説明

画像形成要素

【課題】 優れた画像品質を与える真珠光沢又は真珠箔外観を備えた反射型画像形成材料を提供すること。
【解決手段】 画像形成層と、真珠光沢顔料と、ボイドを含む少なくとも1つの層とを含んで成る画像形成要素。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像形成材料に関する。好ましい形態において、本発明は、真珠光沢のあるボイド含有反射型印画紙及び画像形成基材に関する。
【0002】
【従来の技術】反射型ハロゲン化銀画像又は反射型インクジェット画像等の従来技術の反射性画像出力材料は、典型的には、白色反射性ベース材料に適用された画像形成層を含む。白色反射性ベースが周囲光を観察者の眼に反射すると、その観察者の脳内で画像が形成される。従来技術のベース材料は、白色反射性ベース材料を形成するために、典型的には、TiO2又は硫酸バリウム等の白色反射性顔料をポリマーマトリックス中に利用する。従来技術の反射型印画紙は、また、白色顔料はセルロースコアにより散乱される露光エネルギー量を減少させるため、画像露光中に画像白色度及び鮮鋭度が得られるようにハロゲン化銀画像形成層のすぐ下にある支持体中に白色顔料を含む。ハロゲン化銀画像の鮮鋭度及び白色度を得るために高充填同時押出層中に白色顔料を使用することの詳細は米国特許第5,466,519号明細書に記載されている。
【0003】米国特許第5,866,282号(Bourdelais他)明細書において、積層二軸延伸ポリオレフィンシートを有する複合支持体材料を写真画像形成材料として使用することが提案されている。米国特許第5,866,282号明細書において、二軸延伸ポリオレフィンシートをセルロース紙に押出ラミネートし、ハロゲン化銀画像形成層のための支持体を作る。米国特許第5,866,282号明細書に記載されている二軸延伸ポリオレフィンシートはミクロボイド含有層を有し、このミクロボイド含有層はその上方及び下方に存在するTiO2 等の白色顔料を含む共押出層と組み合わされている。米国特許第5,866,282号明細書に記載されている複合画像形成支持体の構造は、セルロース紙上にコートされたキャスト溶融押出ポリエチレン層を使用する従来技術の印画紙画像形成支持体よりも、耐久性が高く、より鮮鋭で、より明るいことが判っている。
【0004】ミクロボイド含有構造を形成する有機または無機の性質を有する不混和性材料との線状ポリエステルのブレンドは当該技術分野で周知である。米国特許第3,154,461号明細書には、例えば炭酸カルシウムとブレンドした線状ポリエステルが例として開示されている。米国特許第3,944,699号明細書には、線状ポリエステルと3〜27%の有機材料、例えばエチレンまたはプロピレンポリマーとのブレンドが開示されている。米国特許第3,640,944号明細書にも、8%の有機材料(例えばポリスルホンまたはポリ(4−メチル−1−ペンテン))とブレンドされたポリ(エチレンテレフタレート)の使用が開示されている。米国特許第4,377,616号明細書には、マトリックスとして機能するポリプロピレンと、ポリプロピレンマトリックス中でミクロボイドの形成を誘導するための小さな百分率の別の不混和性の有機材料であるナイロンとのブレンドが開示されている。英国特許明細書第1,563,591号には、不透明熱可塑性フィルム支持体を製造するための線状ポリエステルポリマーであって、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のボイド促進ポリオレフィンとともに硫酸バリウムの微粒子をブレンドしたものが開示されている。
【0005】上記の特許明細書には、押出してフィルムとし、そしてそのフィルムを冷却し、二軸延伸し、ヒートセットした後に、紙のような特性を有するフィルムを形成する不混和性ブレンドを使用することが周知であることが示されている。ブレンドの少量成分は、ブレンドの主成分とのその不混和性のために、フィルムにする溶融押出によって、概して球形の粒子を形成し、これらの粒子の各々は、主成分により形成されるマトリックス中にミクロボイドを生じる。ボイド誘導粒子の融点は、有機材料を使用する場合に、そのブレンドの主成分のガラス転移点よりも高くなくてはならず、特に二軸延伸温度よりも高くなくてはならない。
【0006】米国特許第4,377,616号明細書に示されているように、球形粒子は、押出フィルムの二軸延伸後、マトリックス材料中に不自然な規則性および層状の配向のボイドを誘導する。各ボイドは同様な形状を有する傾向があり、必ずしも同様な大きさを有しない。なぜなら、大きさは粒子の大きさに依存するからである。理想的には、各ボイドは二つの対向する端部が接している凹状の円盤によって規定される形状を有すると考えられる。換言すれば、ボイドは、レンズ様の、即ち両凸形の形状を有する傾向にある。ボイドは、その主な2つの寸法(長さ及び幅)の方向がフィルム構造体の延伸方向に揃うように配向する。1つの主な寸法が縦方向の向きに揃い、第2の主な寸法は横方向の向きに揃い、そして副次的な寸法はおよそボイド誘導粒子の断面寸法にほぼ対応する。
【0007】米国特許第6,071,680号(Bourdelais他)明細書には、写真出力材料として使用することに適する感光性ハロゲン化銀画像形成層をコートしたボイド含有ポリエステルシートを使用することが提案されている。米国特許第6,071,680号明細書に記載されているボイド含有層は、従来技術のポリエチレン溶融押出被覆セルロース紙ベース材料と比較して、不透明度、画像明度、及び画像輝度を向上させる。米国特許第6,071,680号明細書で提案されている画像ベースは、ハロゲン化銀画像形成層の製造時及び処理中に画像形成層への接着が容易であるように一体のポリオレフィン表皮層も含む。
【0008】しかしながら、画像出力材料の外観を改善することが依然として必要とされている。消費者が、反射性出力材料に加えて真珠光沢のある画像も好むことが判っている。真珠光沢のある画像は、真珠様又は真珠箔の輝き、玉虫色に輝く光彩、及び三次元的に見える鮮やかな光彩を示す。真珠光沢のある外観は、自然界では、真珠又はタルボ・マルモラタス(Turbo marmoratus)の殻を磨いたもので見ることができる。
【0009】乳光を発するミクロボイド含有シートを有する真珠光沢のある写真要素が、米国特許第5,888,681号(Gula等)明細書に記載されている。米国特許第5,888,681号において、セルロース紙ベースと現像済みハロゲン化銀画像との間に配置されたミクロボイド含有ポリマー層を有するミクロボイド含有ポリマーシートが、乳光を発しているように見える外観を画像に与える。米国特許第5,888,681号では、真珠光沢外観は、ポリマーシートのボイド含有層内で多数回の内部反射を生じさせることにより発生させる。乳光を発しているように見える外観が画像に存在するにもかかわらず、この画像は、白色反射性ベース上に形成された典型的な写真画像と比較して、画像の鮮鋭度またはアキュータンスの損失、より高い濃度最小位置、及び焼付速度の低下という欠点を有する。焼付速度を向上させ、鮮鋭度を高め、かつ濃度最小を低下させつつ、画像の乳光を発しているように見える外観を維持できることが望ましいであろう。また、ボイド含有ポリマーは優れた真珠光沢のある画像を与えるが、ボイド含有層は予め作られるために、ボイド含有層は永久変形を受けて画像の品質が低下しやすい。
【0010】反射型消費者用写真における白色顔料の使用に加えて、白色顔料は、照明光源を拡散させるために、写真ディスプレー材料においても使用される。ディスプレー材料における白色顔料の使用は所望の拡散及び反射特性を確かに提供するが、白色顔料は、現像された写真ディスプレー画像中のカラー色素の色相角を変化させる傾向がある。色素色相角は、カラースペクトルの領域に関連づけることができる色覚の特性のCIElab表色系における1つの尺度である。カラー写真システムでは、イエロー色素、マゼンタ色素及びシアン色素にとって知覚的に好ましい色素色相角がある。白色顔料を含む支持体上に写真色素を塗布した場合、現像された画像の色相角は、透明支持体上に塗布された色素の色相角と比較して変化することが判っている。白色顔料の存在から生じる写真色素の色相角の変化によって、白色顔料が実質的に存在しない透明ベース上に塗布された色素の組と比較して、往々にして、色素の知覚される特質が低下する。反射性支持体材料上にコートされた現像済み写真色素の組が、透明支持体上にコートされた同じ色素の組とあまり異ならない色素色相角を有することが望ましいであろう。
【0011】ペイントまたはプラスチック等のマトリックスに添加される真珠光沢顔料は、真珠光沢のある外観を呈することが知られている。真珠光沢顔料の従来技術における用途としては、顔料系ペイント、印刷インク、プラスチック、化粧品、並びにセラミック及びガラス用の釉薬(glaze)があった。真珠光沢顔料をマトリックス中に分散させ、次に基材上にペイントまたはプリントする。二酸化チタンを含む真珠光沢顔料は、長年にわたって首尾よく使用されてきた。真珠光沢顔料は、事実上例外なく基材として雲母を使用して、層−支持体原理に従って構成される。
【0012】雲母の欠点は、高い屈折率とさらなる有利な性質を有するルチル型のものが往々にして望ましいが、二酸化チタンを形成する際にアナタース型のものを誘導する点にある。従って、外来のイオン、特にスズ(IV)を添加することによりルチル型のものを生じさせる必要がある。雲母顔料は、プリント及びコーティング業界、化粧品業界、並びにポリマー加工で広く使用されている。雲母顔料は、干渉色及び高い光沢で区別される。しかしながら、極めて薄い層を形成する場合に、顔料の金属酸化物層用の基材としての雲母自体が200〜1200nmの厚さを有するため、雲母顔料は適切でない。さらなる欠点は、ある場合に小板サイズによって規定される特定の画分中の雲母小板の厚さが平均値の周りで著しく変化することにある。さらに、技術的に極めて複雑で時間のかかる処理工程、特に粉砕及び分級を必要とする。
【0013】厚い雲母小板をベースとし金属酸化物でコーティングされた真珠光沢顔料はその端部の厚さのために、特に20マイクロメートル未満の比較的微細な粒子サイズ分布の場合に、著しい散乱度を有する、雲母の代替物として、ガラス溶融物を圧延し、次に粉砕することにより得られる薄いガラスフレークを使用することが提案された。確かに、そのような材料をベースとした干渉顔料は、従来の雲母系顔料よりも優れた色彩効果を示す。しかしながら、干渉顔料の厚さは典型的には3マイクロメートル以下であるのに対し、ガラスフレークは、約10〜15マイクロメートルの非常に大きい平均厚さと非常に広い厚さ分布(典型的には4〜20マイクロメートル)を有するという欠点がある。
【0014】米国特許第5,340,692号(Vermeulen等)明細書には、銀塩拡散法に従ってコントーン画像を生じさせるために真珠光沢顔料を含む画像受容材料が開示されている。米国特許第5,340,692号明細書に開示されている方法によると、特別な処理液を必要とせず、画像受容層中に真珠光沢顔料を使用するか又は支持体と画像受容層の間に真珠光沢顔料を配置することによって、銀塩拡散転写法を用いてアンティークな外観を呈するコントーン画像を得ることができる。使用するハロゲン化銀画像形成層は保持された銀を用いて生じさせるため、ハロゲン化銀画像形成層は半透明ではない。使用される真珠光沢顔料がハロゲン化銀画像形成層ではなく画像受容層中に含まれるため、転写されたハロゲン化銀画像の濃度が真珠光沢顔料に起因する多数回の反射を遮る結果、画像の形態は一様な真珠光沢のある外観を呈しない。さらに、粗い表面は画像の望ましい真珠光沢外観の低減をもたらすであろうから、使用される真珠光沢顔料は、ハロゲン化銀画像形成層中に含めるには大きすぎるとともに濃度が高すぎる。米国特許第5,340,692号明細書中の実施例で使用されている金フレークは、画像形成層の現像後処理の際に生じた従来技術の黒白写真「Sepatone」外観をシミュレートすることを試みたものである。この例における画像はアンティークな外観を呈するが、画像は真珠光沢のある外観を呈しない。
【0015】米国特許第4,269,916号(Bilofsky等)明細書及びそれに関連する米国特許第4,288,524号及び米国特許第4,216,018号明細書には、ラメラ状干渉顔料を含む反射性層を有するインスタント写真製品が開示されている。このラメラ状顔料の意図する用途は、青色剤を必要とせずにベース材料にとって好ましい白色の反射性の外観を生じさせることである。塩を金属酸化物でコーティングし、その後、塩を溶解させて薄いフレーク状の金属酸化物を残すことにより生成する金属酸化物の平らな粒子が球状TiO2粒子の代替物として提案されている。二酸化チタン粒子は典型的には、プリント材料の観察に適する白色反射性表面を生じさせるために写真技術分野で使用されている。米国特許第4,269,916号の目的は、角度に依存する外観を呈さず、かつ、一貫したL*を有しない白色反射性表面を提供することであるため、この発明に係る材料は真珠光沢のある外観を呈しない。米国特許第4,269,916号明細書に記載の例には、反射度が集束角の関数として変化する真珠光沢のある外観とは対称的に様々な集束角で高い反射度を示した。さらに、この発明で使用されるハロゲン化銀画像形成層中にもベース材料中にもラメラ状顔料は存在しない。
【0016】米国特許第5,858,078号(Andes等)明細書には、印刷インク、プラスチック、化粧品及び食品用の、基材を持たない平板状TiO2顔料を製造する方法が開示されている。米国特許第5,733,658号(Schmid等)明細書には、揮発させた有機化合物とアンモニアを含むガス混合物によりチタニア被覆シリケートをベースとする小板を400℃〜900℃で処理することにより得られる光沢顔料が、着色ペイント、インク、プラスチック、ガラス、セラミック製品、及び装飾的な化粧品調製物に有用であると記載されている。
【0017】画像支持体が長い期間にわたって周囲条件の変化にさらされる場合に、画像含有層及び樹脂層は多数のクラックを発生して劣化する傾向がある。多数のクラックは審美的に望ましくなく、極端な場合にはプリント全体に拡がって画像を完全に駄目にする。全てのポリマーは、本質的に、化学的に劣化しやすく、化学的劣化は機械的特性の低下をもたらす。全てのポリマーは、薄いフィルムの押出等の加工の間の熱劣化したり長期間露光により光酸化的に劣化する。米国特許第5,858,078号及び米国特許第5,733,658号で使用されているTiO2は、熱劣化及び光酸化的劣化の両方を触媒し促進する。樹脂被覆画像形成紙の分野において、溶融ポリマーを、高温で押出し、高剪断力も加える。これらの条件は、ポリマーを劣化させ、変色及び炭化をもたらしたり、ポリマースラッグ又は「ゲル」の形成をもたらしたり、ダイ表面上の劣化した材料堆積物に起因する押出フィルムにおけるすじ及び縞の形成をもたらしたりする。また、熱的に劣化したポリマーは、劣化していないポリマーよりも長期間安定性に劣るため、プリントの寿命を短くすることがある。
【0018】画像形成層(ハロゲン化銀、インクジェット、フレキソ印刷、レーザートナー等)を真珠光沢のあるベース材料に適用した場合に、画像形成層が半透明色素を含むとき、画像の真珠光沢のある外観が最適化されることが判っている。画像形成層における顔料入りインク及び染料の使用は、画像の真珠光沢のある外観を低減する傾向がある。米国特許第6,071,654号(Camp等)では、半透明なハロゲン化銀画像形成層が、ボイド含有ポリマー層を含む真珠光沢のある支持体上にコートされる。ボイド含有ポリマー層は、互いに平行に配向した平らな小板を生じる。眼に達する反射は主に鏡面反射である。各透明ポリマー小板は入射光の一部を反射して残りを透過するため深みが生じる。米国特許第6,071,654号明細書に記載されている画像は真珠光沢のある外観を呈する。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】優れた画像品質を与える真珠光沢又は真珠箔外観を備えた反射型画像形成材料が必要とされている。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の1つの目的は、改良された画像形成材料を提供することである。本発明のもう1つの目的は、従来技術のボイド含有ベース画像形成材料と比較して改良された画像外観を提供することである。本発明のもう1つの目的は、真珠光沢のある外観を呈する画像形成材料を提供することである。本発明のこれら及び他の目的は、画像形成層と、真珠光沢顔料と、ボイドを含む少なくとも1つの層とを含んで成る画像形成要素により達成される。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明は、従来技術の反射型写真材料を凌駕する多くの利点を有する。本発明の反射型材料は、光の有効な反射を維持し、かつ優れた画像鮮鋭度を提供しつつ、真珠光沢外観を有する画像を提供する。消費者はハロゲン化銀画像が高品質であるべきことを期待するので、画像鮮鋭度及び白色度を維持することは重要である。さらに、真珠光沢顔料の使用によって真珠光沢外観を伝える手段を提供する。これらの顔料は、ある程度の真珠光沢外観を提供するボイドとともに使用できる。さらに、真珠光沢顔料をポリマー層内でボイド形成助剤(voiding agent)として使用することができる。
【0022】本発明の真珠光沢のある画像形成材料は、消費者の注意を引くことが必要な画像形成用途において当該画像形成材料を特に望ましいものにする目立った外観を提供する。1つの例としては、バスの停留所、鉄道の駅または空港等の公共の場において広告メッセージを人々に伝達することを目的とするディスプレー材料が挙げられる。本発明の真珠光沢のある画像は従来技術の材料とは外観が異なり、消費者の注意を引くことのできるポップ感とシズル感を提供する。真珠光沢画像に感圧接着剤を備えることによって、強靱で、耐久性のある真珠光沢画像を様々な表面に適用することができる。このことは若者をターゲットにした市場で特に望ましい。
【0023】包装市場で利用される本発明の真珠光沢のある写真ラベルは、商店の陳列棚で他のものとはっきり区別される外観を呈するとともに消費者の注意を引くことができる。薄く可撓性のある強靱なハロゲン化銀材料の利用は、多くの優れた性質を有する包装材料をもたらす。本発明の包装材料は、現存する包装材料が超えることのできない画像の深みを有する。本発明の包装材料は、シャンプーの瓶、香水瓶及びフィルムの箱等の適切な感圧ラベルである種々の包装材料と共に利用することができる。本発明の包装材料は、優れた画像の利点を有する一方で、低コストでありながらも優れた不透明度及び強度を備えた薄いベース材料に使用できる。本発明の包装材料は、フラッシュ光学露光またはディジタルプリンティングによって画像形成できるので、短時間運転で形成できるとともに1つの画像から次の画像へと遅れなしに迅速に切り替えできる能力を有する。
【0024】「真珠光沢」なる用語は、真珠のような、輝きがあり、真珠箔のような外観を意味する。この用語には、メタリックで、光沢があり、幾分玉虫色に変化する効果が含まれることがある。真珠光沢効果は、小板状の構造を有する干渉顔料によってもたらされる。典型的には、干渉顔料は、細長い小板状構造のシリケート系材料、例えば雲母、長石及び石英である。これらの顔料は、鏡面反射及び拡散反射をもたらす傾向があり、また、これらの顔料は一部の光を透過する。ペイント及び印刷業界での真珠光沢顔料の使用は、典型的には、様々な目を見張る色を生じるように設計される。これらの材料は、典型的には、目を見張る光学効果を強調させるために暗い黒色バックグラウンドを背景としてコートされる。非常に薄い層中に存在する雲母粒子に特別な金属酸化物コーティングが適用される。これによって、幾らかの光は屈折し、一方、他の光は雲母粒子のほぼ透明な層を透過してわずかに異なる角度で屈折する。これらの顔料はさらに別の屈折率を有するバインダーポリマー中に懸濁されるが、光沢のある外観を生じる光屈折率は数多くある。さらに、雲母粒子に適用されるコーティングの化学組成を様々な色を生じるように変えることができる。本発明の1つの態様において使用できる金属酸化物コーティングとしては、チタン、鉄、クロム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、ジルコニウム、バナジン酸ビスマス、チタン酸ニッケル、チタン酸クロム、鉛等が挙げられる。これらは写真及び画像形成の分野で幾つかの刺激的な色を生じるが、従来のプリント材料は白色背景を有する。さらに、雲母上の金属酸化物コーティングの厚さも色に影響をおよぼす場合があることに注意すべきである。本発明の好ましい態様において、雲母粒子上の金属酸化物コーティングは、チタン、アルミニウム、及び/またはバリウムを含んで成っていてもよい。これらの材料を用いて達成できるより典型的な白色バックグラウンドを設けることが望ましいため、これらの材料が好ましい。最も好ましい金属酸化物は、その優れた白色度の点から、チタンである。典型的には、青白色の外観が得られるように金属酸化物コーティングの厚さを120ナノメートル未満に制御することが重要である。
【0025】画像形成用途で使用されている真珠光沢顔料を使用する場合に、白色真珠光沢のある外観が生じるように真珠光沢顔料が不均一な小板厚みを有し、小さな粒子を含むことが望ましいであろう。一風変わった外観が望まれる画像形成用途では、より厚く互いにより均一な間隔の小板を使用すると、より真珠に特有の色の干渉が生じる。一般的に、本発明に関して述べる光沢のある顔料は、二酸化チタン又は他の金属酸化物でコートされた平らな雲母小板から成る顔料である。これらは不規則的な形状を有し、0.1マイクロメートルから0.5マイクロメートルまでの様々な値の厚さを有することができるが、幾らかの単一粒子がより厚くても良い。粒子は500マイクロメートル以下の長さを有することができる。雲母粒子に適用されるコーティングは、その厚さが制御されるべきであるが、全厚さは総合的な色の外観を制御する1つのパラメーターである。各透明コーティングは、玉虫色のような効果又は真珠光沢効果を生じさせるのを促進する。これらの顔料の粒子は、真珠のような光彩を放つ効果の知覚される質感に影響を及ぼし、美観や品質に関する新たな広がりを画像に加える。このコーティングは、他の混和しうる透明顔料及び染料で着色されていても良い。メタリック効果は、ある銀白色顔料とともに少量のカーボンブラックを加えることによって作り出すことができる。色の外観は、色及び輝きの玉虫色のように変化する効果が光の吸収や反射ではなく光の干渉により生じるという点で、着色顔料及び染料の場合とは異なる。このことは、ハロゲン化銀写真及び画像形成の分野では、驚くべき他に類のない特徴である。真珠光沢顔料を使用した場合に、画像形成要素に独特な外観を生じることのできる多くの屈折界面が存在する。真珠光沢のある小板を含む層に当たった光線は、小板を取り囲んでいる比較的屈折率の小さいバインダーポリマーの実質的に透明な層を通過し、そして、その光線は小板表面の金属酸化物コーティングにより部分的に反射される。光線の残りの部分は、金属酸化物コーティング層内を透過して雲母粒子との界面でそのコーティング層から出る際に再び反射される。コーティングが非常に薄く、雲母小板が実質的に透明なため、残りの光は様々な角度で反射される多くの機会を有する。これは光彩を放つ真珠光沢外観を提供すること、及び画像に三次元的な品質を与えることを助ける。結果として得られる色彩効果は、界面からの光の反射や雲母粒子上のコーティングの種類に依存する。複数の界面が、位相が若干異なる反射光をもたらす。照明角度に基づいて色が変わること及び玉虫色に変化する効果が見られることにも注意されたい。この効果の制御は、画像によって伝えられるべき効果に依存することが望ましい。上記のように、雲母粒子上のコーティングの厚さ及び種類は、考慮する必要のある因子である。さらに、この効果を制御するために粒子サイズも使用できる。写真要素で使用するには、滑らかな表面を有することが望ましい。これを実現するには、小さな粒子が最良であるが、顔料が懸濁されているバインダーポリマーの層厚みを増大させてもよく、また透明オーバーコートを適用してもよい。視覚的にインパクトのあるボールド効果(bold effect)が望ましい場合には、より大きい粒子が望ましい。粒子サイズ、金属酸化物コーティングの厚さ及び種類、並びに顔料の濃度を調節することにより真珠光沢効果を変化させることができる。一般的に、三次元的効果を生じさせる場合には低い顔料添加レベルが好ましい。この効果は、真珠光沢顔料の上に厚い透明層を適用することにより高めることができる。よりメタリックな輝きが望ましい場合には、より高い顔料添加レベルが好ましい。他の透明顔料及び染料を層に加えることによって様々な効果を達成できることにも注意されたい。感光性写真層は、半透明な色素カプラーを生じ、また、典型的には顔料粒子を含まないため、感光性写真層は真珠光沢顔料との相乗効果を生じるように独特に配置される。
【0026】真珠光沢顔料は、比較的安定で、概してアルカリや酸に対する抵抗性に加え、耐熱性を有する。真珠光沢顔料は、ほとんどの分散媒(バインダーポリマー)中に分散できる。粒子は実質的に透明なため、分散媒(これも透明)の使用は最大の効果を与える。より半透明の分散媒を使用する場合には、同じ程度の真珠光沢外観を達成するには、より真珠光沢のある顔料を使用する必要があるであろう。
【0027】用途によっては、導電性でもある真珠光沢顔料を含めることが望ましいことがある。導電性の真珠光沢顔料を使用することには、感光性層を使用する写真の分野で幾つかの独特の利点がある。帯電及び放電はかぶった層をもたらすことがある。電荷の蓄積を防ぐことを助ける導電路を設けられることは画像形成媒体にとって重要な要素である。これは、感光性層の光カブリを防ぐのを助けるだけでなく、帯電やシートが互いにくっついたりすることなく、シートを互いに滑らしたりシートを様々な装置の部品の上で滑らせることができる。この種の顔料は、写真要素の乳剤側に導電性を付与する手段でもある。導電性真珠光沢顔料は、TiO2、SiO2等の材料で被覆され、さらに導電性の無機混合金属酸化物の緻密層である外層で被覆された小板状雲母の内部コアから成る。典型的な材料は、アンチモンをドープした二酸化錫である。雲母の細長い粒子は、粒子が接触している場合に導電路を与えるのに有用である。
【0028】本物の真珠の美しさの起源は十分に示されている。真珠の光沢及び色は多数の滑らかな同心円状の真珠層、すなわち炭酸カルシウム層、有機成分(コンキオリン)層に由来することが知られている。これらの層の各々は、光を部分的に反射及び透過する。従って、反射の際に深み及び光沢が観察される。真珠の視覚的効果をまねた顔料は真珠箔顔料又は真珠光沢顔料と呼ばれる。最初の真珠光沢顔料は天然真珠である。商用銘柄の真珠光沢顔料は、高屈折率の薄い透明小板から作られる。これらの顔料は、多数回の反射及び透過が生じ、その結果として総体的な反射画像で深みが得られるように設計される。顔料の特性は、光の干渉により色が生じる(この場合、特に干渉顔料と呼ばれる)かどうか又は全く色が生じない(この場合、白色真珠光沢顔料と呼ばれる)かを決める。
【0029】初期の真珠光沢顔料の幾つかは、平板状オキシ塩化ビスマス結晶及び塩基性炭酸鉛であった。これらの顔料はパールエッセンス結晶と同様に光を反射する。鉛の毒性のため、オキシ塩化ビスマス(BiOCl)結晶の使用が市場において増大している。BiOClは概して、溶液から粒子サイズ5μm〜15μmの滑らかな薄い小板に結晶化させる。
【0030】他の通常使用されている真珠光沢顔料は、二酸化チタン(米国特許第4,040,859号)、酸化鉄(米国特許第3,087,829号)、二酸化ジルコニウム(米国特許第3,087,828号)、又は他の高屈折率材料でコーティングされた雲母から作られたものである。雲母は、光が透過し、また、極めて薄い鱗片に劈開することができるため、雲母が使用される。真珠光沢顔料に適する雲母の例には、白雲母(muscovite)、ソーダ雲母(paragonite)、金雲母(phlogopite)、黒雲母(biotite)及びリシア雲母(lepidolite)がある。次に、雲母小板に高屈折率無機酸化物の薄い単層又は複数の層をコートする。反射効率は、雲母小板と無機酸化物コーティングとの屈折率の差に大きく依存する。この層状構造は、雲母が真珠光沢顔料のように機能することを可能にする。酸化物コーティングは、光沢、干渉反射色(酸化物コーティングが十分に厚い場合)及び吸収色(酸化物が着色材料を含む場合)のような光学的効果を与える。雲母粒子のサイズも最終的な反射画像を決定することに重要な役割を果たす。顔料中の雲母の質量は、通常40%〜90%の間、たいていの場合は60%〜80%の間である。二酸化チタンがコーティングとして使用され、そのコーティングの厚さが増大すると、玉虫色効果(玉虫色)が観察される。本発明において使用される真珠光沢顔料の寸法は、5μm〜400μmの間であり、好ましくは5μm〜100μmの間であることができる。なぜなら、5μm未満の粒子は真珠光沢外観を生じさせるのにあまり有効でなく、一方、100μmを超える粒子では粗さが累増するからである。表面の粗さが過度に大きいと、真珠光沢外観がなくなる傾向がある。顔料の厚さは好ましくは0.1μm〜0.6μmの間であり、より好ましくは0.2μm〜0.4μmの間である。長さ5μm未満または幅0.2μm未満の粒子は典型的には十分に高い真珠光沢外観を持たず、一方、概して長さ400μm超または幅0.6μm超の粒子は典型的には非常に大きく、真珠光沢効果が無くなり始める粗さを生じる傾向がある。
【0031】適切に使用される他の光学的に変化する顔料は、アルミニウム(5nm及び10nm)又は二酸化チタンの薄い層を被覆した酸化ケイ素であり、クロムで被覆されたフッ化マグネシウム結晶も使用されている。これらの顔料の構造は米国特許第3,438,796号明細書で示されている。被覆された小板様金属基材をベースとした新たな光学的に変化する顔料の構造は米国特許第5,364,467号及び米国特許第5,662,738号明細書に開示されている。米国特許第5,976,511号明細書には、硫酸バリウム粒子からなり、酸化亜鉛、酸化セリウム又は二酸化チタンで被覆された顔料であって、真珠光沢を有するものが開示されている。
【0032】本発明の写真要素は、費用のかかる下引きコーティングを必要とせずに、製造及び画像の湿式処理の間に、乳剤を支持体材料に結合させるのを可能にする一体的な乳剤結合層を利用することができる。ポリエチレンはハロゲン化銀乳剤において通常使用されているゼラチン系バインダーに対する接着性に優れているので、ポリエチレンが好ましい。
【0033】本明細書において使用される「頂部」、「上部」、「乳剤側」、及び「表」という用語は、写真部材の、画像形成層を支持している側の面またはその面の側を意味する。「底部」、「下部」、及び「裏」という用語は、写真部材の、感光性画像形成層または現像画像を支持している側の反対側の面またはその面の側を意味する。真珠光沢の外観は、真珠のような、光沢のある、玉虫色に変化する、メタリックな輝きである。真珠光沢のある外観に特有の1つの性質は視角の角度依存である。
【0034】本発明の画像形成要素の場合、画像形成層は概して白色反射性ベースに適用され、画像層は真珠光沢材料を含む。本発明において、写真要素は真珠光沢顔料を含む。真珠光沢顔料を含む本発明の写真要素は他に類のない真珠のような光沢を放つ外観を有するため、この態様が好ましい。そのような写真要素は、従来の写真または市販のディスプレーでは得られなかった特別な艶のある輝きを有する画像を保つ他に類のない能力を有する。本発明の好ましい態様は、白色反射性ベース上に存在する写真層中に真珠光沢材料を含む。白色反射性ベースは、プリントを見ている間、優れた表面及びバックグラウンドを与える。特に、92を超えるL*を有する白色反射性ベースを備えることが望ましい。92を超えるL*は、画像に対する良好なコントラストを与え、観察者にとって感じが良いので、92を超えるL*が好ましい。最終消費者の立場から非常に反射性の高い白さが非常に望ましい。L*または明度及び不透明度は、Spectrogard分光光度計、CIEシステム、照明D6500を使用して求めた。
【0035】真珠光沢または真珠箔外観を呈する媒体は、商業的観点から非常に望ましいものであることが示されている。実質的に透明な基材に真珠光沢顔料を含めることまたは特定の幾何学的構造、配向及び配合の局所的ボイドを含む複合材料の構造体は、「着色」真珠光沢媒体及び「白色」真珠光沢媒体の両方を与える。両方のタイプで、真珠光沢効果は、深みがあり、光沢があるメタリックな外観をもたらす。
【0036】顔料法及びボイド法の両方で、「白色」の真珠光沢の輝きは、材料の、配向や、間隔及び組成の関数である。媒体の光沢及び深みのある外観は主に眼に達する反射光によるものである。真珠光沢外観を与える顔料及びボイドは共に、互いに平行に配向した実質的に透明な小板として機能する。この結果、各小板が入射光の一部を反射し、その残りの光を透過させるため、深みが生じる。表面欠陥または小板やボイドの配列のずれによる不完全度は、非鏡面反射方向に光を散乱させ、材料の真珠光沢外観を低減する。
【0037】さらに、小板またはボイドの配列及び間隔に関するランダムさの自然な傾向は、媒体を、光の干渉により色を発生できないものにする。ある配列及び間隔によって生じるいかなる色も、他の生じた配列及び間隔によって打ち消される傾向がある。しかしながら、小板またはボイドの総体的な幾何学的な配列のずれは、望ましいとは言えない機能をもたらし、この不具合を評価する方法も必要である。
【0038】フロップ(FLOP)は、目的の材料の真珠光沢の特性を評価するために使用される方法である。45度入射光を、鏡面反射角から10度、45度及び110度で集める。分光光度計出力、例えばCIE L*(それぞれL1*,L2*,L3*)を以下のように用いる:FLOP=15(L1*−L3*1.11/L2*0.86ここで、10未満のフロップ値では真珠光沢外観を示さず、10を超えるフロップ値では真珠光沢外観を示す。
【0039】さらに、これらの真珠光沢材料の品質を評価することは、1つ以上の半透明な色形成色素層と組み合わせた場合、常用の0/45配置の反射濃度計を用いて求められた測定値の有用性に制限を課す。これは、これらの媒体の角度依存性に起因する。媒体のこの観察角依存性及びその構造の固有のランダムさは、任意のある集光角度での媒体の可変性(variability)のために、形成された色素を「計測する」際に誤差をもたらす。これらの非常に鏡面反射性が高く半透明な材料は、角度に依存する非鏡面反射方向にも幾らかの光を反射する。0/45での入射光と集光は、フロップに対する濃度最低値の予測を可能にするが、カラー色素形成層が媒体に加えられると濃度が濃度最低から濃度最大まで増加するため、これらの値はもはや予測に使用できないことが判った。
【0040】これは、色素濃度の関数として説明できる。濃度が増加すると、媒体中で多数回反射する能力が低下する。反射のパスが1つのパスに集約すると、真珠光沢外観はもはや見えなくなる。変角分光測定法(Spectrogoniometric measurements)を用いて様々な角度で測定を行なうことができるが、変角分光測定は冗長であり、その装置は高価である。塗布され、その後処理された色形成層の量を評価する代替的な品質評価法が有用であろう。カラー写真塗布作業の間、色形成カプラーのレベルの固有の製造上の変動性を減らす必要があり、常用の反射式0/45濃度計によりこのデータの収集は、真珠光沢媒体に固有の変動性により妨げられる。ベース媒体の反射性の僅かな変化は、濃度計に達する光を多少とも変化させ、そして形成された色素についての間違った計測値をもたらすことがある。
【0041】塗布作業の間に正確な評価を得るための1つのそのような方法は、媒体の真珠光沢特性を除去することである。これは、真珠光沢層の寄与を最低限に抑えるグレーズ角(grazing angle)で作製した試料からの光を集めることにより達成できる。拡散8度球型光学配置ハンドヘルド式分光光度計はこの要件に適合することが判っている。
【0042】本発明の1つの好ましい態様において、写真要素は真珠光沢顔料を含み、2〜65の間のフロップ測定値を有する。2未満のフロップ測定値はほとんど又は全く真珠光沢外観を有さず、一方、65を超えるフロップ測定値は真珠光沢顔料を用いて達するのが困難である。
【0043】本発明の積層ベースの上部側にあるシートとして、いかなる適切な二軸延伸ポリオレフィンシートも利用できる。ボイドはTiO2を使用することなく不透明性を提供するため、ミクロボイド含有複合二軸延伸シートが好ましい。ミクロボイド含有複合延伸シートを、コア層と表面層とを同時押出し、続いて二軸延伸し、それにより、コア層中に含まれているボイド誘導材料の周りにボイドを形成させることによって製造するのが都合よい。このような複合シートは、例えば米国特許第4,377,616号、第4,758,462号および第4,632,869号の各明細書に開示されている。
【0044】好ましい複合シートのコアは、シートの全厚の15〜95%、好ましくはシートの全厚の30〜85%であるべきである。従って、ボイドを有しない表皮層(複数であってもよい)は、シートの5〜85%、好ましくは厚みの15〜70%であるべきである。「中実密度の百分率」で表される複合シートの密度(比重)は以下のように算出される。
【0045】
【数1】


【0046】この値は、45%〜100%、好ましくは67〜100%であるべきである。中実密度のパーセントが67%未満になると、引張強さの低下のために複合シートの加工性が低下し、物理的損傷をより受け易くなる。この複合二軸延伸シートの全厚は、12〜150μm、好ましくは20〜100μmであることができる。20μm未満では、ミクロボイド含有シートは、支持体に固有の非平坦性を最小化するのに十分に厚くはなく、製造するのがさらに困難になるであろう。100μmを超える厚みでは、表面の平滑性または機械的性質のいずれについても改良がほとんど見られないので、余分の材料に起因するコストのさらなる増大を正当化する理由はほとんど無い。
【0047】本明細書で使用する「ボイド」なる用語は、添加された固体および液体物質のないことを意味するが、「ボイド」はたいてい気体を含む。完成した包装用シートコア中に残留するボイド誘導粒子は、所望の形状およびサイズのボイドを生成するには、直径が0.1〜10μmであり、丸い形状のものであるのがよいが、幅に対する長さの比が少なくとも2/1である平板状であってもよい。また、ボイドのサイズは、縦方向および横方向の延伸度に依存する。理想的には、ボイドは、二つの対向する端部が接している凹状の円盤によって画定される形状を有すると考えられる。換言すれば、ボイドは、レンズ様の、即ち両凸形の形状を有する傾向にある。その長手方向と幅方向がシートの縦方向および横方向と並ぶようにこのボイドは配向する。Z−方向軸は副次的な次元であり、おおよそ、ボイド粒子の断面直径のサイズである。ボイドは、通常、閉じたセルとなる傾向にあるので、ボイドを有するコアの、気体もしくは液体が通り抜ける一方の面から他方の面への開いた通路は実質的にない。
【0048】ボイド誘導材料は、種々の材料から選ぶことができ、コアのマトリックスポリマーの質量を基準にして約5〜50質量%で存在するのがよい。好ましくは、ボイド誘導材料は高分子材料からなる。ボイド誘導材料は、ポリマー材料又は有機ポリマーと無機材料との組み合わせから部分的に成ることができる。
【0049】高分子材料を使用する場合は、コアマトリックスを形成するために用いるポリマーと溶融混合でき、且つその懸濁体を冷却すると分散した球状粒子を形成することができるポリマーがよい。この高分子材料の例としては、例えばポリプロピレン中に分散したナイロン、ポリプロピレン中に分散したポリブチレンテレフタレート、もしくはポリエチレンテレフタレート中に分散したポリプロピレンが挙げられる。このポリマーが、予備形成され、マトリックスポリマーに配合される場合、重要な特徴は、粒子のサイズおよび形状である。球形が好ましく、中空もしくは中実であってよい。これらの球体を、一般式:Ar−C(R)=CH2(式中、Arは芳香族炭化水素基またはベンゼン系列の芳香族ハロ炭化水素基を表わし、Rは水素またはメチル基である)により表されるアルケニル芳香族化合物;一般式:CH2=C(R' )−C(O)(OR)(式中、Rは水素および炭素原子数約1〜12のアルキル基からなる群より選ばれ、R' は水素およびメチルからなる群より選ばれる)により表されるモノマーを包含するアクリレート型モノマー;塩化ビニルと塩化ビニリデンのコポリマー、アクリロニトリルと塩化ビニル、臭化ビニル、式:CH2=CH(O)COR(式中、Rは炭素原子数2〜18のアルキル基)により表されるビニルエステルのコポリマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、オレイン酸、ビニル安息香酸;テレフタル酸およびテレフタル酸ジアルキルもしくはそれらのエステル形成誘導体と、HO(CH2nOH(式中、nは2〜10の自然数)系列のグリコールとの反応により調製され、ポリマー分子内に反応性オレフィン結合を有する合成ポリエステル樹脂(これらのポリエステルは、それと共重合した最大20質量%の反応性オレフィン不飽和を有する第二の酸またはそのエステルおよびそれらの混合物を含む)、からなる群から選ばれる架橋ポリマーと、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフマレート、ジアリルフタレートおよびそれらの混合物からなる群より選ばれる架橋剤から調製することができる。
【0050】架橋ポリマーを製造するための典型的なモノマーの例としては、スチレン、ブチルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ビニルピリジン、ビニルアセテート、メチルアクリレート、ビニルベンジルクロライド、塩化ビニリデン、アクリル酸、ジビニルベンゼン、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニルトルエン等が挙げられる。好ましくは、架橋ポリマーはポリスチレンまたはポリメチルメタクリレートである。最も好ましくは、架橋ポリマーはポリスチレンであり、架橋剤はジビニルベンゼンである。
【0051】当該技術分野において周知の方法では、ブロードな粒径分布を特徴とする不均一な大きさの粒子が得られる。元々の粒径分布の範囲にわたるビーズを篩分けすることによって、得られたビーズを分級することができる。他の方法、例えば懸濁重合および限定凝集により、非常に均一な大きさの粒子が直接得られる。
【0052】ボイド誘導材料に薬剤を塗布して、ボイド生成を促進してもよい。好適な薬剤または滑剤としては、コロイドシリカ、コロイドアルミナ、並びに金属酸化物、例えば酸化スズおよび酸化アルミニウムが挙げられる。好ましい薬剤はコロイドシリカおよびコロイドアルミナであり、最も好ましくはコロイドシリカである。薬剤の塗膜を有する架橋ポリマーは当該技術分野において周知の手法によって調製できる。例えば、常用の懸濁重合法であって、当該薬剤をその懸濁液に添加するものが好ましい。薬剤としては、コロイドシリカが好ましい。
【0053】ボイド誘導粒子は、中実または中空のガラス球、金属もしくはセラミックのビーズまたは無機粒子、例えばクレー、タルク、金属酸化物変性雲母、硫酸バリウムおよび炭酸カルシウム、あるいは金属酸化物で被覆された顔料、例えば雲母、長石及び石英等の、球状または平らな針状の真珠光沢のある無機粒子であることができる。重要なことは、以下の問題の1つ以上を引き起すことがないように、これらの材料がコアマトリックスポリマーと化学的に反応しないことである:(a)マトリックスポリマーの結晶化の動力学的性質が変化して、それを配向させるのが困難になること、(b)コアマトリックスポリマーの分解、(c)ボイド誘導粒子の破壊、(d)ボイド誘導粒子のマトリックスポリマーへの付着、または(e)望ましくない反応生成物、例えば毒性のある生成物もしくは色の濃い部分の生成。従来技術には、いくつかの有機または無機材料を使用してボイドを生成させるという教示があるが、真珠光沢顔料を使用することは教示されていない。真珠光沢顔料をそれ自体でまたは他の周知のボイド生成剤と組合わせて使用することは、ボイドを得るとともに画像形成要素に真珠光沢外観を与える驚くべき他に類のない手段を与える。
【0054】上部側の二軸延伸シートに関し、二軸延伸シートに好適な部類の熱可塑性ポリマーおよび好ましい複合シートのコアマトリックスポリマーはポリオレフィン類を含んでなる。好適なポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリブチレンおよびそれらの混合物が挙げられる。プロピレンとエチレン系化合物、例えばヘキセン、ブテンおよびオクテンとのコポリマー等のポリオレフィンコポリマーも有用である。コストが低く、そして望ましい強度特性を有するので、ポリプロピレンが好ましい。
【0055】複合シートのボイドを有しない表皮層は、コアマトリックスについて先に列挙したものと同じ高分子材料から製造することができる。複合シートは、コアマトリックスと同じ高分子材料の表皮層(複数であってもよい)を使用して製造することができ、またはコアマトリックスとは異なる高分子組成物の表皮層(複数であってもよい)を使用して製造することができる。適合性を得るために、補助層を使用して、表皮層のコアへの接着性を向上させることができる。
【0056】最上部の表皮層または二軸延伸ポリマーシートの上部層の全厚は、0.20〜1.5μm、好ましくは0.5〜1.0μmであるべきである。0.5μm未満では、同時押出された表皮層に固有の非平坦性により許容しがたい色変動が生ずることがある。1.0μmを超える表皮厚みでは、画像の光学特性、例えば画像解像度が低下する。1.0μmを超える厚みではまた、凝塊等の混入、カラー顔料の分散不良、または汚染などを取り除くべき材料の容積が大きくなる。ゼラチンをベースとした画像受容層は、ポリプロピレンおよび高密度ポリエチレン等の他の材料よりも低密度ポリエチレンに良好に接着するため、0.88〜0.94g/cm3の密度を有する低密度ポリエチレンが上部表皮として好ましい材料である。
【0057】最上部の表皮層に添加剤を添加して、画像形成要素の色を変化させてもよい。写真用途には、僅かに青味がかった白色ベースが好ましい。当該技術分野において知られているいずれかの方法、例えば着色剤濃厚物を押出前に機械配合すること、および所望の配合比で予め配合された青色着色剤を溶融押出することによって、僅かな青色味を加えることができる。表皮層の同時押出には320℃を超える温度が必要であるので、320℃を超える押出温度に耐えることのできる着色顔料が好ましい。本発明において使用される青色着色剤は、画像形成要素に悪影響を及ぼさないいずれの着色剤であってもよい。好ましい青色着色剤としては、フタロシアニン系青色顔料、クロモフタル系青色顔料、イルガジン(Irgazin)系 青色顔料、イルガライト(Irgalite)系 有機青色顔料、およびピグメントブルー60が挙げられる。
【0058】同時押出し、その後、幅方向および長手方向に延伸することによって、画像形成層の直下の表面に非常に薄いコーティング(0.2〜1.5μm)を製造できることが見出された。この層は、本来、厚みが極めて正確であり、この層を使用して、通常は画像受容層とベースとの間のシートの厚み全体にわたって分布している色補正剤のすべてを提供できることが見出された。この最上部層は極めて効率的であるので、補正を行うのに必要とされる全着色剤は、着色剤を厚み方向全体にわたって分散させる場合に必要とされる量の半分未満である。着色剤は往々にして凝塊および分散不良に起因するスポット欠陥の原因となる。本発明によれば、より少量の着色剤が使用され、そして着色剤を含むポリマーの全容積が、透明ベースと画像受容層との間の全ポリマーの典型的には2〜10%でしかないため、着色層を清浄にするための高品質濾過をはるかに容易に実行可能であるため、画像の商業的価値を低下させる斑点欠陥(spot defect)が改善される。
【0059】本発明の真珠光沢顔料の上にある薄い表皮層へのTiO2の添加は、シートの光学的性能にかなりの悪影響を及ぼし、押出ダイすじおよび斑点等の多くの製造上の問題をもたらす。ボイド及び/又は真珠光沢顔料の上にある表皮層が実質的にTiO2を含まないことが好ましい。なぜなら、TiO2は真珠光沢顔料と競合して真珠光沢顔料の効果を低減するからである。真珠光沢顔料及び/又はボイドの下方にある層に加えられたTiO2は、画像形成要素の全体的な白色度に意外にも好ましい影響を及ぼし、画像要素が写真である場合には画像鮮鋭度及びプリントシードも向上させる。
【0060】二軸延伸シートを表面から見る場合に、画像形成要素が紫外線に露光されると可視スペクトル内の光を放出するように、本発明の二軸延伸シートに添加剤を添加してもよい。可視スペクトル内の光の放出により、紫外線エネルギーの存在下で支持体が所望の背景色を有することが可能となる。これは、屋外、例えば紫外線エネルギーを含む日光の下で画像を見る場合に特に有用であり、これを使用して、消費者用途および商業用途に合わせて画質を最適化することができる。
【0061】青スペクトル内の可視光を放出することが当該技術分野において知られている添加剤が好ましい。消費者は、0から1b*単位以内のb*で定義される白い白色と比較して、負のb*で定義される僅かに青味を加えた白色の方を一般的に好む。b*はCIE表色系における黄色/青色の尺度である。正のb* は黄色を示し、負のb* は青色を示す。青スペクトルの光を発する添加剤の添加により、画像の白色度を低下させる着色剤を添加することなく支持体に色味を付けることが可能となる。好ましい発光は、1〜5Δb*単位である。Δb*は、試料を紫外線光源によって照明した場合と紫外線エネルギーをまったく含まない光源によって照明した場合とで測定されるb*の差として定義される。Δb*は、本発明の上部二軸延伸シートに蛍光増白剤を添加することの正味の効果を求めるのに好ましい尺度である。大抵の消費者は1b*単位未満の発光に気づくことができないので、二軸延伸シートに蛍光増白剤を添加するのはコスト面で有効でない。5b*単位を超える発光は、プリントのカラーバランスを崩し、大抵の消費者にとって白色が過度に青く見えるようになる。
【0062】本発明の好ましい添加剤は蛍光増白剤である。蛍光増白剤は、紫外線を吸収し、それを可視青色光として放出する、無色の蛍光性有機化合物である。例としては、 4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸の誘導体、クマリン誘導体、例えば4−メチル−7−ジエチルアミノクマリン、1,4−ビス(o−シアノスチリル)ベンゾール、および2−アミノ−4−メチルフェノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】多層同時押出二軸延伸ポリオレフィンシート中のいずれの層に蛍光増白剤を添加してもよい。好ましい位置は、二軸延伸シートの露出している表面層中かまたはその表面層の近傍である。この添加により、蛍光増白剤を有効に集中させ、結果として、伝統的な画像形成用支持体と比較した場合に、使用される蛍光増白剤をより少なくすることが可能となる。蛍光増白剤の所望の添加量(質量%)が、蛍光増白剤が支持体の表面に移行して画像形成層中に結晶を形成する濃度に近づき始める場合は、上部層に隣接する層の中に蛍光増白剤を添加するのが好ましい。蛍光増白剤の移行が画像形成システムにとっての問題となる場合には、好ましい露出層はポリエチレンを含んでなる。この場合、露出層に隣接している層からの移行がかなり減少し、はるかに多量の蛍光増白剤レベルを使用して画像品質を最適化することが可能となる。露出層に隣接する層中に蛍光増白剤を配置することにより、露出層(実質的に蛍光増白剤を含まない)が蛍光増白剤の移行をかなり防止するので、より安価な蛍光増白剤を使用することが可能となる。好ましくない蛍光増白剤の移行を低減するもう1つの好ましい方法は、露出層に隣接している層にポリプロピレンを使用することである。蛍光増白剤はポリエチレンよりもポリプロピレンに溶解し易いので、蛍光増白剤がポリプロピレンから移行しにくい。
【0064】本発明の二軸延伸シートはミクロボイド含有コアを有するものが好ましい。ミクロボイド含有コアは不透明度、白色度および真珠光沢を画像形成用支持体に付与して画像品質をさらに向上させる。ミクロボイド含有コアと紫外線エネルギーを吸収して可視スペクトル内の光を発する材料との画像品質面での利点を組み合わせると、画像支持体が紫外線エネルギーに曝された際に色味を有することができ、屋内照明などの大量の紫外線エネルギーを含まない照明を使用して画像を見る場合でもなお優れた白色度が保持されるので、画像品質の他に類のない最適化を行うことが可能となる。垂直方向のボイドの数が実質的にあらゆる場所で6を超えているのが好ましい。垂直方向のボイドの数とは、ボイド含有層中に存在するポリマー/気体の界面の数である。ボイド含有層は、屈折率がポリマー/気体の界面間で変化するので、不透明度を増加させる機能を果たす。4個以下のボイドでは、フィルムの不透明性の改良はほとんど認められず、従って、本発明の二軸延伸シートにボイドを含めるための追加の出費が正当化されないので、6個を超えるボイドが好ましい。
【0065】本発明の二軸延伸シートのミクロボイド含有コアもTiO2または他の白色顔料の使用によらずに画像形成要素の不透明度を増加させる。画像形成層に画像を形成するプリント工程の間に、上部および底部側の画像形成層を同時にプリントすることがプリント時間を短縮し、画像濃度を増加させるには好ましい。ボイド含有層は、不透明性を与えると同時に、光を透過させることも可能である。
【0066】二軸延伸シートは、白さまたは鮮鋭さ等の画像形成応答を改良することが知られている顔料を含んでもよい。本発明では、画像の鮮鋭さを向上させるために二酸化チタンを使用する。使用されるTiO2はアナタース型またはルチル型のいずれであってもよい。光学的特性の場合は、特異な粒径および幾何学的形状の故にルチル型が好ましい。さらに、アナタース型およびルチル型の両方のTiO2を配合して白さおよび鮮鋭さの両方を改良してもよい。画像形成システムにおいて許容可能なTiO2の例は、DuPont Chemical Co.のR101ルチル型TiO2およびDuPont Chemical Co.のR104ルチル型TiO2である。白さ及び鮮鋭さを改良する他の顔料は、硫酸バリウム、クレー、または炭酸カルシウムである。ボイド及び/または真珠光沢顔料を含むボイド含有層の上にTiO2が位置する場合には、真珠光沢効果が低下するかまたは無くなる。
【0067】前記ボイドの下方に存在し、かつ、本発明の前記真珠光沢顔料の下方に存在する二軸延伸シートに添加されるTiO2の好ましい量は5〜35質量%である。4質量%未満のTiO2では、二軸延伸シートの必要とされる反射濃度を得ることが困難である。36質量%を超える場合には、二軸延伸シートの望ましい白色度を得るのにあまり効果的でない。さらにTiO2が36質量%を超える場合には、TiO2がスクリュー、ダイマニホールドおよびダイリップに堆積するために製造効率が低下する。
【0068】本発明の好ましい態様において、画像形成要素は、画像形成層と、真珠光沢顔料と、ボイドを含む少なくとも1つの層とを含んで成る。この材料は、高強度の強靱なフィルムシートに共に真珠光沢の外観を生じることができるボイドと真珠光沢顔料の独特の組み合わせを備えているため、好ましい。
【0069】さらに好ましい態様において、上記の画像形成要素は、ボイドを含む1つの層中に真珠光沢顔料を有する。この態様は、ボイド含有層中に真珠光沢顔料を独特に配置させるため、好ましい。そのような構造は、光がポリマーから空気および真珠光沢顔料まで進行する際の多数回の反射および屈折率の変化をもたらし、真珠光沢顔料では、さらに金属酸化物コーティング及び真珠光沢顔料の層構造で多数の屈折率の変化がある。そのような複合材料は画像に独特の外観を与える。
【0070】本発明の画像形成要素のさらなる態様において、要素はボイドを含む層の上部に存在する層中に真珠光沢顔料を有することができる。そのような画像形成構造体は、真珠光沢顔料粒子及びボイド含有構造に由来する真珠光沢外観を有する。そのような構造は優れた不透明度も有する。
【0071】本発明の好ましい態様の画像形成要素は、ボイドを含む層の上にある少なくとも1つの同時押出上部層をさらに含む。この態様は、ボイドの上に異なる機能を有する他の材料を追加できる余地があるため、好ましい。そのような材料は、ゼラチンベースの感光性層およびゼラチンベースのインクジェット受容層の両方への接着を促進する一体のポリエチレン層を含むことができる。最も好ましい態様において、一体の乳剤接着層は画像層の直ぐ下に存在する。これによって優れた接着性が備わる。低密度ポリエチレンの使用は、典型的には、高密度ポリエチレンよりもゼラチンベースの材料に対する接着性が良好である。典型的には、ポリエチレンの表面は、水性画像形成層の全体的な濡れ性及び接着部位を改良するためにコロナ処理される。複数の層を同時押出することによって、蛍光増白剤、色味剤、酸化防止剤を含んでもよく、さらに白色顔料を含んでもよい層をさらに備える。
【0072】本発明の1つの態様において、真珠光沢顔料が、ボイドを形成するために縦方向及び横方向の一方または両方に十分に延伸されるポリマー中にボイド生成剤として使用される場合に、前記真珠光沢顔料はボイド中に存在してよい。延伸工程の間、ポリマーマトリックスは、粒子から外れまたは引き剥がれ、その結果、粒子が実質的にポリマーから離れ、粒子がボイド空間内に存在するように見える。
【0073】本発明のさらなる態様において、画像形成要素は、前記ボイドの周囲のマトリックスポリマー中に真珠光沢顔料を含みうる。この場合、真珠光沢顔料粒子は、ポリマーマトリックスによって実質的に取り囲まれる。
【0074】本発明のさらなる態様において、上記の画像形成要素は、ボイド含有層とボイド含有層下方に存在する反射性層中に真珠光沢顔料を含むか、またはボイド含有層及びボイド含有層下方に存在する反射性層の上方に真珠光沢顔料を含む。反射性層がさらなる不透明度、白色度及び鮮鋭度を画像形成済みプリント材料に与えるために、これらの態様が好ましい。さらなる態様において、反射性層は白色顔料をさらに含む。有用な材料としては、TiO2、BaSO4、クレー、タルク、ZnS、CaCO3が挙げられる。最も好ましい材料は、その高い屈折率及び高い分光反射度の観点からTiO2である。
【0075】本発明の最も好ましい態様は、ボイド含有層とボイド含有層の下方に位置する反射性層の上部に真珠光沢顔料を有する画像形成層を提供する。この態様は、真珠光沢層の下方に位置する高反射性白色層との組み合わせで顔料とポリマー/空気層の両方を使用して真珠光沢顔料及びボイド形成の独特の組み合わせを提供するため、好ましい。この態様では、画像を観察したときの白色度が高まる。さらに、画像形成層が写真要素である場合に、ボイド含有層の下方に位置する高反射性層は改良された写真プリント速度を与える。
【0076】本発明の好ましい態様において、前記真珠光沢顔料は、ボイドを含有し、さらに少なくとも1種の酸化防止剤を含む前記少なくとも1つの層中に存在する。有用な酸化防止剤としては、ヒンダードアミンが挙げられ、ポリ{[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−4−ピペリジニル]イミノ]−1,6−ヘキサンジイル[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]}ペンタエリトリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]および2,4−ビス(1,1−ジメチルフェニル)ホスファイト(Irgafos 168)から成る群から選ばれる。
【0077】ヒンダードアミン光安定剤(HALS)は2,2,6,6−テトラメチルピペリジンから得られるヒンダードアミン化合物のよく知られている群に由来することがある。ヒンダードアミン光安定剤なる用語はヒンダードピペリジン同族体に対して使用することが許容されている。これらの化合物は、酸素の存在下でのポリプロピレンの光酸化を妨げる安定なニトロキシル基を形成する。そのため、画像形成要素における優れた長期間光安定性が得られる。ヒンダードアミンは、最終製品における移行を最低限に抑えるのに十分なモル量で存在し、好ましい濃度でポリプロピレンと混和し、最終製品を着色しない。好ましい態様における、HALSの例としては、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]−1,6−ヘキサンジイル[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]](例えばChimassorb 944LD/FL(商標))、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン,N,N'' −1,2−エタンジイルビス[N−[3−[[4,6−ビス[ブチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]メチルアミノ]プロピル]−N’,N”−ジブチル−N’,N”−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−(例えばChimassorb 119 (商標))、及びプロパン二酸[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチル−,ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル(例えばTinuvin144 (商標))が挙げられるが、これらの化合物に限定されない。
【0078】さらに、フィルムは、ポリプロピレンの熱安定化に一般的に使用されるヒンダードフェノール一次酸化防止剤のうちの任意のものを単独で又は二次酸化防止剤との組み合わせで含んでいてもよい。ヒンダードフェノール一次酸化防止剤の例としては、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−,2,2−ビス[[3−[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロポキシ]メチル]−1,3−プロパンジイルエステル(例えばIrganox 1010(商標))、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−,オクタデシルエステル(例えばIrganox 1076(商標))、(例えばIrganox 1035(商標))、フェノール,4,4’,4”−[(2,4,6−トリメチル−1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(メチレン)]トリス[2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−(例えばIrganox 1330(商標))が挙げられるが、これらに限定されない。二次酸化防止剤としては、有機アルキル及びアリールホスファイトが挙げられ、例えば亜リン酸,ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル(例えばIrgafos 38)、エタナミン,2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル](例えばIrgafos 12)、フェノール,2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)ホスファイト(例えばIrgafos 168 )が挙げられる。好ましい態様はIrgafos 168 を使用する。ヒンダードアミンと他の一次及び二次酸化防止剤の組み合わせは、溶融加工及び押出の間にポリプロピレン等のポリマーに熱安定性を与え、さらに写真のような画像形成製品のための単層システムでは明らかになっていないそれらの明所及び暗所貯蔵特性を高めるという点で、多層二軸延伸ポリマーシートにおいて相乗的利点を与える。TiO2等の酸素を含有または生成する顔料がプラスチックに使用される場合はいかなるときでも、特にそれらがボイド含有プラスチック層中に使用されるときは、ポリマーの劣化を最低限に抑えるために酸化防止剤による保護を施すことが必要なことがある。これらの予期されなかった結果は、画像形成製品で利用できる広範なポリマーを規定し、優れた特徴をそれらの設計に組み込むことができる。酸化防止剤についてのさらなる開示は米国特許第6,171,751号明細書に見出すことができる。
【0079】本発明は、ボイドとともに機能して、美術画像の分野及びアーティストが観察者にある感情を生じさせようとする商業広告で非常に望ましい独特のソフトな真珠光沢を与える真珠光沢顔料を有するシートを利用することができる。
【0080】本発明のさらなる態様において、画像形成要素は、ボイド及び真珠光沢顔料を含む1つの層の上部に存在する層中に真珠光沢顔料を有する。この態様では、真珠光沢外観を生じさせるのに1つより多くの層の使用が可能なため、この態様が好ましい。この態様によって、様々な真珠光沢顔料の使用、または真珠光沢顔料とボイドを併用することが可能となり、画像形成要素に独特の外観を与える。
【0081】本発明の態様で使用できる有用な真珠光沢顔料は、雲母、変性雲母、長石及び石英からなる群から選ぶことができる。これらの材料は、平らなまたは針状の良好なベース顔料を与え、このベース顔料は、独特の真珠光沢外観を与えるのを助ける金属酸化物コーティングで強化できる。好ましい金属酸化物コーティングとしては、チタン、アルミニウム、バリウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、バナジン酸ビスマス、チタン酸ニッケル、チタン酸クロム等が挙げられる。チタン系材料はそれらの高い白色度のため、チタン系材料が非常に好ましい
【0082】本発明のさらなる態様において、真珠光沢顔料及びボイドを含む画像形成要素は、感光性ハロゲン化銀を含んでもよい。ハロゲン化銀において使用される色素カプラーは、真珠光沢外観を得るために使用するのに特に適する。なぜなら、適切な濃度でプリントされた色素は外観を損なわないからである。本発明に有用なハロゲン化銀材料は、Kenneth Mason Publications, Ltd.(Dudley Annex, 12aNorth Street, Emsworth, Hampshire PO 10 7DQ, ENGLAND)により刊行されたリサーチディスクロージャー(Research Disclosure),1994年9月,第36544項,セクションI、及びリサーチディスクロージャー,2000年9月,第36544項、並びにそれらの中で引用されている文献、さらには、リサーチディスクロージャー,2000年9月,第437013項に記載されている。
【0083】本発明のさらなる態様において、上記の画像形成要素は、インクジェット受容材料を含むことができる。インクジェット受容材料は真珠光沢外観を示す画像形成要素に半透明色素を供給する手段を与えるため、インクジェット受容材料は有用である。インクジェットプリンターは容易に利用可能であり、真珠光沢顔料及びボイドを含む最終的な画像形成済み製品を作製するのに非常に有用である。本発明において有用な材料としては、インクジェット画像形成用の色素受容層(DRL)は、溶媒塗布法、または溶融押出塗布法などのいかなる既知の方法によっても適用できる。DRLは、つなぎ層(TL)の上に0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μmの範囲の厚みでコートされる。色素受容層として有用な調合物は数多く知られている。その主な要件は、DRLが、画像形成されて所望の色域および濃度を生ずるようにインクと相溶性であることである。インク液滴がDRLを通過する際に、色素がDRL中に保持または媒染される一方で、インク溶媒はDRLを自由に通過し、TLによって迅速に吸収される。さらに、DRL調合物は水から塗布されるのが好ましく、TLに対する適当な接着性を示し、表面光沢を容易に制御することを可能にする。
【0084】例えば、Misuda他は、米国特許第4,879,166号、第5,14,730号、第5,264,275号、第4,879,166号、および日本国特許第1,095,091号、第2,276,671号、第2,276,670号、第4,267,180号、第5,024,335号、および第5,016,517号の各明細書において、擬ベーマイトと特定の水溶性樹脂との混合物を含んでなる水系DRL調合物を開示している。Light は、米国特許第4,903,040号、第4,930,041号、第5,084,338号、第5,126,194号、第5,126,195号、第5,139,8667号および第5,147,717号の各明細書において、他のポリマーおよび添加剤といっしょに、ビニルピロリドンポリマーと特定の水分散性および/または水溶性ポリエステルとの混合物を含んでなる水系DRL調合物を開示している。Butters 他は、米国特許第4,857,386号および第5,102,717号の各明細書において、ビニルピロリドンポリマーとアクリル系またはメタクリル系ポリマーとの混合物を含んでなるインク吸収性樹脂層を開示している。Sato他は米国特許第5,194,317号明細書において、Higuma他は米国特許第5,059,983号明細書において、ポリビニルアルコールをベースとする水性塗布可能なDRL調合物を開示している。Iqbal は、米国特許第5,208,092号明細書において、後に架橋されるビニルコポリマーを含んでなる水系IRL調合物を開示している。これらの例の他にも、上述のDRLの一次的および二次的な要求条件に合う他の既知のまたは予想されるDRL調合物があり、これらのすべてが本発明の精神および範囲下に入る。
【0085】好ましいDRLは、5部のアルモキサン(alumoxane) および5部のポリ(ビニルピロリドン)の水性分散液として塗布される0.1〜10μmのDRLである。DRLは、光沢、摩擦、および/または耐指紋性の制御を目的とする、種々の量および大きさの艶消し剤、表面の均一性を高め、乾燥塗膜の表面張力を調整するための界面活性剤、媒染剤、酸化防止剤、紫外線吸収性化合物、光安定剤などを含有していてもよい。
【0086】上述のインク受容要素を成功裏に使用して、本発明の目的を達成することができるけれども、画像形成された要素の耐久性を高める目的のために、DRLにオーバーコートを施すのが望ましい。そのようなオーバーコートは、要素を画像形成させる前または後のいずれにおいてDRLに適用してもよい。例えば、DRLに、インクが自由に通過するインク透過層をオーバーコートすることができる。このタイプの層は米国特許第4,686,118号、第5,027,131号および第5,102,717号の各明細書に記載されている。あるいは、要素を画像形成させた後にオーバーコートを加えてもよい。この目的には、いずれの既知の積層用フィルムおよび装置を使用してもよい。上述の画像形成方法に使用されるインクは周知であり、インク調合物は特定の方法、すなわち、連続、圧電、または感熱方法に緊密に関係することが多い。ゆえに、特定のインク方法によって、インクは、さまざまな量及び組み合わせの溶媒、着色剤、防腐剤、界面活性剤、湿潤剤等を含んでもよい。本発明の画像記録要素と組み合わせて使用するのに好ましいインクは、Hewlett-Packard Desk Writer 560Cプリンターにおいて使用するために現在販売されているものなどの水系のものである。しかしながら、上述の画像記録要素の別の態様(所定のインク記録方法または所定の販売業者に特有のインクを用いる用途のために配合されたものであってもよい)も本発明の範囲内に入る。
【0087】本発明の態様に有用な材料としては感熱色素画像受容層が挙げられる。本発明の画像形成要素の感熱色素画像受容層は、例えば、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ (スチレン−co−アクリロニトリル) 、ポリカプロラクトンまたはそれらの混合物を含んでいてもよい。色素画像受容層は意図した目的に有効であれば、いかなる量で存在してもよい。一般的に、約1〜約10g/m2の濃度において良好な結果が得られている。Harrison他の米国特許第4,775,657号明細書に記載されているように、色素受容層の上にオーバーコート層をさらにコートしてもよい。
【0088】本発明の色素受容要素と共に使用される色素供与体要素は、従来、色素含有層を担時している支持体を含んでなる。熱の作用によって色素受容層へ転写可能である限り、如何なる色素でも、本発明に用いられる色素供与体に使用することができる。昇華性色素を用いる場合に、特に良好な結果が得られている。本発明における使用に適用可能な色素供与体は、例えば、米国特許第4,916,112号、第4,927,803号および第5,023,228号の各明細書に記載されている。
【0089】前述のように、色素供与体要素を使用して、色素転写画像を形成させる。このような方法は、色素供与体要素を像様加熱し、そして上述の色素受容要素に色素画像を転写させて色素転写画像を形成することを含む。
【0090】感熱色素転写印刷法の好ましい態様においては、シアン、マゼンタ、およびイエローの色素の逐次繰り返し領域でコートされたポリエチレンテレフタレート支持体を含んでなる色素供与体要素が用いられ、各々の色について色素転写工程が逐次的に行われ、3色色素転写画像が形成される。当然のことながら、この方法を単一の色についてのみ行った場合には、モノクロ色素転写画像が得られる。
【0091】本発明の色素供与体要素から受容要素へと色素を転写させるのに使用することができる感熱印刷ヘッドは市販されている。例えば、Fujitsu の感熱ヘッド (FTP-040 MCS001) 、TDKの感熱ヘッド F415 HH7-1089、またはRohmの感熱ヘッドKE 2008-F3 を用いることができる。あるいは、例えば英国特許出願公開公報第2,083,726号明細書に記載されているレーザーなどの他の既知の感熱色素転写用のエネルギー源を使用してもよい。
【0092】本発明の感熱色素転写集成体は、(a)色素供与体要素、および(b)上述の色素受容要素を含んでなり、色素受容要素は、色素供与体要素の色素層が色素受容要素の色素画像受容層と接触するように色素供与体要素と重ね合わされた関係にある。
【0093】3色画像を得ようとする場合、上記集成体は、感熱プリントヘッドによって熱が加えられる時間の間に3回形成される。第一の色素を転写させた後、それらの要素を剥がす。次に、第二の色素供与体要素(または供与体要素の、色素領域が異なる別の領域)と色素受容要素との見当を合わせ、当該方法を繰り返す。同じ様式で第三の色も得られる。
【0094】エレクトログラフ法および電子写真法並びにそれらの個々の工程は、多くの書籍および刊行物に詳細に記載されている。それらの方法は、静電像を生成させ、その画像を帯電着色粒子(トナー)で現像し、場合に応じて、得られた現像画像を第二の基材に転写させ、そしてその画像を基材に定着させるという基本工程を取り入れている。これらの方法および基本工程には無数の変型があり、乾燥トナーの代りに液体トナーを使用することも、これらの変型の1つに過ぎない。
【0095】第一の基本工程である静電像の作成は種々の方法によって行うことができる。複写機の電子写真法は、均一に帯電させた光伝導体のアナログまたはデジタル露光による像様光放電を使用する。この光伝導体はシングルユースシステムであってもよいし、セレンまたは有機光受容体をベースとするもののように、再帯電および再像形成が可能なものであってもよい。
【0096】複写機の電子写真法の1つの形態においては、均一に帯電させた光伝導体のアナログまたはデジタル露光による像様光放電が使用される。この光伝導体はシングルユースシステムであってもよいし、セレンまたは有機光受容体をベースとするもののように、再帯電および再像形成が可能なものであってもよい。
【0097】1つの形態の電子写真法において、感光性要素に永久的に画像形成して導電性に差異がある領域を形成する。均一な電荷の蓄積、その後の画像形成された要素の差異がある放電によって、静電像が生じる。これらの要素は、1回の画像形成露光の後に、繰り返し帯電させ現像できるため、電子写真またはゼログラフィーマスターと呼ばれている。
【0098】別のエレクトログラフ法においては、イオノグラフ的に静電像を生じさせる。潜像は紙またはフィルムのいずれかの誘電性(電荷保持)媒体上に作られる。媒体を幅方向に横断して配置されたスタイラスのアレイから、選択した金属スタイラスまたは書き込み用の尖端に電圧をかけて、選択したスタイラスと媒体との間の空気の絶縁破壊を引き起こす。イオンが生じ、媒体上に潜像が形成される。
【0099】しかしながら、生成した静電像は、逆に帯電したトナー粒子で現像される。液体トナーによる現像の場合、液体現像剤を静電像と直接接触させる。通常は、液体を流して、十分なトナー粒子を現像に利用できるようにする。静電像によってつくられる場が非導電性の液体中に浮遊している帯電粒子を電気泳動によって動かす。このように、静電潜像の電荷は逆に帯電した粒子によって中和される。液体トナーによる電気泳動現像の理論および物理学については多くの書籍および刊行物に詳しく記載されている。
【0100】再像形成可能な光受容体またはエレクトログラフマスターを使用する場合、トーンを有する画像を紙(または他の基材)に転写させる。紙を静電的に帯電させ、その極性はトナー粒子が紙に転写するように選択する。最終的に、トーンを有する画像を紙に定着させる。自己定着トナーの場合、空気乾燥または加熱によって紙から残留液を除去する。溶媒の蒸発によって、これらのトナーは紙に結合したフィルムを形成する。熱融着性トナーの場合は、熱可塑性ポリマーを粒子の一部として使用する。加熱により、残留液が除去され、かつトナーが紙に定着される。以下の実施例により本発明の実施化を例示する。これらの例は、本発明のあらゆる可能な態様を網羅したものではない。特に断わらない限り、部および百分率は質量を基準に表されている。
【0101】
【実施例】例1提案される積層型写真ベースは、以下のシートを写真グレードのセルロース紙支持体の両側に押出積層することによって作製できるであろう。
上部ボイド化ポリマーシート:二酸化チタン着色システム(必要な色調整を含む)を有するミクロボイド含有延伸ポリプロピレンコア、青色着色剤および蛍光増白剤を有する上部側にあるミクロボイド不含延伸ポリプロピレン層、最上部層としての1.2μmの中密度ポリエチレン層、並びにボイド含有層の底部側にある透明なミクロボイド不含延伸ポリプロピレン層からなる複合5層二軸延伸ポリオレフィンシート(厚み=55μm、d=0.75g/cm3)。ボイド誘導材料は平均粒子サイズ5マイクロメートルのチタン系金属酸化物被覆雲母粒子である。
【0102】底部二軸配向ポリマーシート:コアポリエステル層と、写真処理時の搬送性のために5μmのシリカ添加剤を5質量%含有しているポリエステルの表皮層からなる2層延伸ポリエステルシート。この2層シートは厚みが25μmであった(d=1.4g/cm3)。上記上部シートおよび底部シートを両方とも、メルトインデックスが13の透明なポリオレフィン(25g/m2)を用いて、この例の写真グレードセルロース紙に押出積層した。この真珠光沢支持体の構造は以下の通りである。
【0103】
【表1】


【0104】L1は画像層である。L2〜L6は一体式の二軸延伸ポリマーシートである。L4層は金属酸化物被覆顔料(EM Industries, Inc.製のAfflair 110(商標))を含む。使用した酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤(Irganox 1010(商標))とアリールホスファイト系酸化防止剤(Irgafos 168(商標))とHALS(Chimassorb 944 LD/FL(商標))の組み合わせであった。L7は前記一体シートと画像をベース基材に接着するためのつなぎ層である。L8はベース基材である。L9は艶消しフィルムを前記基材の裏面に接着するためのつなぎ層である。L10は書き込み可能/導電性層であって、摩擦特性をさらに備えていてもよい。
【0105】例2第2の提案されるサンプルは、以下のシートを写真グレードのセルロース紙支持体の両側に押出積層することによって作製した積層型写真ベースである。
上部ボイド化ポリマーシート:二酸化チタン着色システム(必要な色調整を含む)を有するミクロボイド含有延伸ポリプロピレンコア、青色着色剤および蛍光増白剤を有する上部側にあるミクロボイド不含延伸ポリプロピレン層、最上部層としての0.8μmの中密度ポリエチレン層、並びにボイド含有層の底部側にある透明なミクロボイド不含延伸ポリプロピレン層からなる、複合6層二軸延伸ポリオレフィンシート(厚み=58μm、d=0.75g/cm3)。ボイド誘導材料はポリ(ブチレンテレフタレート)である。
底部二軸延伸ポリマーシート:コアポリエステル層と、写真処理時の搬送性のために5μmのシリカ添加剤を5質量%含有しているポリエステルの表皮層からなる2層延伸ポリエステルシート。この2層シートは厚みが25μmであった(d=1.4g/cm3)。上記上部シートおよび底部シートを両方とも、メルトインデックスが13の透明なポリオレフィン(25g/m2)を用いて、この例の写真グレードセルロース紙に押出積層した。この真珠光沢のある支持体の構造は以下の通りである。
【0106】
【表2】


【0107】L1は画像層である。L2〜L7は一体式の二軸延伸ポリマーシートである。L4層は10質量%の真珠光沢顔料(EM Industries, Inc.製のAfflair 110(商標))を含む。L8は前記一体シートと画像をベース基材に接着するためのつなぎ層である。L9はベース基材である。L10は艶消しフィルムを前記基材の裏面に接着するためのつなぎ層である。L11は書き込み可能/導電性層であって、摩擦特性をさらに備えていてもよい。
【0108】本発明を、その特定の好ましい態様を用いて詳しく説明したが、本発明の精神および範囲内で様々な変更および改良を行うことができることが当然に理解されるであろう。
【0109】本発明の好ましい態様を特許請求の範囲の記載と関連して以下に示す。
[態様1] 画像形成層と、真珠光沢顔料と、ボイドを含む少なくとも1つの層とを含んで成る画像形成要素。
[態様2] 前記真珠光沢顔料がボイドを含む前記少なくとも1つの層中に存在する上記態様1記載の画像形成要素。
[態様3] 前記真珠光沢顔料が、ボイドを含む前記少なくとも1つの層の上部に存在する層中に存在する上記態様1記載の画像形成要素。
[態様4] ボイドを含む前記少なくとも1つの層の上方に少なくとも1つの同時押出上部層をさらに含んで成る上記態様1記載の画像形成要素。
[態様5] 前記真珠光沢顔料が前記ボイド中に存在する上記態様2記載の画像形成要素。
[態様6] 前記真珠光沢顔料が前記ボイドを取り囲むマトリックスポリマー中に存在する上記態様2記載の画像形成要素。
[態様7] 前記画像形成層の直ぐ下に存在する支持体の上側表面上に一体の画像接着層が存在する上記態様1記載の画像形成要素。
[態様8] 前記ボイドを含む層の下方に反射性層をさらに含んで成る上記態様2記載の画像形成要素。
[態様9] 前記ボイドを含む層の下方に反射性層をさらに含んで成る上記態様3記載の画像形成要素。
[態様10] 前記ボイドを含む層の下方に存在する前記反射性層が白色顔料を含んで成る上記態様9記載の画像形成要素。
[態様11] 前記ボイドを含む層の下方に存在する前記反射性層がTiO2を含む上記態様9記載の画像形成要素。
[態様12] 前記真珠光沢顔料が、ボイドを含み、さらに少なくとも1種の酸化防止剤を含む少なくとも1つの層中に存在する請求項1記載の画像形成要素。
[態様13] 前記真珠光沢顔料がボイド及び真珠光沢顔料を含む1つの層の上部に存在する層中に存在する上記態様1記載の画像形成要素。
[態様14] 前記真珠光沢顔料が金属酸化物をさらに含む上記態様1記載の画像形成要素。
[態様15] 前記真珠光沢のある金属酸化物がチタン、アルミニウムまたはバリウムの酸化物からなる群から選ばれる上記態様14記載の画像形成要素。
[態様16] 前記金属酸化物がチタンの酸化物である上記態様15記載の画像形成要素。
[態様17] 前記画像形成層が感光性ハロゲン化銀を含む上記態様1記載の画像形成要素。
[態様18] 前記画像形成層がインクジェット受容材料を含む上記態様1記載の画像形成要素。
[態様19] 前記画像形成層が感熱色素受容材料を含む上記態様1記載の画像形成要素。
[態様20] 前記画像形成層が電子写真受容材料を含む上記態様1記載の画像形成要素。
[態様21] 前記真珠光沢顔料が雲母、変性雲母、長石及び石英からなる群から選ばれる上記態様1記載の画像形成要素。
【0110】
【発明の効果】本発明は、並はずれた画像鮮鋭度とともに鮮やかな玉虫色の光彩を放つ真珠光沢のある画像を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像形成層と、真珠光沢顔料と、ボイドを含む少なくとも1つの層とを含んで成る画像形成要素。

【公開番号】特開2003−177495(P2003−177495A)
【公開日】平成15年6月27日(2003.6.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−237323(P2002−237323)
【出願日】平成14年8月16日(2002.8.16)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】