説明

画像生成装置、放射線画像撮影システム、画像生成プログラム、及び画像生成方法

【課題】本発明は、採取したい関心物と採取針との位置関係の確認が適切に行える断層画像を生成することができる、画像生成装置、放射線画像撮影システム、画像処理プログラム、及び画像処理方法を提供する。
【解決手段】生検針40の種類と生検針40の挿入方向とが指定されると、生検針40の種類と生検針40の挿入方向とに応じた生検針40の情報として、予め対応付けられているパラメータを取得する。さらに、ターゲットを位置を取得して、ターゲットの位置(3次元座標)及びパラメータに基づいて、スライス間隔決定部68がスライス間隔を決定する。被験者Wの乳房Nに生検針40を挿入した後、放射線画像撮影装置10により放射線画像の撮影を行い、撮影された複数の放射線画像から、決定されたスライス間隔で再構成して、断層画像を生成し、表示装置80のディスプレイ82に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置、放射線画像撮影システム、画像生成プログラム、及び画像生成方法に係り、特に被写体に生検針を挿入して生体を採取するための画像生成装置、放射線画像撮影システム、画像生成プログラム、及び画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療診断を目的として、患者の患部の一部を採取する生体検査(生検、バイオプシ)が行われている。生検では、放射線画像撮影装置により撮影された放射線画像や、トモシンセシス撮影により得られた断層画像を用いて、取得したいターゲット(病変等の組織)と生検針との位置関係を確認することが行われている。
【0003】
断層画像を再構成するためのスライス厚に関する技術として、例えば、特許文献1には、関心領域に基づいて、第1のスライス間隔またはそれよりも細かい第2のスライス間隔で断層画像を生成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−110098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにスライス厚を可変とする技術はあるものの、生検を行う際に、取得したいターゲット(病変等の組織)と生検針との位置関係を確認するという観点からは、適切ではない場合がある。
【0006】
例えば、断層画像を用いて取得したいターゲット(病変等の組織)と生検針との位置関係を確認する際、断層画像のスライス厚が適切ではない場合、例えば生検針の開口部全体が映っていない場合等、生検針との位置関係が確認しづらい場合がある。
【0007】
本発明は、採取したい関心物と採取針との位置関係の確認が適切に行える断層画像を生成することができる、画像生成装置、放射線画像撮影システム、画像処理プログラム、及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像生成装置は、生体及び非生体の少なくとも一方から関心物を採取する採取針に関する情報を指定させるための指定手段と、前記指定手段により指定された前記採取針に関する情報に基づいて、スライス間隔を決定する決定手段と、前記採取針が前記関心物を採取する前記生体及び前記非生体の少なくとも一方を被写体として、放射線画像検出器に対向して設けられた放射線照射部から前記放射線画像検出器上の前記被写体に対して異なる角度から放射線を照射して前記角度毎に前記放射線画像検出器から取得した複数の放射線画像に基づいて、前記被写体の前記放射線画像検出器の検出面を基準として前記決定手段で決定したスライス間隔で再構成した断層画像を生成する断層画像生成手段と、を備える。
【0009】
指定手段は、生体及び非生体の少なくとも一方から関心物を採取する採取針に関する情報をユーザに指定させ、決定手段は、指定手段により指定された採取針に関する情報に基づいて、スライス間隔を決定する。断層画像生成装置は、決定手段で決定したスライス間隔で再構成した断層画像を生成する。
【0010】
採取針により、例えば、関心物を採取するための開口部の大きさや採取針の太さ等、各種パラメータが異なる。そのため、スライス間隔が不適切であると生成された断層画像に開口部がうつっておらず、関心物と採取針との位置関係の確認が適切に行えない場合がある。
【0011】
これに対して、本発明では、採取針に関する情報に基づいて、スライス間隔を決定するため、採取したい関心物と採取針との位置関係の確認が適切に行える断層画像を生成することができる、
【0012】
また、本発明は、請求項2に記載の画像生成装置のように、前記採取針に関する情報は、前記採取針を前記生体及び前記非生体の少なくとも一方に挿入する方向に対応付けられた前記採取針の開口部の開口幅、及び針の直径の少なくとも1つとすることができる。
【0013】
また、本発明は、請求項3に記載の画像生成装置のように、前記決定手段は、前記スライス間隔として、前記採取針の直径が小さくなるのに応じて、小さくしたスライス間隔を決定することができる。
【0014】
また、本発明は、請求項4に記載の画像生成装置のように、前記決定手段は、前記関心物が含まれる関心物領域を検出し、前記関心物領域のスライス間隔を前記指定手段により指定された前記採取針に関する情報に基づいて決定すると共に、前記関心物領域以外のスライス間隔を、前記関心物領域のスライス間隔よりも大きい間隔に決定することができる。
【0015】
請求項5に記載の放射線画像撮影システムは、放射線画像検出器に対向して設けられた放射線照射部から前記放射線画像検出器上の被写体に対して異なる角度から放射線を照射して前記角度毎に前記放射線画像検出器により、複数の放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置と、前記放射線画像撮影装置が撮影した複数の放射線画像から断層画像を生成する、前記請求項1から前記請求項4のいずれか1項に記載の画像生成装置と、を備える。
【0016】
請求項6に記載の画像生成プログラムは、コンピュータを、生体及び非生体の少なくとも一方から関心物を採取する採取針に関する情報を指定させるための指定手段と、前記指定手段により指定された前記採取針に関する情報に基づいて、スライス間隔を決定する決定手段と、前記採取針が前記関心物を採取する前記生体及び前記非生体の少なくとも一方を被写体として、放射線画像検出器に対向して設けられた放射線照射部から前記放射線画像検出器上の前記被写体に対して異なる角度から放射線を照射して前記角度毎に前記放射線画像検出器から取得した複数の放射線画像に基づいて、前記被写体の前記放射線画像検出器の検出面を基準として前記決定手段で決定したスライス間隔で再構成した断層画像を生成する断層画像生成手段と、して機能させるためのものである。
【0017】
請求項7に記載の画像生成方法は、生体及び非生体の少なくとも一方から関心物を採取する採取針に関する情報を指定させるための指定工程と、前記指定手段により指定された前記採取針に関する情報に基づいて、スライス間隔を決定する決定工程と、前記採取針が前記関心物を採取する前記生体及び前記非生体の少なくとも一方を被写体として、放射線画像検出器に対向して設けられた放射線照射部から前記放射線画像検出器上の前記被写体に対して異なる角度から放射線を照射して前記角度毎に前記放射線画像検出器から取得した複数の放射線画像に基づいて、前記被写体の前記放射線画像検出器の検出面を基準として前記決定工程で決定したスライス間隔で再構成した断層画像を生成する断層画像生成工程と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、採取したい関心物と採取針との位置関係の確認が適切に行える断層画像を生成することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態の放射線画像撮影装置の構成の一例を示す平面図である。
【図2】本実施の形態の放射線画像撮影装置の撮影時における構成の一例を示す図である。
【図3】本実施の形態の放射線画像撮影装置の撮影時の説明を行うための説明図である。
【図4】本実施の形態の放射線画像撮影システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本実施の形態の生検針に関する情報を説明するための説明図である。
【図6】本実施の形態の画像生成装置において実行される、スライス厚決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態の画像生成装置の記憶部に予め記憶されている生検針の種類(モデル名)と各パラメータ(A、B、C)との対応関係の具体的一例を説明するための説明図である。
【図8】本実施の形態の生検針の挿入方向を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態は本発明を限定するものではない。
【0021】
図1〜図3に示すように、本実施の形態の放射線画像撮影装置10は、被験者Wが立った立位状態において、当該被験者Wの乳房N、を放射線(例えば、X線)により撮影する装置であり、例えば、マンモグラフィと称される。なお、以下では、撮影の際に放射線画像撮影装置10に被験者Wが対面した場合の被験者Wに近い手前側を放射線画像撮影装置10の装置前方側とし、放射線画像撮影装置10に被験者Wが対面した場合の被験者Wから離れた奥側を放射線画像撮影装置10の装置後方側とし、放射線画像撮影装置10に被験者Wが対面した場合の被験者Wの左右方向を放射線画像撮影装置10の装置左右方向として説明する(図1〜図3の各矢印参照)。
【0022】
また、放射線画像撮影装置10の撮影対象は、乳房Nに限られず、例えば、身体の他の部位、物体であってもよい。また、放射線画像撮影装置10としては、被験者Wがイス(車イスを含む)等に座った座位状態において、または、被験者Wが診察台等に横たわった臥位状態において、その被験者Wの乳房Nを撮影する装置であってもよく、被験者Wの乳房Nが左右別個に撮影可能な装置であれば特に限定されない。
【0023】
放射線画像撮影装置10は、図1に示すように、装置前方側に設けられた側面視略C字状の測定部12と、測定部12を装置後方側から支える基台部14と、を備えている。
【0024】
測定部12は、立位状態にある被験者Wの乳房Nと当接する平面状の撮影面20が形成された撮影台22と、乳房Nを撮影台22の撮影面20との間で圧迫するための圧迫板26と、撮影台22及び圧迫板26を支持する保持部28と、を備えて構成されている。
【0025】
圧迫板26には、乳房Nの生検部位から必要な組織を採取するバイオプシハンド部38が備えられている。また、圧迫板26には、バイオプシハンド部38を用いた組織採取のための矩形状の開口部34が設けられている。バイオプシハンド部38は、撮影台22に支持されたポスト部36及びポスト部36に一端が接続されたアーム部37により構成されている。アーム部37の他端には、生検針(関心物を採取する採取針)40が装着されている。生検針40の先端部には、乳房Nの生検部位の組織を吸引して採取する開口部(図示省略)が設けられている。生検針40は、バイオプシハンド部38により、圧迫板26の面に沿った方向(圧迫板26に並行な方向、図1、x−y軸方向)、及び乳房Nに挿入する方向(圧迫板26と交差する方向、図1、z軸方向)に移動させることができる。本実施の形態では、バイオプシハンド部38により生検針40を移動させることにより、生検針40を圧迫板26の開口部34を通過させるように、圧迫板26側から撮影面20に向けてz軸方向(挿入方向V、詳細後述)に挿入させることができるように構成されていると共に、生検針を圧迫板26と撮影面20との間から、圧迫板26に並行な方向(挿入方向L、詳細後述)に挿入させることができるように構成されている。なお、圧迫板26には、放射線を透過する部材が用いられる。
【0026】
また、測定部12は、管球などの放射線源30(図4参照)が設けられ、放射線源30から撮影面20に向けて検査用の放射線を照射する放射線照射部24と、保持部28とは分離され放射線照射部24を支持する支持部29とを備えている。
【0027】
測定部12には、基台部14に回動可能に支えられている回動軸16が設けられている。回動軸16は、支持部29に対して固定されており、回動軸16と支持部29は一体に回動するようになっている。
【0028】
保持部28に対しては、回動軸16が連結されて一体に回動する状態と、回動軸16が分離されて空転する状態とに切り替え可能とされている。具体的には、回動軸16及び保持部28にそれぞれギアが設けられ、このギア同士の噛合状態・非噛合状態を切替えるようになっている。
【0029】
なお、回動軸16の回動力の伝達・非伝達の切替えは、種々の機械要素を用いることができる。
【0030】
保持部28は、撮影面20と放射線照射部24とが所定間隔離れるように撮影台22と放射線照射部24とを支持するとともに、圧迫板26と撮影面20との間隔が可変であるように圧迫板26をスライド移動可能に保持している。
【0031】
乳房Nが当接する撮影面20は、放射線透過性や強度の観点から、例えば、カーボンで形成されている。撮影台22の内部には、乳房N及び撮影面20を通過した放射線が照射され、その放射線を検出する放射線検出器32が配置されている。放射線検出器32が検出した放射線が可視化されて放射線画像が生成される。
【0032】
本実施の形態の放射線画像撮影装置10は、少なくとも、被写体としての乳房Nに対して、複数の方向から撮影を行うことができる装置とされている。図2、図3は、それぞれ、当該撮影時における放射線画像撮影装置10の姿勢、当該撮影時における放射線照射部24の位置を示している。図2及び図3に示すように、当該撮影は、放射線照射部24を支持するとともに、保持部28を介して撮影台22を支持する支持部29を傾けて撮影を行うものである。
【0033】
放射線撮影装置10では、図3に示すように、乳房Nに対して複数の方向から撮影(トモシンセシス撮影)を行う場合、保持部28に対して回動軸16が空転して撮影台22と圧迫板26が動かず、支持部29が回動することにより放射線照射部24のみが円弧状に移動する。なお、本実施の形態では、図3に示すように角度αから所定角度θずつ撮影位置を移動させて、放射線照射部24の位置がP1〜PNのN箇所で撮影が行われる。
【0034】
また、本実施の形態の放射線画像撮影装置10では、乳房Nに対して、CC(Cranio & Caudal:頭尾方向)撮影とMLO(Mediolateral−Oblique:内外斜位方向)撮影との両者を行うことができる装置とされている。なお、CC撮影時においては、撮影面20が上方を向いた状態に保持部28の姿勢が調整されると共に、放射線照射部24が撮影面20に対して上方に位置する状態に保持部28の姿勢が調整される。これにより、立位状態の被験者Wの頭側から足側に向かって、放射線照射部24から乳房Nへ放射線が照射されて、CC撮影がなされる。また、MLO撮影時では、一般的に、CC撮影時に比べて撮影台22を45°以上90°未満回転させた状態に保持部28の姿勢が調整され、撮影台22の装置前方側の側壁角部22Aに被験者Wの腋窩を当てるようにポジショニングされる。これにより、被験者Wの胴体の軸中心側から外側へ向かって、放射線照射部24から乳房Nへ放射線が照射されて、MLO撮影がなされる。
【0035】
なお、撮影台22の装置前方側の面には、撮影時において、被験者Wの乳房Nよりも下方の胸部分を当接させる胸壁面25が形成されている。胸壁面25は平面状とされている。
【0036】
図4には、本実施の形態の放射線画像撮影システム5の構成の一例のブロック図を示す。
【0037】
本実施の形態の放射線画像撮影システム5は、放射線画像撮影装置10、画像生成装置50、及び表示装置80を備えて構成されている。
【0038】
放射線画像撮影装置10は、放射線照射部24、放射線検出器32、撮影装置制御部42、バイオプシユニット44、操作パネル46、及び通信I/F部48を含んで構成されている。
【0039】
撮影装置制御部42は、放射線画像撮影装置10全体の動作を制御する機能を有するものであり、CPU(Central Processing Unit)60、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含むメモリ、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部を備えて構成されている。また、撮影装置制御部42は、放射線照射部24、放射線検出器32、バイオプシユニット44、操作パネル46、及び通信I/F部48と接続されている。
【0040】
撮影装置制御部42は、操作パネル46(曝射スイッチ)によりオペレータから照射指示を受け付けると、指定された曝射条件に基づいて設定された撮影メニュー(詳細後述)に従って、放射線照射部24に設けられた放射線源30から撮影面20に対して放射線を照射させる。
【0041】
放射線検出器32は、画像情報を担持する放射線の照射を受けて画像情報を記録し、記録した画像情報を出力するものであり、例えば、放射線感応層を配置し、放射線をデジタルデータに変換して出力するFPD(Flat Panel Detector)として構成されている。放射線検出器32は、放射線が照射されると、放射線画像を示す画像情報を撮影装置制御部42へ出力する。本実施の形態では、放射線検出器32によって、乳房Nを透過した放射線の照射を受けて放射線画像を示す画像情報が得られる。
【0042】
操作パネル46は、曝射条件や姿勢情報等の各種の操作情報、各種の操作指示等が設定される機能を有するものである。
【0043】
操作パネル46で設定される曝射条件には、管電圧、管電流、照射時間、及び姿勢情報等の情報等が含まれている。操作パネル46で指定される姿勢情報には、乳房Nにたいして 複数の方向から撮影を行う場合の撮影位置(撮影姿勢、角度)を表す情報等が含まれている。
【0044】
なお、これらの曝射条件、姿勢情報等の各種の操作情報及び各種の操作指示等は、操作パネル46によりオペレータが設定するようにしてもよいし、他の制御装置(RIS:Radiology Information System、放射線情報システム、放射線を用いた、診療、診断等の情報の管理を行うシステム)等から得るようにしてもよいし、予め記憶部に記憶させておいてもよい。
【0045】
操作パネル46から各種情報が設定されると、撮影装置制御部42は、設定された各種情報に基づいて設定された撮影メニューに従って、放射線照射部24から放射線を被験者Wの撮影部位(乳房N)に照射させて放射線画像の撮影を実行する。撮影装置制御部42は、複数の方向から撮影を行う場合には、撮影面20が上方を向いた状態に保持部28の姿勢を調整すると共に放射線照射部24が撮影面20に対して上方に位置する状態に支持部29の姿勢を調整する。そして、撮影装置制御部42は、図3に示すように、支持部29を回動させて放射線照射部24を円弧状に角度αから角度θずつ移動させて撮影条件に基づいて放射線照射部24に設けられた放射線源30から撮影面20に対して異なる角度で個別に放射線Xを照射させる。これによりN枚の放射線画像が得られる。
【0046】
バイオプシユニット44は、バイオプシハンド部38及び生検針駆動制御部45を備えて構成されている。生検針駆動制御部45は、撮影装置制御部42の指示に応じて、バイオプシユニット44を駆動して、生検針40を所定の位置に移動させた状態で保持する。
【0047】
通信I/F部48は、放射線画像撮影装置10と、画像生成装置50と、の間で撮影された放射線画像や各種情報等をネットワーク49を介して送受信するための機能を有する通信インターフェイスである。
【0048】
画像生成装置50は、放射線画像撮影装置10から取得した放射線画像から、再構成した断層画像を生成する機能を有している。
【0049】
画像生成装置50は、CPU52、ROM54、RAM56、HDD58、通信I/F部60、画像表示指示部62、指示受付部64、断層画像生成部66、スライス間隔決定部68、及び記憶部72を備えて構成されている。これらは、コントロールバスやデータバス等のバス75を介して互いに情報等の授受が可能に接続されている。
【0050】
CPU52は、画像生成装置50全体の制御等を行うものであり、具体的には、ROM54に格納されているプログラム55を実行することにより制御を行っている。なお、本実施の形態では、プログラム55は、予め格納されている構成としているがこれに限らず、プログラム55をCD−ROMやリムーバブルディスク等の記録媒体等に記憶しておき記録媒体からROM54等にインストールするようにしてもよいし、インターネット等の通信回線を介して外部装置からROM54等にインストールするようにしてもよい。RAM56は、CPU52でプログラム55を実行する際の作業用の領域を確保するものである。HDD58は、各種データを記憶して保持するものである。
【0051】
通信I/F部60は、画像生成装置50と、放射線画像撮影装置10と、の間で撮影された放射線画像や各種情報等をネットワーク49を介して送受信するための機能を有する通信インターフェイスである。
【0052】
画像表示指示部62は、放射線画像(断層画像)等を表示させるように表示装置80のディスプレイ82に指示する機能を有するものである。
【0053】
本実施の形態の表示装置80は、撮影された放射線画像(断層画像)の表示を行う機能を有するものであり、放射線画像が表示されるディスプレイ82及び指示入力部84を備えて構成されている。また、指示入力部84は、石灰化や腫瘤等の関心物を採取したいユーザ(例えば、医師等)が放射線画像の表示に関する指示を入力するための機能を有するものであり、例えば、タッチディスプレイや、キーボード、及びマウス等が挙げられる。なお、本実施の形態では、医師等、撮影された放射線画像により腫瘤等の関心物の採取や診断等を行う者をユーザといい、石灰化や腫瘤等、生検の採取対象となる組織を関心物という。
【0054】
指示受付部64は、表示装置80の指示入力部84により入力されたユーザからの指示を受け付ける機能を有するものである。
【0055】
断層画像生成部66は、トモシンセシス撮影により得られた複数の放射線画像から、断層画像を再構成して、撮影面20に平行な断層画像を生成する機能を有するものである。なお、本実施の形態では、「平行」としているが、略平行も含むものとする。
【0056】
断層画像生成部66は、P1、P2、P3、・・・、Pnの位置で撮影された複数の放射線画像Iから断層画像を生成する。放射線源30が各位置から放射線を照射する撮影角度によって、関心物が放射線画像上に投影される位置が異なる。そこで、断層画像生成部66では、放射線画像撮影装置10から当該放射線画像を撮影した際の撮影条件を取得し、当該撮影条件に含まれる撮影角度に基づいて、複数の放射線画像間における関心物の移動量を算出して、公知の再構成方法に基づいて断層画像の再構成を行う。
【0057】
スライス間隔決定部68は、ユーザにより指定された生検針40に関する情報に基づいて、生検針40の種類に応じたスライス間隔を決定する機能を有するものである。
【0058】
記憶部72は、各種情報を予め記憶しておくためのものであり、いわゆる大容量ハードディスク等が挙げられる。本実施の形態では、予め、生検針40のモデル名と各パラメータとの対応関係や生検針40の挿入方向とパラメータとの対応関係(いずれも詳細後述)が予め記憶されている。
【0059】
次に、本実施の形態の放射線画像撮影システム5の作用について図面を参照して説明する。
【0060】
本実施の形態の放射線画像撮影システム5では、生検を行う場合、射線画像撮影装置10によりトモシンセシス撮影を行い画像を取得する。予め、画像生成装置50により、生検に使用する生検針40に関する情報に基づいて、断層画像を再構成するためのスライス厚を決定しておく。取得した画像を決定したスライス圧で再構成する。再構成画像からターゲットの位置を検出する。その後、生検針40を乳房Nに挿入した後、放射線画像撮影装置10によりステレオ撮影を行い、表示装置80に表示させ、ユーザに、取得したいターゲットと生検針との位置関係を確認させる。
【0061】
なお、本実施の形態では、生検針40に関する情報として、ターゲットを採取するための開口部の位置(図5、A:生検針開口位置、参照、以下、パラメータAという。)、開口部の幅(図5、B:生検針開口幅、参照、以下、パラメータBという。)、及び直径(図5、C:生検針径、参照、以下、パラメータCという。)を用いている。
【0062】
まず、本実施の形態の放射線画像撮影装置10における放射線画像の撮影について説明する。放射線画像の撮影を行なう場合、放射線画像撮影装置10は、撮影メニューが設定されると、撮影メニューに従って撮影が実行される。
【0063】
放射線撮影装置10は、乳房Nに対して複数の方向から撮影を行う撮影指示が入力された場合、図2に示すように、撮影面20が上方を向いた状態に保持部28の姿勢を調整すると共に放射線照射部24が撮影面20に対して上方に位置する状態に支持部29の姿勢を調整する。
【0064】
被験者Wは、放射線画像撮影装置10の撮影面20に乳房Nを当接させる。放射線画像撮影装置10は、この状態でオペレータから操作パネル46に対して圧迫開始の操作指示が行なわれると、圧迫板26が撮影面20に向けて移動する。
【0065】
本実施形態に係る放射線撮影装置10は、この状態で操作パネル46に、乳房Nに対して複数の方向から撮影を行う撮影指示が入力された場合、支持部29のみを回動させて放射線照射部24を円弧状に移動させて、図3に示すように、角度αから所定角度θずつ撮影位置を移動させて、放射線照射部24の位置がP1〜PNのN箇所で各々撮影条件に基づいた放射線の照射を行う。放射線照射部24から個別に照射された放射線は、それぞれ乳房Nを透過した後に放射線検出器32に到達する。
【0066】
放射線検出器32は、放射線が照射されると、照射された放射線画像を示す画像情報をそれぞれ撮影装置制御部42へ出力する。上記のように、放射線照射部24の位置がP1〜PNのN箇所で放射線の照射が行われた場合には、N枚の放射線画像の画像情報を撮影装置制御部42へ出力することとなる。
【0067】
撮影装置制御部42は、入力された各画像情報を画像処理装置50へ出力する。なお、上記のように、放射線照射部24の位置がP1〜PNのN箇所で放射線の照射が行われた場合には、撮影装置制御部42のCPUは、N枚の放射線画像の画像情報を画像処理装置50へ出力する。
【0068】
画像処理装置50では、放射線画像撮影装置10から入力されたN枚の放射線画像から断層画像を再構成し、再構成された断層画像を表示装置80に表示させる断層画像生成処理を行う。
【0069】
次に、予め行われるスライス厚決定処理について詳細に説明する。図6に、本実施の形態の画像処理装置50において実行される、スライス厚決定処理の流れの一例のフローチャートを示す。なお、本処理は、ROM54に格納されている制御プログラム55がCPUで処理されることにより実行される。
【0070】
ステップ100では、生検針40の種類の指定を受け付ける。本実施の形態では、具体的一例として、予め記憶部72に登録されている生検針40の種類(モデル名)の一覧を表示装置80のディスプレイ82に表示させる。ユーザは、当該表示に基づいて、使用する生検針40の種類を選択して指示入力部84により指示する。本実施の形態では、予め生検針の種類(モデル名)と各パラメータ(A、B、C)との対応関係が記憶されている。対応関係の一例を図7に示す。
【0071】
次のステップ102では、生検針40の挿入方向の指定を受け付ける。本実施の形態では、ユーザから、指示入力部84により指定された挿入方向を受け付ける。本実施の形態では、図8に示すように、撮影面20と交差する方向から生検針40を挿入する方向を挿入方向Vといい、撮影面20と交差する方向から生検針40を挿入する方向を挿入方向Lという。本実施の形態では、挿入方向が挿入方向V、Lのいずれであるかの指示が指示入力部84により指示される。本実施の形態では、予め挿入方向とスライス厚の決定に用いるパラメータ(A、B、C)との対応関係が予め記憶部72に記憶されている。なお、本実施の形態では、挿入方向が挿入方向Vの場合、少なくともパラメータBが対応付けられており、挿入方向が挿入方向Lの場合、少なくともパラメータCが対応付けられている。また、パラメータAは、スライス厚の決定に直接寄与するものではないが、関心領域の3次元位置と生検針40の開口位置との位置合わせに用いるため、本実施の形態では、パラメータB及びパラメータCと関連付けて扱っている。
【0072】
次のステップ104では、ステップ100で指定された生検針40の種類、及びステップ102で指定された生検針40の挿入方向に応じたパラメータを取得する。本実施の形態では、上述した記憶部72に記憶されている、生検針の種類(モデル名)と各パラメータ(A、B、C)との対応関係(図7参照)、及び挿入方向とスライス厚の決定に用いるパラメータ(A、B、C)との対応関係とを参照して、パラメータを取得する。
【0073】
次のステップ106では、ターゲットの位置(3次元座標)を取得する。ターゲットの位置の取得方法は特に限定されないが、本実施の形態では、画像生成装置50により生成された断層画像等の被験者Wの乳房Nの放射線画像を表示装置80のディスプレイ82に表示させ、当該表示によりユーザにより指定されたターゲットの位置に基づいてターゲットの位置(3次元座標)を検出する。
【0074】
次のステップ108では、ステップ104で取得したパラメータ及びステップ110で取得したターゲットの位置に基づいて、スライス厚を決定した後、本処理を終了する。本実施の形態では、挿入方向が挿入方向Vの場合、ターゲットの位置を中心として、パラメータBを等分割するようにスライス厚を決定する。また、挿入方向が挿入方向Lの場合、ターゲットの位置を中心として、パラメータCを等分割するようにスライス厚を決定する。なお、ターゲットを含まない領域を含む全ての領域の断層画像を生成する場合、ターゲットと生検針との位置関係の確認を行うという観点から、ターゲットが含まれる領域のみ、当該スライス厚とし、ターゲットが含まれない領域については、これよりも大きなスライス厚としてもよい。このようにすることにより、生成される断層画像の枚数を少なくすることができる。
【0075】
以上、説明したように本実施の形態の放射線画像撮影システム5では、生検針40の種類と生検針40の挿入方向とが指定されると、生検針40の種類と生検針40の挿入方向とに応じた生検針40の情報として、予め対応付けられているパラメータA(生検針開口位置)、パラメータB(生検針開口幅)、及びパラメータC(生検針径)を取得する。さらに、ターゲットの位置を取得して、ターゲットの位置(3次元座標)及びパラメータに基づいて、スライス間隔決定部68がスライス間隔を決定する。被験者Wに対して、放射線画像撮影装置10により放射線画像の撮影を行い、撮影された複数の放射線画像から、決定されたスライス間隔で再構成して、断層画像を生成し、表示装置80のディスプレイ82に表示させる。
【0076】
このように、生検針40の種類と挿入方向とに応じたスライス間隔で断層画像が生成されるため、ターゲットと生検針との位置関係の確認が適切に行える断層画像を生成することができる。また、生検針40の種類毎に設定できるため、位置確認を容易に行うことができる。
【0077】
なお、本実施の形態では、ターゲットの位置を取得して、ターゲットの位置を中心としてスライス厚を決定しているが、これに限らず、全部の領域の断層画像を生成する場合は、ターゲットの位置を取得することなくパラメータのみに基づいて、例えば、挿入方向がVならばパラメータBよりも小さい間隔で等分割するよう決定し、挿入方向がLならばパラメータCよりも小さい間隔で等分割するよう決定すればよい。また、等分割に限らず、厚さを変えてもよい。なお、生検針40の直径(パラメータC)が小さくなるほど、スライス厚も小さくすることが好ましい。
【0078】
また、本実施の形態では、予め生検針の種類(モデル名)と各パラメータ(A、B、C)との対応関係が予め記憶されている構成としているがこれに限らず、ユーザが直接、パラメータを入力するようにしてもよい。また、使用するパラメータは本実施の形態に限らず、生検針40の挿入方向等や、生検の方法等に応じて使用するパラメータを定めてもよい。
【0079】
また、複数種類の生検針40を用いる場合等、生検針40の種類毎に、スライス厚を決定し、生検針40の種類毎に、断層画像を生成するようにしてもよい。
【0080】
また、本実施の形態では、予めスライス厚を決定するようにしているがこれに限らず、例えば、生検針40を乳房Nに挿入後に、決定するようにしてもよい。なお、予め決定しておく方が、断層画像を生成する処理時間が短縮されるため、乳房Nに生検針40が挿入されている時間を短くすることができるので好ましい。
【0081】
また、本実施の形態では、マンモグラフィにより撮影された放射線画像の断層画像の生成に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の放射線画像撮影装置により撮影された放射線画像の断層画像の生成に適用してもよい。また、本実施の形態では、生体である人体が撮影された放射線画像の断層画像の生成に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、人体以外の生体や非生体(例えば、人体を模したファントム等)等が撮影された放射線画像の断層画像の生成に適用してもよい。
【0082】
また、放射線画像の撮影に用いられる放射線は、特に限定されるものではなく、X線やγ線等を適用することができる。
【0083】
その他、本実施の形態で説明した放射線画像撮影システム5、放射線画像撮影装置10、画像生成装置50、及び表示装置80の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。
【0084】
また、本実施の形態で説明したスライス厚決定処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0085】
5 放射線画像撮影システム
10 放射線画像撮影装置
50 画像生成装置
66 断層画像生成部
68 スライス間隔決定部
80 表示装置
N 乳房
W 被験者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体及び非生体の少なくとも一方から関心物を採取する採取針に関する情報を指定させるための指定手段と、
前記指定手段により指定された前記採取針に関する情報に基づいて、スライス間隔を決定する決定手段と、
前記採取針が前記関心物を採取する前記生体及び前記非生体の少なくとも一方を被写体として、放射線画像検出器に対向して設けられた放射線照射部から前記放射線画像検出器上の前記被写体に対して異なる角度から放射線を照射して前記角度毎に前記放射線画像検出器から取得した複数の放射線画像に基づいて、前記被写体の前記放射線画像検出器の検出面を基準として前記決定手段で決定したスライス間隔で再構成した断層画像を生成する断層画像生成手段と、
を備えた画像生成装置。
【請求項2】
前記採取針に関する情報は、前記採取針を前記生体及び前記非生体の少なくとも一方に挿入する方向に対応付けられた前記採取針の開口部の開口幅、及び針の直径の少なくとも1つである、請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記スライス間隔として、前記採取針の直径が小さくなるのに応じて、小さくしたスライス間隔を決定する、請求項1または請求項2に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記関心物が含まれる関心物領域を検出し、前記関心物領域のスライス間隔を前記指定手段により指定された前記採取針に関する情報に基づいて決定すると共に、前記関心物領域以外のスライス間隔を、前記関心物領域のスライス間隔よりも大きい間隔に決定する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像生成装置。
【請求項5】
放射線画像検出器に対向して設けられた放射線照射部から前記放射線画像検出器上の被写体に対して異なる角度から放射線を照射して前記角度毎に前記放射線画像検出器により、複数の放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置が撮影した複数の放射線画像から断層画像を生成する、前記請求項1から前記請求項4のいずれか1項に記載の画像生成装置と、
を備えた放射線画像撮影システム。
【請求項6】
コンピュータを、
生体及び非生体の少なくとも一方から関心物を採取する採取針に関する情報を指定させるための指定手段と、
前記指定手段により指定された前記採取針に関する情報に基づいて、スライス間隔を決定する決定手段と、
前記採取針が前記関心物を採取する前記生体及び前記非生体の少なくとも一方を被写体として、放射線画像検出器に対向して設けられた放射線照射部から前記放射線画像検出器上の前記被写体に対して異なる角度から放射線を照射して前記角度毎に前記放射線画像検出器から取得した複数の放射線画像に基づいて、前記被写体の前記放射線画像検出器の検出面を基準として前記決定手段で決定したスライス間隔で再構成した断層画像を生成する断層画像生成手段と、
して機能させるための画像生成プログラム。
【請求項7】
生体及び非生体の少なくとも一方から関心物を採取する採取針に関する情報を指定させるための指定工程と、
前記指定手段により指定された前記採取針に関する情報に基づいて、スライス間隔を決定する決定工程と、
前記採取針が前記関心物を採取する前記生体及び前記非生体の少なくとも一方を被写体として、放射線画像検出器に対向して設けられた放射線照射部から前記放射線画像検出器上の前記被写体に対して異なる角度から放射線を照射して前記角度毎に前記放射線画像検出器から取得した複数の放射線画像に基づいて、前記被写体の前記放射線画像検出器の検出面を基準として前記決定工程で決定したスライス間隔で再構成した断層画像を生成する断層画像生成工程と、
を備えた画像生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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