画像表示装置
【課題】有機EL表示装置において、画像表示のための画像データにフィードバックするためのOLED素子の発光特性の測定時間を短くする。
【解決手段】画面には赤発光をする画素PX1、緑発光をする画素PX2、青発光をする画素PX3がマトリクス状に配列されている。画面上方には検出系120が設置されている。検出系120から延在する検出線116はアナログスイッチSWR1等と、スイッチ制御線RSCL等によって制御されるデジタルスイッチを介して各画素と接続する。画面右には検出用走査回路150が設置されている。検出用走査回路150からは検出スイッチ制御線TSC1等が延在している。アナログスイッチSWR1等、スイッチ制御線RSCL等、検出スイッチ制御線TSC1等を適宜選択することによって、複数の画素の電圧―電流特性を同時に測定する。
【解決手段】画面には赤発光をする画素PX1、緑発光をする画素PX2、青発光をする画素PX3がマトリクス状に配列されている。画面上方には検出系120が設置されている。検出系120から延在する検出線116はアナログスイッチSWR1等と、スイッチ制御線RSCL等によって制御されるデジタルスイッチを介して各画素と接続する。画面右には検出用走査回路150が設置されている。検出用走査回路150からは検出スイッチ制御線TSC1等が延在している。アナログスイッチSWR1等、スイッチ制御線RSCL等、検出スイッチ制御線TSC1等を適宜選択することによって、複数の画素の電圧―電流特性を同時に測定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機ELのような自発光素子を有する表示装置に係り、特に有機EL素子の発光特性の経時変化を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来表示装置の主流はCRTであったが、これに替わって、フラットデスプレイ装置である、液晶表示装置、プラズマ表示装置等が実用化され、需要が増大している。さらにこれらの表示装置に加え、有機エレクトロルミネッセンスを用いた表示装置(以下有機EL表示装置(OLED)という)や、フィールドエミッションを利用する電子源をマトリクス状に配置して、陽極に配置された蛍光体を光らすことによって画像を形成する表示装置(FED表示装置)の開発、実用化も進んでいる。
【0003】
有機EL表示装置は(1)液晶と比較して自発光型であるので、バックライトが不要である、(2)発光に必要な電圧が10V以下と低く、消費電力を小さくできる可能性がある、(3)プラズマ表示装置やFED表示装置と比較して、真空構造が不要であり、軽量化、薄型化に適している、(4)応答時間が数マイクロ秒と短く、動画特性がすぐれている、(5)視野角が170度以上と広い、等の特徴がある。
【0004】
有機EL表示装置は上記のような特徴があるが、問題点のひとつとして、有機EL発光素子(以後OLED素子という)は動作時間とともに発光特性が変化するという現象がある。OLED素子の時間的な特性の変化は画素毎に異なる。したがって、正しい画像表示を行うためには、各画素のOLED素子の特性変化を検出して、その結果をホストから入力される入力信号にフィードバックする必要がある。
【0005】
OLED素子の特性変化はOLED素子の電圧―電流特性の変化となって現れる。すなわち、動作時間とともに、同じ電圧を印加しても流れる電流が小さくなる。この現象を図11に示す。図11の横軸はOLED素子に印加する電圧で、縦軸はOLED素子に流れる電流である。特性1はOLED素子の初期特性である。特性2はOLED素子の時間経過後の特性である。OLED素子の発光はOLED素子を流れる電流に比例すると考えてよいから、時間経過とともに同じ電圧を印加してもOLED素子の発光輝度は変わってしまうことになり、正確な画像表示ができなくなる。
【0006】
このことは、逆に言えば、同じ発光をさせるために、同じ電流を流すためには、より高い電圧を印加する必要があるということである。図12はOLED素子に同じ電流を流すための印加電圧の変化を示すものである。図12において、横軸は動作時間であり、縦軸はOLED素子に一定電流を流すための印加電圧である。図12は、OLED素子に同じ電流を流すためには、動作時間とともに印加電圧を増加しなければならないことを示している。
【0007】
以上のように、有機EL表示装置で正しい画像を表示するためには定期的に全画素のOLED素子の電圧―電流特性を測定し、これを入力される画像信号にフィードバックする必要がある。このような技術を記載した文献として「特許文献1」または「特許文献2」があげられる。
【0008】
【特許文献1】特開2005−156697号公報
【特許文献2】特開2002−341825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のような従来技術はいずれも全画素のOLED素子を順次測定するものである。各画素のOLED素子の電圧―電流特性を測定する場合、各画素には浮遊容量が存在するため、電圧―電流特性を測定しようとするとこの浮遊容量を充電する必要がある。したがって、各画素の測定毎に測定時間を要する。しかも表示装置が大画面化し、画面も高精細化すると、全画素を測定するには多大な時間が掛かってしまう。
【0010】
測定時間が長くなると、画像を表示する期間が限られてくることになる。しかし、実用的な表示輝度は維持する必要があるので、表示期間にはOLED素子には大きな電流を流すことになり、電源線における電圧降下等様々な問題を生ずる。
【0011】
一方、測定時間を短縮するためには、測定時の電流を多くすることが考えられる。しかし、大きな電流を流すことは測定用の回路規模と使用する電圧範囲を大きくしなければならない。しかし、測定系の規模を大きくすることはそれだけ表示装置のコストが上昇することであり、好ましくない。また、測定用の電流を大きくするということは測定のための電力を多く消費するということであり、この点からも好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以上のべた課題を解決するものであり、OLED素子の電圧―電流特性をすべてのOLED素子について順次測定するのではなく、複数まとめて測定することによって測定時間を短縮するものである。具体的な手段は次のとおりである。
【0013】
(1)赤、緑、または青の発光をする発光素子を有する画素がマトリクス状に形成された表示装置であって、前記表示装置は画像を表示させるための表示部と、各画素における前記赤、緑、または青の発光素子の発光特性を測定する検出部とを有し、前記検出部による検出を行う場合は、前記赤、緑、または青の発光をする複数の画素を同時に検出することを特徴とする表示装置。
【0014】
(2)前記画素の発光素子特性は前記画素の電圧―電流特性であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0015】
(3)前記同時に検出する複数の画素は同一色の発光を行う画素であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0016】
(4)前記同時に検出する複数の画素はマトリクス状に配列された画素のうち、同一の行に配列されている画素であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0017】
(5)前記同時に検出する複数の画素はマトリクス状に配列された画素のうち、同一の列に配列されている画素であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0018】
(6)前記同時に検出する複数の画素は異なる色の発光を行う画素を含むことを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0019】
(7)前記発光素子は、有機発光ダイオード(OLED, Organic Light Emitting Diode)素子であることを特徴とする(1)に記載の画像表示装置。
【0020】
(8)赤、緑、または青のうちの一つの色を発光する第1の画素内の発光素子の発光効率をX1とし、他の発光の色の発光を行う第2の画素内の発光素子の発光効率をX2としたとき、X1≦X2であり、前記第1の画素内の発光素子特性を同時に検出する場合の画素の数をN1とし、前記第2の画素内の発光素子特性を同時に検出する場合の画素の数をN2としたとき、N1≦N2であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0021】
(9)赤、緑、または青のうちの一つの色を発光する第1の画素内の発光素子の発光効率をX1とし、他の発光の色の発光を行う第2内の発光素子の発光効率をX2としたとき、X1≦X2であり、前記第1の画素内の発光素子特性を同時に検出する場合の画素の数をN1とし、前記第2の画素内の発光素子特性を同時に検出する場合の画素の数をN2としたとき、N1≧N2であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0022】
(10)赤、緑、または青のうちの一つの色を発光する第1の画素の発光素子の特性を一定電圧で検出した時に必要とする電流値をI1とし、他の発光の色の発光を行う第2の画素の発光素子の特性を同電圧で検出した時に必要とする電流値をI2としたとき、I1≧I2であり、前記第1の画素を同時に検出する場合の画素の数をn1とし、前記第2の画素を同時に検出する場合の画素の数をn2としたとき、n1≦n2であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0023】
(11)赤、緑、または青のうちの一つの色を発光する第1の画素の発光素子の特性を一定電圧で検出した時に必要とする電流値をI1とし、他の発光の色の発光を行う第2の画素の発光素子の特性を同電圧で検出した時に必要とする電流値をI2としたとき、I1≧I2であり、前記第1の画素を同時に検出する場合の画素の数をn1とし、前記第2の画素を同時に検出する場合の画素の数をn2としたとき、n1≧n2であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0024】
(12)画像信号を供給する信号駆動回路部と、表示用走査回路と、検出用走査回路と、前記発光素子の特性を検出する検出部とを有する表示装置であって、前記画素に入力された画像信号を基に、前期発光素子を駆動するための電界効果トランジスタと前記検出部との接続を制御するスイッチ手段を有することを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0025】
(13)前記電界効果トランジスタ及びスイッチ手段は、多結晶Si-TFT(Thin-Film-Transistor)を用いて透明基板上に設けられていることを特徴とする(12)に記載の表示装置。
【0026】
(14)前記信号駆動回路部からは信号線が延在し、前記検出部からはスイッチを有する検出線が延在して前記信号線と接続し、前記スイッチがOFFしているときは前記信号駆動回路部から画像信号が前記信号線に供給され、前記スイッチがONしているときは前記検出部からの電流が前記信号線に供給されることを特徴とする(12)に記載の表示装置。
【発明の効果】
【0027】
本発明を用いることによって、発光素子特性の時間的な変化のフィードバックを行うための発光素子の測定を短時間で行うことができる。手段ごとの効果は次の通りである。
【0028】
手段(1)によれば画像信号へのフィードバックのための発光素子の発光特性を複数まとめて行なうことが出来るので検出時間を短くでき、フィードバックをより頻繁に行なうことができるので、正確な階調表示が可能になる。
【0029】
手段(2)によれば、発光素子の特性変化として電圧―電流特性を測定するので、発光特性の変化の検出が容易に出来る。
【0030】
手段(3)によれば、同時に検出する複数の画素は同一色であるので、纏める数、測定電流等を各色の発光素子の特性に合わせて変化させることが出来る。
【0031】
手段(4)によれば、同時に検出する複数の画素は同一の行に配置されているので、同時に検出する複数の画素は近接した位置のものとなり、フィードバックの精度を上げることが出来る。
【0032】
手段(5)によれば、同時に検出する複数の画素は同一の列に配置されているので、同時に検出する複数の画素は近接した位置のものとなり、フィードバックの精度を上げることが出来る。
【0033】
手段(6)によれば、同時に検出する複数の画素は異なる色の発光を行なう画素を含むので、R、G、B3色組の画素の特性変化を同時に測定し、フィードバックすることが出来る。
【0034】
手段(7)によれば画像信号へのフィードバックのためのOLED素子の発光特性を複数まとめて行なうことが出来るので検出時間を短くでき、フィードバックをより頻繁に行なうことができるので、正確な階調表示が可能になる。
【0035】
手段(8)によれば、纏め検出を行なう場合に、発光効率の高い発光素子をより多く纏め、発光効率の低い発光素子をより少なく纏めるので、検出系の速度を効率的に利用でき、検出時間を短くすることが出来る。
【0036】
手段(9)によれば、纏め検出を行なう場合に、発光効率の高い発光素子をより少なく纏め、発光効率の低い発光素子をより多く纏めるので、1画素あたりに流す電流値が下がり、検出電圧が下がるので、低電力なシステムを実現することができる。
【0037】
手段(10)によれば、纏め検出を行なう場合に、検出に必要な電流が大きい発光素子をより少なく纏め、検出に必要な電流が小さい発光素子をより多く纏めるので、検出系の速度を効率的に利用でき、検出時間を短く出来る。
【0038】
手段(11)によれば、纏め検出を行なう場合に、検出に必要な電流が大きい発光素子をより多く纏め、検出に必要な電流が小さい発光素子をより少なく纏めるので、1画素あたりに流す電流値が下がり、検出電圧が下がるので、低電力なシステムを実現することができる。
【0039】
手段(12)から手段(14)によれば、画像形成のための電流の入出力を制御するTFTとOLED素子の特性を検出するTFTを設置するので、1フレーム中でOLED素子に対して画像形成のための電流とOLED素子の特性を測定する電流を時間差で流すことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
実施例にしたがって、本発明の詳細な内容を開示する。
【実施例1】
【0041】
図1は本発明の表示装置を示す回路図である。画面には画像信号に基づいて赤、緑、青の発光を行うOLED素子を有する画素がマトリクス状に配置されている。ここで、PX1は赤発光の画素、PX2は緑発光の画素、PX3は青発光の画素である。すなわち、縦方向には同一色の画素が配置され、横方向には順に赤画素(R)、緑画素(G)、青画素(B)が配置されている。画面には水平方向には各色毎にn本の信号線、合計3n本の信号線が配設され、垂直方向にはm個の走査線または検出スイッチ制御線TSCが配設されている。
【0042】
画面左側には表示用走査回路200が設置されている。各画素へのデータ書き込み、各画素の発光は走査線ごとにおこなわれるが、表示用走査回路200からはこの走査線が画面方向に延在している。画面右側には検出用走査回路150が設置されている。各画素の特性検出は各画素へのデータ書き込み、各画素発光等の動作とは独立に走査線毎に行われる。検出動作も画面の行ごとに行われる。検出用走査回路150からは各行ごとに検出スイッチ制御線TSCが画面方向に延在している。
【0043】
画面上方には信号駆動回路が設置されている。信号駆動回路にはホストから信号入力線を通して画像信号が入力される。信号駆動回路からはホストからシリアルに送られてきた画像データを一行分纏めて画面に出力する。信号駆動回路からは各画素に画像データを送るための信号線が画面方向に延在する。
【0044】
画面上方右側には検出系120が設置されている。検出系120は定電流源112、バッファアンプ114、アナログデジタルコンバータ115、メモリ113で構成される。定電流源112は各OLED素子の電圧―電流特性を測定するためのものである。定電流源112から各OLED素子に電流を供給し、OLED素子の陽極電位を測定することによってOLED素子の電圧―電流特性を測定する。バッファアンプは各OLED素子の陽極電圧を増幅し、アナログデジタルコンバータ115に出力する。アナログデジタルコンバータ115はバッファアンプ114からのOLED素子の陽極電圧をデジタルデータに変えてメモリ113に入力する。メモリ113は全てのOLED素子の電圧―電流特性を記憶する。ホストからの画像データに対してはメモリ113に蓄えられたOLED素子の電圧―電流特性をフィードバックして各画素に画像データ信号として供給される。
【0045】
検出系120から延在する検出線116は各信号線と並列に設置されている。信号線には信号線アナログスイッチSSWが、検査線には検査線アナログスイッチが設置されている。これらのアナログスイッチによって、画素に対して画像信号を供給するか、OLED素子の電圧―電流特性を測定するかを決める。検査線は各アナログスイッチを経由して信号線と接続する。信号線アナログスイッチSSWがONになれば、検査線アナログスイッチがOFFになり、画素には画像信号データが供給される。また、検査線アナログスイッチがONになると信号線アナログスイッチSSWはOFFになり、OLED素子の電圧―電流特性の検出が可能になる。
【0046】
各信号線と画素の間にはデジタルスイッチが設置されている。デジタルスイッチは各色毎に設けられ、赤画素にはRスイッチが、緑画素にはGスイッチが、青画素にはBスイッチが設けられている。Rスイッチは
Rスイッチ制御線RSCLによって、GスイッチはGスイッチ制御線GSCLによって、BスイッチはBスイッチ制御線BSCLによってそれぞれ制御される。Rスイッチ、Gスイッチ、Bスイッチ等はOLED素子の特性を各色毎に纏めて、あるいは、単独で検出したい場合に用いられる。
【0047】
表示用走査回路200からの走査信号、信号駆動回路からのデータ信号の画素への供給のタイミング、検出用走査回路150からの検出信号の供給等はタイミングコントローラ110によって制御される。
【0048】
本発明では1フレーム期間は表示期間とブランキング期間に分ける。表示期間は表示方式によって異なる。ひとつは、表示期間を画像データを各画素に書き込む期間と、実際にOLED素子を発光させて画像を表示する期間とに分ける場合である。他の方式は画素に画像データを書き込むとただちにOLED素子を発光させる方式である。本発明はそのいずれにも実施可能である。
【0049】
ブランキング期間は画像データ書き込みも、画像表示も行わない期間である。このブランキング期間を利用してOLED素子の特性の変化を検出する。ブランキング期間は画像データ書き込みも、画像表示も行わない期間であるため、この期間を長くとることは出来ない。したがって、1フレーム内でのブランキング期間で全OLED素子の特性検出を行うことは困難である。この場合、複数フレームに分けて全OLED素子の特性検出を行なう。しかしながら、特性検出に時間がかかれば、全OLED素子の測定には多くのフレーム数を要し、リアルタイムでのフィードバックが出来なくなる。したがって、OLED素子の特性検出は短時間で行なう必要がある。各OLED素子の測定時間を短くするには、例えば、検出系120の定電流源112から流れる検査用の電流を大きくすることが考えられる。しかし、これは検査用回路規模が大きくなることを意味し、表示装置のコストの増大になる。また、検査用の電流を大きくすると検査用の電力が増大し、この面からも問題である。
【0050】
本発明は、OLED素子の測定を個々のOLED素子について行なうのではなく、複数のOLED素子の特性を纏めて行なうことによって測定時間を短縮し、OLED素子特性の適正なフィードバックを可能にするものである。一般には人間の目は表示装置の画素の一つ一つを識別することは出来ない。したがって、画像信号へのOLED素子特性のフィードバックは複数のOLED素子を纏めてフィードバックデータとしても実用的には問題がない場合が多い。本発明はこのような知見に基づくものである。
【0051】
図2は図1に示す回路でのOLED素子特性検出をする場合の動作を示すタイミングチャートである。OLED素子の特性検出を行なうときは、信号線アナログスイッチSSWはOFFされている。この状態で、Rスイッチ制御線RSCLにON信号を送り、RスイッチをONしてRのOLED素子測定を可能にする。次に検出用走査回路150から検出スイッチ制御線TSC1にON信号を送ると画面の第1行のR画素が選択される。この状態で検査線アナログスイッチを2個ずつまとめでONしていく。すなわち、図2に示すように、SWR1/SWR2、SWR3/SWR4というようにまとめて2個ずつのスイッチをONしていく。横方向にn個、すなわち、n/2回検出し終わったところで、検出スイッチ制御線TSC2にON信号を供給し、2行目のR画素の測定を同様にして行なう。この動作を画面最下部のm行まで繰り返すことによって全てのR画素の測定を完了する。
【0052】
全てのR画素のOLED素子の測定を終えるとG画素のOLED素子の測定を行う。すなわち、RスイッチをOFFし、Gスイッチ制御線GSCLからGスイッチをONする。これによってG画素が選択されることになる。その後検出スイッチ制御線TSC1をONして第1行のG画素が選択出来る状態とする。この状態で、図2に示すように、SWG1/SWG2、SWG3/SWG4というようにまとめて2個ずつのスイッチをONしていく。横方向にn個、すなわち、n/2回検出し終わったところで、検出スイッチ制御線TSC2にON信号を供給し、2行目のG画素の測定を同様にして行なう。この動作を画面最下部のm行まで繰り返すことによって全てのG画素の測定を完了する。B画素の測定も同様である。
【0053】
以上のように、本実施例によれば、水平方向に連続して配置されている画素を2個づつ測定するために、測定時間を従来の1/2に短縮することが出来る。なお、実施例の説明では2個の画素は水平方向に連続した2個の画素を測定するとしたが、この2個の画素は連続して配置されている必要はなく、離散していてもよい。すなわち、左から第1番目の画素と第3番目の画素を最初に測定し、次に第2番目の画素と第4番目の画素を測定するというような順番でもよい。また、同時に測定する画素の数は2個とは限らず、3個以上でも良い。
【0054】
なお、たとえば2個の画素を纏めて測定するということは定電流源112の容量を大きくしなければならないことは事実である。しかし、必ずしも定電流源112の容量を2倍にする必要があるとは限らない。浮遊容量は2個の画素共通のものがあるからである。3個以上纏めて測定する場合も同様な考えを適用することが出来る。
【実施例2】
【0055】
図3は本発明の第2の実施例を示す表示装置の回路図である。本実施例が実施例1と異なるところは検出用走査回路150からの検出スイッチ制御線TSCが2行分の画素に共通に接続されていることである。その他の構成は実施例1の図1と同様である。
【0056】
図4は図3の回路での各OLED素子の特性検出時の動作を示すタイミングチャートである。実施例1と同様にOLED素子の特性検出を行なうときは、信号線アナログスイッチSSWはOFFされている。この状態で、Rスイッチ制御線RSCLにON信号を送り、RスイッチをONしてRのOLED素子測定を可能にする。次に検出用走査回路150から検出スイッチ制御線TSC1にON信号を送ると画面の第1行と第2行のR画素が選択される。この状態で検査線アナログスイッチを画面左側から順にONしていくと、第1行と第2行の2個分のR画素が纏めて検査される。こうして横方向にn回の検査を行なうと第1行と第2行のR画素2n個分のOLED素子の特性測定を行なうことが出来る。
【0057】
その後、検出用走査回路150から検出スイッチ制御線TSC3にON信号を送ると画面の第3行と第4行のR画素が選択される。そして各OLED素子の検出動作を同様にして行なう。このような動作を、m/2回繰り返すと全てのR画素のOLED素子特性の測定が完了する。
【0058】
全てのR画素のOLED素子の測定を終えるとG画素のOLED素子の測定を行う。すなわち、RスイッチをOFFし、Gスイッチ制御線GSCLからGスイッチをONする。これによってG画素が選択されることになる。各G画素のOLED素子の測定も以上述べたR画素のOLED素子の検出と同様にして行なわれる。B画素のOLED素子の検出も同様である。
【0059】
本実施例によれば、縦方向の2個の連続した画素のOLED素子の特性を同時に測定するため、全画素の測定時間は従来の半分で済ますことが出来る。なお、実施例の説明では2個の画素は垂直方向に連続した2個の画素を測定するとしたが、この2個の画素は連続して配置されている必要はなく、離散していてもよい。すなわち、上から第1行目の画素と第3行目の画素を最初に測定し、次に第2行目の画素と第4行目の画素を測定するというような順番でもよい。また、同時に測定する画素の数は2個とは限らず、3個以上でも良い。
【実施例3】
【0060】
図5は本発明の第3の実施例を示す表示装置の回路図である。図5に示す本実施例の特徴は検出系120および検出用スイッチ群を信号駆動回路と逆の下側に配置したことである。図5において、画面下の右側には検出系120が配置されている。検出系120の構成は実施例1および実施例2と同様である。
【0061】
図5に示すように、検出系120および検出スイッチ群を画面の下に配置することによって、実施例1あるいは実施例2のように、多くのアナログスイッチを設ける必要が無くなる。図5はR、G、B各画素を2画素分纏めて検出する例である。検査線アナログスイッチがONになる状態では画像の表示は行われず、各画素のOLED素子の特性測定がおこなわれる。このときは図5における表示用Rスイッチ制御線DRSCLによって制御される表示用Rスイッチ、表示用Gスイッチ制御線DGSCLによって制御される表示用Gスイッチ、表示用Bスイッチ制御線DBSCLによって制御される表示用BスイッチはOFFになっている。また、検出用Rスイッチ制御線TRSCLによって制御される検出用Rスイッチ、検出用Gスイッチ制御線TGSCLによって制御される検出用Gスイッチ、検出用Bスイッチ制御線TBSCLによって制御される検出用BスイッチはONになっている。一方、画像の表示は全ての検出線アナログスイッチSWがOFFになる状態で行われる。
【0062】
本実施例では配線を束ねることによって任意の数の検出画素を纏めることが出来る。本実施例は6個の画素を纏めて検出する場合であるが、6個に限らず、検出系120の規模等によって一回の検出数を多くしても少なくしても良い。また、本実施例においては、各色毎にタイミングを分けて検出する必要はなく、各色同時に測定することもできる。
【0063】
検出方法は実施例1または実施例2と同様である。表示用Rスイッチ、表示用Gスイッチ、表示用BスイッチをOFFして、検出動作可能な状態にしておく。検出スイッチ制御線TSC1をONしておき、第1行の画素の特性検出を行う。検出用Rスイッチ、検出用Gスイッチ、検出用BスイッチをONしておき、検出線アナログスイッチSWR1を閉じると6個の画素についてのOLED素子の特性を検出することができる。このときの検出用Rスイッチ、検出用Gスイッチ、検出用BスイッチのON、OFFと各検査線の束ね方によって、一度に検出するOLED素子の色の種類、数等は任意に選定できる。このようにして第1行の画素の検出を終了すると、検出スイッチ制御線TSC2を選択し、第2行の画素の検出動作を行う。この動作を第m行まで繰り返し、全画素の測定を完了する。
【0064】
以上のように、本実施例によれば、検出系120および検出用スイッチ群を信号駆動回路と反対側の画面下部に配置したため、多くのアナログスイッチを省略することができ、かつ、検出動作において、同時に検出する画素の数、組み合わせの自由度を増やすことが出来る。
【実施例4】
【0065】
図6は本発明の第4の実施例である。本実施例では実施例3と同様に検出系120および検出用スイッチ群を信号駆動回路と反対側の画面下側に配置している。図6が図5と大きく異なる点は一度に測定するOLED素子の数を色毎に異ならせていることである。
【0066】
OLED素子は色毎に発光効率が異なる。すなわち、同じ電流を流しても色によって発光強度が異なる。例えば、青のOLED素子の発光効率が最も低い時、バッファアンプ114の出力電圧をある一定電圧に揃えようとした場合、青のOLED素子の特性を検出するために必要な電流値が、他の色のOLED素子の特性を検出する場合よりも大きい。したがって、電流源の値を一定にすると、まとめて検出できるOLED素子の数は色によって異なり、まとめて検出する数を青のOLED素子を他のOLED素子より少なくすれば、定電流源112の規模が一定のまま、出力する電圧範囲が揃う。
【0067】
図6は赤および緑のOLED素子に関しては、各2個ずつ纏めて検出し、青に関しては、OLED素子を1個ずつ検出する場合である。この表示装置の例では青のOLED素子には赤または緑のOLED素子の2倍の電流を流す必要があると仮定している。この場合は、赤または緑のOLED素子を纏めて検出するか否かにかかわらず、青のOLED素子のためにある一定以上の電流を持った定電流源112が必要となる。したがって、本実施例によれば、赤および緑のOLED素子を各2個まとめ検出を行なうことによって検出系120の規模を変えずに、検出時間を短縮することができる。
また、赤および緑のOLED素子を各2個ずつ、纏めて4個ずつを検出し、青に関しては、OLED素子を1個ずつ検出することも可能である。この場合、青のOLED素子には赤または緑のOLED素子の4倍の電流を流す必要がある。
【0068】
以上の例では、青のOLED素子1個と赤または緑のOLED素子各2個の組み合わせについて説明した。しかし本実施例はこの組み合わせのみでなく、色々な組み合わせをとることができる。例えば、赤のOLED素子と緑のOLED素子の発光特性が異なるような場合、赤、緑、青、全てのOLED素子の纏め数を変えることも出来る。そして、纏める数もOLED素子の発光効率にしたがって変えればよい。すなわち、OLED素子の発光効率をX1とし、OLED素子2の発光効率をX2としてX1≦X2のとき、OLED素子を纏める数をN1、OLED素子2を纏める数をN2とした場合、N1≦N2とすれば電流量の多い方で合わせている為、検出速度が速い。また、N1≧N2とすれば1画素あたりに分配される電流量が少なくなるので、検出速度はN1≧N2に劣るが、低電圧で検出されるため、周辺の測定系システムの低電力化に繋がる。また、検出において、バッファアンプ114の出力をある一定の電圧に揃えようと場合、ある電圧でのOLED素子の電流をY1とし、OLED素子2の電流をY2としてY1≧Y2のとき、OLED素子を纏める数をM1、OLED素子2を纏める数をM2とした場合、M2≧M1とすれば、1画素あたりの検出電流量が大きい方に合わせているので、検出速度が優先され、M1≧M2とすれば、検出電圧が下がるため、検出系システムの低電力化が優先される。
【0069】
本実施例における各OLED素子の検出動作は実施例3と同様である。以上説明したように、本実施例によれば、検出系120の回路規模を大きくすることなく、OLED素子のまとめ検出を行なうことができる。したがって、表示装置のコストの上昇を抑えつつOLED素子の特性検出を迅速に行なうことが出来る。
【実施例5】
【0070】
図7は本発明を実施した画素構成の一例である。図7において、電源線51と基準電位の間にOLED駆動TFT3と点灯TFTスイッチ2とOLED素子1が直列に接続されている。ここで基準電位とは表示装置の基準となる電位であり、アースを含んだ広い概念である。点灯TFTスイッチ2はOLED素子1の発光の可否を決めるスイッチである。OLED駆動TFT3は画像信号に従って、OLED素子1の発光の階調を制御するTFTである。本実施例ではOLED駆動TFT3はP型TFTで構成されている。本明細書ではP型TFTはトランジスタのキャリアがホールであり、N型TFTはトランジスタのキャリアが電子であることを意味する。
【0071】
図7において、セレクト線が選択されるとセレクトスイッチ6がONになり、信号線54からの画像信号データが入力される。画像信号データは保持容量4に蓄えられる。画像信号データが書き込まれた後、セレクトスイッチ6を閉じると画像信号データに対応した電荷が保持容量4に蓄えられ、OLED駆動TFT3のゲート電位が保持される。この状態で点灯スイッチをONするとOLED駆動TFT3のゲート電位にしたがってOLED素子1に電流が流れ画像が形成される。
【0072】
本実施例では点灯TFTスイッチ2とOLED素子1の間に検出スイッチ7を接続し、この検出スイッチ7を検出用走査回路150からの検出スイッチ制御線TSCによって制御する。すなわち、1フレームのうち、一定期間、点灯TFTスイッチ2をOFFすることによって、画像形成のためのOLED素子1の発光を停止する。この間検出スイッチ7をONして検出系120の定電流源112からの電流をOLED素子1に流すことにより、OLED素子1の特性検出を行なう。
【0073】
図8は図7に示す画素構造を図1の表示装置に適用した例である。画面は多数の画素から構成されているが、図8では4画素のみ表示している。図8において、画面左側には表示用走査回路200が設置されている。表示用走査回路200からは各画素に対してセレクトスイッチ線55、点灯スイッチ線53が延在している。セレクトスイッチ線55は画面の行毎に画像信号データの書き込みを可能にするものである。点灯スイッチ線53は各画素の点灯TFTスイッチ2のゲートに接続し、OLED素子1の点灯の可否を制御する。
画面右側には検出用走査回路150が設置されている。検出用走査回路150からは検出スイッチ制御線TSCが延在し、検出スイッチ7を制御する。検出スイッチ7がONになると、OLED素子1の電圧―電流特性の検出が可能になる。検出スイッチ7がONになるときは点灯TFTスイッチ2はOFFになっている。
【0074】
画面の上には信号駆動回路が設置されている。信号駆動回路からは各画素に対して信号線54が延在している。信号線54には信号線アナログスイッチSSWおよびMOSによるRスイッチ、Gスイッチ、またはBスイッチが設置されている。信号線54は各画素のセレクトスイッチ6のソースおよび検出スイッチ7のソースに接続している。
【0075】
画面右上には検出系120が設置されている。検出系120の構成は図1で説明したとおりである。検出系120からは検出線116が延在し、検出線116は分岐して各信号線54と並列に接続する。分岐した検出線116は検出線アナログスイッチSWR1等を経由して信号線54と接続する。信号線アナログスイッチSSWがONの時は画像表示がなされ、検出線アナログスイッチSWR1等がONの時は各OLED素子1の特性検出が行なわれる。
【0076】
信号線54に設置されているMOSスイッチであるRスイッチ、Gスイッチ等は画像表示をするときは通常はすべてONになっているが、OLED素子1の特性検出を行なう時は、OLED素子1の色毎に検査を行なう場合に、各色の画素に対応したMOSスイッチがONになり、他のMOSスイッチはOFFになる。
【0077】
以上のように、本実施例では各画素に検出スイッチ7を設け、検出スイッチ7のゲートに検出用走査回路150からの検出スイッチ制御線TSCを接続する。こうして、検出用走査回路150からの信号によって各OLED素子1の特性検出を制御している。以上の例では図7の画素を図1の表示装置に適用した場合を説明したが、図7の画素構成は図1のみでなく、図3、図5、図6等の表示装置についても適用できることは言うまでもない。
【実施例6】
【0078】
図9は本発明を実施した画素構成の他の例である。実施例5で使用した画素構成において、OLED駆動TFT3はOLED素子1の階調を制御するものであるが、この階調表示は保持容量4に保持された電荷により、OLED駆動TFT3のゲート電位を保持することによって行なわれる。しかし、TFTはスレッショルド電圧VTHが製造プロセスによってばらつくために、OLED駆動TFT3のゲート電位がこのVTHのばらつきによって影響を受けて正しい階調表示が出来ないという問題がある。図9の画素回路はこの問題点を対策した構成となっている。
【0079】
図9において、電源線51と基準電位の間にOLED素子1と点灯TFTスイッチ2とOLED駆動TFT3が直列に接続されている。点灯TFTスイッチ2はOLED素子1の発光の可否を決めるスイッチである。OLED駆動TFT3は画像信号に従って、OLED素子1の発光の階調を制御するTFTである。本実施例ではOLED駆動TFT3はN型TFTで構成されている。したがって、本実施例では画素部全てのTFTをN型のプロセスで製作できるという利点がある。
【0080】
本画素は1フレームをのうちの表示期間を、データを書き込む期間と実際に画像を表示する期間とに分けて駆動するタイプの表示装置について用いられる。図9において、点灯TFTスイッチ2をOFFした状態でリセットTFTスイッチ5をONすると、保持容量4に信号線54を通して画像信号データが書き込まれる。画像データが書き込まれたところで、リセットTFTスイッチ5をONしたまま、点灯TFTスイッチ2を短時間ONすると、OLED駆動TFT3に電流が流れる。この状態はOLED素子1とOLED駆動TFT3とでインバータが形成されていると見ることが出来る。OLED駆動TFT3のゲートとソースはリセットTFTスイッチ5によってショートされている。そうすると、OLED駆動TFT3のゲート電位は、OLED駆動TFT3のゲートとソースの関係を決める特性曲線上において、OLED駆動TFT3のソースとゲートが同電位になる点にセットされる。この場合のOLED駆動TFT3のゲート電位はOLED駆動TFT3のスレッショルド電圧Vthによってユニークに決定される。このゲート電位に対して信号電圧が書き込まれることになるので、OLED駆動TFT3のVthのバラつきによる影響を排除することが出来る。その後、リセットTFTスイッチ5、続いて点灯TFTスイッチ2をOFFすると信号電圧を正しく反映した電荷が保持容量4に維持される。なお、図9の画素が用いられる有機EL表示装置は次のような駆動方法が用いられる。すなわち、1フレームをデータ信号の書き込み期間と発光期間に分ける。書き込み期間は上記のようにして全画素に画像信号を書き込む。その後全画素に対して点灯TFTスイッチ2を閉じることによってOLED素子1に電流を流して画像を形成する。すなわち、1フレームの前半は事実上黒表示であり、1フレームの後半で画像を形成する。
【0081】
本実施例においては、点灯TFTスイッチ2とOLED素子1の陰極の間に検出スイッチ7を接続し、この検出スイッチ7を検出用走査回路150からの検出スイッチ制御線TSCによって制御する。すなわち、1フレームのうち、一定期間、点灯TFTスイッチ2をOFFすることによって、画像形成のためのOLED素子1の発光を停止する。この間検出スイッチ7をONして検出系120の定電流源112からの電流をOLED素子1に流すことにより、OLED素子1の特性検出を行う。
【0082】
図10は図9の画素構造を図1の表示装置に適用した例である。画面は多数の画素から構成されているが、図10では4画素のみ表示している。図10において、画面左側には表示用走査回路200が設置されている。表示用走査回路200からは各画素に対してリセットスイッチ線52、点灯スイッチ線53が延在している。リセットスイッチ線52は各画素のリセットTFTスイッチ5のゲートに接続している。点灯スイッチ線53は各画素の点灯TFTスイッチ2のゲートに接続し、各画素のOLED素子1の点灯の可否を制御する。
【0083】
画面右側には検出用走査回路150が設置されている。検出用走査回路150からは検出スイッチ制御線TSCが延在し、検出スイッチ7を制御する。検出スイッチ7がONになると、OLED素子1の電圧―電流特性の検出が可能になる。検出スイッチ7がONになるときは点灯TFTスイッチ2はOFFになっている。
【0084】
画面の上には信号駆動回路が設置されている。信号駆動回路からは各画素に対して信号線54が延在している。信号線54には信号線54アナログスイッチSSWおよびMOSによるRスイッチ、Gスイッチ、またはBスイッチが設置されている。信号線54は各画素のセレクトスイッチ6のソースおよび検出スイッチ7のソースに接続している。
【0085】
画面右上には検出系120が設置されている。検出系120の構成は図1で説明したと同様であるが、本実施例ではOLED素子1の陽極は電源線51と接続しているため、検出系120の定電流源112の向きが図1等とは逆である。検出系120からは検出線116が延在し、検出線116は分岐して各信号線54と並列に接続する。分岐した検出線116は検出線検出線アナログスイッチSWR1等を経由して信号線54と接続する。信号線アナログスイッチSSWがONの時は画像表示がなされ、検出線アナログスイッチSWR1等がONの時は各OLED素子1の特性検出が行なわれる。
【0086】
信号線54に設置されているMOSスイッチであるRスイッチ、Gスイッチ等は各画素に画像データを書き込むとき、あるいは画像表示をするときは通常はすべてONになっているが、OLED素子1の特性検出を行なう時は、OLED素子1の色毎に検査を行なう場合に、各色の画素に対応したMOSスイッチがONになり、他のMOSスイッチはOFFになる。
【0087】
以上のように、本実施例によれば、OLED駆動TFT3のスレッショルド電圧VTHのバラつきを補正した画素構造においてもOLED素子1の特性検出を効率的に行なうことが出来る。すなわち、OLED素子1の陰極と点灯TFTスイッチ2の間に検出スイッチ7を設け、検出スイッチ7のゲートに検出用走査回路150からの検出スイッチ制御線TSCを接続する。こうして、検出用走査回路150からの信号によって各OLED素子1の特性検出を制御している。以上の例では図9の画素を図1の表示装置に適用した場合を説明したが、図9の画素構成は図1のみでなく、図3、図5、図6等の表示装置についても適用できることは言うまでもない。
図13(a)は、モバイル用電子機器301の画像表示部に、本発明による画像表示装置300を用いることによって、表示を実現する自発光素子の特性を、低電力なシステムで迅速に検出することができる。
図13(b)は、テレビジョン303の画像表示部に、本発明による画像表示装置302を用いることによって、表示を実現する自発光素子の特性を、低電力なシステムで迅速に検出することができる。
図14(a)は、デジタル携帯端末PDA305の画像表示部に、本発明による画像表示装置304を用いることによって、表示を実現する自発光素子の特性を、低電力なシステムで迅速に検出することができる。
図14(b)は、ビデオカメラCAMのヴューファインダ307の画像表示部に、本発明による画像表示装置306を用いることによって、表示を実現する自発光素子の特性を、低電力なシステムで迅速に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施例1の表示装置の回路構成である。
【図2】実施例1の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】実施例2の表示装置の回路構成である。
【図4】実施例2の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】実施例3の表示装置の回路構成である。
【図6】実施例4の表示装置の回路構成である。
【図7】実施例5の画素部の回路構成である。
【図8】図7の画素を用いた表示装置の回路構成である。
【図9】実施例6の画素部の回路構成である。
【図10】図9の画素を用いた表示装置の回路構成である。
【図11】OLED素子の電圧―電流特性の経時変化の例である。
【図12】OLED素子の端子間電圧の経時変化の例である。
【図13】本発明を使用した製品の例である。
【図14】本発明を使用した製品の他の例である。
【符号の説明】
【0089】
1…OLED素子、2…点灯TFTスイッチ、 3…OLED駆動TFT、 4…保持容量、 5…リセットTFTスイッチ、 6…セレクトスイッチ、 7…検出スイッチ、 51…電源線、 52…リセットスイッチ線 53…点灯スイッチ線、 54…信号線、 55…セレクトスイッチ線、 100…信号駆動回路、 110…タイミングコントローラ、 112…定電流源、 113…メモリ、 114…バッファアンプ、 115…アナログ−デジタルコンバータ、 116…検出線、 150…検出用走査回路、 200…表示用走査回路、TSC…検出スイッチ制御線
【技術分野】
【0001】
本発明は有機ELのような自発光素子を有する表示装置に係り、特に有機EL素子の発光特性の経時変化を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来表示装置の主流はCRTであったが、これに替わって、フラットデスプレイ装置である、液晶表示装置、プラズマ表示装置等が実用化され、需要が増大している。さらにこれらの表示装置に加え、有機エレクトロルミネッセンスを用いた表示装置(以下有機EL表示装置(OLED)という)や、フィールドエミッションを利用する電子源をマトリクス状に配置して、陽極に配置された蛍光体を光らすことによって画像を形成する表示装置(FED表示装置)の開発、実用化も進んでいる。
【0003】
有機EL表示装置は(1)液晶と比較して自発光型であるので、バックライトが不要である、(2)発光に必要な電圧が10V以下と低く、消費電力を小さくできる可能性がある、(3)プラズマ表示装置やFED表示装置と比較して、真空構造が不要であり、軽量化、薄型化に適している、(4)応答時間が数マイクロ秒と短く、動画特性がすぐれている、(5)視野角が170度以上と広い、等の特徴がある。
【0004】
有機EL表示装置は上記のような特徴があるが、問題点のひとつとして、有機EL発光素子(以後OLED素子という)は動作時間とともに発光特性が変化するという現象がある。OLED素子の時間的な特性の変化は画素毎に異なる。したがって、正しい画像表示を行うためには、各画素のOLED素子の特性変化を検出して、その結果をホストから入力される入力信号にフィードバックする必要がある。
【0005】
OLED素子の特性変化はOLED素子の電圧―電流特性の変化となって現れる。すなわち、動作時間とともに、同じ電圧を印加しても流れる電流が小さくなる。この現象を図11に示す。図11の横軸はOLED素子に印加する電圧で、縦軸はOLED素子に流れる電流である。特性1はOLED素子の初期特性である。特性2はOLED素子の時間経過後の特性である。OLED素子の発光はOLED素子を流れる電流に比例すると考えてよいから、時間経過とともに同じ電圧を印加してもOLED素子の発光輝度は変わってしまうことになり、正確な画像表示ができなくなる。
【0006】
このことは、逆に言えば、同じ発光をさせるために、同じ電流を流すためには、より高い電圧を印加する必要があるということである。図12はOLED素子に同じ電流を流すための印加電圧の変化を示すものである。図12において、横軸は動作時間であり、縦軸はOLED素子に一定電流を流すための印加電圧である。図12は、OLED素子に同じ電流を流すためには、動作時間とともに印加電圧を増加しなければならないことを示している。
【0007】
以上のように、有機EL表示装置で正しい画像を表示するためには定期的に全画素のOLED素子の電圧―電流特性を測定し、これを入力される画像信号にフィードバックする必要がある。このような技術を記載した文献として「特許文献1」または「特許文献2」があげられる。
【0008】
【特許文献1】特開2005−156697号公報
【特許文献2】特開2002−341825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のような従来技術はいずれも全画素のOLED素子を順次測定するものである。各画素のOLED素子の電圧―電流特性を測定する場合、各画素には浮遊容量が存在するため、電圧―電流特性を測定しようとするとこの浮遊容量を充電する必要がある。したがって、各画素の測定毎に測定時間を要する。しかも表示装置が大画面化し、画面も高精細化すると、全画素を測定するには多大な時間が掛かってしまう。
【0010】
測定時間が長くなると、画像を表示する期間が限られてくることになる。しかし、実用的な表示輝度は維持する必要があるので、表示期間にはOLED素子には大きな電流を流すことになり、電源線における電圧降下等様々な問題を生ずる。
【0011】
一方、測定時間を短縮するためには、測定時の電流を多くすることが考えられる。しかし、大きな電流を流すことは測定用の回路規模と使用する電圧範囲を大きくしなければならない。しかし、測定系の規模を大きくすることはそれだけ表示装置のコストが上昇することであり、好ましくない。また、測定用の電流を大きくするということは測定のための電力を多く消費するということであり、この点からも好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以上のべた課題を解決するものであり、OLED素子の電圧―電流特性をすべてのOLED素子について順次測定するのではなく、複数まとめて測定することによって測定時間を短縮するものである。具体的な手段は次のとおりである。
【0013】
(1)赤、緑、または青の発光をする発光素子を有する画素がマトリクス状に形成された表示装置であって、前記表示装置は画像を表示させるための表示部と、各画素における前記赤、緑、または青の発光素子の発光特性を測定する検出部とを有し、前記検出部による検出を行う場合は、前記赤、緑、または青の発光をする複数の画素を同時に検出することを特徴とする表示装置。
【0014】
(2)前記画素の発光素子特性は前記画素の電圧―電流特性であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0015】
(3)前記同時に検出する複数の画素は同一色の発光を行う画素であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0016】
(4)前記同時に検出する複数の画素はマトリクス状に配列された画素のうち、同一の行に配列されている画素であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0017】
(5)前記同時に検出する複数の画素はマトリクス状に配列された画素のうち、同一の列に配列されている画素であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0018】
(6)前記同時に検出する複数の画素は異なる色の発光を行う画素を含むことを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0019】
(7)前記発光素子は、有機発光ダイオード(OLED, Organic Light Emitting Diode)素子であることを特徴とする(1)に記載の画像表示装置。
【0020】
(8)赤、緑、または青のうちの一つの色を発光する第1の画素内の発光素子の発光効率をX1とし、他の発光の色の発光を行う第2の画素内の発光素子の発光効率をX2としたとき、X1≦X2であり、前記第1の画素内の発光素子特性を同時に検出する場合の画素の数をN1とし、前記第2の画素内の発光素子特性を同時に検出する場合の画素の数をN2としたとき、N1≦N2であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0021】
(9)赤、緑、または青のうちの一つの色を発光する第1の画素内の発光素子の発光効率をX1とし、他の発光の色の発光を行う第2内の発光素子の発光効率をX2としたとき、X1≦X2であり、前記第1の画素内の発光素子特性を同時に検出する場合の画素の数をN1とし、前記第2の画素内の発光素子特性を同時に検出する場合の画素の数をN2としたとき、N1≧N2であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0022】
(10)赤、緑、または青のうちの一つの色を発光する第1の画素の発光素子の特性を一定電圧で検出した時に必要とする電流値をI1とし、他の発光の色の発光を行う第2の画素の発光素子の特性を同電圧で検出した時に必要とする電流値をI2としたとき、I1≧I2であり、前記第1の画素を同時に検出する場合の画素の数をn1とし、前記第2の画素を同時に検出する場合の画素の数をn2としたとき、n1≦n2であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0023】
(11)赤、緑、または青のうちの一つの色を発光する第1の画素の発光素子の特性を一定電圧で検出した時に必要とする電流値をI1とし、他の発光の色の発光を行う第2の画素の発光素子の特性を同電圧で検出した時に必要とする電流値をI2としたとき、I1≧I2であり、前記第1の画素を同時に検出する場合の画素の数をn1とし、前記第2の画素を同時に検出する場合の画素の数をn2としたとき、n1≧n2であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0024】
(12)画像信号を供給する信号駆動回路部と、表示用走査回路と、検出用走査回路と、前記発光素子の特性を検出する検出部とを有する表示装置であって、前記画素に入力された画像信号を基に、前期発光素子を駆動するための電界効果トランジスタと前記検出部との接続を制御するスイッチ手段を有することを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0025】
(13)前記電界効果トランジスタ及びスイッチ手段は、多結晶Si-TFT(Thin-Film-Transistor)を用いて透明基板上に設けられていることを特徴とする(12)に記載の表示装置。
【0026】
(14)前記信号駆動回路部からは信号線が延在し、前記検出部からはスイッチを有する検出線が延在して前記信号線と接続し、前記スイッチがOFFしているときは前記信号駆動回路部から画像信号が前記信号線に供給され、前記スイッチがONしているときは前記検出部からの電流が前記信号線に供給されることを特徴とする(12)に記載の表示装置。
【発明の効果】
【0027】
本発明を用いることによって、発光素子特性の時間的な変化のフィードバックを行うための発光素子の測定を短時間で行うことができる。手段ごとの効果は次の通りである。
【0028】
手段(1)によれば画像信号へのフィードバックのための発光素子の発光特性を複数まとめて行なうことが出来るので検出時間を短くでき、フィードバックをより頻繁に行なうことができるので、正確な階調表示が可能になる。
【0029】
手段(2)によれば、発光素子の特性変化として電圧―電流特性を測定するので、発光特性の変化の検出が容易に出来る。
【0030】
手段(3)によれば、同時に検出する複数の画素は同一色であるので、纏める数、測定電流等を各色の発光素子の特性に合わせて変化させることが出来る。
【0031】
手段(4)によれば、同時に検出する複数の画素は同一の行に配置されているので、同時に検出する複数の画素は近接した位置のものとなり、フィードバックの精度を上げることが出来る。
【0032】
手段(5)によれば、同時に検出する複数の画素は同一の列に配置されているので、同時に検出する複数の画素は近接した位置のものとなり、フィードバックの精度を上げることが出来る。
【0033】
手段(6)によれば、同時に検出する複数の画素は異なる色の発光を行なう画素を含むので、R、G、B3色組の画素の特性変化を同時に測定し、フィードバックすることが出来る。
【0034】
手段(7)によれば画像信号へのフィードバックのためのOLED素子の発光特性を複数まとめて行なうことが出来るので検出時間を短くでき、フィードバックをより頻繁に行なうことができるので、正確な階調表示が可能になる。
【0035】
手段(8)によれば、纏め検出を行なう場合に、発光効率の高い発光素子をより多く纏め、発光効率の低い発光素子をより少なく纏めるので、検出系の速度を効率的に利用でき、検出時間を短くすることが出来る。
【0036】
手段(9)によれば、纏め検出を行なう場合に、発光効率の高い発光素子をより少なく纏め、発光効率の低い発光素子をより多く纏めるので、1画素あたりに流す電流値が下がり、検出電圧が下がるので、低電力なシステムを実現することができる。
【0037】
手段(10)によれば、纏め検出を行なう場合に、検出に必要な電流が大きい発光素子をより少なく纏め、検出に必要な電流が小さい発光素子をより多く纏めるので、検出系の速度を効率的に利用でき、検出時間を短く出来る。
【0038】
手段(11)によれば、纏め検出を行なう場合に、検出に必要な電流が大きい発光素子をより多く纏め、検出に必要な電流が小さい発光素子をより少なく纏めるので、1画素あたりに流す電流値が下がり、検出電圧が下がるので、低電力なシステムを実現することができる。
【0039】
手段(12)から手段(14)によれば、画像形成のための電流の入出力を制御するTFTとOLED素子の特性を検出するTFTを設置するので、1フレーム中でOLED素子に対して画像形成のための電流とOLED素子の特性を測定する電流を時間差で流すことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
実施例にしたがって、本発明の詳細な内容を開示する。
【実施例1】
【0041】
図1は本発明の表示装置を示す回路図である。画面には画像信号に基づいて赤、緑、青の発光を行うOLED素子を有する画素がマトリクス状に配置されている。ここで、PX1は赤発光の画素、PX2は緑発光の画素、PX3は青発光の画素である。すなわち、縦方向には同一色の画素が配置され、横方向には順に赤画素(R)、緑画素(G)、青画素(B)が配置されている。画面には水平方向には各色毎にn本の信号線、合計3n本の信号線が配設され、垂直方向にはm個の走査線または検出スイッチ制御線TSCが配設されている。
【0042】
画面左側には表示用走査回路200が設置されている。各画素へのデータ書き込み、各画素の発光は走査線ごとにおこなわれるが、表示用走査回路200からはこの走査線が画面方向に延在している。画面右側には検出用走査回路150が設置されている。各画素の特性検出は各画素へのデータ書き込み、各画素発光等の動作とは独立に走査線毎に行われる。検出動作も画面の行ごとに行われる。検出用走査回路150からは各行ごとに検出スイッチ制御線TSCが画面方向に延在している。
【0043】
画面上方には信号駆動回路が設置されている。信号駆動回路にはホストから信号入力線を通して画像信号が入力される。信号駆動回路からはホストからシリアルに送られてきた画像データを一行分纏めて画面に出力する。信号駆動回路からは各画素に画像データを送るための信号線が画面方向に延在する。
【0044】
画面上方右側には検出系120が設置されている。検出系120は定電流源112、バッファアンプ114、アナログデジタルコンバータ115、メモリ113で構成される。定電流源112は各OLED素子の電圧―電流特性を測定するためのものである。定電流源112から各OLED素子に電流を供給し、OLED素子の陽極電位を測定することによってOLED素子の電圧―電流特性を測定する。バッファアンプは各OLED素子の陽極電圧を増幅し、アナログデジタルコンバータ115に出力する。アナログデジタルコンバータ115はバッファアンプ114からのOLED素子の陽極電圧をデジタルデータに変えてメモリ113に入力する。メモリ113は全てのOLED素子の電圧―電流特性を記憶する。ホストからの画像データに対してはメモリ113に蓄えられたOLED素子の電圧―電流特性をフィードバックして各画素に画像データ信号として供給される。
【0045】
検出系120から延在する検出線116は各信号線と並列に設置されている。信号線には信号線アナログスイッチSSWが、検査線には検査線アナログスイッチが設置されている。これらのアナログスイッチによって、画素に対して画像信号を供給するか、OLED素子の電圧―電流特性を測定するかを決める。検査線は各アナログスイッチを経由して信号線と接続する。信号線アナログスイッチSSWがONになれば、検査線アナログスイッチがOFFになり、画素には画像信号データが供給される。また、検査線アナログスイッチがONになると信号線アナログスイッチSSWはOFFになり、OLED素子の電圧―電流特性の検出が可能になる。
【0046】
各信号線と画素の間にはデジタルスイッチが設置されている。デジタルスイッチは各色毎に設けられ、赤画素にはRスイッチが、緑画素にはGスイッチが、青画素にはBスイッチが設けられている。Rスイッチは
Rスイッチ制御線RSCLによって、GスイッチはGスイッチ制御線GSCLによって、BスイッチはBスイッチ制御線BSCLによってそれぞれ制御される。Rスイッチ、Gスイッチ、Bスイッチ等はOLED素子の特性を各色毎に纏めて、あるいは、単独で検出したい場合に用いられる。
【0047】
表示用走査回路200からの走査信号、信号駆動回路からのデータ信号の画素への供給のタイミング、検出用走査回路150からの検出信号の供給等はタイミングコントローラ110によって制御される。
【0048】
本発明では1フレーム期間は表示期間とブランキング期間に分ける。表示期間は表示方式によって異なる。ひとつは、表示期間を画像データを各画素に書き込む期間と、実際にOLED素子を発光させて画像を表示する期間とに分ける場合である。他の方式は画素に画像データを書き込むとただちにOLED素子を発光させる方式である。本発明はそのいずれにも実施可能である。
【0049】
ブランキング期間は画像データ書き込みも、画像表示も行わない期間である。このブランキング期間を利用してOLED素子の特性の変化を検出する。ブランキング期間は画像データ書き込みも、画像表示も行わない期間であるため、この期間を長くとることは出来ない。したがって、1フレーム内でのブランキング期間で全OLED素子の特性検出を行うことは困難である。この場合、複数フレームに分けて全OLED素子の特性検出を行なう。しかしながら、特性検出に時間がかかれば、全OLED素子の測定には多くのフレーム数を要し、リアルタイムでのフィードバックが出来なくなる。したがって、OLED素子の特性検出は短時間で行なう必要がある。各OLED素子の測定時間を短くするには、例えば、検出系120の定電流源112から流れる検査用の電流を大きくすることが考えられる。しかし、これは検査用回路規模が大きくなることを意味し、表示装置のコストの増大になる。また、検査用の電流を大きくすると検査用の電力が増大し、この面からも問題である。
【0050】
本発明は、OLED素子の測定を個々のOLED素子について行なうのではなく、複数のOLED素子の特性を纏めて行なうことによって測定時間を短縮し、OLED素子特性の適正なフィードバックを可能にするものである。一般には人間の目は表示装置の画素の一つ一つを識別することは出来ない。したがって、画像信号へのOLED素子特性のフィードバックは複数のOLED素子を纏めてフィードバックデータとしても実用的には問題がない場合が多い。本発明はこのような知見に基づくものである。
【0051】
図2は図1に示す回路でのOLED素子特性検出をする場合の動作を示すタイミングチャートである。OLED素子の特性検出を行なうときは、信号線アナログスイッチSSWはOFFされている。この状態で、Rスイッチ制御線RSCLにON信号を送り、RスイッチをONしてRのOLED素子測定を可能にする。次に検出用走査回路150から検出スイッチ制御線TSC1にON信号を送ると画面の第1行のR画素が選択される。この状態で検査線アナログスイッチを2個ずつまとめでONしていく。すなわち、図2に示すように、SWR1/SWR2、SWR3/SWR4というようにまとめて2個ずつのスイッチをONしていく。横方向にn個、すなわち、n/2回検出し終わったところで、検出スイッチ制御線TSC2にON信号を供給し、2行目のR画素の測定を同様にして行なう。この動作を画面最下部のm行まで繰り返すことによって全てのR画素の測定を完了する。
【0052】
全てのR画素のOLED素子の測定を終えるとG画素のOLED素子の測定を行う。すなわち、RスイッチをOFFし、Gスイッチ制御線GSCLからGスイッチをONする。これによってG画素が選択されることになる。その後検出スイッチ制御線TSC1をONして第1行のG画素が選択出来る状態とする。この状態で、図2に示すように、SWG1/SWG2、SWG3/SWG4というようにまとめて2個ずつのスイッチをONしていく。横方向にn個、すなわち、n/2回検出し終わったところで、検出スイッチ制御線TSC2にON信号を供給し、2行目のG画素の測定を同様にして行なう。この動作を画面最下部のm行まで繰り返すことによって全てのG画素の測定を完了する。B画素の測定も同様である。
【0053】
以上のように、本実施例によれば、水平方向に連続して配置されている画素を2個づつ測定するために、測定時間を従来の1/2に短縮することが出来る。なお、実施例の説明では2個の画素は水平方向に連続した2個の画素を測定するとしたが、この2個の画素は連続して配置されている必要はなく、離散していてもよい。すなわち、左から第1番目の画素と第3番目の画素を最初に測定し、次に第2番目の画素と第4番目の画素を測定するというような順番でもよい。また、同時に測定する画素の数は2個とは限らず、3個以上でも良い。
【0054】
なお、たとえば2個の画素を纏めて測定するということは定電流源112の容量を大きくしなければならないことは事実である。しかし、必ずしも定電流源112の容量を2倍にする必要があるとは限らない。浮遊容量は2個の画素共通のものがあるからである。3個以上纏めて測定する場合も同様な考えを適用することが出来る。
【実施例2】
【0055】
図3は本発明の第2の実施例を示す表示装置の回路図である。本実施例が実施例1と異なるところは検出用走査回路150からの検出スイッチ制御線TSCが2行分の画素に共通に接続されていることである。その他の構成は実施例1の図1と同様である。
【0056】
図4は図3の回路での各OLED素子の特性検出時の動作を示すタイミングチャートである。実施例1と同様にOLED素子の特性検出を行なうときは、信号線アナログスイッチSSWはOFFされている。この状態で、Rスイッチ制御線RSCLにON信号を送り、RスイッチをONしてRのOLED素子測定を可能にする。次に検出用走査回路150から検出スイッチ制御線TSC1にON信号を送ると画面の第1行と第2行のR画素が選択される。この状態で検査線アナログスイッチを画面左側から順にONしていくと、第1行と第2行の2個分のR画素が纏めて検査される。こうして横方向にn回の検査を行なうと第1行と第2行のR画素2n個分のOLED素子の特性測定を行なうことが出来る。
【0057】
その後、検出用走査回路150から検出スイッチ制御線TSC3にON信号を送ると画面の第3行と第4行のR画素が選択される。そして各OLED素子の検出動作を同様にして行なう。このような動作を、m/2回繰り返すと全てのR画素のOLED素子特性の測定が完了する。
【0058】
全てのR画素のOLED素子の測定を終えるとG画素のOLED素子の測定を行う。すなわち、RスイッチをOFFし、Gスイッチ制御線GSCLからGスイッチをONする。これによってG画素が選択されることになる。各G画素のOLED素子の測定も以上述べたR画素のOLED素子の検出と同様にして行なわれる。B画素のOLED素子の検出も同様である。
【0059】
本実施例によれば、縦方向の2個の連続した画素のOLED素子の特性を同時に測定するため、全画素の測定時間は従来の半分で済ますことが出来る。なお、実施例の説明では2個の画素は垂直方向に連続した2個の画素を測定するとしたが、この2個の画素は連続して配置されている必要はなく、離散していてもよい。すなわち、上から第1行目の画素と第3行目の画素を最初に測定し、次に第2行目の画素と第4行目の画素を測定するというような順番でもよい。また、同時に測定する画素の数は2個とは限らず、3個以上でも良い。
【実施例3】
【0060】
図5は本発明の第3の実施例を示す表示装置の回路図である。図5に示す本実施例の特徴は検出系120および検出用スイッチ群を信号駆動回路と逆の下側に配置したことである。図5において、画面下の右側には検出系120が配置されている。検出系120の構成は実施例1および実施例2と同様である。
【0061】
図5に示すように、検出系120および検出スイッチ群を画面の下に配置することによって、実施例1あるいは実施例2のように、多くのアナログスイッチを設ける必要が無くなる。図5はR、G、B各画素を2画素分纏めて検出する例である。検査線アナログスイッチがONになる状態では画像の表示は行われず、各画素のOLED素子の特性測定がおこなわれる。このときは図5における表示用Rスイッチ制御線DRSCLによって制御される表示用Rスイッチ、表示用Gスイッチ制御線DGSCLによって制御される表示用Gスイッチ、表示用Bスイッチ制御線DBSCLによって制御される表示用BスイッチはOFFになっている。また、検出用Rスイッチ制御線TRSCLによって制御される検出用Rスイッチ、検出用Gスイッチ制御線TGSCLによって制御される検出用Gスイッチ、検出用Bスイッチ制御線TBSCLによって制御される検出用BスイッチはONになっている。一方、画像の表示は全ての検出線アナログスイッチSWがOFFになる状態で行われる。
【0062】
本実施例では配線を束ねることによって任意の数の検出画素を纏めることが出来る。本実施例は6個の画素を纏めて検出する場合であるが、6個に限らず、検出系120の規模等によって一回の検出数を多くしても少なくしても良い。また、本実施例においては、各色毎にタイミングを分けて検出する必要はなく、各色同時に測定することもできる。
【0063】
検出方法は実施例1または実施例2と同様である。表示用Rスイッチ、表示用Gスイッチ、表示用BスイッチをOFFして、検出動作可能な状態にしておく。検出スイッチ制御線TSC1をONしておき、第1行の画素の特性検出を行う。検出用Rスイッチ、検出用Gスイッチ、検出用BスイッチをONしておき、検出線アナログスイッチSWR1を閉じると6個の画素についてのOLED素子の特性を検出することができる。このときの検出用Rスイッチ、検出用Gスイッチ、検出用BスイッチのON、OFFと各検査線の束ね方によって、一度に検出するOLED素子の色の種類、数等は任意に選定できる。このようにして第1行の画素の検出を終了すると、検出スイッチ制御線TSC2を選択し、第2行の画素の検出動作を行う。この動作を第m行まで繰り返し、全画素の測定を完了する。
【0064】
以上のように、本実施例によれば、検出系120および検出用スイッチ群を信号駆動回路と反対側の画面下部に配置したため、多くのアナログスイッチを省略することができ、かつ、検出動作において、同時に検出する画素の数、組み合わせの自由度を増やすことが出来る。
【実施例4】
【0065】
図6は本発明の第4の実施例である。本実施例では実施例3と同様に検出系120および検出用スイッチ群を信号駆動回路と反対側の画面下側に配置している。図6が図5と大きく異なる点は一度に測定するOLED素子の数を色毎に異ならせていることである。
【0066】
OLED素子は色毎に発光効率が異なる。すなわち、同じ電流を流しても色によって発光強度が異なる。例えば、青のOLED素子の発光効率が最も低い時、バッファアンプ114の出力電圧をある一定電圧に揃えようとした場合、青のOLED素子の特性を検出するために必要な電流値が、他の色のOLED素子の特性を検出する場合よりも大きい。したがって、電流源の値を一定にすると、まとめて検出できるOLED素子の数は色によって異なり、まとめて検出する数を青のOLED素子を他のOLED素子より少なくすれば、定電流源112の規模が一定のまま、出力する電圧範囲が揃う。
【0067】
図6は赤および緑のOLED素子に関しては、各2個ずつ纏めて検出し、青に関しては、OLED素子を1個ずつ検出する場合である。この表示装置の例では青のOLED素子には赤または緑のOLED素子の2倍の電流を流す必要があると仮定している。この場合は、赤または緑のOLED素子を纏めて検出するか否かにかかわらず、青のOLED素子のためにある一定以上の電流を持った定電流源112が必要となる。したがって、本実施例によれば、赤および緑のOLED素子を各2個まとめ検出を行なうことによって検出系120の規模を変えずに、検出時間を短縮することができる。
また、赤および緑のOLED素子を各2個ずつ、纏めて4個ずつを検出し、青に関しては、OLED素子を1個ずつ検出することも可能である。この場合、青のOLED素子には赤または緑のOLED素子の4倍の電流を流す必要がある。
【0068】
以上の例では、青のOLED素子1個と赤または緑のOLED素子各2個の組み合わせについて説明した。しかし本実施例はこの組み合わせのみでなく、色々な組み合わせをとることができる。例えば、赤のOLED素子と緑のOLED素子の発光特性が異なるような場合、赤、緑、青、全てのOLED素子の纏め数を変えることも出来る。そして、纏める数もOLED素子の発光効率にしたがって変えればよい。すなわち、OLED素子の発光効率をX1とし、OLED素子2の発光効率をX2としてX1≦X2のとき、OLED素子を纏める数をN1、OLED素子2を纏める数をN2とした場合、N1≦N2とすれば電流量の多い方で合わせている為、検出速度が速い。また、N1≧N2とすれば1画素あたりに分配される電流量が少なくなるので、検出速度はN1≧N2に劣るが、低電圧で検出されるため、周辺の測定系システムの低電力化に繋がる。また、検出において、バッファアンプ114の出力をある一定の電圧に揃えようと場合、ある電圧でのOLED素子の電流をY1とし、OLED素子2の電流をY2としてY1≧Y2のとき、OLED素子を纏める数をM1、OLED素子2を纏める数をM2とした場合、M2≧M1とすれば、1画素あたりの検出電流量が大きい方に合わせているので、検出速度が優先され、M1≧M2とすれば、検出電圧が下がるため、検出系システムの低電力化が優先される。
【0069】
本実施例における各OLED素子の検出動作は実施例3と同様である。以上説明したように、本実施例によれば、検出系120の回路規模を大きくすることなく、OLED素子のまとめ検出を行なうことができる。したがって、表示装置のコストの上昇を抑えつつOLED素子の特性検出を迅速に行なうことが出来る。
【実施例5】
【0070】
図7は本発明を実施した画素構成の一例である。図7において、電源線51と基準電位の間にOLED駆動TFT3と点灯TFTスイッチ2とOLED素子1が直列に接続されている。ここで基準電位とは表示装置の基準となる電位であり、アースを含んだ広い概念である。点灯TFTスイッチ2はOLED素子1の発光の可否を決めるスイッチである。OLED駆動TFT3は画像信号に従って、OLED素子1の発光の階調を制御するTFTである。本実施例ではOLED駆動TFT3はP型TFTで構成されている。本明細書ではP型TFTはトランジスタのキャリアがホールであり、N型TFTはトランジスタのキャリアが電子であることを意味する。
【0071】
図7において、セレクト線が選択されるとセレクトスイッチ6がONになり、信号線54からの画像信号データが入力される。画像信号データは保持容量4に蓄えられる。画像信号データが書き込まれた後、セレクトスイッチ6を閉じると画像信号データに対応した電荷が保持容量4に蓄えられ、OLED駆動TFT3のゲート電位が保持される。この状態で点灯スイッチをONするとOLED駆動TFT3のゲート電位にしたがってOLED素子1に電流が流れ画像が形成される。
【0072】
本実施例では点灯TFTスイッチ2とOLED素子1の間に検出スイッチ7を接続し、この検出スイッチ7を検出用走査回路150からの検出スイッチ制御線TSCによって制御する。すなわち、1フレームのうち、一定期間、点灯TFTスイッチ2をOFFすることによって、画像形成のためのOLED素子1の発光を停止する。この間検出スイッチ7をONして検出系120の定電流源112からの電流をOLED素子1に流すことにより、OLED素子1の特性検出を行なう。
【0073】
図8は図7に示す画素構造を図1の表示装置に適用した例である。画面は多数の画素から構成されているが、図8では4画素のみ表示している。図8において、画面左側には表示用走査回路200が設置されている。表示用走査回路200からは各画素に対してセレクトスイッチ線55、点灯スイッチ線53が延在している。セレクトスイッチ線55は画面の行毎に画像信号データの書き込みを可能にするものである。点灯スイッチ線53は各画素の点灯TFTスイッチ2のゲートに接続し、OLED素子1の点灯の可否を制御する。
画面右側には検出用走査回路150が設置されている。検出用走査回路150からは検出スイッチ制御線TSCが延在し、検出スイッチ7を制御する。検出スイッチ7がONになると、OLED素子1の電圧―電流特性の検出が可能になる。検出スイッチ7がONになるときは点灯TFTスイッチ2はOFFになっている。
【0074】
画面の上には信号駆動回路が設置されている。信号駆動回路からは各画素に対して信号線54が延在している。信号線54には信号線アナログスイッチSSWおよびMOSによるRスイッチ、Gスイッチ、またはBスイッチが設置されている。信号線54は各画素のセレクトスイッチ6のソースおよび検出スイッチ7のソースに接続している。
【0075】
画面右上には検出系120が設置されている。検出系120の構成は図1で説明したとおりである。検出系120からは検出線116が延在し、検出線116は分岐して各信号線54と並列に接続する。分岐した検出線116は検出線アナログスイッチSWR1等を経由して信号線54と接続する。信号線アナログスイッチSSWがONの時は画像表示がなされ、検出線アナログスイッチSWR1等がONの時は各OLED素子1の特性検出が行なわれる。
【0076】
信号線54に設置されているMOSスイッチであるRスイッチ、Gスイッチ等は画像表示をするときは通常はすべてONになっているが、OLED素子1の特性検出を行なう時は、OLED素子1の色毎に検査を行なう場合に、各色の画素に対応したMOSスイッチがONになり、他のMOSスイッチはOFFになる。
【0077】
以上のように、本実施例では各画素に検出スイッチ7を設け、検出スイッチ7のゲートに検出用走査回路150からの検出スイッチ制御線TSCを接続する。こうして、検出用走査回路150からの信号によって各OLED素子1の特性検出を制御している。以上の例では図7の画素を図1の表示装置に適用した場合を説明したが、図7の画素構成は図1のみでなく、図3、図5、図6等の表示装置についても適用できることは言うまでもない。
【実施例6】
【0078】
図9は本発明を実施した画素構成の他の例である。実施例5で使用した画素構成において、OLED駆動TFT3はOLED素子1の階調を制御するものであるが、この階調表示は保持容量4に保持された電荷により、OLED駆動TFT3のゲート電位を保持することによって行なわれる。しかし、TFTはスレッショルド電圧VTHが製造プロセスによってばらつくために、OLED駆動TFT3のゲート電位がこのVTHのばらつきによって影響を受けて正しい階調表示が出来ないという問題がある。図9の画素回路はこの問題点を対策した構成となっている。
【0079】
図9において、電源線51と基準電位の間にOLED素子1と点灯TFTスイッチ2とOLED駆動TFT3が直列に接続されている。点灯TFTスイッチ2はOLED素子1の発光の可否を決めるスイッチである。OLED駆動TFT3は画像信号に従って、OLED素子1の発光の階調を制御するTFTである。本実施例ではOLED駆動TFT3はN型TFTで構成されている。したがって、本実施例では画素部全てのTFTをN型のプロセスで製作できるという利点がある。
【0080】
本画素は1フレームをのうちの表示期間を、データを書き込む期間と実際に画像を表示する期間とに分けて駆動するタイプの表示装置について用いられる。図9において、点灯TFTスイッチ2をOFFした状態でリセットTFTスイッチ5をONすると、保持容量4に信号線54を通して画像信号データが書き込まれる。画像データが書き込まれたところで、リセットTFTスイッチ5をONしたまま、点灯TFTスイッチ2を短時間ONすると、OLED駆動TFT3に電流が流れる。この状態はOLED素子1とOLED駆動TFT3とでインバータが形成されていると見ることが出来る。OLED駆動TFT3のゲートとソースはリセットTFTスイッチ5によってショートされている。そうすると、OLED駆動TFT3のゲート電位は、OLED駆動TFT3のゲートとソースの関係を決める特性曲線上において、OLED駆動TFT3のソースとゲートが同電位になる点にセットされる。この場合のOLED駆動TFT3のゲート電位はOLED駆動TFT3のスレッショルド電圧Vthによってユニークに決定される。このゲート電位に対して信号電圧が書き込まれることになるので、OLED駆動TFT3のVthのバラつきによる影響を排除することが出来る。その後、リセットTFTスイッチ5、続いて点灯TFTスイッチ2をOFFすると信号電圧を正しく反映した電荷が保持容量4に維持される。なお、図9の画素が用いられる有機EL表示装置は次のような駆動方法が用いられる。すなわち、1フレームをデータ信号の書き込み期間と発光期間に分ける。書き込み期間は上記のようにして全画素に画像信号を書き込む。その後全画素に対して点灯TFTスイッチ2を閉じることによってOLED素子1に電流を流して画像を形成する。すなわち、1フレームの前半は事実上黒表示であり、1フレームの後半で画像を形成する。
【0081】
本実施例においては、点灯TFTスイッチ2とOLED素子1の陰極の間に検出スイッチ7を接続し、この検出スイッチ7を検出用走査回路150からの検出スイッチ制御線TSCによって制御する。すなわち、1フレームのうち、一定期間、点灯TFTスイッチ2をOFFすることによって、画像形成のためのOLED素子1の発光を停止する。この間検出スイッチ7をONして検出系120の定電流源112からの電流をOLED素子1に流すことにより、OLED素子1の特性検出を行う。
【0082】
図10は図9の画素構造を図1の表示装置に適用した例である。画面は多数の画素から構成されているが、図10では4画素のみ表示している。図10において、画面左側には表示用走査回路200が設置されている。表示用走査回路200からは各画素に対してリセットスイッチ線52、点灯スイッチ線53が延在している。リセットスイッチ線52は各画素のリセットTFTスイッチ5のゲートに接続している。点灯スイッチ線53は各画素の点灯TFTスイッチ2のゲートに接続し、各画素のOLED素子1の点灯の可否を制御する。
【0083】
画面右側には検出用走査回路150が設置されている。検出用走査回路150からは検出スイッチ制御線TSCが延在し、検出スイッチ7を制御する。検出スイッチ7がONになると、OLED素子1の電圧―電流特性の検出が可能になる。検出スイッチ7がONになるときは点灯TFTスイッチ2はOFFになっている。
【0084】
画面の上には信号駆動回路が設置されている。信号駆動回路からは各画素に対して信号線54が延在している。信号線54には信号線54アナログスイッチSSWおよびMOSによるRスイッチ、Gスイッチ、またはBスイッチが設置されている。信号線54は各画素のセレクトスイッチ6のソースおよび検出スイッチ7のソースに接続している。
【0085】
画面右上には検出系120が設置されている。検出系120の構成は図1で説明したと同様であるが、本実施例ではOLED素子1の陽極は電源線51と接続しているため、検出系120の定電流源112の向きが図1等とは逆である。検出系120からは検出線116が延在し、検出線116は分岐して各信号線54と並列に接続する。分岐した検出線116は検出線検出線アナログスイッチSWR1等を経由して信号線54と接続する。信号線アナログスイッチSSWがONの時は画像表示がなされ、検出線アナログスイッチSWR1等がONの時は各OLED素子1の特性検出が行なわれる。
【0086】
信号線54に設置されているMOSスイッチであるRスイッチ、Gスイッチ等は各画素に画像データを書き込むとき、あるいは画像表示をするときは通常はすべてONになっているが、OLED素子1の特性検出を行なう時は、OLED素子1の色毎に検査を行なう場合に、各色の画素に対応したMOSスイッチがONになり、他のMOSスイッチはOFFになる。
【0087】
以上のように、本実施例によれば、OLED駆動TFT3のスレッショルド電圧VTHのバラつきを補正した画素構造においてもOLED素子1の特性検出を効率的に行なうことが出来る。すなわち、OLED素子1の陰極と点灯TFTスイッチ2の間に検出スイッチ7を設け、検出スイッチ7のゲートに検出用走査回路150からの検出スイッチ制御線TSCを接続する。こうして、検出用走査回路150からの信号によって各OLED素子1の特性検出を制御している。以上の例では図9の画素を図1の表示装置に適用した場合を説明したが、図9の画素構成は図1のみでなく、図3、図5、図6等の表示装置についても適用できることは言うまでもない。
図13(a)は、モバイル用電子機器301の画像表示部に、本発明による画像表示装置300を用いることによって、表示を実現する自発光素子の特性を、低電力なシステムで迅速に検出することができる。
図13(b)は、テレビジョン303の画像表示部に、本発明による画像表示装置302を用いることによって、表示を実現する自発光素子の特性を、低電力なシステムで迅速に検出することができる。
図14(a)は、デジタル携帯端末PDA305の画像表示部に、本発明による画像表示装置304を用いることによって、表示を実現する自発光素子の特性を、低電力なシステムで迅速に検出することができる。
図14(b)は、ビデオカメラCAMのヴューファインダ307の画像表示部に、本発明による画像表示装置306を用いることによって、表示を実現する自発光素子の特性を、低電力なシステムで迅速に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施例1の表示装置の回路構成である。
【図2】実施例1の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】実施例2の表示装置の回路構成である。
【図4】実施例2の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】実施例3の表示装置の回路構成である。
【図6】実施例4の表示装置の回路構成である。
【図7】実施例5の画素部の回路構成である。
【図8】図7の画素を用いた表示装置の回路構成である。
【図9】実施例6の画素部の回路構成である。
【図10】図9の画素を用いた表示装置の回路構成である。
【図11】OLED素子の電圧―電流特性の経時変化の例である。
【図12】OLED素子の端子間電圧の経時変化の例である。
【図13】本発明を使用した製品の例である。
【図14】本発明を使用した製品の他の例である。
【符号の説明】
【0089】
1…OLED素子、2…点灯TFTスイッチ、 3…OLED駆動TFT、 4…保持容量、 5…リセットTFTスイッチ、 6…セレクトスイッチ、 7…検出スイッチ、 51…電源線、 52…リセットスイッチ線 53…点灯スイッチ線、 54…信号線、 55…セレクトスイッチ線、 100…信号駆動回路、 110…タイミングコントローラ、 112…定電流源、 113…メモリ、 114…バッファアンプ、 115…アナログ−デジタルコンバータ、 116…検出線、 150…検出用走査回路、 200…表示用走査回路、TSC…検出スイッチ制御線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤、緑、または青の発光をする発光素子を有する画素がマトリクス状に形成された表示装置であって、
前記表示装置は画像を表示させるための表示部と、各画素における前記赤、緑、または青の発光素子の発光特性を測定する検出部とを有し、前記検出部による検出を行う場合は、前記赤、緑、または青の発光をする複数の画素を同時に検出することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記画素の発光素子特性は前記画素の電圧―電流特性であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記同時に検出する複数の画素は同一色の発光を行う画素であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記同時に検出する複数の画素はマトリクス状に配列された画素のうち、同一の行に配列されている画素であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記同時に検出する複数の画素はマトリクス状に配列された画素のうち、同一の列に配列されている画素であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記同時に検出する複数の画素は異なる色の発光を行う画素を含むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記発光素子は、有機発光ダイオード(OLED, Organic Light Emitting Diode)素子であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項8】
赤、緑、または青のうちの一つの色を発光する第1の画素内の発光素子の発光効率をX1とし、他の発光の色の発光を行う第2内の発光素子の発光効率をX2としたとき、X1≦X2であり、前記第1の画素内の発光素子特性を同時に検出する場合の画素の数をN1とし、前記第2の画素内の発光素子特性を同時に検出する場合の画素の数をN2としたとき、N1≦N2であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
赤、緑、または青のうちの一つの色を発光する第1の画素内の発光素子の発光効率をX1とし、他の発光の色の発光を行う第2の画素内の発光素子の発光効率をX2としたとき、X1≦X2であり、前記第1の画素内の発光素子特性を同時に検出する場合の画素の数をN1とし、前記第2の画素内の発光素子特性を同時に検出する場合の画素の数をN2としたとき、N1≧N2であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
赤、緑、または青のうちの一つの色を発光する第1の画素の発光素子の特性を一定電圧で検出した時に必要とする電流値をI1とし、他の発光の色の発光を行う第2の画素の発光素子の特性を同電圧で検出した時に必要とする電流値をI2としたとき、I1≧I2であり、前記第1の画素を同時に検出する場合の画素の数をn1とし、前記第2の画素を同時に検出する場合の画素の数をn2としたとき、n1≦n2であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
赤、緑、または青のうちの一つの色を発光する第1の画素の発光素子の特性を一定電圧で検出した時に必要とする電流値をI1とし、他の発光の色の発光を行う第2の画素の発光素子の特性を同電圧で検出した時に必要とする電流値をI2としたとき、I1≧I2であり、前記第1の画素を同時に検出する場合の画素の数をn1とし、前記第2の画素を同時に検出する場合の画素の数をn2としたとき、n1≧n2であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
画像信号を供給する信号駆動回路部と、表示用走査回路と、検出用走査回路と、前記発光素子の特性を検出する検出部とを有する表示装置であって、
前記画素に入力された画像信号を基に、前期発光素子を駆動するための電界効果トランジスタと前記検出部との接続を制御するスイッチ手段を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
前記電界効果トランジスタ及びスイッチ手段は、
多結晶Si-TFT(Thin-Film-Transistor)を用いて透明基板上に設けられていることを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記信号駆動回路部からは信号線が延在し、前記検出部からはスイッチを有する検出線が延在して前記信号線と接続し、前記スイッチがOFFしているときは前記信号駆動回路部から画像信号が前記信号線に供給され、前記スイッチがONしているときは前記検出部からの電流が前記信号線に供給されることを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項1】
赤、緑、または青の発光をする発光素子を有する画素がマトリクス状に形成された表示装置であって、
前記表示装置は画像を表示させるための表示部と、各画素における前記赤、緑、または青の発光素子の発光特性を測定する検出部とを有し、前記検出部による検出を行う場合は、前記赤、緑、または青の発光をする複数の画素を同時に検出することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記画素の発光素子特性は前記画素の電圧―電流特性であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記同時に検出する複数の画素は同一色の発光を行う画素であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記同時に検出する複数の画素はマトリクス状に配列された画素のうち、同一の行に配列されている画素であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記同時に検出する複数の画素はマトリクス状に配列された画素のうち、同一の列に配列されている画素であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記同時に検出する複数の画素は異なる色の発光を行う画素を含むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記発光素子は、有機発光ダイオード(OLED, Organic Light Emitting Diode)素子であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項8】
赤、緑、または青のうちの一つの色を発光する第1の画素内の発光素子の発光効率をX1とし、他の発光の色の発光を行う第2内の発光素子の発光効率をX2としたとき、X1≦X2であり、前記第1の画素内の発光素子特性を同時に検出する場合の画素の数をN1とし、前記第2の画素内の発光素子特性を同時に検出する場合の画素の数をN2としたとき、N1≦N2であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
赤、緑、または青のうちの一つの色を発光する第1の画素内の発光素子の発光効率をX1とし、他の発光の色の発光を行う第2の画素内の発光素子の発光効率をX2としたとき、X1≦X2であり、前記第1の画素内の発光素子特性を同時に検出する場合の画素の数をN1とし、前記第2の画素内の発光素子特性を同時に検出する場合の画素の数をN2としたとき、N1≧N2であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
赤、緑、または青のうちの一つの色を発光する第1の画素の発光素子の特性を一定電圧で検出した時に必要とする電流値をI1とし、他の発光の色の発光を行う第2の画素の発光素子の特性を同電圧で検出した時に必要とする電流値をI2としたとき、I1≧I2であり、前記第1の画素を同時に検出する場合の画素の数をn1とし、前記第2の画素を同時に検出する場合の画素の数をn2としたとき、n1≦n2であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
赤、緑、または青のうちの一つの色を発光する第1の画素の発光素子の特性を一定電圧で検出した時に必要とする電流値をI1とし、他の発光の色の発光を行う第2の画素の発光素子の特性を同電圧で検出した時に必要とする電流値をI2としたとき、I1≧I2であり、前記第1の画素を同時に検出する場合の画素の数をn1とし、前記第2の画素を同時に検出する場合の画素の数をn2としたとき、n1≧n2であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
画像信号を供給する信号駆動回路部と、表示用走査回路と、検出用走査回路と、前記発光素子の特性を検出する検出部とを有する表示装置であって、
前記画素に入力された画像信号を基に、前期発光素子を駆動するための電界効果トランジスタと前記検出部との接続を制御するスイッチ手段を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
前記電界効果トランジスタ及びスイッチ手段は、
多結晶Si-TFT(Thin-Film-Transistor)を用いて透明基板上に設けられていることを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記信号駆動回路部からは信号線が延在し、前記検出部からはスイッチを有する検出線が延在して前記信号線と接続し、前記スイッチがOFFしているときは前記信号駆動回路部から画像信号が前記信号線に供給され、前記スイッチがONしているときは前記検出部からの電流が前記信号線に供給されることを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−224863(P2008−224863A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60390(P2007−60390)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
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