説明

画像表示シート及び画像表示シートの製造方法

【課題】つなぎ合わせ作業が容易であり、かつ透過で見た場合の見た目が優れた画像表示シート及び画像表示シートの製造方法を提供する。
【解決手段】FFシート11、12の画像層22、23、32、33の略全面に画像が形成され、この画像が形成されたFFシート11、12が、縁部が互いに突き合わされ、かつ裏面を上にした状態で載置される。そして、FFシート11、12の縁部をまたぐように、つなぎ用シート13が画像層23b、33b上に熱溶着によってFFシート11、12に貼り付けられる。これにより、FFシート11、12の裏面の接合領域につなぎ用シート13が貼り付けられ、FFシート11、12がその縁部が突き合わされた状態でつなぎ合わされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示シート及び画像表示シートの製造方法に係り、特に屋外の電飾看板に用いる画像表示シート及び画像表示シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
反射と透過との両方により画像を表示することの可能な電飾看板がある。この電飾看板では、昼間のように外部が明るい場合には、外部の明かりが画像表示面で反射して通常の看板として見ることができ、夜間のように外部が暗い場合には、当該装置の内部に設けられた照明灯(バックライト)によって画像表示面の裏面から照明が行われ、その透過光によって明るい看板として見ることができる。
【0003】
このような電飾看板には、表面、裏面の両面に画像が印刷されたシート(以下、FFシートという)が用いられるが、FFシートの大きさには制限があるため、FFシートの大きさよりも大きい看板を製作する際には、FFシートをつなぎ合わせなくてはならないという問題があった。
【0004】
画像表示シートのつなぎ合わせは、図4に示すように、隣り合うFFシート101、102の縁部を重ね合わせて、熱溶着により張り合わせる方法が一般的である。FFシート101、102の両面には画像が形成されている。しかしながら、この方法でFFシートをつなぎ合わせると、透過により電飾看板を視認した場合に、重ねあわされた部分(図4斜線部参照)の濃度が濃くなり、見た目がよくないという問題がある。
【0005】
これに対応するために、特許文献1には、図5に示すように、隣り合うFFシート103、104の縁部を突き合わせ、半透明の帯状のつなぎ用シート105を2つのFFシート103、104にわたって貼り付ける方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11―296112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、FFシート103、104の両面には印刷等により画像が形成されているが、図5に示すように、強度を保つために、つなぎ用シート105が熱溶着される部分についてはFFシート103、104の裏面の画像を削除し、つなぎ用シートに削除した画像と同じ画像を形成している。
【0008】
そのため、特許文献1に記載の発明では、つなぎ用シート105を2つのFFシート103、104にわたって貼り付ける際に、2つのFFシート103、104の画像とつなぎ用シート105の画像との絵柄合わせをする必要がある。しかしながら、絵柄合わせをしつつ、つなぎ用シート105を貼り付けるのは、職人的な技が必要であり、作業性が悪いという問題がある。
【0009】
また、材質、形状の差異等によりFFシート103、104とつなぎ用シート105の収縮率が異なるため、FFシート103、104から削除した画像と同じ画像をつなぎ用シート105に形成することは困難であるという問題がある。また、つなぎ用シート105は帯状であるため、つなぎ用シートへの画像の出力作業が困難であるという問題もある。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、つなぎ合わせ作業が容易であり、かつ透過で見た場合の見た目が優れた画像表示シート及び画像表示シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の画像表示シートは、透明又は半透明の2つのシートと、前記2つのシートをつなぎ合わせる透明又は半透明のつなぎ用シートと、を備えた画像表示シートであって、前記2つのシートは、表面及び裏面の略全面に画像が形成されており、前記2つのシートの縁部を突き合わせ、この突き合わされた縁部をまたぐように前記2つのシートの裏面から前記つなぎ用シートを貼り付けることにより前記2つのシートがつなぎ合わされたことを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載の画像表示シートによれば、表面及び裏面の略全面に画像が形成された透明又は半透明の2つのシートの縁部を突き合わせ、この突き合わされた縁部をまたぐように2つのシートの裏面から透明又は半透明のつなぎ用シートを貼り付ける。これにより、表面からはつなぎ用シートが視認されず、見た目がよい。また、裏面の略全面に画像が形成された2つのシートを、画像が形成されていないつなぎ用シートで張り合わせるため、画像の連続性を気にすることなく、容易に作業をすることができる。
【0013】
請求項2に記載の画像表示シートは、請求項1に記載の画像表示シートにおいて、前記つなぎ用シートの幅は略46.6mm以上とすることを特徴とする。これにより、画像表示シートに必要な接合強度を満たすことができる。
【0014】
請求項3に記載の画像表示シートは、請求項1又は2に記載の画像表示シートにおいて、前記つなぎ用シートが貼り付けられる領域の画像の濃度が、前記つなぎ用シートが貼り付けられない領域の画像の濃度より低くなるように、前記2つのシートの裏面に画像が形成されることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の画像表示シートによれば、つなぎ用シートが貼り付けられる領域(接合領域)の画像の濃度が、つなぎ用シートが貼り付けられない領域(非接合領域)の画像の濃度より低いため、つなぎ用シートにより画像の濃度が濃くなることを防ぐことができる。
【0016】
請求項4に記載の画像表示シートは、請求項3に記載の画像表示シートにおいて、前記つなぎ用シートの透明度が87.1〜91.2%の場合に、前記つなぎ用シートが貼り付けられない領域の画像の濃度と前記つなぎ用シートが貼り付けられる領域の画像の濃度との差が略4%〜略12%となるように、前記2つのシートの裏面に画像が形成されることを特徴とする。これにより、透過で見た場合の接合領域と非接合領域の画像の濃度を略同じとすることができる。
【0017】
請求項5に記載の画像表示シートの製造方法は、透明又は半透明の2つのシートの表面及び裏面の略全面に画像を形成する工程であって、前記表面に形成される画像の濃度が前記裏面に形成される画像の濃度より濃くなり、かつ前記裏面の縁部の所定の領域に形成される画像の濃度が前記裏面の他の領域に形成される画像の濃度より薄くなるように画像を形成する工程と、前記2つのシートの裏面を上にして前記縁部の所定の領域を突き合わせて載置する工程と、前記縁部の所定の領域が突き合わせて載置された前記2つのシートをまたぐように、透明又は半透明のつなぎ用シートを前記縁部の所定の領域に貼り付ける工程と、を有することを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の画像表示シートの製造方法は、請求項5に記載の画像表示シートの製造方法において、前記貼り付ける工程は、加熱及び押圧による熱溶着により貼り付ける工程であって、緩衝材を介して前記加熱及び押圧を行うことを特徴とする。これにより、接合部のインク塗布量を問わず、安定した品質(強度、焦げ、光沢差)が得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、つなぎ合わせ作業が容易であり、かつ透過で見た場合の見た目が優れた画像表示シート及び画像表示シートの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像表示シート1の平面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る画像表示シート1の断面図である。
【図3】接合強度の試験に用いた検体を示す図である。
【図4】従来の画像表示シートの断面図である。
【図5】従来の画像表示シートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に従って本発明に係る画像表示シート及び画像表示シートの製造方法を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0022】
図1は、画像表示シート1を表面から見た図であり、図2は画像表示シート1の断面図である。
【0023】
<画像表示シート1の構成について>
画像表示シート1は、図1に示すように、主として、縦長長方形状のFFシート11、12が、つなぎ用シート13によってつなぎ合わされることにより構成される。
【0024】
FFシート11、12は、フレキシブルシート、フレキシブルフェイス等とも称され、塩化ビニルなどの合成樹脂やポリエステル繊維の両側に熱可塑性樹脂を積層したFFシート材21、31の表面、裏面の両面にインク受容層が形成されたシートである。
【0025】
FFシート材21、31は、光が透過する乳白色であるが、これは表面、裏面の略全面に形成されたインク受容層に形成された画像を透過及び反射の両方により視認可能とするためであり、その限りにおいて半透明であればよい。また、FFシート材21、31として、透明に近い材料を用いることも可能である。
【0026】
画像層22、23、32、33は、FFシート材21、31の表面及び裏面の略全面に形成されたインク受容層に印刷、焼き付け等により画像が形成されることにより形成される。FFシート材21の表面には画像層22が形成され、FFシート材21の裏面には画像層23が形成される。FFシート材31の表面には画像層32が形成され、FFシート材31の裏面には画像層33が形成される。本実施の形態では、インク受容層の略全体に画像が形成される、すなわち画像層22、23、32、33がFFシート材21、31の表面及び裏面の略全面に形成される。
【0027】
印刷により画像を形成する場合には、電子写真方式、インクジェット方式、昇華転写方式、熱転写方式、その他の公知の印刷方式など、種々の印刷方法を適用できる。また、インク受容層の表面に予め写真乳剤層を設けておけば、画像層22、23、32、33に銀塩写真を焼付けることにより画像を形成することが可能である。
【0028】
つなぎ用シート13は、透明度が高い半透明の材料、例えば透明度(すなわち透過率)が87.1%〜91.2%の材料が用いられる。透過率とは、透過光を入射光で割った値(透過率=透過光/入射光)であり、例えば100の光束を入射させたときに透過した光束が25であれば透過率は25%と算出される。
【0029】
つなぎ用シート13は、熱溶着によりFFシート11、12に貼り付けられる。つなぎ用シート13を熱溶着する方法として、例えば、高周波によって加熱する方法(ウェルダー方法)、高温のこてでプレスする方法など、様々な公知の方法を用いることができる。なお、つなぎ用シート13の表面、裏面には画像層が形成されない。
【0030】
つなぎ用シート13の幅について説明する。つなぎ用シート13の幅x(図2参照)は、画像表示シート1の強度に影響を及ぼす。画像表示シート1の強度を決定するパラメータとしては、(1)材料自体の性能(引張り強度(JIS L-1096準拠)、たわみ量、引張り剛性値等)、(2)耐用年数、(3)使用条件がある。本実施の形態では、(1)材料自体の性能として、ロールに対して縦方向の引張り強度:Et(タテ)=1,810N/30mm、ロールに対して横方向の引張り強度:Et(ヨコ)=1,540N/30mm、最大たわみ量δ≦250mm、ロールに対して縦方向の引張り剛性値:444.7kN/m、ロールに対して横方向の引張り剛性値:321.5kN/m、(2)耐用年数が5年、(3)使用条件として速度圧:q=1,070N/m2、風圧力:f=1,070N/m2とし、これらの条件より画像表示シート1の横方向の引張り強度、すなわち接合強度が756N/30mmを必要強度として算出する。つなぎ用シート13の幅xは、この必要強度を満たすように決定される。
【0031】
表1は、つなぎ用シート13の幅を変化させたときの接合強度の変化を示す表である。表1の実験は、図3に示す試験検体を用いて行った。なお、印刷濃度は、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック各色毎に0〜100%の値、すなわち0〜400%の値を取りうる。
【0032】
表1より、表面印刷濃度300%の場合には、つなぎ用シート13の幅が略49.2mm以上であれば、必要強度である756N/30mmを満たす接合強度となることが算出される。これは、表1に示すつなぎ用シート13の幅30mm〜40mmの結果を線形近似した結果(y=17.8x-120)に基づいている。また、表面印刷濃度0%の場合には、つなぎ用シート13の幅が略46.6mm以上であれば、必要強度である756N/30mmを満たす接合強度となることが算出される。これは、表1に示すつなぎ用シート13の幅30mm〜40mmの結果を線形近似した結果(y=11.5x+220)に基づいている。
【0033】
したがって、つなぎ用シート13の幅xは略46.6mm以上であればよいことが分かる。
【0034】
なお、接合強度は、表1に示すように、FFシート11、12のつなぎ用シート13が貼り合わされる部分に画像が形成されているか否かにより変わるし、表2(つなぎ用シート13の幅が30mmでの結果である)に示すように、FFシート11、12のつなぎ用シート13が貼り合わされる部分に形成されている画像の濃度によっても変わる。すなわち、印刷濃度が濃い(インク量が多い)程、接合強度が弱くなるため、つなぎ用シート13の幅広化が必要である。印刷濃度が薄い(インク量が少ない)程、接着力は強くなるため、つなぎ用シート13の狭幅化が可能になる。
【0035】
そのため、図柄による印刷濃度の差異やつなぎ用シート13の入手困難性等を考慮すると、つなぎ用シート13の幅xを略50mm以上とするのが好ましい。本実施の形態では、つなぎ用シート13の幅xは50mmとする。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
表3は、つなぎ用シート13の幅を変化させたときの接合品質の変化を示す表である。表2の実験は、表1の場合と同様に図3に示す試験検体を用いて行った。ここで、接合品質は、複数人により行われた画像表示シート1の見た目の官能評価の結果である。この官能評価は10点満点である。表3より、つなぎ用シート13の幅を広くしても見た目は悪くならないことが分かる。
【0039】
【表3】

【0040】
次に、画像層22、23、32、33に形成される画像について説明する。画像層23a、33aは、つなぎ用シート13が上から貼り合わされない領域、すなわち非接合領域であり、画像層23b、33bは、つなぎ用シート13が上から貼り合わされる領域、すなわち接合領域である。画像層32、33については、画像層22、23と同様であるため、説明を省略する。
【0041】
画像層22、23(23a、23b)には、同一の位置に同一の画像が形成される。FFシート11を反射で見る場合(図2実線A参照)には、表面の画像層22に形成された画像のみが視認される。FFシート11を透過で見る場合、すなわちFFシート11の裏面、つまり画像層23のある側から照明灯(バックライト)又は自然光による照明が行われる場合(図2点線B、C参照)には、表面の画像層22に形成された画像と裏面の画像層23(23a、23b)に形成された画像とが重なって見える。
【0042】
画像層22に形成される画像と、画像層32に形成される画像は、連続性を持って形成される。また、画像層23aに形成される画像と、画像層23bに形成される画像は、連続性を持って形成されるし、画像層33aに形成される画像と、画像層33bに形成される画像は、連続性を持って形成される。さらに、画像層23bに形成される画像と、画像層33bに形成される画像は、連続性を持って形成される。すなわち、FFシート11、12の縁部が互いに突き合わされた状態(図1参照)で連続した図柄となるように、画像層22、23、32、33に画像が形成される。
【0043】
次に、画像層22、23に形成される画像の濃度について説明する。
【0044】
画像層23aに形成される画像の濃度は、反射で見る場合(図2実線A参照)と透過で見る場合(図2点線B参照)とで略同じ濃度となるように決定される。本実施の形態では、画像層22に形成される画像の濃度を100%とすると、非接合領域(画像層23a)に形成される画像の濃度は略75%となる。
【0045】
画像層23bに形成される画像の濃度は、透過で見る場合のうち、つなぎ用シート13がない領域(非接合領域、図2点線B参照)とつなぎ用シートがある領域(接合領域、図2点線C参照)とで略同じ濃度となるように決定される。つなぎ用シート13には透明度の高い材料を用いるが、接合領域はつなぎ用シート13の分だけ画像が濃く見える。したがって、非接合領域と接合領域とで濃度を略同じとするためには、接合領域に形成される画像の濃度を、非接合領域に形成される画像の濃度より低くする必要がある。
【0046】
表4〜6は、87.1%〜91.2%の透明度のつなぎ用シート13を用いた場合に、表面に形成される画像の濃度を0%、100%、200%とし、接合領域の裏面に形成される画像の濃度を略59%〜略75%とした場合(非接合領域の裏面の印刷濃度を75%とした場合)の見た目の評価結果である。
【0047】
表4〜6に示すように、画像層22、32に形成される画像の濃度を0%、100%、200%とし、非接合領域(画像層23a、33a)に形成される画像の濃度を略75%とすると、表4〜6の結果より、接合領域(画像層23b、33b)に形成される画像の濃度は、略63%〜略71%にすることが好ましい。
【0048】
ここで、接合領域の印刷濃度を略63%〜略71%としたことについて説明する。表4〜6より、どのようなデザイン(印刷濃度/透過率)においても、接合領域(図2点線B参照)と非接合領域(図2点線C参照)の透過率差が5.5%以内に抑えられるし、印刷濃度が薄くなるほど透過率差が小さくなる。なお、透過率差とは、接合領域(図2点線B参照)と非接合領域(図2点線C参照)の透過率との差を示すものであり、透過率差が小さいほど画像表示シート1を透過で見るときの見た目が良いことを示す。
【0049】
しかしながら、表5では、印刷濃度を63%から59%を下げた時に、透過率差が小さくなるのに対し、接合品質は低下している。これは、人の目では、「薄い所に濃い線」より「濃い所に薄い線」が目立って見えることが原因と考えられる。
【0050】
したがって、本実施の形態では、接合品質(官能評価)をより重視して、接合領域(画像層23b、33b)に形成される画像の濃度を略63%〜略71%とした。
【0051】
本実施の形態では、非接合領域に形成される画像の濃度は略75%であるため、非接合領域と接合領域との濃度差は略4%〜略12%となる。これにより、画像層23b、33bに形成された画像を、非接合領域の濃度と略同じ濃度である適正な濃度の透過画像として観察することができる。
【0052】
【表4】

【0053】
【表5】

【0054】
【表6】

【0055】
なお、濃度値は、X-rite社製濃度測定機(型番310)、接合強度は、島津製作所社製のAGS−Jでの計測結果である。濃度値は、最大4.0(黒色)、最小0(白)の間で計測される。
【0056】
また、表面印刷濃度100%の肌色は、シアン0%、マゼンタ40%、イエロー60%の合計であり、表面印刷濃度200%の茶色は、シアン26.7%、マゼンタ66.7%、イエロー106.7%の合計である。したがって、印刷濃度67%の場合には、肌色はシアン0%、マゼンタ26.8%、イエロー40.2%で印刷され、茶色はシアン17.9%、マゼンタ44.7%、イエロー71.5%で印刷される。
【0057】
<画像表示シート1の製造方法の第1の実施の形態>
まず、FFシート11、12の画像層22、23、32、33に画像が形成される。この時、画像層22、23、32、33には、連続した1つの図柄となるように画像が形成される。
【0058】
2番目に、画像が形成されたFFシート11、12が、縁部が互いに突き合わされ、かつ裏面を上にした状態で載置される。
【0059】
第3に、FFシート11、12の縁部をまたぐように、つなぎ用シート13が画像層23b、33b上に熱溶着によってFFシート11、12に貼り付けられる。これにより、FFシート11、12の裏面の接合領域につなぎ用シート13が貼り付けられ、FFシート11、12がその縁部が突き合わされた状態でつなぎ合わされる。
【0060】
つなぎ用シート13はFFシート11、12の裏面に貼り付けられるため、画像表示シート1を反射で見る場合にはつなぎ用シート13の存在は見えないので、何らの違和感がない。
【0061】
また、つなぎ用シート13には画像が形成されていないため、つなぎ用シート13の熱溶着時に図柄合わせが必要なく、つなぎ用シート13の小さな蛇行等があっても見た目が悪くならない。したがって、画像の連続性を気にすることなく、容易に作業することができる。
【0062】
本実施の形態によれば、画像表示シート1を表面から反射で見たときには、つなぎ用シート13は視認されず、表面の画像層22、32に形成された画像のみが視認されるため、全く違和感がない。また、画像表示シート1を表面から透過で見たときには、接合領域と非接合領域との濃度が略同じであるため、つなぎ合わせた部分が目立たない。したがって、反射、透過のいずれの方法で見る場合においても、つなぎ合わせた部分の違和感がなく、見た目が優れた画像表示シート1を提供することができる。
【0063】
また、本実施の形態では、つなぎ用シート13に画像を形成する必要がないため、画像形成時における材料収縮率の勘案等の困難な作業が不要となる。また、つなぎ用シート13を溶着する際に画像の連続性を考慮せずに作業ができる。したがって、つなぎ合わせ作業が容易となり、作業性を向上させることができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、つなぎ用シート13が熱溶着される部分(接合領域である画像層23b、33b)に画像が形成されているため、接合強度が低くなることが考えられるが、これはつなぎ用シート13の幅を広くすることにより対応可能であるし、つなぎ用シート13の幅を広くしても見た目は悪くならない(表1参照)。したがって、つなぎ用シート13の幅が広くなることは、作業性を向上させることができるという本実施の形態の効果と比べると問題とはならない。
【0065】
<画像表示シート1の製造方法の第2の実施の形態について>
FFシートを熱溶着により接合する方法では、該当箇所を加熱するとともに押圧する事になる。この時、接合部(図2の23b、33b)は、印刷される絵柄によるインクが塗布された状態である。
【0066】
この接合部分のインク塗布量が多い程、接合条件(加熱)の調整が困難になるという問題がある。なぜならば、熱が不足すると、接合強度が弱くなり、熱が過度になると、接合部が焦げ易く、また、接合部と非接合部とに光沢差が出るからである。インク塗布量が多い程、温度条件がシビアである(スイートスポットが狭い)。
【0067】
画像表示シート1の製造方法の第2の実施の形態では、接合時に加熱する接合部(図2の23b、33b)に養生テープ等の適切な緩衝材を使用し、加熱時における熱、及び押圧による緩衝性能を持たせる。この事により、接合部のインク塗布量を問わず、安定した品質(強度、焦げ、光沢差)が得られる。
【0068】
以下の表7〜9に、緩衝材の有無による計測結果を示す。
【0069】
【表7】

【0070】
【表8】

【0071】
【表9】

【0072】
なお、上記表7〜9の計測結果は、日本電色工業株式会社社製のハンディ型光沢計(PG−1M)での計測結果である。
【0073】
第2の実施の形態では、接合部に養生テープ等の適切な緩衝材を使用し、加熱時における熱、及び押圧による緩衝性能を持たせる点で、第1の実施の形態と相違するが、その他の製造方法は、第1の実施の形態と同様である。
【符号の説明】
【0074】
1…画像表示シート、11、12…FFシート、13…つなぎ用シート、21、31…FFシート材、22、23、32、33…画像層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明又は半透明の2つのシートと、
前記2つのシートをつなぎ合わせる透明又は半透明のつなぎ用シートと、
を備えた画像表示シートであって、
前記2つのシートは、表面及び裏面の略全面に画像が形成されており、
前記2つのシートの縁部を突き合わせ、この突き合わされた縁部をまたぐように前記2つのシートの裏面から前記つなぎ用シートを貼り付けることにより前記2つのシートがつなぎ合わされたことを特徴とする画像表示シート。
【請求項2】
前記つなぎ用シートの幅は略46.6mm以上とすることを特徴とする請求項1に記載の画像表示シート。
【請求項3】
前記つなぎ用シートが貼り付けられる領域の画像の濃度が、前記つなぎ用シートが貼り付けられない領域の画像の濃度より低くなるように、前記2つのシートの裏面に画像が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示シート。
【請求項4】
前記つなぎ用シートの透明度が87.1〜91.2%の場合に、前記つなぎ用シートが貼り付けられない領域の画像の濃度と前記つなぎ用シートが貼り付けられる領域の画像の濃度との差が略4%〜略12%となるように、前記2つのシートの裏面に画像が形成されることを特徴とする請求項3に記載の画像表示シート。
【請求項5】
透明又は半透明の2つのシートの表面及び裏面の略全面に画像を形成する工程であって、前記表面に形成される画像の濃度が前記裏面に形成される画像の濃度より濃くなり、かつ前記裏面の縁部の所定の領域に形成される画像の濃度が前記裏面の他の領域に形成される画像の濃度より薄くなるように画像を形成する工程と、
前記2つのシートの裏面を上にして前記縁部の所定の領域を突き合わせて載置する工程と、
前記縁部の所定の領域が突き合わせて載置された前記2つのシートをまたぐように、透明又は半透明のつなぎ用シートを前記縁部の所定の領域に貼り付ける工程と、
を有することを特徴とする画像表示シートの製造方法。
【請求項6】
前記貼り付ける工程は、加熱及び押圧による熱溶着により貼り付ける工程であって、緩衝材を介して前記加熱及び押圧を行うことを特徴とする請求項5に記載の画像表示シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−145690(P2012−145690A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2983(P2011−2983)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(502087080)富士フイルムイメージングシステムズ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】