芯量に基づいて理想形状のときと実際の像担持体との転写位置ずれを求める。ずれ量から露光タイミングまたは露光位置の制御を行うことによりトナー画像の歪みおよび色ずれの補正を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭64−6981号公報
【特許文献2】特開2009−134264号公報
【特許文献3】特開2001−343808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
タンデム型の画像形成装置では、中間転写体と像担持体との間に速度差があると、第1像担持体から中間転写体に転写された第1色トナー像に対する第2像担持体に形成された第2色トナー像の重ね合わせ誤差が発生する。なお、第2色トナー像とは、1番目に転写された第1色トナー像に位置決めされる第2色、第3色、第4色、第5色などのトナー像の1つである。
【0009】
特許文献1では、静電像の書き込みを開始する前に発生した第1色トナー像と第2色トナー像との重ね合わせ誤差を相殺するように露光タイミングを調整している。
【0010】
しかし、像担持体には、像担持体の偏芯や負荷変動に起因して短い周期の速度変動が常時発生する。中間転写体には、厚み変動や駆動ローラの偏芯や負荷変動に起因して像担持体以上に大きな振幅で短い周期の速度変動が常時発生している。そして、両者の速度変動により深刻なレベルの速度差が周期的に発生する可能性がある。
【0011】
特許文献1では、像担持体の回転周期以下の短い周期の回転ムラや速度変動による第1トナー像と第2トナー像の重ね合わせ誤差に対処できない。そのため、像担持体の回転周期以下の短い周期の回転むらや速度変動による第1色トナー像と第2色トナー像の重ね合わせ誤差には対処できない。
【0012】
特許文献2では、像担持体と中間転写体に位置指標を形成し、転写部における位置指標の検出結果を元にトナー像を転写部で精密に重ね合わせをすることで、像担持体と中間転写体の短い周期の速度変動にも追従して、安定した補正制御を行っている。像担持体の位置指標として、磁気記憶目盛・固定目盛・トナー目盛を実施例として挙げている。
【0013】
像担持体の位置指標を検知する方法の代わりとして、像担持体の軸角速度の検知を用いることが出来る。軸角速度検知装置は、像担持体の軸に取り付けるため、比較的簡単に安定した検知が可能である。しかし、像担持体の偏芯による影響があるため、トナー像の正確な位置を把握することはできない。偏芯の影響を考慮に入れず、像担持体と中間転写体上の位置指標を検知し、検知結果を元に像担持体を制御して重ねあわせを行っても、転写位置の実速度は偏芯の影響により色ずれが残ってしまう。
【0014】
特許文献3では、像担持体の偏芯の影響による転写位置がずれることによる色ずれを露光タイミング・露光位置を制御することで補正を行っている。しかし、像担持体の偏芯による色ずれは、露光位置と転写位置の両方で発生する。転写位置における色ずれを補正しても、露光位置における色ずれが残ってしまう。
【0015】
本発明は上記の従来技術を更に発展させたものである。その目的とするところは、像担持体と中間転写体の短い周期の速度変動にも追従して、トナー像を転写部で重ね合わせできる画像形成装置において、露光位置での像担持体の偏芯による潜像書き込み位置ずれを正確に把握し、安定した補正制御を行うことにある。像担持体の位置指標として軸角速度を用いる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、回転可能な感光体ドラムと、トナー像が形成される搬送体と、前記感光体ドラムに光を照射して潜像形成を行う露光装置と、前記露光装置により前記感光体ドラムに形成された潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像装置と、前記感光体ドラムに形成されたトナー像を前記搬送体に転写する転写装置と、を持つ画像形成装置において、前記露光装置からの露光タイミングで前記感光体ドラムの回転角度を検出する感光体ドラム角度検出装置と、前記感光体ドラムの回転軸から前記感光体ドラムの表面までの距離と前記感光体ドラムへの前記露光装置からの光の入射角から求められる補正値により補正処理を行う補正処理装置と、前記補正処理装置により補正された位置情報に基づいて、転写位置における前記感光体ドラムの位置制御を行う感光体ドラム制御装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、露光位置での感光体ドラムの偏芯による潜像書き込み位置ずれを正確に把握し、安定した補正制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態における画像形成装置の概略構成図
【図2】図1の部分的拡大図(第1の画像形成部の拡大図)
【図3】露光位置における像担持体の偏芯による潜像書き込み位置ずれを説明する図
【図4】図1の画像形成装置における色ずれ低減制御に係る機構部分の説明図
【図5】角度読み取り装置の説明図
【図6】制御構成の説明図
【図7】目標ドラムアドレス取得タスクのフローチャート
【図8】目標ベルトアドレス取得のフローチャート
【図9】ベルトドラム合わせタスクのフローチャート
【図10】メインルーチンのフローチャート
【図11】第2実施形態における画像形成装置の概略構成図
【図12】第3実施形態における画像形成装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明のいくつかの実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明は形成済みの第1色トナー像と形成済みの第2色トナー像とを移動方向に相対移動させて重ね合わせる限りにおいて、各実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。第2色トナー像とは、1番目に転写された第1色トナー像に位置決めされる第2色、第3色、第4色、第5色・・・・などのトナー像の1つである。
【0020】
従って、搬送体として中間転写体を用いる画像形成装置に限らず、記録材搬送体に担時された記録材へトナー像を転写する画像形成装置でも実施できる。中間転写体や記録材搬送体に沿って複数の像担持体を配置したタンデム型画像形成装置のみならず、1個の像担持体に複数色のトナー像を形成する1ドラム型画像形成装置でも実施できる。
【0021】
<第1実施形態>
(1)画像形成装置例の説明
図1は本実施形態における画像形成装置100の概略構成図である。この装置100はタンデム方式−中間転写ベルト方式の電子写真フルカラーレーザビームプリンタである。パソコン等のホスト装置200から露光制御部(制御回路部:制御手段)110に入力する電気的画像信号に基づいて記録材Pにフルカラー画像を形成することができる。記録材Pはトナー像(現像剤像)を形成することができるシート状の記録媒体であり、普通紙、光沢紙、封筒、はがき、ラベル、OHPシートなどである。
【0022】
装置100には、矢印R2の方向に所定の速度で回転可能な搬送体としての中間転写ベルト9に沿って上流側から下流側に順にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色トナー像をそれぞれ形成する4つの画像形成部PY、PM、PC、PKが配置されている。中間転写ベルト9は、駆動ローラ13、テンションローラ12、バックアップローラ10に掛け渡されて支持されており、矢印R2の方向に所定の速度で回転駆動される。以下で説明する構成機器・部材の記号末尾のY、M、C、Kはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色別の構成機器・部材であることを表している。
【0023】
画像形成部PYでは矢印R1の方向に所定の速度で回転可能な感光体ドラム1Y(第1像担持体)の表面にイエロートナー像が形成される。そのトナー像が第1転写部TYにおいて第1転写装置5Yによって中間転写ベルト9に対して一次転写される。画像形成部PMでは感光体ドラム1M(第2像担持体)の表面にマゼンタトナー像が形成される。そのトナー像が第2転写部TMにおいて第2転写装置5Mによって中間転写ベルト9に対して、既に転写されているイエロートナー像に重ね合わされて一次転写される。
【0024】
画像形成部PCでは、感光体ドラム1Cの表面にシアントナー像が形成される。そのトナー像が第3転写部TCにおいて第3転写装置5Cによって中間転写ベルト9に対して、既に転写されているイエロートナー像+マゼンタトナー像に重ね合わされて一次転写される。画像形成部PKでは、感光体ドラム1Kの表面にブラックトナー像が形成される。そのトナー像が第4転写部TKにおいて第4転写装置5Kによって中間転写ベルト9に対して、既に転写されているイエロートナー像+マゼンタトナー像+シアントナー像に重ね合わされて一次転写される。
【0025】
かくして、中間転写ベルト9が第1〜第4の転写部TY、TM、TC、TKを順次に通過することで、中間転写ベルト9上にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色重ね合わせ(重畳転写)の未定着のトナー像が形成される。中間転写ベルト9に担持された4色重ね合わせトナー像は、引き続く中間転写ベルト9の移動により二次転写部T2へ搬送されて記録材Pに対して順次に一括二次転写される。記録材Pは、給紙カセット20から給紙ローラ14によって引き出され、分離装置15によって1枚ずつに分離され、搬送路15aにてレジストローラ16へ送り出される。
【0026】
レジストローラ16は、中間転写ベルト9上のトナー像に先頭を一致させて、記録材Pを二次転写部T2へ給送する。この二次転写部T2で中間転写ベルト9側のトナー像が記録材Pへ順次に一括二次転写される。二次転写部T2を出た記録材Pは中間転写ベルト9から分離されて定着装置17へ導入されて加熱加圧される。これにより未定着のトナー像が固着画像として記録材面に定着される。そして、記録材Pは定着装置17を出てフルカラー画像形成物として排出される。
【0027】
また、二次転写部T2を通過した中間転写ベルト9は中間転写ベルトクリーニング装置18により二次転写残トナーが除去されて繰り返して画像形成に供される。
【0028】
各画像形成部PY、PM、PC、PKは互いに同様の構成の電子写真画像形成機構であり、それぞれの現像装置4Y、4M、4C、4Kで用いるトナー(現像剤)の色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なるだけである。図2はイエローのトナー像を形成する第1の画像形成部PYの拡大図である。以下では、代表的に第1の画像形成部PYについて説明し、第2〜第4の画像形成部PM、PC、PKについては、構成機器・部材の記号末尾の色別記号としてのYをC、M、Kに読み替えて説明されるものとする。
【0029】
画像形成部PYは、感光体ドラム1Yの周囲に、帯電装置2Y、露光装置3Y、現像装置4Y、一次転写ローラ5Y、クリーニング装置6Yを配置する。第1像担持体の一例である感光体ドラム1Yは、アルミニウム製シリンダの外周面に、帯電極性が負極性の有機光導電体層(OPC)を塗布して構成され、矢印R1の方向に所定の速度で回転駆動される。
【0030】
帯電装置2Yは、電源D3から負極性の電圧を印加されて、感光体ドラム1Yの表面に帯電粒子を照射することにより、感光体ドラム1Yの表面を一様な負極性の電位に帯電する。第1静電像形成手段の一例である露光装置3Yは、イエローの分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザビームを回転ミラーで走査する。これにより、帯電した感光体ドラム1Yの表面に600dpi(ドット/インチ)の解像度で静電像を書き込む(レーザビームによる走査露光)。
【0031】
露光装置3Yは感光体ドラム1Yに光を照射して潜像形成を行う装置であり、本実施形態においては上記のようにレーザビーム走査露光装置である。
【0032】
第1現像手段の一例である現像装置4Yは、トナーに磁性キャリアを混合した二成分現像剤を攪拌してトナーを負極性に帯電させる。帯電したトナーは、固定磁極4jの周囲で感光体ドラム1Yとカウンタ方向(感光体ドラムとの対向部においてカウンタ方向)に回転する現像スリーブ4sに穂立ち状態で担持されて、感光体ドラム1Yを摺擦する。電源D4は、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を現像スリーブ4sに印加して、現像スリーブ4sよりも相対的に正極性となった感光体ドラム1Yの静電像へトナーを付着させて、静電像を反転現像する。
【0033】
一次転写ローラ5Yは、感光体ドラム1Yとの間に中間転写ベルト9を挟持して、感光体ドラム1Yと中間転写ベルト9との間に第1の転写部の一例である一次転写部TYを形成する。電源DYは、正極性の直流電圧を一次転写ローラ5Yに印加して、負極性に帯電して感光体ドラム1Yに担持されたトナー像を、一次転写部TYを通過する中間転写ベルト9へ一次転写させる。クリーニング装置6Yは、クリーニングブレードを感光体ドラム1Yに摺擦して、一次転写部TYを通過して感光体ドラム1Yの表面に残留した一次転写残トナーを除去する。
【0034】
二次転写ローラ11は、中間転写ベルト9を介してバックアップローラ10に圧接して、中間転写ベルト9と二次転写ローラ11との間に二次転写部T2を形成する。二次転写部T2は、中間転写ベルト9のトナー像に重ね合わせて記録材Pを挟持搬送し、記録材Pが二次転写部T2を通過する過程で、中間転写ベルト9から記録材Pへトナー像を二次転写させる。
【0035】
電源D2は、正極性の直流電圧を二次転写ローラ11に印加して、バックアップローラ10と中間転写ベルト9と記録材Pと二次転写ローラ11との直列回路に転写電流を流す。転写電流の一部が中間転写ベルト9のトナー載り部を流れて、中間転写ベルト9から記録材Pへのトナーの移動に関与する。
【0036】
(2)色ずれ低減化制御
前述したように、上記のようなタンデム型の画像形成装置では、中間転写体である中間転写ベルト9と像担持体である感光体ドラム1との間に速度差があると、色トナー像間での重ね合わせ誤差が発生する。即ち、第1像担持体から中間転写体に転写された第1色トナー像に対する第2像担持体に形成された第2色トナー像の重ね合わせ誤差が発生する。ここで、第2色トナー像とは、1番目に転写された第1色トナー像に位置決めされる第2色、第3色、第4色、第5色などのトナー像の1つである。
【0037】
本実施形態においては、像担持体と中間転写体の短い周期の速度変動にも追従して、トナー像を転写部で重ね合わせできる画像形成装置において、露光位置での像担持体の偏芯による潜像書き込み位置ずれを正確に把握し、安定した補正制御を行う。像担持体の位置指標として軸角速度を用いる。
【0038】
即ち、像担持体の偏芯により露光位置での潜像書き込み位置が所定の書き込み位置からずれてしまう。このずれにより色ずれが発生するため、潜像位置を正確に把握する必要がある。そこで、第1像担持体で転写された画像位置に合うように、第2像担持体以下の転写位置で画像位置を合わせるよう制御を行う画像形成装置で、像担持体の偏芯による露光位置での潜像書き込み位置のずれ量を求める。そして、色ずれがなくなるように像担持体を制御する。像担持体の偏芯を検出し、検出結果を元に潜像書き込み位置情報を補正する。
【0039】
より具体的には、画像形成装置100は、露光装置からの露光タイミングで感光体ドラムの回転角度を検出する感光体ドラム角度検出装置を有する。また、感光体ドラムの回転軸から感光体ドラムの表面までの距離と感光体ドラムへの露光装置からの光の入射角から求められる補正値により補正処理を行う補正処理装置を有する。また、補正処理装置により補正された位置情報に基づいて、転写位置における感光体ドラムの位置制御を行う感光体ドラム制御装置を有する。
【0040】
以下、上記のような画像形成装置において像担持体である感光体ドラムの偏芯による潜像書き込みの位置ずれに伴う色ずれを低減するための制御構成を図3乃至図10により説明する。
【0041】
図3は露光位置における感光体ドラムの偏芯による潜像書き込み位置ずれを説明する図である。図4は図1の画像形成装置100における色ずれ低減制御に係る機構部分の説明図である。図5は角度読み取り装置の説明図である。図6は制御構成の説明図である。図7は目標ドラムアドレス取得タスクのフローチャートである。図8は目標ベルトアドレス取得のフローチャートである。図9はベルトドラム合わせタスクのフローチャートである。図10はメインルーチンのフローチャートである。
【0042】
図3において、1aは感光体ドラムD(1)の回転軸(回転軸線)、rは感光体ドラムDの半径である。図1、図2に示すように、レーザ光路Lは感光体ドラム1に垂直になっておらず、レーザLの反射光による露光装置3への影響を無くすために、照射角度(入射角)βだけ傾いている。レーザ照射角度βに傾きがある場合での偏芯のない理想的な感光体ドラムD1における潜像書き込み位置L1と、偏芯量(最大偏芯量)Δrの感光体ドラムD2における潜像書き込み位置L2には書き込み位置の角度情報に差が生じる。
【0043】
その角度差αは、
【0044】
【数1】
である。露光位置における感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)の偏芯により発生する角度差αを走査線毎に求めることで、潜像書き込み位置を正確に把握することができる。
【0045】
図4に示すように、感光体ドラム体(1Y、1M、1C、1K)には、それぞれ、感光体ドラム角度検出装置としての、角度指標(34Y、34M、34C、34K)と角度読み取り装置(32Y、32M、32C、32K)が設置されている。
【0046】
また、感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)の偏芯検出装置(8Y、8M、8C、8K)が設置されている。また、中間転写ベルト9には、固定の位置指標251と位置指標読み取り装置(35Y、35M、35C、35K)が設置されている。
【0047】
角度読み取り装置32から角度指標記録部111、112に角度読み取り信号が入力して、露光装置3からの露光タイミングで感光体ドラム1の回転角度が検出される。角度指標記録部111、112は角度読み取り装置(32Y、32M、32C、32K)の読み取り値を用いて、感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)上の画像位置の管理を行う。
【0048】
また、位置指標読み取り装置35から位置指標記録部113、114に位置指標読み取り信号が入力する。位置指標記録部113、114は位置指標読み取り装置(35Y、35M、35C、35K)の読み取り値を用いて、中間転写ベルト9上の画像位置の管理を行う。
【0049】
また、位置指標記録部113、114は、角度読み取り装置32Yと位置指標読み取り装置(35Y、35M、35C、35K)を用いることで、1次転写部TYで中間転写ベルト9に転写された第1像担持体1Yで形成された画像の位置管理を行う。そして、位置指標記録部114は角度読み取り装置(32M、32C、32K)を用いて画像位置の管理を行うことで、第2像担持体(1M、1C、1K)で形成された画像の位置管理を行う。
【0050】
また、感光体ドラム偏芯検出装置8から角度指標記録部111、112に偏芯検出信号が入力する。角度指標記録部111、112は感光体ドラム偏芯検出装置(8Y、8M、8C、8K)の検出値を用いて、感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)の所定の位置の偏芯状態を把握する。角度指標記録部111、112は、偏芯状態から角度読み取り装置(32Y、32M、32C、32K)による感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)上の画像の位置をより正確に修正する。
【0051】
即ち、角度指標記録部111、112は、感光ドラム1の回転軸1aから感光体ドラムの表面までの距離と感光体ドラムへの露光装置からの光の入射角から求められる補正値により補正処理を行う補正処理装置として機能している。
【0052】
補正処理装置は、図3で説明したずれ角度αに基づき、露光位置情報を補正する。即ち、感光体ドラムの半径をr、感光体ドラムの最大偏芯量をΔr、入射角をβ、感光体ドラム角度検出装置の検出結果をθとすると、実際の露光位置と検出された露光位置とのずれ角度αは
【0053】
【数2】
と求まる。補正処理装置は、このずれ角度αに基づき、露光位置情報を補正する。
【0054】
また、補正処理装置は、次のa)とb)とc)とにより露光位置情報に補正処理を行う。
【0055】
a)露光装置からの露光タイミングで感光体ドラムの回転角度を検出する感光体ドラム角度検出装置の検出結果
b)感光体ドラムの回転軸から感光体ドラムの表面までの距離を検出する感光体ドラム偏芯検出装置の検出結果
c)感光体ドラムへの前記露光装置からの光の入射角から求めた補正情報
速度制御部120は、中間転写ベルト9上の第1の像担持体1Yで形成された画像の位置情報と第2の像担持体(1M、1C、1K)で形成された画像の位置情報を元に、第2像担持体(1M、1C、1K)の回転速度を調整し、画像を重ね合わせる。
【0056】
即ち、速度制御部120は、補正処理装置により補正された位置情報に基づいて、転写位置における感光体ドラムの位置制御を行う感光体ドラム制御装置として機能している。
【0057】
第1像担持体の一例である感光体ドラム1Yは、駆動モータMYによって駆動されてほぼ一定の回転速度で回転する。中間転写ベルト9はで制御される駆動モータM9によって駆動されてほぼ一定の回転速度で回転する。第2像担持体の一例である感光体ドラム1M、1C、1Yは、それぞれ制御部110で制御される駆動モータ(MM、MC、MK)によって駆動されてほぼ一定の回転速度で回転し、それぞれ独立に回転速度を調整可能である。これらの駆動モータ(MM、MC、MK)が、位置ずれを補正する際の調整装置となる。
【0058】
図5に示すように、図4図示の角度指標(34Y、34M、34C、34K)には、それぞれ反射/黒色パターンによるインクリメンタルな光学目盛が形成されている。図4示の角度読み取り装置(32Y、32M、32C、32K)には、それぞれセンサ基板45に光源の発光ダイオード47と読み取り素子のフォトセンサアレイ46とを配置している。発光ダイオード47から照射された光は角度指標(34Y、34M、34C、34K)で反射されてフォトセンサアレイ46に入射する。
【0059】
フォトセンサアレイ46に入射する反射光は、角度指標(34Y、34M、34C、34K)のピッチに応じた明暗パターンになっていて、感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)の回転とともに移動する。明暗パターンに相応したピッチで配列されたフォトセンサアレイ46からは角度指標(34Y、34M、34C、34K)のピッチに応じたアナログ正弦波電圧信号が出力される。
【0060】
像担持体の一例である感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)の表面に露光装置(3Y、3M、3C、3K)によって、感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)の回転方向に静電像の走査線が書き込まれる。角度指標(34Y、34M、34C、34K)は、像担持体(1Y、1M、1C、1K)の回転軸に配置した角度指標として予め準備されている。角度読み取り装置(35Y、35M、35C、35K)は、露光装置(3Y)の走査線毎に角度指標(34Y、34M、34C、34K)を読み取る。
【0061】
搬送体位置指標251は、搬送体の移動方向に配列した固定目盛として搬送体に予め準備されている。位置指標読み取り装置(35Y、35M、35C、35K)は、所望のタイミングで搬送体位置指標251を読み取る。
【0062】
図6に示すように、感光体ドラム1Yの回転軸に第1角度指標34Yが取り付けられている。同様に、感光体ドラム1Mの回転軸にも第2角度指標34Mが取り付けられている。同様に、中間転写ベルト9にも、固定の搬送体位置指標251が1周に渡って取り付けられ、もしくは刻み付けられている。
【0063】
第1角度指標34Y、第2角度指標34Mの一例としてロータリーエンコーダが用いられ、感光体ドラム1Y、1Mの回転軸1aに同心一体に配設される。搬送体位置指標251は、テープ状のスケールを貼り付ける、あるいは、スケールを中間転写ベルト9に直接印刷する、刻印するなどの方法で形成される。感光体ドラム1Yが中間転写ベルト9と接する1次転写部TYでは、位置指標読み取り装置35Yが搬送体位置指標251を読み取る。
【0064】
感光体ドラム1Y、1Mの回転角度を認識するため、角度指標(34Y、34M)は、アブソリュートエンコーダパターン又は原点指標を持つインクリメンタルエンコーダパターンである。アブソリュートエンコーダパターンの場合、角度読み取り装置32Y、32Mは、感光体ドラム1Y、2Mの回転軸に設置された第1角度指標34Y、第2角度指標34Mを読み取ってアブソリュートアドレス(絶対番地)を出力する。
【0065】
原点付きインクリメンタルエンコーダパターンの場合、角度読み取り装置32Y、32Mは、感光体ドラム1Y、1Mに固定された第1角度指標34Y、第2角度指標34Mの目盛を読み取って原点からの目盛カウント値を出力する。
【0066】
中間転写ベルト9の表面の回転方向の位置を認識するため、スケールはアブソリュートエンコーダパターン又は原点指標を持つインクリメンタルエンコーダパターンである。アブソリュートエンコーダパターンの場合、位置指標読み取り装置35Y、35Mは、中間転写ベルト9に設置された搬送体位置指標251を読み取ってアブソリュートアドレス(絶対番地)を出力する。原点付きインクリメンタルエンコーダパターンの場合、読み取り装置35Y、35Mは、中間転写ベルト9に固定された搬送体位置指標251の目盛を読み取って原点からの目盛カウント値を出力する。
【0067】
感光体ドラム1Y、1Mの周囲には、偏芯検出装置8Y、8Mが設置されている。偏芯検出装置の一例として、周面の変位を検出する変位センサが用いられる。変位センサは、検出位置に対して光ビームを出射する発光素子と、感光体ドラムによって反射された光ビームを受光する受光素子などを備え、変位に応じたアナログ信号を出力する。検出結果と変位センサの取り付け位置と露光位置の角度から、露光位置における偏芯量が分かる。
【0068】
本体内に変位センサを用いずに、感光体ドラムの偏芯量と回転角度の関係の事前測定を行い、測定結果をバーコードなどの記録媒体に持たせて、そこから得られる感光体ドラムの回転情報を元に偏芯量による補正を行っても本発明の目的は達成できる。
【0069】
図7は、露光位置にて、感光体ドラム(1Y、1M)に形成された画像が1次転写部(TY、TM)に達するタイミング情報である目標ドラムアドレスを取得するタスク(目標ドラムアドレス取得タスク)のフローチャートである。図6の制御ブロック図も併用して説明を行う
1)プリントスタートすると、目標ドラムアドレス取得タスク開始を示すドラムFIFO_Flagを1にする(S11)。
【0070】
2)露光装置(3Y、3M)による主走査スキャンのスタートを検知すると(S12のYES)、走査タイミング毎に角度読み取り装置(32Y、32M)から角度指標(34Y、34M)を読み取り、ドラムアドレスを取得する(S13)。本実施例の主走査スキャンのスタートの第1ラインとは色分解した各色の画像データの副走査方向の先頭に相当する。またステップS12はラインごとにステップS13以下の処理を行うタイミングをとるために設けられている。
【0071】
3)角度指標記録部(111、112)は、取得したドラムアドレス値に、露光位置と一次転写部(TY、TM)の間の角度と図3で説明した演算した角度補正値に相当するアドレス分をオフセット値として加算し、目標ドラムアドレス値を演算する(S14)。角度補正値に相当するアドレスは、偏芯検出装置(8Y、8M)によって取得したドラムの偏芯量を元に演算をすることで求められる。
【0072】
4)目標ドラムアドレス値を露光装置の走査タイミング信号をカウントして形成される走査線の番号(画像位置情報)に対応させて角度指標記録部(111、112)のドラムFIFOメモリ(106、107)に書き込む(S15)。図8で説明する目標ベルトアドレス取得タスクで使用するために、ドラムFIFO_Flagを2にする(S16)。
【0073】
5)プリント終了かどうかを判断し、終了であればドラムFIFO_Flagを0にし(S18)、目標ドラム取得タスクを終了し(S17のYES)、終了でなければ、S12に戻りドラムアドレス取得を繰り返す(S17のNO)。
【0074】
【表1】
図8は、第1感光体ドラム1Yから1次転写部TYにて中間転写ベルト9に転写される画像の位置情報であるベルトアドレスを取得するタスク(目標ベルトアドレス取得タスク)のフローチャートである。図6の制御ブロック図も併用して説明を行う。
【0075】
1)プリントスタートすると、目標ベルトアドレス取得タスク開始を示すベルトFIFO_Flagを1にする(S21)。
【0076】
2)第1色ドラムFIFO_Flag==2を確認すると(S22のYES)、目標ドラムアドレス取得タスクにて角度指標記録部111のドラムFIFOメモリ106に書き込まれた第1色目標ドラムアドレス値を読み出す(S23)。
【0077】
3)第1感光体ドラム1Yが回転して、ドラムFIFOメモリ106から読み出した第1色目標ドラムアドレス値と角度読み取り装置32Yから角度指標34Yを読み取ったドラムアドレスの値が一致する(S24のYES)。そのタイミングで位置指標読み取り装置35Yから搬送体位置指標251を読み取り、ベルトアドレスを取得する(S25)。
【0078】
4)第1色目標アドレス値とドラムアドレスが一致したタイミングが、第1目標アドレス値に対応する画像が1次転写部TYにて中間転写ベルト9に転写されたタイミングに当たる。取得したベルトアドレスを目標ベルトアドレス値として目標ドラムアドレス値に対応付けて、位置指標記録部113のベルトFIFOメモリ108に書き込む(S26)。
【0079】
5)目標ベルトアドレス取得タスクの開始を示すために、ベルトFIFO_Flagを2にする(S27)。
【0080】
6)プリント終了かどうかを判断し、終了であればベルトFIFO_Flagを0にし(S29)、目標ドラム取得タスクを終了し(S28のYES)、終了でなければ、S23に戻りベルトアドレス取得を繰り返す(S28のNO)。
【0081】
【表2】
位置指標記録部113は、角度指標記録部111のドラムFIFOメモリ106から表1のデータを引き出し、表1と表2のデータから画像位置情報と中間転写ベルト9の目標ベルトアドレスを対応させる。これにより、第1角度指標34Yから形成した感光体ドラム1Yのアドレスと搬送体位置指標251から形成した中間転写ベルト9のアドレスが対応づけられる。
【0082】
【表3】
図9は、中間転写ベルト9上の第1画像と第2色ドラム1M上の第2画像を正確に重ね合わせるために、第2ドラム回転位置制御を行うタスク(ベルトドラム合わせタスク)のフローチャートである。
【0083】
1)プリントスタートすると、目標ベルトアドレス取得タスク開始を示すベルトFIFO_Flagが2であるかどうか判断する(S301)。
【0084】
2)目標ベルトアドレス取得タスクにて位置指標記録部113のベルトFIFOメモリ108に書き込まれた目標ベルトアドレス値を読み出す(S302)。
【0085】
3)第2色目標ドラムアドレス取得タスクにて角度指標記録部112の第2色ドラムFIFOメモリ107に書き込まれた第2色目標ドラムアドレス値を読み出す(S303)。
【0086】
4)読み出した目標ベルトアドレス値と位置指標読み取り装置35Mから読み出される第2色ベルトアドレス値との差を計算し、所定値以下であるかどうか判断する(S304)。この判断で第2ドラムの一定速度制御からベルトドラム位置合わせ制御への切り替えを行う。所定値以下になるということは、目標ドラムアドレス値に対応する位置指標が、1次転写位置TMの所定範囲内に入ったということを示す。所定範囲内に入ってから、ベルトドラム位置合わせ制御を開始する。
【0087】
5)目標ベルトアドレス値と第2色ベルトアドレス値の差と第2色目標ドラムアドレス値と第2色ドラムアドレス値の差を比較して、前者が大きいと判断すると(S305のYES)、第2色ドラム回転位置制御を減速する(S307)。前者と後者が等しいと判断すると(S306のYES)、第2色ドラム回転位置制御を保持する(S308)。それ以外の場合は、第2色ドラム回転位置制御を増速する(S309)。
【0088】
6)目標ベルトアドレス値と第2色ベルトアドレス値の差と第2色目標ドラムアドレス値と第2色ドラムアドレス値の差を比較して、相対差が所定範囲内であれば速度を保持する。それ以外であれば、相対差に対応して第2色ドラム回転位置制御の回転速度を変更しても本発明の目的を達成できる。
【0089】
7)目標ベルトアドレス値に対応する搬送体位置指標251の位置と第2色目標ドラムアドレス値に対応する角度指標34Mの位置を比較し、第2色ドラムの回転制御を行う。速度制御部120により、第1色画像と第2色画像の位置情報が一致するように第2感光体ドラム1Mの回転を制御して、イエロートナー像とマゼンタトナー像とを正確に重ね合わせる。
【0090】
8)目標ベルトアドレス値と第2色ベルトアドレス値が一致したかどうか判断する(S310)。プリント終了かどうかを判断し、終了であればベルトドラム合わせタスクを終了し(S311のYES)、終了でなければ、S302に戻りベルトドラム位置合わせ制御を繰り返す(S311のNO)。
【0091】
図10は、図7、図8、図9の制御プロセスを実行するフローチャートの例である。プリント工程がスタートすると(S41)、第1色ドラム1Y、第2色ドラム1Mの回転、中間転写ベルト9の回転、4つのタスクをスタートする(S42)。第1色ドラム1Y、第2色ドラム2M、中間転写ベルト9は所定速度で回転する。4つのタスクは、第1色目標ドラムアドレス取得タスクと第2色目標ドラムアドレス取得タスクと目標ベルトアドレス取得タスクとベルトドラム合わせタスクである。
【0092】
ベルトドラム合わせタスクで、第2色ドラム1Mの回転を一定速制御と位置合わせ制御に切り替える。プリント工程開始時は一定速度制御、印字中は位置合わせ制御、プリント終了後は再び一定速度制御に切り替える。プリント終了かどうかを判断し(S43)、終了であれば、第1ドラム1Yと第2色ドラム1Mと中間転写ベルト9の回転をストップし、4つのタスクも終了させる(S44)。
【0093】
<第2実施形態>
図11は本実施形態における画像形成装置100の概略構成図である。この画像形成装置100は記録材Pを搬送する搬送体としての記録材搬送ベルト90に沿って複数の画像形成部PY、PM、PC、PKが配置されている。第1実施形態の画像形成装置100と共通する構成部材・部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。
【0094】
記録材搬送ベルト90は、駆動モータM91で駆動される駆動ローラ91、従動ローラ92、テンションローラ93に掛け渡されて支持されており、矢印R2の方向に所定の速度で回転駆動される。従動ローラ92と駆動ローラ91との間のベルト部分の上側に記録材搬送ベルト90に沿って上流側から下流側に順に第1乃至第4の画像形成部PY、PM、PC、PKが配設されている。
【0095】
給紙カセット20から給送された記録材Pは従動ローラ92の側から記録材搬送ベルト90の上に導入されて記録材搬送ベルト90に担持される。そして、記録材搬送ベルト90の移動により、記録材搬送ベルト90に担持された記録材Pが第1〜第4の転写部TY、TM、TC、TKを順次に通過する。これにより、記録材Pの面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色重ね合わせ(重畳転写)の未定着のトナー像が形成される。
【0096】
駆動ローラ91の側に搬送された記録材Pは記録材搬送ベルト90から分離されて定着装置17へ導入されて加熱加圧される。これにより未定着のトナー像が固着画像として記録材面に定着される。そして、記録材Pは定着装置17を出てフルカラー画像形成物として排出される。
【0097】
このような画像形成装置100についても、第1実施形態における画像形成装置100と同様の構成により、露光位置での感光体ドラムの偏芯による潜像書き込み位置ずれを正確に把握し、安定した補正制御を行うことができる。
【0098】
<第3実施形態>
図12は本実施形態における画像形成装置100の概略構成図である。この画像形成装置100は1個の感光体ドラムに複数色のトナー像を形成する1ドラム型画像形成装置である。第1実施形態の画像形成装置100と共通する構成部材・部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。
【0099】
回転軸1aを中心に回転駆動される1つの感光体ドラム1に対して、イエロートナー像の作成、マゼンタトナー像の作成、シアントナー像の作成、ブラックトナー像の作成が回分式に順次になされる。感光体ドラム1に順次に形成される各色のトナー像は一次転写部T1において中間転写ベルト9に対して順次に重畳されて一次転写される。この一次転写が実行されている間、二次転写ローラ11は破線示のように中間転写ベルト9から離間している状態に保持されている。また、中間転写ベルトクリーニング装置18も破線示のように中間転写ベルト9から離間した非作用位置保持されている。
【0100】
中間転写ベルト9に対する最後のブラックトナー像の一次転写が開始された後の所定の制御タイミングにおいて二次転写ローラ11が実線示のように中間転写ベルト9に対して当接されて二次転写部T2が形成される。また、中間転写ベルトクリーニング装置18も実線示のように中間転写ベルト9に対する作用位置に移動される。位置に当接されて二次転写部T2が形成される。
【0101】
そして、その二次転写部T2に所定の制御タイミングにて記録材Pが導入され、中間転写ベルト9側の4色重ね合わせのトナー像が記録材Pに対して順次に一括二次転写される。二次転写部T2を出た記録材Pは中間転写ベルト9から分離されて定着装置17へ導入されて加熱加圧される。これにより未定着のトナー像が固着画像として記録材面に定着される。そして、記録材Pは定着装置17を出てフルカラー画像形成物として排出される。
【0102】
このような画像形成装置100についても、第1実施形態における画像形成装置100と同様の構成により、露光位置での感光体ドラムの偏芯による潜像書き込み位置ずれを正確に把握し、安定した補正制御を行うことができる。
【0103】
<その他の事項>
上記の各実施形態の画像形成装置100はイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを用いたものであるが、使用する色や色数はこれに限られるものではないことはもちろんである。また、各色のトナ像の作成順序も各実施形態に限られるものではない。
【符号の説明】
【0104】
1・・感光体ドラム、1a・・回転軸、9・・搬送体、3・・露光装置、4・・現像装置、5・・転写装置、100・・画像形成装置、32・・感光体ドラム角度検出装置、111、112・・補正処理装置、120・・感光体ドラム制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動されてトナー像が形成される像担持体から搬送体に対してトナー像を重ね合わせて多重転写画像を形成する画像形成装置に関する。ここで、搬送体とは、回転駆動されるベルト型やドラム型等の中間転写体や、シート状の記録材を担持して搬送するベルト型やドラム型等の記録材搬送体である。
【背景技術】
【0002】
互いに異なる色のトナー像が形成される複数の像担持体を搬送体の移動方向に沿って配置してフルカラー画像を形成するタンデム型の画像形成装置がある。タンデム型の画像形成装置は、画像形成タイミングを制御し像担持体上に形成されたトナー像を同一の搬送体上で重ね合わせることでフルカラー画像を得る方式であるため、高速化に適しており、広く実用化されている。
【0003】
近年の高解像度化が進んだタンデム型の画像形成装置は、複数の像担持体を用いるため、像担持体各々や搬送体の特性(機械精度や駆動制御精度など)に起因するトナー像の位置ずれの影響が大きくなりやすい。この位置ずれが高精細なフルカラー画像においては影響がおおきくなり、色ずれ・色むらが問題となっている。
【0004】
特許文献1では、複数の像担持体からそれぞれ中間転写体に転写させた制御用トナー像を中間転写体上で検知して、検知結果を元に複数の像担持体における露光開始タイミングを調整する画像形成装置が示されている。制御用トナー像は、中間転写体の移動方向と幅方向に形成される。検知結果に基づいて像担持体への静電像の書き込み開始タイミングが調整される。
【0005】
特許文献2では像担持体の回転方向、搬送体の移動方向に位置指標を設け、その位置指標の検知装置が転写位置に配置された画像形成装置が示されている。搬送体と像担持体の位置指標の検知結果に基づいて、搬送体位置指標に対して対応する像担持体の位置を調整するように像担持体の回転制御を行う。像担持体と搬送体の短い周期の速度変動にも追従して、トナー像を転写部で精密に重ね合わせるため、色ずれが低減される。
【0006】
特許文献3では、像担持体の偏芯による転写位置での転写位置がずれることによって発生する色ずれを推測し、露光開始タイミングもしくは露光位置を調整する画像形成装置が示されている。像担持体の偏芯状態を検知し、偏芯量に基づいて理想形状のときと実際の像担持体との転写位置ずれを求める。ずれ量から露光タイミングまたは露光位置の制御を行うことによりトナー画像の歪みおよび色ずれの補正を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭64−6981号公報
【特許文献2】特開2009−134264号公報
【特許文献3】特開2001−343808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
タンデム型の画像形成装置では、中間転写体と像担持体との間に速度差があると、第1像担持体から中間転写体に転写された第1色トナー像に対する第2像担持体に形成された第2色トナー像の重ね合わせ誤差が発生する。なお、第2色トナー像とは、1番目に転写された第1色トナー像に位置決めされる第2色、第3色、第4色、第5色などのトナー像の1つである。
【0009】
特許文献1では、静電像の書き込みを開始する前に発生した第1色トナー像と第2色トナー像との重ね合わせ誤差を相殺するように露光タイミングを調整している。
【0010】
しかし、像担持体には、像担持体の偏芯や負荷変動に起因して短い周期の速度変動が常時発生する。中間転写体には、厚み変動や駆動ローラの偏芯や負荷変動に起因して像担持体以上に大きな振幅で短い周期の速度変動が常時発生している。そして、両者の速度変動により深刻なレベルの速度差が周期的に発生する可能性がある。
【0011】
特許文献1では、像担持体の回転周期以下の短い周期の回転ムラや速度変動による第1トナー像と第2トナー像の重ね合わせ誤差に対処できない。そのため、像担持体の回転周期以下の短い周期の回転むらや速度変動による第1色トナー像と第2色トナー像の重ね合わせ誤差には対処できない。
【0012】
特許文献2では、像担持体と中間転写体に位置指標を形成し、転写部における位置指標の検出結果を元にトナー像を転写部で精密に重ね合わせをすることで、像担持体と中間転写体の短い周期の速度変動にも追従して、安定した補正制御を行っている。像担持体の位置指標として、磁気記憶目盛・固定目盛・トナー目盛を実施例として挙げている。
【0013】
像担持体の位置指標を検知する方法の代わりとして、像担持体の軸角速度の検知を用いることが出来る。軸角速度検知装置は、像担持体の軸に取り付けるため、比較的簡単に安定した検知が可能である。しかし、像担持体の偏芯による影響があるため、トナー像の正確な位置を把握することはできない。偏芯の影響を考慮に入れず、像担持体と中間転写体上の位置指標を検知し、検知結果を元に像担持体を制御して重ねあわせを行っても、転写位置の実速度は偏芯の影響により色ずれが残ってしまう。
【0014】
特許文献3では、像担持体の偏芯の影響による転写位置がずれることによる色ずれを露光タイミング・露光位置を制御することで補正を行っている。しかし、像担持体の偏芯による色ずれは、露光位置と転写位置の両方で発生する。転写位置における色ずれを補正しても、露光位置における色ずれが残ってしまう。
【0015】
本発明は上記の従来技術を更に発展させたものである。その目的とするところは、像担持体と中間転写体の短い周期の速度変動にも追従して、トナー像を転写部で重ね合わせできる画像形成装置において、露光位置での像担持体の偏芯による潜像書き込み位置ずれを正確に把握し、安定した補正制御を行うことにある。像担持体の位置指標として軸角速度を用いる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、回転可能な感光体ドラムと、トナー像が形成される搬送体と、前記感光体ドラムに光を照射して潜像形成を行う露光装置と、前記露光装置により前記感光体ドラムに形成された潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像装置と、前記感光体ドラムに形成されたトナー像を前記搬送体に転写する転写装置と、を持つ画像形成装置において、前記露光装置からの露光タイミングで前記感光体ドラムの回転角度を検出する感光体ドラム角度検出装置と、前記感光体ドラムの回転軸から前記感光体ドラムの表面までの距離と前記感光体ドラムへの前記露光装置からの光の入射角から求められる補正値により補正処理を行う補正処理装置と、前記補正処理装置により補正された位置情報に基づいて、転写位置における前記感光体ドラムの位置制御を行う感光体ドラム制御装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、露光位置での感光体ドラムの偏芯による潜像書き込み位置ずれを正確に把握し、安定した補正制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態における画像形成装置の概略構成図
【図2】図1の部分的拡大図(第1の画像形成部の拡大図)
【図3】露光位置における像担持体の偏芯による潜像書き込み位置ずれを説明する図
【図4】図1の画像形成装置における色ずれ低減制御に係る機構部分の説明図
【図5】角度読み取り装置の説明図
【図6】制御構成の説明図
【図7】目標ドラムアドレス取得タスクのフローチャート
【図8】目標ベルトアドレス取得のフローチャート
【図9】ベルトドラム合わせタスクのフローチャート
【図10】メインルーチンのフローチャート
【図11】第2実施形態における画像形成装置の概略構成図
【図12】第3実施形態における画像形成装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明のいくつかの実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明は形成済みの第1色トナー像と形成済みの第2色トナー像とを移動方向に相対移動させて重ね合わせる限りにおいて、各実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。第2色トナー像とは、1番目に転写された第1色トナー像に位置決めされる第2色、第3色、第4色、第5色・・・・などのトナー像の1つである。
【0020】
従って、搬送体として中間転写体を用いる画像形成装置に限らず、記録材搬送体に担時された記録材へトナー像を転写する画像形成装置でも実施できる。中間転写体や記録材搬送体に沿って複数の像担持体を配置したタンデム型画像形成装置のみならず、1個の像担持体に複数色のトナー像を形成する1ドラム型画像形成装置でも実施できる。
【0021】
<第1実施形態>
(1)画像形成装置例の説明
図1は本実施形態における画像形成装置100の概略構成図である。この装置100はタンデム方式−中間転写ベルト方式の電子写真フルカラーレーザビームプリンタである。パソコン等のホスト装置200から露光制御部(制御回路部:制御手段)110に入力する電気的画像信号に基づいて記録材Pにフルカラー画像を形成することができる。記録材Pはトナー像(現像剤像)を形成することができるシート状の記録媒体であり、普通紙、光沢紙、封筒、はがき、ラベル、OHPシートなどである。
【0022】
装置100には、矢印R2の方向に所定の速度で回転可能な搬送体としての中間転写ベルト9に沿って上流側から下流側に順にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色トナー像をそれぞれ形成する4つの画像形成部PY、PM、PC、PKが配置されている。中間転写ベルト9は、駆動ローラ13、テンションローラ12、バックアップローラ10に掛け渡されて支持されており、矢印R2の方向に所定の速度で回転駆動される。以下で説明する構成機器・部材の記号末尾のY、M、C、Kはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色別の構成機器・部材であることを表している。
【0023】
画像形成部PYでは矢印R1の方向に所定の速度で回転可能な感光体ドラム1Y(第1像担持体)の表面にイエロートナー像が形成される。そのトナー像が第1転写部TYにおいて第1転写装置5Yによって中間転写ベルト9に対して一次転写される。画像形成部PMでは感光体ドラム1M(第2像担持体)の表面にマゼンタトナー像が形成される。そのトナー像が第2転写部TMにおいて第2転写装置5Mによって中間転写ベルト9に対して、既に転写されているイエロートナー像に重ね合わされて一次転写される。
【0024】
画像形成部PCでは、感光体ドラム1Cの表面にシアントナー像が形成される。そのトナー像が第3転写部TCにおいて第3転写装置5Cによって中間転写ベルト9に対して、既に転写されているイエロートナー像+マゼンタトナー像に重ね合わされて一次転写される。画像形成部PKでは、感光体ドラム1Kの表面にブラックトナー像が形成される。そのトナー像が第4転写部TKにおいて第4転写装置5Kによって中間転写ベルト9に対して、既に転写されているイエロートナー像+マゼンタトナー像+シアントナー像に重ね合わされて一次転写される。
【0025】
かくして、中間転写ベルト9が第1〜第4の転写部TY、TM、TC、TKを順次に通過することで、中間転写ベルト9上にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色重ね合わせ(重畳転写)の未定着のトナー像が形成される。中間転写ベルト9に担持された4色重ね合わせトナー像は、引き続く中間転写ベルト9の移動により二次転写部T2へ搬送されて記録材Pに対して順次に一括二次転写される。記録材Pは、給紙カセット20から給紙ローラ14によって引き出され、分離装置15によって1枚ずつに分離され、搬送路15aにてレジストローラ16へ送り出される。
【0026】
レジストローラ16は、中間転写ベルト9上のトナー像に先頭を一致させて、記録材Pを二次転写部T2へ給送する。この二次転写部T2で中間転写ベルト9側のトナー像が記録材Pへ順次に一括二次転写される。二次転写部T2を出た記録材Pは中間転写ベルト9から分離されて定着装置17へ導入されて加熱加圧される。これにより未定着のトナー像が固着画像として記録材面に定着される。そして、記録材Pは定着装置17を出てフルカラー画像形成物として排出される。
【0027】
また、二次転写部T2を通過した中間転写ベルト9は中間転写ベルトクリーニング装置18により二次転写残トナーが除去されて繰り返して画像形成に供される。
【0028】
各画像形成部PY、PM、PC、PKは互いに同様の構成の電子写真画像形成機構であり、それぞれの現像装置4Y、4M、4C、4Kで用いるトナー(現像剤)の色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なるだけである。図2はイエローのトナー像を形成する第1の画像形成部PYの拡大図である。以下では、代表的に第1の画像形成部PYについて説明し、第2〜第4の画像形成部PM、PC、PKについては、構成機器・部材の記号末尾の色別記号としてのYをC、M、Kに読み替えて説明されるものとする。
【0029】
画像形成部PYは、感光体ドラム1Yの周囲に、帯電装置2Y、露光装置3Y、現像装置4Y、一次転写ローラ5Y、クリーニング装置6Yを配置する。第1像担持体の一例である感光体ドラム1Yは、アルミニウム製シリンダの外周面に、帯電極性が負極性の有機光導電体層(OPC)を塗布して構成され、矢印R1の方向に所定の速度で回転駆動される。
【0030】
帯電装置2Yは、電源D3から負極性の電圧を印加されて、感光体ドラム1Yの表面に帯電粒子を照射することにより、感光体ドラム1Yの表面を一様な負極性の電位に帯電する。第1静電像形成手段の一例である露光装置3Yは、イエローの分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザビームを回転ミラーで走査する。これにより、帯電した感光体ドラム1Yの表面に600dpi(ドット/インチ)の解像度で静電像を書き込む(レーザビームによる走査露光)。
【0031】
露光装置3Yは感光体ドラム1Yに光を照射して潜像形成を行う装置であり、本実施形態においては上記のようにレーザビーム走査露光装置である。
【0032】
第1現像手段の一例である現像装置4Yは、トナーに磁性キャリアを混合した二成分現像剤を攪拌してトナーを負極性に帯電させる。帯電したトナーは、固定磁極4jの周囲で感光体ドラム1Yとカウンタ方向(感光体ドラムとの対向部においてカウンタ方向)に回転する現像スリーブ4sに穂立ち状態で担持されて、感光体ドラム1Yを摺擦する。電源D4は、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧を現像スリーブ4sに印加して、現像スリーブ4sよりも相対的に正極性となった感光体ドラム1Yの静電像へトナーを付着させて、静電像を反転現像する。
【0033】
一次転写ローラ5Yは、感光体ドラム1Yとの間に中間転写ベルト9を挟持して、感光体ドラム1Yと中間転写ベルト9との間に第1の転写部の一例である一次転写部TYを形成する。電源DYは、正極性の直流電圧を一次転写ローラ5Yに印加して、負極性に帯電して感光体ドラム1Yに担持されたトナー像を、一次転写部TYを通過する中間転写ベルト9へ一次転写させる。クリーニング装置6Yは、クリーニングブレードを感光体ドラム1Yに摺擦して、一次転写部TYを通過して感光体ドラム1Yの表面に残留した一次転写残トナーを除去する。
【0034】
二次転写ローラ11は、中間転写ベルト9を介してバックアップローラ10に圧接して、中間転写ベルト9と二次転写ローラ11との間に二次転写部T2を形成する。二次転写部T2は、中間転写ベルト9のトナー像に重ね合わせて記録材Pを挟持搬送し、記録材Pが二次転写部T2を通過する過程で、中間転写ベルト9から記録材Pへトナー像を二次転写させる。
【0035】
電源D2は、正極性の直流電圧を二次転写ローラ11に印加して、バックアップローラ10と中間転写ベルト9と記録材Pと二次転写ローラ11との直列回路に転写電流を流す。転写電流の一部が中間転写ベルト9のトナー載り部を流れて、中間転写ベルト9から記録材Pへのトナーの移動に関与する。
【0036】
(2)色ずれ低減化制御
前述したように、上記のようなタンデム型の画像形成装置では、中間転写体である中間転写ベルト9と像担持体である感光体ドラム1との間に速度差があると、色トナー像間での重ね合わせ誤差が発生する。即ち、第1像担持体から中間転写体に転写された第1色トナー像に対する第2像担持体に形成された第2色トナー像の重ね合わせ誤差が発生する。ここで、第2色トナー像とは、1番目に転写された第1色トナー像に位置決めされる第2色、第3色、第4色、第5色などのトナー像の1つである。
【0037】
本実施形態においては、像担持体と中間転写体の短い周期の速度変動にも追従して、トナー像を転写部で重ね合わせできる画像形成装置において、露光位置での像担持体の偏芯による潜像書き込み位置ずれを正確に把握し、安定した補正制御を行う。像担持体の位置指標として軸角速度を用いる。
【0038】
即ち、像担持体の偏芯により露光位置での潜像書き込み位置が所定の書き込み位置からずれてしまう。このずれにより色ずれが発生するため、潜像位置を正確に把握する必要がある。そこで、第1像担持体で転写された画像位置に合うように、第2像担持体以下の転写位置で画像位置を合わせるよう制御を行う画像形成装置で、像担持体の偏芯による露光位置での潜像書き込み位置のずれ量を求める。そして、色ずれがなくなるように像担持体を制御する。像担持体の偏芯を検出し、検出結果を元に潜像書き込み位置情報を補正する。
【0039】
より具体的には、画像形成装置100は、露光装置からの露光タイミングで感光体ドラムの回転角度を検出する感光体ドラム角度検出装置を有する。また、感光体ドラムの回転軸から感光体ドラムの表面までの距離と感光体ドラムへの露光装置からの光の入射角から求められる補正値により補正処理を行う補正処理装置を有する。また、補正処理装置により補正された位置情報に基づいて、転写位置における感光体ドラムの位置制御を行う感光体ドラム制御装置を有する。
【0040】
以下、上記のような画像形成装置において像担持体である感光体ドラムの偏芯による潜像書き込みの位置ずれに伴う色ずれを低減するための制御構成を図3乃至図10により説明する。
【0041】
図3は露光位置における感光体ドラムの偏芯による潜像書き込み位置ずれを説明する図である。図4は図1の画像形成装置100における色ずれ低減制御に係る機構部分の説明図である。図5は角度読み取り装置の説明図である。図6は制御構成の説明図である。図7は目標ドラムアドレス取得タスクのフローチャートである。図8は目標ベルトアドレス取得のフローチャートである。図9はベルトドラム合わせタスクのフローチャートである。図10はメインルーチンのフローチャートである。
【0042】
図3において、1aは感光体ドラムD(1)の回転軸(回転軸線)、rは感光体ドラムDの半径である。図1、図2に示すように、レーザ光路Lは感光体ドラム1に垂直になっておらず、レーザLの反射光による露光装置3への影響を無くすために、照射角度(入射角)βだけ傾いている。レーザ照射角度βに傾きがある場合での偏芯のない理想的な感光体ドラムD1における潜像書き込み位置L1と、偏芯量(最大偏芯量)Δrの感光体ドラムD2における潜像書き込み位置L2には書き込み位置の角度情報に差が生じる。
【0043】
その角度差αは、
【0044】
【数1】
である。露光位置における感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)の偏芯により発生する角度差αを走査線毎に求めることで、潜像書き込み位置を正確に把握することができる。
【0045】
図4に示すように、感光体ドラム体(1Y、1M、1C、1K)には、それぞれ、感光体ドラム角度検出装置としての、角度指標(34Y、34M、34C、34K)と角度読み取り装置(32Y、32M、32C、32K)が設置されている。
【0046】
また、感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)の偏芯検出装置(8Y、8M、8C、8K)が設置されている。また、中間転写ベルト9には、固定の位置指標251と位置指標読み取り装置(35Y、35M、35C、35K)が設置されている。
【0047】
角度読み取り装置32から角度指標記録部111、112に角度読み取り信号が入力して、露光装置3からの露光タイミングで感光体ドラム1の回転角度が検出される。角度指標記録部111、112は角度読み取り装置(32Y、32M、32C、32K)の読み取り値を用いて、感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)上の画像位置の管理を行う。
【0048】
また、位置指標読み取り装置35から位置指標記録部113、114に位置指標読み取り信号が入力する。位置指標記録部113、114は位置指標読み取り装置(35Y、35M、35C、35K)の読み取り値を用いて、中間転写ベルト9上の画像位置の管理を行う。
【0049】
また、位置指標記録部113、114は、角度読み取り装置32Yと位置指標読み取り装置(35Y、35M、35C、35K)を用いることで、1次転写部TYで中間転写ベルト9に転写された第1像担持体1Yで形成された画像の位置管理を行う。そして、位置指標記録部114は角度読み取り装置(32M、32C、32K)を用いて画像位置の管理を行うことで、第2像担持体(1M、1C、1K)で形成された画像の位置管理を行う。
【0050】
また、感光体ドラム偏芯検出装置8から角度指標記録部111、112に偏芯検出信号が入力する。角度指標記録部111、112は感光体ドラム偏芯検出装置(8Y、8M、8C、8K)の検出値を用いて、感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)の所定の位置の偏芯状態を把握する。角度指標記録部111、112は、偏芯状態から角度読み取り装置(32Y、32M、32C、32K)による感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)上の画像の位置をより正確に修正する。
【0051】
即ち、角度指標記録部111、112は、感光ドラム1の回転軸1aから感光体ドラムの表面までの距離と感光体ドラムへの露光装置からの光の入射角から求められる補正値により補正処理を行う補正処理装置として機能している。
【0052】
補正処理装置は、図3で説明したずれ角度αに基づき、露光位置情報を補正する。即ち、感光体ドラムの半径をr、感光体ドラムの最大偏芯量をΔr、入射角をβ、感光体ドラム角度検出装置の検出結果をθとすると、実際の露光位置と検出された露光位置とのずれ角度αは
【0053】
【数2】
と求まる。補正処理装置は、このずれ角度αに基づき、露光位置情報を補正する。
【0054】
また、補正処理装置は、次のa)とb)とc)とにより露光位置情報に補正処理を行う。
【0055】
a)露光装置からの露光タイミングで感光体ドラムの回転角度を検出する感光体ドラム角度検出装置の検出結果
b)感光体ドラムの回転軸から感光体ドラムの表面までの距離を検出する感光体ドラム偏芯検出装置の検出結果
c)感光体ドラムへの前記露光装置からの光の入射角から求めた補正情報
速度制御部120は、中間転写ベルト9上の第1の像担持体1Yで形成された画像の位置情報と第2の像担持体(1M、1C、1K)で形成された画像の位置情報を元に、第2像担持体(1M、1C、1K)の回転速度を調整し、画像を重ね合わせる。
【0056】
即ち、速度制御部120は、補正処理装置により補正された位置情報に基づいて、転写位置における感光体ドラムの位置制御を行う感光体ドラム制御装置として機能している。
【0057】
第1像担持体の一例である感光体ドラム1Yは、駆動モータMYによって駆動されてほぼ一定の回転速度で回転する。中間転写ベルト9はで制御される駆動モータM9によって駆動されてほぼ一定の回転速度で回転する。第2像担持体の一例である感光体ドラム1M、1C、1Yは、それぞれ制御部110で制御される駆動モータ(MM、MC、MK)によって駆動されてほぼ一定の回転速度で回転し、それぞれ独立に回転速度を調整可能である。これらの駆動モータ(MM、MC、MK)が、位置ずれを補正する際の調整装置となる。
【0058】
図5に示すように、図4図示の角度指標(34Y、34M、34C、34K)には、それぞれ反射/黒色パターンによるインクリメンタルな光学目盛が形成されている。図4示の角度読み取り装置(32Y、32M、32C、32K)には、それぞれセンサ基板45に光源の発光ダイオード47と読み取り素子のフォトセンサアレイ46とを配置している。発光ダイオード47から照射された光は角度指標(34Y、34M、34C、34K)で反射されてフォトセンサアレイ46に入射する。
【0059】
フォトセンサアレイ46に入射する反射光は、角度指標(34Y、34M、34C、34K)のピッチに応じた明暗パターンになっていて、感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)の回転とともに移動する。明暗パターンに相応したピッチで配列されたフォトセンサアレイ46からは角度指標(34Y、34M、34C、34K)のピッチに応じたアナログ正弦波電圧信号が出力される。
【0060】
像担持体の一例である感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)の表面に露光装置(3Y、3M、3C、3K)によって、感光体ドラム(1Y、1M、1C、1K)の回転方向に静電像の走査線が書き込まれる。角度指標(34Y、34M、34C、34K)は、像担持体(1Y、1M、1C、1K)の回転軸に配置した角度指標として予め準備されている。角度読み取り装置(35Y、35M、35C、35K)は、露光装置(3Y)の走査線毎に角度指標(34Y、34M、34C、34K)を読み取る。
【0061】
搬送体位置指標251は、搬送体の移動方向に配列した固定目盛として搬送体に予め準備されている。位置指標読み取り装置(35Y、35M、35C、35K)は、所望のタイミングで搬送体位置指標251を読み取る。
【0062】
図6に示すように、感光体ドラム1Yの回転軸に第1角度指標34Yが取り付けられている。同様に、感光体ドラム1Mの回転軸にも第2角度指標34Mが取り付けられている。同様に、中間転写ベルト9にも、固定の搬送体位置指標251が1周に渡って取り付けられ、もしくは刻み付けられている。
【0063】
第1角度指標34Y、第2角度指標34Mの一例としてロータリーエンコーダが用いられ、感光体ドラム1Y、1Mの回転軸1aに同心一体に配設される。搬送体位置指標251は、テープ状のスケールを貼り付ける、あるいは、スケールを中間転写ベルト9に直接印刷する、刻印するなどの方法で形成される。感光体ドラム1Yが中間転写ベルト9と接する1次転写部TYでは、位置指標読み取り装置35Yが搬送体位置指標251を読み取る。
【0064】
感光体ドラム1Y、1Mの回転角度を認識するため、角度指標(34Y、34M)は、アブソリュートエンコーダパターン又は原点指標を持つインクリメンタルエンコーダパターンである。アブソリュートエンコーダパターンの場合、角度読み取り装置32Y、32Mは、感光体ドラム1Y、2Mの回転軸に設置された第1角度指標34Y、第2角度指標34Mを読み取ってアブソリュートアドレス(絶対番地)を出力する。
【0065】
原点付きインクリメンタルエンコーダパターンの場合、角度読み取り装置32Y、32Mは、感光体ドラム1Y、1Mに固定された第1角度指標34Y、第2角度指標34Mの目盛を読み取って原点からの目盛カウント値を出力する。
【0066】
中間転写ベルト9の表面の回転方向の位置を認識するため、スケールはアブソリュートエンコーダパターン又は原点指標を持つインクリメンタルエンコーダパターンである。アブソリュートエンコーダパターンの場合、位置指標読み取り装置35Y、35Mは、中間転写ベルト9に設置された搬送体位置指標251を読み取ってアブソリュートアドレス(絶対番地)を出力する。原点付きインクリメンタルエンコーダパターンの場合、読み取り装置35Y、35Mは、中間転写ベルト9に固定された搬送体位置指標251の目盛を読み取って原点からの目盛カウント値を出力する。
【0067】
感光体ドラム1Y、1Mの周囲には、偏芯検出装置8Y、8Mが設置されている。偏芯検出装置の一例として、周面の変位を検出する変位センサが用いられる。変位センサは、検出位置に対して光ビームを出射する発光素子と、感光体ドラムによって反射された光ビームを受光する受光素子などを備え、変位に応じたアナログ信号を出力する。検出結果と変位センサの取り付け位置と露光位置の角度から、露光位置における偏芯量が分かる。
【0068】
本体内に変位センサを用いずに、感光体ドラムの偏芯量と回転角度の関係の事前測定を行い、測定結果をバーコードなどの記録媒体に持たせて、そこから得られる感光体ドラムの回転情報を元に偏芯量による補正を行っても本発明の目的は達成できる。
【0069】
図7は、露光位置にて、感光体ドラム(1Y、1M)に形成された画像が1次転写部(TY、TM)に達するタイミング情報である目標ドラムアドレスを取得するタスク(目標ドラムアドレス取得タスク)のフローチャートである。図6の制御ブロック図も併用して説明を行う
1)プリントスタートすると、目標ドラムアドレス取得タスク開始を示すドラムFIFO_Flagを1にする(S11)。
【0070】
2)露光装置(3Y、3M)による主走査スキャンのスタートを検知すると(S12のYES)、走査タイミング毎に角度読み取り装置(32Y、32M)から角度指標(34Y、34M)を読み取り、ドラムアドレスを取得する(S13)。本実施例の主走査スキャンのスタートの第1ラインとは色分解した各色の画像データの副走査方向の先頭に相当する。またステップS12はラインごとにステップS13以下の処理を行うタイミングをとるために設けられている。
【0071】
3)角度指標記録部(111、112)は、取得したドラムアドレス値に、露光位置と一次転写部(TY、TM)の間の角度と図3で説明した演算した角度補正値に相当するアドレス分をオフセット値として加算し、目標ドラムアドレス値を演算する(S14)。角度補正値に相当するアドレスは、偏芯検出装置(8Y、8M)によって取得したドラムの偏芯量を元に演算をすることで求められる。
【0072】
4)目標ドラムアドレス値を露光装置の走査タイミング信号をカウントして形成される走査線の番号(画像位置情報)に対応させて角度指標記録部(111、112)のドラムFIFOメモリ(106、107)に書き込む(S15)。図8で説明する目標ベルトアドレス取得タスクで使用するために、ドラムFIFO_Flagを2にする(S16)。
【0073】
5)プリント終了かどうかを判断し、終了であればドラムFIFO_Flagを0にし(S18)、目標ドラム取得タスクを終了し(S17のYES)、終了でなければ、S12に戻りドラムアドレス取得を繰り返す(S17のNO)。
【0074】
【表1】
図8は、第1感光体ドラム1Yから1次転写部TYにて中間転写ベルト9に転写される画像の位置情報であるベルトアドレスを取得するタスク(目標ベルトアドレス取得タスク)のフローチャートである。図6の制御ブロック図も併用して説明を行う。
【0075】
1)プリントスタートすると、目標ベルトアドレス取得タスク開始を示すベルトFIFO_Flagを1にする(S21)。
【0076】
2)第1色ドラムFIFO_Flag==2を確認すると(S22のYES)、目標ドラムアドレス取得タスクにて角度指標記録部111のドラムFIFOメモリ106に書き込まれた第1色目標ドラムアドレス値を読み出す(S23)。
【0077】
3)第1感光体ドラム1Yが回転して、ドラムFIFOメモリ106から読み出した第1色目標ドラムアドレス値と角度読み取り装置32Yから角度指標34Yを読み取ったドラムアドレスの値が一致する(S24のYES)。そのタイミングで位置指標読み取り装置35Yから搬送体位置指標251を読み取り、ベルトアドレスを取得する(S25)。
【0078】
4)第1色目標アドレス値とドラムアドレスが一致したタイミングが、第1目標アドレス値に対応する画像が1次転写部TYにて中間転写ベルト9に転写されたタイミングに当たる。取得したベルトアドレスを目標ベルトアドレス値として目標ドラムアドレス値に対応付けて、位置指標記録部113のベルトFIFOメモリ108に書き込む(S26)。
【0079】
5)目標ベルトアドレス取得タスクの開始を示すために、ベルトFIFO_Flagを2にする(S27)。
【0080】
6)プリント終了かどうかを判断し、終了であればベルトFIFO_Flagを0にし(S29)、目標ドラム取得タスクを終了し(S28のYES)、終了でなければ、S23に戻りベルトアドレス取得を繰り返す(S28のNO)。
【0081】
【表2】
位置指標記録部113は、角度指標記録部111のドラムFIFOメモリ106から表1のデータを引き出し、表1と表2のデータから画像位置情報と中間転写ベルト9の目標ベルトアドレスを対応させる。これにより、第1角度指標34Yから形成した感光体ドラム1Yのアドレスと搬送体位置指標251から形成した中間転写ベルト9のアドレスが対応づけられる。
【0082】
【表3】
図9は、中間転写ベルト9上の第1画像と第2色ドラム1M上の第2画像を正確に重ね合わせるために、第2ドラム回転位置制御を行うタスク(ベルトドラム合わせタスク)のフローチャートである。
【0083】
1)プリントスタートすると、目標ベルトアドレス取得タスク開始を示すベルトFIFO_Flagが2であるかどうか判断する(S301)。
【0084】
2)目標ベルトアドレス取得タスクにて位置指標記録部113のベルトFIFOメモリ108に書き込まれた目標ベルトアドレス値を読み出す(S302)。
【0085】
3)第2色目標ドラムアドレス取得タスクにて角度指標記録部112の第2色ドラムFIFOメモリ107に書き込まれた第2色目標ドラムアドレス値を読み出す(S303)。
【0086】
4)読み出した目標ベルトアドレス値と位置指標読み取り装置35Mから読み出される第2色ベルトアドレス値との差を計算し、所定値以下であるかどうか判断する(S304)。この判断で第2ドラムの一定速度制御からベルトドラム位置合わせ制御への切り替えを行う。所定値以下になるということは、目標ドラムアドレス値に対応する位置指標が、1次転写位置TMの所定範囲内に入ったということを示す。所定範囲内に入ってから、ベルトドラム位置合わせ制御を開始する。
【0087】
5)目標ベルトアドレス値と第2色ベルトアドレス値の差と第2色目標ドラムアドレス値と第2色ドラムアドレス値の差を比較して、前者が大きいと判断すると(S305のYES)、第2色ドラム回転位置制御を減速する(S307)。前者と後者が等しいと判断すると(S306のYES)、第2色ドラム回転位置制御を保持する(S308)。それ以外の場合は、第2色ドラム回転位置制御を増速する(S309)。
【0088】
6)目標ベルトアドレス値と第2色ベルトアドレス値の差と第2色目標ドラムアドレス値と第2色ドラムアドレス値の差を比較して、相対差が所定範囲内であれば速度を保持する。それ以外であれば、相対差に対応して第2色ドラム回転位置制御の回転速度を変更しても本発明の目的を達成できる。
【0089】
7)目標ベルトアドレス値に対応する搬送体位置指標251の位置と第2色目標ドラムアドレス値に対応する角度指標34Mの位置を比較し、第2色ドラムの回転制御を行う。速度制御部120により、第1色画像と第2色画像の位置情報が一致するように第2感光体ドラム1Mの回転を制御して、イエロートナー像とマゼンタトナー像とを正確に重ね合わせる。
【0090】
8)目標ベルトアドレス値と第2色ベルトアドレス値が一致したかどうか判断する(S310)。プリント終了かどうかを判断し、終了であればベルトドラム合わせタスクを終了し(S311のYES)、終了でなければ、S302に戻りベルトドラム位置合わせ制御を繰り返す(S311のNO)。
【0091】
図10は、図7、図8、図9の制御プロセスを実行するフローチャートの例である。プリント工程がスタートすると(S41)、第1色ドラム1Y、第2色ドラム1Mの回転、中間転写ベルト9の回転、4つのタスクをスタートする(S42)。第1色ドラム1Y、第2色ドラム2M、中間転写ベルト9は所定速度で回転する。4つのタスクは、第1色目標ドラムアドレス取得タスクと第2色目標ドラムアドレス取得タスクと目標ベルトアドレス取得タスクとベルトドラム合わせタスクである。
【0092】
ベルトドラム合わせタスクで、第2色ドラム1Mの回転を一定速制御と位置合わせ制御に切り替える。プリント工程開始時は一定速度制御、印字中は位置合わせ制御、プリント終了後は再び一定速度制御に切り替える。プリント終了かどうかを判断し(S43)、終了であれば、第1ドラム1Yと第2色ドラム1Mと中間転写ベルト9の回転をストップし、4つのタスクも終了させる(S44)。
【0093】
<第2実施形態>
図11は本実施形態における画像形成装置100の概略構成図である。この画像形成装置100は記録材Pを搬送する搬送体としての記録材搬送ベルト90に沿って複数の画像形成部PY、PM、PC、PKが配置されている。第1実施形態の画像形成装置100と共通する構成部材・部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。
【0094】
記録材搬送ベルト90は、駆動モータM91で駆動される駆動ローラ91、従動ローラ92、テンションローラ93に掛け渡されて支持されており、矢印R2の方向に所定の速度で回転駆動される。従動ローラ92と駆動ローラ91との間のベルト部分の上側に記録材搬送ベルト90に沿って上流側から下流側に順に第1乃至第4の画像形成部PY、PM、PC、PKが配設されている。
【0095】
給紙カセット20から給送された記録材Pは従動ローラ92の側から記録材搬送ベルト90の上に導入されて記録材搬送ベルト90に担持される。そして、記録材搬送ベルト90の移動により、記録材搬送ベルト90に担持された記録材Pが第1〜第4の転写部TY、TM、TC、TKを順次に通過する。これにより、記録材Pの面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色重ね合わせ(重畳転写)の未定着のトナー像が形成される。
【0096】
駆動ローラ91の側に搬送された記録材Pは記録材搬送ベルト90から分離されて定着装置17へ導入されて加熱加圧される。これにより未定着のトナー像が固着画像として記録材面に定着される。そして、記録材Pは定着装置17を出てフルカラー画像形成物として排出される。
【0097】
このような画像形成装置100についても、第1実施形態における画像形成装置100と同様の構成により、露光位置での感光体ドラムの偏芯による潜像書き込み位置ずれを正確に把握し、安定した補正制御を行うことができる。
【0098】
<第3実施形態>
図12は本実施形態における画像形成装置100の概略構成図である。この画像形成装置100は1個の感光体ドラムに複数色のトナー像を形成する1ドラム型画像形成装置である。第1実施形態の画像形成装置100と共通する構成部材・部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。
【0099】
回転軸1aを中心に回転駆動される1つの感光体ドラム1に対して、イエロートナー像の作成、マゼンタトナー像の作成、シアントナー像の作成、ブラックトナー像の作成が回分式に順次になされる。感光体ドラム1に順次に形成される各色のトナー像は一次転写部T1において中間転写ベルト9に対して順次に重畳されて一次転写される。この一次転写が実行されている間、二次転写ローラ11は破線示のように中間転写ベルト9から離間している状態に保持されている。また、中間転写ベルトクリーニング装置18も破線示のように中間転写ベルト9から離間した非作用位置保持されている。
【0100】
中間転写ベルト9に対する最後のブラックトナー像の一次転写が開始された後の所定の制御タイミングにおいて二次転写ローラ11が実線示のように中間転写ベルト9に対して当接されて二次転写部T2が形成される。また、中間転写ベルトクリーニング装置18も実線示のように中間転写ベルト9に対する作用位置に移動される。位置に当接されて二次転写部T2が形成される。
【0101】
そして、その二次転写部T2に所定の制御タイミングにて記録材Pが導入され、中間転写ベルト9側の4色重ね合わせのトナー像が記録材Pに対して順次に一括二次転写される。二次転写部T2を出た記録材Pは中間転写ベルト9から分離されて定着装置17へ導入されて加熱加圧される。これにより未定着のトナー像が固着画像として記録材面に定着される。そして、記録材Pは定着装置17を出てフルカラー画像形成物として排出される。
【0102】
このような画像形成装置100についても、第1実施形態における画像形成装置100と同様の構成により、露光位置での感光体ドラムの偏芯による潜像書き込み位置ずれを正確に把握し、安定した補正制御を行うことができる。
【0103】
<その他の事項>
上記の各実施形態の画像形成装置100はイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを用いたものであるが、使用する色や色数はこれに限られるものではないことはもちろんである。また、各色のトナ像の作成順序も各実施形態に限られるものではない。
【符号の説明】
【0104】
1・・感光体ドラム、1a・・回転軸、9・・搬送体、3・・露光装置、4・・現像装置、5・・転写装置、100・・画像形成装置、32・・感光体ドラム角度検出装置、111、112・・補正処理装置、120・・感光体ドラム制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な感光体ドラムと、
トナー像が形成される搬送体と、
前記感光体ドラムに光を照射して潜像形成を行う露光装置と、
前記露光装置により前記感光体ドラムに形成された潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記感光体ドラムに形成されたトナー像を前記搬送体に転写する転写装置と、
を持つ画像形成装置において、
前記露光装置からの露光タイミングで前記感光体ドラムの回転角度を検出する感光体ドラム角度検出装置と、
前記感光体ドラムの回転軸から前記感光体ドラムの表面までの距離と前記感光体ドラムへの前記露光装置からの光の入射角から求められる補正値により補正処理を行う補正処理装置と、
前記補正処理装置により補正された位置情報に基づいて、転写位置における前記感光体ドラムの位置制御を行う感光体ドラム制御装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記補正処理装置は、前記感光体ドラムの半径をr、前記感光体ドラムの最大偏芯量をΔr、前記入射角をβ、前記感光体ドラム角度検出装置の検出結果をθとすると、実際の露光位置と検出された露光位置とのずれ角度αは
【数1】
と求まり、前記ずれ角度αに基づき、露光位置情報を補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補正処理装置は、前記露光装置からの露光タイミングで前記感光体ドラムの回転角度を検出する感光体ドラム角度検出装置の検出結果と、前記感光体ドラムの回転軸から前記感光体ドラムの表面までの距離を検出する感光体ドラム偏芯検出装置の検出結果と、前記感光体ドラムへの前記露光装置からの光の入射角から求めた補正情報と、により露光位置情報に補正処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項1】
回転可能な感光体ドラムと、
トナー像が形成される搬送体と、
前記感光体ドラムに光を照射して潜像形成を行う露光装置と、
前記露光装置により前記感光体ドラムに形成された潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記感光体ドラムに形成されたトナー像を前記搬送体に転写する転写装置と、
を持つ画像形成装置において、
前記露光装置からの露光タイミングで前記感光体ドラムの回転角度を検出する感光体ドラム角度検出装置と、
前記感光体ドラムの回転軸から前記感光体ドラムの表面までの距離と前記感光体ドラムへの前記露光装置からの光の入射角から求められる補正値により補正処理を行う補正処理装置と、
前記補正処理装置により補正された位置情報に基づいて、転写位置における前記感光体ドラムの位置制御を行う感光体ドラム制御装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記補正処理装置は、前記感光体ドラムの半径をr、前記感光体ドラムの最大偏芯量をΔr、前記入射角をβ、前記感光体ドラム角度検出装置の検出結果をθとすると、実際の露光位置と検出された露光位置とのずれ角度αは
【数1】
と求まり、前記ずれ角度αに基づき、露光位置情報を補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補正処理装置は、前記露光装置からの露光タイミングで前記感光体ドラムの回転角度を検出する感光体ドラム角度検出装置の検出結果と、前記感光体ドラムの回転軸から前記感光体ドラムの表面までの距離を検出する感光体ドラム偏芯検出装置の検出結果と、前記感光体ドラムへの前記露光装置からの光の入射角から求めた補正情報と、により露光位置情報に補正処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−88642(P2013−88642A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229586(P2011−229586)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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