説明

画像表示装置及び画像表示方法

【課題】光源の発光出力の変化を気づかせないようにする。
【解決手段】画像表示装置では、光源部の発光出力の変化を監視する発光出力監視部を介して回復検知部が光源部の発光出力がリカバリ状態になったことを検知する。すると、出力画像制御部は、光源部の発光出力の変化に応じた画像の明るさの変化を補償するように液晶パネル部から出力された画像のコントラストを制御するようにした。これにより、光源部のリカバリ状態による発光出力の変化に関わらず、画像表示装置から出力される画像の明るさが実質的に変化しないようになり、当該画像を見ている者に対して違和感を与えないようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像表示装置及び画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
会議等で多く利用されているプロジェクタ、液晶モニタ等の画像表示装置は液晶パネル及び光源を備えており、変調した当該光源からの光を液晶パネルに透過させて、スクリーン等に画像を投射することができる。
【0003】
このような画像表示装置では、光源の発光出力が一定に保たれているため、画像が暗い場合には、コントラスト感を十分表現することができず、また、光源からの入射光の大半が液晶パネルで遮断されるため、液晶パネル内で発熱が大きく、消費電力が大きくなるという問題があった。そこで、元の画像の1フレーム内での最大輝度に応じて、光源の発光出力を変化させるようにしている。これにより、元の画像が暗い場合には、光源の発光出力を調整して、光源からの入射光を液晶パネルに無駄なく透過させることができる。これにより、液晶パネルによる入射光の遮断を抑制して、光源の消費電力の低下を防止していた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、光源の消費電力を低下させる別の方法としては、光源の発光出力をある所定出力以下に低下させた状態を維持して発光出力を抑制するような方法がある。しかし、光源が、水銀ランプ等の場合には、所定出力以下の発光が一定時間以上続くと、光源内が黒くなってしまう黒化が生じてしまう。
【0005】
このような光源の黒化の発生を防止するために、光源に対して、所定出力以下の発光出力を一定時間経過後、再び、所定出力以上に回復させるリカバリ処理を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−109317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、光源に対してリカバリ処理が実行されると、リカバリ処理による光源の発光出力の回復に伴い、投射されている画像が明るくなってしまう。そして、リカバリ処理の終了に応じて、画像が再び元の明るさに戻る。このように画像の明るさが変化すると、画像を見ている者に違和感を与えてしまうという問題点があった。
【0008】
本技術は、このような点に鑑みてなされたものであり、光源の発光出力の変化を気づかせないようにすることができる画像表示装置及び画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、画像表示装置は、光源部と、光変調部と、回復検知部と、出力画像制御部とを有する。光変調部は、入力信号に基づき光源部からの入射光を変調して出射し画像を出力する。回復検知部は、光源部の発光出力が低出力状態から回復して回復状態になったことを検知する。出力画像制御部は、回復検知部が光源部の回復状態を検知すると、発光出力に応じて光変調部から出力される画像の明るさを制御する。
【0010】
また、上記課題を解決するために、画像表示装置において実行する画像表示方法は、光源部の発光出力が低出力状態から回復して回復状態になったことを検知するステップと、入力信号に基づき光源部からの入射光を変調する光変調部から出射して出力される画像の明るさを制御するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0011】
このような画像表示装置及び画像表示方法によれば、光源の発光出力の変化を気づかせないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係る画像表示装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る画像表示装置が備える機能を表す機能ブロック図である。
【図3】第1の実施の形態に係る画像表示装置が備える光源部の発光出力に基づく状態の遷移を表す図である。
【図4】第1の実施の形態に係る画像表示装置が表示する画像のコントラストに基づく状態の遷移を表す図である。
【図5】第1の実施の形態に係る画像表示装置の光源部の発光出力及び画像のコントラストの変化を示す図である。
【図6】第1の実施の形態に係る画像表示装置の光源部の発光出力に対する画像のコントラストのテーブルの一例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る画像表示装置の光源部の発光出力及び画像のコントラストの変化を示す図である。
【図8】第2の実施の形態に係る画像表示装置の光源部の発光出力に対する画像のコントラストのテーブルの一例を示す図である。
【図9】第3の実施の形態に係る画像表示装置の光源部の発光出力及び画像のコントラストの変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
画像表示装置の一例としてのプロジェクタの場合を例に挙げて、図1を用いて説明する。
【0015】
図1は、第1の実施の形態に係る画像表示装置のハードウェア構成例を示す図である。
【0016】
なお、図1では制御信号を実線で、入力信号を破線で、光を大型の矢印でそれぞれ示している。
【0017】
プロジェクタ10は、光源部11と、光学処理部12、液晶パネル部13、レンズ部14、レンズ調整部15、操作受付部16、制御部20を備えている。
【0018】
光源部11は、水銀ランプ、キセノンランプ等である。例えば、フィリップス社製のランプ制御技術に対応したプロジェクタ用ランプであって、後述する制御部20からの制御に応じて、発光出力を変更することができる。
【0019】
光学処理部12は、光源部11から入射した光を集光し、液晶パネル部13に出射する。
【0020】
液晶パネル部13(光変調部)は、制御部20の制御に応じて駆動し、入力信号に基づき光源部11からの入射光を変調して出射し画像を出力する。また、液晶パネル部13は、各画素に対する電圧に応じて各画素の光の透過度を制御する。
【0021】
レンズ部14は、焦点レンズ、ズームレンズ、絞り等を備えており、光源部11から出射された光を受けた液晶パネル部13が出力する画像をスクリーン等の投射面に対して拡大投射する。
【0022】
レンズ調整部15は、レンズモータ、レンズ調整位置検出部等を備えており、制御部20からの制御により、レンズ調整位置検出部により検出された検出位置に基づきレンズモータを駆動させる。これによりレンズ部14の焦点レンズ、ズームレンズ等を移動させて、レンズ部14からの投射画像のピント、大きさ等を調整することができる。
【0023】
操作受付部16は、プロジェクタ10に外装されている入力切り替え、発光出力切り替え、コントラスト調整、ブライトネス調整、レンズシャッターレバー、フォーカスリング等の各種操作キーに対する操作入力を受け付ける。また、操作受付部16が受け付けた各種操作入力に基づき、後述する制御部20が各操作に対応する制御を実行する。
【0024】
制御部20は、プロジェクタ10全体を制御することができる。特に、光源部11と、液晶パネル部13、レンズ調整部15の処理動作を制御する。このような制御部20は、入力信号処理部21と、画像処理部22、パネル制御部23、光源制御部24、メモリ部25、主制御部30を備える。
【0025】
入力信号処理部21は、例えば、プロジェクタ10に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部機器から入力信号を受け付ける。受け付けた入力信号に、画像表示を行うために必要な処理を行った画像信号を出力する。例えば、液晶パネル部13に対する表示に適合した信号フォーマットへの変換処理、また、液晶パネル部13の水平及び垂直画素数に適応させた解像度変換処理等の各種画質調整等のための信号処理を実行する。
【0026】
画像処理部22は、外部からの操作入力に応じて、入力信号処理部21から出力された画像信号に対して台形歪み補正処理を行う。また、画像処理部22は、画像信号に基づく画像に対して設定画面等の副画像を重ねて表示させるために当該画像信号に副画像信号を付加するためのOSD(On-Screen-Display)処理を行う。
【0027】
パネル制御部23は、画像処理部22から出力された画像信号に基づき液晶パネル部13の光変調動作を制御する。
【0028】
光源制御部24は、光源部11の発光出力を制御する。光源制御部24は、光源部11の発光出力を、例えば、ユーザのモード設定に応じて、最大発光出力、最大発光出力に対して65%、30%(省電力モード)等にそれぞれ制御することができる。なお、それぞれの割合はこれらに限定されるものではなく、適宜設定することができる。
【0029】
メモリ部25は、後述する主制御部30によるプロジェクタ10の各構成での処理動作で利用及び生成される情報を保持する。例えば、入力信号処理部21が入力信号を処理するために必要となる情報(各種プログラム、パラメータデータ、ユーザ設定情報等)を予め保持している。また、光源制御部24が光源部11の発光出力を低下させる際に利用する時間(後述)の情報がユーザに設定されて予め保持される。
【0030】
主制御部30は、制御部20が備える入力信号処理部21と、画像処理部22、パネル制御部23、光源制御部24等の制御を介して、プロジェクタ10全体を制御する。また、メモリ部25に対して情報を保持させ、また、メモリ部25から情報の読み出しを行う。
【0031】
このような構成を備えるプロジェクタ10では、入力信号処理部21が入力信号に対して処理を行って出力した画像信号に応じて、パネル制御部23が液晶パネル部13の光変調動作を制御する。そして、液晶パネル部13は、光源部11から出射された光を変調して光学像(画像)を出力し、レンズ部14等がこのようにして出力された画像をスクリーンに対して拡大投射する。
【0032】
次いで、このような主制御部30が有する機能について図2を用いて説明する。
【0033】
図2は、第1の実施の形態に係る画像表示装置が備える機能を表す機能ブロック図である。
【0034】
主制御部30は、光源部11の低下していた発光出力が回復すると、液晶パネル部13から出力される画像の明るさを制御することができる。
【0035】
このような主制御部30は、発光出力監視部31と、回復検知部32、出力画像制御部33を備える。
【0036】
発光出力監視部31は、光源制御部24が光源部11に対して行う発光出力制御に基づき、光源部11の発光出力の変化を監視する。
【0037】
回復検知部32は、発光出力監視部31の監視結果に基づいて、光源部11の発光出力が維持された状態から回復するリカバリ状態になったことを検知する。なお、光源部11の発光出力の回復状態については後述する。
【0038】
出力画像制御部33は、回復検知部32が光源部11のリカバリ状態を検知すると、光源部11の発光出力の変化に応じて液晶パネル部13から出力された画像の明るさを制御する。出力画像制御部33は、例えば、入力信号処理部21に入力された入力信号の信号レベルを制御して画像の明るさを制御する。具体的には、入力信号が含む輝度情報及びカラー情報に基づき当該入力信号に対応するコントラストを算出する。そして、光源部11のリカバリ状態にある発光出力による画像の明るさの変化を補償するようなコントラストになるように入力信号の輝度情報及びカラー情報を制御する。
【0039】
出力画像制御部33は、上記とは別に、光源部11のリカバリ状態にある発光出力により変化した画像の明るさを補償するようにコントラストを調整するために、液晶パネル部13の各画素の光の透過度を制御するようにしても構わない。但し、この場合には、例えば、画像処理部22により画像信号に対してOSD処理が行われると、設定画面の明るさも変化してしまう。
【0040】
このような出力画像制御部33による画像のコントラストの制御は、例えば、ユーザの設定に応じて、いずれかの方法を実行することができる。
【0041】
なお、出力画像制御部33は、コントラストに代わってブライトネスを調整することでも、光源部11のリカバリ状態にある発光出力の変化に応じた画像の明るさを補償することができる。
【0042】
また、ユーザがプロジェクタ10から投射されている画像のコントラスト(または、ブライトネス)の調整を行いたい場合には、プロジェクタ10に外装された操作ボタンに対してユーザから当該調整のための操作入力を受け付けることが可能である。この場合には、当該操作入力を受け付けた操作受付部16が出力画像制御部33に、操作入力に基づいたコントラスト等の調整を実行させる。出力画像制御部33は、上記の入力信号処理部21またはパネル制御部23に対する制御を行うことで画像のコントラスト等の調整を行うことができる。
【0043】
次に、このようなプロジェクタ10による画像の明るさの制御について説明する。
【0044】
まず、光源制御部24によって制御される光源部11の発光出力に基づく状態の遷移について図3及び図5を用いて説明する。
【0045】
図3は、第1の実施の形態に係る画像表示装置が備える光源部の発光出力に基づく状態の遷移を表す図である。
【0046】
また、図5は、第1の実施の形態に係る画像表示装置の光源部の発光出力及び画像のコントラストの変化を示す図である。なお、図5は横軸が経過時間を、縦軸が光源部11の発光出力及び画像のコントラストをそれぞれ表している。また、発光出力Wbは制限出力である。
【0047】
光源制御部24によって制御される光源部11の発光出力に基づき、図3に示されるように、通常状態(S01)と、発光出力制限状態(S02)、リカバリ状態(S03)の3状態がある。
【0048】
通常状態(S01)では、後述する発光出力制限状態(S02)及びリカバリ状態(S03)以外の状態であって、入力信号に基づいた画像が投射されるように光源部11が所定出力(制限出力)以上の発光出力で発光する。このような光源部11の通常状態(S01)は、光源部11の発光出力が制限出力未満に低下すると、発光出力制限状態(S02)に遷移する。例えば、図5の場合では、通常状態(S01)は、光源制御部24により光源部11が発光出力Wcで発光し(A1〜A2)、その後、光源部11の発光出力Wcが発光出力Wbまで低下するまで(A2〜A3)が該当する。このような通常状態(S01)は、光源部11の発光出力が発光出力Wbを下回ると、発光出力制限状態(S02)に遷移する。
【0049】
発光出力制限状態(S02)では、光源部11の発光出力が制限出力を下回った状態である。このような光源部11の発光出力制限状態(S02)は、光源部11の発光出力が制限出力を下回った状態が所定時間経過すると、リカバリ状態(S03)に遷移する。例えば、図5の場合では、発光出力制限状態(S02)は、光源部11が発光出力Wbを下回り、さらに発光出力Waまで低下し(A3〜A4)、発光出力Waが維持される(A4〜A5)。発光出力制限状態(S02)は、光源部11が発光出力Wbを下回ってから所定時間、例えば、時間T1が経過する(A5)と、リカバリ状態(S03)に遷移する。なお、時間T1は光源部11に応じて適宜設定される。
【0050】
リカバリ状態(S03)では、光源部11の制限出力未満の発光出力が制限出力まで回復し、制限出力が所定時間維持されると、再度、発光出力は回復前に戻されて、発光出力制限状態(S02)に遷移する。例えば、図5の場合では、リカバリ状態(S03)は、光源部11の発光出力Waが発光出力Wbに回復し(A5〜A6)、回復した発光出力Wbが維持されて(A6〜A7)、発光出力Wbから再び発光出力Waに戻るまで(A7〜A8)である。このようにリカバリ状態(S03)は、再び、発光出力制限状態(S02)に遷移する。
【0051】
次いで、主制御部30によって制御されるプロジェクタ10から投射される画像のコントラストに基づく状態の遷移について図4、図5及び図6を用いて説明する。
【0052】
図4は、第1の実施の形態に係る画像表示装置が表示する画像のコントラストに基づく状態の遷移を表す図である。
【0053】
また、図6は、第1の実施の形態に係る画像表示装置の光源部の発光出力に対する画像のコントラストのテーブルの一例を示す図である。
【0054】
主制御部30(出力画像制御部33)により制御される、プロジェクタ10から投射される画像のコントラストに基づき、図4に示されるように、通常状態(S11)と、コントラスト補償状態(S12)の2状態がある。
【0055】
通常状態(S11)では、後述するコントラスト補償状態(S12)以外の状態であって、プロジェクタ10から投射される画像のコントラストが一定であり、または、外部からの操作入力等によりコントラストが調整される。例えば、図5の場合では、通常状態(S11)は、入力信号が入力信号処理部21により処理された画像信号に対応するコントラストがコントラストC1である(A1〜A5)場合である。このような通常状態(S11)は、光源部11の発光出力が発光出力制限状態(S02)からリカバリ状態(S03)に遷移したこと(図3)を回復検知部32が検知すると、コントラスト補償状態(S12)に遷移する。
【0056】
コントラスト補償状態(S12)では、リカバリ状態(S03)の光源部11の発光出力の変化に応じて、プロジェクタ10から投射される画像のコントラストを変化させる。
例えば、図5の場合では、リカバリ状態(S03)において光源部11の制限出力未満の発光出力Waが発光出力Wbまで回復するのに伴って、プロジェクタ10から投射される画像のコントラストC1をコントラストC2に低下させる(A5〜A6)。これにより、光源部11の発光出力の回復に基づいて画像が明るくなる分を画像のコントラストを低下させることで、プロジェクタ10から投射される画像の見かけ上の明るさの変化を抑制する。また、リカバリ状態(S03)において光源部11の発光出力Wbが維持されて時間T2経過すると共に、出力画像制御部33もコントラストC2を維持する(A6〜A7)。この間は、プロジェクタ10から投射される画像の見かけ上の明るさの変化が抑制された状態が維持される。さらに、リカバリ状態(S03)において光源部11の回復した発光出力が回復前に戻るに伴って、プロジェクタ10から投射される画像のコントラストを上昇させる。例えば、図5の場合では、リカバリ状態(S03)において光源部11の発光出力Wbが回復前の発光出力Waまで戻されるのに伴って、プロジェクタ10から投射される画像のコントラストC2をコントラストC1に上昇させる(A7〜A8)。これにより、光源部11の発光出力が回復前に戻ることで画像が暗くなる分を画像のコントラストを上昇させることで、プロジェクタ10から投射される画像の見かけ上の明るさの変化を抑制する。このように、コントラスト補償状態(S12)では、リカバリ状態(S03)により光源部11の発光出力の増減による画像の明るさの変化を補償するように、プロジェクタ10から投射される画像のコントラストを変化させる。
【0057】
なお、このようなコントラストの制御は、例えば、出力画像制御部33が、図6に例示するテーブルの情報を読み込み、当該テーブルに基づき実行される。発光出力Waが1ずつ追加して発光出力Wbまで回復する場合には、回復する発光出力に対応してコントラストC1をa1,a2,…an減少させてコントラストC2まで減少させる。また、発光出力Wbが1ずつ減少して発光出力Waに再度戻る場合には、減少する発光出力に対応してコントラストC2にb1,b2,…bnを追加してコントラストC1まで回復させる。
【0058】
また、このようなテーブルを用いて、カウント値に応じて、光源制御部24が光源部11の発光出力を、主制御部30(出力画像制御部33)がコントラストをそれぞれ制御するようにしても構わない。
【0059】
このように、画像表示装置であるプロジェクタ10では、光源部11の発光出力の変化を監視する発光出力監視部31を介して回復検知部32が光源部11の発光出力がリカバリ状態になったことを検知する。すると、出力画像制御部33は、光源部11の発光出力の変化に応じた画像の明るさの変化を補償するように液晶パネル部13から出力された画像のコントラストを制御するようにした。
【0060】
これにより、光源部11のリカバリ状態による発光出力の変化に関わらず、プロジェクタ10から出力される画像の明るさが実質的に変化しないようになり、当該画像を見ている者に対して違和感を与えないようにすることができる。
【0061】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、第1の実施の形態を利用した別の例について図7及び図8を用いて説明する。なお、第2の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様のプロジェクタ10(図1〜図4)を利用して説明する。
【0062】
図7は、第2の実施の形態に係る画像表示装置の光源部の発光出力及び画像のコントラストの変化を示す図である。なお、図7は図5と同様に、横軸が経過時間を、縦軸が光源部11の発光出力及び画像のコントラストをそれぞれ表している。さらに、グラフの上部には、画像変化の有無の状態を表示している。
【0063】
また、図8は、第2の実施の形態に係る画像表示装置の光源部の発光出力に対する画像のコントラストのテーブルの一例を示す図である。
【0064】
近年、プロジェクタ及び液晶ディスプレイ等の画像表示装置は、会議等に限らず、教育現場、学会等の授業・発表での利用が増えている。しかし、教育現場・学会等で画像表示装置が利用されてはいるものの、同一の画像を投射表示したままおよそ半分くらいは利用されずに授業・発表等が行われており、画像表示装置の光源部の消費電力が無駄になっている。そこで、以下のような方法により光源部の消費電力を抑制することができる。
【0065】
例えば、プロジェクタ10では、光源制御部24が入力信号処理部21に対する入力信号の変化がない(同一入力信号が入力されている)こと(または、入力信号が無信号であること)を判定すると、光源制御部24は光源部11の発光出力を、説明を受ける者(被説明者)が気づかないような低下率で低下させるようにする。なお、光源制御部24は、入力信号の変化を判定すると、低下させていた光源部11の発光出力を低下前に回復させる。
【0066】
具体的には、図7に示されるように、光源部11が当初発光出力(100%)で変化がないことを光源制御部24が検知(図7のB2)して所定の時間t1が経過する(B2〜B3)。すると、光源制御部24は、被説明者に発光出力(100%)の低下がほとんど気づかない程度ではあるが発光出力を低下させ(B3〜B4)、低下後の発光出力の状態を所定の間維持する(B4〜B5)。これにより被説明者に発光出力の低下がほとんど気づかれない程度ではあるが発光出力を低下させてその状態を維持するようにして、消費電力の抑制を図っている。つまり、被説明者には発光出力が初期の場合とほとんど変わらない投射画像を視認している印象を与えることになる。ここで、所定時間が経過するとプロジェクタ10を利用していないと判断し、光源制御部24が光源部11の発光出力を所定の低下率で省電力モードである発光出力(30%)まで低下させ(B5〜B7)、光源部11の発光出力(30%)を維持するようにした(B7〜B8)。これにより、光源部11の省電力化を図ることができ、さらに、被説明者を説明者の説明に集中させるようにすることができるようになる。また、図示はしていないが、発光出力を低下させた状態で維持させている間(B4〜B5,B7〜B8)または発光出力を低下させている間(B3〜B4,B5〜B7)に、光源制御部24が入力信号に変化がある(入力信号とは別の入力信号が入力された(画像の変化がある場合も含む))ことを判定すると、光源制御部24は光源部11の発光出力をユーザが設定した低下前の発光出力に回復させるようにした。光源部11の発光出力は低下してもオフにされることはない(図7の場合では最低でも30%まで低下)ために、光源部11の発光出力を素早く回復させることができ、被説明者は待たせられることなく別の画像を視認することができる。
【0067】
このような機能を有するプロジェクタ10では、光源部11の発光出力を発光出力(30%)まで低下させている間に、発光出力(65%)を下回ると(図7のB6)、光源部11の発光出力は通常状態(S01)から発光出力制限状態(S02)に遷移する。さらに、発光出力制限状態(S02)は、光源部11の発光出力が発光出力(65%)を下回って、所定時間、例えば、時間t2が経過すると、リカバリ状態(S03)に遷移してしまう。この時、被説明者に気づかれずに光源部11の発光出力を低下させていたのが、光源部11の発光出力(30%)が発光出力(65%)に回復し(B8〜B9)、再び、発光出力(30%)に戻るようになる(B10〜B11)。このため、リカバリ状態(S03)になることで、被説明者に投射画像が再び視認されるようになり、被説明者の説明者の説明への集中を途切れさせてしまうおそれがある。
【0068】
そこで、主制御部30が、第1の実施の形態で説明したように、光源部11の発光出力の変化を監視する発光出力監視部31を介して回復検知部32が光源部11の発光出力がリカバリ状態(S03)に遷移したことを検知する。すると、出力画像制御部33は、図7に示されるように、光源部11の発光出力の変化に応じた画像の明るさの変化を補償するように液晶パネル部13から出力された画像のコントラストを制御する。
【0069】
なお、この場合のコントラストの制御も、例えば、出力画像制御部33が、図8に例示するテーブルの情報を読み込み、当該テーブルに基づき実行される。発光出力(30%)が1%ずつ追加して発光出力65%まで回復させる場合には、回復させる発光出力に対応してコントラストC1をa1,a2,…an減少させてコントラストC2まで減少させる。そして、コントラストC2を時間t3の間維持する。また、発光出力65%が1%ずつ減少して発光出力(30%)に再度戻る場合には、減少する発光出力に対応してコントラストC2にb1,b2,…bnを追加してコントラストC1まで回復させる。
【0070】
また、同様に、このようなテーブルを用いて、カウント値に応じて、光源制御部24が光源部11の発光出力を、主制御部30(出力画像制御部33)がコントラストをそれぞれ制御するようにしても構わない。
【0071】
これにより、画像の明るさを低下させて視認させないようにした状態で、光源部11にリカバリ処理が実行されても、画像が続けて視認されないようになり、被説明者の説明者の説明への集中を継続して途切れさせないようにすることができる。
【0072】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、第2の実施の形態に基づいて、コントラスト補償の制御中に設定画面を表示したい場合について図9を用いて説明する。
【0073】
図9は、第3の実施の形態に係る画像表示装置の光源部の発光出力及び画像のコントラストの変化を示す図である。なお、図9は図7と同様に、横軸が経過時間を、縦軸が光源部11の発光出力及び画像のコントラストをそれぞれ表している。さらに、グラフの上部には、画像変化の有無の状態を表示している。なお、設定画像のコントラストを一点鎖線で表す。
【0074】
第3の実施の形態でも、第2の実施の形態と同様に、光源部11の発光出力がリカバリ状態になると、主制御部30(出力画像制御部33)がコントラストの制御を実行する。
【0075】
この時、出力画像制御部33は、光源部11のリカバリ状態にある発光出力による画像の明るさの変化を補償するようなコントラストになるように、第1の実施の形態で説明したように、入力信号処理部21に入力された入力信号の信号レベルを制御する。このため、光源部11がリカバリ状態の時に、画像処理部22によりOSD処理を実行すると、光源部11の発光出力の変化に応じて入力信号に応じた画像のコントラストは変化するものの、OSD処理による設定画像のコントラストは変化しない(図9の一点鎖線)。したがって、リカバリ状態において、プロジェクタ10から投射される画面の明るさを抑制しつつ、設定画面のみを表示することができるようになる。
【0076】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)光源部と、
入力信号に基づき前記光源部からの入射光を変調して出射し画像を出力する光変調部と、
前記光源部の発光出力が低出力状態から回復して回復状態になったことを検知する回復検知部と、
前記回復検知部が前記光源部の前記回復状態を検知すると、前記発光出力に応じて前記光変調部から出力される前記画像の明るさを制御する出力画像制御部と、
を有する画像表示装置。
(2)前記出力画像制御部は、前記発光出力に応じて変化する前記画像の明るさを補償するように前記画像の明るさを制御する前記(1)記載の画像表示装置。
(3)前記出力画像制御部は、前記画像のコントラストまたはブライトネスを制御する前記(1)または(2)記載の画像表示装置。
(4)前記回復状態では、前記光源部の前記発光出力が所定出力未満の前記低出力状態から、前記所定出力以上に回復する前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の画像表示装置。
(5)前記回復状態では、さらに、前記光源部の前記発光出力の回復後に、前記発光出力は再度回復前の前記発光出力に変化する前記(4)記載の画像表示装置。
(6)前記出力画像制御部は、前記発光出力の回復に応じて明るくなった前記画像の明るさを暗くする前記(4)または(5)記載の画像表示装置。
(7)前記出力画像制御部は、回復した前記発光出力が回復前の前記発光出力への変化に応じて暗くなった前記画像の明るさを明るくする前記(5)記載の画像表示装置。
(8)前記画像出力制御部は、前記入力信号の信号レベルを制御して前記画像の明るさを制御する前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の画像表示装置。
(9)前記入力信号に基づく前記画像に副画像を重ねる画像処理部をさらに有し、
前記光変調部は、前記副画像を出力する、前記(8)記載の画像表示装置。
(10)前記画像出力制御部は、前記光変調部の光の透過度を制御して前記画像の明るさを制御する前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の画像表示装置。
(11)光源部の発光出力が低出力状態から回復して回復状態になったことを検知するステップと、
入力信号に基づき前記光源部からの入射光を変調する光変調部から出射して出力される画像の明るさを制御するステップと、
を有する画像表示方法。
【0077】
なお、上述の実施の形態は、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0078】
さらに、上述の実施の形態は、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、説明した正確な構成及び応用例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0079】
10……プロジェクタ、11……光源部、12……光学処理部、13……液晶パネル部、14……レンズ部、15……レンズ調整部、16……操作受付部、20……制御部、21……入力信号処理部、22……画像処理部、23……パネル制御部、24……光源制御部、25……メモリ部、30……主制御部、31……発光出力監視部、32……回復検知部、33……出力画像制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、
入力信号に基づき前記光源部からの入射光を変調して出射し画像を出力する光変調部と、
前記光源部の発光出力が低出力状態から回復して回復状態になったことを検知する回復検知部と、
前記回復検知部が前記光源部の前記回復状態を検知すると、前記発光出力に応じて前記光変調部から出力される前記画像の明るさを制御する出力画像制御部と、
を有する画像表示装置。
【請求項2】
前記出力画像制御部は、前記発光出力に応じて変化する前記画像の明るさを補償するように前記画像の明るさを制御する請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記出力画像制御部は、前記画像のコントラストまたはブライトネスを制御する請求項1記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記回復状態では、前記光源部の前記発光出力が所定出力未満の前記低出力状態から、前記所定出力以上に回復する請求項1記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記回復状態では、さらに、前記光源部の前記発光出力の回復後に、前記発光出力は再度回復前の前記発光出力に変化する請求項4記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記出力画像制御部は、前記発光出力の回復に応じて明るくなった前記画像の明るさを暗くする請求項4記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記出力画像制御部は、回復した前記発光出力が回復前の前記発光出力への変化に応じて暗くなった前記画像の明るさを明るくする請求項5記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記画像出力制御部は、前記入力信号の信号レベルを制御して前記画像の明るさを制御する請求項1記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記入力信号に基づく前記画像に副画像を重ねる画像処理部をさらに有し、
前記光変調部は、前記副画像を出力する、請求項8記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記画像出力制御部は、前記光変調部の光の透過度を制御して前記画像の明るさを制御する請求項1記載の画像表示装置。
【請求項11】
光源部の発光出力が低出力状態から回復して回復状態になったことを検知するステップと、
入力信号に基づき前記光源部からの入射光を変調する光変調部から出射して出力される画像の明るさを制御するステップと、
を有する画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−61498(P2013−61498A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200078(P2011−200078)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】