説明

画像表示モジュール

【課題】スピーカを備えるにも拘わらず小型薄型で、且つ良好な品質の表示を観察しつつクリアな音声を聴取できる平面型の画像表示モジュールを提供する。
【解決手段】外装ケース5内の底板凹部511内に音源ユニット4が配設され、この上に、面発光バックライト3と液晶表示パネル2とが、順次嵌め込み収納されている。音源ユニット4は、圧電セラミックフィルム411を一対の円形電極412、413で挟んだ積層構造の圧電振動板41が、これを収容する保持ケース43と共に周縁の所定範囲にわたり配置されたC型両面接着スペーサ44により面発光バックライト3の背面の光反射シート35に固着された状態で、外装ケース底面51から離隔させて設置されている。C型両面接着スペーサ44の開口441は導音路6に連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スピーカを備える平面型の画像表示モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等のモバイル機器のディスプレイとして、液晶表示パネルや有機ELディスプレイ等の小型薄型化に好都合な平面型画像表示パネル(以下、FPD(Flat Panel Display)という)が多用されている。
【0003】
一方、携帯電話機は単なる電話機からテレビやPDA(Personal Data Assistants )等の機能を備えた複合機として進化しつつあり、そのような複合モバイル機器に用いられるディスプレイとしては、単に映像を表示するだけでなく音声を発するスピーカも必要とされる。
【0004】
スピーカを備えたモバイル機器のFPDの一例として、特許文献1に示されるような車載用液晶表示パネルが知られている。
【特許文献1】特開昭62−231847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の車載用液晶表示パネルでは、映像表示ディスプレイとスピーカが機器の前面に並設されている。このようにスピーカを機器前面の映像表示ディスプレイに並設すると、機器全体の面積が大きくなり、小型化の要求に逆行することとなり、携帯電話機のような薄型化と小型化が共に要求されるモバイル機器のディスプレイとしては適さない。
【0006】
そこで、スピーカを映像表示ディスプレイの背面に設置して全体の面積の増大を回避した表示モジュールが提案されているが、この場合、表示ディスプレイの背面を振動させるために表示不良を発生させ易く、また、音波が表示モジュールの背面側に放出されるためにディスプレイの前側(表示モジュール正面側)に位置する表示の観察者に対しクリアで充分な音量の音声を提供できないという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、スピーカを備えるにも拘わらず小型薄型で且つ良好な品質の表示を観察しつつ所望のクリアな音声を聴取できる平面型の画像表示モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の画像表示モジュールは、平面型の画像表示パネルを備えた画像表示ユニットと、前記画像表示ユニットの表示の観察側とは反対側の背面側に設置され、印加電圧に応じて振動する圧電振動板からなる圧電式音源素子と、前記画像表示ユニットと前記圧電式音源素子を収納し、前記圧電式音源素子から発振される音波を表示の観察側に導く導音路を形成する外装ケースと、前記画像表示ユニットの背面と該背面に対向する前記圧電振動板の前面の周縁との間の所定範囲にわたり介装され、前記圧電振動板を前記外装ケースに対し離隔させて前記画像表示パネルの背面に固着するとともに、前記背面と前記圧電振動板の間に前記導音路に連通する空間を囲繞形成する接着介装部材とを、有することを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載の画像表示モジュールは、請求項1に記載の画像表示モジュールにおいて、前記圧電振動板を前面が開放された状態で収容し、前記接着介装部材により前記圧電振動板と共に前記画像表示ユニットの背面に固着された保持ケースを、更に有していることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載の画像表示モジュールは、請求項1又は請求項2に記載の画像表示モジュールにおいて、前記画像表示パネルが一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶表示パネルであり、前記画像表示ユニットは前記液晶表示パネルの背面に光を面状に照射する面発光バックライトを更に備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像表示モジュールによれば、音波のエネルギーロスを抑えて効率良く音波が発振されるとともに導音路を通りモジュール正面側に導かれ、良好な品質の表示を観察しつつクリアで充分な音量の音声の聴取が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明の一実施形態としての液晶表示モジュールを示す斜視図で、図2はそのII−II線断面図、図3はその分解斜視図である。
【0013】
本実施形態の液晶表示モジュールは、図3に示されるように、大略、液晶表示パネル2と面発光バックライト3からなる液晶表示ユニット1、音源ユニット4、及び外装ケース5とで構成されている。
【0014】
液晶表示パネル2は、図2に示されるように、電極(不図示)がそれぞれ形成された一対の矩形をなすガラス基板21、22を、それぞれの電極形成面を対向させて枠状シール材(不図示)により所定の間隙を保って接合し、枠状シール材で囲まれたガラス基板21、22間に液晶(不図示)を封入してなる液晶表示素子を、パネルケース23に収納して構成されている。パネルケース23には、表示を観察するための窓231が穿設されている。そして、上記液晶表示素子には、図1に示されるように、外部駆動制御回路基板(不図示)から液晶を駆動するための制御信号電圧を供給するためのフレキシブル配線基板24が、導通接合されている。
【0015】
液晶表示パネル2の表示の観察側とは反対側の背面側には、面発光バックライト3が設置されている。面発光バックライト3は、図3にも示されるように、実質的に透明な矩形板からなる導光板31と、導光板31の一端面(光入射端面)に対向配設された光源素子としてのLED(Light-Emitting Diode)32、LED32に対する給電配線回路が形成された回路基板33、及び導光板31の光出射面(液晶表示パネル2に対向させる前面)に積層配置された光学シート積層体34、導光板31の後面に配置されている光反射シート35等で構成されている。本実施形態においては、3個のLED32が導光板31の光入射端面に対し均等に対向配設され、これら3個のLED32は回路基板33に直接搭載されている。また、光学シート積層体34は、図2に示されるように、光の出射方向を揃える2枚のプリズムシート341、342と光拡散シート343が導光板31の光出射面上に順次積層配置されてなる。
【0016】
面発光バックライト3の背面には、音源ユニット4が装着されている。音源ユニット4は、薄肉円板状をなす圧電セラミックフィルム411の表裏両面にそれぞれ円形電極412、413が貼着されてなる円板型の圧電振動板41と、それら両円形電極412、413にそれぞれ導通接続される一対のリード配線422、423が配設されたL字型の音源信号入力用のフレキシブル配線基板42と、圧電振動板41を収容保持する保持ケース43と、圧電振動板41をこれを収容する保持ケース43と共に面発光バックライト3の背面に固着する両面接着スペーサ44とで構成されている。
【0017】
音源信号入力用フレキシブル配線基板42は、ポリイミドフィルム等の絶縁樹脂フィルムをベースフィルム421とし、このベースフィルム421の片側表面に2本の配線422、423が銅箔をフォトリソグラフィーによりパターニングして形成されている。各配線422、423の両端には、それぞれ、接続端子4221、4222と接続端子4231、4232が形成されている。これら配線422、423の一方の各接続端子4221、4231は、圧電セラミックフィルム411(図2参照)を挟む一対の円形電極412、413に導通接続されている。そして、この音源信号入力用フレキシブル配線基板42は、その配線形成面を面発光バックライト3に対向させる配置でその背面側に設置されている。
【0018】
保持ケース43は、平面外形が略馬蹄形をなし、圧電振動板41を収納するための収納孔431と短冊板部432を備えている。収納孔431の底部には、内径が圧電振動板41の外径よりも小さい貫通孔4311が穿設されている。また、収納孔431の周壁4312の一部を切り欠いて、スリット4313が形成されている。このスリット4313から、収納孔431内に装填された圧電振動板41に導通接続されているフレキシブル配線基板42が外部に引き出される。なお、この保持ケース43は、比較的硬度の高い樹脂材料を用いて例えばインジェクション法等により型成形されている。
【0019】
両面接着スペーサ44は、外径が前記圧電振動板41の外径よりも大きく内径がそれよりも小さい円環の1/3程度を切除したC字形をなしている。この両面接着スペーサ44は、発泡ブチルゴムシートの表裏両面にアクリル系接着剤からなる粘着層を夫々積層して形成され、必要且つ充分な接着力と振動緩衝能を備えている。従って、このような構成の両面接着スペーサ44によれば、図2に示されるように、両面接着スペーサ44の一方の粘着層が圧電振動板41の周縁からこれを収容する保持ケース43の周壁4312上面にわたって粘着するから圧電振動板41が保持ケース43に収容された状態で確実に固定され、他方の粘着層により液晶表示ユニット1の背面つまり面発光バックライト3の光反射シート35に強固に固着されている。
【0020】
上述した液晶表示パネル2と背面に音源ユニット4が装着された面発光バックライト3は、液晶表示ユニット1として外装ケース5に収納されている。本実施形態の外装ケース5は、板金材を加工し、大略、液晶表示パネル2及び面発光バックライト3を嵌め込み収納可能な平面外形を備える上面開放型の矩形箱状に形成されている。この外装ケース5の底板51の中央部には、長手方向全長にわたり延在する矩形の凹部511が形成されている。この凹部511の一方の端部に、前記音源ユニット4が収容される。
【0021】
その凹部511の一方の端部の底板51には、本実施形態では5個の細孔512が十字の配置で穿設されている。これら細孔512は、収容設置される音源ユニット4の圧電振動板41に対向するエリアに穿設され、圧電振動板41の後面から発せられる不要な音波を外装ケース5外に速やかに逸散させるために設けられている。これにより、不要な音波を外装ケース5外の空間(適用機器内における本モジュール設置スペースの余剰空間)に逃がして吸収させ、減衰させることができる。その結果、音源ユニット4から発せられる音声がよりクリアになる。
【0022】
そして、外装ケース5の4方の側板のうちの、音源ユニット4に近い短手側板52には、音波を導く導音路を形成するための凸部521が形成されている。この凸部521は、底板51の凹部511の一方の端部に対応させて設けられており、従って、前記凹部511と前記凸部521の両空間は連通している。
【0023】
なお、一対の長手方向側板のうちの一方の側板53には、2個の開口531、532がそれぞれ所定長にわたり形成されている。これら開口531、532は、それぞれ、液晶表示パネル2に接合されたフレキシブル配線基板24及び音源ユニット4の音源信号入力用フレキシブル配線基板42を、外装ケース5外に引き出すための開口である。
【0024】
上述のように構成された外装ケース5には、図2に示されるように、背面に音源ユニット4が装着された面発光バックライト3と液晶表示パネル2が順次嵌め込み収納されている。この状態において、音源ユニット4の保持ケース43に設けられている短冊板部432が凸部521の底部に嵌合装入され、これと、側板52の凸部521、及び収納された面発光バックライト3と液晶表示パネル2の対応する各側端面とで、導音路6が囲繞形成されている。この導音路6は、圧電振動板41が振動することによりその前面から発振される有用な音波を両面接着スペーサ44の開口441から液晶表示パネル2の前面(モジュール正面)側に導くために設けられている。従って、圧電振動板41が入力信号電圧に応じて振動することによりその前面から発振される音波は、両面接着スペーサ44の開口441から導音路6内に進行し、この導音路6内を伝播する間に或る程度音圧(音量)が増幅されて液晶表示パネル2の表示面(前面)側に放出される。これにより、本液晶表示モジュールの視聴者は、液晶表示パネル2に表示される映像を観察するとともにそれに関するクリアな音声も聴取できる。
【0025】
以上のように、本実施形態の液晶表示モジュールは、音源ユニット4を面発光バックライト3と液晶表示パネル2を重畳設置してなる液晶表示ユニット1の背面に装着し、この音源ユニット4から発せられる音波を液晶表示ユニット1の前面側に導く導音路6をモジュール側面に形成したから、スピーカを設けることによる液晶表示モジュール全体の面積の増加を可及的に小さく抑えることができる。その結果、スピーカ付き液晶表示モジュールが搭載される例えば携帯電話機等の適用製品を小型薄型化することができる。
【0026】
そして、圧電振動板41を、これを収容する保持ケース43とともに両面粘着スペーサ44により面発光バックライト3背面の光反射シート35に固着し、外装ケース底面51から離隔させて凹部511内に収容した状態で設置したから、圧電振動板41の振動の外装ケース5への伝播が大略回避され、これによりエネルギーロスを抑えて充分な音圧を備えた音波が効率良く発振され、導音路6の音圧増幅効果と相俟って、モジュール正面側へ充分な音量の音声を放出させることができる。加えて、外装ケース5の振動が抑制されることにより、外装ケース5に静電気が発生する不具合が防止される。
【0027】
また、圧電振動板41前面の周縁を振動緩衝材料で形成された開口341を備える両面接着スペーサ44を介して面発光バックライト3背面の光反射シート35に固着したから、圧電振動板41の振動の光反射シート35への伝播が抑制され、これにより、圧電振動板41前面から音波が効率よく発振され、発振された音波が大きく開かれた開口441から導音路6へ円滑に進行する。加えて、圧電振動板41の振動による光反射シート35の共振が抑制されることにより、液晶表示ユニット1の表示品質の低下が防止される。
【0028】
更に、導音路6を形成するケース凸部521の底部に保持ケース43の短冊板部432を嵌装して、圧電振動板41の後面から発振された不要音波が導音路6へ進入するのを阻止する構成とし、且つ、ケース底面51の圧電振動板41との対向部に5個の細孔512を穿設して圧電振動板41の後面から発せられる不要音波を外装ケース5外に速やかに逸散させる構成としたから、圧電振動板41の前面から発振される有用な音波への後面から発振される不要音波の混入が実質的に阻止され、所望のクリアな音声が導音路6を通じてモジュール前面に放出される。
【0029】
その結果、本実施形態の液晶表示モジュールの視聴者は、液晶表示モジュール正面側において、圧電振動板41の振動が液晶表示ユニット1に伝播することによる表示不良の発生が防止された高度な品質の表示を観察しつつ、雑音の無いクリアな音声を充分な音量で聴取することができる。
【0030】
さらに、音源信号入力用フレキシブル配線基板42をその配線形成面とは反対側の後面を外装ケース5に向けて配置しているため、各配線422、423の接続端子4221、4231等の配線露出部が導電体の板金で形成された外装ケース5にリークする不具合が防止され、表示モジュールとしての信頼性が向上する。
【0031】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態においては、圧電振動板41を保持ケース43に収容した状態で両面接着スペーサ44により液晶表示ユニット1の背面の光反射シート35に固着したが、これに限らず、導音路6の底部をケースの形状を変更する等の方法により遮蔽すれば、保持ケース43を省略して圧電振動板41を両面接着スペーサ44により光反射シート35に直接固着してもよい。これにより、構造が簡素化されて部品点数が減少し、液晶表示モジュールの原価が低減される。
【0032】
また、本発明は、バックライト付きの液晶表示モジュールに限らず、バックライトを有しない反射式液晶表示モジュール或いは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやプラズマディスプレイ等の他の種々の平面型の画像表示モジュールに広く適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態としての液晶表示モジュールを示す斜視図である。
【図2】上記液晶表示モジュールを図1のII−II線で切断して示す模式的断面図である。
【図3】上記液晶表示モジュールの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 液晶表示ユニット
2 液晶表示パネル
21、22 ガラス基板
211 表示窓
23 パネルケース
24 フレキシブル配線基板(液晶駆動用)
3 面発光バックライト
31 導光板
32 LED
34 光学シート積層体
35 光反射シート
4 音源ユニット
41 圧電振動板
411 圧電セラミックフィルム
412、413 円形電極
42 フレキシブル配線基板(音源信号入力用)
421 リード配線
43 保持ケース
44 両面接着スペーサ
5 外装ケース
51 底板
511 凹部
52 側板
521 凸部
6 導音路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面型の画像表示パネルを備えた画像表示ユニットと、
前記画像表示ユニットの表示の観察側とは反対側の背面側に設置され、印加電圧に応じて振動する圧電振動板からなる圧電式音源素子と、
前記画像表示ユニットと前記圧電式音源素子を収納し、前記圧電式音源素子から発振される音波を表示の観察側に導く導音路を形成する外装ケースと、
前記画像表示ユニットの背面と該背面に対向する前記圧電振動板の前面の周縁との間の所定範囲にわたり介装され、前記圧電振動板を前記外装ケースに対し離隔させて前記画像表示パネルの背面に固着するとともに、前記背面と前記圧電振動板の間に前記導音路に連通する空間を囲繞形成する接着介装部材とを、有することを特徴とする画像表示モジュール。
【請求項2】
前記圧電振動板を前面が開放された状態で収容し、前記接着介装部材により前記圧電振動板と共に前記画像表示ユニットの背面に固着された保持ケースを、更に有していることを特徴とする請求項1に記載の画像表示モジュール。
【請求項3】
前記画像表示パネルが一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶表示パネルであり、前記画像表示ユニットは前記液晶表示パネルの背面に光を面状に照射する面発光バックライトを更に備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像表示モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−193486(P2008−193486A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−26822(P2007−26822)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】