画像表示装置の製造方法
【課題】金属箔基板の撓みを抑制しながら所望の特性の素子を形成することができる画像表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】金属箔基板10には、平面形状が長方形の基部11、及びこの基部11から突出する6個の凸部12が設けられている。6個の凸部12のうちの2個は短辺に1個ずつ設けられている。残りの4個は長辺に2個ずつ設けられている。固定基板20は、平面形状が長方形の基部21に6個の凹部22が形成されて構成されている。6個の凹部22のうちの2個は短辺に1個ずつ設けられている。残りの4個は長辺に2個ずつ設けられている。つまり、6個の凹部22は6個の凸部12と整合する位置に設けられている。そして、金属箔基板10を固定基板20上に、各凸部12を各凹部22に嵌合させながら固定する。その後、金属箔基板10上に素子42及び43を形成し、凸部12を切断することにより、金属箔基板10を固定基板20から分離する。
【解決手段】金属箔基板10には、平面形状が長方形の基部11、及びこの基部11から突出する6個の凸部12が設けられている。6個の凸部12のうちの2個は短辺に1個ずつ設けられている。残りの4個は長辺に2個ずつ設けられている。固定基板20は、平面形状が長方形の基部21に6個の凹部22が形成されて構成されている。6個の凹部22のうちの2個は短辺に1個ずつ設けられている。残りの4個は長辺に2個ずつ設けられている。つまり、6個の凹部22は6個の凸部12と整合する位置に設けられている。そして、金属箔基板10を固定基板20上に、各凸部12を各凹部22に嵌合させながら固定する。その後、金属箔基板10上に素子42及び43を形成し、凸部12を切断することにより、金属箔基板10を固定基板20から分離する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパディスプレイ等の画像表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
厚さが数nm〜数百nm程度の半導体薄膜を用いて形成された薄膜トランジスタ(TFT)は、ガラス基板等を用いた液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等に応用されている。更に、近年では、ガラス基板に代わって、可撓性のある金属箔基板を用いたディスプレイの開発も進められている。
【0003】
しかし、金属箔基板は撓みやすいため、搬送時及び素子の形成時等の取り扱いが困難である。例えば、ガラス基板の使用を前提とした製造装置を用いて処理することは極めて困難である。
【0004】
このような金属箔基板を用いたディスプレイの製造方法は、例えば特許文献1に記載されている。この文献に記載の従来技術では、金属箔基板を基板ホルダーに巻き付けて搬送したり、素子を形成したりすることとしている。しかしながら、比較的厚い金属箔基板を用いる場合に、この技術を採用することはできない。これは、金属箔基板が厚くなるほど弾性力が強くなり、金属箔基板を基板ホルダーに巻き付けたままとすることができないからである。つまり、金属箔基板が基板ホルダーに密着しなくなるのである。例えば、金属箔基板がステンレス製の場合には、厚さが50μm以上となると、適切な搬送及び処理が困難となる。
【0005】
また、金属箔基板をガラス基板等に接着剤又は粘着剤を用いて密着させ、ガラス基板を搬送したり、素子を形成したりして画像表示装置を製造する試みもなされている。しかしながら、このような接着剤及び粘着剤の耐熱性が低いため、高温で素子を形成すると、特性に悪影響を及ぼすガスが発生してしまう。このため、接着剤又は粘着剤を用いる場合には、素子の形成温度を低くしなければならず、結局、十分な表示性能の画像表示装置を得ることができない。接着剤又は粘着剤を用いる場合には、素子を形成した後に金属箔基板をガラス基板等から剥離する必要があるが、その際に作用する応力によって素子が損傷することがある。また、剥離後には、ガラス基板等に接着剤又は粘着剤が強固に付着しているため、このガラス基板等を再利用することができない。この結果、製造コストが高いものとなる。
【0006】
このような種々の未解決の問題があるため、これまで、金属箔基板を用いた高性能な画像表示装置は実現されていない。
【0007】
【特許文献1】特開2002−49056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、本発明は、金属箔基板の撓みを抑制しながら所望の特性の素子を形成することができる画像表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明に想到した。
【0010】
本発明に係る画像表示装置の製造方法は、縁に凸部がある金属箔基板を形成する工程と、前記金属箔基板を、凹部が形成された固定基板上に、前記凸部を前記凹部に合わせながら固定する工程と、前記金属箔基板上に素子を形成する工程と、前記凸部を切断することにより、前記金属箔基板を前記固定基板から分離する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、固定基板の凹部への金属箔基板の凸部の嵌合によって金属箔基板の固定が行われるため、金属箔基板の固定を確実に行うことができる。従って、金属箔基板の撓みを抑制しながら所望の特性の素子を形成することができる。また、この嵌合は金属箔基板が特別に薄くなくても可能であるため、種々の厚さの金属箔基板を使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る画像表示装置(有機ELディスプレイ)の製造方法について、添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
本実施形態では、先ず、図1及び図2に示すように、金属箔基板10及び固定基板20を形成する。図1は、金属箔基板10を示す図であり、図2は、固定基板20を示す図である。
【0014】
金属箔基板10には、平面形状が長方形の基部11、及びこの基部11から突出する6個の凸部12が設けられている。基部11の長辺の長さは、例えば300mmであり、短辺の長さは、例えば200mmである。また、各凸部12の突出量は、例えば1mmであり、幅は10mmである。金属箔基板10は、例えばステンレス(SUS430製)であり、その厚さは、例えば10μm〜150μmである。
【0015】
また、6個の凸部12のうちの2個は短辺に1個ずつ設けられている。これらの凸部12は、各短辺の中央に配置されている。一方、残りの4個は長辺に2個ずつ設けられている。これらの凸部12は、例えば、その中心が長辺の中央から50mm離れる位置に配置されている。
【0016】
このような金属箔基板10は、厚さが10μm〜200μmで全体の大きさが金属箔基板10よりも大きなステンレス箔に対して、金型を用いた打ち抜き加工又はエッチング加工を行うことにより、形成することができる。また、レーザカッタを用いて形成してもよい。
【0017】
固定基板20は、平面形状が長方形の基部21に6個の凹部22が形成されて構成されている。基部21の長辺の長さは、例えば300.2mmであり、短辺の長さは、例えば200.2mmである。また、各凹部12の深さは、例えば0.1mmであり、幅は10mmである。固定基板20は、例えばステンレス(SUS430製)であり、その厚さは、例えば0.5mm〜3mmである。
【0018】
また、6個の凹部22のうちの2個は短辺に1個ずつ設けられている。これらの凹部22は、各短辺の中央に配置されている。一方、残りの4個は長辺に2個ずつ設けられている。これらの凹部22は、例えば、その中心が長辺の中央から50mm離れる位置に配置されている。即ち、6個の凹部22は、6個の凸部12と整合する位置に設けられている。
【0019】
このような固定基板20は、厚さが0.3mm〜3mmで全体の大きさが固定基板20よりも大きなステンレス箔に対して、金型を用いた打ち抜き加工又はエッチング加工を行うことにより、形成することができる。また、レーザカッタを用いて形成してもよい。
【0020】
次に、図3Aに示すように、プレス定盤31上に固定基板20を載置し、その上に、金属箔基板10を重ね合わせる。この時、各凸部12の位置を各凹部22の位置に一致させる。なお、図3Aは、図1及び図2中のI−I線に沿った断面図である。
【0021】
次いで、図3Bに示すように、プレス金型32を用いて各凸部12を加圧する。なお、図3Bは、図3A中の右端の部分を拡大して示す断面図である。
【0022】
この結果、図3Cに示すように、凸部12が凹部22内に折り曲げられて嵌合させられる。図3Cには、1組の凸部12及び凹部22のみを示しているが、他の5組についても同様の加工が行われる。このため、6箇所で凸部12が凹部22の側面を押圧することとなり、固定基板20が凸部12によって挟み込まれ、金属箔基板10が固定基板20に密着する。従って、以降の搬送及び処理において金属箔基板10が撓んだり、変形したりすることが抑制され、適切な処理を実行することが可能となる。
【0023】
その後、図3Dに示すように、プレス定盤32を金属箔基板10から取り外す。
【0024】
続いて、図3Eに示すように、金属箔基板10上に絶縁膜41を下地層として形成する。絶縁膜41としては、例えばシリコン酸化膜を形成する。
【0025】
次に、図3Fに示すように、絶縁膜41上に、薄膜トランジスタ42及び発光素子43等の画像表示装置の表示部を構成する素子を形成する。発光素子43としては、図4に示すように、電極45、電子輸送層46、発光層47、正孔輸送層48及び透明電極49がこの順で積層されたものを形成する。透明電極49は、例えばITO(Indium Tin Oxide)からなる。なお、表示部は、複数の画素から構成されており、各画素には、図5に示すように、薄膜トランジスタ42及び発光素子43の他に、ソースがデータ線に接続され、ゲートが選択線54に接続され、ドレインが薄膜トランジスタ42のゲートに接続された薄膜トランジスタ51、及び薄膜トランジスタ42のゲートとキャパシタ線55との間に接続されたキャパシタ52が含まれる。また、発光素子43の陽極(透明電極49)には電源電位Vddが与えられ、発光素子43の陰極(電極45)は薄膜トランジスタ42のソースに接続される。また、キャパシタ線55にも、電源電位Vddが与えられる。薄膜トランジスタ42のドレインは、例えば接地される。
【0026】
各素子を形成した後には、図3Gに示すように、各素子を覆う保護層44を絶縁膜41上に形成する。保護層44としては、例えば樹脂層を形成する。
【0027】
次いで、図3Hに示すように、基部11の縁に沿って保護層44、絶縁膜41及び凸部12を切断する。この切断は、例えばレーザカッタを用いて行う。この切断の結果、固定基板20を挟み込む凸部12が切り離されるため、金属箔基板10と固定基板20との密着が解かれ、金属箔基板10を固定基板20から取り外すことが可能となる。
【0028】
このようにして製造された有機ELディスプレイには、基板として金属箔基板10が使用されているため、可撓性があり、電子ペーパディスプレイとして使用することが可能である。また、本実施形態では、金属箔基板10が固定基板20に強固に固定されているため、高い精度で素子(薄膜トランジスタ42及び発光素子43等)を形成することができる。更に、凸部11を凹部12内に嵌め込むことにより、金属箔基板10を固定基板20に固定しているため、金属箔基板10が厚くても、高い密着度を得ることができる。
【0029】
また、本実施形態では、金属箔基板10及び固定基板20として、互いに同一の材料からなるものを用いているため、薄膜トランジスタ42及び発光素子43等の素子を形成する際の熱処理等により、熱膨張に起因する変形が生じたとしても、その程度が同程度となる。従って、変形が生じたとしても、金属箔基板10は固定基板20から極めて外れにくい。
【0030】
更に、固定基板20への金属箔基板10の固定に際しては、接着剤又は粘着剤等を使用していないため、固定基板20はそのまま再利用することができる。従って、金属箔基板10の形成毎に、固定基板20を形成する必要がなく、従来の技術と比較してコストを低減することができる。
【0031】
なお、金属箔基板の凸部及び固定基板の凹部は、必ずしも基部の4辺に設けられている必要はなく、例えば互いに向かい合う2辺のみに設けられていてもよい。また、凸部の幅は特に限定されないが、基部の当該凸部が設けられている辺の長さの1/2以下とすることが好ましい。これは、凸部の幅が1/2を超えると、凸部が変形しやすくなって、確実に固定することができなくなる虞があるからである。
【0032】
また、本発明の効果は、特に金属箔基板の厚さが200μm以下の場合に顕著に現れる。これは、厚さが200μmを超えると、固定基板等を用いずとも撓みにくくなるからである。また、固定基板の厚さは、0.5mm以上とすることが好ましい。これは、厚さが0.5mm未満の場合には、固定基板自体が変形する虞があるからである。なお、固定基板の厚さは3mm程度あれば十分であると考えられる。
【0033】
更に、上述の実施形態では、画像表示装置として有機ELディスプレイを製造しているが、無機ELディスプレイ等の他の画像表示装置を製造してもよい。この場合には、金属箔基板上に形成する素子及び回路等を適宜変更すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】金属箔基板10を示す図である。
【図2】固定基板20を示す図である。
【図3A】本発明の実施形態に係る画像表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図3B】図3Aに引き続き、画像表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図3C】図3Bに引き続き、画像表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図3D】図3Cに引き続き、画像表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図3E】図3Dに引き続き、画像表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図3F】図3Eに引き続き、画像表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図3G】図3Fに引き続き、画像表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図3H】図3Gに引き続き、画像表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図4】発光素子43を示す断面図である。
【図5】画素の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0035】
10:金属箔基板
11:基部
12:凸部
20:固定基板
21:基部
22:凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパディスプレイ等の画像表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
厚さが数nm〜数百nm程度の半導体薄膜を用いて形成された薄膜トランジスタ(TFT)は、ガラス基板等を用いた液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等に応用されている。更に、近年では、ガラス基板に代わって、可撓性のある金属箔基板を用いたディスプレイの開発も進められている。
【0003】
しかし、金属箔基板は撓みやすいため、搬送時及び素子の形成時等の取り扱いが困難である。例えば、ガラス基板の使用を前提とした製造装置を用いて処理することは極めて困難である。
【0004】
このような金属箔基板を用いたディスプレイの製造方法は、例えば特許文献1に記載されている。この文献に記載の従来技術では、金属箔基板を基板ホルダーに巻き付けて搬送したり、素子を形成したりすることとしている。しかしながら、比較的厚い金属箔基板を用いる場合に、この技術を採用することはできない。これは、金属箔基板が厚くなるほど弾性力が強くなり、金属箔基板を基板ホルダーに巻き付けたままとすることができないからである。つまり、金属箔基板が基板ホルダーに密着しなくなるのである。例えば、金属箔基板がステンレス製の場合には、厚さが50μm以上となると、適切な搬送及び処理が困難となる。
【0005】
また、金属箔基板をガラス基板等に接着剤又は粘着剤を用いて密着させ、ガラス基板を搬送したり、素子を形成したりして画像表示装置を製造する試みもなされている。しかしながら、このような接着剤及び粘着剤の耐熱性が低いため、高温で素子を形成すると、特性に悪影響を及ぼすガスが発生してしまう。このため、接着剤又は粘着剤を用いる場合には、素子の形成温度を低くしなければならず、結局、十分な表示性能の画像表示装置を得ることができない。接着剤又は粘着剤を用いる場合には、素子を形成した後に金属箔基板をガラス基板等から剥離する必要があるが、その際に作用する応力によって素子が損傷することがある。また、剥離後には、ガラス基板等に接着剤又は粘着剤が強固に付着しているため、このガラス基板等を再利用することができない。この結果、製造コストが高いものとなる。
【0006】
このような種々の未解決の問題があるため、これまで、金属箔基板を用いた高性能な画像表示装置は実現されていない。
【0007】
【特許文献1】特開2002−49056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、本発明は、金属箔基板の撓みを抑制しながら所望の特性の素子を形成することができる画像表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明に想到した。
【0010】
本発明に係る画像表示装置の製造方法は、縁に凸部がある金属箔基板を形成する工程と、前記金属箔基板を、凹部が形成された固定基板上に、前記凸部を前記凹部に合わせながら固定する工程と、前記金属箔基板上に素子を形成する工程と、前記凸部を切断することにより、前記金属箔基板を前記固定基板から分離する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、固定基板の凹部への金属箔基板の凸部の嵌合によって金属箔基板の固定が行われるため、金属箔基板の固定を確実に行うことができる。従って、金属箔基板の撓みを抑制しながら所望の特性の素子を形成することができる。また、この嵌合は金属箔基板が特別に薄くなくても可能であるため、種々の厚さの金属箔基板を使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る画像表示装置(有機ELディスプレイ)の製造方法について、添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
本実施形態では、先ず、図1及び図2に示すように、金属箔基板10及び固定基板20を形成する。図1は、金属箔基板10を示す図であり、図2は、固定基板20を示す図である。
【0014】
金属箔基板10には、平面形状が長方形の基部11、及びこの基部11から突出する6個の凸部12が設けられている。基部11の長辺の長さは、例えば300mmであり、短辺の長さは、例えば200mmである。また、各凸部12の突出量は、例えば1mmであり、幅は10mmである。金属箔基板10は、例えばステンレス(SUS430製)であり、その厚さは、例えば10μm〜150μmである。
【0015】
また、6個の凸部12のうちの2個は短辺に1個ずつ設けられている。これらの凸部12は、各短辺の中央に配置されている。一方、残りの4個は長辺に2個ずつ設けられている。これらの凸部12は、例えば、その中心が長辺の中央から50mm離れる位置に配置されている。
【0016】
このような金属箔基板10は、厚さが10μm〜200μmで全体の大きさが金属箔基板10よりも大きなステンレス箔に対して、金型を用いた打ち抜き加工又はエッチング加工を行うことにより、形成することができる。また、レーザカッタを用いて形成してもよい。
【0017】
固定基板20は、平面形状が長方形の基部21に6個の凹部22が形成されて構成されている。基部21の長辺の長さは、例えば300.2mmであり、短辺の長さは、例えば200.2mmである。また、各凹部12の深さは、例えば0.1mmであり、幅は10mmである。固定基板20は、例えばステンレス(SUS430製)であり、その厚さは、例えば0.5mm〜3mmである。
【0018】
また、6個の凹部22のうちの2個は短辺に1個ずつ設けられている。これらの凹部22は、各短辺の中央に配置されている。一方、残りの4個は長辺に2個ずつ設けられている。これらの凹部22は、例えば、その中心が長辺の中央から50mm離れる位置に配置されている。即ち、6個の凹部22は、6個の凸部12と整合する位置に設けられている。
【0019】
このような固定基板20は、厚さが0.3mm〜3mmで全体の大きさが固定基板20よりも大きなステンレス箔に対して、金型を用いた打ち抜き加工又はエッチング加工を行うことにより、形成することができる。また、レーザカッタを用いて形成してもよい。
【0020】
次に、図3Aに示すように、プレス定盤31上に固定基板20を載置し、その上に、金属箔基板10を重ね合わせる。この時、各凸部12の位置を各凹部22の位置に一致させる。なお、図3Aは、図1及び図2中のI−I線に沿った断面図である。
【0021】
次いで、図3Bに示すように、プレス金型32を用いて各凸部12を加圧する。なお、図3Bは、図3A中の右端の部分を拡大して示す断面図である。
【0022】
この結果、図3Cに示すように、凸部12が凹部22内に折り曲げられて嵌合させられる。図3Cには、1組の凸部12及び凹部22のみを示しているが、他の5組についても同様の加工が行われる。このため、6箇所で凸部12が凹部22の側面を押圧することとなり、固定基板20が凸部12によって挟み込まれ、金属箔基板10が固定基板20に密着する。従って、以降の搬送及び処理において金属箔基板10が撓んだり、変形したりすることが抑制され、適切な処理を実行することが可能となる。
【0023】
その後、図3Dに示すように、プレス定盤32を金属箔基板10から取り外す。
【0024】
続いて、図3Eに示すように、金属箔基板10上に絶縁膜41を下地層として形成する。絶縁膜41としては、例えばシリコン酸化膜を形成する。
【0025】
次に、図3Fに示すように、絶縁膜41上に、薄膜トランジスタ42及び発光素子43等の画像表示装置の表示部を構成する素子を形成する。発光素子43としては、図4に示すように、電極45、電子輸送層46、発光層47、正孔輸送層48及び透明電極49がこの順で積層されたものを形成する。透明電極49は、例えばITO(Indium Tin Oxide)からなる。なお、表示部は、複数の画素から構成されており、各画素には、図5に示すように、薄膜トランジスタ42及び発光素子43の他に、ソースがデータ線に接続され、ゲートが選択線54に接続され、ドレインが薄膜トランジスタ42のゲートに接続された薄膜トランジスタ51、及び薄膜トランジスタ42のゲートとキャパシタ線55との間に接続されたキャパシタ52が含まれる。また、発光素子43の陽極(透明電極49)には電源電位Vddが与えられ、発光素子43の陰極(電極45)は薄膜トランジスタ42のソースに接続される。また、キャパシタ線55にも、電源電位Vddが与えられる。薄膜トランジスタ42のドレインは、例えば接地される。
【0026】
各素子を形成した後には、図3Gに示すように、各素子を覆う保護層44を絶縁膜41上に形成する。保護層44としては、例えば樹脂層を形成する。
【0027】
次いで、図3Hに示すように、基部11の縁に沿って保護層44、絶縁膜41及び凸部12を切断する。この切断は、例えばレーザカッタを用いて行う。この切断の結果、固定基板20を挟み込む凸部12が切り離されるため、金属箔基板10と固定基板20との密着が解かれ、金属箔基板10を固定基板20から取り外すことが可能となる。
【0028】
このようにして製造された有機ELディスプレイには、基板として金属箔基板10が使用されているため、可撓性があり、電子ペーパディスプレイとして使用することが可能である。また、本実施形態では、金属箔基板10が固定基板20に強固に固定されているため、高い精度で素子(薄膜トランジスタ42及び発光素子43等)を形成することができる。更に、凸部11を凹部12内に嵌め込むことにより、金属箔基板10を固定基板20に固定しているため、金属箔基板10が厚くても、高い密着度を得ることができる。
【0029】
また、本実施形態では、金属箔基板10及び固定基板20として、互いに同一の材料からなるものを用いているため、薄膜トランジスタ42及び発光素子43等の素子を形成する際の熱処理等により、熱膨張に起因する変形が生じたとしても、その程度が同程度となる。従って、変形が生じたとしても、金属箔基板10は固定基板20から極めて外れにくい。
【0030】
更に、固定基板20への金属箔基板10の固定に際しては、接着剤又は粘着剤等を使用していないため、固定基板20はそのまま再利用することができる。従って、金属箔基板10の形成毎に、固定基板20を形成する必要がなく、従来の技術と比較してコストを低減することができる。
【0031】
なお、金属箔基板の凸部及び固定基板の凹部は、必ずしも基部の4辺に設けられている必要はなく、例えば互いに向かい合う2辺のみに設けられていてもよい。また、凸部の幅は特に限定されないが、基部の当該凸部が設けられている辺の長さの1/2以下とすることが好ましい。これは、凸部の幅が1/2を超えると、凸部が変形しやすくなって、確実に固定することができなくなる虞があるからである。
【0032】
また、本発明の効果は、特に金属箔基板の厚さが200μm以下の場合に顕著に現れる。これは、厚さが200μmを超えると、固定基板等を用いずとも撓みにくくなるからである。また、固定基板の厚さは、0.5mm以上とすることが好ましい。これは、厚さが0.5mm未満の場合には、固定基板自体が変形する虞があるからである。なお、固定基板の厚さは3mm程度あれば十分であると考えられる。
【0033】
更に、上述の実施形態では、画像表示装置として有機ELディスプレイを製造しているが、無機ELディスプレイ等の他の画像表示装置を製造してもよい。この場合には、金属箔基板上に形成する素子及び回路等を適宜変更すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】金属箔基板10を示す図である。
【図2】固定基板20を示す図である。
【図3A】本発明の実施形態に係る画像表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図3B】図3Aに引き続き、画像表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図3C】図3Bに引き続き、画像表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図3D】図3Cに引き続き、画像表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図3E】図3Dに引き続き、画像表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図3F】図3Eに引き続き、画像表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図3G】図3Fに引き続き、画像表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図3H】図3Gに引き続き、画像表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図4】発光素子43を示す断面図である。
【図5】画素の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0035】
10:金属箔基板
11:基部
12:凸部
20:固定基板
21:基部
22:凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縁に凸部がある金属箔基板を形成する工程と、
前記金属箔基板を、凹部が形成された固定基板上に、前記凸部を前記凹部に嵌合させながら固定する工程と、
前記金属箔基板上に素子を形成する工程と、
前記凸部を切断することにより、前記金属箔基板を前記固定基板から分離する工程と、
を有することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記金属箔基板を前記固定基板上に固定する工程は、
前記金属箔基板を、前記凸部を前記凹部に合わせながら、前記固定基板に重ね合わせる工程と、
前記凸部を前記凹部内に折り曲げる工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記凸部を折り曲げる際に、プレス装置を使用することを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記金属箔基板として、少なくとも基部を挟む2箇所に前記凸部が位置するものを形成し、
前記固定基板として、少なくとも前記凸部の双方に整合する位置に前記凹部が位置するものを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記金属箔基板として、平面形状が矩形の基部の各辺に前記凸部が位置するものを形成し、
前記固定基板として、少なくとも前記凸部の全てに整合する位置に前記凹部が位置するものを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記凸部の幅は、当該凸部が位置する辺の長さの1/2以下であることを特徴とする請求項5に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記金属箔基板及び前記固定基板として、互いに同一の材料からなるものを用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記金属箔基板の厚さを、200μm以下とすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記固定基板の厚さを、0.5mm以上とすることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項1】
縁に凸部がある金属箔基板を形成する工程と、
前記金属箔基板を、凹部が形成された固定基板上に、前記凸部を前記凹部に嵌合させながら固定する工程と、
前記金属箔基板上に素子を形成する工程と、
前記凸部を切断することにより、前記金属箔基板を前記固定基板から分離する工程と、
を有することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記金属箔基板を前記固定基板上に固定する工程は、
前記金属箔基板を、前記凸部を前記凹部に合わせながら、前記固定基板に重ね合わせる工程と、
前記凸部を前記凹部内に折り曲げる工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記凸部を折り曲げる際に、プレス装置を使用することを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記金属箔基板として、少なくとも基部を挟む2箇所に前記凸部が位置するものを形成し、
前記固定基板として、少なくとも前記凸部の双方に整合する位置に前記凹部が位置するものを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記金属箔基板として、平面形状が矩形の基部の各辺に前記凸部が位置するものを形成し、
前記固定基板として、少なくとも前記凸部の全てに整合する位置に前記凹部が位置するものを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記凸部の幅は、当該凸部が位置する辺の長さの1/2以下であることを特徴とする請求項5に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記金属箔基板及び前記固定基板として、互いに同一の材料からなるものを用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記金属箔基板の厚さを、200μm以下とすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記固定基板の厚さを、0.5mm以上とすることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2008−102450(P2008−102450A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286746(P2006−286746)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(306032316)新日鉄マテリアルズ株式会社 (196)
【出願人】(396007339)株式会社ソーデナガノ (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(306032316)新日鉄マテリアルズ株式会社 (196)
【出願人】(396007339)株式会社ソーデナガノ (11)
【Fターム(参考)】
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