説明

画像表示装置

【課題】 コンパクトで且つフラットな構造を維持しつつパネルの温度分布を面内に亘って均一化可能な画像表示装置を提供する。
【解決手段】 パネル1は画像を表示する画素として自発光素子が配列されており、発光する際発熱を伴う。伝熱材A,B,Cはパネル1で発生した熱をシャーシ2に伝える熱伝導性を有する。シャーシ2は伝熱材A,B,Cを介して伝えられた熱を外部に放散してパネル1を冷却する。パネル1は面内で温度分布に偏りがあり相対的に高温部位と低温部位に分かれている。伝熱材A,B,Cは、パネル1の高温部位に対応する部分の熱伝導性が高く、パネル1の低温部位に対応する部分の熱伝導性が低くなっており、パネル1の温度分布の偏りを打ち消す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示用のパネルとその背面に配された放熱用のシャーシと、両者の間に介在する伝熱材とからなる画像表示装置に関する。より詳しくは、表示の際に発熱を伴うパネルの面温度分布を均一化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイは、コンピュータディスプレイ、携帯端末、テレビなどの製品で広く普及している。現在、主には液晶ディスプレイパネルが多く採用されていが、依然、視野角の狭さや、応答速度の遅さが指摘され続けている。一方、自発光素子で形成された有機ELディスプレイは、前記の視野角や応答性の課題を克服できるのに加え、バックライト不要の薄い形態、高輝度、高コントラストを達成できるため、液晶ディスプレイに代わる次世代表示装置として期待されている。
【0003】
ところで、有機ELディスプレイにおける発光素子は、その発光量と時間に比例して劣化する特性があることは一般的にも知られているが、また同時に、その劣化速度は、素子自体の温度によって変わってしまうことも知られており、大きな課題になっている。有機ELの発光素子は、自発光型であるため動作時には発熱し、より高い輝度を実現するほど、多くの電流量が必要となることで、より高い温度で発熱する。高い温度になるほど劣化を加速させていくことも知られている。
【0004】
一方、フラットパネルディスプレイは、下記二つの温度ムラが必ず発生してしまう。これは表示パターンによるものではなく、形状や配置によるものである。一つ目は、外周発光部から、これより外側の隣接額縁非発光部へ伝わる熱の伝導による温度低下である。額縁部には発光素子は存在しないため、常に発光部以下の温度になっており、ここへ熱が伝導することによって、外周発光部の温度が下げられるものである。これは、ガラスを使用した有機ELディスプレイパネルでは、外周から約20mm程度の領域が最も影響を受けることが測定により確認できた。
【0005】
二つ目は、空気の対流により発光部下部が冷やされて起こる温度低下である。フラットパネルディスプレイは、サイズが大きくなるほど一般的に垂直に立てて使用することが多く、発光部近傍において、空気の対流が起こりやすい。下端では周囲環境に近い温度の空気が対流するため、発光部温度が下げられる動きになる。ただし、上方向に行くにしたがって発光部の熱によって発光部近傍を対流する空気が温められるため、ある距離以上では発光部温度が下がらなくなる。これも測定により、下端から約200mmの領域で最も影響を受けることが確認できた。
【0006】
つまり、ディスプレイパネルの発光素子で形成された発光面内においては、たとえ同階調のデータで均一に発光していたとしても、前述したような原因の温度ムラが発生しており、温度の高い領域と低い領域で劣化速度に差が生じ、温度が高い部分で輝度低下がいち早く進行してしまう結果、温度ムラと同じ領域が、輝度寿命劣化ムラ(固定的な輝度ムラ)になって現れてしまうという問題があり、発光面内を可能な限り均一な温度分布にする必要があった。
【0007】
発光面内を可能な限り均一な温度分布にする従来技術としては、以下の特許文献1〜4の様なものがある。
【特許文献1】特開2003−295776
【特許文献2】特開2001−147644
【特許文献3】特開2000−081843
【特許文献4】特開2003−036032
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1は、発光素子から検出した温度と、温度上昇の推移を想定した情報から温度調節器を制御し、領域化された部分を温めたり、冷やしたりして発光面内での温度を均一に調整する。これは、実際に温度を検出し、温度が一定になるようにコントロールできるが、温度の検出構造や、温度調節構造を設ける必要があり、構造が複雑になりコストアップにもつながるものであるという問題があった。
【0009】
特許文献2は、パネルの表示領域から非表示領域の部分の裏側に、放熱用シャーシを接着剤を使用して固着させる構造を取ることで、パネルの外周部の温度ムラがあってもシャーシに均一に熱が伝導されることで、非表示領域と表示領域との温度差を緩和している。これは、比較的簡単な構造で、温度ムラを緩和できることは良いが、外周部の温度ムラを完全に補正しきるには至らず、かつパネルを垂直に立てて使用する場合、空気の対流により下部が冷やされることでおこる温度低下に対しては、放熱シャーシを含む全体が影響を受けてしまうため、補正効果がほとんど得られないという問題があった。
【0010】
特許文献3は、パネル裏面に特殊なエアトレイ構造を設けることで、冷却風が面内均一に行き渡るようにし、温度低減化と温度ムラ軽減を図る。これは温度上昇抑制と温度ムラ軽減を実現できるが、冷却風を送るファン等の送風構造が必要で、騒音や、コストアップを招くという問題があった。
【0011】
特許文献4は、放熱用シャーシをパネル裏面の上部と下部のみで接触させることで、上部の熱を下部に伝達すると同時に、下部には空気の放熱効率の悪い空気溜まり部を設けておき、シャーシを伝って下部へ伝達された熱によって空気溜まり部が温められることで下部の温度低下を防ぐ。これは、上部の熱を下部に伝達し、温度の均一化を図ることは有効であるが、実際のところこの構造全体では空気の対流の影響を避けられず、放熱シャーシで熱を上から下へ伝達することの効果には限界が考えられる上に、エアー吹き溜まり部は、液晶のバックライトの厚みを利用してできており、ある程度の厚みが必要で、有機ELディスプレイのように薄さを強調する形態には適さないという問題があった。
【0012】
つまり、パネル裏面を熱伝導性の高い伝熱材もしくは放熱材で覆うような形態の従来の構成は、簡素な構造ではあるが、パネルを垂直に立てて使用した場合に、伝熱材、放熱材を含めて、空気の対流の影響を受けてしまい、上下間の温度差を完全に取りきれないという問題があった。また、上部の熱を下部に伝達したり、特殊な空間や、送風による冷却構造の採用、またはヒートパイプを使用するような場合、その内容を実現するための構造でコストアップになってしまうのに加え、いずれもある程度の厚みや空間を必要とし、薄さを強調する有機ELディスプレイのようなフラットパネルに採用する場合、あまり適さない形態であるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明はコンパクトで且つフラットな構造を維持しつつパネルの温度分布を面内に亘って均一化可能な画像表示装置を提供することを目的とする。
【0014】
係る目的を達成する為に以下の手段を講じた。即ち本発明は、表示用のパネルとその背面に配された放熱用のシャーシと、両者の間に介在する伝熱材とからなる画像表示装置であって、前記パネルは画像を表示する画素として自発光素子が配列されており、各自発光素子は自ら発光する際発熱を伴い、前記伝熱材は該パネルで発生した熱を該シャーシに伝える熱伝導性を有し、該熱伝導性が該パネルの面内で局所的に異なっており、前記シャーシは該伝熱材を介して伝えられた熱を外部に放散して該パネルを冷却することを特徴とする。
【0015】
具体的には、前記パネルは面内で温度分布に偏りがあり相対的に高温部位と低温部位に分かれており、前記伝熱材は、該パネルの高温部位に対応する部分の熱伝導性が高く、該パネルの低温部位に対応する部分の熱伝導性が低くなっており、該パネルの温度分布の偏りを打ち消すことを特徴とする。例えば、前記パネルは内側が高温部位で、これを囲む外側が低温部位となっており、これに対応して前記伝熱材は内側の熱伝導性が高く外側の熱伝導性が低くなっている。用途によっては前記パネルは立てて配置され、上側が高温部位で下側が低温部位となっており、これに対応して前記伝熱材は上側の熱伝導性が高く下側の熱伝導性が低くなっている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、温度の低い箇所ほど、熱伝導特性の悪い伝熱材を選択して使用し、熱冷却効果を妨げることで、部分的に温度を上げながら面内均一な温度分布を得られ、有機EL素子など発光素子の劣化速度の差を抑えられ、画素劣化による固定的な輝度ムラを防止できるという効果がある。また、特殊な空間や薄さを損なう構造を必要とせず、従来使用している伝熱材の厚みの領域で、部分的に温度ムラを変えることができるため、パネルモジュールを厚くさせずに、薄い形態で発光面内の温度分布を均一にできる効果がある。また、本発明によれば、表示データ信号に一切関係なく、簡易な放熱構造のみで、温度ムラを補正できるため、元々の映像表示品位を全く損なわせないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明にかかる画像表示装置の実施形態を示しており、水平中間位置での縦断面図及び背面図である。但し、背面図からはシャーシが除かれている。図示するように、本発明の画像表示装置は、表示用のパネル1とその背面に配された放熱用のシャーシ2と、両者の間に介在する伝熱材A,B,Cとからなる。パネル1は画像を表示する画素として自発光素子が配列されており、各自発光素子は自ら発光する際発熱を伴う。伝熱材A,B,Cはパネル1で発生した熱をシャーシ2に伝える熱伝導性を有する。伝熱材A,B,Cの熱伝導性がパネル1の面内で異なっている。シャーシ2は伝熱材A,B,Cを介して伝えられた熱を外部に放散してパネル1を冷却する。
【0018】
具体的には、パネル1は面内で温度分布に偏りがあり相対的に高温部位と低温部位に分かれている。伝熱材A,B,Cは、パネル1の高温部位に対応する部分の熱伝導性が高く、パネル1の低温部位に対応する部分の熱伝導性が低くなっており、パネル1の温度分布の偏りを打ち消す。本実施形態の場合、パネル1は内側が高温部位で、これを囲む外側が低温部位となっており、これに対応して内側の伝熱材Aは熱伝導性が高く外側の伝熱材Bは熱伝導性が低くなっている。テレビ画面用など用途に応じてパネル1は立てて配置され、この場合上側が高温部位で下側が低温部位となっている。これに対応して上側の伝熱材A,Bは熱伝導性が高く下側の伝熱材Cは熱伝導性が低くなっている。即ち伝熱材A,B,Cの熱伝導率は、A>B>Cのように設定されている。
【0019】
伝熱材はシート状のものが市販されており、例えば古河電工株式会社から商品名TMシートとして提供されている。伝熱シートはシリコン系、アクリル系あるいはエチレンプロピレン系のゴムを主材とし、これに放熱性や難燃性を向上させる為に種々のフィラーを配合した機能性素材である。伝熱シートは柔軟で且つ粘着力がある為、発熱部品やヒートシンクあるいは放熱シャーシと密着し効率よく熱放散を行なうことができる。伝熱シートは厚みが0.5〜4mm程度であり、熱伝導率(W/mK)は0.6〜2.5程度である。本実施形態ではフラットに組み立てた画像表示装置の厚みを極力小さくする為、伝熱シートは0.5mmの厚みのものを使用している。熱伝導率については1W/mKをベースとし、パネルの温度分布の片寄りの程度に応じ、適宜0.6〜2.5W/mKの範囲で選択する。熱伝導率など特性の異なる伝熱シートは、前述したように例えば古河電工株式会社から商品名TMシートとして市販されており、使用目的に合わせて種々のグレードを選択できる。
【0020】
図1に示したパネル1は、例えば有機ELディスプレイパネルである。2枚のガラス基板である前面基板11と、背面基板10とを備え、これらを貼り合わせることによって、有機ELディスプレイパネルが形成される。前面基板10側が発光面である。放熱シャーシ2は、アルミニウム等熱伝導特性が良い金属によって形成され、少なくとも背面基板10を覆う面積を有している。有機ELディスプレイパネル1にて発熱する熱を、放熱シャーシ2によって放熱させるため、有機ELディスプレイパネル1の背面ガラス基板10と放熱シャーシ2との間に、熱伝導特性の良い伝熱材A,B,Cを密着して介在させてある。但し、伝熱材A,B,Cの熱伝導率は、パネル1の面温度分布に対応して、A>B>Cのように設定されている。
【0021】
ここでパネルの面温度分布を説明する。図2はパネル1の面温度分布を示す模式図である。図示する様に、発光部100の中央部に比べ、周辺部の温度が低くなっており、温度ムラが発生する領域となっている。発光部100の中央部に比べ周辺部は熱伝導などにより熱が失われる為、温度が低くなっている。
【0022】
パネル1の角部で且つ対角線に沿った部分(一点鎖線で示してある)の温度分布をグラフに表わしてある。このグラフは横軸に距離を取り、縦軸に温度を取ってある。グラフから明らかな様に、発光部の中央に比べ端部は幅約20mmに亘って温度が低くなっていることが分かる。
【0023】
図3は、パネルの温度分布の片寄りを示した別の模式図である。図示する様に、発光部100は上部に比べて下部の温度が低く、温度ムラが発生する領域となっている。これはパネル1を立てて配置した場合、冷却風の対流により、相対的に下部が強く冷却される為である。パネル1の下部における温度分布をグラフに示してある。グラフから明らかな様に、パネル上部及び中央部に比べ、パネル下部の温度は約200mmの幅で低くなっていることが分かる。
【0024】
図4は図2及び図3に示した温度分布を合成した模式図である。図示する様に、パネル1の発光部100は、中央部に比べこれを囲む外周部の温度が低くなっている。又、中央部に比べ下部の温度も低くなっている。パネル1の中央縦断線に沿った温度分布をグラフに示す。図示する様に、パネルの中央に比べ外周部が幅約20mmの範囲で温度が低くなっている。又、上部及び中央部に比べ下部の温度が幅約200mmの範囲で低下している。
【0025】
図5は、本発明の効果を示す模式図である。理解を容易にする為、図4のグラフと対応する表記となっている。前述した様に、パネル背面の温度分布の偏りに対応して、異なる熱伝導率の伝熱材A,B,Cを配置してある。図示する様に、パネルの背面ガラス基板10の中央には通常の伝熱材Aが配され、これを囲む周辺部には伝熱材Aよりも熱伝導性の低い伝熱材Bが配され、更に下部には伝熱材Bよりも熱伝導性の低い伝熱材Cが配されている。この様に、パネルの温度分布に対応して異なった熱伝導性の伝熱材を配することで、温度ムラを補正することができる。
【0026】
グラフはパネルの中央縦断線に沿った温度分布である。点線が補正前の温度分布を示し、実線が補正後の温度分布を表わしている。グラフから明らかな様に、パネル外周部の温度ムラが改善されている。又、パネル下部の温度ムラも顕著に改善されている。この結果、パネルの縦断線に沿った温度分布はほぼフラットになっており、温度分布の片寄りは実質上なくなっている。
【0027】
この様に本発明では、パネルの温度ムラを、熱伝導特性の違う伝熱材を複数混在させることで補正させようとするものである。まず、伝熱材Aより熱伝導特性の劣る伝熱材Bを、外周発光部の温度低下防止のために使用する。貼り付ける箇所は、図5に示すように、上、左、右部の温度低下が認められる部分である。このようにすることで、伝熱材Aのみを使用する場合と比較して、熱が放熱シャーシへ伝達されにくくなり、冷却効果が抑えられることで、温度が上がるのである。
【0028】
同様に、さらに伝熱材Bより熱伝導特性の劣る伝熱材Cを、空気の対流により発光部下部が冷やされて起こる温度低下の防止のために使用する。貼り付ける箇所は、図5に示すように、下部の温度低下が認められる部分である。このようにすることで、伝熱材A,Bのみを使用する場合と比較して、さらに熱が放熱シャーシへ伝達されにくくなり、温度がさらに上昇する。下部の領域が、一番温度低下が大きいため、使用する伝熱材の中で一番熱伝導特性が悪いものを使用する。貼る面積については、温度低下が起こっている全ての領域に貼り付けてしまうと、温度低下が少ない領域では、逆に、元々一番高かった温度を越えてしまう可能性があるため、温度低下が認められる領域よりも小さい面積で、温度低下が大きい方の領域へ貼り付けることが良い。このような手段をとれば、熱伝導特性の違ういろいろな材質のものを選択することや、貼り付ける面積を変えることで、ある程度均一な温度分布を得られることになる。
【0029】
以上述べたように本発明によれば、温度の低い箇所ほど、熱伝導特性の悪い伝熱材を選択して使用し、熱冷却効果を妨げることで、部分的に温度を上げながら面内均一な温度分布が得られ、有機EL発光素子の劣化速度の差を抑えられ、画素劣化による固定的な輝度ムラを防止できるという効果がある。また、特殊な空間や薄さを損なう構造を必要とせず、従来使用している伝熱材の厚みの領域で、部分的に温度ムラを変えることができるため、パネルモジュールを厚くさせずに、薄い形態で発光面内の温度分布を均一にできる効果がある。また、本発明によれば、表示データ信号に一切関係なく、簡易な放熱構造のみで、温度ムラを補正できるため、元々の映像表示品位を全く損なわせないという効果がある。
【0030】
図6は、図1に示した有機EL表示パネルの構成を示すブロック図である。この表示パネル1は、画素回路(PXLC)101がm×nのマトリクス状に配列された画素アレイ部100、水平セレクタ(HSEL)103、ライトスキャナ(WSCN)104、ドライブスキャナ(DSCN)105、水平セレクタ103により選択され輝度情報に応じた信号が供給される信号線DTL101〜DTL10n、ライトスキャナ104により選択駆動される走査線WSL101〜WSL10m、及びドライブスキャナ105により選択駆動される走査線DSL101〜DSL10mを有する。画素アレイ部100が画面であり且つ発光部である。
【0031】
図7は、図6に示した画素回路の一構成例を示す回路図である。図示する様に、この画素回路101は、基本的にpチャネル型の薄膜電界効果トランジスタ(以下、TFTと言う)で構成されている。すなわち画素回路101は、ドライブTFT111、スイッチングTFT112、サンプリングTFT115、有機EL素子117、保持容量C111を有する。係る構成を有する画素回路101は、信号線DTL101と走査線WSL101,DSL101との交差部に配されている。信号線DTL101はサンプリングTFT115のドレインに接続し、走査線WSL101はサンプリングTFT115のゲートに接続し、他の走査線DSL101はスイッチングTFT112のゲートに接続している。
【0032】
ドライブTFT111、スイッチングTFT112及び有機EL素子117は、電源電位Vccと接地電位GNDの間で直列に接続されている。すなわちドライブトランジスタ111のソースが電源電位Vccに接続される一方、有機EL素子(発光素子)117のカソードが接地電位GNDに接続されている。一般に、有機EL素子117は整流性がある為ダイオードの記号で表わしている。一方、サンプリングTFT115及び保持容量C111は、ドライブTFT111のゲートに接続している。ドライブTFT111のゲート・ソース間電圧をVgsで表わしている。
【0033】
画素回路101の動作であるが、まず走査線WSL101を選択状態(ここでは低レベル)とし、信号線DTL101に信号を印加すると、サンプリングTFT115が導通して信号が保持容量C111に書き込まれる。保持容量C111に書き込まれた信号電位がドライブトランジスタ111のゲート電位となる。続いて、走査線WSL101を非選択状態(ここでは高レベル)とすると、信号線DTL101とドライブTFT111とは電気的に切り離されるが、ドライブTFT111のゲート電位Vgsは保持容量C111によって安定に保持される。続いて他の走査線DSL101を選択状態(ここでは低レベル)にすると、スイッチングTFT112が導通し、電源電位Vccから接地電位GNDに向かって駆動電流がTFT111,TFT112及び発光素子117を流れる。DSL101が非選択状態になるとスイッチングトランジスタ112がオフし、駆動電流は流れなくなる。スイッチングTFT112は発光素子117の発光時間を制御する為に挿入されたものである。
【0034】
TFT111及び発光素子117に流れる電流は、TFT111のゲート・ソース間電圧Vgsに応じた値となり、発光素子117はその電流値に応じた輝度で発光し続ける。上記の様に、走査線WSL101を選択して信号線DTL101に与えられた信号を画素回路101の内部に伝える動作を、「書き込み」と呼ぶ。上述の様に、一度信号の書き込みを行なえば、次に書き換えられるまでの間、発光素子117は一定の輝度で発光を続ける。そのとき発熱を伴い、放熱の偏りから発光部100の温度分布にムラが生じる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る画像表示装置を示す模式的な縦断面図及び背面図である。
【図2】パネルの温度分布を示す模式図である。
【図3】パネルの温度分布を示す模式図である。
【図4】パネルの温度分布を示す模式図である。
【図5】本発明に係る画像表示装置のパネルの温度分布を示す模式図である。
【図6】画像表示装置に含まれるパネルの構成例を示すブロック図である。
【図7】画像表示装置に含まれるパネルの構成例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0036】
1・・・パネル、2・・・放熱シャーシ、10・・・背面ガラス基板、11・・・前面ガラス基板、100・・・発光部、A・・・伝熱材、B・・・伝熱材、C・・・伝熱材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示用のパネルとその背面に配された放熱用のシャーシと、両者の間に介在する伝熱材とからなる画像表示装置であって、
前記パネルは画像を表示する画素として自発光素子が配列されており、各自発光素子は自ら発光する際発熱を伴い、
前記伝熱材は該パネルで発生した熱を該シャーシに伝える熱伝導性を有し、該熱伝導性が該パネルの面内で局所的に異なっており、
前記シャーシは該伝熱材を介して伝えられた熱を外部に放散して該パネルを冷却することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記パネルは面内で温度分布に偏りがあり相対的に高温部位と低温部位に分かれており、
前記伝熱材は、該パネルの高温部位に対応する部分の熱伝導性が高く、該パネルの低温部位に対応する部分の熱伝導性が低くなっており、
該パネルの温度分布の偏りを打ち消すことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記パネルは内側が高温部位で、これを囲む外側が低温部位となっており、これに対応して前記伝熱材は内側の熱伝導性が高く外側の熱伝導性が低くなっていることを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記パネルは立てて配置され、上側が高温部位で下側が低温部位となっており、これに対応して前記伝熱材は上側の熱伝導性が高く下側の熱伝導性が低くなっていることを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−18171(P2006−18171A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198060(P2004−198060)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】