説明

画像表示システム

【課題】 画像表示システムを構成する各装置の処理負荷を軽減し、かつシステムのトータルスループットを向上することができる画像表示システムを提供できる。
【解決手段】 入力された制御情報に応じて、撮像した現実空間画像と、入力した画像と、選択したOSD表示画像の内、いずれか2つを選択して合成する。設定された動作モードに応じて、OSD制御手段及び第1合成手段に対する制御情報を生成し、OSD制御手段及び第1合成手段の動作を制御する。前記現実空間画像に重畳して合成するための仮想空間画像をメモリ上に描画する。入力された制御情報に応じて、前記現実空間画像と、前記仮想空間画像を合成する。入力された制御情報に応じて生成されたOSD表示画像を、撮像機能付表示装置に送信する画像に重畳する。設定された動作モードに応じて、第2合成手段及び重畳手段に対する制御情報を生成し、第2合成手段及び重畳手段の動作を制御する、撮像機能付表示装置と画像処理装置の少なくとも一方に前記動作モードを設定するためのモード入力手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像機能付表示装置と画像処理装置から構成される画像表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現実世界と仮想世界をリアルタイムかつシームレスに融合させる技術として複合現実感、いわゆるMR(Mixed Reality)技術が知られている。従来、撮像機能付表示装置であるHMD(Head Mounted Display)を利用したMRシステムでは、HMDの撮像ユニットによって取得した撮像画像をPC(Personal Computer)に取り込む。そして、PC内で生成したCG画像と合成し、必要に応じてOSD(On Screen Display)表示の重畳を行った後、HMDの表示ユニットで画像の表示を行っている。
【0003】
尚、撮像機能付表示装置であるHMDは、双眼鏡のような手持ちタイプの装置でもよく、頭部装着型の装置に限定されない。
【0004】
図9は、HMDを利用した一般的なMRシステムの機能ブロック図である。この図を使用して、MRシステムの概要を説明する。
【0005】
HMD90は、撮像ユニット901、表示ユニット902、画像処理装置91とのI/F903から構成される。
【0006】
撮像ユニット901は、HMD装着者の視線位置と略一致する外界の観察画像を撮像する。一般にはステレオ画像を生成するために右目用、左目用の2つの撮像素子と光学系及び後段の画像処理を行うためのDSPから構成される。ここで、DSPは、Digital Signal Processorの略称である。
【0007】
表示ユニット902は、合成画像を表示するための表示ユニットであり、こちらも右目用、左目用の2つの表示デバイスと光学系から構成される。表示デバイスは小型の液晶ディスプレイやMEMSによる網膜スキャンタイプのデバイスが使用される。ここで、MEMSは、Micro Electro Mechanical Systemsの略称である。
【0008】
I/F903は、撮像ユニット901で取得された撮像画像を画像処理装置91に伝送し、また画像処理装置91から受信した合成画像をHMD90へ伝送するためのI/Fである。このI/F903には、リアルタイム性がありかつ大容量のデータ伝送が可能なUSBやIEEE1394のメタル線、GigabitEthernet(登録商標)等の光ファイバが使用される。
【0009】
画像処理装置91は、HMD90とのI/F904、位置情報生成部905、CG画像描画部906、画像合成部907、OSD表示重畳部908、OSD表示データ生成部909、セレクタ910から構成される。この画像処理装置91は、一般にはPCやワークステーション等の高性能な演算処理機能やグラフィック表示機能を有する装置で実現される。
【0010】
I/F904は、HMD90のI/F903に対応する、画像処理装置91のI/Fであり、HMD90のI/F903と同様の仕様を有する。位置情報生成部905は、HMD90から受信した撮像画像に基づいて、HMD装着者の位置姿勢情報を生成する。位置姿勢情報の生成は、例えば、HMD90の撮像ユニット901で取得した撮像画像から算出する手法がある。その他には、周囲に設置した客観視点カメラで取得した撮像画像から算出する手法や、HMDに取り付けたジャイロセンサや加速度センサ等の各種センサ情報を用いて算出する手法もある。また、上記の各手法を組み合わせて利用することにより、より精度の高い位置姿勢情報を生成することも可能となる。
【0011】
CG画像描画部906は、位置情報生成部905で算出された位置姿勢情報に基づいてCGを描画する。画像合成部907は、撮像画像とCG画像を合成する。OSD表示データ生成部909は、設定情報、使用時間等の各種ステータス情報や、システム内でエラーが発生した際のエラー内容、警告等をHMD装着者に通知するためのメッセージを生成する。OSD表示重畳部908は、OSD表示データ生成部909で生成したメッセージを、OSD表示として画像合成部907で合成した合成画像に重畳する。セレクタ910は、撮像画像とCG画像を合成した合成画像、あるいはその合成画像にOSD表示を重畳した画像のいずれかを切り替えて出力する。
【特許文献1】特開平11−88913号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような従来のMRシステム(特許文献1等)では、画像処理装置の撮像画像の取込時にフレーム遅延が発生することで、HMD装着者に提示する観察画像に違和感を与えてしまう。また、画像取込、位置情報生成、CG画像生成、画像合成、OSD表示重畳と多くの処理を画像処理装置内で同時に実行する構成であるため、画像処理装置の処理負荷が増大する。これにより、画像処理装置内で処理遅延が発生し、HMDで撮像を行ってからHMD装着者に対して合成画像が表示されるまでの時間遅れが更に大きくなるという問題が生じている。
【0013】
また、このような構成では、画像処理装置側でOSD表示を行うため、HMD側においてエラーが発生した際には、PC側にエラー内容を通知する必要がある。加えて、HMDとPC間との通信途絶時には、OSD表示が行えなくなる。そのため、HMD側にもOSD表示機能を追加することが望ましいが、回路規模の増大を招くだけでなく、双方のOSD表示を制御することで煩雑性が増すという新たな問題も生じることになる。
【0014】
本発明はかかる問題に鑑みなされたものであり、画像表示システムを構成する各装置の処理負荷を軽減し、かつシステムのトータルスループットを向上することができる画像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するための本発明による画像表示システムは以下の構成を備える。即ち、
撮像機能付表示装置と画像処理装置から構成される画像表示システムであって、
前記撮像機能付表示装置は、
現実空間を撮像する撮像手段と、
画像を表示する表示手段と、
前記画像処理装置と通信を行うための第1通信手段と、
前記表示手段で表示する画像に重畳するための複数種類のOSD表示画像を格納する格納手段と、
入力された制御情報に応じて、前記複数種類のOSD表示画像の中から、前記OSD表示画像を選択するOSD制御手段と、
入力された制御情報に応じて、前記撮像手段で撮像した現実空間画像と、前記第1通信手段を介して前記画像処理装置より入力した画像と、OSD制御手段で選択したOSD表示画像の内、いずれか2つを選択して合成する第1合成手段と、
設定された動作モードに応じて、前記OSD制御手段及び前記第1合成手段に対する制御情報を生成し、前記OSD制御手段及び前記第1合成手段の動作を制御する第1モード制御手段とを備え、
前記画像処理装置は、
前記撮像機能付表示装置と通信を行うための第2通信手段と、
前記現実空間画像に重畳して合成するための仮想空間画像をメモリ上に描画する画像描画手段と、
入力された制御情報に応じて、前記第2通信手段を介して前記撮像機能付表示装置から入力した前記現実空間画像と、前記画像描画手段で描画された仮想空間画像を合成する第2合成手段と、
入力された制御情報に応じて生成されたOSD表示画像を、前記撮像機能付表示装置に送信する画像に重畳する重畳手段と、
設定された動作モードに応じて、前記第2合成手段及び前記重畳手段に対する制御情報を生成し、前記第2合成手段及び前記重畳手段の動作を制御する第2モード制御手段とを備え、
前記撮像機能付表示装置と前記画像処理装置の少なくとも一方に前記動作モードを設定するためのモード入力手段と
を備える。
【0016】
また、好ましくは、前記動作モードの一つは、前記撮像機能付表示装置の前記撮像手段で撮像した現実空間画像を、前記表示手段で直接表示するモードである。
【0017】
また、好ましくは、前記動作モードの一つは、前記撮像機能付表示装置の前記第1合成手段において、前記現実空間画像と前記仮想空間画像とを合成し、前記表示手段で表示するモードである。
【0018】
また、好ましくは、前記動作モードの一つは、前記画像処理装置の前記第2合成手段において、前記現実空間画像と前記仮想空間画像とを合成し、前記表示手段で表示するモードである。
【0019】
また、好ましくは、前記動作モードの一つは、前記画像処理装置の前記重畳手段において、前記入力された制御情報に応じて生成されたOSD表示画像を前記撮像機能付表示装置に送信する画像に重畳するモードである。
【0020】
また、好ましくは、前記動作モードの一つは、前記撮像機能付表示装置の前記第1合成手段において、OSD表示画像を重畳するモードである。
【0021】
また、好ましくは、前記動作モードの一つは、前記画像処理装置の前記重畳手段と、前記撮像機能付表示装置の第1合成手段の両方で、OSD表示画像を重畳するモードである。
【0022】
また、好ましくは、前記画像処理装置の前記重畳手段と、前記撮像機能付表示装置の第1合成手段の両方で、OSD表示画像を重畳するモードが選択された場合、各手段で重畳するOSD表示画像が互いに重ならないように表示位置制御する制御手段を更に備える。
【0023】
また、好ましくは、前記画像処理装置の前記重畳手段は、前記OSD表示画像を重畳した場合、該OSD表示画像の表示位置情報を含むOSD表示情報を、前記撮像機能付表示装置の前記OSD制御手段に送信し、
前記撮像機能付表示装置の前記OSD制御手段は、前記画像処理装置から受信したOSD表示情報の中の表示位置情報に基づいて、前記撮像機能付表示装置の前記第1合成手段で合成する前記OSD表示画像の表示位置を決定する。
【0024】
また、好ましくは、前記OSD表示情報は、表示内容の優先度に関する情報、重畳した装置名に関する情報、使用しているフォントに関する情報、カラーに関する情報、またはサイズに関する情報のいずれか、またはそれらのうちの複数の情報を含み、
前記撮像機能付表示装置でOSD表示を行う際に、前記画像処理装置で行われたOSD表示方法とは異なる表示方法でOSD表示を行うように制御することで、前記画像処理装置と前記撮像機能付表示装置で同時にOSD表示を重畳した場合にも、使用者が各装置の状態を容易に認識できるようにする。
【0025】
また、好ましくは、前記モード入力手段による前記動作モードの設定時に、前記撮像機能付表示装置と前記画像処理装置でネゴシエーションを行い、それぞれの装置がOSD表示を行う表示位置を事前に決定する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、画像表示システムを構成する各装置の処理負荷を軽減し、かつシステムのトータルスループットを向上することができる画像表示システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0028】
本発明は、撮像機能付表示装置であるHMD(Head Mounted Display)を用いる複合現実感提示技術に関するものである。本発明は、特に、HMDと画像処理装置が有するそれぞれの画像合成機能及びOSD表示機能の制御を行い、複数の動作モードを実行することを可能とする画像表示システムに関するものである。
【0029】
本発明では、HMD内にOSD重畳が可能な画像合成機能を追加することで、HMD側での画像合成を可能とする。これにより、画像処理装置側での撮像画像の取込によるフレーム遅延や、画像処理装置側での処理遅延(撮像から表示までの時間遅れ)を低減するとともに、最小限度の回路規模でHMD側でのOSD表示を行うことが可能な画像表示システムを実現する。
【0030】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1の画像表示システムの構成を示す図である。
【0031】
ビデオシースルー型のHMD201(撮像機能付表示装置)は、HMD装着者の観察している現実空間の画像を取得するための撮像ユニットを有する。また、HMD201は、現実空間画像に画像処理装置203で生成したCG画像(仮想空間画像)を重畳した合成画像(MR画像)、撮像した現実空間画像、画像処理装置203からの出力画像等の表示画像をHMD装着者に提供するための表示ユニットを有する。
【0032】
HMD201は、有線接続されたコントローラ202と通信を行う。HMD201とコントローラ202間は有線による通信に限定されない。例えば、WLAN(Wireless Local Area Network)やWPAN(Wireless Personal Area Network)のような、小規模ネットワークを構成する無線通信方式を利用してもよい。HMD201は、コントローラ202からの電源供給を受けて駆動することも、バッテリーで駆動することも可能である。
【0033】
コントローラ202と有線接続された画像処理装置203は、CG画像の描画を行う画像処理部を有する。画像処理装置203はコントローラ202を介し、HMD201と通信を行う。HMD201では、受信したCG画像とHMD201内の撮像ユニットによって撮像した現実空間画像を合成し、合成された合成画像(MR画像)を表示ユニットによりHMD装着者に表示する。
【0034】
図1では、画像処理装置203とコントローラ202を別々のハードウェア構成として示しているが、これに限定されない。例えば、コントローラ202の有する機能をすべて画像処理装置203内に実装して一体化することや、画像処理装置203とコントローラ202がそれぞれ有する機能を集約して、専用の画像処理装置を構成することも可能である。また、画像合成機能は、必ずしもHMD201側で有している必要はなく、画像処理装置203、またはコントローラ202側に実装する構成も可能である。
【0035】
尚、画像処理装置203は、汎用コンピュータに搭載される標準的な構成要素(例えば、CPU、メモリ(RAM、ROM等)、ハードディスク、外部記憶装置、ネットワークインタフェース、ディスプレイ、キーボード、マウス等)によって実現される。
【0036】
以降の説明では、機能的な観点から、HMD201とコントローラ202がそれぞれ有する機能を組み合わせたものをHMDとして表記して説明する。
【0037】
次に、実施形態1の画像表示システムの機能構成について、図2を用いて説明する。
【0038】
図2は本発明の実施形態1の画像表示システムの機能構成を示すブロック図である。
【0039】
実施形態1の画像表示システムは、HMD10と画像処理装置11で構成される。
【0040】
HMD10は、撮像ユニット101、表示ユニット102、I/F103、クロマキー合成部104、OSD表示データ格納部105、モード制御部106、OSD制御部115、セレクタ116を有する。
【0041】
画像処理装置11は、I/F107、位置情報生成部108、CG画像描画部109、画像合成部110、OSD表示データ生成部117、OSD表示重畳部111、セレクタ112、モード入力部113、モード制御部114を有する。
【0042】
HMD10の撮像ユニット101は、HMD装着者の視点における現実空間の撮像画像を取得する。表示ユニット102は、HMD装着者に画像を表示する。I/F103(第1通信部)及び画像処理装置11のI/F107(第2通信部)は、HMD10と画像処理装置11間の通信I/Fである。
【0043】
クロマキー合成部104(第1合成部)は、入力された2つの画像データのうち一方の画像データから特定の背景色を抽出し、背景色部分を他方の画像データに置き換えるクロマキー合成を行う。クロマキー合成部104への入力は、撮像ユニット101で取得した撮像画像、画像処理装置11から送信される合成画像またはCG画像、OSD制御部115から送信されるOSD表示画像の3つの入力がある。クロマキー合成部104では、設定されたモードに応じて、これら3つの画像の入力の内、2つの画像を選択して合成する処理を行う。
【0044】
OSD表示データ格納部105は、HMD10で行うOSD表示のための複数種類のOSD表示データを格納する。OSD制御部115は、HMD10の状態に応じて、OSD表示データ格納部105に格納されたOSD表示データの中から、HMD装着者に対して通知すべきメッセージ画像(OSD表示画像)に対応するOSD表示データを選択する。そして、OSD制御部115は、選択したOSD表示データをクロマキー合成部104に出力する制御を行う。
【0045】
モード制御部106(第1モード制御部)は、画像処理装置11のモード入力部113で入力された設定に応じて、HMD10の機能の制御を行う。設定の内容については後述する。セレクタ116は、設定されたモードに応じて表示ユニット102に出力する画像を選択する。
【0046】
画像処理装置11の位置情報生成部108は、HMD10の撮像ユニット101で取得された現実空間の画像データから、HMD装着者の位置及び姿勢を算出し、三次元位置姿勢情報を生成する。CG画像描画部109は、位置情報生成部108で生成された三次元位置姿勢情報に基づいて、撮像画像に合成するためのCG画像の描画をメモリ上に行う。ここで、CG画像をより概念的に言えば、現実空間画像である撮像画像上に仮想的に定義される仮想空間に、人工的に生成した画像を重畳して合成するための仮想空間画像である。
【0047】
画像合成部110(第2合成部)は、撮像ユニット101で取得された撮像画像とCG画像描画部109で生成されたCG画像を合成する。OSD表示データ生成部117は、OSD表示するためのOSD表示データを生成する。OSD表示重畳部111は、HMD10に送信する画像に対して、OSD表示データ生成部117で生成したOSD表示データの重畳を行う。
【0048】
セレクタ112は、設定されたモードに応じて出力画像を選択し、I/F107に出力する。モード入力部113は、画像合成及びOSD機能の制御を行うモードを選択するための入力部である。モード制御部114(第2モード制御部)は、モード入力部113で入力された設定に応じて、画像処理装置11の機能の制御を行う。
【0049】
実施形態1の画像表示システムは、モード入力部113で入力された設定に応じて、クロマキー合成部104、OSD表示データ格納部105、CG画像描画部109、画像合成部110、OSD表示重畳部、セレクタ112の制御を行う。そして、この制御により、以降で説明する機能を実行することが可能となる。
【0050】
また、実施形態1では、モード入力部113を画像処理装置11に設ける構成としているが、これに限定されない。例えば、モード入力部113をHMD10に設け、HMD10のモード制御部106、I/F103、画像処理装置11のI/F107を介して、画像処理装置11のモード制御部114に設定情報を送信することもできる。また、HMD10、または画像処理装置11に設定用I/Fを設け、外部装置から設定を行う構成も考えられる。
【0051】
次に、実施形態1の画像表示システムにおける表示画像の一例について、図3を用いて説明する。
【0052】
図3は本発明の実施形態1の画像表示システムにおける表示画像の一例を説明するための図である。
【0053】
撮像画像301は、HMD装着者が観察している現実空間を、HMD201の撮像ユニット101で撮像した画像である。撮像画像301において、現実空間内に設置されたマーカ302には、予めMR空間内における絶対位置姿勢情報、あるいは任意の絶対位置姿勢に対する相対位置姿勢情報が与えられているものとする。
【0054】
画像表示システム内の位置情報生成部108では、撮像画像301中からマーカ302を検出する。次に、位置情報生成部108では、マーカ302のマーカ情報から、マーカ302の持つ位置姿勢情報を基準としたHMD10本体の相対的位置関係、及びHMD装着者がマーカ302を観察している向きに関する三次元位置姿勢情報を算出することができる。ここで、マーカ情報は、例えば、マーカ302の大きさや形状、塗りつぶしのパターン等がマーカに関する情報である。
【0055】
マーカは複数を同時に用いることが可能であり、複数のマーカを用いることにより、位置姿勢情報を算出可能な領域を拡大することが可能となる。また、複数のマーカを同時に用いる場合、マーカ同士の相対的な位置姿勢の関係を予め算出し、それぞれのマーカの位置姿勢情報を登録しておくことによって、より精度の高いHMDの三次元位置姿勢情報の算出が可能となる。
【0056】
複数のマーカを同時に使用する場合、図3に示したような内部の塗りつぶしパターンによって方向まで識別が可能なマーカではなく、例えば、特定色を用いたカラーマーカーや、LED等の発光素子のような方向性を持たないマーカを利用することもできる。また、事前に用意されたマーカではなく、画像中のテーブルや壁、床等の輪郭線や特徴点、または、任意の色を抽出し、それらの自然特徴をマーカの代わりの指標として用いて、三次元位置姿勢情報を生成することもできる。
【0057】
更に、同一種類のマーカを複数用いたり、数種類のマーカを同時に用いたり、マーカ情報と画像中の自然特徴の情報を組み合わせて用いたりすることによって、より高い精度で三次元位置姿勢情報を生成することもできる。また、複数のマーカや自然特徴は相対的な位置関係を把握し、システムに登録することによって、全てのマーカや特徴点が画像内に表示されていなくても、それぞれのマーカや自然特徴の位置姿勢を推定することも可能となる。
【0058】
画像表示システムにおけるHMDの三次元位置姿勢情報の生成には、HMD10に内蔵された撮像ユニット101(主観カメラ)で撮像した画像情報を用いる方法の他に、各種センシングデバイスによるセンシング情報を用いる方法がある。センシングデバイスの例としては、磁気センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ等のように、HMD10自身に取り付けて使用するタイプのデバイスがある。あるいは、赤外カメラ(客観カメラ)等のように、HMD10以外の周囲の環境に設置して使用するタイプのデバイスが挙げられる。
【0059】
客観カメラを使用する場合は、HMD10本体にもマーカを取り付けて検出対象とする。これらのセンシングデバイスは一種類のみで使用することも、複数種類のデバイスを組み合わせて使用することも可能である。また、HMD10に内蔵された主観カメラで撮像した画像情報と、センシングデバイスで取得したセンシング情報を組み合わせて利用することができる。このような構成の場合、主観カメラでマーカを捉えていないときも、センシングデバイスのセンシング情報で補うことで、途切れなく三次元位置姿勢情報の生成を行うことができる。
【0060】
CG画像303は、撮像画像301あるいはセンシング情報に基づいて生成された三次元位置姿勢情報に基づいて描画されたCG画像である。CG画像303中のCGオブジェクト304は、HMD装着者の位置姿勢に応じて大きさや向き等が決定され、CG画像描画部109で描画される。CGオブジェクト304以外の部分は、背景色として定められた色で塗りつぶされている。
【0061】
合成画像305は、撮像画像301とCG画像303を合成した後の画像であり、HMD装着者はHMD10で表示された合成画像を見ることでMR空間を体験することができる。画像表示システムでは、表示画像を切り換えることが可能であり、HMD装着者は合成画像305だけでなく、撮像画像301やCG画像303をHMD10で観察することもできる。
【0062】
更に、撮像画像301、CG画像303、合成画像305のそれぞれに対して、HMD装着者に通知するためのメッセージ画像をOSD表示画像として重畳し、それらの画像をHMD10で表示することも可能である。ここで、メッセージ画像とは、設定情報、使用時間等の各種ステータス情報や、画像表示システム内でエラーが発生した際のエラー内容、警告等がある。
【0063】
撮像画像301、CG画像303、合成画像305のそれぞれに対して、HMD装着者に通知したいメッセージ画像をOSD表示として重畳した画像がそれぞれOSD重畳画像306、307、308となる。図3では、格納された複数のOSD表示画像(文字画像)の中から、「使」、「用」、「時」、「間」、「3」、「0」、「分」、「経」、「過」の各OSD表示画像(文字画像)を選択し、それらを組み合わせて「使用時間30分経過」と表示されるOSD表示画像を生成している。
【0064】
次に、画像表示システムにおけるモードの一例について、図4を用いて説明する。
【0065】
図4は本発明の実施形態1の画像表示システムのモードを示す図である。
【0066】
「合成」の欄は、HMD10のクロマキー合成部104、画像処理装置11の画像合成部110のどちらを用いて撮像画像とCG画像の画像合成を行うかを示す欄である。合成の欄が「ナシ」と記載されている設定は、HMD10の撮像ユニット101で撮像した画像を直接、表示ユニット102で表示する系を示している。
【0067】
また、「OSD表示」の欄は、HMD10、画像処理装置11がそれぞれ有しているOSD表示の重畳機能を用いるか否かを示している。
【0068】
以上の合成機能の有無、及び機能を実行する装置の違いに加え、更に、それらの中でOSD表示の有無、及び機能を実行する装置の違いによって、画像表示システムのモードが分かれている。ここで、このモードとは、画像合成機能、及びOSD表示機能を制御するための画像表示システムの動作モードである。
【0069】
次に、画像表示システムの各モードで扱う画像の一例について、図5を用いて説明する。
【0070】
図5は本発明の実施形態1の画像表示システムの各モードで扱う画像の例を示す図である。
【0071】
以下で、図4に示した各モードについて、図2の機能ブロック図、及び図5の画像の例を用いて動作を説明する。また、説明するモード2、6及び8の表示例は、他のモードの表示例から明らかなため、図5では省略する。
【0072】
モード1、2は、HMD10の撮像ユニット101で撮像した撮像画像501に対して、画像合成を行わずに、表示ユニット102で直接表示する系を示している。
【0073】
モード1は、HMD10の撮像ユニット101で取得した撮像画像に対して、クロマキー合成部104によってOSD表示画像502の重畳を行い、OSD表示付の撮像画像503を生成し、表示ユニット102で表示する。撮像画像501に重畳するOSD表示画像502は、HMD10内のOSD表示データ格納部105に格納されているデータの中から、HMD10の状態に応じて、HMD装着者に通知すべき内容を選択して利用する。
【0074】
モード2(不図示)は、OSD表示画像502の重畳を行わずに、表示ユニット102で撮像画像501を直接表示する。
【0075】
モード3からモード6までは、HMD10の撮像ユニット101で撮像した撮像画像と、画像処理装置11のCG画像描画部109で生成したCG画像を画像処理装置11の画像合成部110で合成し、表示ユニット102で表示する系を示している。
【0076】
モード3は、画像処理装置11の画像合成部110で生成した合成画像に対して、OSD表示重畳部111でOSD表示画像を重畳する。そして、OSD表示が重畳された合成画像504に対して、更にHMD10のクロマキー合成部104によってOSD表示画像505と合成を行い、OSD表示付の合成画像506を表示ユニット102で表示する。モード3では、画像処理装置11とHMD10でそれぞれの状態に応じて、OSD表示を行うことができる。
【0077】
モード4は、画像処理装置11の画像合成部110で生成した合成画像507に対して、HMD10のクロマキー合成部104によってOSD表示画像508と合成を行い、OSD表示付の合成画像509を表示ユニット102で表示する。
【0078】
モード5は、画像処理装置11の画像合成部110で生成した合成画像に対して、OSD表示重畳部111でOSD表示画像を重畳して合成画像510を生成する。一方、HMD10では合成やOSD表示を行わずに、OSD表示付の合成画像512(合成画像510と同じ画像)を表示ユニット102で表示する。
【0079】
モード6(不図示)は、画像処理装置11の画像合成部110で生成した合成画像507に対して、画像処理装置11及びHMD10でOSD表示を行わずに、表示ユニット102で合成画像507を直接表示する。
【0080】
モード7、8は、HMD10の撮像ユニット101で撮像した撮像画像と、画像処理装置11のCG画像描画部109で生成したCG画像をHMD10のクロマキー合成部104で合成し、表示ユニット102で表示する系を示している。
【0081】
モード7は、画像処理装置11のCG画像描画部109で生成したCG画像に対して、OSD表示重畳部111でOSD表示画像を重畳する。OSD表示が重畳されたCG画像513に対して、HMD10のクロマキー合成部104によって撮像画像514と合成を行い、OSD表示付の合成画像515を表示ユニット102で表示する。
【0082】
モード8(不図示)は、画像処理装置11のCG画像描画部109で生成したCG画像に対して、画像処理装置11でOSD表示を行わずに、HMD10のクロマキー合成部104によって撮像画像と合成を行い、合成画像を表示ユニット102で表示する。
【0083】
次に、画像表示システムのモード設定時の処理フローについて、図6を用いて説明する。
【0084】
図6は本発明の実施形態1の画像表示システムのモード設定時の処理フローを説明するフローチャートである。
【0085】
画像処理装置11は電源が投入されると、まず、HMD10と接続されているか否かを確認するために、接続要求をHMD10に送信する(ステップS601)。HMD10では接続要求を受信すると、画像処理装置11と接続されていることを通知するために接続完了通知を画像処理装置11に送信する(ステップS602)。
【0086】
画像処理装置11は、HMD10からの接続完了通知を受信して、HMD10との接続を確認すると、モード入力待ち状態に移行する(ステップS603)。モード入力待ち状態の時に、モード入力部113よりモード入力が行われると(ステップS604)、モード制御部114は、モード設定情報をHMD10に送信する(ステップS605)。続いて、モード制御部106は、入力されたモードに応じた制御情報を、画像処理装置11内のCG画像描画部109、画像合成部110、OSD表示重畳部111、セレクタ112の各機能ブロックに送信する(ステップS606)。
【0087】
制御情報に応じて、モード制御部114は、画像処理装置11内の各機能ブロックの設定を行う(ステップS607)。その後、各機能ブロックは設定完了通知をモード制御部114に送信する(ステップS608)。各機能ブロックからの設定完了通知を受信すると、モード制御部114は、HMD10からのモード設定完了通知を受信するまで、モード設定完了通知待ち状態に移行する(ステップS609)。
【0088】
一方、HMD10はモード設定情報を画像処理装置11から受信する。これを受けて、モード制御部106は、受信したモード設定情報に応じた制御情報を、クロマキー合成部104、OSD制御部115及びセレクタ116の各機能ブロックに送信する(ステップS610)。モード制御部106は、制御情報に応じてHMD10内の各機能ブロックの設定を行う(ステップS611)。
【0089】
その後、各機能ブロックは、設定完了通知をモード制御部106に送信する(ステップS612)。設定完了通知を受信すると、モード制御部106は、モード設定完了通知を画像処理装置11に送信する(ステップS613)。画像処理装置11は、HMD10からのモード設定完了通知を受信すると、モード設定完了通知待ち状態を抜け、モード設定を終了する(ステップS614)。
【0090】
以上説明したように、実施形態1によれば、回路規模の増大を最小限に抑えつつ、HMD側で画像合成機能とOSD表示重畳機能を付加することが可能となる。また、HMD側で画像合成を行うことにより、撮像から表示までの時間遅延の少ない画像表示システムを実現することができる。
【0091】
また、クロマキー合成部を用いてHMD側でOSD表示機能を実行することにより、単純にクロマキー合成機能とOSD表示機能を別々にHMDに追加する場合に比べ、回路規模を抑え、サイズ、消費電力を抑えることができる。
【0092】
(実施形態2)
実施形態2の画像表示システムは、実施形態1の画像表示システムと比較して、位置情報生成部をHMD側に有している点、画像処理装置のOSD表示重畳部からHMDのOSD制御部へ、画像処理装置側のOSD表示情報を送信することを特徴としている。
【0093】
図7は本発明の実施形態2の画像表示システムの機能構成を示すブロック図である。
【0094】
実施形態2の画像表示システムは、HMD70と画像処理装置71で構成される。
【0095】
HMD70は、撮像ユニット701、表示ユニット702、I/F703、クロマキー合成部704、OSD表示データ格納部705、OSD制御部706、位置情報生成部707、モード制御部708、セレクタ709、位置姿勢センサ717を有する。
【0096】
画像処理装置71は、I/F710、CG画像描画部711、画像合成部712、OSD表示重畳部713、セレクタ714、モード入力部715、モード制御部716、OSD表示データ生成部718、OSD制御部719を有する。
【0097】
尚、図7において、図2と同一の名称を有する機能ブロックについては、その詳細説明を省略する。そのため、以下では、実施形態2において新規に追加された機能ブロックと、その機能が異なる部分の説明を行う。
【0098】
位置姿勢センサ717は、HMD70の三次元位置姿勢情報を生成するためのセンシング情報を取得する。位置情報生成部707は、撮像ユニット701で取得した撮像画像及びセンシング情報を用いて、HMD装着者の位置及び姿勢を算出し、三次元位置姿勢情報を生成する。そして、位置情報生成部707は、その三次元位置姿勢情報を、HMD70のOSD制御部706、及び画像処理装置71のOSD制御部719とCG画像描画部711に送信する。
【0099】
次に、HMD70のOSD制御部706は、HMD70の状態に応じて、OSD表示データ格納部705に格納された複数種類のOSD表示データの中から、HMD装着者に対して通知すべきメッセージ画像に対応するOSD表示データを選択する。次に、OSD制御部706は、画像処理装置71のOSD制御部719から送信されたOSD表示情報、位置情報生成部707で生成した三次元位置姿勢情報、CG画像描画部711から送信されたCG描画範囲情報を参照する。そして、OSD制御部706は、参照した各種情報に基づいて、選択したOSD表示データを制御して、そのOSD表示データをクロマキー合成部704に送信する。
【0100】
尚、OSD表示情報は、画像処理装置71で実行されたOSD表示の表示位置を含むOSD表示情報である。
【0101】
画像処理装置71のCG画像描画部711は、HMD70の位置情報生成部707で生成された三次元位置姿勢情報に基づいて、撮像画像に合成するためのCG画像の描画を実行する。次に、CG画像描画部711は、描画したCG画像を画像合成部712に送信し、また、CG描画範囲情報をOSD制御部719及びHMD70のOSD制御部706に送信する。
【0102】
画像処理装置71のOSD制御部719は、位置情報生成部707で生成された三次元位置姿勢情報とCG画像描画部711からのCG描画範囲情報を参照し、OSD表示データ生成部718で生成したOSD表示データの重畳位置を制御する。OSD表示データの重畳位置は、OSD表示データとCG画像とが互い重ならない位置に表示位置制御することが望ましい。但し、フレーム毎にCG描画範囲が頻繁に変化するような場合には、OSD表示の位置がフレームごとに大きく変化することになるため、この表示位置制御方法については、この限りではない。
【0103】
OSD制御部719は、表示位置制御を行った表示データをOSD表示重畳部713に、OSD表示情報をI/F710及び703を介して、HMD70のOSD制御部706にそれぞれ送信する。
【0104】
以上のシステム構成を有することにより、実施形態2の画像表示システムも実施形態1と同様に、図4で示したモードのすべての動作が可能である。
【0105】
実施形態2の画像表示システムは、位置情報生成部707をHMD70で有しているため、例えば、モード7やモード8での動作時に、HMD70から画像処理装置71に位置情報生成に用いる撮像画像を送信する必要がない。また、モード3やモード4のようなHMD70でOSD表示を行うモードでの動作時に、画像処理装置71からHMD70へ位置姿勢情報を送信する必要がない。このように、実施形態2の画像表示システムでは、HMD70と画像処理装置71間で送受信するデータ量を削減できるという効果が生じる。
【0106】
更に、HMD70と画像処理装置71間で通信が途絶した際にも、HMD70で自身の位置を把握することができるため、HMD装着者の位置に応じたOSD表示を行うことが可能である。例えば、HMD70と画像処理装置71間が有線I/Fの場合は、HMD装着者がケーブルの長さ以上に画像処理装置から離れる方向に移動しようとしていることを検出し、OSD表示でその旨を通知すること等が可能である。また、無線I/Fの場合は、無線通信範囲外に移動しようとしていることを検出し、OSD表示でその旨を通知すること等が可能である。
【0107】
続いて、画像処理装置71からOSD表示情報を送信することによる効果について、以下に説明する。
【0108】
図8は本発明の実施形態2の画像表示システムにおける表示画像の一例を説明するための図である。
【0109】
図4に示したモードの内、モード3はHMD70と画像処理装置71の両方でOSD表示を行うことができるモードである。この場合、HMD70ではHMD70の状態を、画像処理装置71では画像処理装置71の状態を監視して、必要に応じてそれぞれの装置がOSD表示を行える。そのため、エラーによってHMD70と画像処理装置71間で通信が行えなくなった場合でも、HMD70でOSD表示を行って、HMD装着者に対してエラーが発生したことを通知することが可能となる。
【0110】
しかしながら、画像処理装置71とHMD70が同じ1枚の画像に対してOSD表示を行った場合、画像801のようにOSD表示が重なってしまい、HMD装着者がメッセージを認識できなくなる可能性がある。
【0111】
そこで、実施形態2では、画像処理装置71内のOSD表示重畳部713でOSD表示を行った際には、表示位置情報を含むOSD表示情報をHMD70に送信する。そして、HMD70内のOSD制御部706で、その表示位置情報を参照して、表示が重ならない位置にOSD表示を行うように制御することで、この問題を解決している。
【0112】
その他の方法としては、起動後のモード設定時に、HMD70と画像処理装置71の両方でOSD表示を実行するモード(モード3)が設定された場合、HMD70と画像処理装置71間でネゴシエーションを行う。そして、そのネゴシエーションに基づいて、OSD表示を行う表示位置が重ならないように、それぞれが実行するOSD表示の表示位置を事前に決定する制御方法も考えられる。
【0113】
以上のような表示位置制御を行うことにより、画像802に示すように、それぞれの装置のOSD表示が重ならないように表示を行うことが可能となる。更に、OSD表示情報に表示位置情報以外の情報として、通知メッセージ(OSD表示画像)の優先度や、通知メッセージを通知した装置名、フォントのカラーやサイズ等の情報を含めることが可能である。
【0114】
つまり、OSD表示情報には、表示内容の優先度に関する情報、重畳した装置名に関する情報、使用しているフォントに関する情報、カラーに関する情報、またはサイズに関する情報のいずれか、またはそれらのうちの複数の情報を含んでいる。
【0115】
これによって、画像803、804、805のようなOSD重畳画像の表示を実現することができ、HMD装着者は各装置の状態を使用者が容易に認識することが可能となる。
【0116】
以上説明したように、実施形態2によれば、HMD側で画像合成機能とOSD表示重畳機能を付加することが可能となる。更に、位置情報生成部をHMD側に有することによって、一部のモードにおいてではあるが、装置間の伝送データ量を削減することができる。また、HMDと画像処理装置で同時にOSD表示を重畳するモード(モード3)において、OSD表示の重なりを防ぐことができる。それと同時に、メッセージの優先度や、どちらの装置が通知しているメッセージであるかを、HMD装着者が容易に認識できるOSD表示を実現することが可能である。
【0117】
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0118】
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0119】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0120】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
【0121】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスクがある。また、更に、記録媒体としては、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0122】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、その接続先のホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0123】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0124】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。また、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0125】
更に、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の実施形態1の画像表示システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1の画像表示システムの機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態1の画像表示システムにおける表示画像の一例を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態1の画像表示システムのモードを示す図である。
【図5】本発明の実施形態1の画像表示システムの各モードで扱う画像の例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態1の画像表示システムのモード設定時の処理フローを説明するフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態2の画像表示システムの機能構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態2の画像表示システムにおける表示画像の一例を説明するための図である。
【図9】従来のMRシステムのシステム構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0127】
10 HMD
11 画像処理装置
101 撮像ユニット
102 表示ユニット
103 I/F(HMD)
104 クロマキー合成部
105 OSD表示データ格納部
106 モード制御部(HMD)
107 I/F(画像処理装置)
108 位置情報生成部
109 CG画像描画部
110 画像合成部
111 OSD表示重畳部
112 セレクタ(画像処理装置)
113 モード入力部
114 モード制御部(画像処理装置)
115 OSD制御部
116 セレクタ(HMD)
117 OSD表示データ生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像機能付表示装置と画像処理装置から構成される画像表示システムであって、
前記撮像機能付表示装置は、
現実空間を撮像する撮像手段と、
画像を表示する表示手段と、
前記画像処理装置と通信を行うための第1通信手段と、
前記表示手段で表示する画像に重畳するための複数種類のOSD表示画像を格納する格納手段と、
入力された制御情報に応じて、前記複数種類のOSD表示画像の中から、前記OSD表示画像を選択するOSD制御手段と、
入力された制御情報に応じて、前記撮像手段で撮像した現実空間画像と、前記第1通信手段を介して前記画像処理装置より入力した画像と、OSD制御手段で選択したOSD表示画像の内、いずれか2つを選択して合成する第1合成手段と、
設定された動作モードに応じて、前記OSD制御手段及び前記第1合成手段に対する制御情報を生成し、前記OSD制御手段及び前記第1合成手段の動作を制御する第1モード制御手段とを備え、
前記画像処理装置は、
前記撮像機能付表示装置と通信を行うための第2通信手段と、
前記現実空間画像に重畳して合成するための仮想空間画像をメモリ上に描画する画像描画手段と、
入力された制御情報に応じて、前記第2通信手段を介して前記撮像機能付表示装置から入力した前記現実空間画像と、前記画像描画手段で描画された仮想空間画像を合成する第2合成手段と、
入力された制御情報に応じて生成されたOSD表示画像を、前記撮像機能付表示装置に送信する画像に重畳する重畳手段と、
設定された動作モードに応じて、前記第2合成手段及び前記重畳手段に対する制御情報を生成し、前記第2合成手段及び前記重畳手段の動作を制御する第2モード制御手段とを備え、
前記撮像機能付表示装置と前記画像処理装置の少なくとも一方に前記動作モードを設定するためのモード入力手段と
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
前記動作モードの一つは、前記撮像機能付表示装置の前記撮像手段で撮像した現実空間画像を、前記表示手段で直接表示するモードである
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
前記動作モードの一つは、前記撮像機能付表示装置の前記第1合成手段において、前記現実空間画像と前記仮想空間画像とを合成し、前記表示手段で表示するモードである
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項4】
前記動作モードの一つは、前記画像処理装置の前記第2合成手段において、前記現実空間画像と前記仮想空間画像とを合成し、前記表示手段で表示するモードである
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項5】
前記動作モードの一つは、前記画像処理装置の前記重畳手段において、前記入力された制御情報に応じて生成されたOSD表示画像を前記撮像機能付表示装置に送信する画像に重畳するモードである
ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項6】
前記動作モードの一つは、前記撮像機能付表示装置の前記第1合成手段において、OSD表示画像を重畳するモードである
ことを特徴とする請求項2または請求項4に記載の画像表示システム。
【請求項7】
前記動作モードの一つは、前記画像処理装置の前記重畳手段と、前記撮像機能付表示装置の第1合成手段の両方で、OSD表示画像を重畳するモードである
ことを特徴とする請求項4に記載の画像表示システム。
【請求項8】
前記画像処理装置の前記重畳手段と、前記撮像機能付表示装置の第1合成手段の両方で、OSD表示画像を重畳するモードが選択された場合、各手段で重畳するOSD表示画像が互いに重ならないように表示位置制御する制御手段を更に備える
ことを特徴とする請求項7に記載の画像表示システム。
【請求項9】
前記画像処理装置の前記重畳手段は、前記OSD表示画像を重畳した場合、該OSD表示画像の表示位置情報を含むOSD表示情報を、前記撮像機能付表示装置の前記OSD制御手段に送信し、
前記撮像機能付表示装置の前記OSD制御手段は、前記画像処理装置から受信したOSD表示情報の中の表示位置情報に基づいて、前記撮像機能付表示装置の前記第1合成手段で合成する前記OSD表示画像の表示位置を決定する
ことを特徴とする請求項8に記載の画像表示システム。
【請求項10】
前記OSD表示情報は、表示内容の優先度に関する情報、重畳した装置名に関する情報、使用しているフォントに関する情報、カラーに関する情報、またはサイズに関する情報のいずれか、またはそれらのうちの複数の情報を含み、
前記撮像機能付表示装置でOSD表示を行う際に、前記画像処理装置で行われたOSD表示方法とは異なる表示方法でOSD表示を行うように制御することで、前記画像処理装置と前記撮像機能付表示装置で同時にOSD表示を重畳した場合にも、使用者が各装置の状態を容易に認識できるようにする
ことを特徴とする請求項9に記載の画像表示システム。
【請求項11】
前記モード入力手段による前記動作モードの設定時に、前記撮像機能付表示装置と前記画像処理装置でネゴシエーションを行い、それぞれの装置がOSD表示を行う表示位置を事前に決定する
ことを特徴とする請求項8に記載の画像表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図3】
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【図5】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−122547(P2009−122547A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298586(P2007−298586)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】