説明

画像形成装置

【課題】現像装置の回転部材に駆動力を伝達する伝達部材の故障を検知することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】プリンタ100は,伝達部材が現像装置の回転部材を第1回転速度で回転させる駆動力を伝達する第1モードと,伝達部材が回転部材を第2回転速度(<第1回転速度)で回転させる駆動力を伝達する第2モードとを有し,必要に応じてモードを切り換える。そして,プリンタ100は,第2モードに切り換える指令が出された後に形成された検査用画像の現像剤量を取得し,その現像剤量に基づいて伝達部材に異常が発生したか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,現像装置が現像剤像を形成する画像形成装置に関する。さらに詳細には,駆動源から出力される駆動力を,伝達部材を介して現像装置の回転部材に伝達する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,現像装置が現像剤像を形成し,その現像剤像を用紙に転写する画像形成装置には,モータ等の駆動源から出力される駆動力を,現像ローラ,現像剤供給ローラ,あるいは現像剤搬送部材等の回転部材に伝達するクラッチが設けられているものがある。画像形成装置は,そのクラッチを制御することで,駆動力を回転部材に伝える状態と,駆動力を回転部材に伝えない状態とを切り換えることができる。このような画像形成装置では,例えば,感光体の清掃等の画像形成が不要な場合に,現像装置の回転部材に駆動力を伝えない状態にクラッチを制御することで,現像剤の早期劣化を抑制できる。
【0003】
駆動力を回転部材に伝達する伝達部材としては,例えば特許文献1に,駆動源400からの駆動力を現像剤搬送ローラ105に伝達するクラッチ200や,感光体駆動モータ122からの駆動力を現像ローラ11に伝達する現像ローラ駆動クラッチ19が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−146369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の画像形成装置には,次のような問題があった。すなわち,駆動力を回転部材に伝える状態でクラッチが故障した場合,駆動力を回転部材に伝えない状態に切り換える指令を出した後も,クラッチの状態は切り換わらず,回転部材に駆動力が伝達し続けることになる。この場合,故障ではあるものの画像形成が可能であることから,異常を検知し難い。回転部材に駆動力が伝達し続けると,現像剤へのストレスが過剰になり,現像剤の早期劣化を招くおそれがあることから問題となる。
【0006】
本発明は,前記した従来の画像形成装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,現像装置の回転部材に駆動力を伝達する伝達部材の故障を検知することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成装置は,像担持体と,現像剤を収容し,現像剤を搬送する回転部材を備え,前記像担持体に現像剤像を形成する現像装置と,前記回転部材を回転駆動する駆動力を前記回転部材に伝達する伝達部材と,前記伝達部材が,前記回転部材を第1回転速度で回転させる駆動力を伝達する第1モードと,前記伝達部材が,前記回転部材を前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度で回転させる駆動力を伝達する第2モードとを切り換える切換部と,前記現像装置に収容された現像剤を用いて検査用画像を形成する形成部と,前記第2モードに切り換える指令が出された後に前記形成部にて形成された前記検査用画像の現像剤量に基づいて,前記伝達部材に異常が発生したか否かを判断する判断部とを備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の画像形成装置は,伝達部材が回転部材を第1回転速度で回転させる駆動力を伝達する第1モードと,伝達部材が回転部材を第2回転速度(<第1回転速度)で回転させる駆動力を伝達する第2モードとを有する。現像剤を搬送する回転部材としては,現像装置に備えられるものであり,例えば,現像ローラ,現像剤供給ローラ,攪拌部材が該当する。また,回転部材の回転速度を変更可能な伝達部材としては,例えば,変速機構,クラッチが該当する。また,第2モードには,回転部材が回転停止の状態,すなわち第2回転速度を0とする状態も含まれる。そして,本発明の画像形成装置は,伝達部材の故障検査として,第2モードに切り換える指令が出された後に形成された検査用画像の現像剤量を取得し,その現像剤量に基づいて伝達部材に異常が発生したか否かを判断する。
【0009】
すなわち,第2モードとして検査用画像を形成した場合,第2モードが第1モードよりも低速であるため,伝達部材が正常であれば,第1モードよりも低濃度の検査用画像が形成される。一方,伝達部材に異常があり,伝達部材を第2モードの状態に切り換えられなかった場合,すなわち第2モードに切り換える指令が出された後であっても回転部材が第1回転速度で回転し続けた場合には,第1モードで形成した場合と同等の濃度の検査用画像が形成される。そこで,本発明の画像形成装置では,第2モードに切り換える指令が出された後に検査用画像を形成し,その形成された検査用画像の現像剤量を取得することで,その現像剤量に基づいて,伝達部材に第1モードで動作し続けている異常が発生しているか否かを判断できる。
【0010】
具体的に,前記判断部は,前記第1モードの状態で前記形成部にて形成された場合の前記検査用画像の現像剤量と,前記第2モードに切り換える指令が出された後に前記形成部にて形成された前記検査用画像の現像剤量と,の差が所定量以内である場合に,前記伝達部材に異常が発生したと判断するとよい。すなわち,第2モードに切り換える指令が出された後に形成された検査用画像の現像剤量が,第1モードの状態で形成した場合の検査用画像の現像剤量と同等の範囲内であれば,第2モードの状態になっておらず,伝達部材が第1モードのまま動作し続けていると判断できる。
【0011】
また,本発明の画像形成装置は,前記第1モードに切り換える指令が出された後に前記形成部にて形成された前記検査用画像の現像剤量に基づいて,異常が発生したか否かを判断する第2判断部を備えるとよい。この構成によれば,前述した第1モードで動作し続けている異常を検出する場合とは反対に,第1モードに切り換える指令が出された後に検査用画像を形成し,その現像剤量に基づいて,異常が発生しているか否かを判断する。この検査を,前述した伝達部材が第1モードで動作し続けている異常を検出する検査と組み合わせることで,より多様な異常を検知できる。
【0012】
具体的に,前記第2判断部は,前記第2モードの状態で前記形成部にて形成された場合の前記検査用画像の現像剤量と,前記第1モードに切り換える指令が出された後に前記形成部にて形成された前記検査用画像の現像剤量と,の差が所定量以内である場合に,異常が発生したと判断するとよい。すなわち,第1モードに切り換える指令が出された後に形成された検査用画像の現像剤量が,第2モードの状態で形成した場合の検査用画像の現像剤量と同等の範囲内であれば,第1モードの状態になっておらず,伝達部材が第2モードのまま動作し続けていると判断できる。
【0013】
また,本発明の画像形成装置は,前記第1モードの状態では第1の間隔でカウントを継続し,前記第2モードの状態では前記第1の間隔よりも広い間隔となる第2の間隔でカウントを継続するカウント部と,前記カウント部のカウント値に基づいて,印字可否を管理する管理部とを備え,前記カウント部は,前記判断部にて異常と判断された場合に,前記第1の間隔でカウントを継続するとよい。第1モードの状態は,回転部材の回転速度が速く,現像剤に与えるストレスが第2モードの状態よりも大きいため,第2モードの状態よりも現像剤の劣化が早い傾向にある。このことから,第1モードで動作し続けている異常が発生した場合には,第1モードでのカウント間隔を維持する方が,より正確な管理を行うことができる。
【0014】
また,本発明の画像形成装置は,前記判断部にて異常と判断された場合に,当該異常に関する情報をユーザに報知する報知部を備えるとよい。異常に関する情報は,例えば,伝達部材の異常が発生したことや,印字可能枚数が少なくなることが該当する。報知方法は,例えば,エラーランプの点灯,液晶パネルへのエラーメッセージ,音声ガイダンス,メール送信が該当する。この構成のように,ユーザ(サービスマンを含む)に異常を報知することで,ユーザが装置の異常を早期に把握することが期待できる。
【0015】
また,前記判断部は,濃度センサを利用して前記検査用画像の現像剤量を取得するとよい。既存の濃度センサを利用して現像剤量を取得することで,部品点数の増加を防ぐことができる。
【0016】
また,前記形成部は,印字を伴う補正動作時に,前記検査用画像を形成するとよい。印字を伴う補正動作は現像装置を像担持体に圧接させて実行するため,伝達部材の異常検査のためだけに現像装置を圧接させる必要がない。そのため,現像装置あるいは像担持体へのストレスの増加が抑制される。
【0017】
また,前記形成部は,前記検査用画像を形成する前に,副走査方向の幅が現像領域の前記像担持体の回転方向の幅よりも広いベタ画像を形成するとよい。検査用画像を形成する前にベタ画像を形成することで,現像ローラに供給済みの現像剤を吐き出すことができる。そのため,より正確な判断が期待できる。
【0018】
また,本発明の画像形成装置は,前記形成部が形成した前記検査用画像を用紙に印刷する印刷部を備えるとよい。本構成のように用紙に検査用画像を印刷することでサービスマン等が目視でも異常の有無を確認でき,利便性が向上する。
【0019】
また,前記切換部は,前記第2モードとして,前記回転部材に駆動力が伝わらない状態とし,前記回転部材の回転を停止させてもよい。なお,回転部材の回転を停止すると,第2回転速度は0であり,像担持体上には画像が形成されない。そのため,第2モードの状態で形成した検査用画像の現像剤量は0あるいは0の近似値になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば,現像装置の回転部材に駆動力を伝達する伝達部材の故障を検知することができる画像形成装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】MFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したMFPの画像形成部の概略構成を示す図である。
【図3】図2に示したMFPのプロセス部の概略構成を示す図である。
【図4】濃度センサの配置および検査用画像の例を示す図である。
【図5】実施の形態にかかる検査処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】第2モードで検査を行った場合の,検査用画像の印字状態を示す図である。
【図7】第2モードで検査を行った場合の,濃度センサの測定値の例を示す図である。
【図8】第1モードで検査を行った場合の,検査用画像の印字状態を示す図である。
【図9】第1モードで検査を行った場合の,濃度センサの測定値の例を示す図である。
【図10】出力判断機能に移行した場合の,用紙への出力画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下,本発明にかかる印刷装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,カラー印刷機能を有する電子写真方式のプリンタに本発明を適用したものである。
【0023】
[プリンタの構成]
実施の形態にかかるプリンタ100は,図1に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(Non Volatile RAM)34と,ネットワークインターフェース36とを備えた制御部30(切換部,判断部,第2判断部,カウント部,管理部の一例)を備えている。また,制御部30は,用紙に画像を形成する画像形成部10(形成部,印刷部の一例)や,動作状況の表示やユーザによる入力操作の受け付けを行う操作パネル40(報知部の一例)に,電気的に接続されている。
【0024】
CPU31は,印刷機能,さらには後述する検査機能等の各種機能を実現するための演算を実行し,制御の中枢となるものである。ROM32には,プリンタ100を制御するための各種制御プログラムや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。NVRAM34は,不揮発性を有する記憶手段であって,各種設定ないし画像データ等を保存する記憶領域として利用される。
【0025】
CPU31は,ROM32から読み出した制御プログラムや各種センサから送られる信号に従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,プリンタ100の各構成要素(例えば,画像形成部10を構成する露光装置の点灯タイミング,現像装置を構成する各種回転部材の駆動モータ45,駆動モータ45の駆動力を回転部材に伝達する電磁クラッチ46)を制御する。
【0026】
ネットワークインターフェース36は,ネットワークに接続され,他の情報処理装置との接続を可能にしている。そして,ネットワークインターフェース36を介して外部装置とデータ通信を行うことができる。
【0027】
[プリンタの画像形成部の構成]
続いて,プリンタ100の画像形成部10の構成について,図2を参照しつつ説明する。画像形成部10は,電子写真方式によってトナー像を形成し,そのトナー像を用紙に転写するプロセス部50と,用紙上の未定着のトナーを定着させる定着装置8と,画像転写前の用紙を載置する給紙トレイ91と,画像転写後の用紙を載置する排紙トレイ92とを備えている。
【0028】
また,画像形成部10は,各プロセス部50C,50M,50Y,50Kに光を照射する露光装置53と,各プロセス部50C,50M,50Y,50Kの転写位置に用紙を搬送する搬送ベルト7と,搬送ベルト7上に形成された画像の濃度を計測する濃度センサ61とを備えている。
【0029】
また,画像形成部10内には,底部に位置する給紙トレイ91に収容された用紙が,給紙ローラ71,レジストローラ72,プロセス部50,定着装置8を通り,排紙ローラ76を介して上部の排紙トレイ92への導かれるように,略S字形状の搬送路11(図2中の一点鎖線)が設けられている。
【0030】
プロセス部50は,カラー画像の形成が可能であり,シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)の各色に対応するプロセス部を並列に配置している。具体的には,C色の画像を形成するプロセス部50Cと,M色の画像を形成するプロセス部50Mと,Y色の画像を形成するプロセス部50Yと,K色の画像を形成するプロセス部50Kとを備えている。そして,用紙の搬送方向において,下流側からプロセス部50C,50M,50Y,50Kの順に等間隔に配置されている。なお,プロセス部の順番はこれに限定するものではない。
【0031】
図3は,プロセス部50Kの概略構成を示している。プロセス部50Kは,ドラム状の感光体1(像担持体の一例)と,感光体1の表面を一様に帯電する帯電装置2と,静電潜像に対してトナーによる現像を行う現像装置4と,感光体1上のトナー像をシートに転写させる転写装置5とを有している。感光体1および転写装置5は,搬送ベルト7に対して接触配置されている。そして,感光体1は,転写装置5に対して搬送ベルト7を挟んで対向している。他のプロセス部50C,50M,50Yについても,プロセス部50Kと同様の構成である。
【0032】
また,現像装置4は,現像剤であるトナーを収容するケース44と,感光体1と対向し,ケース44内のトナーを感光体1に搬送する現像ローラ41(回転部材の一例)と,現像ローラ41にトナーを供給する供給ローラ42(回転部材の一例)と,ケース44内に蓄積するトナーを攪拌するアジデータ43(回転部材の一例)とを備えている。現像ローラ41は,感光体1に対して接離自在に設けられており,画像形成時には感光体1と圧接し,感光体1の清掃時には感光体1から離間するように制御される。アジテータ43は,トナーの攪拌機能の他,トナーの搬送機能を兼ねる。
【0033】
また,ケース44内に位置する現像ローラ41,供給ローラ42,およびアジテータ43の各回転部材は,駆動モータ45から回転駆動力を得て回転する。また,駆動モータ45から各回転部材への駆動力伝達経路中には,駆動力を伝達する状態と,駆動力を伝達しない状態とを切り換える電磁クラッチ46(伝達部材の一例)が設けられている。電磁クラッチ46は,励磁によって駆動力を伝達する状態となる。駆動モータ45および電磁クラッチ46は,制御部30によって制御される。
【0034】
なお,以下の説明では,電磁クラッチ46が駆動力を伝達する状態を「第1モード」とし,電磁クラッチ46が駆動力を伝達しない状態を「第2モード」とする。駆動モータ45および電磁クラッチ46は,プロセス部50K,50C,50M,50Yで共用してもよいし,プロセス部50K,50C,50M,50Yごとに設けてもよい。本形態では,駆動モータ45は,プロセス部50K,50C,50M,50Yで共用し,電磁クラッチ46はプロセス部50K,50C,50M,50Yごとに設けられているものとする。
【0035】
各プロセス部50C,50M,50Y,50Kでは,感光体1の表面が帯電装置2によって一様に帯電される。その後,露光装置53からの光により露光され,静電潜像が形成される。次いで,現像装置4を介して,トナーが感光体1に供給される。これにより,感光体1上の静電潜像は,トナー像として可視像化される。
【0036】
画像形成部10は,給紙トレイ91に載置されている用紙を1枚ずつ取り出し,その用紙を搬送ベルト7上に搬送する。そして,プロセス部50にて形成されたトナー像をその用紙に転写する。このとき,カラー印刷では,各プロセス部50C,50M,50Y,50Kにてトナー像が形成され,用紙上で各トナー像が重ね合わせられる。一方,モノクロ印刷では,プロセス部50Kのみでトナー像が形成され,用紙に転写される。その後は,トナー像が転写された用紙を定着装置8に搬送し,トナー像をその用紙に熱定着させる。そして,定着後の用紙を排紙トレイ92に排出する。
【0037】
また,搬送ベルト7は,搬送ローラ73,74に巻回された無端状のベルト部材であり,ポリカーボネート等の樹脂材からなる。搬送ベルト7は,搬送ローラ74が回転駆動されることにより,紙面反時計回りに循環移動する。これにより,その上面に載置された用紙を,レジストローラ72側から定着装置8側に搬送する。また,搬送ローラ73は,搬送ベルト7の移動に従動して回転する。
【0038】
また,濃度センサ61は,用紙の搬送方向におけるプロセス部50C,50M,50Y,50Kよりも下流であって定着装置8よりも上流に位置する。濃度センサ61は,プロセス部50C,50M,50Y,50Kから搬送ベルト7上に転写された画像について,その画像の濃度を計測する。
【0039】
具体的に,濃度センサ61は,図4に示すように,搬送ベルト7の幅方向の右側に配置されたセンサ61Rと,左側に配置されたセンサ61Lとの,2つのセンサによって構成される。各センサ61R,61Lは,発光素子62(例えば,LED)と,受光素子63(例えば,フォトトランジスタ)とが一対となる反射型の光学センサである。濃度センサ61は,発光素子62にて搬送ベルト7の表面(図4中の点線枠E)に対して斜め方向から光を照射し,その光を受光素子63が受光する構成になっている。
【0040】
プリンタ100は,各プロセス部50C,50M,50Y,50Kによって検査用画像66を形成し,その検査用画像66を搬送ベルト7上に転写する。本形態では,プロセス部50Cで形成された検査用画像を66C,プロセス部50Mで形成された検査用画像を66M,プロセス部50Yで形成された検査用画像を66Y,プロセス部50Kで形成された検査用画像を66Kとする。そして,搬送ベルト7が循環移動することによって図4の矢印A方向に搬送される。
【0041】
濃度センサ61は,検査用画像66が図4中の点線枠Eを通過する際の受光量を検知する。このとき,トナー量が多いほど発光素子62からの光が拡散し,受光素子63の受光量が少なくなる。そのため,受光量の大きさによって,検査用画像66のトナー量を計算することができる。なお,図4に示した検査用画像66は説明の便宜上のものであり,実際に濃度補正を行う場合の検査用画像や,後述する電磁クラッチ46の検査を行う場合の検査用画像とは異なる。
【0042】
また,搬送ベルト7には,搬送ベルト7上に付着するトナーを回収する廃トナーボックス78が接触配置されている。廃トナーボックス78は,検査用画像66を構成するトナーを回収する。
【0043】
[電磁クラッチの検査処理]
続いて,電磁クラッチ46を検査する検査処理(切換部,形成部,判断部,第2判断部の一例)について,図5のフローチャートを参照しつつ説明する。検査処理は,位置ずれ補正や濃度補正等の印字を伴う補正処理の実行条件を満たした際,その補正処理の実行前あるいは実行後に,プリンタ100の制御部30によって実行される。なお,補正処理の実行条件としては,例えば,前回補正処理を行ってからの印刷枚数,通電時間,温度条件,振動検知が該当する。
【0044】
検査処理では,先ず,準備動作として,駆動モータ45の始動,検査用画像を搬送ベルト7に転写するまでに必要なバイアスの印加,現像ローラ41の感光体1への圧接等を行う(S101)。なお,既に実施済みの項目については制御を省略する。
【0045】
準備動作の完了後,第2モードに切り換える指令が出され,電磁クラッチ46を第2モードの状態に切り換える(S102,切換部の一例)。すなわち,駆動モータ45からの駆動力が現像装置4の各回転部材に伝達されないように電磁クラッチ46を制御する。
【0046】
次に,ベタ画像を形成する(S103)。S103は,検査処理の開始前に現像領域(現像ローラ41と感光体1とのニップ領域)に供給済みのトナーや,現像領域よりも感光体1の回転方向の上流側に蓄積されたトナーを吐き出させるために行う。S103で形成されるベタ画像(以下,「検査前ベタ画像」とする)の大きさとしては,副走査方向の幅が少なくとも現像領域の感光体1の回転方向の幅よりも広い程度でよい。検査前ベタ画像は,感光体1から搬送ベルト7へ転写される。
【0047】
次に,検査用画像66を形成する(S104,形成部の一例)。本形態の検査用画像66は,検査前ベタ画像と同等のベタ画像とする。検査用画像66は,検査前ベタ画像に続いて感光体1から搬送ベルト7に転写される。S103およびS104の後,搬送ベルト7に転写された検査前ベタ画像および検査用画像66は,濃度センサ61に読み取られる(S105)。
【0048】
なお,S104は,第2モードに切り換える指令が出された後である。そのため,電磁クラッチ46が正常であれば,トナーが現像装置4から感光体1に転写されることはない。つまり,S104では,電磁クラッチ46が正常であれば,検査用画像66を形成するための制御は行うものの,実際には画像が形成されない。
【0049】
次に,S105で読み取った濃度センサ61の計測値,すなわち受光量から求められる搬送ベルト7上のトナー量に基づいて,電磁クラッチ46に異常が有るか否かを判断する(S106,判断部の一例)。
【0050】
具体的に,電磁クラッチ46が正常であれば,図6(A)に示すように,検査前ベタ画像を形成した領域661では,検査開始前に現像領域に供給されたトナーが少なからず検知されるものの,検査用画像66を形成した領域662では,トナーが検知されない。一方,電磁クラッチ46に,駆動力が伝達され続ける状態で故障が発生した場合には,第2モードに切り換える指令が出された後でも,現像装置4の各回転部材に駆動力が伝達し続ける。この状態は第1モードと同じ状態であり,画像が形成される。そのため,図6(B)に示すように,検査前ベタ画像を形成した領域661でも,検査用画像66を形成した領域662でも,ベタ画像が形成され,第1モードでそれらの画像を形成した場合と同じ量のトナーが検知される。
【0051】
図7は,濃度センサ61が受ける受光量を時系列に示した図である。濃度センサ61の受光量は,搬送ベルト7上にトナーが存在しない領域では大きく,トナー量が多くなるほど小さくなる。図7(A)は,電磁クラッチ46が正常な場合(図6(A)参照)を示しており,検査用画像66を形成した領域662では,画像が形成されていないことから,濃度センサ61の計測値として搬送ベルト7上を検知した場合とほぼ同等の値が検出される。一方,図7(B)は,電磁クラッチ46が駆動力が伝達され続ける状態で故障した場合(図6(B)参照)を示しており,検査用画像66を形成した領域662では,ベタ画像が形成されていることから,濃度センサ61の計測値として電磁クラッチ46を第1モードの状態として検査用画像66を形成した場合とほぼ同等の値が検出される。
【0052】
上述のように,電磁クラッチ46が正常な場合と,駆動力が伝達され続ける状態で故障が発生した場合とでは,検査用画像66を形成した領域662のトナー量が異なる。このことから,領域662での,濃度センサ61の受光量に基づいて,電磁クラッチ46に異常が有るか否かを判断できる。従って,プリンタ100は,あらかじめ第1モードの状態で検査用画像66を形成した場合に検出される受光量を第1基準受光量として記憶しておき,S106では,その第1基準受光量と,S105で読み取った受光量との差が所定量以内であった場合には,駆動力が伝達され続ける状態で故障が発生したと判断する。
【0053】
電磁クラッチ46に異常が有ると判断した場合には(S106:YES),駆動力が伝達され続ける状態で電磁クラッチ46に故障が発生したことをユーザに報知する(S107,報知部の一例)。報知手段としては,例えば,エラーランプの点灯,操作パネル40でのエラーメッセージの表示,音声ガイダンス,メール送信が該当する。
【0054】
次に,管理処理におけるカウント制御を変更する(S108)。すなわち,プリンタ100は,現像装置4ごとに駆動モータ45の回転数をカウントし,そのカウント値が閾値以上となった場合には,トナーが寿命に到達したと判断し,印刷不可とする管理処理を実行している。この管理処理では,電磁クラッチ46に第2モードに切り換える指令が出された後,すなわち現像装置4の回転部材に駆動力を伝達しない状態に変更した後は,カウントを停止している(カウント部,管理部の一例)。このように回転部材の回転状況に応じてカウント方法を切り換えることで,トナーの寿命到達を実際よりも早期に判断してしまうことを防止している。
【0055】
一方で,上述の管理処理では,駆動力が伝達され続ける状態で電磁クラッチ46が故障した場合,電磁クラッチ46が第2モードに切り換える指令が出された後にカウントを停止してしまうと,印刷可否を判断するためのカウント値が停止したままトナーへのストレスが継続することになる。そのため,予定よりも早期にトナーが寿命に達してしまう。特に,駆動力が伝達され続ける状態で電磁クラッチ46が故障しても印刷自体は可能であることから,ユーザがプリンタ100の利用を継続することも考えられる。このようにトナーが寿命に到達したにもかかわらず印刷を継続すると,いわゆるトナーかぶりが頻出し,画質を劣化させてしまうおそれがある。
【0056】
そのため,S108では,第2モードに切り換える指令が出された後であっても,カウントを継続するようにカウント制御を変更する(カウント部の一例)。これにより,より正確な管理が行われる。
【0057】
S108の後,あるいは電磁クラッチ46に異常が無いと判断した場合には(S106:NO),第1モードに切り換える指令が出され,電磁クラッチ46を第1モードの状態に切り換える。(S122,切換部の一例)。すなわち,駆動モータ45からの駆動力が現像装置4の各回転部材に伝達されるように電磁クラッチ46を制御する。
【0058】
次に,ベタ画像を形成する(S123)。S123は,S103と同様に,トナーの吐き出しのために行う。S123で形成される検査前ベタ画像は,S103で形成される検査前ベタ画像と同等でよい。
【0059】
次に,検査用画像66を形成する(S124,形成部の一例)。本形態では,S124で形成される検査用画像66は,S123での検査前ベタ画像と同等のベタ画像とする。S123およびS124の後,搬送ベルト7に転写された検査前ベタ画像および検査用画像66は,濃度センサ61に読み取られる(S125)。
【0060】
なお,S124は,第1モードに切り換える指令が出された後である。そのため,電磁クラッチ46が正常であれば,トナーが現像装置4から感光体1に転写される。つまり,電磁クラッチ46が正常であれば,実際には画像が形成され,搬送ベルト7上に転写される。
【0061】
次に,S125で読み取った濃度センサ61の計測値,すなわち受光量から求められる搬送ベルト7上のトナー量に基づいて,電磁クラッチ46に異常が有るか否かを判断する(S126,第2判断部の一例)。
【0062】
具体的に,電磁クラッチ46が正常であれば,図8(A)に示すように,検査前ベタ画像を形成した領域663も,検査用画像66を形成した領域664でも,ベタ画像が形成されていることから,所定量以上のトナーが検知される。一方,電磁クラッチ46に,駆動力が伝達されない状態で故障が発生した場合には,第1モードに切り換える指令が出された後でも,現像装置4の各回転部材に駆動力が伝達されない。この状態は第2モードと同じ状態であり,画像が形成されない。そのため,図8(B)に示すように,検査前ベタ画像を形成した領域663では,検査開始前に現像領域に供給されたトナーが少なからず検知されるものの,検査用画像66を形成した領域664では,トナーが検知されない。
【0063】
図9は,濃度センサ61が受ける受光量を時系列に示した図である。図9(A)は,電磁クラッチ46が正常な場合(図8(A)参照)を示しており,検査用画像66を形成した領域664では,ベタ画像が形成されていることから,濃度センサ61の計測値として所定値以下の受光量が検出される。一方で,図9(B)は,電磁クラッチ46が駆動力が伝達されない状態で故障した場合(図8(B)参照)を示しており,検査用画像66を形成した領域664では,画像が形成されていないことから,濃度センサ61の計測値として所定値以上の受光量であって,搬送ベルト7上のトナーが存在しない領域を検知した場合とほぼ同等の値が検出される。
【0064】
上述のように,電磁クラッチ46が正常な場合と,駆動力が伝達されない状態で故障が発生した場合とでは,検査用画像66を形成した領域664のトナー量が異なる。このことから,領域664での,濃度センサ61の受光量に基づいて,プリンタ100に異常が有るか否かを判断できる。従って,プリンタ100は,あらかじめ第2モードの状態で検査用画像66を形成した場合に検出される受光量を第2基準受光量として記憶しておき,S126では,その第2基準受光量と,S125で読み取った受光量との差が所定量以内であった場合には,駆動力が伝達されない状態で故障が発生したと判断できる。なお,S126で利用する所定量は,S106で利用する所定量と同じであってもよいし,異なってもよい。
【0065】
電磁クラッチ46に異常が有ると判断した場合には(S126:YES),プリンタ100に故障が発生したことをユーザに報知する(S127,報知部の一例)。なお,本形態では,第1モードに切り換える指令が出された後に検査用画像が形成されないことをもって電磁クラッチ46の異常と判断しているが,他の装置の不具合(例えば感光体1の故障や搬送ベルト7の傷)であっても画像が形成されないことから,正確にはこれらの異常との区別が困難である。そのため,電磁クラッチ46が故障した旨を報知してしまうと,他の装置が故障している場合に,誤報になってしまう。そのため,S127では,電磁クラッチ46の故障に限定しないエラーメッセージや,電磁クラッチ46が故障している可能性があるといったエラーメッセージにとどめておく方が好ましい。
【0066】
S127の後,あるいは電磁クラッチ46に異常が無いと判断した場合には(S126:NO),必要に応じて後処理を行う(S129)。後処理としては,例えば,駆動モータ45の停止,バイアスの印加停止,現像ローラ41の感光体1からの離間が該当する。S129の後,検査処理を終了する。
【0067】
なお,本形態の検査処理では,電磁クラッチ46を第2モードの状態に切り換えたときの検査(S102〜S108)を先に,電磁クラッチ46を第1モードの状態に切り換えたときの検査(S122〜S127)を後に行っているが,逆順であってもよい。
【0068】
また,本形態の検査処理では,搬送ベルト7上に転写された検査用画像66を濃度センサ61が読み取ることによって,プリンタ100自身で電磁クラッチ46の異常有無を判断しているが,検査用画像66を用紙に印刷してユーザに電磁クラッチ46の異常有無を判断してもらう印刷モード(印刷部の一例)を設けてもよい。この印刷モードへの移行は,例えば操作パネル40からの操作によって行う。
【0069】
印刷モードに移行した場合には,例えば,検査用画像66として,図10に示すように正常か異常かを報知するメッセージ画像を形成する。なお,図10では,(A)が正常な場合,(B)が駆動力が伝達され続ける異常が発生している場合,(C)が駆動力が伝達されない異常が発生している場合を示している。また,検査用画像665は,第1モードに切り換える指令が出された後に形成した検査用画像であり,電磁クラッチ46が正常であれば画像が形成されるため,正常を報知するメッセージ画像となる。一方,検査用画像667は,第2モードに切り換える指令が出された後に形成した検査用画像であり,電磁クラッチ46が正常であれば画像が形成されないため,異常を報知するメッセージ画像となる。検査用画像665,667に先行するベタ画像は,検査前ベタ画像である。
【0070】
このような検査用画像665,667を形成する制御を行い,それぞれ用紙90に印刷する。これにより,電磁クラッチ46が正常な場合,図10の(A)に示したように,第1モードに切り換える指令が出された後に形成した検査用画像665は印刷され,第2モードに切り換える指令が出された後に形成した検査用画像667は印刷されない。
【0071】
一方,駆動力が伝達され続ける異常が発生している場合には,図10の(B)に示したように,検査用画像665,667がともに印刷される。また,駆動力が伝達されない異常が発生している場合には,図10の(C)に示したように,検査用画像665,667がともに印刷されない。そのため,ユーザは,出力された用紙90を見ることで,プリンタ100の異常を把握できる。
【0072】
以上詳細に説明したように本形態のプリンタ100では,第2モードで検査用画像を形成した場合,現像装置4の各回転部材に駆動力が伝達されないため,電磁クラッチ46が正常であれば検査用画像66が形成されない。一方,第1モードの状態で電磁クラッチ46に異常が発生した場合,すなわち現像装置4の各回転部材への駆動力の伝達を断ち切れない状態の場合には,第2モードに切り換える指令が出された後であっても,第1モードで形成した場合と同等のトナー量の検査用画像が形成される。そこで,プリンタ100は,第2モードに切り換える指令が出された後に検査用画像66を形成し,その形成された検査用画像66の受光量(トナー量と等価)を取得することで,その受光量に基づいて,電磁クラッチ46に第1モードで動作し続けている異常が発生しているか否かを判断できる。
【0073】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,画像形成装置は,プリンタに限らず,コピー機,FAX装置,複合機等,印刷機能を備えるものであれば適用可能である。また,カラープリンタに限らず,モノクロプリンタであってもよい。
【0074】
また,実施の形態では,濃度センサの測定値に基づいて検査用画像66のトナー量を計算しているが,検査用画像66のトナー量を検知する専用センサを設けてもよい。なお,位置ずれ補正や濃度補正等,他の目的で既に存在するセンサを利用することで,部品点数の増加を防ぐことができる。
【0075】
また,実施の形態では,搬送ベルト7上を通過する検査用画像66のトナー量を取得しているが,感光体1上を通過する検査用画像66のトナー量を取得してもよい。この場合,感光体1上を通過する検査用画像66を検知できる場所にセンサを配置する。
【0076】
また,実施の形態では,駆動モータ45からの駆動力が,現像ローラ41,供給ローラ42,およびアジテータ43の各回転部材に伝達される構成,すなわち駆動モータ45からの駆動力を,現像ローラ41,供給ローラ42,およびアジテータ43の各回転部材で共用する構成であるが,各回転部材に個別に駆動源を設けてもよい。また,電磁クラッチ46についても,現像ローラ41,供給ローラ42,およびアジテータ43の各回転部材で共用する構成であるが,各回転部材に個別に伝達部材を設けてもよい。
【0077】
また,実施の形態では,検査処理を実行するタイミングとして,印字を伴う補正処理の実行前あるいは実行後としているが,これに限るものではない。例えば,プリンタ100の起動時に実行してもよい。また,ユーザからの実行指示の入力を契機に実行してもよい。なお,印字を伴う補正動作では,その補正動作用の検査用画像を形成する必要があり,現像ローラ41を感光体1に圧接させる必要がある。そのため,検査処理を実行する際,現像ローラ1を圧接させる動作を補正動作と兼用することができる。よって,現像ローラ41あるいは感光体1へのストレスの増加が抑制される。
【0078】
また,実施の形態では,駆動モータ45からの駆動力が伝達され続けている異常と,伝達されない異常と,の両方の検知を行っているが,必ずしも両方行う必要はなく,駆動力が伝達され続けている異常の検知のみであってもよい。すなわち,駆動力が伝達されていない異常の場合には,故障して直ぐに印刷ができなくなるため,プリンタ100で検査処理を実行しなくても,ユーザは異常があったことを発見し易い。そのため,駆動力が伝達され続けている異常の検知のみを行うようにして制御をシンプルにしてもよい。一方,実施の形態のように,伝達されない異常も検知することで,より多様な異常を検知できる。
【0079】
また,実施の形態では,あらかじめ記憶された第1モードでのトナー量と,第2モードに切り換える指令が出された後のトナー量との差に基づいて,電磁クラッチ46の異常を判断しているが,判断方法はこれに限るものではない。例えば,実施の形態のように,第2モードに切り換える指令が出された後の検査用画像66のトナー量と,第1モードに切り換える指令が出された後の検査用画像66のトナー量とをともに計測する場合には,前者のトナー量と,後者のトナー量との差を求め,その差が所定量以内であれば故障が発生したと判断してもよい。すなわち,両者のトナー量が同等の範囲内であれば,どちらかのモードへの切り換えに失敗している可能性が高い。そのため,電磁クラッチ46の異常と判断できる。
【0080】
なお,上記の場合,具体的には,計測されたトナー量が,第1モードで形成した場合のトナー量の基準値に近ければ,駆動力が伝達され続ける状態で故障が発生したと判断でき,第2モードで形成した場合のトナー量の基準値に近ければ,駆動力が伝達されない状態で故障が発生したと判断できる。
【0081】
また,実施の形態では,駆動モータ45からの駆動力を伝達する状態と伝達しない状態とを切り換える電磁クラッチ46を配置しているが,駆動力を伝達する伝達部材としてはこれに限るものではない。例えば,回転部材の回転速度を変更する変速機構であってもよい。この場合,その変速機構について,ある回転速度で回転部材を回転させる状態を第1モードとし,その第1モードでの回転速度よりも遅い回転速度で回転部材を回転させる状態を第2モードとすればよい。
【0082】
なお,変速機構の場合では,第2モードに切り換えた場合であっても,現像ローラ41に駆動力が伝達され続ける。ただし,第1モードよりも回転速度が遅いため,第1モードで形成した画像と比較して低濃度の画像,すなわちトナー量が少ない画像が形成される。そのため,変速機構であっても,実施の形態と同様に,第2モードに切り換える指令が出された後に検査用画像66を形成した際,正常に第2モードに切り換えられた場合と,第2モードに切り換えられなかった場合とでは,濃度センサ61で検出されるトナー量が,図7と同様に異なる。
【0083】
このことから,第2モードに切り換える指令が出された後に検査用画像66を形成した場合,第2モードで形成した場合のトナー量の基準値(低濃度)に近い値が検出されれば正常であり,第1モードで形成した場合のトナー量の基準値(高濃度)に近い値が検出されれば,変速機構に故障が発生し,高速回転の駆動力を伝達し続けている異常であると判断できる。
【符号の説明】
【0084】
1 感光体
4 現像装置
7 搬送ベルト
10 画像形成部
30 制御部
41 現像ローラ
45 駆動モータ
46 電磁クラッチ
50 プロセス部
61 濃度センサ
66 検査用画像
100 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と,
現像剤を収容し,現像剤を搬送する回転部材を備え,前記像担持体に現像剤像を形成する現像装置と,
前記回転部材を回転駆動する駆動力を前記回転部材に伝達する伝達部材と,
前記伝達部材が,前記回転部材を第1回転速度で回転させる駆動力を伝達する第1モードと,前記伝達部材が,前記回転部材を前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度で回転させる駆動力を伝達する第2モードとを切り換える切換部と,
前記現像装置に収容された現像剤を用いて検査用画像を形成する形成部と,
前記第2モードに切り換える指令が出された後に前記形成部にて形成された前記検査用画像の現像剤量に基づいて,前記伝達部材に異常が発生したか否かを判断する判断部と,
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成装置において,
前記判断部は,前記第1モードの状態で前記形成部にて形成された場合の前記検査用画像の現像剤量と,前記第2モードに切り換える指令が出された後に前記形成部にて形成された前記検査用画像の現像剤量と,の差が所定量以内である場合に,前記伝達部材に異常が発生したと判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する画像形成装置において,
前記第1モードに切り換える指令が出された後に前記形成部にて形成された前記検査用画像の現像剤量に基づいて,異常が発生したか否かを判断する第2判断部を備えることを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載する画像形成装置において,
前記第2判断部は,前記第2モードの状態で前記形成部にて形成された場合の前記検査用画像の現像剤量と,前記第1モードに切り換える指令が出された後に前記形成部にて形成された前記検査用画像の現像剤量と,の差が所定量以内である場合に,異常が発生したと判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記第1モードの状態では第1の間隔でカウントを継続し,前記第2モードの状態では前記第1の間隔よりも広い間隔となる第2の間隔でカウントを継続するカウント部と,
前記カウント部のカウント値に基づいて,印字可否を管理する管理部と,
を備え,
前記カウント部は,前記判断部にて異常と判断された場合に,前記第1の間隔でカウントを継続することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記判断部にて異常と判断された場合に,当該異常に関する情報をユーザに報知する報知部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記判断部は,濃度センサを利用して前記検査用画像の現像剤量を取得することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記形成部は,印字を伴う補正動作時に,前記検査用画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記形成部は,前記検査用画像を形成する前に,副走査方向の幅が現像領域の前記像担持体の回転方向の幅よりも広いベタ画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記形成部が形成した前記検査用画像を用紙に印刷する印刷部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記切換部は,前記第2モードとして,前記回転部材に駆動力が伝わらない状態とし,前記回転部材の回転を停止させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1に記載する画像形成装置において,
前記判断部は,前記第1モードに切り換える指令が出された後に前記形成部にて形成された前記検査用画像の現像剤量と,前記第2モードに切り換える指令が出された後に前記形成部にて形成された前記検査用画像の現像剤量と,の差が所定量以内である場合に,前記伝達部材に異常が発生したと判断することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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