説明

画像表示装置、プロジェクター、および画像表示装置の制御方法

【課題】回路ブロックがリセットされたか否かを判定するリセット判定処理の汎用性を向上した画像表示装置を提供する。
【解決手段】画像表示装置(プロジェクター1)は、光変調装置(液晶ライトバルブ12R,12G,12B)と、光変調装置を駆動する駆動回路(ライトバルブ駆動回路14)と、駆動回路を制御する制御回路20とを備えた画像表示装置であって、駆動回路は、駆動回路をリセットするためのリセット信号を受け付けるリセット信号受付部と、リセット信号受付部が受け付けたリセット信号によってリセットされ、且つ特定の機能が割り付けられていない所定のレジスターを有し、制御回路20は、所定のレジスターに対して所定の値の書き込みと読み出しとを行い、値を比較することで、駆動回路がリセットされたか否かを判定するリセット判定部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、プロジェクター、および画像表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の集積回路(IC)等の回路ブロックによって構成された画像表示装置が知られている。このような画像表示装置は、ノイズによって誤動作する場合があった。例えば、表示のための回路ブロックのリセット信号端子にノイズが乗ると、その表示回路ブロックがリセット(初期化)され、画像が正しく表示されなくなってしまう場合があった。
【0003】
そこで、特許文献1には、点灯時にノイズを発生する放電式の光源が点灯された後に、所定のデータの読み出しおよび設定を行うプロジェクター(画像表示装置)が開示されている。しかしながら、このようなプロジェクターでは、光源を点灯しても所定のデータが設定されるまでの間は、投写画像が正しく表示されないという問題があった。
【0004】
このため、回路ブロックがノイズによってリセットされたか否かを、制御部が、回路ブロックの所定のレジスターに設定した値を読み出して正当性を確認して判定する「リセット判定処理」を備えた画像表示装置が知られている。このような画像表示装置では、回路ブロックがリセットされていた場合には、制御部は、回路ブロックのレジスターにデータを再設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−3607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような画像表示装置においては、リセット判定処理で使用する所定のレジスターには所定の機能が割り付けられているため、所定のレジスターに設定する値は、その回路ブロックの制御方法によって制限されていた。このため、回路ブロックを他の機種の画像表示装置に流用する場合、その回路ブロックの制御方法が変更されると、所定のレジスターに設定する値も変更されてしまう場合があった。このように、回路ブロックがリセットされたか否かを、所定のレジスターの正当性によって判定するリセット判定処理は、機種毎に変更される必要があり、汎用性が低いという課題があった。また、リセット判定処理を変更するために、画像表示装置のソフトウェア開発工数が増大してしまっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係る画像表示装置は、光変調装置と、前記光変調装置を駆動する駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御回路とを備えた画像表示装置であって、前記駆動回路は、前記駆動回路をリセットするためのリセット信号を受け付けるリセット信号受付部と、前記リセット信号受付部が受け付けた前記リセット信号によってリセットされ、且つ特定の機能が割り付けられていない所定のレジスターとを有し、前記制御回路は、前記所定のレジスターに対して所定の値の書き込みと読み出しとを行い、値を比較することで、前記駆動回路がリセットされたか否かを判定するリセット判定部を有することを特徴とする。
【0009】
このような画像表示装置によれば、光変調装置を駆動する駆動回路と制御回路とを備えている。駆動回路は、リセット信号によってリセットされる。また、駆動回路は、特定の機能が割り付けられていない所定のレジスターを有しており、当該所定のレジスターは、リセット信号によってリセットされる。制御回路は、リセット判定部を有しており、当該リセット判定部は、駆動回路の所定のレジスターに対して所定の値の書き込みと読み出しと行い、値を比較することで、駆動回路がリセットされたか否かを判定する。これにより、駆動回路がリセットされたか否かを容易に判定することができる。また、駆動回路の所定のレジスターには特定の機能が割り付けられていないため、所定のレジスターの値の正当性によってリセットされたか否かを判定するリセット判定部(リセット判定処理)の汎用性が向上する。つまり、画像表示装置の機種毎に、リセット判定部を変更する必要がなくなるため、リセット判定部の流用性が向上し、ソフトウェア開発工数を低減することができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に係る画像表示装置において、前記制御回路は、前記リセット判定部によって前記駆動回路がリセットされたと判定した場合に、前記駆動回路に対して所定の設定を行う再設定部をさらに有することを特徴とする。
【0011】
このような画像表示装置によれば、制御回路は、再設定部を有している。再設定部は、リセット判定部によって駆動回路が何らかの要因でリセットされたと判定した場合に、駆動回路に対して所定の設定を行うことができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に係る画像表示装置において、前記再設定部が行う前記所定の設定は、前記画像表示装置の起動時に前記制御回路が前記駆動回路に対して設定する起動時設定と同様の設定とすることを特徴とする。
【0013】
このような画像表示装置によれば、所定の設定は、画像表示装置の起動時に制御回路が駆動回路に対して設定する起動時設定と同様の設定とする。これにより、駆動回路が何らかの要因によってリセットされた場合に、制御回路は、駆動回路に対して起動時設定を再度行うことができる。
【0014】
[適用例4]上記適用例に係る画像表示装置において、放電型の光源ランプを光源として有することを特徴とする。
【0015】
このような画像表示装置によれば、光源として放電型の光源ランプを有する。このような画像表示装置においては、光源ランプを点灯する際にノイズが発生し、そのノイズによって駆動回路がリセットされる場合があるが、リセット判定部によって、駆動回路がリセットされたか否かを判定することが可能になる。
【0016】
[適用例5]上記適用例に係る画像表示装置において、前記光変調装置は、液晶パネルによって変調を行うことを特徴とする。
【0017】
[適用例6]本適用例に係るプロジェクターは、光変調装置と、前記光変調装置を駆動する駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御回路とを備えたプロジェクターであって、前記駆動回路は、前記駆動回路をリセットするためのリセット信号を受け付けるリセット信号受付部と、前記リセット信号受付部が受け付けた前記リセット信号によってリセットされ、且つ特定の機能が割り付けられていない所定のレジスターとを有し、前記制御回路は、前記所定のレジスターに対して所定の値の書き込みと読み出しとを行い、値を比較することで、前記駆動回路がリセットされたか否かを判定するリセット判定部を有することを特徴とする。
【0018】
このようなプロジェクターによれば、駆動回路がリセットされたか否かを容易に判定することができる。また、駆動回路の所定のレジスターには特定の機能が割り付けられていないため、所定のレジスターの値の正当性によってリセットされたか否かを判定するリセット判定部の汎用性が向上する。つまり、プロジェクターの機種毎に、リセット判定部を変更する必要がなくなるため、リセット判定部の流用性が向上し、ソフトウェア開発工数を低減することができる。
【0019】
[適用例7]本適用例に係る画像表示装置の制御方法は、光変調装置と、前記光変調装置を駆動する駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御回路とを備え、前記駆動回路は、前記駆動回路をリセットするためのリセット信号を受け付けるリセット信号受付部と、前記リセット信号受付部が受け付けた前記リセット信号によってリセットされ、且つ特定の機能が割り付けられていない所定のレジスターとを有する画像表示装置の制御方法であって、前記制御回路が、前記所定のレジスターに所定の値の書き込みを行う書込ステップと、前記制御回路が、前記所定のレジスターの値を読み出す読出ステップと、前記制御回路が、前記書込ステップで書き込んだ前記所定の値と前記読出ステップで読み出した値とを比較して、前記駆動回路がリセットされたか否かを判定するリセット判定ステップと、を有することを特徴とする。
【0020】
このような画像表示装置の制御方法によれば、駆動回路がリセットされたか否かを容易に判定することができる。また、駆動回路の所定のレジスターには特定の機能が割り付けられていないため、所定のレジスターの値の正当性によってリセットされたか否かを判定するリセット判定部の汎用性が向上する。つまり、画像表示装置の機種毎に、リセット判定部を変更する必要がなくなるため、リセット判定部の流用性が向上し、ソフトウェア開発工数を低減することができる。
【0021】
また、上述した画像表示装置およびその制御方法が画像表示装置に備えられたコンピューターを用いて構築されている場合には、上記形態および上記適用例は、その機能を実現するためのプログラム、あるいは当該プログラムを前記コンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体等の態様で構成することも可能である。記録媒体としては、フレキシブルディスクやハードディスク、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu−ray Disc(登録商標)、光磁気ディスク、不揮発性メモリーカード、画像表示装置の内部記憶装置(RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体メモリー)、及び外部記憶装置(USB(Universal Serial Bus)メモリー等)等、前記コンピューターが読み取り可能な種々の媒体を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示すブロック図。
【図2】プロジェクターの起動時の処理のフローチャート。
【図3】判定用レジスターの値についての説明図であり、(a)は、プロジェクターの電源オンによるハードウェアリセット時の判定用レジスターの状態を示す図、(b)は、所定の値設定時の判定用レジスターの状態を示す図、(c)は、ノイズによりリセットされた場合の判定用レジスターの状態を示す図、(d)は、再設定した際の判定用レジスターの状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態について説明する。
【0024】
(実施形態)
本実施形態では、画像表示装置の実施形態として、画像信号に基づく画像光を投写して、外部のスクリーン等に表示するプロジェクターについて説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示すブロック図である。図1を使用して、プロジェクター1の内部構成について説明する。
【0026】
プロジェクター1は、画像投写部10、制御回路20、操作受付部21、光源制御部22、画像信号入力部31等を備えている。
【0027】
画像投写部10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12B、投写光学系としての投写レンズ13、駆動回路としてのライトバルブ駆動回路14等で構成されている。画像投写部10は、光源11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで変調して画像光を形成し、この画像を投写レンズ13から投写して外部のスクリーンSC等に表示する。
【0028】
光源11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R,12G,12B側に反射するリフレクター11bとを含んで構成されている。光源11から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
【0029】
液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R,12G,12Bには、マトリクス状に配列された複数の画素(図示せず)が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。ライトバルブ駆動回路14が、入力される画像データに応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像データに応じた光透過率に設定される。このため、光源11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを透過することによって変調され、画像データに応じた画像光が色光毎に形成される。形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラーの画像光となった後、投写レンズ13から投写される。
【0030】
ここで、ライトバルブ駆動回路14について説明する。ライトバルブ駆動回路14は、ICによって構成されている。ライトバルブ駆動回路14は、制御回路20から画像データを入力し、その画像データに応じて液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動する。また、ライトバルブ駆動回路14は、制御回路20によって制御される。例えば、制御回路20は、ライトバルブ駆動回路14に備わるレジスターに対して書き込みや読み出しを行うことで、ライトバルブ駆動回路14を制御する。なお、制御のための制御信号の通信方式は、I2C(Inter−Integrated Circuit)や調歩同期式通信、クロック同期式シリアル通信等としてもよいし、その他の通信方式としてもよい。
【0031】
さらに、ライトバルブ駆動回路14は、制御回路20からのリセット信号を受け付けるリセット信号受付端子を備える。リセット信号受付端子によってリセット信号を受け付けると、ライトバルブ駆動回路14は内部回路のリセットや内部レジスターのリセットを行う。このリセット信号受付端子がリセット信号受付部に相当する。
【0032】
ライトバルブ駆動回路14は、内部レジスターとして、一般レジスター14aと判定用レジスター14bとを有している。一般レジスター14aとは、例えば、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動するために、画像データ信号のDCバイアスを調整するレジスターや、ゲイン調整を行うレジスター等の機能が割り付けられているレジスターを示す。また、判定用レジスター14bとは、特定の機能が割り付けられていない汎用レジスターである。本実施形態では判定用レジスター14bは、1バイトの汎用レジスターとし、ライトバルブ駆動回路14がリセットされたか否かを判定するために用いられる。ライトバルブ駆動回路14にリセット信号が入力されると、一般レジスター14aおよび判定用レジスター14bはリセットされ、初期値(リセット値)が設定される。ここで、判定用レジスター14bが所定のレジスターに相当する。なお、判定用レジスター14bは、1バイトに限定するものではない。
【0033】
制御回路20は、CPU(Central Processing Unit)、各種データの一時記憶等に用いられるRAM、および、マスクROMやフラッシュメモリー、FeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリー)等の不揮発性のメモリー等(いずれも図示せず)を備え、コンピューターとして機能する。
【0034】
また、本実施形態では、制御回路20は、制御部20aおよび画像処理部20bを有している。制御部20aは、上述したハードウェアおよびソフトウェアで構成されており、CPUが不揮発性のメモリーに記憶されている制御プログラムに従って動作することによって、プロジェクター1の動作を統括制御する。
【0035】
画像処理部20bは、上述したハードウェアおよびソフトウェアで構成されており、画像信号入力部31から入力される画像データを、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの各画素の階調を表す画像データに変換する。ここで、変換された画像データは、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素を透過する光の強弱(階調)が規定される。また、画像処理部20bは、変換した画像データに対して、明るさ、コントラスト、シャープネス、色合い等を調整するための画質調整処理等を行う。さらに、画像処理部20bでは、必要に応じてOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を画像データに重畳する処理を行う。画像処理部20bで処理された画像データは、ライトバルブ駆動回路14に出力される。
【0036】
操作受付部21は、プロジェクター1に対して各種指示を行うための複数のキー等を備えている。操作受付部21が備えるキーとしては、電源のオン/オフを行うための「電源キー」や、入力された画像信号を切り替えるための「入力切替キー」、各種設定を行うためのメニュー画面の表示/非表示を切り替える「メニューキー」、メニュー画面におけるカーソルの移動等に用いられる「カーソルキー」、各種設定を決定するための「決定キー」等がある。ユーザーが操作受付部21を操作すると、操作受付部21は、ユーザーの操作内容に応じた制御情報を制御回路20の制御部20aに出力する。なお、操作受付部21は、リモコン信号受信部(図示せず)と遠隔操作が可能なリモートコントローラー(図示せず)を有した構成としてもよい。この場合、リモートコントローラーは、ユーザーの操作内容に応じた赤外線等の操作信号を発し、リモコン信号受信部がこれを受信して制御情報として制御部20aに伝達する。
【0037】
光源制御部22は、制御回路20の制御部20aの指示に基づいて、光源11に対する電力の供給と停止とを制御し、光源11の点灯および消灯を切り替える。
【0038】
画像信号入力部31には、パーソナルコンピューターやビデオ再生装置、メモリーカード、USBストレージ、デジタルカメラ等、外部の画像供給装置(図示せず)とケーブルを介した接続を行うための各種の画像入力端子が備えられており、画像供給装置から画像信号が入力される。画像信号入力部31は、入力される画像信号を、画像処理部20bで処理可能な形式の画像データに変換して、制御回路20の画像処理部20bに出力する。
【0039】
ライトバルブ駆動回路14が、制御回路20の画像処理部20bから入力される画像データに従って液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、光源11から入射する光を、画像データに応じて画像光に変調し、この画像光が投写レンズ13から投写される。
【0040】
次に、操作受付部21に備わる電源キーが押下され、ハードウェアリセットが行われた後にプロジェクター1が起動して投写する際の処理について説明する。
図2は、本実施形態に係るプロジェクター1の起動時の処理のフローチャートである。
【0041】
電源キーが押下されることで電源オンがなされると、制御回路20は、ライトバルブ駆動回路14の一般レジスター14aに液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動するための値を設定する(ステップS101)。次に、制御回路20は、ライトバルブ駆動回路14の判定用レジスター14bに所定の値を設定する(ステップS102)。本実施形態では、所定の値はAAh(16進数)とする。この一般レジスター14aおよび判定用レジスター14bに対する設定が起動時設定に相当する。
【0042】
制御回路20は、起動時の画面の画像データをライトバルブ駆動回路14に出力し、ライトバルブ駆動回路14は、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを画像データに応じて駆動する(ステップS103)。ここで、起動時の画面は、例えば、青色の全画面表示とし、OSDによって画像処理部20bから出力するものとする。なお、起動時の画面はこれに限定するものではない。そして、制御回路20は、光源制御部22に指示を出して、光源11を点灯させる(ステップS104)。光源11は、上述したように放電型の光源ランプ11aを有して構成されている。このため、点灯時には、ランプ駆動部のイグナイタ回路(いずれも図示せず)は、光源ランプ11aの電極間に高電圧を印加して、絶縁破壊による放電経路の形成を行うため、高周波ノイズが発生する場合がある。
【0043】
制御回路20は、判定用レジスター14bの値が設定した値と一致するか否かを判定する(ステップS105)。即ち、判定用レジスター14bの値がAAhか否かを判定する。判定用レジスター14bの値が設定した値と一致した場合(ステップS105:YES)、制御回路20は、画像信号入力部31から入力される入力画像信号に基づく画像データをライトバルブ駆動回路14に出力し、ライトバルブ駆動回路14は、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを画像データに応じて駆動する(ステップS106)。そして、プロジェクター1の起動時の処理を終了する。
【0044】
判定用レジスター14bの値が設定した値と一致していない場合(ステップS105:NO)、制御回路20は、ライトバルブ駆動回路14の一般レジスター14aに液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動するための値を再設定する(ステップS107)。次に、制御回路20は、ライトバルブ駆動回路14の判定用レジスター14bに所定の値(AAh)を再設定する(ステップS108)。そして、ステップS106に移行して、ライトバルブ駆動回路14は、入力画像信号に基づく画像データに応じて液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動する。そして、プロジェクター1の起動時の処理を終了する。ここで、判定用レジスター14bの値が設定した値と一致するか否かの判定処理が、リセット判定部に相当する。また、一般レジスター14aに液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動するための値を再設定する処理と、判定用レジスター14bに所定の値を再設定する処理とが再設定部に相当する。
【0045】
ここで、ライトバルブ駆動回路14に備わる判定用レジスター14bの値の変化について説明する。
図3は、判定用レジスター14bの値についての説明図であり、図3(a)は、プロジェクター1の電源オンによるハードウェアリセット時の判定用レジスター14bの状態を示す図であり、図3(b)は、所定の値設定時の判定用レジスター14bの状態を示す図であり、図3(c)は、ノイズによりリセットされた場合の判定用レジスター14bの状態を示す図であり、図3(d)は、再設定した際の判定用レジスター14bの状態を示す図である。
【0046】
図3(a)に示すように、プロジェクター1の電源オンによるハードウェアリセット時の判定用レジスター14b(1バイト)は、bit0〜bit7まで全て0であり、00hとなっている。図3(b)に示すように、プロジェクター1の初期設定時、即ち所定の値が書き込まれたときの判定用レジスター14bは、bit1,bit3,bit5,bit7に1が書き込まれており、AAhとなっている。図3(c)に示すように、プロジェクター1のライトバルブ駆動回路14がノイズ等によりリセットされた場合の判定用レジスター14bは、bit0〜bit7まで全て0であり、00hとなっている。図3(d)に示すように、プロジェクター1の制御回路20がライトバルブ駆動回路14に再設定した際の判定用レジスター14bは、bit1,bit3,bit5,bit7に1が書き込まれており、AAhとなっている。
【0047】
上述したように、プロジェクター1の制御回路20は、判定用レジスター14bの値の変化により、ライトバルブ駆動回路14がリセットされたか否かを判定することができる。
【0048】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)プロジェクター1の制御回路20は、起動時にライトバルブ駆動回路14に備わる判定用レジスター14bに所定の値(AAh)を設定し、光源11の点灯後に判定用レジスター14bの値が所定の値と一致するか否かを判定する。これにより、光源11の点灯に伴うノイズによって、ライトバルブ駆動回路14がリセットされたか否かを容易に判定することができる。また、この判定用レジスター14bには、特定の機能が割り付けられていないため、プロジェクター1の機能に対する影響が無く、判定用レジスター14bの値を使用するリセット判定処理の汎用性が向上する。つまり、プロジェクターの機種毎に、リセット判定処理で使用する判定用レジスター14bを変更したり、設定する値を変更したりする必要がないため、リセット判定処理の汎用性が向上する。そして、プロジェクターの機種毎に、リセット判定処理を変更する必要がなくなるため、リセット判定処理の流用性が向上し、ソフトウェア開発工数を低減することができる。
【0049】
(2)プロジェクター1の制御回路20は、光源11の点灯後、リセット判定処理を行ってライトバルブ駆動回路14がリセットされたと判断した場合に、ライトバルブ駆動回路14の一般レジスター14aに、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動するための起動時と同様の値を再設定する。これにより、光源11の点灯に伴うノイズ等によってライトバルブ駆動回路14がリセットされ、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを正常に駆動できなくなった場合にも、再度、ライトバルブ駆動回路14の一般レジスター14aに設定をすることで、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを正常に駆動することができる。
【0050】
なお、上述した実施形態に限定されず、種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0051】
(変形例1)上記実施形態では、リセット判定処理は、プロジェクター1の起動時の光源11の点灯に伴うノイズによって、ライトバルブ駆動回路14がリセットされたか否かを判定したが、光源11の点灯時以外においても、リセット判定処理を行ってもよい。例えば、モーター等を有するプロジェクターにおいては、モーターの動作の後でリセット判定処理を行うことで、モーターの動作に伴うノイズによって、ライトバルブ駆動回路14がリセットされたか否かを判定して、再設定することが可能となる。
【0052】
(変形例2)上記実施形態では、リセット信号は、制御回路20が出力するものとしたが、他の回路(図示せず)から出力するものとしてもよい。
【0053】
(変形例3)上記実施形態では、ライトバルブ駆動回路14は、IC(集積回路)としたが、これに限定するものではない。
【0054】
(変形例4)上記実施形態では、プロジェクター1を例にして説明しているが、光変調装置と、光変調装置を駆動する駆動回路と、駆動回路を制御する制御回路と、を備えた画像表示装置であれば適用することが可能である。例えば、透過型のスクリーンを一体的に備えたリアプロジェクター等に適用することも可能である。
【0055】
(変形例5)上記実施形態では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【符号の説明】
【0056】
1…プロジェクター、10…画像投写部、11…光源、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、14…ライトバルブ駆動回路、14a…一般レジスター、14b…判定用レジスター、20…制御回路、20a…制御部、20b…画像処理部、21…操作受付部、22…光源制御部、31…画像信号入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光変調装置と、前記光変調装置を駆動する駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御回路とを備えた画像表示装置であって、
前記駆動回路は、
前記駆動回路をリセットするためのリセット信号を受け付けるリセット信号受付部と、
前記リセット信号受付部が受け付けた前記リセット信号によってリセットされ、且つ特定の機能が割り付けられていない所定のレジスターとを有し、
前記制御回路は、
前記所定のレジスターに対して所定の値の書き込みと読み出しとを行い、値を比較することで、前記駆動回路がリセットされたか否かを判定するリセット判定部を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記制御回路は、前記リセット判定部によって前記駆動回路がリセットされたと判定した場合に、前記駆動回路に対して所定の設定を行う再設定部をさらに有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像表示装置であって、
前記再設定部が行う前記所定の設定は、前記画像表示装置の起動時に前記制御回路が前記駆動回路に対して設定する起動時設定と同様の設定とすることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像表示装置であって、
放電型の光源ランプを光源として有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像表示装置であって、
前記光変調装置は、液晶パネルによって変調を行うことを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
光変調装置と、前記光変調装置を駆動する駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御回路とを備えたプロジェクターであって、
前記駆動回路は、
前記駆動回路をリセットするためのリセット信号を受け付けるリセット信号受付部と、
前記リセット信号受付部が受け付けた前記リセット信号によってリセットされ、且つ特定の機能が割り付けられていない所定のレジスターとを有し、
前記制御回路は、
前記所定のレジスターに対して所定の値の書き込みと読み出しとを行い、値を比較することで、前記駆動回路がリセットされたか否かを判定するリセット判定部を有することを特徴とするプロジェクター。
【請求項7】
光変調装置と、前記光変調装置を駆動する駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御回路とを備え、前記駆動回路は、前記駆動回路をリセットするためのリセット信号を受け付けるリセット信号受付部と、前記リセット信号受付部が受け付けた前記リセット信号によってリセットされ、且つ特定の機能が割り付けられていない所定のレジスターとを有する画像表示装置の制御方法であって、
前記制御回路が、前記所定のレジスターに所定の値の書き込みを行う書込ステップと、
前記制御回路が、前記所定のレジスターの値を読み出す読出ステップと、
前記制御回路が、前記書込ステップで書き込んだ前記所定の値と前記読出ステップで読み出した値とを比較して、前記駆動回路がリセットされたか否かを判定するリセット判定ステップと、
を有することを特徴とする画像表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−22165(P2012−22165A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160339(P2010−160339)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】