説明

画像形成装置

【課題】 幅方向のベルトの位置を判断するために、ベルトに接触して動くアームと、アームの位置を検知する複数のセンサを設けた構成において、アームが移動する方向においてセンサを配置する間隔を狭くすることが困難であった。
【解決手段】 突出62dが、アーム62が動く方向に対して垂直な方向において突出62cとは異なる位置に設けられる。さらに突出62dを検知するために、突出62dが動く軌跡に沿ってフォトセンサ80bが配置される。その上でフォトセンサ80bは、アーム62が動く方向においてフォトセンサ80aとフォトセンサ80cとの間に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に形成されたトナー像をベルト部材を用いて記録材に転写する画像形成装置に関する。詳しくは、ベルト部材をステアリングする機構と、ベルト部材の幅方向における位置を検知する装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多様な記録材に対応するために、感光ドラム等の像担持体に形成されたトナー像を中間転写体に転写し、その後中間転写体に形成されたトナー像を記録材に転写する転写部を有する画像形成装置が採用されている。
特許文献1には、走行中の中間転写ベルトが幅方向に寄るのを抑制するために、中間転写ベルトを張架するローラが傾斜する構成が記載されている。ローラが傾斜する量は、ベルトの位置を検知する検知手段の検知結果に基づいて制御される。特許文献1ではベルトの位置を検知するために、ベルトの幅方向の端部に接触して動くアームと、アームに設けられた被検知部を検知するために、アームが移動する軌跡に沿って複数のセンサが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−223981
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1では全てのセンサが共通の被検知部を検知するので、センサ同士が隣り合うように配置される。そのため検出を細かく行うためにセンサとセンサとの間隔を狭くしようとすれば、センサとセンサとがぶつかったり、センサを取り付けるために必要なスペースを確保するのが困難になったりする。すなわちセンサを配置する間隔を狭くすることができず、検出を細かく行うのが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明は、移動可能なベルト部材と、前記ベルト部材を張架して、前記ベルト部材の幅方向において、前記ベルト部材をステアリングするステアリングローラと、前記幅方向における前記ベルト部材の端部に接触して動くアームと、前記アームに設けられる第1の被検知部と、前記1の被検知部を検知する第1のセンサと、前記アームに設けられる第2の被検知部と、前記第2の被検知部を検知する第2のセンサと、前記ステアリングローラの傾斜を前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの検知結果に基づいて制御する制御手段とを、備えた画像形成装置において、前記第2の被検知部は、前記アームが移動する方向に対して垂直な方向において前記第1のセンサと異なる位置であって、前記第2のセンサは、前記アームが移動する方向に対して垂直な方向において前記第1のセンサと異なる位置であって、前記アームが移動する方向において前記第1のセンサと一部重なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本願発明により、幅方向のベルトの位置を判断するために、ベルトに接触して動くアームと、アームの位置を検知する複数のセンサを設けた構成において、アームが移動する方向においてセンサを配置する間隔を狭くすることができる
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】中間転写ユニットの斜視図である。
【図3】第1フレームと第2フレームの平面配置の説明図である。
【図4】駆動ローラの駆動機構の説明図である。
【図5】ベルト検知装置の説明図
【図6】ベルト検知位置の組み合わせの説明図
【図7】他の実施形態のベルト検知装置の説明図
【図8】他の実施形態のベルト検知装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
[画像形成装置]
図1を用いて実施形態1の画像形成装置100について説明する。
【0009】
画像形成部1a、1b、1c,1dは画像を形成する画像形成部である。画像形成部1a、1b、1c、1dはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを用いて画像を形成する。それ以外の構成は共通するので、以下では画像形成部1aを例にとって説明する。
【0010】
画像形成部1aは交換可能なユニット(プロセスカートリッジ)として組み立てられる。画像形成部は、像担持体としての感光ドラム3aを持つ。感光ドラム3aは所定のプロセススピードで回転する。感光ドラム3aは、感光ドラムを帯電する帯電ローラによって一様な負極性の電位に帯電される。帯電された感光ドラムの表面は、露光装置6によって露光される。画像データに基づいてON−OFF変調されたレーザービームを用いて露光装置6が感光ドラム3aを露光することで、感光ドラム3a上に静電潜像が形成される。感光ドラム3a上の静電像は、イエロー色のトナー像を現像する現像装置によって、イエロー色のトナー像として現像される。一次転写ローラ2aは、トナー像が転写される中間転写ベルト2を押圧することで、感光ドラム3aから中間転写ベルト2にトナー像を転写する一次転写部Taを形成する。一次転写ローラ2aに正極性の直流電圧が印加されることにより、感光ドラム3aに担持された負極性のトナー像が、一次転写部Taで中間転写ベルト2へ転写される。
【0011】
画像形成部1b、1c、1dはマゼンタ色のトナー像、シアン色のトナー像、ブラック色のトナー像を対応する感光体3b、3c、3d上に同様に形成する。さらに感光体3b、3c、3dに形成されたトナー像は対応する一次転写ローラ2b、2c、2dによって中間転写ベルト2に同様に転写される。カラー画像を形成する場合には、異なる色のトナー像が中間転写ベルト2上で重なるように各画像形成部が画像形成動作を行う。
【0012】
中間転写ベルト2は、基材がポリイミド等の材料で無端状のベルト部材である。中間転写ベルト2は、中間転写ベルト2の張力を維持するテンションローラ27と、中間転写ベルト2を駆動する駆動ローラ26と、二次転写内ローラ25と、張架ローラ28、29によって張架される。さらに中間転写ベルト2は駆動ローラ26によって矢印R2方向に移動可能である。なおテンションローラ27は、張架ローラ28と駆動ローラ26との間で中間転写ベルト2を外側へ押圧して中間転写ベルトに30N(3kgf)の張力を付与する。また駆動ローラ26が中間転写ベルト2に巻き付く角度は少なくとも90度以上に設定される。その結果駆動ローラ26が中間転写ベルト2に対して滑りにくくなる。
【0013】
記録材Pは記録材カセット4から引き出しローラ8によって1枚ずつ引き出されて、レジストレーションローラ9によって、記録材にトナー像を転写する二次転写部T2へ運ばれる。レジストレーションローラ9は、中間転写ベルト2上のトナー像が二次転写部T2に到達するタイミングに合わせて記録材Pを二次転写部T2へ送り込む。
【0014】
二次転写外ローラ22は、中間転写ベルト2に当接することで、トナー像を記録材に転写する二次転写部T2を形成する。二次転写内ローラ25は、中間転写ベルトを挟んで二次転写外ローラ22に対向する位置に配置される。不図示の電源から二次転写外ローラ22に正極性の直流電圧が印加される。一方で二次転写内ローラ25は接地される。その結果トナー像を転写する転写電界が二次転写外ローラ25と二次転写内ローラ22との間に形成される。その結果トナー像は二次転写部で記録材に転写される。
【0015】
トナー像が転写された記録材は、トナー像を定着する定着装置5へ搬送される。定着装置5は、ヒータを備える定着ローラ5aと加圧ローラ5bとで定着ニップ部を形成する。記録材Pが定着ニップで挟持されると、トナー像が熱と圧力によって溶融する。その結果トナー像が記録材に定着される。
【0016】
[中間転写ベルトユニット]
移動中の中間転写ベルト2は、中間転写ベルトが移動する方向に対して垂直な方向に寄るおそれがある。そこで中間転写ベルトの幅方向の寄りを抑制するために、中間転写ベルトを幅方向にステアリングするステアリング装置を設けるのが望ましい。本実施形態では駆動ローラ26がステアリングローラとして機能するように、中間転写ベルト2を備える中間転写ユニット20が構成される。
【0017】
図2、図3を用いて、中間転写ベルト2を備える中間転写ユニット20について説明する。中間転写ユニット20は交換可能なユニットであって、中間転写ユニット20は画像形成部1a、1b、1c、1dの上方に配置される。さらに中間転写ユニットは、二次転写内ローラ25、一次転写ローラ2a、2b、2c、2d、張架ローラ28、29とを支持する第1のフレーム50と、駆動ローラ26、テンションローラ27とを支持する第2のフレーム40とを備える。第2のフレーム40の幅方向における前側には、駆動ローラ26に駆動力を供給する駆動源としての駆動モータ70が配置される。
【0018】
第1のフレーム50は、幅方向における前側(第1の側)に配置される側板51と、幅方向における奥側(第2の側)に配置される側板52と、側板51と側板52とを連結する梁板53、54とを備える。
【0019】
第2のフレーム40は、幅方向における第1の側に配置される側板41と、第2の側に配置される側板42と、側板41と側板42とを連結する梁板43とを備える。梁板53、54、43は、ステアリング動作をするために必要な剛度をそれぞれのフレームにもたらしている。
【0020】
回動軸76は、第2のフレームの側板41を回転させる回転軸である。第2のフレームは第1の側では回動軸76を介して第1のフレームに支持される。一方で第2の側では第2のフレームの位置は固定されていない。すなわち第2の側で第2のフレーム40は、H1向き又はH1とは逆向きのH2向きに移動して、第1のフレーム50に対して傾斜することができる。
【0021】
第2のフレームには、駆動モータ70からの駆動力を駆動ローラ26に伝える歯車74、75も設けられている。そのため第2のフレームが傾斜しても、駆動モータ70と歯車74,75と駆動ローラ26との位置関係は変わらない。そのため第2のフレームが傾斜しても駆動ローラ26の回転にムラが生じるのが抑制される。
【0022】
また駆動モータ70は、幅方向において回動軸76に対して駆動ローラ26とは反対側に配置される。その結果駆動モータ70の自重によって第2のフレームに生じる回転モーメントの向きが、駆動ローラ26の自重によって第2のフレーム40に生じる回転モーメントと逆向きになる。その結果第2のフレームの位置が安定しやすくなる。
【0023】
さらに幅方向において側板42の近傍に、梁板43に当接する偏芯カム64が配置される。ステアリングモータ61は第1のフレーム50の梁板53に配置されて、偏芯カム64を駆動する駆動源である。
【0024】
偏心カム64がステアリングモータ61に駆動されると、第2のフレームの梁板42を動かす。その結果駆動ローラ26が傾斜する。
【0025】
なおステアリングモータ61が配置される第1フレーム50の位置は装置本体に対して固定されるので、ステアリングモータの駆動は安定する。
【0026】
制御回路63は、ステアリングモータ61を制御するステアリング制御手段として機能する。制御回路63には、中間転写ベルト2の幅方向による位置を検知するベルト位置検知装置からの位置情報が入力される。制御回路63は、ベルト位置検知装置からの位置情報に基づいてステアリングモータ61を動かす。その結果ステアリングローラ26のアライメントが変化して、中間転写ベルト2の寄りが補正される。ベルト位置検知装置の詳細については後で説明する。
【0027】
[ベルト位置検知装置]
本実施形態ではステアリングモータ61は、ベルト位置検知装置110の検知結果に基づいて制御される。本実施形態におけるベルト位置検知装置の構成の詳細について図4(a)、(b)を用いて説明する。
【0028】
アーム62は回動中心62b周りに周方向に回動可能なアームである。アーム62には、中間転写ベルト2の幅方向における端部に接触する接触部として機能する接触ローラ62aが設けられている。接触ローラ62aがベルトの端部に接触すると、アーム62は中間転写ベルト2の幅方向の動きに追従して回動中心62b周りに周方向において回動する。中間転写ベルト2が幅方向においてC向きに動くとアーム62は周方向においてA向きに回動して、中間転写ベルト2が幅方向においてD向きに動くとアーム62は周方向においてB向きに回動する。
【0029】
さらにアーム62には、回動中心62bに対して接触ローラ62aとは逆側で、かつ中間転写ベルト2の裏面に対向しない側に、突出する突出62cが設けられている。この突出62cを検出するために、フォトセンサ80a、80c、80eが、アーム62が周方向に回動するときに突出62cが動く軌道に沿って配置される。すなわちフォトセンサ80a、80c、80eは、アーム62が回動する周方向に対して垂直な半径方向において、同じ位置に配置されて、アーム62が回動する周方向において、異なる位置に配置される。フォトセンサ80a、80c、80eはそれぞれ、光を発光する発光部81a、81c、81eと、発光部からの光を受光する受光部82a、82c、82eとを備える発光受光一体型のフォトセンサである。発光部からの光は常時オンされる。そのためアーム上の突出62cがフォトセンサを通過する時、発光部からの光が突出によって遮断されて、受光部に届かなくなる(オフ状態)。一方でアーム62上の突出62cがフォトセンサを通過しない時、発光部からの光は突出によって遮断されることなく受光部に届く(オン状態)。すなわち、突出62cは、フォトセンサ80a、80c、80eによって検知される被検知部(第1の被検知部)として機能する。各フォトセンサについてのオン状態とオフ状態との組み合わせは、アーム62の位置によって変化する。アーム62が図中A方向に動くときには、フォトセンサ80eがまずオンして、次にフォトセンサ80cがオンして、その後にフォトセンサ80aがオンする。このようにフォトセンサのオンオフの組み合わせから、中間転写ベルト2の位置をリアルタイムで検知することが可能になる。
【0030】
中間転写ベルト2の位置検知を細かく行うためには、アームが動く方向においてフォトセンサとフォトセンサとの間隔を狭くするのが望ましい。しかしフォトセンサ80a、80c、80eは、アームの動きに伴う共通の突出62cの軌跡に沿って配置される。そのためアームが動く方向においてフォトセンサとフォトセンサとの間隔を狭くしようとすると、フォトセンサを取り付ける器具を配置するスペースを確保するのが困難になるおそれがある。あるいは、アームが動く方向におけるフォトセンサの外形の大きさによって、センサを配置する間隔が制限される。すなわちセンサを配置する間隔を狭くすることができず、検出を細かく行うのが困難になる。
【0031】
そこで本実施形態では、突出62dが、アーム62が回動する周方向に対して垂直な半径方向において、突出62cとは異なる位置に設けられる。さらに突出62dを検知するためのセンサとして、突出62dが動く軌跡に沿ってフォトセンサ80b、80dが配置される。すなわち、フォトセンサ80b、80dは、アーム62が回動する周方向に対して垂直な半径方向において、同じ位置に配置されて、アーム62が回動する周方向において、異なる位置に配置される。さらにフォトセンサ80bは、アーム62が回動する周方向においてフォトセンサ80aとフォトセンサ80cとの間に配置される。さらにフォトセンサ80dは、アームが回動する周方向においてフォトセンサ80cとフォトセンサeとの間に配置される。
【0032】
すなわち幅方向のベルトの位置を判断するために、ベルトの端部に接触して動くアームと、アームの位置を検知する複数のセンサを設けた構成において、アームが動く方向においてセンサを配置する間隔を狭くすることができる。
【0033】
フォトセンサ80aが突出62cを検知する時と、フォトセンサ80cが突出62cを検知する時との間で、フォトセンサ80bが突出62dを検知する。そしてフォトセンサ80cが突出62cを検知する時と、フォトセンサ80eが突出62cを検知する時との間で、フォトセンサ80dが突出62dを検知する。すなわち突出62cについての検知と、突出62dについての検知が交互に行われて、検知が細かくなる。
【0034】
なおフォトセンサ80b、80dはフォトセンサ80a、80c、80eと同じ構成である。すなわちフォトセンサ80b、80dはそれぞれ発光部81b、81d、受光部82b、82dを備える。すなわち突出62dは、フォトセンサ80b、80dによって検知される被検知部(第2の被検知部)として機能する。
【0035】
またアームが回動する周方向において、フォトセンサ80a、80b、80c、80d、80eは、それぞれ等間隔で配置される。これは、幅方向におけるベルトの位置を等間隔で検知するためである。
【0036】
また回転中心62bから見られると、突出62dは、突出62cと重なる。すなわち半径方向に突出62dを射影した影は、同じく半径方向に突出62cを射影した影と重なる。すなわち、アームが動く方向における突出62cの一方の端部E1と回転中心62bとを結ぶ線上に、アームが動く方向における突出62dの一方の端部E3が位置する。またアームが動く方向における突出62cの他方の端部E2と回転中心62bとを結ぶ線上に、アームが動く方向における突出62dの他方の端部E4が位置する。
【0037】
また本実施形態では、アームが回動する周方向において、フォトセンサ80aの外形が、フォトセンサ80bの外形と一部重なるように配置される。すなわち、半径方向にフォトセンサ80aの外形を射影した影は、半径方向にフォトセンサ80bの外形を射影した影と一部重なる。S1は、アームが動く方向においてフォトセンサ80aの外形がフォトセンサ80bの外形と一部重なる領域を示す。この理由について説明する。フォトセンサが一列に配置されれば、センサの外形の大きさより細かい検知は不可能であった。フォトセンサの外形が一部重なるように配置されて、より細かい検知が可能となる。同様に、アームが回動する周方向において、フォトセンサ80bと80cとの間で一部重なる領域S2、フォトセンサ80cと80dとの間で一部重なる領域S3、フォトセンサ80dと80eとの間で一部重なる領域S4が形成される。言い換えると、アームが回動する周方向において、フォトセンサが配置される間隔が、フォトセンサの外形のサイズより狭くなる。
【0038】
なお本実施形態は、一部重なる領域S1,S2,S3,S4を形成する構成である。すなわち周方向において、隣り合うフォトセンサが配置される間隔は、フォトセンサの外形のサイズより狭い。しかしこの構成に限定する意図ではない。フォトセンサの取り付け器具のサイズや取り付け作業のスペースを確保するために、隣り合うフォトセンサが配置される間隔について、フォトセンサの外形のサイズより大きな所定間隔が必要となる構成がある。このような、周方向において、隣り合うフォトセンサ80aとフォトセンサ80bとの間隔が、フォトセンサの外形より広くなる構成についても、本発明は適用することができる。
【0039】
ところでセンサを一列に配置した構成で検知を細かくする方法として、センサと突出とをアームの回転中心から遠ざける方法が考えられる。しかしこの場合には突出の重さに起因してアームに生じる遠心力が大きくなる。その結果アームがベルトの動きに追従しにくくなるおそれがある。本実施形態では、突出部とアームの回転中心との距離が大きくなるのが抑制されるので、ベルトの挙動に対するアームの追従性が低くなるのが抑制される。
【0040】
図6は、フォトセンサのオンオフの組み合わせと中間転写ベルト2の幅方向における位置の関係を示す。白丸はオン状態を示す。黒丸はオフ状態を示す。位置No.は、中間転写ベルトの幅方向における位置を示す。位置Noの値が大きいほど、中間転写ベルトが幅方向において駆動ローラ70が設けられた側(第1の側)に位置することを示す。位置Noが1ずれると、幅方向において中間転写ベルトの位置は1mmずれることを意味する。
すなわち位置Noが0のときには中間転写ベルト2は、幅方向において第2の側に大きくずれた状態である。このとき、フォトセンサ80a、80b、80c、80d、80eはすべてオン状態である。No.1の位置は、No.2の位置よりも幅方向において第1の側に1mm程の位置である。このとき80a、80b、80c、80dはオン状態で、80eはオフ状態となる。No.2の位置は、No.1の位置よりも幅方向において第1の側に1mm程の位置である。このとき80a、80b、80cはオン状態で、80d、80eはオフ状態となる。No.3の位置は、No.2の位置よりも幅方向において第1の側に1mm程の位置である。このとき80a、80bはオン状態で、80c、80d、80eはオフ状態となる。No.4の位置は、No.3の位置よりも幅方向において第1の側に1mm程の位置である。このとき80aはオン状態で、80b、80c、80d、80eはオフ状態となる。No.5、6,7、8、9の位置についても、フォトセンサのオン状態とオフ状態の組み合わせが変わる。
【0041】
なお位置NOが4と5の間で、中間転写ベルト2の位置は幅方向において中央でホームポジションになる。中間転写ベルト2がNo.4、3、2の位置であれば、中間転写ベルト2を幅方向においてホームポジションに戻すのが望ましい。そこで駆動ローラ26の端部がH2向きに移動するように、ステアリングモータ61は制御される。中間転写ベルトの位置がNo.4、3、2と変化するにつれて、駆動ローラ26の端部がH2向きにさらに移動するように、ステアリングモータ61が制御される。すなわち中間転写ベルトの位置がNo.4、3、2と変化するにつれて中間転写ベルトの寄り量が大きくなる程、ステアリングローラの傾斜を大きくして、ベルトの寄りを戻す力を強める。一方で中間転写ベルト2がNo.5,6,7の位置であれば、中間転写ベルトを、中間転写ベルト2をホームポジションに戻すのが望ましい。そこで駆動ローラ26の端部がH1向きに移動するように、ステアリングモータ61は制御される。No.5、6、7と変化するにつれて、駆動ローラ26の端部がさらにH2向きに移動するように、ステアリングモータ61は制御される。すなわちNo.5、6、7と変化するにつれて中間転写ベルトの寄り量が大きくなるほど、中間転写ベルトの傾斜を大きくして、ベルトの寄りを戻す力を強める。中間転写ベルト2がNo.1またはNo.8の位置になると、中間転写ベルトの寄り量が大きいので、画像形成装置を一旦停止する。さらに中間転写ベルトの寄り量がさらに大きくなって中間転写ベルトの位置がNo.0又は9になると、画像形成装置はエラー(NG)を出力する。
このように本実施形態では、ベルト位置を細かく検知した上で、ステアリング制御を細かく行う。その結果ベルトが端部に寄るのを戻すのが遅れるのが抑制される。また制御が粗くなることによって画像の位置がずれるのが抑制される。
【0042】
また本実施形態では、アーム62、及びフォトセンサ80a、80b、80c、80d、80eは第2フレーム40に固定される。そのため駆動ローラ26が傾斜するのに伴って中間転写ベルト2の端部の位置が動いても、アーム62と中間転写ベルト2の端部との位置関係が大きく変わらない。よって中間転写ベルト2の端部が撓んでも、中間転写ベルト2の位置を検知する精度が低下するのを抑制することができる。
【0043】
さらにアーム62の接触ローラ62aは、駆動ローラ26の近傍で中間転写ベルト2が移動する方向において駆動ローラ26よりも上流側で、中間転写ベルト24の端部に接触する。そのため接触ローラ62aが接触する位置で、中間転写ベルト2の縁がばたつかずに安定するので、ベルトの位置を検知する誤差が大きくなるのが抑制される。
【0044】
なお本実施形態ではアームが回動する構成であるが、これに限定する意図ではない。アームがスライド移動する構成にすることもできる。
【0045】
なお本実施形態では、突出62dは、アーム上で突出62cが設けられた面と同じ側の面に設けられており、アームが回動する周方向に垂直な半径方向において突出62cと異なる位置に配置される。しかしこれに限定する意図ではない。図7、図8に示されるように、突出62dが(第2の被検知部)、アーム62上で突出62cが設けられた面とは逆側の面に設けられており、アーム面に垂直な鉛直方向において突出62cと異なる位置に配置される構成にすることもできる。
【0046】
この場合には図7、図8に示されるように、鉛直方向に突出62cを射影した影は、鉛直方向に突出62dを射影した影と重なる。アームが回動する周方向において、フォトセンサ80bは、フォトセンサ80aと80cとの間に配置される。アームが回動する周方向において、フォトセンサ80dは、フォトセンサ80cと80eとの間に配置される。フォトセンサ80a、80c、80eは突出62cを検出して、フォトセンサ80b、80dは、突出62dを検出する。
【0047】
アームがA方向に動く場合には、フォトセンサ80e、80d、80c、80b、80aの順にセンサのオンオフが切り替わり、アームの位置が判断される。逆にアームがB方向に動く場合には、フォトセンサ80a、80b、80c、80d、80eの順にセンサのオンオフが切り替わり、アームの位置が判断される。このような構成では、アームが回動する方向に対して垂直な半径方向においてセンサを配置するためのスペースが抑制されるというメリットがある。
【符号の説明】
【0048】
2 ベルト(中間転写体ベルト)
7 画像形成装置
20 中間転写ユニット
62 アーム
62a 接触ローラ
62b 回転中心
80 フォトセンサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能なベルト部材と、
前記ベルト部材を張架して、前記ベルト部材の幅方向において、前記ベルト部材をステアリングするステアリングローラと、
前記幅方向における前記ベルト部材の端部に接触して動くアームと、
前記アームに設けられる第1の被検知部と、
前記1の被検知部を検知する第1のセンサと、
前記アームに設けられる第2の被検知部と、
前記第2の被検知部を検知する第2のセンサと、
前記ステアリングローラの傾斜を前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの検知結果に基づいて制御する制御手段とを、備えた画像形成装置において、
前記第2の被検知部は、前記アームが移動する方向に対して垂直な方向において前記第1のセンサと異なる位置であって、
前記第2のセンサは、前記アームが移動する方向に対して垂直な方向において前記第1のセンサと異なる位置であって、前記アームが移動する方向において前記第1のセンサと一部重なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記アームは、前記ベルト部材の端部に接触して回動することを特徴とする請求項1に記載された画像形成装置。
【請求項3】
前記第1のセンサは、光を発する第1の発光部と、前記第1の発光部からの光を受ける第1の受光部とを備えて、前記第1の発光部と前記第1の受光部との間を前記第1の被検知部が通ることで前記アームの位置を検知して、
前記第2のセンサは、光を発する第2の発光部と、前記第2の発光部からの光を受ける第2の受光部とを備えて、前記第2の発光部と前記第2の受光部との間を前記第2の被検知部が通ることで前記アームの位置を検知することを特徴とする請求項1又は2に記載された画像形成装置。
【請求項4】
前記アームが移動する方向において、前記第2の被検知部は前記第1の被検知部に重なるように配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載された画像形成装置。
【請求項5】
移動可能なベルト部材と、
前記ベルト部材を張架して、前記ベルト部材の幅方向において、前記ベルト部材をステアリングするステアリングローラと、
前記幅方向における前記ベルト部材の端部に接触して動くアームと、
前記アームに設けられる第1の被検知部と、
前記1の被検知部を検知する第1のセンサと、
前記アームが移動する方向において前記第1のセンサとは異なる位置に配置されて、前記第1の被検知部を検知する第2のセンサと、
前記第1の被検知部とは異なる位置に配置される第2の被検知部と、
前記第2の被検知部を検知する第3のセンサとを備えて、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサ及び前記第3のセンサの検知結果に基づいて前記ステアリングローラの傾斜を制御する制御手段とを、備えた画像形成装置において、
前記第2の被検知部は、前記アームが移動する方向に対して垂直な方向において前記第1の被検知部とは異なる位置に配置されて、
前記第3のセンサは、前記アームが移動する方向において前記第1のセンサと前記第2のセンサとの間の位置であって、前記アームが移動する方向に対して垂直な方向において前記第1のセンサ及び前記第2のセンサとは異なる位置に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記アームが移動する方向において、前記第1のセンサと前記第3のセンサとの間隔が前記第2のセンサと前記第3のセンサとの間隔と等しいことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載された画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−88768(P2013−88768A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232037(P2011−232037)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】