説明

画像表示装置

【課題】 電子線励起型薄型平面表示装置の輝度寿命、発光輝度のリニアリティ及び色度を向上することである。
【解決手段】 複数個の互いに平行な第1の電極と,前記第1の電極に直交する複数個の互いに平行な第2の電極と,前記第1の電極と前記第2の電極との交点または交点近傍に設置された電子放出素子とを有する基板と,蛍光膜が形成されたフェースプレートとを有する電子線励起型薄型平面表示装置であって,前記蛍光膜をZnS:Ag青色発光蛍光体とCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を混合した青色発光蛍光体を用いて形成した青色発光蛍光膜を用いることによって、従来では解決されなかった輝度寿命、発光輝度のリニアリティ及び色度を改善した電子線励起型薄型平面表示装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,蛍光膜が形成されたフェースプレートと,前記蛍光膜に電子線を照射する電子放出素子とを備えた画像表示装置に係り,特に蛍光膜を構成する蛍光体としてほぼ同じ平均粒径のCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体及びZnS:Ag青色発光蛍光体を含む蛍光膜を用いたことを特徴とする画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像情報システムにおいては,高精細化、大画面化,薄型化,低消費電力化といった様々な要求に応じて各種ディスプレイ装置の研究開発が盛んに行われている。このような要求に応える薄型化,低消費電力化を実現するディスプレイとして電子線励起型薄型平面表示装置の研究開発が近年,盛んに行われている。電子線励起型薄型平面表示装置は画素(サブ画素)に対応した電子放出素子を真空外囲器の背面に設置し,前面のフェースプレートの内面に蛍光膜を設置した構造となっており,加速電圧約0.1kVから10kV程度の低加速電子線を蛍光膜に照射して発光させ,画像を表示する。ここで,蛍光膜に照射する電子線の電流密度は一般のブラウン管の約10倍から1000倍程度と高電流密度であるため,電子線励起型薄型平面表示装置用蛍光膜においてはチャージアップを引き起こさない,低抵抗な特性が望まれる。さらに,高電流密度下における寿命特性及び長時間電子線を照射した後の色バランスが良好であり,輝度飽和が少なく高輝度な特性も必要とされる。
【0003】
電子線励起型薄型平面表示装置には使用する電子放出素子によっていくつかの方式がある。電子放出素子として,スピント型電子源やカーボンナノチューブ型電子源などの電界放出電子源を用いたものは,電界放出表示装置(フィールド・エミッション・ディスプレイ,FED)と呼ばれている。その他にも,電子放出素子として,表面伝導型電子源を用いる表示装置,MIM型やBSD型(弾道電子表面電子源),HEED型など電子加速層で加速されたホットエレクトロンを用いる薄膜電子源を用いる表示装置などが知られている。以下,これらの電子線励起型薄型平面表示装置を総称して(広義の)「FED」と呼ぶことにする。
【0004】
これまで,長寿命、高リニアリティ(発光輝度の照射電流量に対する伸びが高い)な蛍光膜を実現するために様々な開発が行われてきた。高圧型FEDでは非特許文献1に記載されるようにZnS:Ag青色発光蛍光体が使用されているが、硫黄のエミッタへの汚染、青及び緑色発光蛍光体の輝度寿命及び輝度飽和(発光輝度の照射電流量に対する伸びが鈍化すること)などの問題がある。また、低圧型FEDでは非特許文献2に記載されるようにY2SiO5:Ce青色発光蛍光体が用いられているが、輝度が低いこと及び長時間の電子線照射で青色発光の色度が白色方向にシフトする色度劣化の問題がある。一方、新規な青色発光酸化物蛍光体としてCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を低加速電圧電子線励起で輝度評価した結果が非特許文献3に記載されている。しかしながら、CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の特徴である長寿命・高リニアリティについての記載は無く、ZnS:Ag青色発光蛍光体と組み合わせて高性能なFEDが実現されることについての記載も無い。最近、特許文献1に記載されるようにCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体とZnS:Ag青色発光蛍光体と組み合わせてFED用青色発光蛍光膜として使用している。しかしながら、CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の粒径はZnS:Ag青色発光蛍光体の1/2より小さく、CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の性能を十分に引き出せる粒径とはなっていない。
【0005】
また、FED用蛍光体としてでは無いが、特許文献2及び非特許文献4に記載されるようにCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を真空紫外線励起用蛍光体として使用している。しかしながら、ZnS:Ag青色発光蛍光体と組み合わせて高性能な電子線励起用蛍光膜を実現する記載は無い。
これまで,FED用として低抵抗、長寿命、高輝度な蛍光膜を実現するために様々な方法が検討されてきた。しかしながら,これら従来の方法でその課題が全て解決されたわけではない。特に,長寿命・高リニアリティを実現する新しい方法が必要である。
【0006】
【特許文献1】特開2003197135号公報
【0007】
【特許文献2】特開2002332481号公報
【非特許文献1】J. Vac. Sci. Technol. A19(4) 2001年, p1083
【非特許文献2】SID04, 19.4L, p832
【非特許文献3】Extended Abstract of the Fifth Int. Conf. of Display Phosphors 1999年 p317
【非特許文献4】Asia Display/IDW'01, PHp1-7, p1115
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の目的は,上記従来の蛍光膜の発光輝度、輝度寿命、リニアリティ、色度の各特性の改善を図ることであり,優れた輝度寿命特性を有する画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は複数個の互いに平行な第1の電極,前記第1の電極に直交する複数個の互いに平行な第2の電極及び前記第1の電極と前記第2の電極との交点または交点近傍に設置された電子放出素子を有する基板と,蛍光膜が形成されたフェースプレートとを有する画像表示装置であって,前記蛍光膜をCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体及びZnS:Ag青色発光蛍光体を含む青色発光蛍光膜を用いたことを特徴とする画像表示装置により達成される。この場合の画像表示装置の電子線の加速電圧は主に1kV以上15kV以下の範囲である。また、CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体及びZnS:Ag青色発光蛍光体の平均粒径は蛍光体の性能を十分に発揮出来る大きさを持ち、且つ印刷塗布に適した大きさであることが望ましい。これらの蛍光体の平均粒径に対する要求を満たすには、CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体及びZnS:Ag青色発光蛍光体の平均粒径はほぼ同じとする。さらに、その範囲は発光輝度の要求からCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の平均粒径がZnS:Ag青色発光蛍光体の平均粒径の50%以上であることが望ましく、70%以上であることがさらに望ましい。また、印刷塗布の要求からCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の平均粒径がZnS:Ag青色発光蛍光体の平均粒径の200%以下であることが望ましい。このようなCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の平均粒径はおよそ3μm以上8μm以下となる。また、CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の混合比率はZnS:Ag青色発光蛍光体の20重量%以上である場合により十分な性能を発揮することができる。
【0010】
また、ZnS:Ag青色発光蛍光体の発光スペクトルの400nm(3.10eV)付近にショルダーが観測され、その発光強度がガウス曲線でフィッティングした強度よりも2.5倍以上大きい蛍光体を用いることによって、さらに青色蛍光膜の輝度寿命が改善される。また、その製造方法としては、硫黄を含む雰囲気中で処理温度100〜600℃でアニールすることによって作製され、作製されたZnS:Ag蛍光体は硫黄欠陥濃度が低減していることを熱発光曲線の測定によって観測することができる。このように作製されたZnS:Ag青色発光蛍光体とCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を混合することにより、より高性能な画像表示装置が実現できる。
【0011】
また、CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体にIIa族、IIb族及びIVb族からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を添加してもよい。これらの元素を添加することによって、発光輝度及び色度を改善することができる。また、各蛍光体においてフラックスを用いて蛍光体を合成する方法では、Ia族、VIIb族及び希土類からなる群から選ばれる少なくとも一種の微量不純物を含有する場合がある。また、ZnS:Ag青色発光蛍光体にIIa族、IIb族、VIb族及びIb族、IIIb族からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を添加してもよい。これらの元素を添加することによって、発光輝度を改善することができる。また、各蛍光体においてフラックスを用いて蛍光体を合成する方法では、Ia族、VIIb族及び希土類からなる群から選ばれる少なくとも一種の微量不純物を含有する場合がある。このように各種元素を添加したCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体及びZnS:Ag青色発光蛍光体を混合することによって、より高性能な画像表示装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像表示装置は、CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体及びZnS:Ag青色発光蛍光体を組み合わせた青色発光蛍光膜を使用しているため、発光輝度のリニアリティが良好であり長寿命化が図られており、長時間駆動した後でも輝度特性及び色度バランスが良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ここでは本発明の画像表示装置に使用する蛍光体の輝度及び輝度維持率等の各特性について詳述するが、以下に示す実施例は、本発明を具体化する一例を示すものであり、本発明を拘束するものではない。
【実施例1】
【0014】
初めに、青色発光蛍光体の個々の特性について説明する。Y2SiO5:Ce、ZnS:Ag,Cl及びCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を用いて発光輝度特性の評価を行った。各蛍光体試料はNiメッキしたCu基板上に沈降塗布法により蛍光膜を形成した。塗布重量は2〜5mg/cm2とした。作製した試料を電子銃を搭載したデマウンタブル装置にセットして測定を行った。デマウンタブル装置における電子線は偏向ヨークにより、一般のテレビと同じ周波数で左右及び上下に走査され、上述のように作製した蛍光膜上の一定範囲に四角いラスタ(電子線照射範囲)を描く。発光輝度及びラジオメトリックフィルタを通した輝度(発光エネルギ)は反射側から色彩色差計及びSiホトセルを用いて測定した。輝度特性評価は、加速電圧7kV、照射面積6×6mm、照射電流2μA、電流密度5.6μA/cm2、試料温度20℃の条件で行った。輝度特性の評価結果を表1に示す。CaMgSi2O6:Eu蛍光体の発光輝度はZnS:Ag,Cl蛍光体の35.2%である。Y2SiO5:Ce蛍光体の発光輝度はZnS:Ag,Cl蛍光体の65.2%であるが、これはCaMgSi2O6:Eu蛍光体の色度y値が小さくY2SiO5:Ce蛍光体の色度y値が大きいために視感度として輝度に差がでている。青色蛍光体の輝度特性を比較するのは発光エネルギを用いるのが適当である。CaMgSi2O6:Eu蛍光体の発光エネルギは52.8%とY2SiO5:Ce蛍光体の28.2%に比べて高い。また、リニアリティはZnS:Ag,Cl蛍光体(0.85)に比べて0.97と高く、そのため高電流域になるほど発光エネルギはZnS:Ag,Cl蛍光体に近づく。
【0015】
次に、各青色発光蛍光体の輝度維持率評価を行った。試料の作製及び評価装置は輝度特性評価の場合と同様である。輝度維持率の加速試験は、加速電圧7kV、照射面積6×6mm、照射電流100μA、電流密度278μA/cm2、試料温度200℃、電子線照射時間1時間の条件で行った。表2に輝度維持率及び色度変化の評価結果を示す。ZnS:Ag,Cl蛍光体の輝度維持率(加速試験前後の発光エネルギを加速電圧7kV、照射面積6×6mm、照射電流2μA、電流密度5.6μA/cm2、試料温度20℃にて比較)は80.4%であるのに対して、Y2SiO5:Ce蛍光体は92.9%、CaMgSi2O6:Eu蛍光体の輝度維持率は95.8%と良好であった。Y2SiO5:Ce蛍光体の輝度維持率はZnS:Ag,Cl蛍光体よりも高いが、加速試験後に色度x及びyともに増加しており、白色方向に発光色がシフトする色度劣化が見られる。CaMgSi2O6:Eu蛍光体の色度yは加速試験後にやや増加するが、ZnS:Ag,Cl蛍光体と同程度である。
【0016】
【表1】

【0017】
【表2】

【0018】
以上のように、ZnS:Ag,Cl蛍光体の発光輝度は高いが、輝度寿命は十分とは言えない。一方、CaMgSi2O6:Eu蛍光体は発光輝度のリニアリティ、色度及び輝度寿命は良好であるが、発光輝度が低い。ただし、酸化物蛍光体としてはY2SiO5:Ce蛍光体よりも発光エネルギが高く、各性能ともに十分である。従って、高輝度ZnS:Ag,Cl蛍光体と長寿命CaMgSi2O6:Eu蛍光体を組み合わせることによって、高輝度、長寿命であり、且つ色度及びリニアリティが良好である高性能なFED用青色発光蛍光膜を実現することができる。さらに、ZnS:Ag,Cl蛍光体とほぼ同じ平均粒径であり、発光輝度の高いCaMgSi2O6:Eu蛍光体を用いることによって、さらに長寿命化を図ることができる。以下にその具体例を述べる。
【0019】
次に、微粒子CaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径2μm)と、本発明に用いるCaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径5μm)の特性を比較した。表3にZnS:Ag,Cl蛍光体、微粒子CaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径2μm)及びCaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径5μm)の発光効率を示す。発光効率の測定では、MIM(Metal-Insulator-Metal, 金属−絶縁体−金属)電子源を用い、蛍光体を塗布してAlバックを形成したアノード基板を用いて加速電圧7kVで測定を行った。ZnS:Ag,Cl蛍光体の発光効率は3.3lm/Wである。微粒子CaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径2μm)の発光効率は1.5lm/Wであるのに対して、CaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径5μm)は1.8lm/Wと発光効率が高い。従って、青色発光蛍光膜として発光効率を3.0lm/Wと設定した場合、ZnS:Ag,Cl蛍光体に微粒子CaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径2μm)を混合できる割合は16%が上限である。微粒子CaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径2μm)の発光効率は低いため、それより微粒子CaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径2μm)の混合割合を多くすると3.0lm/Wよりも発光効率が低下してしまう。一方、ZnS:Ag,Cl蛍光体にCaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径5μm)を混合できる割合は、微粒子CaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径2μm)よりも発光効率が高いため、上限は20%となる。上述したようにCaMgSi2O6:Eu蛍光体の輝度寿命は良好であるため、CaMgSi2O6:Eu蛍光体の混合割合が高い方が輝度寿命はより長くなる。
【0020】
表4に本発明の実施例を比較例とともに示す。ZnS:Ag,Cl蛍光体に微粒子CaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径2μm)を混合した場合にはZnS:Ag,Clに対して56%改善している(実施例1−1)。また、ZnS:Ag,Cl蛍光体にCaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径5μm)を混合した場合には輝度寿命はZnS:Ag,Clに対して84%向上している(実施例1−2)。図1に各青色蛍光膜の電子線照射時間に対する輝度維持率変化のグラフを示す。本発明の青色蛍光膜では輝度寿命が比較例に対して改善されている。
【0021】
【表3】

【0022】
【表4】

【0023】
また、蛍光体の平均粒径を調べる方法としては、粒度分布測定装置で測定する方法及び電子顕微鏡で直接観察する方法などがある。電子顕微鏡で調べる場合を例にとると、蛍光体の粒径の変量(・・・、0.8〜1.2μm、1.3〜1.7μm、1.8〜2.2μm、・・・、6.8〜7.2μm、7.3〜7.7μm、7.8〜8.2μm、・・・など)の各区間を階級値(・・・、1.0μm、1.5μm、2.0μm、・・・、7.0μm、7.5μm、8.0μm、・・・)で表すことにし、これをxiとし、電子顕微鏡で観察された各変量の度数をfiで示すことにすれば、平均値Mは次のように表される。

【0024】

ただし、Σfi=Nである。このようにして各蛍光体の平均粒径を求めることができる。
【実施例2】
【0025】
次に、ZnS:Ag,Cl蛍光体(平均粒径5μm)に(Ca,Sr)MgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径4μm)を混合する場合について述べる。表5に各青色発光蛍光体の発光効率を示す。(Ca,Sr)MgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径4μm)の発光効率は2.0lm/Wと微粒子CaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径2μm)の発光効率(1.5lm/W)よりも高い。従って、青色発光蛍光膜として発光効率を3.0lm/Wと設定した場合、ZnS:Ag,Cl蛍光体に微粒子CaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径2μm)を混合できる割合は16%が上限である。微粒子CaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径2μm)の発光効率は低いため、それより微粒子CaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径2μm)の混合割合を多くすると3.0lm/Wよりも発光効率が低下してしまう。一方、ZnS:Ag,Cl蛍光体に(Ca,Sr)MgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径4μm)を混合できる割合は、微粒子CaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径2μm)よりも発光効率が高いため、上限は23%となる。表6に本発明の実施例を比較例とともに示す。ZnS:Ag,Cl蛍光体にCaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径5μm)を混合した場合には輝度寿命はZnS:Ag,Clに対して102%向上しており、輝度寿命が約2倍に改善されている(実施例2)。図2に各青色蛍光膜の電子線照射時間に対する輝度維持率変化のグラフを示す。本発明の青色蛍光膜では輝度寿命が比較例に対して改善されている。
【0026】
【表5】

【0027】
【表6】

【実施例3】
【0028】
ZnS:Ag,Al蛍光体(平均粒径6μm)にCaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径8μm)を混合して青色発光蛍光膜を作製した。電子線を照射した時の発光輝度、及び輝度寿命は実施例1−2に比べて良好であった。
【実施例4】
【0029】
アニール温度400℃で硫化処理を行ったZnS:Ag,Al蛍光体(平均粒径5μm)にCaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径5μm)を混合して青色発光蛍光膜を作製した。発光スペクトル中には450nmの青色発光ピークの短波長側400nm(3.10eV)に発光のショルダが観測され、その大きさはガウス型曲線でフィッティングした強度の2.7倍であった。また、そのZnS:Ag,Al蛍光体の熱発光曲線の450K付近は熱発光ピークが無く平坦であった。これらの蛍光体を混合した蛍光膜に電子線を照射した時の輝度寿命は実施例1−2に比べて良好であった。
【実施例5】
【0030】
ZnMgS:Ag,Al蛍光体(平均粒径8μm)にCaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径4μm)及びY2SiO5:Ce蛍光体を混合して青色発光蛍光膜を作製した。電子線を照射した時のリニアリティ及び輝度寿命は良好であった。
【実施例6】
【0031】
燐酸塩コートを施したZnSrS:Ag,Al蛍光体(平均粒径6μm)に(Ba,Ca)MgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径4μm)を混合して青色発光蛍光膜を作製した。電子線を照射した時の輝度寿命は良好であった。
【実施例7】
【0032】
ZnS:Ag,Cu,Al蛍光体(平均粒径4μm)にCaMg(Si,Ge)2O6:Eu蛍光体(平均粒径5μm)を混合して青色発光蛍光膜を作製した。電子線を照射した時の輝度寿命は良好であった。
【実施例8】
【0033】
ZnS:Ag,Al,Ga蛍光体(平均粒径3μm)に(Ba,Sr,Ca)MgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径6μm)を混合して青色発光蛍光膜を作製した。電子線を照射した時の発光輝度及び色度は良好であった。
【実施例9】
【0034】
微量不純物としてNa, K及びClを含有したZnS:Ag,Al蛍光体(平均粒径5μm)に微量不純物としてFを含有したCaMgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径6μm)を混合して青色発光蛍光膜を作製した。電子線を照射した時の色度、リニアリティ及び輝度寿命は実施例3とほぼ同様に良好であった。
【実施例10】
【0035】
ZnS:Ag,Al蛍光体(平均粒径5μm)にCaMgSi2O6:Eu,Tb蛍光体(平均粒径3μm)を混合して青色発光蛍光膜を作製した。電子線を照射した時の輝度寿命は良好であった。
【実施例11】
【0036】
ZnS:Ag,Al蛍光体(平均粒径6μm)に(Ca,Sc)MgSi2O6:Eu,Ce蛍光体(平均粒径6μm)を混合して青色発光蛍光膜を作製した。電子線を照射した時の輝度寿命は良好であった。
【実施例12】
【0037】
ZnS:Ag,Al蛍光体(平均粒径4μm)に(Ca,Gd)MgSi2O6:Eu,Tm蛍光体(平均粒径4μm)を混合して青色発光蛍光膜を作製した。電子線を照射した時の輝度寿命は良好であった。
【実施例13】
【0038】
ZnS:Ag,Al蛍光体(平均粒径5μm)に(Ca,Y)MgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径5μm)を混合して青色発光蛍光膜を作製した。電子線を照射した時の輝度寿命は良好であった。
【実施例14】
【0039】
ZnS:Ag,Al蛍光体(平均粒径3μm)に(Ca,Lu)MgSi2O6:Eu蛍光体(平均粒径3μm)を混合して青色発光蛍光膜を作製した。電子線を照射した時の輝度寿命は良好であった。
【実施例15】
【0040】
MIM型電子源ディスプレイ装置その1。
この実施例では電子放出素子301として薄膜電子源を用いる。さらに具体的にはMIM(Metal-Insulator-Metal, 金属−絶縁体−金属)電子源を用いる。図3は,本実施例で用いる表示パネルの平面図である。図4は図3のA−B間の断面図である。陰極板601,蛍光板602,枠部材603とで囲まれた内部が真空になっている。真空領域には大気圧に抗するためにスペーサ60が配置されている。スペーサ60の形状,個数,配置は任意である。陰極板601上には走査電極310が水平方向に配置され,データ電極311がそれと直交して配置されている。走査電極310とデータ電極311との交点がサブ画素に対応する。ここでサブ画素とは,カラー画像表示装置の場合には,赤,青,緑色それぞれのサブ画素に対応するものである。図3では走査電極310の本数が12本しか記載していないが,実際のディスプレイでは数百本から数千本ある。データ電極311についても同様である。走査電極310とデータ電極311との交点には電子放出素子301が配置されている。本実施例では電子放出素子301として薄膜電子源を用いている。走査電極310と上部電極バスライン32とが交差する領域に電子放出領域があり,この領域から電子が放出される。図5は,本実施例で用いる表示パネルの断面図である。図5(a)は図3のA−B線方向に沿った断面図(但し3サブ画素分),図5(b)はそれと直交する方向での断面図(3サブ画素分)である。
【0041】
陰極板601の構成は以下の通りである。ガラスなどの絶縁性の基板14上に,下部電極13(Al),絶縁層12(Al),上部電極11(Ir−Pt−Au)とで構成される薄膜電子源301が構成される。上部電極バスライン32は,上部電極バスライン下地膜33を介して上部電極11に電気的に接続されており,上部電極11への給電線として働く。また,本実施例では上部電極バスライン32はデータ電極311として働く。陰極板601上,電子放出素子301がマトリクス状に配置されている領域(陰極配置領域610と呼ぶ)は,層間絶縁膜410で覆われており,その上に共通電極420が形成されている。共通電極420は,共通電極膜A421と共通電極膜B422の積層膜で構成される。共通電極はアース電位に接続されている。スペーサ60は共通電極420に接しており,蛍光板602の加速電極122からスペーサ60を介して流れる電流を流す働きと,スペーサ60に帯電した電荷を流す働きをする。なお,図5では高さ方向の縮尺は任意である。すなわち,下部電極13や上部電極バスライン32などは数μm以下の厚さであるが,基板14と面板110との距離は1〜3mm程度の長さである。陰極板601の作成方法は特開2003−323148に記載されている。
【0042】
蛍光板602の内側にはZnS:Ag青色発光蛍光体とCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を混合した青色発光蛍光体、ZnS:Cu,Al緑色発光蛍光体及びY2O3:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114A, 114B, 114Cがある。精細度を上げるために1画素間に黒色導電材を設けた。黒色導電材の作製では,全面にホトレジスト膜を塗布し,マスクを介して露光して現像し,部分的にホトレジスト膜を残す。その後,全面に黒鉛膜を形成してから過酸化水素などを作用させてホトレジスト膜とその上の黒鉛を取り除いて黒色導電材を形成した。蛍光膜の塗布にはスクリーン印刷法を用いた。蛍光体をセルロース系樹脂等を主体としたベヒクルと混練してペースト状とし調合する。次に、ステンレスメッシュを介して押印塗布する。赤、緑、青蛍光体の塗り分けは、メッシュの穴の位置をそれぞれの蛍光膜の位置に合わせることによって行った。次に、印刷により形成した蛍光膜を焼成して混合したセルロース樹脂等を除去した。このようにして蛍光体のパターンを形成した。加速電極122(メタルバック)は,蛍光膜の内面にフィルミング加工してからAlを真空蒸着して作成する。その後,熱処理してフィルミング剤を飛ばして作製した。このようにして蛍光板602が完成する。
【0043】
陰極板601と蛍光板602との間には,スペーサ60が適当な個数配置されている。図3,図4に示したとおり,陰極板601と蛍光板602とは枠部材603をはさんで封着される。さらに,陰極板601と蛍光板602と枠部材603とで囲まれた空間10は真空に排気される。このようにして表示パネル100が完成する。
【実施例16】
【0044】
MIM型電子源ディスプレイ装置その2。
本発明のMIM型電子源ディスプレイ装置を図5に示す。特に、蛍光板602の内側にはZnS:Ag青色発光蛍光体とCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を混合した青色発光蛍光体、Y2SiO5:Tb緑色発光蛍光体及びY2O2S:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114A, 114B, 114Cがある。蛍光膜、黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例15)と同様である。これらの蛍光体の組合せでは、輝度寿命が特に良好である。
【実施例17】
【0045】
MIM型電子源ディスプレイ装置その3。
本発明のMIM型電子源ディスプレイ装置を図5に示す。特に、蛍光板602の内側にはZnS:Ag青色発光蛍光体とCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を混合した青色発光蛍光体、Y2SiO5:Tb緑色発光蛍光体、Y2O2S:Eu及びY2O3:Eu赤色発光蛍光体を混合した赤色発光蛍光体試料によって形成した蛍光膜114A, 114B, 114Cがある。蛍光膜、黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例15)と同様である。これらの蛍光体の組合せでは、リニアリティ及び輝度寿命が特に良好である。
【実施例18】
【0046】
MIM型電子源ディスプレイ装置その4。
本発明のMIM型電子源ディスプレイ装置を図5に示す。特に、蛍光板602の内側にはZnS:Ag,Al青色発光蛍光体と(Ca,Sr)MgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を混合した青色発光蛍光体、(Y,Sc)2SiO5:Tb緑色発光蛍光体、Y2O3:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114A, 114B, 114Cがある。蛍光膜、黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例15)と同様である。これらの蛍光体の組合せでは、実施例17に比べて発光輝度の改善が図られている。
【実施例19】
【0047】
MIM型電子源ディスプレイ装置その5。
本発明のMIM型電子源ディスプレイ装置を図5に示す。特に、蛍光板602の内側にはZnS:Ag,Cl青色発光蛍光体とCaMg(Si,Ge)2O6:Eu青色発光蛍光体を混合した青色発光蛍光体、(Y,Gd)2SiO5:Tb緑色発光蛍光体、Y2O3:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114A, 114B, 114Cがある。蛍光膜、黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例15)と同様である。
【実施例20】
【0048】
MIM型電子源ディスプレイ装置その6。
本発明のMIM型電子源ディスプレイ装置を図5に示す。特に、蛍光板602の内側にはZnS:Ag,Al青色発光蛍光体とCa(Mg,Zn)Si2O6:Eu青色発光蛍光体を混合した青色発光蛍光体、(Y,Dy)2SiO5:Tb緑色発光蛍光体、Y2O3:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114A, 114B, 114Cがある。蛍光膜、黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例15)と同様である。
【実施例21】
【0049】
スピント型電子源ディスプレイ装置その1。
本発明のスピント型電子源ディスプレイ装置を図6に示す。スピント型電子源ディスプレイ装置19はフェースプレート110、スピント型電子源18、リアプレイト14で構成されており、スピント型電子源18は陰極20,抵抗膜21,絶縁膜22,ゲート23,円錐型金属(Moなど)24で形成されている。特に、フェースプレート110の内側にはZnS:Ag,Al青色発光蛍光体とCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を混合した青色発光蛍光体、Y2SiO5:Tb緑色発光蛍光体及びY2O3:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114がある。蛍光膜,黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例15)と同様である。本発明による発光輝度、リニアリティ、輝度寿命及び色度は(実施例15)と同様に良好であった。
【0050】
スピント型電子源など電界放出電子源は,表面に硫黄(元素名:S)が付着すると電子放出性能が大幅に劣化するという特性がある。したがって,本実施例のように,蛍光体の硫黄量を低減した組合せを用いることで電子放出素子の長寿命化,安定性向上も達成できる。
【実施例22】
【0051】
スピント型電子源ディスプレイ装置その2。
本発明のスピント型電子源ディスプレイ装置を図6に示す。特に、フェースプレート110の内側にはZnS:Ag,Al,Cl青色発光蛍光体とCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を混合した青色発光蛍光体、Y2SiO5:Tb緑色発光蛍光体及びY2O2S:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114がある。蛍光膜,黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例15)と同様である。
【実施例23】
【0052】
スピント型電子源ディスプレイ装置その3。
本発明のスピント型電子源ディスプレイ装置を図6に示す。特に、フェースプレート110の内側にはZnS:Ag,Cl青色発光蛍光体とCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を混合した青色発光蛍光体、Y2SiO5:Tb緑色発光蛍光体、Y2O2S:Eu及びY2O3:Eu赤色発光蛍光体を混合した赤色発光蛍光体試料によって形成した蛍光膜114がある。また、蛍光体の抵抗を下げるために導電性物質In2O3を蛍光膜に混合した。蛍光膜,黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例15)と同様である。
【実施例24】
【0053】
カーボンナノチューブ型電子源ディスプレイ装置その1。
本発明のカーボンナノチューブ型電子源ディスプレイ装置を図7に示す。カーボンナノチューブ型電子源ディスプレイ装置28はフェースプレート110、カーボンナノチューブ電子源27、リアプレイト14で構成されており、カーボンナノチューブ型電子源27は電極25,カーボンナノチューブ層26で形成されている。特に、フェースプレート110の内側にはZnS:Ag,Al青色発光蛍光体とCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を混合した青色発光蛍光体、Y2SiO5:Tb緑色発光蛍光体及びY2O3:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114がある。蛍光膜,黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例15)と同様である。
【0054】
カーボンナノチューブ型電子源など電界放出電子源は,表面に硫黄(元素名:S)が付着すると電子放出性能が大幅に劣化するという特性がある。したがって,本実施例のように,蛍光体の硫黄量を低減した組合せを用いることで電子放出素子の長寿命化,安定性向上も達成できる。
【実施例25】
【0055】
カーボンナノチューブ電子源ディスプレイ装置その2。
本発明のカーボンナノチューブ型電子源ディスプレイ装置を図7に示す。特に、フェースプレート110の内側にはZnS:Ag,Cl青色発光蛍光体とCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を混合した青色発光蛍光体、Y2SiO5:Tb緑色発光蛍光体及びY2O2S:Eu赤色発光蛍光体によって形成した蛍光膜114がある。蛍光膜,黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例15)と同様である。
【実施例26】
【0056】
カーボンナノチューブ電子源ディスプレイ装置その3。
本発明のカーボンナノチューブ型電子源ディスプレイ装置を図7に示す。特に、フェースプレート110の内側にはZnS:Ag,Al,Cl青色発光蛍光体とCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を混合した青色発光蛍光体、Y2SiO5:Tb緑色発光蛍光体、Y2O2S:Eu及びY2O3:Eu赤色発光蛍光体を混合した赤色発光蛍光体試料によって形成した蛍光膜114がある。また、蛍光体の抵抗を下げるために導電性物質In2O3を蛍光膜に混合した。蛍光膜,黒色導電材及びメタルバックの形成方法は(実施例15)と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の蛍光膜の輝度維持率曲線を示すグラフ。
【図2】本発明の蛍光膜の輝度維持率曲線を示すグラフ。
【図3】本発明の実施例15における表示パネルの模式的平面図。
【図4】本発明の実施例15における表示パネルの模式的断面図。
【図5】本発明の実施例15における表示パネルの模式的断面図。
【図6】本発明のスピント型電子源ディスプレイ装置の全体構造を示す模式図。
【図7】本発明のカーボンナノチューブ型電子源ディスプレイ装置の全体構造を示す模式図。
【符号の説明】
【0058】
11…上部電極、12…絶縁層、13…下部電極、14…基板、18…Spindt型電子源、19…Spindt型電子源ディスプレイ装置、
20…陰極、21…抵抗膜、22…絶縁膜、23…ゲート、24…円錐型金属、25…電極、26…カーボンナノチューブ層、27…カーボンナノチューブ型電子源、28…カーボンナノチューブ型電子源ディスプレイ装置、
32…上部電極バスライン、41…走査駆動回路、42…データ駆動回路、43…加速電極駆動回路、60…スペーサ、
100…表示パネル、110…面板、114…蛍光体、120…黒色導電材、122…加速電極、301…薄膜電子源、310…走査電極、311…データ電極、601…陰極板、602…蛍光板、603…枠部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の互いに平行な第1の電極,前記第1の電極に直交する複数個の互いに平行な第2の電極及び前記第1の電極と前記第2の電極との交点または交点近傍に設置された電子放出素子を有する基板と,蛍光膜が形成された該基板に対向するフェースプレートとを有する画像表示装置であって,前記蛍光膜をCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体及びZnS:Ag青色発光蛍光体を含む青色発光蛍光膜を用いたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
上記CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の平均粒径とZnS:Ag青色発光蛍光体の平均粒径がほぼ同じ大きさであることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
上記CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の平均粒径がZnS:Ag青色発光蛍光体の平均粒径の70%以上であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項4】
上記CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の平均粒径が3μm以上8μm以下であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項5】
上記CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の混合比率がZnS:Ag青色発光蛍光体の20重量%以上であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項6】
上記CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体にIIa族、IIb族及びIVb族からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を添加した青色発光蛍光膜を用いたことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項7】
上記ZnS:Ag青色発光蛍光体にIIa族、IIb族、VIb族及びIb族、IIIb族からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を添加した青色発光蛍光膜を用いたことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記蛍光膜を構成する蛍光体がIa族、VIIb族及び希土類からなる群から選ばれる少なくとも一種の微量不純物を含有することを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項9】
上記ZnS:Ag青色発光蛍光体の発光スペクトルの400nm(3.10eV)付近にショルダが観測されることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記発光スペクトルの400nm(3.10eV)における発光強度が、ガウス曲線でフィッティングした強度よりも2.5倍以上大きいことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項11】
上記ZnS:Ag青色発光蛍光体は硫黄を含む雰囲気中で処理温度100〜600℃でアニールすることによって硫黄欠陥濃度が低減した製造方法で作製し、前記ZnS:Ag青色発光蛍光体とCaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体を混合したことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項12】
上記CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の平均粒径がZnS:Ag青色発光蛍光体の平均粒径の50%以上であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項13】
上記CaMgSi2O6:Eu青色発光蛍光体の平均粒径がZnS:Ag青色発光蛍光体の平均粒径の200%以下であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項14】
上記電子放出素子から蛍光膜に放出される電子線の加速電圧が1kV以上15kV以下であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−242428(P2007−242428A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63491(P2006−63491)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】