説明

画像編集装置

【課題】画像データに対するフィルタ処理をユーザが容易に行うことができる画像編集装置を提供することを課題とする。
【解決手段】フィルタ設定部112は、インデックスデータを参照してフィルタ設定データを作成する。インデックスデータは、文書画像データから抽出された属性データと、属性データが表示されるインデックス領域を示す領域情報とを対応付けたデータである。フィルタ設定データは、各インデックス領域で表示されるフィルタのパターンを設定したデータである。ユーザは、PC2を操作してインデックス領域ごとのフィルタのパターンを設定する。フィルタ設定部112は、ユーザの操作に基づいてフィルタ設定データを更新する。画像編集部113は、更新されたフィルタ設定データに基づいて文書画像データを編集し、出力用データを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データにおける所定領域のフィルタ処理を行う画像編集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業などにおいて、社内文書あるいは外部文書を管理する文書管理システムの利用が増加している。電子メール、ウェブページなどの電子データだけでなく、紙文書をスキャナで読み取って作成した画像データなども、文書管理システムの管理の対象となる。また、文書管理システムで管理されるデータには、個人情報、技術情報あるいは金額情報などの秘密情報が多く含まれている。
【0003】
秘密情報を含む画像データがそのまま印刷あるいはFAX送信などによって出力された場合、秘密情報が外部に流出するおそれがある。秘密情報の外部への流出の防止を目的として、画像データを出力する前に、画像データ中の秘密情報が表示される領域を黒色などで塗りつぶす塗りつぶし処理が行われる。
【0004】
また、画像データに表示される重要情報を強調させた状態で、画像データを出力することがある。このような場合、重要情報が表示される領域に囲み線、あるいは網掛けなどを付す強調処理が行われる。
【0005】
たとえば、特許文献1に、画像データに対して塗りつぶし処理および強調処理(以下、「フィルタ処理」という)を行う画像編集装置が開示されている。
【0006】
まず、特許文献1が開示する画像編集装置は、ユーザの操作に応じて、原稿画像データ上に、フィルタ処理を行う領域を指定するマスキングオブジェクトを配置する。その後、マスキングオブジェクトの位置情報などの各種データを取り込んだマスキングオブジェクトテンプレートデータが作成され、テンプレート管理データに登録される。特許文献1が開示する画像編集装置は、原稿画像データの拡張ヘッダ部にマスキングオブジェクトテンプレートデータを挿入して、編集原稿画像データを作成する。
【0007】
【特許文献1】特開2004−287582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来の画像編集装置は、フィルタ処理を行う領域を指定したマスキングオブジェクトテンプレートデータをテンプレート管理データに登録する。ここで、原稿画像データと同一フォーマットの他の画像データに対してフィルタ処理を行う場合を考える。この場合、ユーザは、テンプレート管理データに登録されたマスキングオブジェクトテンプレートデータを用いて、フィルタ処理を行う領域を指定する。これにより、ユーザは、フィルタ処理を行う領域を指定する手間を省くことができる。
【0009】
しかしながら、従来の画像編集装置を用いたフィルタ処理の場合、ユーザは、以下に示す操作を行う必要がある。具体的には、ユーザは、フィルタ処理の対象となる原稿画像データと、テンプレート管理データに登録されたマスキングオブジェクトテンプレートデータとを重ねて表示させる。ユーザは、上述の操作を行うことによって、フィルタ処理に適したマスキングオブジェクトテンプレートデータを探す必要がある。
【0010】
また、他のフォーマットで作成された画像データに対してフィルタ処理を行う場合、ユーザは、依然として、フィルタ処理を行う領域を指定してマスキングオブジェクトテンプレートデータを作成する必要がある。
【0011】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、画像データに対するフィルタ処理をユーザが容易に行うことができる画像編集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、画像データのインデックスとして、前記画像データから抽出された文字列と、前記文字列を含む領域を示す領域情報とを対応付けて記録したインデックスデータを、前記画像データとともに記憶する記憶部と、前記領域に対して適用させるフィルタ種別に関する情報を含むフィルタ設定情報を設定するフィルタ設定部と、前記領域情報と前記フィルタ設定情報とに基づいて前記画像データを編集する画像編集部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の画像編集装置において、前記フィルタ種別は、前記領域に対して強調表示を適用させるフィルタを含むことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1に記載の画像編集装置において、前記フィルタ種別は、前記領域に対して塗りつぶし表示を適用させるフィルタを含むことを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像編集装置において、さらに、前記フィルタ設定情報に基づいて編集された前記画像データを確認するためのプレビューを作成するプレビュー作成部、を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の画像編集装置において、前記プレビューに表示される前記画像データには、表示状態を変更できる領域を示す境界線が、前記領域情報に基づいて表示されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る画像編集装置は、画像データのインデックスとして抽出された文字列が含まれる領域を、画像データにおいてフィルタ処理を行う領域として指定する。これにより、ユーザは、フィルタ処理を行う領域を設定することなく、フィルタ処理を行う領域の表示状態を設定することができる。したがって、本発明に係る画像編集装置は、画像データのフィルタ処理におけるユーザの作業を簡略化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施の形態について説明する。ここでは、本発明の画像編集装置の一例として、ネットワーク複合機を例にして説明する。図1は、本実施の形態に係るネットワーク複合機の構成を含む文書管理システムの構成図である。
【0019】
図1に示す文書管理システムは、ネットワーク複合機1と、パーソナルコンピュータ(PC)2と、ファイル管理サーバ3とが、ローカルエリアネットワーク(LAN)4に接続された構成となっている。LAN4には、インターネットあるいは他のLANに接続するためのルータ(図示省略)などが設置されている。
【0020】
ネットワーク複合機1は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、FAX機能、およびメール機能などを備える多機能装置である。ユーザは、ネットワーク複合機1を直接操作して、ファイル管理サーバ3が管理する文書画像データを、印刷、FAX送信、あるいはメール送信など様々な形態で出力することができる。また、ユーザは、LAN4に接続されたPC2を操作することで、文書画像データをネットワーク複合機1から出力することができる。
【0021】
まず、図1に示すネットワーク複合機1が出力する文書画像データと、インデックスデータとについて説明する。
【0022】
文書画像データは、紙文書をスキャナなどで読み取って作成される電子データである。インデックスデータは、文書画像データごとに作成されるデータであり、各文書画像データの検索用のインデックスが記録される。インデックスデータは、XML(eXtensible Markup Language)などを用いて記述される。文書画像データとインデックスデータとは、たとえば、ファイル名の拡張子以外の文字列を一致させることなどによって対応付けられ、ファイル管理サーバ3で管理される。
【0023】
インデックスデータは、たとえば、以下のようにして作成される。まず、光学文字認識処理などによって、文書画像データからテキストデータが作成される。予め設定された属性データのキーワードと、各キーワードに対応する文字列の抽出条件とに基づいて、テキストデータから抽出された文字列が属性データとして設定される。キーワードには、属性データに含まれる文字列などが設定される。また、属性データとして抽出された文字列を含む領域がインデックス領域として指定される。そして、属性データと、インデックス領域を示す領域情報とが対応付けられることで、インデックスデータが作成される。
【0024】
なお、ユーザが、文書画像データにおける文字列を抽出する領域を指定してもよい。この場合、ユーザが指定した領域がインデックス領域となり、ユーザが指定した領域から抽出された文字列が属性データとなる。
【0025】
インデックスデータの具体例を、図2および図3を用いて説明する。図2は、文書画像データの一例を示す図である。図3は、図2に示す文書画像データに基づいて作成されたインデックスデータをテーブルの形式で示した図である。
【0026】
図2に示す文書画像データ5において、破線で囲まれた領域がインデックス領域51〜56である。インデックス領域51〜56は、文書画像データ5から抽出される文字列のうち、属性データとして抽出される文字列が表示される領域である。インデックス領域51〜56に含まれる文字列が、属性データとしてインデックスデータに登録される。
【0027】
図3に示すインデックスデータ6は、IDと、属性名と、属性データと、位置情報と、サイズ情報とによって構成される。IDは、文書画像データ5から属性データとして抽出された各文字列に対して、固有に割り当てられる番号である。属性名は、「名前」あるいは「住所」などの項目である。属性データは、属性名に対応するデータであり、上述のようにインデックス領域51〜56に含まれる文字列である。具体的には、ID1〜6の属性データは、インデックス領域51〜56にそれぞれ含まれる文字列に対応する。
【0028】
位置情報およびサイズ情報は、文書画像データ中のインデックス領域を指定するための領域情報である。位置情報は、インデックス領域の左上頂点の位置を示す情報である。図2に示すように、文書画像データ5の左上の頂点を原点とし、右方向をX軸方向、下方向をY軸方向とした場合、位置情報をXY座標系で表すことができる。サイズ情報は、インデックス領域のX軸方向の長さ、およびY軸方向の長さを示す情報である。なお、XY座標系の単位としては、ピクセルなどが用いられる。また、図2では、インデックス領域51〜56を矩形で示しているが、円形あるいは楕円形であってもよい。
【0029】
図2に示すように、文書画像データ5から属性データとして抽出される文字列は、個人名、会社名、金額情報など秘密情報であることが多い。つまり、インデックスデータ6には、秘密情報と、秘密情報が表示される領域を示す情報とが含まれている。また、上述の情報は、重要情報にもなり得る。たとえば、個人名、会社名は文書画像データの作成元を特定できる重要情報である。ネットワーク複合機1は、上述のような性質を有するインデックスデータを用いて、文書画像データ中のフィルタ処理を行う領域を指定する。これにより、ユーザは、フィルタ処理を行う領域を指定することなく、フィルタ処理を実行することができる。
【0030】
次に、図1に示すネットワーク複合機1の構成について説明する。ネットワーク複合機1は、制御部11と、操作部12と、タッチパネル式ディスプレイ13と、スキャナ部14と、プリンタ部15と、FAX部16と、通信部17とを備える。
【0031】
制御部11は、メインメモリ111と、フィルタ設定部112と、画像編集部113と、画面データ作成部114と、マイクロプロセッサ(図示省略)とを備える。マイクロプロセッサおよびメインメモリ111は、ネットワーク複合機1の全体制御を行う。メインメモリ111、フィルタ設定部112、画像編集部113および画面データ作成部114の詳細は後述する。
【0032】
操作部12は、ネットワーク複合機1に対する各種の指示を入力するためのハードウェアキーなどで構成される。タッチパネル式ディスプレイ13は、ネットワーク複合機1に関する情報、および各種の操作メニューを表示する。ユーザは、操作部12およびタッチパネル式ディスプレイ13を利用して、ネットワーク複合機1の各種操作をすることが可能である。
【0033】
スキャナ部14は、オートドキュメントフィーダ(図示省略)等に載置された紙文書を読み取り、文書画像データとして出力する。なお、スキャナ部14から出力される文書画像データは、対応するインデックスデータが作成された後で、ファイル管理サーバ3で管理される。
【0034】
プリンタ部15は、PC2から送信されるデータなどを、各種の設定条件に応じて記録用紙に印刷する。なお、ネットワーク複合機1のコピー機能は、制御部11、スキャナ部14、およびプリンタ部15が協働することにより実現される。
【0035】
FAX部16は、公衆回線網(図示省略)を介してファクシミリ通信を行う。通信部17は、LAN4あるいはインターネットなどに接続された各コンピュータとの間で、TCP/IPなどのプロトコルを利用してデータの送受信を行う。
【0036】
次に、制御部11が有する各機能部について説明する。メインメモリ111は、ランダムアクセスメモリなどを含み、ファイル管理サーバ3あるいはPC2から送信された文書画像データおよびインデックスデータを記憶する。
【0037】
フィルタ設定部112は、インデックスデータを用いて、フィルタ設定データを作成する。フィルタ設定データには、文書画像データ中のインデックス領域を示す領域情報と、各インデックス領域におけるフィルタのパターンを示す情報とが記録される。
【0038】
図4は、フィルタ設定データの一例を示す図である。図4に示すフィルタ設定データ7は、インデックスデータ6(図3参照)に基づいて作成されたものである。フィルタ設定データ7において、IDは、インデックスデータ6のIDとそれぞれ対応している。位置情報およびサイズ情報は、インデックスデータ6の位置情報およびサイズ情報と同一である。フィルタパターン情報は、各IDに対応するインデックス領域のフィルタのパターンを示す数値情報である。
【0039】
図4に示すように、フィルタパターン情報には、「0」、「1」および「2」のいずれかの数値が設定される。フィルタパターン情報「0」は、インデックス領域においてフィルタ処理が行われないことを示す。フィルタパターン情報「1」は、インデックス領域を囲む囲み線が描かれることによって、強調処理が行われることを示す。フィルタパターン情報「2」は、インデックス領域において塗りつぶし処理が行われることを示す。
【0040】
図4において、ID1およびID4のフィルタパターン情報は「1」である。この場合、インデックス領域51およびインデックス領域54(図2参照)において、強調処理が行われる。また、ID2およびID6のフィルタパターン情報は「2」である。この場合、インデックス領域52およびインデックス領域56(図2参照)において、塗りつぶし処理が行われる。また、ID3およびID5のフィルタパターン情報は「0」である。この場合、インデックス領域53およびインデックス領域55(図2参照)では、フィルタ処理が行われない。
【0041】
画像編集部113は、フィルタ設定データに基づいて、文書画像データ中のインデックス領域の表示状態を変更し、出力用データを作成する。
【0042】
画面データ作成部114は、文書画像データの出力設定用のユーザインタフェース(以下、「設定用インタフェース」という)を、PC2のモニタ21に表示させるための画面データを作成する。画面データは、文書画像データ5、インデックスデータ6、およびフィルタ設定データ7に基づいて作成される。
【0043】
次に、ファイル管理サーバ3について説明する。ファイル管理サーバ3は、ファイル管理部31と、ファイル記憶部32とを備える。ファイル管理部31は、LAN4に接続した各コンピュータからの要求に応じて、文書画像データおよびインデックスデータの送信、あるいは文書画像データの検索などを行う。ファイル記憶部32は、ハードディスク装置などで構成され、文書画像データおよびインデックスデータを記憶する。
【0044】
以下、上述の構成を有するネットワーク複合機1が文書画像データを出力する際の動作について、図5を用いて説明する。図5は、ネットワーク複合機1が文書画像データをFAX送信する際の動作を示すフローチャートである。
【0045】
まず、ユーザは、PC2を操作して、ネットワーク複合機1に文書画像データのFAX送信を指示する。FAX送信の指示とともに、FAX送信される文書画像データのファイル名と、インデックスデータのファイル名とが、PC2からネットワーク複合機1に送信される。
【0046】
ネットワーク複合機1は、FAX送信の指示を受けた場合(ステップS1においてYes)、ファイル管理サーバ3にアクセスし、FAX送信の対象となる文書画像データとインデックスデータとを取得する。ネットワーク複合機1は、取得した文書画像データおよびインデックスデータをメインメモリ111に記憶する(ステップS2)。また、ネットワーク複合機1は、インデックスデータのファイル名が指定されることによって、文書画像データに対するフィルタ処理が必要であると判断する。
【0047】
次に、フィルタ設定部112は、インデックスデータを参照してフィルタ設定データを作成する(ステップS3)。フィルタ設定データが作成される際、各IDのフィルタパターン情報は、全て「0」である。
【0048】
次に、画面データ作成部114が、文書画像データ、インデックスデータ、およびフィルタ設定データを用いて画面データを作成し、作成した画面データをPC2に送信する(ステップS4)。PC2は、画面データを受信し、設定用インタフェースをモニタ21に表示する。ユーザは、設定用インタフェースを用いて文書画像データの出力設定を行う。
【0049】
ここで、PC2に表示される設定用インタフェースについて説明する。図6は、文書画像データ5を出力する際の、設定用インタフェースを示す図である。なお、図6において、黒色表示の代わりに網掛け表示を用いている。
【0050】
図6において、原稿プレビュー部81には、フィルタ設定データに基づいて編集された文書画像データ5のプレビューが表示される。破線で囲まれた領域811〜816は、フィルタ処理が可能な領域を示している。なお、領域811〜816は、図2に示すインデックス領域51〜56にそれぞれ対応する。
【0051】
フィルタ設定表示部82には、インデックスデータ6に記録されている各IDの属性名および属性データが表示される。表示される属性データごとに、フィルタ有効ボタン821、フィルタ無効ボタン822およびフィルタ選択メニュー823が配置される。全てのインデックス領域においてフィルタ処理が行われるとは限らないため、インデックス領域ごとにフィルタ処理の設定ができるようになっている。
【0052】
フィルタ有効ボタン821は、対応するインデックス領域におけるフィルタ処理の設定を有効にするボタンである。つまり、フィルタ有効ボタン821が押されることにより、フィルタ選択メニュー823が使用できる状態となる。黒色で表示されたフィルタ有効ボタン821は、対応するフィルタ選択メニュー823が使用できることを示す。フィルタ無効ボタン822は、対応するインデックス領域のフィルタ処理の設定を無効にするボタンである。黒色で表示されたフィルタ無効ボタン222は、対応するインデックス領域においてフィルタ処理が行われないことを示し、対応するフィルタ選択メニュー823が使用できないことを示す。
【0053】
図6に示すように、フィルタ有効ボタン821およびフィルタ無効ボタン822のうち、いずれか一方のボタンが黒色で表示される。初期状態の設定用インタフェースでは、全てのフィルタ無効ボタン822が黒色で表示される。これは、全てのフィルタパターン情報が「0」であるフィルタ設定データに基づいて、画面データが作成されるためである。
【0054】
フィルタ選択メニュー823は、各インデックス領域において設定できるフィルタのパターンを、プルダウンメニューの形式で表示する。図6に示すように、属性データ「¥13,800」のフィルタ選択メニュー823において、ユーザが選択できるフィルタのパターンが示されている。フィルタ選択メニュー823のタイトルには、ユーザの操作、またはフィルタ設定データに基づいて設定されたフィルタのパターンが示される。
【0055】
フィルタ選択メニュー823に示す「なし」は、フィルタパターン情報「0」に対応し、フィルタ設定を無効にすることを示す。「なし」が選択された場合、フィルタ無効ボタン822が黒色で表示される。また、「囲み線」は、フィルタパターン情報「1」に対応し、囲み線を用いた強調処理が行われることを示す。「塗りつぶし」は、フィルタパターン情報「2」に対応し、塗りつぶし処理が行われることを示す。
【0056】
FAX設定部83には、FAX送信先の電話番号および送信開始ボタン831などが表示される。なお、FAX設定部83には、カバーレターの有無の設定、あるいは受信確認の有無の設定に用いられるボタンなどが表示されてもよい。
【0057】
以下、図5を用いた説明に戻る。ユーザは、原稿プレビュー部81を確認し、フィルタ処理を行うインデックス領域(属性データ)を決定する。ユーザは、フィルタ処理を行うインデックス領域(属性データ)に対応するフィルタ有効ボタン821を押す。そして、ユーザは、フィルタ選択メニュー823を用いてフィルタのパターンを設定する。
【0058】
PC2は、フィルタ設定が変更されたインデックス領域(属性データ)のIDと、フィルタパターン情報とを、フィルタ設定の変更の指示としてネットワーク複合機1に送信する。フィルタ設定部112は、フィルタ設定の変更の指示を受けた場合(ステップS5においてYes)、受信したIDおよびフィルタパターン情報に基づいてフィルタ設定データを更新する(ステップS6)。
【0059】
画面データ作成部114は、更新されたフィルタ設定データを反映した画面データを作成して、PC2に送信する(ステップS4)。ネットワーク複合機1は、FAX送信開始の指示がある(ステップS7においてYes)まで、上述の処理を繰り返す。
【0060】
図7は、フィルタ設定が変更された後の設定用インタフェースの一例を示す図である。なお、図7においても、黒色表示の代わりに網掛け表示を用いている。また、フィルタ設定データ7(図4参照)におけるフィルタパターン情報の値と、図7に示すフィルタ設定表示部82におけるフィルタ処理の設定とが対応している。
【0061】
図7に示すフィルタ設定表示部82において、属性データ「XYZ株式会社」および属性データ「ABC株式会社」のフィルタ設定は、囲み線である。したがって、領域811および領域814の外枠が実線で表示されることにより、各インデックス領域が強調表示される。また、属性データ「山田 太郎」および属性データ「¥13,800」のフィルタ設定は、塗りつぶしである。したがって、領域812および領域816が黒色で塗りつぶされることにより、各インデックス領域に含まれる属性データが隠された状態となる。また、属性データ「平成19年6月15日」および属性データ「電話番号」のフィルタ設定は、無効となっている。したがって、領域812および領域816は、破線で示された状態のままである。
【0062】
このとき、画面データ作成部114は、文書画像データ5を直接編集することなくプレビュー用の画像データを作成する。たとえば、画面データ作成部114は、文書画像データ5の上に、表示色が黒色で矩形の図形オブジェクトなどを重ねることによって、プレビュー用の文書画像データを作成することができる。
【0063】
ユーザは、更新された設定用インタフェースを確認した後で、送信開始ボタン831を押す。PC2は、ネットワーク複合機1にFAX送信開始を指示する。画像編集部113は、FAX送信開始の指示を受けて(ステップS7においてYes)、フィルタ設定データに基づいた出力用データを作成する(ステップS8)。このとき、領域813および815を示す破線(図7参照)は、出力用データには反映されない。そして、FAX部16が、作成された出力用データを指定された送信先にFAX送信する(ステップS9)。これにより、文書画像データのFAX送信処理が終了する。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態に係るネットワーク複合機1は、属性データと、属性データが含まれるインデックス領域を示す領域情報とが記録されたインデックスデータを用いて、文書画像データにおいてフィルタ処理が可能な領域を設定する。このため、ユーザは、フィルタ処理の設定を行う際に、設定された領域におけるフィルタのパターンを設定するだけでよい。したがって、ネットワーク複合機1は、文書画像データのフィルタ処理におけるユーザの作業を簡略化することができる。
【0065】
なお、本実施の形態において、ネットワーク複合機1が文書画像データをFAX送信する場合について説明したが、これに限られない。たとえば、文書画像データの印刷時、あるいはメール送信時においても、上述の処理を適用することができる。この場合、図6および図7に示すFAX設定部83の表示を、印刷用あるいはメール送信用のインタフェースに置き換えればよい。
【0066】
また、本実施の形態において、ユーザがPC2を操作して文書画像データを出力する場合を例にして説明したが、これに限られない。ユーザがネットワーク複合機1を直接操作して、文書画像データのフィルタ処理の設定を行ってもよい。この場合、図6および図7に示す設定用インタフェースがタッチパネル式ディスプレイ13に表示される。
【0067】
また、本実施の形態において、ネットワーク複合機1が、FAX送信の対象となる文書画像データとインデックスデータとをファイル管理サーバ3から取得する場合を例にして説明したが、これに限られない。たとえば、PC2が、文書画像データとインデックスデータとを保存していてもよい。この場合、ユーザがPC2を操作してネットワーク複合機1にFAX送信を指示する際に、文書画像データおよびインデックスデータがPC2からネットワーク複合機1に送信される。
【0068】
また、本実施の形態において、囲み線を用いた強調処理と、黒色を用いた塗りつぶし処理を例として説明したが、これに限られない。たとえば、強調処理において、表示色を反転させてもよい。また、塗りつぶし処理において、黒色以外の色を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施の形態に係るネットワーク複合機の構成を含む文書管理システムの構成図である。
【図2】文書画像データの一例を示す図である。
【図3】図2に示す文書画像データに基づいて作成されたインデックスデータを示す図である。
【図4】フィルタ設定データの一例を示す図である。
【図5】ネットワーク複合機1の動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】フィルタ設定を変更する際の設定用インタフェースを示す図である。
【図7】フィルタ設定が変更された後の設定用インタフェースを示す図である。
【符号の説明】
【0070】
1 ネットワーク複合機
2 PC
11 制御部
12 操作部
13 タッチパネル式ディスプレイ
14 スキャナ部
15 プリンタ部
16 FAX部
21 モニタ
111 メインメモリ
112 フィルタ設定部
113 画像編集部
114 画面データ作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データのインデックスとして、前記画像データから抽出された文字列と、前記文字列を含む領域を示す領域情報とを対応付けて記録したインデックスデータを、前記画像データとともに記憶する記憶部と、
前記領域に対して適用させるフィルタ種別に関する情報を含むフィルタ設定情報を設定するフィルタ設定部と、
前記領域情報と前記フィルタ設定情報とに基づいて前記画像データを編集する画像編集部と、
を備えることを特徴とする画像編集装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像編集装置において、
前記フィルタ種別は、
前記領域に対して強調表示を適用させるフィルタを含むことを特徴とする画像編集装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像編集装置において、
前記フィルタ種別は、
前記領域に対して塗りつぶし表示を適用させるフィルタを含むことを特徴とする画像編集装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像編集装置において、さらに、
前記フィルタ設定情報に基づいて編集された前記画像データを確認するためのプレビューを作成するプレビュー作成部、
を備えることを特徴とする画像編集装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像編集装置において、
前記プレビューに表示される前記画像データには、表示状態を変更できる領域を示す境界線が、前記領域情報に基づいて表示されることを特徴とする画像編集装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−124319(P2009−124319A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294490(P2007−294490)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】