説明

画像表示装置及びその制御方法

【課題】キャリブレーションのための特別な機材を別途用意しなくても簡便に画像表示装置のキャリブレーションを行うことができる技術を提供する。
【解決手段】外部から表示パネルを透過して入射する光を測定する測定手段と、基準光源で照射したときの測定手段による測定値を基準値として記憶する記憶手段と、他の画像表示装置と通信する通信手段と、マスタ動作モードとスレーブ動作モードとのいずれかでキャリブレーションを行う手段と、を備える。マスタ動作モードでは、測定用画像を表示した状態の他の画像表示装置の画面からの光を入射させたときの測定手段による測定値を取得し、測定値と基準値との差分を算出し、差分に基づき他の画像表示装置がキャリブレーションを行うために必要なデータを他の画像表示装置へ送信する。スレーブ動作モードでは、自身の画像表示装置のキャリブレーションを行うために必要なデータを他の画像表示装置から取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像表示装置のキャリブレーションでは、画像表示装置の画面の基準箇所(例えば画面中央部)で輝度や色度を測定し、その測定値が目標値に一致するように、画像データ、液晶駆動量、バックライト発光量等を補正する(例えば、特許文献1参照)。これにより、個体差や経時変化による輝度や色度のバラつきを均一化することができる。
【0003】
また、複数の液晶表示装置の間で色を合わせる技術として、特許文献2に記載された技術がある。これは、画面の基準箇所での色度の測定値と、基準箇所を含む複数箇所での色度の測定値の平均値と、の差分で補正した目標色度と、基準箇所での色度と、が近付くように行うキャリブレーションを複数の液晶表示装置について繰り返す技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−209230号公報
【特許文献2】特開2010−212937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来のキャリブレーション技術では、画面の輝度や色度を測定するためのセンサや、センサによる測定値に基づきキャリブレーション処理を行うPC(Personal
Computer)等の機材を別途用意する必要がある。また、複数箇所の測定を行う技術はキャリブレーションのための作業が煩雑になってしまう。
可搬型の画像表示装置の普及により、キャリブレーションのための専用の環境を用意できない外出先でのキャリブレーションの必要性や、複数台の画像表示装置の間で輝度や色度を合わせる必要性が高まることが考えられる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、キャリブレーションのための特別な機材を別途用意しなくても簡便に画像表示装置のキャリブレーションを行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、入力される画像データに基づく画像を表示する表示パネルを備えた画像表示装置であって、
画像表示装置の外部から前記表示パネルを透過して画像表示装置の内部へ入射する光の輝度及び色度の少なくともいずれかを測定する測定手段と、
所定の基準光源の光を入射させたときの前記測定手段による測定値を基準値として記憶する記憶手段と、
他の画像表示装置と通信する通信手段と、
画像表示装置のキャリブレーションを行うキャリブレーション手段と、
前記キャリブレーション手段をマスタ動作モード及びスレーブ動作モードの2つの動作モードのいずれかで動作させる制御手段と、
を備え、
マスタ動作モードでは、前記キャリブレーション手段は、前記基準光源の輝度及び色度に対応する所定の測定用画像を表示した状態の他の画像表示装置の画面からの光を入射さ
せたときの前記測定手段による測定値を取得し、当該測定値と前記基準値との差分を算出し、前記差分に基づき前記他の画像表示装置が前記他の画像表示装置のキャリブレーションを行うために必要なデータを前記通信手段を用いて前記他の画像表示装置へ送信し、
スレーブ動作モードでは、前記キャリブレーション手段は、前記画像表示装置のキャリブレーションを行うために必要なデータを前記通信手段を用いて他の画像表示装置から取得し、当該取得したデータに基づき前記画像表示装置のキャリブレーションを行う画像表示装置である。
【0008】
本発明は、入力される画像データに基づく画像を表示する表示パネルを備えた画像表示装置の制御方法であって、
画像表示装置の外部から前記表示パネルを透過して画像表示装置の内部へ入射する光の輝度及び色度の少なくともいずれかを測定する測定工程と、
所定の基準光源の光を入射させたときの前記測定工程による測定値を基準値として記憶手段から読み込む工程と、
他の画像表示装置と通信する通信工程と、
画像表示装置のキャリブレーションをマスタ動作モード及びスレーブ動作モードの2つの動作モードのいずれかで行うキャリブレーション工程と、
を有し、
マスタ動作モードでは、前記キャリブレーション工程は、前記基準光源の輝度及び色度に対応する所定の測定用画像を表示した状態の他の画像表示装置の画面からの光を入射させたときの前記測定工程による測定値を取得し、当該測定値と前記基準値との差分を算出し、前記差分に基づき前記他の画像表示装置が前記他の画像表示装置のキャリブレーションを行うために必要なデータを前記通信工程により前記他の画像表示装置へ送信し、
スレーブ動作モードでは、前記キャリブレーション工程は、前記画像表示装置のキャリブレーションを行うために必要なデータを前記通信工程により他の画像表示装置から取得し、当該取得したデータに基づき前記画像表示装置のキャリブレーションを行う画像表示装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キャリブレーションのための特別な機材を別途用意しなくても簡便に画像表示装置のキャリブレーションを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の3つの動作モードを説明する図
【図2】実施例1の光センサ近傍の断面を示す概念図
【図3】実施例1の画像表示装置のブロック図
【図4】実施例1のキャリブレーション処理手順を示すシーケンス図
【図5】実施例1のキャリブレーション処理手順を示すシーケンス図
【図6】実施例1の画像表示装置の出射光の偏光角度を説明する図
【図7】実施例2の画像表示装置のブロック図
【図8】実施例2のキャリブレーション処理手順を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の具体的な実施例について図面を参照して詳細に説明する。以下で説明する実施例は、本発明の範囲を実施例に記載した範囲に限定することを意図するものではなく、本発明の実施形態の一例である。
【0012】
(実施例1)
実施例1では、液晶パネルとバックライトを備えた画像表示装置に対する本発明の適用例について説明する。本実施例では、バックライトの光及び外部から入射する光を測定可
能な光センサを内蔵する画像表示装置を2台用いる。一方の画像表示装置の輝度及び色度を他方の画像表示装置の光センサにより測定し、その測定結果に基づき一方の画像表示装置をキャリブレーションする。本実施例では、同一構成の2台の画像表示装置を用いる場合を例に説明する。
【0013】
本実施例に係る2台の画像表示装置100a、100bは、それぞれ3つの動作モードを切り替えて動作する。3つの動作モードは、通常動作モード、キャリブレーションモード、及び均一光入射モードである。通常動作モードでは、入力される画像データに基づく画像が画面に表示される。キャリブレーションモードでは、画像表示装置のキャリブレーション処理が行われる。均一光入射モードでは、基準光源の光を画像表示装置の画面全域に照射したときの光センサによる測定値から、キャリブレーションモードで用いる目標値(基準値)が作成され、記憶部に記憶される。
【0014】
図1は、画像表示装置の3つの動作モードを説明する図である。なお、図1(A)及び図1(C)においては、画像表示装置100aのみを記載しているが、画像表示装置100bについても同様である。
図1(A)は、通常動作モードで動作している画像表示装置100aを示す概念図である。図1(A)において、画像表示装置100aは、画像ケーブル2000でPC1000と接続され、PC1000から入力される画像データに基づく画像を画面に表示する。画像ケーブル2000は、例えば、DVI(商標)やDisplayPort(商標)等である。
【0015】
また、画像表示装置100aはネットワーク4000を介してコンテンツサーバ3000と接続しており、画像表示装置100aは、ユーザの操作に応じてコンテンツサーバ3000から取得した画像データに基づく画像を表示する。また、PC1000も同様にネットワーク4000を介して画像表示装置100aに接続されており、画像表示装置100aは、ユーザの操作に基づいてPC1000から取得した画像データに基づく画像を表示する。
【0016】
図1(B)は、キャリブレーションモードで動作している画像表示装置100a及び画像表示装置100bを示す概念図である。図1(B)において、画像表示装置100bは画像表示装置100aと同型とする。なお、画像表示装置100aと画像表示装置100bは、本発明に係る構成要素を共通に備えていれば、必ずしも同型でなくても良い。
ここでは説明の便宜上、画像表示装置100aは、既にキャリブレーションが完了しており、画像表示装置100bは、キャリブレーションが行われていないものとする。すなわち、画像表示装置100bがキャリブレーションの対象となる。
【0017】
図1(B)に示すように、キャリブレーションモードでは、キャリブレーション済である画像表示装置100aがマスタ、キャリブレーション対象の画像表示装置100bがスレーブとなる。マスタ側の画像表示装置100aがスレーブ側の画像表示装置100bにキャリブレーション用のパッチ画像(測定用画像)の表示やバックライトの点灯を指示する。そして、スレーブ側の画像表示装置100bの画面表示をマスタ側の画像表示装置100aの光センサにより測定する。マスタ側の画像表示装置100aがキャリブレーション結果をスレーブ側の画像表示装置100bに送信することにより、スレーブ側の画像表示装置100bのキャリブレーションが行われる。
【0018】
キャリブレーション実行時は画像表示装置100aと画像表示装置100bは互いに表示面を対向させ、互いになるべく近接させる。マスタ側の画像表示装置100aとスレーブ側の画像表示装置100bとは無線又は有線によりデータや命令の通信を行う。
【0019】
図1(C)は、均一光入射モードで動作している画像表示装置100aを示す概念図である。均一光入射モードでは、面光源である基準光源を用いて、基準光源の発光面と画像表示装置100aの画面(液晶パネル)とを近接させ対向させた状態で、画像表示装置100aの画面全域を照射する。そして、そのときに画像表示装置100aの外部から液晶パネルを透過して内部に入射した光を、画像表示装置100aに内蔵する光センサで測定する。そのために、均一光入射モードでは、画像表示装置は、液晶パネルの透過率が最大、かつ、バックライトを消灯した状態となることで、光センサで外部光が測定できる状態となる。均一光入射モードでは、光センサによる輝度及び色度の測定値を、キャリブレーションモードで画像表示装置100bのキャリブレーションを行う際の基準値(目標値)として用いるために、均一光入射時テーブルとして画像表示装置100aの記憶部に記憶する。基準光源としては、輝度及び色度が均一になるよう予めキャリブレーションされた面光源を用いる。
【0020】
均一光入射時テーブルは、画像表示装置を工場で製造する際に、均一光入射モードで画像表示装置を動作させることで作成され、記憶される。なお、使用過程においてユーザが自ら均一光入射時テーブルを再作成することができるように、画像表示装置を取り付け可能なドッキングステーションのような形態で基準光源がユーザに提供されるようにしても良い。
【0021】
図2は、画像表示装置100a及び画像表示装置100bの断面の概念図である。図2に示すように、画像表示装置は、液晶パネル106とバックライト116を含み、バックライト116は複数のバックライト光源105及び反射板117を含む。複数のバックライト光源105は独立に発光量を制御可能である。画像表示装置内部には、バックライト光源105の近傍に配置された複数の光センサ107が設けられる。光センサ107は、近傍に設けられたバックライト光源105から受光できるように配置され、その測定値に基づきバックライト116の輝度及び色度を各バックライト光源105に対応するエリア毎に検出することができる。また、光センサ107は、画像表示装置の外部から液晶パネル106を透過して入射する光を受光できるように配置され、その測定値に基づき外部からの入射光の輝度及び色度を検出することができる。
【0022】
バックライト光源105としては、例えば、LED(Light−Emitting Diode、発光ダイオード)、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp、冷陰極管ランプ)を用いることができる。或いは、EL(Electro Luminescence)パネル等を用いることもできる。なお、バックライト光源105として何を用いるかは本実施例では特に限定されない。
【0023】
図3は、本実施例に係る画像表示装置100aのブロック図である。画像表示装置100a及び画像表示装置100bは同一構成であるから、ここでは画像表示装置100bのブロック図については省略する。以下の説明において、添え字が「b」の符号で表されるブロックは図示しないが、当該ブロックの機能は、数字が同じで添え字が「a」である画像表示装置100aのブロックと同じである。字前述の通り、本実施例では画像表示装置100aがキャリブレーション済みモニタとしてマスタ側となり、画像表示装置100bがキャリブレーション対象としてスレーブ側になる場合を説明する。
【0024】
(マスタ側画像表示装置)
まず、マスタ側である画像表示装置100aの構成について説明する。
外部入力部101aは、モード移行制御部115aの制御により、動作モードに応じて動作が切り替わる。
通常動作モードでは、外部入力部101aは、外部からの入力信号を液晶制御部102a及びバックライト制御部103aでの処理に適した信号に変換し、液晶制御部102a
及びバックライト制御部103aに出力する。
キャリブレーションモード及び均一光入射モードでは、外部入力部101aは機能を停止する。
【0025】
液晶制御部102aは、モード移行制御部115aの制御により、動作モードに応じて動作が切り替わる。
通常動作モードでは、液晶制御部102aは、外部入力部101aから入力される画像信号に応じた液晶パネル106aの駆動量を、記憶部104aに記憶されている液晶補正テーブルの補正データを用いて補正し、液晶パネル106aへ入力する。液晶補正テーブルは、個体差や経時変化による液晶パネル106aの輝度及び色度のばらつきを補償するように画像信号に応じた液晶駆動量を補正するための補正データを格納するテーブルである。これにより、外部入力部101aから入力される画像信号に基づく画像が、輝度や色度のムラが抑制された画質で液晶パネル106aに表示される。
キャリブレーションモード(マスタ動作モード)及び均一光入射モードでは、液晶制御部102aは、キャリブレーション制御部109aの指示を受け、液晶パネル106aの光透過率が最も高くなるように、液晶パネル106aへ駆動信号を入力する。
【0026】
バックライト制御部103aは、モード移行制御部115aの制御により、動作モードに応じて動作が切り替わる。
通常動作モードでは、バックライト制御部103aは、外部入力部101aから入力される画像信号に応じたバックライト光源105aの発光量を、記憶部104aに記憶されているバックライト補正テーブルの補正データを用いて補正する。そして、補正した発光量をバックライト光源105aへ入力する。バックライト補正テーブルは、個体差や経時変化によるバックライト光源105aの輝度及び色度のばらつきを補償するように画像信号に応じたバックライト光源の発光量を補正するための補正データを格納するテーブルである。これにより、外部入力部101aから入力される画像信号に応じた発光量で、輝度や色度のムラが抑制された状態でバックライト116aが発光する。
【0027】
また、バックライト制御部103aは、複数の光センサ107aで測定したバックライト116a各部の輝度及び色度を、セレクタ108aを制御して選択的に取得する。例えば、バックライト制御部103aは、1番目の光センサ107aからn番目の光センサ107aまで順次、セレクタ108aに信号を入力させる光センサ107aを切り替えていくことで、n個の光センサ107aによる測定値を取得する。そして、取得した光センサ107aによる測定値と、記憶部104aに記憶されている基準値である輝度/色度目標値テーブルの値と、の差分を算出し、その差分が小さくなるようにバックライト光源105aの発光量を補正するフィードバック制御を行う。輝度/色度目標値テーブルは、バックライト116の輝度及び色度の目標値が、光センサ107aにより輝度及び色度の測定が行われる箇所毎に格納されたテーブルである。
【0028】
バックライト制御部103aによる比較演算は、光センサ107aにより輝度及び色度の測定が行われる箇所毎に、光センサ107aによる測定値と、輝度/色度目標値テーブルに格納された目標値と、の差分を計算することにより行われる。そのために、バックライト制御部103aは、光センサ107aの測定値と輝度/色度目標値テーブルとの比較演算の際、セレクタ108aから測定値を出力させる光センサ107aをn個の光センサ107aのうちから選択する制御を行う。また、バックライト制御部103aは、選択された光センサ107aに対応する目標値のデータを輝度/色度目標値テーブルから抽出する制御を行う。
【0029】
キャリブレーションモード(マスタ動作モード)及び均一光入射モードでは、バックライト制御部103aは、キャリブレーション制御部109aの制御により、バックライト
116aを消灯する制御を行う。これにより、画像表示装置100bからの入射光を光センサ107aで受光できるようになる。
【0030】
記憶部104aは、液晶制御部102a、バックライト制御部103a、及びキャリブレーション制御部109aのそれぞれから、内部バス114aを介し、データの読み書きが行われる。
記憶部104aは、液晶補正テーブル、バックライト補正テーブル、輝度/色度目標値テーブル、及び均一光入射時テーブルの記憶領域を有する。各テーブルは、画面の各エリアの位置を示す座標や、入力画像信号のレベルなどをキーとする、ルックアップテーブルとなっている。各テーブルの役割について以下に述べる。
【0031】
液晶補正テーブルには、液晶パネル106aの個体差による輝度及び色度のばらつきに応じて液晶パネル106aの駆動量を補正するための補正データが格納されている。
バックライト補正テーブルには、バックライト光源105aの個体差による輝度及び色度のばらつきに応じてバックライト光源105aの発光量を補正するための補正データが格納されている。
輝度/色度目標値テーブルには、バックライト116aの輝度及び色度の目標値が格納されている。バックライト116aの各バックライト光源105aの発光量は、光センサ107aによる輝度及び色度の測定値がこの輝度/色度目標値テーブルに格納された目標値に近付くように調整される。
均一光入射時テーブルには、均一光入射モードで基準光源を画像表示装置100aの画面全域に照射したときの光センサ107aによる測定値が格納されている。キャリブレーションモードにおいては、この均一光入射時テーブルの値を基準値(目標値)として、スレーブ側の画像表示装置のキャリブレーションが行われる。
【0032】
バックライト116aは、バックライト制御部103aの制御により発光し、液晶パネル106aを背面から照射する。バックライト116aは独立に発光量を制御可能な複数のバックライト光源105aを有する。バックライト光源105aとしては、冷陰極管ランプ(CCFL)や発光ダイオード(LED)などを用いることができるが、本実施例では光源の種類は特に限定されない。
【0033】
液晶パネル106aは、液晶制御部102aから入力される駆動信号に応じて液晶の配向が制御されることで、光透過率が変化する。
【0034】
光センサ107aは、画像表示装置内部に複数配置され(本実施例ではn個とする)、バックライト光源105aからの光及び画像表示装置外部から液晶パネル106aを通して入射する光を受光かのうである。光センサ107aが配置されているエリア毎に測定される輝度及び色度は、セレクタ108aに出力される。
【0035】
セレクタ108aは、モード移行制御部115aの制御により、動作モードに応じて動作が切り替わる。
通常動作モードでは、セレクタ108aは、複数の光センサ107aからの輝度及び色度の測定値の入力を、バックライト制御部103aの制御により時分割で切り替え、入力される測定値をバックライト制御部103aに出力する。
キャリブレーションモード(マスタ動作モード)では、セレクタ108aは、複数の光センサ107aからの測定値の入力を、キャリブレーション制御部109aの制御により時分割で切り替え、入力される測定値をキャリブレーション演算部111aに出力する。
均一光入射モードでは、セレクタ108aは、複数の光センサ107aからの測定値の入力を、キャリブレーション制御部109aの制御により時分割で切り替え、入力される測定値をキャリブレーション制御部109aに出力する。
【0036】
なお、このセレクタ108aは複数の光センサ107aとバックライト制御部103aやキャリブレーション制御部109aとの配線数を低減するために設けたものである。セレクタ108aを用いず、複数の光センサ107aとバックライト制御部103aやキャリブレーション制御部109aとを独立の配線で接続するようにしても良い。
【0037】
キャリブレーション制御部109aは、モード移行制御部115aの制御により、動作モードに応じて動作が切り替わる。
通常動作モードでは、キャリブレーション制御部109aは、機能を停止する。
キャリブレーションモード(マスタ動作モード)では、キャリブレーション制御部109aは、画像表示装置100bから出射される光を光センサ107aで受光できるように、液晶制御部102a及びバックライト制御部103aを制御する。
【0038】
また、キャリブレーション制御部109aは、セレクタ108aを制御し、複数の光センサ107aから入力される輝度及び色度の測定値を時分割でキャリブレーション演算部111aに出力させる。
また、キャリブレーション制御部109aは、キャリブレーション設定値決定部110aから入力された値を送信部112aに送信する。
また、キャリブレーション制御部109aは、送信部112a及び受信部113aを用いて画像表示装置100bと通信を行い、画像表示装置100a、100bがそれぞれキャリブレーション済み又はキャリブレーション未実行のいずれであるか確認する。
【0039】
また、キャリブレーション制御部109aは、キャリブレーション済みの画像表示装置100aをマスタ側の画像表示装置、キャリブレーション未実行の画像表示装置100bをスレーブ側の画像表示装置として決定する。そして、キャリブレーション制御部109aは、スレーブ側に決定した画像表示装置100bに対して、スレーブ動作モードへの移行要求を送信する。
【0040】
均一光入射モードでは、キャリブレーション制御部109aは、基準光源から出射される光を画像表示装置100a内部に入射させ、光センサ107aで受光できるように液晶制御部102a及びバックライト制御部103aを制御する。また、キャリブレーション制御部109aは、セレクタ108aを制御し、複数の光センサ107aから入力される輝度及び色度の測定値を時分割でキャリブレーション制御部109aに出力させる。
また、キャリブレーション制御部109aは、セレクタ108aから取得した光センサ107aの測定値を、均一光入射時テーブルとして、記憶部104aに格納する。
【0041】
また、画像表示装置100aから制御可能な基準光源を用いる場合、キャリブレーション制御部109aは、送信部112aより基準光源へ制御信号を送信し、基準光源を所定の複数の輝度レベルで発光させる。そして、複数の輝度レベルの各々について均一光入射時テーブルを作成する。或いは、輝度又は色度の少なくともいずれかが異なる複数の基準光源を用いて、各基準光源に関するキャリブレーションのための基準値として均一光入射時テーブルを作成する。そして、キャリブレーションを行う基準光源毎に、その基準光源に対応する均一光入射時テーブルと、その基準光源の輝度及び色度に対応する色票を画像表示装置100bに表示させたときの光センサ107aによる測定値と、の差分を計算する。この差分に基づき、画像表示装置100bのキャリブレーションを行う。これにより、輝度カーブや色度カーブのキャリブレーションが可能になる。なお、基準光源としては、予め所定の輝度及び色度で均一になるようにキャリブレーションされた面光源であれば、必ずしも画像表示装置100aから制御可能である必要はない。
【0042】
キャリブレーション設定値決定部110aは、モード移行制御部115aの制御により
、動作モードに応じて動作が切り替わる。
通常動作モード及び均一光入射モードでは、キャリブレーション設定値決定部110aは機能を停止する。
キャリブレーションモード(マスタ動作モード)では、キャリブレーション設定値決定部110aは、画像表示装置100bのバックライト116bの新たな発光量及び液晶パネル106bの新たな液晶駆動量を決定する。この処理は、キャリブレーション演算部111aから入力される演算結果を元に行われる。
【0043】
キャリブレーション演算部111aは、モード移行制御部115aの制御により、動作モードに応じて動作が切り替わる。
通常動作モード及び均一光入射モードでは、キャリブレーション演算部111aは機能を停止する。
キャリブレーションモード(マスタ動作モード)では、キャリブレーション演算部111aは、セレクタ108aから入力された光センサ107aの測定値と記憶部104aの均一光入射時テーブルに格納されている値との差分を演算する。そして、演算結果をキャリブレーション設定値決定部110aに出力する。
【0044】
送信部112a及び受信部113aは、モード移行制御部115aの制御により、動作モードに応じて動作が切り替わる。
通常動作モードでは、送信部112a及び受信部113aは機能を停止する。
キャリブレーションモード(マスタ動作モード)では、キャリブレーション制御部109aにより画像表示装置100bとの間の通信が確立され、送信部112a及び受信部113aは、画像表示装置100bとデータの送受信を行うために用いられる。
なお、画像表示装置100aと画像表示装置100bとの通信インターフェースや、制御可能な基準光源を用いる場合の画像表示装置100aと基準光源との間の通信インターフェースは、近接無線通信が望ましいが、有線でも良く、本実施例では特に限定されない。
【0045】
均一光入射モードでは、キャリブレーション制御部109aにより画像表示装置100aと基準光源との間の通信が確立され、送信部112a及び受信部113aは、基準光源に制御コマンドを送信するために用いられる。なお、制御可能な基準光源を用いない場合、送信部112a及び受信部113aは、基準光源との通信インターフェースとしての機能を有している必要はない。
【0046】
内部バス114aは、液晶制御部102a、バックライト制御部103a、記憶部104a、セレクタ108a、キャリブレーション制御部109a、キャリブレーション演算部111a、モード移行制御部115aに接続される。これら画像表示装置100aの各機能部同士は、内部バス114aを介して、各種制御コマンドやデータの授受を行うことができる。
【0047】
モード移行制御部115aは、図示しないユーザーインターフェースを介して入力されるモード切替指示により、動作モードに応じて動作が切り替わる各機能部に対して、指示された動作モードへの移行制御を行う。上記のように、本実施例の画像表示装置100aは、通常動作モード、キャリブレーションモード、及び均一光入射モードの3つの動作モードのいずれかに切り替えて動作する。動作モードに応じて動作が切り替わるは機能部は、画像表示装置100aの場合、以下の機能部である。外部入力部101a、液晶制御部102a、バックライト制御部103a、セレクタ108a、キャリブレーション制御部109a、キャリブレーション設定値決定部110a、キャリブレーション演算部111a、送信部112a、及び受信部113a。
【0048】
(スレーブ側画像表示装置)
次に、スレーブ側である画像表示装置100bの構成について説明する。
以下の機能部は、マスタ側の画像表示装置100aと同様の動作となるため、説明を省略する。外部入力部101b、記憶部104b、バックライト光源105b、バックライト116b、液晶パネル106b、光センサ107b、送信部112b、受信部113b、内部バス114b、モード移行制御部115b。
【0049】
液晶制御部102bは、通常動作モード及び均一光入射モードではマスタ側の液晶制御部102aと同様の動作となるため説明を省略する。
キャリブレーションモード(スレーブ動作モード)では、液晶制御部102bは、キャリブレーション制御部109bの制御によりキャリブレーション用のパッチ画像(本実施例では白100%ラスター画像)を液晶パネル106bに出力する。
【0050】
その際、液晶制御部102bは、通常動作モードの場合と同様、記憶部104bの液晶補正テーブルから補正データを読み出し、液晶駆動量を補正する。また、マスタ側の画像表示装置100aからキャリブレーション設定値決定部110aで決定された新たな液晶駆動量のデータが送信されてきた場合、それを新たな補正データとして液晶駆動量を補正する。これにより、画像表示装置100bの画面から発せられる光の輝度及び色度が均一に所定の目標値に近付くよう液晶駆動量のフィードバック制御が行われる。
キャリブレーションモード終了時に、液晶制御部102bは、最終(最新)の補正データをもとに新たな液晶補正テーブルを作成し記憶部104bに書き込む。
【0051】
バックライト制御部103bは、通常動作モード及び均一光入射モードではマスタ側のバックライト制御部103aと同様の動作となるため説明を省略する。
キャリブレーションモード(スレーブ動作モード)では、バックライト制御部103bは、キャリブレーション制御部109bの制御によりキャリブレーション用のパッチ画像に対応する発光量でバックライト光源105bを発光させる。
【0052】
その際、バックライト制御部103bは、通常動作モードの場合と同様、記憶部104bのバックライト補正テーブルから補正データを読み出し、バックライト光源105bの発光量を補正する。また、マスタ側の画像表示装置100aからキャリブレーション設定値決定部110aで決定された発光量のデータが送信されてきた場合、それを新たな補正データとしてバックライト光源105bの発光量を補正する。これにより、画像表示装置100bの画面から発せられる光の輝度及び色度が均一に所定の目標値に近付くようバックライト光源105bの発光量をフィードバック制御が行われる。
キャリブレーションモード終了時に、バックライト制御部103bは、最終(最新)の補正データをもとに新たなバックライト補正テーブルを作成し記憶部104bに書き込む。
【0053】
セレクタ108bは、通常動作モード及び均一光入射モードでは、マスタ側のセレクタ108aと同様の動作となるため説明を省略する。
キャリブレーションモード(スレーブ動作モード)においては、セレクタ108bは、バックライト補正モードでキャリブレーション実行中は機能を停止する。バックライト補正モード終了後は、セレクタ108bは、複数の光センサ107bからの測定値の入力を、キャリブレーション制御部109bの制御により時分割で切り替え、入力される測定値をキャリブレーション制御部109bに出力する。
【0054】
キャリブレーション制御部109bは、通常動作モード及び均一光入射モードでは、キャリブレーション制御部109aと同様の動作となるため説明を省略する。
キャリブレーションモード(スレーブ動作モード)においては、キャリブレーション制
御部109bは、画像表示装置100bをスレーブ側とする旨の決定に応じて、画像表示装置100bをスレーブ動作モードに移行させる。画像表示装置100bをスレーブ側とする旨の決定は、画像表示装置100aのキャリブレーション制御部109aによりなされる。
【0055】
また、キャリブレーション制御部109bは、キャリブレーション用のパッチ画像を画像表示装置100bに表示させるように、液晶制御部102b及びバックライト制御部103bを制御する。
また、キャリブレーション制御部109bは、受信部113bから入力される、マスタ側の画像表示装置100aのキャリブレーション設定値決定部110aで決定された液晶駆動量のデータを液晶制御部102bへ送信する。また、バックライト光源105bの発光量のデータをバックライト制御部103bへ送信する。
【0056】
また、キャリブレーション制御部109bは、画像表示装置100aからのバックライト補正モード終了通知を受信すると、セレクタ108bを制御し、各光センサ107bの現在の測定値を記憶部104bの輝度/色度目標値テーブルに書き込む。そして、これを通常動作モードで用いる新たな目標値とする。
【0057】
キャリブレーション設定値決定部110b及びキャリブレーション演算部111bは、通常動作モード及び均一光入射モードでは、それぞれキャリブレーション設定値決定部110a及びキャリブレーション演算部111aと同様の動作となるため説明を省略する。
キャリブレーションモード(スレーブ動作モード)では、キャリブレーション設定値決定部110b及びキャリブレーション演算部111bは、機能を停止する。
【0058】
図4、図5はキャリブレーションモードにおける画像表示装置100a及び画像表示装置100bのキャリブレーションの処理手順を示すシーケンス図である。
【0059】
ステップS101aでは、ユーザからの指示に応じて、モード移行制御部115aは、画像表示装置100aを通常動作モードからキャリブレーションモードへ移行させる。また、画像表示装置100aは、画面を画像表示装置100bの画面を対向させるようユーザに指示するメッセージを画面に表示する。
【0060】
ステップS102aでは、キャリブレーション制御部109aは、送信部112aを介して、画像表示装置100bに対してキャリブレーションモード移行要求を送信する。
【0061】
ステップS101bでは、モード移行制御部115bは、画像表示装置100aから受信部113bで受信した、キャリブレーションモード移行要求により、画像表示装置100bをキャリブレーションモードに移行させる。
【0062】
ステップS102bでは、キャリブレーション制御部109bは、送信部112bを介し、画像表示装置100aに対して、キャリブレーションモードに移行完了したことを送信する。
【0063】
ステップS103aでは、キャリブレーション制御部109aは、画像表示装置100bに対して、過去にキャリブレーションを実施したかどうかを問い合わせる、キャリブレーション実施確認要求を送信する。
【0064】
ステップS103bでは、キャリブレーション制御部109bは、画像表示装置100aからのキャリブレーション実施確認要求により、過去のキャリブレーション実施状況に応じた回答を画像表示装置100aに対して送信する。ここでは、過去にキャリブレーシ
ョンが実施されていない場合を例に説明しているので、キャリブレーション制御部109bは、キャリブレーション未実施であることを画像表示装置100aに対して送信する。
【0065】
ステップS104aでは、キャリブレーション制御部109aは、画像表示装置100bがキャリブレーション未実施であることを受け、画像表示装置100aをマスタ側に、画像表示装置100bをスレーブ側に決定する。なお、画像表示装置100bがキャリブレーション実施済である場合には、このフローの処理を終了する。
【0066】
ステップS105aでは、キャリブレーション制御部109aは、画像表示装置100bに対して、スレーブ動作モード移行要求を送信する。
【0067】
ステップS104bでは、キャリブレーション制御部109bは、画像表示装置100aからのスレーブ動作モード移行要求により、画像表示装置100bをスレーブ動作モードに移行させる。
【0068】
ステップS105bでは、キャリブレーション制御部109bは、スレーブ動作モードに移行完了したことを画像表示装置100aに対して、送信する。
【0069】
ステップS106aでは、キャリブレーション制御部109aは、画像表示装置100bがスレーブ動作モードに移行完了したことを確認し、画像表示装置100aをマスタ動作モードに移行させる。
【0070】
ステップS107aでは、キャリブレーション制御部109aは、キャリブレーション項目の一つである、バックライトの輝度及びムラ補正を実行するため、バックライト補正モードに移行する。
【0071】
ステップS108aでは、キャリブレーション制御部109aは、画像表示装置100bに対して、バックライト補正モード移行要求を送信する。
【0072】
ステップS106bでは、キャリブレーション制御部109bは、画像表示装置100aからのバックライト補正モード移行要求により、バックライト補正モードに移行する。
【0073】
ステップS107bでは、キャリブレーション制御部109bは、画像表示装置100aに対して、バックライト補正モード移行完了通知を送信する。
【0074】
ステップS109aでは、キャリブレーション制御部109aは、バックライト116aを消灯するようにバックライト制御部103aを制御する。また、液晶制御部102aを制御し、液晶パネル106aを最も透過率が高くなる設定で駆動させる。これにより光センサ107aは画像表示装置100aの外部から液晶パネル106aを通して入射する光を受光できる状態となる。
【0075】
ステップS110aでは、キャリブレーション制御部109aは、画像表示装置100bに対して、キャリブレーション用のパッチ画像(ここでは白100%ラスター画像)を表示するよう、パッチ画像出力要求を送信する。ここで、パッチ画像は、均一光入射モードで均一光入射時テーブルを作成した際に用いた基準光源の輝度レベルに対応する画像である。複数の輝度レベルの基準光源で均一光入射時テーブルを作成した場合には、キャリブレーション制御部109aは、複数のパッチ画像からキャリブレーションを行う輝度レベルに対応したパッチ画像を表示するよう指示する。
【0076】
ステップS108bでは、キャリブレーション制御部109bは、液晶パネル106b
を最も透過率が高くなる設定で駆動する。ここで設定される透過率は、出力要求されたパッチ画像(白100%ラスター画像)に応じて決定される。また、キャリブレーション制御部109bは、バックライト光源105aを、現時点で記憶部104bに記憶されているバックライト補正テーブルの補正データを用いて補正した発光量で発光させる。ここで設定される発光量は、出力要求されたパッチ画像(白100%ラスター画像)に応じて決定される。
【0077】
ステップS109bでは、キャリブレーション制御部109bは、パッチ画像(白100%ラスター画像)の出力が完了したことを画像表示装置100aに対して送信する。
【0078】
ステップS111aでは、キャリブレーション演算部111aは、各光センサ107aによる画像表示装置100bからの入射光の輝度の測定値と、記憶部104aの均一光入射時テーブルに格納されている輝度の値と、を比較演算する。また、キャリブレーション演算部111aは、各光センサ107aによる画像表示装置100bからの入射光の色度の測定値と、記憶部104aの均一光入射時テーブルに格納されている色度の値と、を比較演算する。そして、光センサ107aの位置毎の輝度の差分及び色度の差分のテーブルデータを取得する。
【0079】
ここで、均一光入射時テーブルは、前述のように、均一光入射モードで表示画面に対して基準光源により均一な輝度及び色度の光を照射したときの光センサ107aによる輝度及び色度の測定値を格納している。均一光入射時テーブルは、各光センサ107aの位置を表す情報(座標)をキーとするテーブルデータとして予め製造時に作成され、記憶部104aに記憶される。
【0080】
ステップS112aでは、キャリブレーション演算部111aは、ステップS111aで取得した輝度の差分及び色度の差分のテーブルデータを、キャリブレーション設定値決定部110aに入力する。そして、光センサ107aによる輝度の測定値と均一光入射時テーブルの輝度の値との差分、及び、光センサ107aによる色度の測定値と均一光入射時テーブルの色度の値との差分が小さくなる方向に、バックライト光源105bの発光量を決定する。
【0081】
ここで、バックライト光源として単色光源を用いている場合は、キャリブレーション演算部111aが決定する発光量は、当該単色光源の発光量である。バックライト光源として赤色LED、緑色LED、青色LED等のような多色光源を用いている場合は、キャリブレーション演算部111aが決定する発光量は、各色光源の発光量である。
【0082】
このように、光センサ107aによる測定値と均一光入射時テーブルに格納されている値との差分を小さくするようにバックライト光源105bの発光量が調整される。これにより、バックライト116bが均一に所定の目標輝度及び目標色度となるようにキャリブレーションが行われる。
【0083】
ステップS113aでは、キャリブレーション制御部109aは、新たに決定されたバックライト光源105bの発光量のデータを画像表示装置100bに送信する。
【0084】
ステップS110bでは、キャリブレーション制御部109bは、画像表示装置100aから受信したバックライト光源105bの発光量を、バックライト制御部103bに設定し、バックライト光源105bの発光量を変更(更新)する。
【0085】
ステップS111bでは、キャリブレーション制御部109bは、画像表示装置100bのバックライト光源105bの発光量を変更完了したことを、画像表示装置100aに
通知する。
【0086】
ステップS111a〜ステップS111bを繰り返し実行し、キャリブレーション演算部111aの出力する輝度の差分及び色度の差分がそれぞれ閾値以下となるように、バックライト光源105bの発光量を調整する。閾値は輝度の差分及び色度の差分それぞれについて予め定められた値であり、画像表示装置100aの記憶部104aに記憶されている。キャリブレーション演算部111aの出力する輝度の差分及び色度の差分がそれぞれの閾値以下となったら、キャリブレーション制御部109aはバックライト補正モードを終了し、ステップS114aに移行する。
【0087】
なお、上記のバックライト補正モードの説明では、白100%に対応する輝度及び色度についてのみキャリブレーションを行う例を示した。しかし、均一光入射時テーブルに予め複数の輝度レベルについてキャリブレーションの基準となるテーブルデータを持ち、複数の輝度レベルの各々についてステップS111a〜S111bを繰り返して輝度レベル毎に補正データを取得するようにしても良い。これにより、輝度カーブ及び色度カーブについてもキャリブレーションを行うことが可能である。
【0088】
ステップS114aでは、キャリブレーション制御部109aは、画像表示装置100bに対して、バックライト補正モードの終了通知を送信する。また、キャリブレーション項目の一つである、液晶パネルのムラ補正を実行するため、液晶補正モードへの移行要求を送信する。
【0089】
ステップS112bでは、キャリブレーション制御部109bはバックライト補正モード終了通知を受信する。そして、バックライト制御部103bに対して、現在のバックライト光源105bの発光量を新たなバックライト補正テーブルの補正データとして記憶部104bに書き込むよう指示する。
また、キャリブレーション制御部109bは、現在のバックライト光源105bの発光量でバックライト光源105bを発光させたときの、各光センサ107bによる測定値を、セレクタ108bを制御して取得する。そして、取得した測定値により輝度/色度目標値テーブルを更新する。
【0090】
これらの更新されたバックライト補正テーブル及び輝度/色度目標値テーブルは、それぞれ通常動作モードにおいてバックライト光源105bの発光量の補正のための新たな補正データ及びフィードバック制御のための新たな目標値として用いられる。
その後、キャリブレーション制御部109bは、バックライト補正モードを終了し(バックライトムラ補正完了)、液晶補正モードに移行する。
【0091】
なお、本実施例のキャリブレーションのシーケンスにおいて、まずバックライト補正モードを実行し、続いて液晶補正モードを実行しているのは、バックライトの方が発行量の制御単位となるエリアの面積が大きいことによる。すなわち、まずバックライト補正モードで粗くムラ補正しておき、次に液晶補正モードで細かくムラ補正することにより、効率的なキャリブレーションを行うようにしている。
【0092】
ステップS113bでは、キャリブレーション制御部109bは、画像表示装置100aに対し、液晶補正モードに移行完了したことを通知する。
【0093】
ステップS115aでは、キャリブレーション演算部111aは、ステップS111a同様、各光センサ107aによる画像表示装置100bからの入射光の輝度の測定値と、記憶部104aの均一光入射時テーブルに格納されている輝度の値と、を比較演算する。また、キャリブレーション演算部111aは、各光センサ107aによる画像表示装置1
00bからの入射光の色度の測定値と、記憶部104aの均一光入射時テーブルに格納されている色度の値と、を比較演算する。そして、光センサ107aの位置毎の輝度の差分及び色度の差分のテーブルデータを取得する。
【0094】
ステップS116aでは、キャリブレーション演算部111aは、ステップS115aで取得した輝度の差分及び色度の差分のテーブルデータを、キャリブレーション設定値決定部110aに入力する。そして、光センサ107aによる輝度の測定値と均一光入射時テーブルの輝度の値との差分、及び、光センサ107aによる色度の測定値と均一光入射時テーブルの色度の値との差分が小さくなる方向に、新たに画像表示装置100bの液晶駆動量を決定する。
ここで液晶駆動量は、液晶パネル106bのRGB各画素の駆動量である。
【0095】
このように光センサ107aによる測定値と均一光入射時テーブルに格納されている値との差分を小さくするように液晶パネル106bの液晶駆動量が調整される。これにより、先のバックライト補正モードで補正しきれなかった画像表示装置100bの輝度及び色度のムラを補正するキャリブレーションを行うことができる。
【0096】
ステップS117aでは、キャリブレーション制御部109aは、新たに決定された液晶駆動量のデータを画像表示装置100bに送信する。
【0097】
ステップS114bでは、キャリブレーション制御部109bは、画像表示装置100aから受信した液晶駆動量を、液晶制御部102bに設定し、液晶パネル106aの駆動量を変更(更新)する。
【0098】
ステップS115bでは、キャリブレーション制御部109bは、画像表示装置100bの液晶駆動量を変更完了したことを、画像表示装置100aに通知する。
【0099】
ステップS115a〜ステップS115bを繰り返し実行し、キャリブレーション演算部111aの出力する輝度の差分及び色度の差分がそれぞれ閾値以下となるように、液晶パネル106bの駆動量を調整する。閾値は輝度の差分及び色度の差分それぞれについて予め定められた値であり、画像表示装置100aの記憶部104aに記憶されている。キャリブレーション演算部111aの出力する輝度の差分及び色度の差分がそれぞれの閾値以下となったら、キャリブレーション制御部109aは液晶補正モードを終了し、ステップS118aに移行する。なお、液晶補正モードの終了を判断するために用いる閾値と、上述したバックライト補正モードの終了を判断するために用いる閾値は、それぞれ独立に定められる。
【0100】
なお、均一光入射時テーブルに予め複数の輝度レベルについてキャリブレーションの基準となるテーブルデータを持ち、複数の輝度レベルの各々についてステップS115a〜S115bを繰り返して輝度レベル毎に補正データを取得しても良い。これにより、輝度カーブ及び色度カーブについてもキャリブレーションを行うことが可能である。これは、バックライト補正モードと同様である。
【0101】
ステップS118aでは、キャリブレーション制御部109aは、画像表示装置100bに対して、液晶補正モードの終了要求を送信する。
【0102】
ステップS116bでは、キャリブレーション制御部109bは、液晶補正モード終了を受信する。そして、液晶制御部102bに対して、現在の液晶駆動量を新たな液晶補正テーブルの補正データとして記憶部104bに書き込むよう指示して、キャリブレーションモードを終了する。
【0103】
ステップS117bでは、キャリブレーション制御部109bは、画像表示装置100aに対して、キャリブレーションモードを終了したことを通知する。
【0104】
ステップS119aでは、キャリブレーション制御部109aはキャリブレーションモードを終了する。
【0105】
ここで、液晶パネルを有する画像表示装置に適用する場合、液晶パネルから出射される光の偏光方向は特定の方向に制限されたものとなる。そのため、本発明を液晶パネルを有する画像表示装置に適用する場合には、画像表示装置100aと画像表示装置100bの表示画面を対向させたときに、画像表示装置100bからの出射光が画像表示装置100a内に入射できるように留意する必要がある。
【0106】
そのために、例えば、図6(A)に示すように、画像表示装置100a及び画像表示装置100bの出射光の偏光方向が両方とも鉛直方向に対して平行又は垂直の方向で揃うようにする。或いは、図6(B)に示すように、キャリブレーションを実施する際に、旋光性を有する物質を画像表示装置100aと画像表示装置100bの間に挟み、画像表示装置100bからの出射光の偏光方向を回転させる。そして、先行性物質を通過した光の偏光方向が画像表示装置100aからの出射光の偏光方向と揃うようにする。こうすることで、画像表示装置100bからの出射光が画像表示装置100a内に入射できるようになる。
【0107】
本実施例によれば、予め輝度及び色度が均一の基準光源により画面を照射したときの光センサによる測定値のデータを記憶している画像表示装置100a自体をセンサ及びキャリブレーション演算手段として用いている。これにより、画像表示装置100aにより、同一構成の別の画像表示装置100bのキャリブレーションを行うことができる。そのため、従来のキャリブレーション方法で必要であった専用のセンサやキャリブレーション演算を行うためのPC等、特別な装置を用意することなく、簡便にキャリブレーションを実施することが可能となる。
【0108】
なお、本実施例におけるキャリブレーションの校正項目として、特定レベル(白100%輝度)の輝度補正、色度補正、及びムラ補正を行う例を示した。しかし、複数の輝度レベルや複数の色度について均一光入射時テーブルを作成し画像表示装置に記憶させ、複数の輝度レベルや複数の色度について上述の方法でキャリブレーションを実施することで、校正項目として輝度カーブや色度カーブを加えてもよい。また、温度センサを内蔵し、温度毎に均一光入射時テーブルを作成し記憶させ、温度毎にキャリブレーションを行うことで、校正項目として温度補正を加えてもよい。
【0109】
また、本実施例では、ユーザの指示により通常動作モードからキャリブレーションモードへ移行する例を示した。しかし、画像表示装置に実装したセンサにより、ユーザが2台の画像表示装置の表示画面同士を対向させたときにこれを検知、自動的にキャリブレーションモードに移行しキャリブレーションを開始するようにしてもよい。また、画像表示装置の背面に、キャリブレーションの進捗状況(例えば、実行中、終了など)を通知するインジケータを実装してもよい。これにより、ユーザは、画面同士を対向させている2台の画像表示装置で実行中のキャリブレーションの進捗状況を確認することができる。
【0110】
(実施例2)
実施例2では、EL(Electro−Luminescence)パネルを使用した画像表示装置に対する本発明の適用例について説明する。液晶パネルを用いた画像表示装置に対する適用例(実施例1)では、キャリブレーションの実行時に2台の画像表示装置
からの出射光の偏光方向が合うようにする必要があった。これに対し、本実施例に係る画像表示装置は液晶パネルを用いていないので、偏光方向を合わせる必要がなくなり、画像表示装置の構成及びキャリブレーション実行時に考慮すべき制約が少なくなる。
【0111】
図7は、実施例2に係る画像表示装置200aのブロック図である。図7において、実施例1の画像表示装置と同一の機能を持ち、同一の動作をするブロックについては、図3と同一の符号を付し、説明を省略する。マスタ側の画像表示装置200aとスレーブ側の画像表示装置200b(後述)とは同一の構成であるから図7では画像表示装置200bのブロック図を省略した。以下の説明において、添え字が「b」の符号で表されるブロックは図示しないが、当該ブロックの機能は、数字が同じで添え字が「a」である画像表示装置200aのブロックと同じである。
【0112】
まず、マスタ側である画像表示装置200aの構成について説明する。
ELパネル制御部202aは、モード移行制御部115aの制御により、動作モードに応じて動作が切り替わる。
【0113】
通常動作モードでは、ELパネル制御部202aは、外部入力部101aから入力される画像信号に応じたELパネル206aの駆動量を、記憶部104aに記憶されているELパネル補正テーブルの補正データを用いて補正し、ELパネル206aへ入力する。ELパネル補正テーブルは、個体差や経時変化によるELパネル206aの輝度及び色度のばらつきを補償するように画像信号に応じたELパネル駆動量を補正するための補正データを格納するテーブルである。これにより、外部入力部101aから入力される画像信号に基づく画像が、輝度や色度のムラが抑制された画質でELパネル206aに表示される。
また、キャリブレーションモード(マスタ動作モード)及び均一光入射モードでは、ELパネル制御部202aは、キャリブレーション制御部109aの指示を受け、ELパネル206aを消灯する。
【0114】
ELパネル206aは、ELパネル制御部202aから入力される駆動信号に応じて発光する。
【0115】
次に、スレーブ側である画像表示装置200bのブロックについて説明する。
ELパネル制御部202bは、通常動作モード及び均一光入射モードではマスタ側のELパネル制御部202aと同様の動作となるため、説明を省略する。
【0116】
キャリブレーションモード(スレーブ動作モード)では、ELパネル制御部202bは、キャリブレーション制御部109bの制御によりキャリブレーション用のパッチ画像(本実施例では白100%ラスター画像)をELパネル206bに出力する。
【0117】
その際、ELパネル制御部202bは、通常動作モードの場合と同様、記憶部104bのELパネル補正テーブルから補正データを読み出し、ELパネル駆動量を補正する。また、マスタ側の画像表示装置200aからキャリブレーション設定値決定部110aで決定された新たなELパネル駆動量のデータが送信されてきた場合、それを新たな補正データとしてELパネル駆動量を補正する。これにより、画像表示装置200bの画面から発せられる光の輝度及び色度が均一に所定の目標値に近付くようにELパネル駆動量のフィードバック制御が行われる。
キャリブレーションモード終了時に、ELパネル制御部202bは、最終(最新)の補正データをもとに新たなELパネル補正テーブルを作成し記憶部104bに書き込む。
【0118】
ELパネル206bは、マスタ側のELパネル206aと同様の動作となるため説明を
省略する。
【0119】
図8はキャリブレーション実行時における画像表示装置200a、及び画像表示装置200bのキャリブレーション手順を示すシーケンス図である。
図8において、ステップS101a〜S106aまでは、第一の実施例と同一の動作となるため、説明を省略する。
【0120】
ステップS207aでは、キャリブレーション制御部109aは、ELパネルの輝度/ムラ補正を実行するため、ELパネル補正モードに移行する。
【0121】
ステップS208aでは、キャリブレーション制御部109aは、画像表示装置200bに対して、ELパネル補正モード移行要求を送信する。
【0122】
ステップS206bでは、キャリブレーション制御部109bは、画像表示装置200aからのELパネル補正モード移行要求により、ELパネル補正モードに移行する。
【0123】
ステップS207bでは、キャリブレーション制御部109bは、画像表示装置200aに対して、ELパネル補正モード移行完了通知を送信する。
【0124】
ステップS209aでは、キャリブレーション制御部109aは、ELパネル206aを消灯するように、ELパネル制御部202aを制御する。これにより光センサ107aは画像表示装置200aの外部からELパネル206aを通して入射する光を受光できる状態となる。
【0125】
ステップS210aでは、キャリブレーション制御部109aは、画像表示装置200bに対して、キャリブレーション用のパッチ画像(ここでは白100%ラスター画像)を表示するよう、パッチ画像出力要求を送信する。ここで、パッチ画像は、均一光入射モードで均一光入射テーブルを作成した際に用いた基準光源の輝度レベルに対応する画像である。
【0126】
ステップS208bでは、キャリブレーション制御部109bは、ELパネル206bを、現時点で記憶部104bに記憶されているELパネル補正テーブルの補正データを用いて補正したELパネル駆動量で発光させる。ここで設定されるELパネル駆動量は、出力要求されたパッチ画像(白100%ラスター画像)に応じて決定される。
【0127】
ステップS209bでは、キャリブレーション制御部109bは、パッチ画像(白100%ラスター画像)の出力が完了したことを画像表示装置200aに対して送信する。
【0128】
ステップS211aでは、キャリブレーション演算部111aは、各光センサ107aによる画像表示装置200bからの入射光の輝度の測定値と、記憶部104aの均一光入射時テーブルに格納されている輝度の値と、を比較演算する。また、キャリブレーション演算部111aは、各光センサ107aによる画像表示装置200bからの入射光の色度の測定値と、記憶部104aの均一光入射時テーブルに格納されている色度の値と、を比較演算する。そして、光センサ107aの位置毎の輝度の差分及び色度の差分のテーブルデータを取得する。
【0129】
ステップS212aでは、キャリブレーション演算部111aは、ステップS211aで取得した輝度の差分及び色度の差分のテーブルデータを、キャリブレーション設定値決定部110aに入力する。そして、光センサ107aによる輝度の測定値と均一光入射時テーブルの輝度の値との差分、及び、光センサ107aによる色度の測定値と均一光入射
時テーブルの色度の値との差分が小さくなる方向に、新たに画像表示装置200bのELパネル駆動量を決定する。ここでELパネル駆動量は、ELパネルのRGB各画素の発光量を指す。
【0130】
ステップS213aでは、キャリブレーション制御部109aは、新たに決定されたELパネル駆動量のデータを画像表示装置200bに送信する。
【0131】
ステップS210bでは、キャリブレーション制御部109bは、画像表示装置200aから受信したELパネル駆動量を、ELパネル制御部202bに設定し、ELパネル206bの駆動量を変更(更新)する。
【0132】
ステップS211bでは、キャリブレーション制御部109bは、画像表示装置200bのELパネル駆動量を変更完了したことを、画像表示装置200aに通知する。
【0133】
ステップS211a〜ステップS211bを繰り返し実行し、キャリブレーション演算部111aの出力する輝度の差分及び色度の差分がそれぞれ閾値以下となるように、ELパネル206bの駆動量を調整する。閾値は輝度の差分及び色度の差分それぞれについて予め定められた値であり、画像表示装置200aの記憶部104aに記憶されている。キャリブレーション演算部111aの出力する輝度の差分及び色度の差分がそれぞれの閾値以下となったら、キャリブレーション制御部109aはELパネル補正モードを終了し、ステップS214aに移行する。
【0134】
なお実施例1と同様、ここでは白100%に対応する輝度及び色度についてのみキャリブレーションを行う例を示した。しかし、均一光入射時テーブルに予め複数の輝度レベルについてキャリブレーションの基準となるテーブルデータを持ち、複数の輝度レベルの各々についてステップS211a〜S211bを繰り返して輝度レベル毎に補正データを取得しても良い。これにより、輝度カーブ及び色度カーブについてもキャリブレーションを行うことが可能である。
【0135】
ステップS214aでは、キャリブレーション制御部109aは、画像表示装置200bに対して、ELパネル補正モードの終了要求を送信する。
【0136】
ステップS212bでは、キャリブレーション制御部109bは、ELパネル補正モード終了要求を受信する。そして、ELパネル制御部202bに対して、現在のELパネル駆動量を新たなELパネル補正テーブルの補正データとして記憶部104bに書き込むよう指示する。
また、キャリブレーション制御部109bは、現在のELパネル駆動量でELパネル206bを発光させたときの、各光センサ107bによる測定値を、セレクタ108bを制御して取得し、取得した測定値により輝度/色度目標値テーブルを更新する。
【0137】
これらの更新されたELパネル補正テーブル及び輝度/色度目標値テーブルは、それぞれ通常動作モードにおいてELパネル206bの駆動量の補正のための新たな補正データ及びフィードバック制御のための新たな目標値として用いられる。その後、ELパネル補正モードを終了する。
【0138】
ステップS213bでは、キャリブレーション制御部109bは画像表示装置200aに対してキャリブレーションモードを終了したことを通知する。
【0139】
ステップS215aでは、キャリブレーション制御部109aはキャリブレーションモードを終了する。
【0140】
このように自発光型の表示パネルを用いた画像表示装置であっても、表示パネル内に配置した光センサにより外部から表示パネルを通過して入射する光を受光しその輝度や色度を測定することが可能であれば、本発明を適用することができる。そして、キャリブレーションのためのセンサやPC等の特別の機材を用意しなくても簡便にキャリブレーションを行うことができる。
【0141】
なお、上記の各実施例では、マスタ側の画像表示装置をキャリブレーション済であるとしたが、キャリブレーションが済んでいない画像表示装置であってもマスタ側として機能し得る。すなわち、マスタ側の画像表示装置は、スレーブ側の画像表示装置からの入射光の測定、測定値と均一光入射時テーブルとの差分の計算、及び差分に基づくバックライト発光量や液晶駆動量等の各種制御値の補正ができればよい。
【0142】
また、上記の各実施例では、マスタ側の画像表示装置が、スレーブ側の画像表示装置からの入射光の測定、測定値と均一光入射時テーブルとの差分の計算、及び差分に基づく各種制御値の補正を行い、補正後の新しい制御値をスレーブ側の画像表示装置へ送信した。しかし、例えば、マスタ側の画像表示装置では差分の計算まで行い、差分をスレーブ側の画像表示装置へ送信し、スレーブ側の画像表示装置で差分に基づく各種制御値の補正を行うようにしても良い。また、マスタ側の画像表示装置ではスレーブ側の画像表示装置からの入射光の測定まで行い、測定値をスレーブ側の画像表示装置へ送信し、スレーブ側の画像表示装置で差分の計算及び差分に基づく各種制御値の補正を行うようにしても良い。ただしこの場合、異なる画像表示装置に同一条件の基準光源を照射したときの光センサによる測定値が同一になるように、製造時等に画像表示装置間でのセンサ出力のばらつきを解消しておくことが望ましい。
【符号の説明】
【0143】
100 画像表示装置(液晶)、104 記憶部、106 液晶パネル、107 光センサ、109 キャリブレーション制御部、110 キャリブレーション設定値決定部、111 キャリブレーション演算部、112 送信部、113 受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される画像データに基づく画像を表示する表示パネルを備えた画像表示装置であって、
画像表示装置の外部から前記表示パネルを透過して画像表示装置の内部へ入射する光の輝度及び色度の少なくともいずれかを測定する測定手段と、
所定の基準光源の光を入射させたときの前記測定手段による測定値を基準値として記憶する記憶手段と、
他の画像表示装置と通信する通信手段と、
画像表示装置のキャリブレーションを行うキャリブレーション手段と、
前記キャリブレーション手段をマスタ動作モード及びスレーブ動作モードの2つの動作モードのいずれかで動作させる制御手段と、
を備え、
マスタ動作モードでは、前記キャリブレーション手段は、前記基準光源の輝度及び色度に対応する所定の測定用画像を表示した状態の他の画像表示装置の画面からの光を入射させたときの前記測定手段による測定値を取得し、当該測定値と前記基準値との差分を算出し、前記差分に基づき前記他の画像表示装置が前記他の画像表示装置のキャリブレーションを行うために必要なデータを前記通信手段を用いて前記他の画像表示装置へ送信し、
スレーブ動作モードでは、前記キャリブレーション手段は、前記画像表示装置のキャリブレーションを行うために必要なデータを前記通信手段を用いて他の画像表示装置から取得し、当該取得したデータに基づき前記画像表示装置のキャリブレーションを行う画像表示装置。
【請求項2】
マスタ動作モードにおいて、前記キャリブレーション手段は、測定用画像の表示を指示する命令を前記通信手段を用いて他の画像表示装置へ送信する請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
スレーブ動作モードにおいて、前記キャリブレーション手段は、測定用画像の表示を指示する命令を前記通信手段を用いて他の画像表示装置から受け取り、当該測定用画像を前記表示パネルに表示させる請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、輝度及び色度の少なくともいずれかが異なる複数の基準光源の各々に対応する基準値を記憶しており、
マスタ動作モードにおいて、前記キャリブレーション手段は、前記複数の基準光源の各々について、測定用画像の表示を指示する命令を前記通信手段を用いて他の画像表示装置へ送信し、当該測定用画像を表示した状態の他の画像表示装置の画面からの光を入射させたときの前記測定手段による測定値と、当該基準光源に対応する基準値と、の差分を算出し、各基準光源の各々についての前記差分に基づき前記他の画像表示装置が前記他の画像表示装置のキャリブレーションを行うために必要なデータを前記通信手段を用いて前記他の画像表示装置へ送信する請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記基準値は、前記基準光源の発光面と前記表示パネルの表示面とを近接させ対向させた状態で前記測定手段により測定された測定値であり、
マスタ動作モードにおいて、前記キャリブレーション手段は、前記測定用画像を表示した状態の他の画像表示装置の表示面と前記表示パネルの表示面とを近接させ対向させた状態で前記測定手段により測定された測定値と前記基準値との差分を算出する請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記表示パネルの表示面と他の画像表示装置の表示面とが近接して対向したことを検知する検知手段を備え、
前記制御手段は、前記検知手段により他の画像表示装置の表示面と前記表示パネルの表示面とが近接して対向したことを検知した場合に前記キャリブレーション手段を動作させる請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
キャリブレーションの進捗状況を通知する通知手段を背面に備える請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記表示パネルは液晶パネルであり、
前記液晶パネルを照射するバックライトと、
前記液晶パネルを制御する液晶制御手段と
前記バックライトを制御するバックライト制御手段と、
を更に備え、
前記測定手段による測定のために外部から画像表示装置の内部へ光を入射させるときには、前記液晶制御手段は前記液晶パネルの透過率が最大になるように前記液晶パネルを制御し、前記バックライト制御手段は前記バックライトを消灯させる請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項9】
マスタ動作モードにおいて、前記キャリブレーション手段は、前記差分に基づき前記他の画像表示装置が前記他の画像表示装置のバックライトのキャリブレーションを行うために必要なデータを前記他の画像表示装置へ送信し、前記他の画像表示装置が前記他の画像表示装置のバックライトのキャリブレーションを完了した後、再び前記差分を算出し、当該算出した差分に基づき前記他の画像表示装置が前記他の画像表示装置の液晶パネルのキャリブレーションを行うために必要なデータを前記他の画像表示装置へ送信する請求項8に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記表示パネルはELパネルであり、
前記ELパネルを制御するELパネル制御手段を更に備え、
前記測定手段による測定のために外部から画像表示装置の内部へ光を入射させるときには、前記ELパネル制御手段は前記ELパネルを消灯する請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項11】
入力される画像データに基づく画像を表示する表示パネルを備えた画像表示装置の制御方法であって、
画像表示装置の外部から前記表示パネルを透過して画像表示装置の内部へ入射する光の輝度及び色度の少なくともいずれかを測定する測定工程と、
所定の基準光源の光を入射させたときの前記測定工程による測定値を基準値として記憶手段から読み込む工程と、
他の画像表示装置と通信する通信工程と、
画像表示装置のキャリブレーションをマスタ動作モード及びスレーブ動作モードの2つの動作モードのいずれかで行うキャリブレーション工程と、
を有し、
マスタ動作モードでは、前記キャリブレーション工程は、前記基準光源の輝度及び色度に対応する所定の測定用画像を表示した状態の他の画像表示装置の画面からの光を入射させたときの前記測定工程による測定値を取得し、当該測定値と前記基準値との差分を算出し、前記差分に基づき前記他の画像表示装置が前記他の画像表示装置のキャリブレーションを行うために必要なデータを前記通信工程により前記他の画像表示装置へ送信し、
スレーブ動作モードでは、前記キャリブレーション工程は、前記画像表示装置のキャリブレーションを行うために必要なデータを前記通信工程により他の画像表示装置から取得し、当該取得したデータに基づき前記画像表示装置のキャリブレーションを行う画像表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−97254(P2013−97254A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241218(P2011−241218)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】