説明

画像表示装置、その制御方法及び電子機器

【課題】1フィールドを複数に分割したサブフィールドにおいて画素をオンまたはオフさせて駆動する場合の階調表現特性を改善する。
【解決手段】光源42は、光源駆動回路40の交流駆動によって表示パネル100に光を照射する。表示パネル100は、複数の画素を有し、各画素は、光源42により照射された光の透過率を画素毎に変化させる。タイミング制御回路30は、1フィールドを時間軸上に複数に分割したサブフィールドのそれぞれにわたって階調レベルに応じてオンまたはオフになるように表示パネル100を制御するとともに、光源駆動回路40による交流駆動に対して、複数のサブフィールドのうち、調整用サブフィールドを除く2以上の階調規定用サブフィールドが所定関係を保つように配列させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1フィールドを複数に分割したサブフィールドにわたって画素をオンまたはオフさせて階調を表現する際の特性を改善する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、表示パネルは、液晶素子のような表示素子を画素毎に有し、光の透過率または反射率を画素毎に変化させるものである。近年では、このような表示パネルに光を照射して縮小画像を形成し、この縮小画像を光学系によって拡大投射する投射型表示装置(プロジェクタ)が普及しつつある。このような表示パネルにおいて、中間階調を表現する技術として、次のような技術が提案されている。すなわち、1フィールドを複数のサブフィールドに分割し、各サブフィールドにおいて表示素子(画素)をオンまたはオフさせ、1フィールドにおいて画素がオン(またはオフ)する時間の割合を変化させることによって中間階調を表現する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
上記技術によれば、1フィールドの期間のうち、画素がオン(オフ)する期間の占める割合に応じて階調が表現されるので、表示素子の駆動電圧としてオンおよびオフレベルのみの2値で済み、従来の電圧変調方式と比較して、D/A変換回路が不要となるなどにより構成の簡易化を図ることができる。
【特許文献1】特開2007−148417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、表示パネルに光を照射する光源は、長寿命化等を図るために交流で駆動される。光源を交流駆動すると、照射する光の輝度が変化するために、同じ期間長のサブフィールドであっても、オンまたはオフしたときの透過率(反射率)が異なってしまい、階調の表現特性に影響を与える。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、1フィールドを複数に分割したサブフィールドにわたって画素をオンまたはオフさせて階調を表現する際に、光源を交流駆動しても、階調の表現特性に影響を与えにくい技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、光を照射する光源と、前記光源を交流駆動する光源駆動回路と、複数の画素を有し、前記光源により照射された光の透過率または反射率を前記画素毎に変化させる表示パネルと、前記複数の画素における透過率または反射率が、1フィールドを時間軸上に複数に分割したサブフィールドのそれぞれにわたって、前記画素に指定される階調レベルに応じてオンまたはオフに相当する値となるように前記表示パネルを制御するとともに、前記光源駆動回路による交流駆動に対して、前記複数のサブフィールドのうち、調整用サブフィールドを除く2以上の階調規定用サブフィールドが所定関係を保つように配列させる制御部と、を具備することを特徴とする。本発明によれば、光源の輝度変化に対して階調規定用サブフィールドの配列が所定の関係を保つので、ランプの輝度変化の影響を受けずに、階調を表現することが可能となる。
【0006】
本発明において、前記制御部は、前記階調規定用サブフィールドのうち、最も期間の短い最短サブフィールドが、前記光源から照射される光の輝度が最も小さくなる、または、大きくなるタイミングに含まれるようにサブフィールドを配列させても良い。このような配列により暗い側または暗い側の階調表現特性を改善することができる。
本発明において、前記調整用サブフィールドは、前記最短サブフィールドの直前に配列することが好ましい。さらに、前記制御部は、前記複数の画素における透過率または反射率が前記調整用サブフィールドにわたって、前記階調レベルにかかわらずオンまたはオフの一方に相当する値とさせる構成が好ましい。最短サブフィールドで画素をオンまたはオフさせるとき、応答性が低ければ、実際の透過率または反射率が直前の状態に応じてずれてしまうが、上記構成によれば、階調レベルにかかわらず、最短サブフィールドでオンまたはオフさせるときの初期状態を揃えることが可能となる。
なお、本発明は、画像表示装置のみならず、当該画像表示装置の制御方法、さらには当該画像表示装置を有する電子機器としても概念することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。この図に示されるように、画像表示装置1は、表示パネル10、タイミング制御回路30、フィールドメモリ32、LUT(ルックアップテーブル)34、光源駆動回路40および光源42を有する。
【0008】
図2は、表示パネル10の構成を示す図である。
表示パネル10は、例えばアクティブマトリクス方式の液晶パネルであり、表示領域100の周辺にYドライバ130およびXドライバ140を配置した構成となっている。本実施形態において表示領域100では、1080行の走査線112が行(図において横)方向に延在するように設けられ、また、1920列のデータ線114が列(図において縦)方向に延在するように、かつ、各走査線112と互いに電気的に絶縁を保つように設けられている。さらに、1080行の走査線112と1920列のデータ線114との各交差に対応して、画素110がそれぞれ配列している。したがって、本実施形態では、表示領域100において画素110が縦1080行×横1920列でマトリクス状に配列するが、本発明をこの配列に限定する趣旨ではない。
【0009】
Yドライバ130は、1080行の走査線112を順番に選択して、選択した走査線112にHレベルに相当する電圧VHを印加し、他の非選択に係る走査線にLレベルに相当する電圧VLを印加する。詳細には、Yドライバ130は、図3に示されるようにクロック信号Clyの1周期分に相当するパルス幅を有するスタートパルスDyを、当該クロック信号Clyの半周期ずつ順次遅延させるとともに、重複部分がないようにパルス幅を半分に狭めた論理信号を走査信号G1〜G1080として1〜1080行の走査線にそれぞれ供給する。
Xドライバ140は、選択された走査線に位置する画素110にデータ信号d1〜d1920を、1〜1920列のデータ線114に供給する。
【0010】
よく知られているように、アクティブマトリクス型の液晶パネルでは、画素110毎に、画素電極と対向電極とで液晶を挟持した液晶素子を有し、当該液晶素子は保持電圧に応じた透過率(透過型である場合、反射型であれば反射率)となる。ここで、走査線112がHレベルになると、当該走査線に位置する画素110では、データ線114に供給されたデータ信号が画素電極に印加されて、対向電極と当該データ信号との差電圧が書き込まれる。画素110に書き込まれた電圧は、走査線112の電圧がLレベルとなっても、液晶素子の容量性によって保持されるので、当該画素は、走査線がHレベルとなったときに書き込んだ差電圧に応じた透過率となる。
なお、本実施形態において、液晶素子については、保持電圧がゼロの場合に透過率が最小となり、保持電圧が高くなるにつれて徐々に透過率が増加するノーマリーブラックモードであるとする。
【0011】
従来のアナログ方式で階調表示する場合には、階調に応じて変調した電圧のデータ信号を、液晶素子に書き込んでいたが、このアナログ方式では、配線抵抗などに起因する表示ムラが発生したり、別途D/A変換回路等が必要となったりする。
このため、本実施形態では、データ信号については、液晶素子をオン状態とさせるオン電圧またはオフ状態とさせるオフ電圧の2値とする。このように液晶素子にオン電圧とオフ電圧との2値のみを用いて階調表示を行うためには、基本周期である1フィールドを複数のサブフィールドに分割するとともに、当該サブフィールドを単位として液晶素子にオンまたはオフ電圧に相当する差電圧を保持させて、オン(またはオフ)状態となる期間の割合を画素毎に階調に応じて変化させる駆動(サブフィールド駆動)とすれば良いはずである。なお、ここでいう1フィールドとは、1枚分の画像を形成するのに要する期間をいい、外部上位回路から供給される同期信号Syncに含まれる垂直走査信号の周期である16.7ミリ秒(60Hzの逆数)であって、一定である。
なお、本実施形態において、1フィールドは、サブフィールドsf0〜sf18に分割されるが、その詳細については後述することにする。
【0012】
制御部であるタイミング制御回路30は、図示省略した外部上位回路から供給される同期信号Syncおよび光源制御信号Lfから、表示パネル100の駆動するときの基準となる1フィールドを規定し、さらに各サブフィールドsf0〜sf18の開始点を規定するとともに、当該表示パネルを駆動するための各種信号を生成するためのものである。
なお、同期信号Syncには、映像データDinの垂直走査を規定する垂直走査信号Vsyncが含まれるので、本実施形態においてタイミング制御回路30は、当該垂直走査信号Vsyncに基づいて、表示パネル100の駆動するときの基準となる1フィールドを規定する。
【0013】
フィールドメモリ32は、タイミング制御回路30の制御によって少なくとも1フィールドの分の映像データDinを格納するとともに、格納した映像データDinをサブフィールドsf0〜sf18毎に読み出すものである。
ここで、映像データDinは、画素110の階調を画素毎に指定するデジタルデータであり、外部上位回路から同期信号Syncに同期して供給される。詳細には、縦1080行×横1920列の1コマ分の映像データDinは、同期信号Syncによって規定される垂直および水平走査に同期に供給される。
【0014】
LUT34は、階調およびサブフィールドの組み合わせに対し、オンオフを示すデータDsfを予め記憶するテーブルであり、詳細には、フィールドメモリ32から読み出された映像データDinで規定される階調を、サブフィールドsf0〜sf18の各々についてオンにするか、オフにするかを規定するデータDsfに変換するものである。
ここで、データDsfに変換するためには、映像データDinのほかに、いずれかのサブフィールドに対応させるのかを示す情報が必要となる。このため、タイミング制御回路30は、サブフィールド番号を示すデータNsfをLUT34に供給する。これにより、LUT34は、フィールドメモリ32から読み出された映像データDinが指定する階調およびデータNsfが示すサブフィールドに対応するデータDsfを出力することになる。
【0015】
光源42は、例えば高圧放電ランプであり、表示領域100に白色光を照射する。光源42は、光源の長寿命化のために一定の周波数で交流駆動する必要がある。このため、光源駆動回路40は、光源駆動信号Ldを光源42の推奨周波数で生成して光源42に供給する。これにより、光源42は、その推奨周波数で交流駆動されて長寿命化が図られる。
ここで、光源駆動信号Ldは、本実施形態では図4に示されるように、推奨周波数の逆数であるランプ周期にて最低値から最高値まで直線状に増加するランプ(ramp)波形である。この光源駆動信号Ldにしたがって駆動される光源42は、当該光源駆動信号Ldの最低値に相当する地点で相対的に暗状態となり、最高値に相当する地点で相対的に明状態となる。
なお、光源駆動回路40は、光源駆動信号Ldに同期した光源制御信号Lfをタイミング制御回路30に供給する。この光源制御信号Lfは、図4に示されるように光源駆動信号Ldが最高値から最低値に変化するタイミングにてHレベルとなるパルス信号である。
【0016】
ところで、光源駆動信号Ldは、光源42の推奨周波数で一定であり、その周波数は、同期信号Syncとは非同期である。ここで、本実施形態において、光源駆動信号Ldの周波数が、同期信号Syncに含まれる垂直走査信号Vsyncの周波数の4倍以上であるとき、1フィールドの期間には、光源駆動信号Ldが最低値となるタイミングを3回以上含むことになる。すなわち、光源駆動信号Ldの最低値から最高値までを1周期分としたとき、1フィールドの期間には、光源駆動信号Ldの連続した3周期分が必ず含まれる。
【0017】
このことを用いて、本実施形態では、タイミング制御回路30は、表示パネル100のサブフィールドを図4に示されるように規定する。詳細には、タイミング制御回路30は、垂直同期信号Vsyncで規定される1フィールドの期間のうち、最初に光源制御信号Lfのパルスが供給されたタイミングから、光源制御信号Lf(光源駆動信号Ld)の連続した3周期分の期間Taを、1行目の階調規定用サブフィールドsf1〜sf18として用い、他の期間を1行目の調整用サブフィールドsf0として用いる。
換言すれば、1フィールドの期間のうち、光源制御信号Lfの連続した3周期分の期間Taを階調規定用サブフィールドsf1〜sf18に割り当てて、光源駆動信号Ldに対して階調規定用サブフィールドsf1〜sf18の配列を同期させる。ただし、同期信号Syncに対して光源駆動信号Ldが非同期であるために、1フィールドの期間のうち、階調規定用サブフィールドsf1〜sf18に割り当てた期間の残りを、調整用サブフィールドsf0に割り当てて、時間(タイミング)調整用として用いている。
なお、光源駆動信号Lfのパルスが出力された直後、すなわち、光源駆動信号Ldが最低値となった直後に、階調規定用サブフィールドsf1〜sf18のうち、最も期間の短いサブフィールドsf1、sf7、sf13が配置する。
また、2行目以降のサブフィールドは、Yドライバ130によって走査線が順番に選択される分だけ、1行目に対して順次遅延した関係となる。
【0018】
このようなサブフィールドに対して、LUT34の変換内容は、おおよそ次のような内容である。すなわち、最も暗い階調については、サブフィールドsf1〜sf18にわたってオフを指定し、明るい階調を指定するにつれて、オンとなるサブフィールドの期間の和が長くなる内容となっている。
なお、実際の変換内容については、液晶素子の電気的な光学特性や応答特性などを考慮して実験的に決められる。また、調整用サブフィールドsf0については、映像データで指定される階調にかかわらず、本実施形態では一律にオフさせる変換内容としている。
【0019】
このような構成において、タイミング制御回路30は、垂直走査信号Vsyncにしたがって、表示パネル10を駆動するときの基準周期を1フィールドとして規定するとともに、垂直走査信号Vsyncのパルスが供給されてから初めて光源制御信号Lfのパルスが供給されたタイミングにて、スタートパルスDyを出力するとともに、このタイミングからサブフィールドsf1〜Sf18の期間長を経る毎にスタートパルスDyを出力する。
Yドライバ130は、スタートパルスDyが供給されると、図2に示されるように、1、2、3、…、1080行目の走査線112に、順番にHレベル(選択電圧VH)となる走査信号G1、G2、G3、…、G1080を供給する。
【0020】
一方、タイミング制御回路30は、Yドライバ130による走査線の選択に合わせて、フィールドメモリ32から、走査信号がHレベルとなる走査線に位置する1〜1920列の画素1行分の映像データDinを読み出す。LUT34では、当該走査線に位置する1行分の映像データDinが、データNsfで示されるサブフィールド番号に対応するデータDsfにそれぞれ変換される。
そして、タイミング制御回路30は、変換された1〜1920列目の画素に対応するデータDsfをXドライバ140に転送し、Xドライバ140は、転送された1〜1920列目の画素に対応するデータDsfを、それが示すオンまたはオフ電圧に再変換し、データ信号d1〜d1920として1〜1920列目のデータ線114に、タイミング制御回路30の制御にしたがって当該行の走査信号がHレベルとなるのに合わせて供給する。
走査線112がHレベルに相当する選択電圧VHとなっていると、データ線114に供給されたオンまたはオフ電圧が画素電極118に印加される。
【0021】
なお、液晶105に直流成分が印加されるのを防止するため、オン電圧は正極性および負極性の2種類があり、1フィールド期間毎に交互に用いられる。このため、Xドライバ140は、例えば奇数フィールドにおいてオン電圧が規定されたならば、当該オン電圧を正極性で供給し、偶数フィールドにおいてオン電圧が示されたならば、当該オン電圧を負極性で供給する構成となる。なお、ここでいう正極性とは、対向電極に印加される電圧よりも高位側をいい、負極性とは、対向電極の電圧よりも低位側をいう。また、オフ電圧は、液晶素子の差電圧をゼロとさせる電圧であれば、極性を分けることなく対向電極の電圧とすれば良い。
【0022】
このようにデータ信号を供給して、画素に書き込む動作は、階調規定用サブフィールドsf1〜sf18、および、調整用サブフィールドsf0の各々において1〜1080行目の走査線112が順番に選択される毎に繰り返される。これにより、1〜1080行目の画素のそれぞれにおいて階調レベルに応じたオンまたはオフの書き込みがサブフィールドsf1〜sf18毎に、階調レベルとは無関係に一律にオフの書き込みがサブフィールドsf0でそれぞれ実行される。
【0023】
ノーマリーブラックモードにおいてサブフィールド駆動する場合に、1フィールドのうち、すべてのサブフィールドにわたってオフさせたときが、最も暗い階調が表現されるときである。最も暗い階調よりも1段明るい階調は、最も短いサブフィールドの1つをオンさせることによって表現される。このため、ノーマリーブラックモードでは、暗い側において表現される階調の刻み幅は、光源の輝度が一定であれば、サブフィールドの最短期間で決定されることになる。本実施形態では、光源42の輝度が最も低くなるタイミングに合わせて、最も短いサブフィールドsf1、sf7、sf13を配列させているので、サブフィールドの期間長をそのままとして、光源の輝度変化分だけ暗い階調を表現することが可能となる。
【0024】
ところで、階調レベルに応じてオンまたはオフを書き込む際にサブフィールドの期間長が短いと、当該サブフィールドの透過率は、応答速度の低さのために、直前のサブフィールドのオンまたはオフ状態に依存して異なる場合がある。例えば、期間長の短いサブフィールドにおいて画素をオフさせたときの実際の透過率は、直前のサブフィールドにおいてオンとなっていた場合の方が、オフとなっていた場合とよりも、オン寄りの値となってしまう。
本実施形態において、サブフィールドsf0については、全画素に対して一律にオフさせる書き込みが実行されるとともに、最も短いサブフィールドsf1がサブフィールドsf0の直後には位置している。したがって、本実施形態では、サブフィールドsf1において画素をオンまたはオフさせたとき、実際の透過率は、直前のサブフィールドsf0において常にオフとなっているので、安定した階調表現が可能となる。
さらに、サブフィールドsf0において一律に画素をオフさせることにより、透過率が最小となるので、光源42の輝度変化分が実際に視認されることがなくなる。このため、光源42の輝度変化分によって生じる階調差を視認しにくくすることが可能となる。
なお、表示すべき画像が平均的に明るい場合には、サブフィールドsf0において一律にオンさせることにより、透過率を全体的に増加させても良い。いずれにしても、調整用サブフィールドsf0については一律にオフまたはオフさせることになる。
【0025】
なお、ノーマリーホワイトモードの場合、ノーマリーブラックモードとは反対に、1フィールドのうち、すべてのサブフィールドにわたってオフさせたときが、最も明るい階調が表現されるときであり、最も明るい階調よりも1段暗い階調は、最も短いサブフィールドの1つをオンさせることによって表現される。このため、ノーマリーホワイトモードでは、明るい側における階調の刻み幅は、サブフィールドの最短期間で決定されることになるので、光源42が最も明るくなるタイミングに合わせて、最も短いサブフィールを配列させれば良い。
【0026】
上述した実施形態では、光源42の推奨駆動周波数が垂直走査信号の逓倍に一致しない場合を説明したが、光源42の推奨駆動周波数が垂直走査信号の逓倍に一致する場合もあり得る。また、表示パネル100の垂直走査を、垂直同期信号Vsyncで規定したが、光源42の推奨駆動周波数の、逓倍分の一となるように決めても良い。いずれにせよ、光源42の推奨駆動周波数が表示パネル10の垂直走査周波数の逓倍に一致する場合、図5に示されるように、調整用サブフィールドsf0を設ける必要がなくなって、単に、垂直走査信号Vsyncに光源制御信号Lfに同期させて、すなわち、光源42の輝度変化に同期させてサブフィールドを配列させれば良いことになる。
【0027】
また、実施形態では、1フィールドを構成する各サブフィールドの期間長を互いに異ならせたが、互いに同一であっても良い。1フィールドを構成するサブフィールドの期間長を互いに同一とする場合には、図6に示されるように、垂直同期信号Vsyncで規定される1フィールドの期間のうち、最初に光源制御信号Lfのパルスが供給されたタイミングから、光源制御信号Lfの連続したn周期分の期間Taを、1行目の階調規定用サブフィールドとして用い、他を1行目の調整用サブフィールドとして用いれば良い。
【0028】
さらに、実施形態では、光源駆動信号Ldを右上がりのランプ波形としたが、正弦波や三角波などのような波形としても良い。また、光源制御信号Lfをランプ周期の開始時に出力されるパルス信号としたが、光源の輝度を示すデジタルデータとしても良い。
また、表示パネルとしては、液晶パネルのほか、光源を必要とするものであれば、種々のものが適用可能である。例えば、デジタルミラー素子などが適用可能である。
【0029】
<電子機器>
次に、上述した実施形態に係る画像表示装置を用いた電子機器の一例として、上述した表示パネル10をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図7は、このプロジェクタの構成を示す平面図である。
この図に示されるように、プロジェクタ2100の内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット2102が設けられている。このランプユニット2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によってR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に分離されて、各原色に対応するライトバルブ10R、10Gおよび10Bにそれぞれ導かれる。なお、B色の光は、他のR色やG色と比較すると、光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124からなるリレーレンズ系2121を介して導かれる。
【0030】
このプロジェクタ2100では、表示パネル10を含む画像表示装置が、R、G、Bの各色に対応して3組設けられて、R、G、Bの各色に対応する映像データがそれぞれ外部上位回路から供給される構成となっている。ライトバルブ10R、10Gおよび10Bの構成は、上述した実施形態における表示パネル10と同様であり、各色に対応して設けられるタイミング制御回路(図7では省略)から供給されるR、G、Bのデータ信号で、サブフィールド毎にそれぞれ駆動されるものである。
ライトバルブ10R、10G、10Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、このダイクロイックプリズム2112において、R色およびB色の光は90度に屈折する一方、G色の光は直進する。したがって、各色の画像が合成された後、スクリーン2120には、投射レンズ2114によってカラー画像が投射されることとなる。
【0031】
なお、ライトバルブ10R、10Gおよび10Bには、ダイクロイックミラー2108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。また、ライトバルブ10R、10Bの透過像は、ダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、ライトバルブ10Gの透過像はそのまま投射されるので、ライトバルブ10R、10Bによる水平走査方向は、ライトバルブ10Gによる水平走査方向と逆向きにして、左右を反転させた像を表示する構成となっている。
【0032】
電子機器としては、図7を参照して説明した他にも、テレビジョンや、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラ、携帯電話機、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種の電子機器に対して、本発明に係る画像表示装置が適用可能なのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同画像表示装置における表示パネルの構成を示す図である。
【図3】同表示パネルにおける画素の構成を示す図である。
【図4】同表示パネルにおけるフィールド構成を示す図である。
【図5】各サブフィールドにおける動作を説明するための図である。
【図6】同表示パネルにおける透過率特性を示す図である。
【図7】同画像表示装置を適用したプロジェクタの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1…画像表示装置、10…表示パネル、30…タイミング制御回路、40…光源駆動回路、42…光源、110…画素、112…走査線、114…データ線、130…Yドライバ、140…Xドライバ、2100…プロジェクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射する光源と、
前記光源を交流駆動する光源駆動回路と、
複数の画素を有し、前記光源により照射された光の透過率または反射率を前記画素毎に変化させる表示パネルと、
前記複数の画素における透過率または反射率が、1フィールドを時間軸上に複数に分割したサブフィールドのそれぞれにわたって、前記画素に指定される階調レベルに応じてオンまたはオフに相当する値となるように前記表示パネルを制御するとともに、前記光源駆動回路による交流駆動に対して、前記複数のサブフィールドのうち、調整用サブフィールドを除く2以上の階調規定用サブフィールドが所定関係を保つように配列させる制御部と、
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記階調規定用サブフィールドのうち、最も期間の短い最短サブフィールドが、前記光源から照射される光の輝度が最も小さくなる、または、大きくなるタイミングに含まれるようにサブフィールドを配列させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記調整用サブフィールドは、前記最短サブフィールドの直前に配列する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記複数の画素における透過率または反射率が前記調整用サブフィールドにわたって、前記階調レベルにかかわらずオンまたはオフの一方に相当する値とさせる
ことを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
光を照射する光源と、
前記光源を交流駆動する光源駆動回路と、
複数の画素を有し、前記光源により照射された光の透過率または反射率を前記画素毎に変化させる表示パネルと、
を備える画像表示装置の制御方法であって、
前記複数の画素における透過率または反射率が、1フィールドを時間軸上に複数に分割したサブフィールドのそれぞれにわたって、前記画素に指定される階調レベルに応じてオンまたはオフに相当する値となるように、前記表示パネルを制御するとともに、前記光源駆動回路による交流駆動に対して、前記複数のサブフィールドのうち、調整用サブフィールドを除く2以上の階調規定用サブフィールドが所定関係を保つように配列させる
ことを特徴とする画像表示装置の制御方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の画像表示装置を有することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−175626(P2009−175626A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16607(P2008−16607)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】