画像表示装置
【課題】FED(フィールドエミッションディスプレイ)において、白色均一性を損なうことなく、また、輝度低下をもたらすことなく所望の白色色温度を達成する。
【解決手段】赤蛍光体21と青蛍光体23の中にブラックマトリクスと同じ材料、同じプロセスで形成される複数のストライプ241を設けて赤蛍光体21の透過率と青蛍光体23の透過率を緑蛍光体22の透過率に対して相対的に下げる。また、赤蛍光体21の透過率は青蛍光体23の透過率よりも下げる。これによって、白色色温度9300Kを達成する。
【解決手段】赤蛍光体21と青蛍光体23の中にブラックマトリクスと同じ材料、同じプロセスで形成される複数のストライプ241を設けて赤蛍光体21の透過率と青蛍光体23の透過率を緑蛍光体22の透過率に対して相対的に下げる。また、赤蛍光体21の透過率は青蛍光体23の透過率よりも下げる。これによって、白色色温度9300Kを達成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部を真空にし、背面基板に電子源をマトリクス状に配置し、前面基板に対応する蛍光体を配置したフラット型表示装置に係り、特に白色を表示したときの色温度および、白色の均一性に関する。
【背景技術】
【0002】
高輝度、高精細に優れたディスプレイデバイスとして、従来からカラー陰極線管が広く用いられている。しかし、省スペース、軽量等の観点から平面型画像表示装置の需要が拡大している。液晶表示装置、プラズマ表示装置等は30インチ以上の大画面としてもそれほど大きな重量にならないこと等から、TV等の大型表示装置の分野で需要が拡大している。
【0003】
一方、2枚のガラス基板に挟まれた内部を真空にして、一方の基板上に電子源をマトリクス状に配置し、対向基板に蛍光体を配置したいわゆるフィールドエミッションディスプレイ(以後FEDという)の開発が進んでいる。FEDは電子源からの電子が蛍光体に射突して発光することによって画像を形成するもので、明るさ、コントラスト、動画特性等でブラウン管並の優れた性能を得ることが出来るので、将来のTV用ディスプレイとして期待されている。
【0004】
FEDの問題点の一つとして白色を表示したときの色温度の問題がある。FEDの蛍光面構造は、赤、緑、青の蛍光体をマトリクス状に形成し、この赤、緑、青の蛍光体の間をブラックマトリクス(BM)によって充填または遮蔽している。逆にいえば、蛍光面全面にブラックマトリクスを形成し、このブラックマトリクスのホールに赤、緑、青の蛍光体を充填、または、ブラックマトリクスパターン上にまたがって赤、緑、青の蛍光体をパターニングしている。従来技術では、この赤、緑、青の蛍光体の大きさは同一である。
【0005】
しかし、このような蛍光面構造では、NTSC標準白色の色温度9300Kを出すことは困難である。すなわち、赤、緑、青の蛍光体の発光効率が異なるために、色温度9300Kを出そうとすると、相対的には緑色の発光が不足する。したがって、赤、緑、青の蛍光体を同一の大きさに形成すると、全体的にはマゼンタ系の白色となる。このときの色温度は例えば、4500Kである。
【0006】
この問題を対策する従来技術として、「特許文献1」があげられる。特許文献1には、所定の色バランスを得るために、赤および青の蛍光体の面積を緑の蛍光体の面積よりも小さくすることが記載されている。具体的には、赤および青の蛍光体の長径を緑の蛍光体の長径よりも小さくすること、あるいは、赤および青の蛍光体を分割して遮蔽部を設けることによって赤および青の蛍光体の面積を緑の蛍光体の面積よりも相対的に小さくすること等が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2006−73386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、「特許文献1」に記載の技術では、色温度を所定の温度にするために緑の蛍光体の面積を大きくする等の必要があるために、蛍光体間のブラックマトリクスの幅が異なってくるために色純度が劣化するという問題点がある。また、「特許文献1」に記載の他の技術では例えば、赤蛍光体を中央で分割して、左右面積の等しい2個の蛍光体とし、赤蛍光体の面積を小さくすることによって色温度を合わせる技術が記載されている。しかし、この技術では電子ビーム密度の最も大きい蛍光体の中央部付近において遮蔽体であるブラックマトリクスが形成されるので、電子ビームの利用効率が下がり、表示装置の明るさとともに、色純度の劣化が問題になる。
【0009】
以上のように、FEDにおいて従来の技術によって所定の色温度を得ようとすると色純度の劣化の問題、画面明るさの低下の問題が生ずる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述した従来の課題を解決するためになされたもので、赤または青の蛍光体の領域内にブラックマトリクスによる遮蔽物を形成し、明るさの低下を最低限におさえつつ色温度の調整を行うものである。具体的な手段は次のとおりである。
【0011】
(1)電子源がマトリクス状に形成されたカソード基板と、前記カソード基板と対向し、アノード電圧が印加され、前記電子源と対応する場所に蛍光体が形成されたアノード基板を備え、内部が真空に保持される表示装置であって、前記アノード基板にはブラックマトリクスが形成され、ブラックマトリクスの開口部には赤蛍光体、緑蛍光体、青蛍光体が並んで配置され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる複数のストライプが形成されていることを特徴とする表示装置。
(2)前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内の中央には前記ブラックマトリクスによるストライプが形成されていないことを特徴とする(1)に記載の表示装置。
(3)前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる複数のストライプが形成されていることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
(4)前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率より小さいことを特徴とする(1)に記載の表示装置。
(5)前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記開口部の中央部のほうが前記開口部の周辺部よりも大きいことを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0012】
(6)電子源がマトリクス状に形成されたカソード基板と、前記カソード基板と対向し、アノード電圧が印加され、前記電子源と対応する場所に蛍光体が形成されたアノード基板を備え、内部が真空に保持される表示装置であって、前記アノード基板にはブラックマトリクスが形成され、ブラックマトリクスの開口部には赤蛍光体、緑蛍光体、青蛍光体が並んで配置され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる遮蔽物が形成され、前記遮蔽物のパターンは前記開口部中央と前記開口部周辺とで異なっていることを特徴とする表示装置。
(7)前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクス開口部の周辺部には遮蔽物としてブラックマトリクスによる複数のストライプが形成され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクス開口部の中央部には遮蔽物としてブラックマトリクスによるモザイクパターンが形成されていることを特徴とする(6)に記載の表示装置。
(8)前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる遮蔽物が形成され、前記遮蔽物のパターンは前記開口部中央と前記開口部周辺とで異なり、開口部の透過率は前記開口部中央において、前記開口部周辺よりも透過率が大きいことを特徴とする(6)に記載の表示装置。
(9)前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率より小さいことを特徴とする(6)に記載の表示装置。
(10)前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記開口部中央のほうが前記開口部周辺よりも大きいことを特徴とする(6)に記載の表示装置。
【0013】
(11)電子源がマトリクス状に形成されたカソード基板と、前記カソード基板と対向し、アノード電圧が印加され、前記電子源と対応する場所に蛍光体が形成されたアノード基板を備え、内部が真空に保持される表示装置であって、前記アノード基板にはブラックマトリクスが形成され、ブラックマトリクスの開口部には赤蛍光体、緑蛍光体、青蛍光体が並んで配置され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる遮蔽物が形成され、前記赤蛍光体用のブラックマトリクス開口部の透過率は該開口部の中央部と周辺部で等しいか、中央部が周辺部より大きいことを特徴とする表示装置。
(12)前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる遮蔽物が形成され、前記青蛍光体用のブラックマトリクス開口部の透過率は該開口部の中央と周辺で等しいか、中央部が周辺部より大きいことを特徴とする(11)に記載の表示装置。
(13)前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率より小さいことを特徴とする(11)に記載の表示装置。
(14)前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の中央部に形成される前記遮蔽物のパターンと前記開口部の周辺部に形成される遮蔽物のバターンとは同じパターンであることを特徴とする(11)に記載の表示装置。
【0014】
(15)電子源がマトリクス状に形成されたカソード基板と、前記カソード基板と対向し、アノード電圧が印加され、前記電子源と対応する場所に蛍光体が形成されたアノード基板を備え、内部が真空に保持される表示装置であって、前記アノード基板にはブラックマトリクスが形成され、ブラックマトリクスの開口部には赤蛍光体、緑蛍光体、青蛍光体が並んで配置され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる複数の遮蔽物が形成されていることを特徴とする表示装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によって色純度を低下させることなく、また、画面輝度の明るさの低下を最低限におさえつつ所定の色温度を得ることができる。本発明の手段ごとの効果は次のとおりである。
【0016】
手段(1)によれば、赤蛍光体のBMホール内に複数のストライプを形成するので、BMホール内の透過率を制御して色純度を劣化させることなく白色色温度の調整をすることができる。
【0017】
手段(2)によれば、赤蛍光体のBMホールの中央にはBMストライプが形成されていないのでBMホールの中央部の透過率をBMホールの周辺部よりも透過率を大きくすることが出来る。したがって、色純度の劣化を最小限に保ちながら、白色色温度の制御をすることが出来る。
【0018】
手段(3)によれば、青蛍光体のBMホールにも複数のBMストライプが形成されているので、白色色温度を9300Kに設定することが容易となる。
【0019】
手段(4)によれば、赤蛍光体のBMホールの透過率が青蛍光体のBMホールの透過率よりも小さいために、白色色温度を9300Kに設定することが容易となる。
【0020】
手段(5)によれば、赤蛍光体のBMホールはBMホールの中央部では透過率が大きくBMホールの周辺部は透過率が小さいために色純度の劣化を最低限にとどめながら白色色温度を9300Kに近づけることが出来る。
【0021】
手段(6)によれば、赤蛍光体のBMホールには周辺部と中央部とで異なった遮蔽パターンが形成されるためにBMホールの透過率をBMホール中央部と周辺とで、容易に差をつけることが出来る。
【0022】
手段(7)によれば、赤蛍光体のBMホールの周辺に複数のストライプを形成し、中央部にモザイクパターンを形成するので、BMホールの中央と周辺とで透過率の差をつけることが容易となる。
【0023】
手段(8)によれば、青蛍光体のBMホールにもホール中央とホール周辺とで遮蔽パターンを異ならせるので、BMホールの中央部と周辺部とで透過率の差を容易につけることが出来る。
【0024】
手段(9)によれば、赤蛍光体のBMホールの透過率は青蛍光体のBMホールの透過率よりも小さいので、白色色温度を9300Kに設定することが容易となる。
【0025】
手段(10)によれば、赤蛍光体のBMホールの遮蔽パターンをBMホール中央部と周辺部とで異ならせ、赤蛍光体のBMホールの中央部の透過率がBMホールの周辺部の透過率よりも大きくするために、色純度の劣化を最低限にとどめながら、白色色温度を制御することが出来る。
【0026】
手段(11)によれば、赤蛍光体が形成されるBMホールの透過率をBMホールの中央部で大きく、BMホールの周辺部で小さくしたので、色純度の劣化を最低限におさえつつ、白色色温度を制御することが出来る。
【0027】
手段(12)によれば、赤蛍光体が形成されるBMホールの透過率をBMホールの中央部で大きく、BMホールの周辺部で小さくしたので、色純度の劣化を最低限におさえつつ、白色色温度を9300Kに近づけることが出来る。
【0028】
手段(13)によれば、赤蛍光体のBMホールの透過率は青蛍光体のBMホールの透過率よりも小さいので、白色色温度を9300Kに容易に近づけることが出来る。
【0029】
手段(14)によれば、赤蛍光体のBMホールには同じパターンの遮蔽物が形成されているので、BMホール内の遮蔽物の形成を単純化することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の最良の形態を実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0031】
図1は本発明の第1の実施例を示す平面図である。図1において、カソード基板1の上には封着部3を介してアノード基板2が設置されている。カソード基板上には横方向には走査線11が、縦方向にはデータ信号線12が延在している。走査線11には走査線端子51から、データ信号線12にはデータ信号線端子52を介して外部から信号が供給される。走査線11とデータ信号線12の交差部付近には電子源が配置されている。したがって、多数の電子源がマトリクス状に配列されている。電子源としては、いわゆるMIM方式、SID方式、Spindt方式等種々のもが開発されているが、いずれの電子源も本発明に適用可能である。本実施例では電子源の例としてMIM方式の電子源を用いている。
【0032】
カソード基板1とアノード基板2と周辺を囲む封着部3の内部は真空に保たれる。したがって、大気圧によってアノード基板2、カソード基板1が撓み、カソード基板1とアノード基板2の間隔が確保できなくなる。あるいは、カソード基板1またはアノード基板2が破壊してしまう。これを避けるために、カソード基板1とアノード基板2との間にスペーサ4が設置される。このスペーサ4はセラミックスまたはガラスで形成され、画像形成の妨げにならないように一般的には走査線上に設置される。
【0033】
アノード基板上には電子ビーム15の射突によって光を発する赤、緑、青の蛍光体が電子源に対応して形成されている。蛍光体の周囲にはブラックマトリクス(BM)が形成されており、画像のコントラスを向上させる。ブラックマトリクス24を覆ってAlによるメタルバクが形成されている。メタルバック25には高電圧が印加され、カソードから出射する電子ビーム15を加速して赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23に射突させる。
【0034】
電子ビーム15によって蛍光体から光を発生させるためには電子ビーム15はある程度のエネルギーをもっていなければならないので、アノード基板2のメタルバック25には8KVから10KVの高電圧が印加される。本実施例では外部から高電圧を供給するための高電圧導入端子はカソード基板側に設けられ、コンタクトスプリングを介してアノード基板2に高電圧が供給される。図1おいて、コンタクトスプリングとアノード基板2が接触するアノード端子が表示装置のコーナー部に形成されている。表示装置の内部は真空に保たなければならないので、図1における表示装置のコーナー部に排気のための排気孔81が形成されている。
【0035】
図2は図1をD方向から見た側面図である。図2において、カソード基板1とアノード基板2は封着部3を介して所定の距離を持って対向している。カソード基板1のほうが端子5等が設置される分大きく形成されている。カソード基板1の下には、排気管8、高電圧導入ボタン60を取り付けるための排気基板6が取り付けられている。排気基板6は排気基板封着部7を介してカソード基板1に取り付けられている。図2では排気基板6には表示装置の内部を真空にするための排気管8がチップオフされた状態で描かれている。排気管8の近くに高電圧導入ボタン60が取り付けられている。
【0036】
図3は図1のA−A断面図である。図3において、データ信号線12が紙面と垂直方向に延在している。本実施例ではこのデータ信号線12の上に電子源14が形成されている。絶縁膜13を介して走査線11がデータ信号線12と直角方向に形成されている。図3において、走査線11は封着部3の外部に延在している。走査線11の上にはカソード基板1とアノード基板2との距離を保つためのスペーサ4が設置されている。スペーサ4は固着材41によってカソード基板側では走査線上に、アノード基板側ではメタルバック25に固着されている。このスペーサ4には108から109Ω程度の導電性が与えられ、カソードとアノードとの間にわずかに電流を流すことによってスペーサ4の帯電を防止している。
【0037】
アノード基板側では、電子源14に対応する場所には、赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23が配置され、この赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23は電子ビーム15に射突されることによって発光し、画像が形成される。赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23の間はBM24で充填され、画像のコントラスの向上に寄与する。BM24は例えば、クロムおよび酸化クロムの2層構造になっている。赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23およびBM24を覆ってAlによるメタルバック25が形成されている。メタルバック25には約8KVから10KV程度の高電圧が印加され、電子ビーム15を加速する。加速された電子ビーム15はメタルバック25を突き抜けて赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23に射突し、赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23を発光させる。
【0038】
表示装置の内部を真空に保つために、枠部材31と封着材32によってカソード基板1とアノード基板2がシールされている。カソード基板1の厚さおよびアノード基板2の厚さは3mm程度である。また、カソード基板1とアノード基板2との距離は約2.8mm程度であり、表示装置の内側は高電界となっている。
【0039】
図4は図1のB‐B断面図である。図4において、カソード基板1には通孔10が形成されており、この通孔10を通して表示装置の排気あるいは高電圧の供給が行なわれる。カソード基板1の通孔10を覆って排気基板6が排気基板用封着部7を介して設置され、表示装置の内部を真空に保つ。排気基板用封着部7はカソード基板1とアノード基板2の封着部3と基本的な構成は同じである。すなわち、排気基板用枠体71が封着材32を介してカソード基板1およびアノード基板2と封着されている。
【0040】
高電圧導入ボタン60が封着材32によってカソード基板1にとりつけられ、外部と気密を保っている。この封着材32にはフリットガラスが用いられる。高電圧導入ボタンにはFe−Ni合金が用いられる。Fe−Ni合金の成分比は封着材32と熱膨張係数を合わせるように選定される。高電圧導入ボタン60にはコンタクトスプリング50がスポット溶接される。コンタクトスプリング50はインコネルによって形成されるが、インコネルはFe−Ni合金と容易にスポット溶接を行うことが出来る。
【0041】
コンタクトスプリング50は高電圧導入ボタン60と接続するベース部とアーム部とコンタクト部とから形成されている。コンタクトスプリング50のアーム部が湾曲することによる曲げ応力によって、コンタクトスプリング50のコンタクト部が適切な力によってアノード基板2に形成されたメタルバック25に接触する。本実施例でのコンタクトスプリング50の接触圧は約10gである。コンタクトスプリング50のコンタクト部は球面等の適切な曲面となっており、メタルバック25と安定に接触をとれるように形成されている。コンタクトスプリング50の材料は耐熱性等を考慮してインコネルが使用され、厚さは0.1mmである。
【0042】
アノード基板2にはコンタクトスプリング50と接触するためのアノード端子26が形成されている。アノード端子26には比較的大きな電流が流れるために、信頼性が重要である。本実施例ではアノード端子26部分の構造は次のようになっている。アノード基板上にはクロムと酸化クロムのBM24が形成され、これを覆ってAlによるメタルバック25が形成されている。これは画面の有効面と同じ構成である。本実施例ではメタルバック25の上に、アノード端子26として導電膜が厚さ10μmから30μmで形成される。本実施例では導電膜は銀ペーストを印刷によって塗布し、その後、焼成することによって形成される。この導電膜の焼成は特別なプロセスを設ける必要は無く、例えば、スペーサ4を固着するときの焼成プロセスと同時に行なえばよい。
【0043】
銀ペーストは直径1ミクロンから数μmの銀粒子を粘度の高い有機溶媒に分散させたものである。焼成後、銀粒子同士がつながることによって導電性を持つことになる。導電膜はある程度の抵抗を持ったほうが良い場合もある。このような場合は通常の銀ペーストにさらにフリットガラス用のペーストを混合して抵抗を調整することができる。なお、導電膜の材料としては、銀ペーストに限る必要は無く、Ni粒子を分散させたNiペースト、Al粒子を分散させたAlペースト等を用いることもできる。また、バインダによって結合した黒鉛膜を用いることも出来る。この場合の黒鉛はグラファイトが好適である。黒鉛膜の抵抗は、例えば、黒鉛にベンガラ(酸化鉄)を混合することによって調整することができる。
【0044】
導電膜を10μmから30μmと厚く形成することによって、コンタクトスプリング50と導電膜の接触を安定に行なうことができる。すなわち金属膜であれば、コンタクトスプリング50と金属膜とは点接触となり、この点接触部分に電流が集中して導電膜が破壊する危険が大きいが、本実施例のような導電膜であれば、導電膜とコンタクトスプリング50とは金属膜の場合と比較して接触面積を大きくとることができ、面接触に近い状態となり、接触が安定する。また、本実施例のような導電膜であれば、金属に比べて抵抗が大きいため、コンタクト部に大電流が流れることを抑止することができる。この点からも接触による導通の安定性を向上することが出来る。
【0045】
排気基板6には排気孔81が形成され、この排気孔81には排気管8が封着材32としてのフリットガラスを介して設置される。排気管8を通して表示装置の内部が真空排気され、その後、排気管8はチップオフされて表示装置の内部は真空に保持される。図4は排気管8がチップオフされた状態を示している。
【0046】
図5は図1のC−C断面を示す模式図である。図5において、カソード基板上には横方向にデータ信号線12が延在している。データ信号線12と直角に走査線11が紙面の法線方向に延在している。走査線11は2層構造となっている。配線抵抗を減らすためである。走査線と走査線の間のデータ信号線12の上には電子源14が配置されている。電子源14はデータ信号線12が下部電極となり、トンネル絶縁膜を介して走査線11と電気的に接続する上部電極によって構成される。
【0047】
アノード基板2には赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23が形成されているが、図5においては緑蛍光体22のみが表示されている。蛍光体と蛍光体の間はBM24によって覆われている。蛍光体およびBM24を覆ってAlをスパッタリングすることによって、メタルバック25が形成される。メタルバック25には約8KVから10KVの高電圧であるアノード電圧が印加されている。このアノード電圧によって電子源14から放出された電子ビーム15は加速される。電子源14から放出された電子ビーム15はメタルバック25を突き抜けて赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23に射突することによってカラー画像が形成される。電子ビーム15は電子源14から放出されると広がるが、蛍光面上では、各蛍光体よりも若干大きくなるように設計されている。
【0048】
アノード基板2とカソード基板1の距離を保つために、図3で説明したように、スペーサ4が設置される。スペーサ4はカソード基板上の走査線11とアノード基板上のメタルバック25の間に設置される。この位置であれば、スペーサ4が画像形成の妨げにならない。
【0049】
図6は蛍光面に電子ビーム15が射突している例であり、図7は電子源14からの電子が蛍光面に射突する様子を示した模式図である。図6において、ブラックマトリクス24にホールが形成されており、ホール部分に赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23が形成されている。電子源14から放出された電子ビーム15は蛍光面上では楕円形状となって蛍光体に射突している。図6および図7においては楕円状の電子ビーム15の短径は蛍光体の短径よりも大きい。図6において、赤蛍光体21から赤蛍光体21までのピッチは例えば、0.519mmである。BM24の幅は等しく0.024mmである。一方、蛍光体の長径方向の縦ピッチは0.519mmである。したがって3色の蛍光体を纏めた横ピッチと縦ピッチは等しく0.519mmである。
【0050】
図6は蛍光体と電子ビーム15の中心が一致している例である。実際にはアノード基板2とカソード基板等の位置あわせの誤差等が存在しているために、蛍光体と電子ビーム15の中心はずれる。電子ビーム15の中心をと蛍光体の中心がずれた例を図8および図9に示す。図8および図9は緑蛍光体用の電子ビーム15の中心が緑蛍光体22の中止から赤蛍光体側にずれた例を示す。この結果緑蛍光体用の電子ビーム15の一部が本来射突すべきでない赤蛍光体21の他色打ち部分151に射突している。一方緑蛍光体22には電子ビーム15が射突しない欠け領域152が生じている。図8および図9は緑蛍光体22の場合を例にとって説明したが、赤蛍光体21、青蛍光体23の場合も同様である。
【0051】
図6に示すように、通常は赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23とも同じ寸法である。また、各蛍光体の間のBM24の間隔も同じである。このように、各蛍光体の面積が同じ場合の色温度は4500K程度であり、NTSCの白色9300Kよりも赤方向にシフトした白となっている。これをNTSCの白の色温度に近づけるためには緑の発光強度を強くしなければならない。緑の発光強度を強くする方法として、緑蛍光体用BMのホールの面積、すなわち、緑蛍光体22の面積を大きくする方法がある。しかし、この方法は図8および図9に示したように、他色打ち等による色純度の劣化を生ずる。ずなわち、蛍光体の面積を大きくすれば、蛍光体間のBM24の幅が狭くなり、より他色打ちをしやすくなる。
【0052】
本実施例は色純度の劣化を防止するために、緑蛍光体22の面積を大きくするのではなく、赤または青の蛍光体の内部にBMによる遮蔽部を形成し、赤または青の発光強度を下げることによって白色色温度を9300Kに近づけるものである。図10は本実施例の1形態であり蛍光面の構成を示す模式図である。赤、緑、青の蛍光体の回りはブラックマトリクスが形成されており、本来は黒色であるが、図面がわかりにくくなるので、白抜きとしている。赤、緑、青の各蛍光体の幅は等しく、また、赤、緑、青の各蛍光体の間のBM幅も一定である。したがって、各蛍光体の間のピッチは等しい。蛍光体の間のピッチが等しければ対応する電子源14のピッチ、ひいてはデータ信号線のピッチ等も等しい。
【0053】
図10において、赤蛍光体21が形成されるBMホールにはストライプ状の遮蔽体であるBMストライプ241が形成されている。これは実際にはBM24と同じ物質でBMホールを形成時に同時に形成される。赤蛍光体21はこのストライプ状にBMが形成された部分に被着される。BMのホールおよびストライプは一般には次のようにして形成される。すなわち、酸化クロムとクロムをスパッタリングによってアノード基板全体に被着する。この酸化クロムとクロムの積層膜をフォトエッチングすることによって形成する。フォトエッチングで形成するので、BMのホールだけを形成する場合も、BMホール内にストライプを形成する場合も工程は同じである。
【0054】
BMホール内に形成されたBMストライプ241によって赤蛍光体21から外部への発光面積は小さくなる。逆に赤蛍光体21はBMホール内のBMストライプ241によって分断されるが、この分断の数は3以上である。言い換えれば、BMホール内のBMストライプ241は2本以上とする必要がある。そしてBMホールの中央にはBMストライプ241は形成されないほうが良い。図8および図9で示したように、BMホールの周辺は隣の電子ビーム15によって他色打ちされやすい。したがって、BMホールの周辺は蛍光体の発光面積が小さいほうが、他色打ちした場合の色純度の劣化は小さくて済む。一方、電子ビーム15の密度は一定ではなく、例えば、ガウス分布をしている。そして電子ビーム15の密度は中央でもっとも高い。したがって、BMホールの中央において遮蔽物であるBMストライプ241が無ければ、明るさ低下への影響は小さくなる。BMホール内のストライプをこのように配置することによって色温度の調整をしつつ、色純度の劣化を最小限におさえつつ白色色温度を9300Kに近づけることが出来る。
【0055】
図10において、緑蛍光体22には遮蔽物であるBMストライプ241は形成されていない。緑蛍光体22の発光面積を他の蛍光体に比べて相対的に大きくしたいからである。青蛍光体23には遮蔽対であるBMストライプ241が形成されている。ただし、BMストライプ241の幅は赤蛍光体21におけるBMストライプ241の幅よりも小さい。白色色温度を9300Kに近づけるためには赤蛍光体21の発光を最も抑え、次に青蛍光体23の発光を抑える必要があるからである。したがって、発光面積は緑蛍光体22が最も大きく次いで青蛍光体23、そして、赤蛍光体21がもっとも小さい。
【0056】
以上のように、本実施例によれば、他色打ちによる色純度の劣化をおさえつつ、白色色温度をNTSC標準である9300Kに近づけることができる。また、赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23の蛍光体間ピッチも一定である。蛍光体間ピッチが一定であれば、各電子源14の間のピッチを一定にすることが出来、ひいては信号線のピッチ等も同じにすることができるので、FEDの特性確保、FEDの製造等が容易になる。
【0057】
以上の例は赤蛍光体21と青蛍光体23の両方にBMによる遮蔽を形成した。しかし、白色色温度をかならずしも9300Kとしなくとも、9300Kに近づけばよいという場合もある。このような場合は、青蛍光体部分に遮蔽物は設けず、赤蛍光体21のみに遮蔽物を設けてもよい。このことは以下に述べる本実施例の他の形態についても同様である。
【0058】
図11は本実施例の第2の形態であり蛍光面の構成を示す模式図である。赤、緑、青の各蛍光体の幅は等しく、また、赤、緑、青の各蛍光体の間のBM幅も一定である。したがって、各蛍光体の間のピッチは等しい。図11において、赤蛍光体21にはストライプ状の遮蔽体であるBMストライプ241が形成されている。これは実際にはBMと同じ物質でBMホールを形成時に同時に形成される。図10と異なるところは、BMストライプ241が縦線ではなく、斜め線となっていることである。BMストライプ241が斜めになっていることによって隣の電子ビーム15が他色打ちをしたときに、その色純度への影響をスムースに変化させることが出来る。また、BMホール内のBMストライプ241の数は2本以上である。
【0059】
本実施形態における斜め方向のBMストライプ241の幅も赤蛍光体21で大きく、青蛍光体23において小さく、緑蛍光体22においては斜めストライプは形成されていない。NTSC標準の白色色温度に合わせるためである。本実施形態における斜めのBMストライプ241の形成も実施形態1で説明したのと同様にして行うことができる。したがって、本実施形態によれば、色純度の劣化を最小限におさえつつ白色色温度をNTSC標準の9330Kに近づけることが出来る。
【0060】
図12は本実施例の第3の形態であり蛍光面の構成を示す模式図である。赤、緑、青の各蛍光体の幅は等しく、また、赤、緑、青の各蛍光体の間のBM幅も一定である。したがって、各蛍光体の間のピッチは等しい。図12において、赤蛍光体21にはストライプ状の遮蔽体であるBMストライプ241が形成されている。これは実際にはBMと同じ物質でBMホールを形成時に同時に形成される。図10と異なるところは、BMホール内のBMストライプ241が縦線ではなく、横線となっていることである。
【0061】
他色打ちは蛍光体の縦方向ではなく横方向で生ずる。したがって、横方向からの隣の電子ビーム15による他色打ちが問題である。本実施形態のように、BMホール内のBMストライプ241が横線であれば、他色打ちが起こった場合でも、多色打ちの影響は段階的ではなく、連続的な影響とすることが出来る。本実施形態においてもBMホール内のBMストライプ241の数は2個以上である。そして、BMホール中央部ではBMストライプ241は存在しないほうが良い。
【0062】
本実施形態におけるBMホール内の横方向のBMストライプ241の幅も赤蛍光体21で大きく、青蛍光体23において小さく、緑蛍光体22においてはBMストライプ241は形成されていない。NTSC標準の白色色温度に合わせるためである。本実施形態におけるBMホール内の横方向のBMストライプ241の形成も実施形態1で説明したのと同様にして行うことができる。したがって、本実施形態によれば、色純度の劣化を最小限におさえつつ白色色温度をNTSC標準の9300Kに近づけることが出来る。
【0063】
図13は本実施例の第4の形態であり蛍光面の構成を示す模式図である。赤、緑、青の各蛍光体の幅は等しく、また、赤、緑、青の各蛍光体の間のBM幅も一定である。したがって、各蛍光体の間のピッチは等しい。図13において、赤蛍光体21にはモザイク状の遮蔽体が形成されている。本実施形態における遮蔽体は実施形態1から3の場合と異なり、モザイク状である。本実施形態におけるモザイク状の遮蔽体(BMモザイク)もBMと同一物質で同一のプロセスで形成される。形成方法は実施形態1で述べたと同様であり、実施形態とはフォトマスクが異なるだけである。
【0064】
BMホール内の遮蔽体をモザイク状としたことで、隣の電子ビーム15が他色打ちをした場合でも他色打ちの影響は段階的ではなく、連続的なものにすることが出来る。BMホール中のBMモザイク242の全面積は白色色温度をどの程度にするかによって決められる。BMモザイク242の全面積が同一であれば、各モザイクの面積を小さくしてモザイクピッチを小さくしたほうが他色打ちが生じた場合の影響を連続的にできるという点で有利である。
【0065】
本実施形態におけるBMホール中のBMモザイク242の面積も赤蛍光体21で大きく、青蛍光体23において小さく、緑蛍光体22においてはBMモザイク242は形成されていない。NTSC標準の白色色温度に合わせるためである。したがって、本実施形態によれば、色純度の劣化を最小限におさえつつ白色色温度をNTSC標準の9330Kに近づけることが出来る。
【実施例2】
【0066】
図14は本発明の第2の実施例を示す蛍光面の模式図である。本実施例も色純度の劣化を防止するために、緑蛍光体22の面積を大きくするのではなく、赤または青の蛍光体の内部にBMによる遮蔽部を形成し、赤または青の発光強度を下げることによって白色色温度を9300Kに近づけるものである。図14において、赤、緑、青の各蛍光体の幅は等しく、また、赤、緑、青の各蛍光体の間のBM幅も一定である。したがって、各蛍光体の間のピッチは等しい。蛍光体の間のピッチが等しければ対応するカソード基板1の電子源14のピッチ、ひいてはデータ信号線のピッチ等も等しい。
【0067】
図14において、赤蛍光体21が形成されるBMホールにはストライプ状の遮蔽体であるBMストライプ241とモザイク状の遮蔽体であるBMモザイク242が形成されている。BMホールの中央部にはBMモザイク242が形成され、BMホールの周辺にはBMストライプ241が形成されている。BMモザイク242のほうがBMストライプ241よりも透過率が大きい。すなわち、BMホールの中央部のほうがBMホールの周辺部よりも透過率が大きい。これは次のような理由による。
【0068】
図8および図9で示したように、BMホールの周辺は隣の電子ビーム15によって他色打ちされやすい。したがって、BMホールの周辺はBM透過率が小さいほうが、他色打ちした場合の色純度の劣化は小さくて済む。一方、電子ビーム15の密度は一定ではなく、例えば、ガウス分布をしている。そして電子ビーム15の密度は中央でもっとも高い。したがって、他色打ちがあった場合でもBMホールの周辺部においてBM透過率が小さければ、他色打ちによる色純度の劣化は軽減することが出来る。一方、赤蛍光体21からの発光を抑制するための遮蔽はBMホールのどこで行っても良い。したがって、本実施例のようにBMホールの周辺よりもBMホールの中央部でBMの透過率を上げることによって、多色打ちによる色純度の劣化を生ずることなく、効果的に色温度の調整を行うことが出来る。
【0069】
図14において、青蛍光体23が形成されるBMホールにもストライプ状の遮蔽物であるBMストライプ241とモザイク状の遮蔽物であるBMモザイク242が形成されている。BMモザイク242はBMホールの中央部に形成され、BMストライプ241はBMホールの周辺に形成される。BMホールの中心部がBMホールの周辺部よりも透過率が大きいことは赤蛍光体21の場合と同じである。ただし、青蛍光体23に対する遮蔽の率は赤蛍光体21に対する遮蔽の率よりも小さい。すなわち、青蛍光体23のほうが赤蛍光体21よりも透過率が大きい。緑蛍光体22が形成されるBMホールにはBMストライプ241もBMモザイク242も形成されていない。このような構成とすることによって、色純度の劣化を伴うことなく、白色色温度を9300Kに近づけることが出来る。
【0070】
本実施例においてはBMホールの中心にBMモザイク242を、BMホールの周辺にBMストライプ241を設けた。しかし、本発明の目的を達するためにはこのような構成に限定される必要が無いことは言うまでもない。すなわち、本実施例では、BMホールの周辺よりもBMホールの中央部において透過率を上げることが目的である。このために、たまたま、BMホールの中央部にBMモザイク242、周辺部にBMストライプ241を形成したものである。BMストライプ241のほうがBMモザイク242よりも透過率を大きくした場合はBMホールの中心部にBMストライプ241を配置し、周辺にBMモザイク242を配置する構成でもよい。さらには、BMホールの中央部と周辺でパターンをかえずに、例えば、BMストライプ241のみを使用して、BMストライプ241の幅あるいはピッチをBMホールの中心と周辺とで変えても良い。また、BMモザイク242をBMホールの中央部と周辺部に形成し、モザイクの密度をBMホールの中央と周辺とで変化させても良い。
【0071】
以上は赤蛍光体用のBMホールと青蛍光体用のBMホールの双方に遮蔽物を形成する場合を説明した。所望の白色色温度によっては必ずしも赤蛍光体21と青蛍光体23の部分のBMホールに遮蔽物を設ける必要がない場合もある。この場合は赤蛍光体21のみにBM遮蔽物を形成して、青蛍光体23と緑蛍光体22のBMホールには遮蔽物と設けない場合もありうる。
【0072】
図15は本実施例の第2の実施形態を示す蛍光面の模式図である。図15において、赤、緑、青の各蛍光体の幅は等しく、また、赤、緑、青の各蛍光体の間のBM幅も一定である。したがって、各蛍光体の間のピッチは等しい。蛍光体の間のピッチが等しければ対応するカソード基板1の電子源14のピッチ、ひいてはデータ信号線のピッチ等も等しくなる。
【0073】
図15において、赤蛍光体21が形成されるBMホールにはストライプ状の遮蔽体であるBMストライプ241とモザイク状の遮蔽体であるBMモザイク242が形成されている。本実施形態においても、BMホールの中心部の透過率が大きく、BMホールの周辺部の透過率が小さいことは実施形態1と同じてある。そしてBM遮蔽物の形成方法も実施形態1と同様である。本実施形態が実施形態1と異なるところは、BMホールの周辺に形成されるBMストライプ241が横方向に形成されていることである。
【0074】
他色打ちは蛍光体の縦方向ではなく横方向で生ずる。したがって、横方向からの隣の電子ビーム15によれ他色打ちが問題である。本実施形態のように、BMホール内のBMストライプ241が横線であれば、他色打ちが起こった場合でも、多色打ちの影響は急激に生ずるのではなく、連続的な影響とすることが出来る。
【0075】
図15において、青蛍光体23のBMホールにも周辺にBMストライプ241、中央部にBMモザイク242が形成されている。そしてBMホールの中央部が周辺よりも透過率が高いことは赤蛍光体21の場合と同じである。青蛍光体23のBMホールの遮蔽率は赤蛍光体21のBMホールの遮蔽率よりも小さい。逆に言えば、赤蛍光体21のBMホールの透過率が青蛍光体23のBMホールの透過率よりも小さい。また、緑蛍光体22のBMホールには遮蔽物は設けられていない。これによって白色色温度を9300Kに設定することができる。なお、色温度を正確に9300kにしなくとも、9300Kに近づければよい場合は、青蛍光体23のBMホールへの遮蔽物の形成は行わず、赤蛍光体21のBMホールのみ遮蔽物を形成してもよい。
【0076】
以上の説明はBMホール周辺に横方向のBMストライプ241を形成し、BMホールの中心にBMモザイク242を形成してBMホールの中心の透過率をBMホールの周辺の透過率よりも大きくした。しかし、実施形態1において述べたように、本発明の目的を達するためにはこのような構成に限定される必要が無いことは言うまでもない。すなわち、本実施例では、BMホールの周辺よりもBMホールの中央部において透過率を上げることが目的である。このために、たまたま、BMホールの中央部にBMモザイク242、周辺部にBMストライプ241を形成したものである。BMストライプ241のほうがBMモザイク242よりも透過率を大きくした場合はBMホールの中心部にBMストライプ241を配置し、周辺にBMモザイク242を配置する構成でもよい。さらには、BMホールの中央部と周辺でパターンをかえずに、例えば、BMストライプ241のみを使用して、BMストライプ241の幅あるいはピッチをBMホールの中心と周辺とで変えても良い。また、BMモザイク242をBMホールの中央部と周辺部に形成し、モザイクの密度をBMホールの中央と周辺とで変化させても良い。
【0077】
以上のように本発明によれば、色純度の劣化を抑えつつ、NTSC標準の白色色温度である9300K、あるいは、所望の白色色温度を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施例1を示す平面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】図1のB−B断面図である。
【図5】図1のC−C断面図である。
【図6】蛍光面の平面模式図である。
【図7】FEDの断面模式図である。
【図8】他色打ちを示す平面模式図である。
【図9】他色打ちを示す断面模式図である。
【図10】実施例1の蛍光面の平面模式図である。
【図11】実施例1の第2の形態の蛍光面の平面模式図である。
【図12】実施例1の第3の形態の蛍光面の平面模式図である。
【図13】実施例1の第4の形態の蛍光面の平面模式図である。
【図14】実施例2の蛍光面の平面模式図である。
【図15】実施例2の第2の形態の蛍光面の平面模式図である。
【符号の説明】
【0079】
1・・・カソード基板、2・・・アノード基板、3・・・封着部、4・・・スペーサ、5・・・端子、6・・・排気基板、7・・・排気基板封着部、8・・・排気管、11・・・走査線、12・・・データ信号線、13・・・絶縁膜、14・・・電子源、15・・・電子ビーム、21・・・赤蛍光体、22・・・緑蛍光体、23・・・青蛍光体、24・・・ブラックマトリクス(BM)、25・・・メタルバック、26・・・アノード端子、50・・・コンタクトスプリング、60・・・高電圧導入ボタン、81・・・排気孔、241・・・BMストライプ、242・・・BMモザイク
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部を真空にし、背面基板に電子源をマトリクス状に配置し、前面基板に対応する蛍光体を配置したフラット型表示装置に係り、特に白色を表示したときの色温度および、白色の均一性に関する。
【背景技術】
【0002】
高輝度、高精細に優れたディスプレイデバイスとして、従来からカラー陰極線管が広く用いられている。しかし、省スペース、軽量等の観点から平面型画像表示装置の需要が拡大している。液晶表示装置、プラズマ表示装置等は30インチ以上の大画面としてもそれほど大きな重量にならないこと等から、TV等の大型表示装置の分野で需要が拡大している。
【0003】
一方、2枚のガラス基板に挟まれた内部を真空にして、一方の基板上に電子源をマトリクス状に配置し、対向基板に蛍光体を配置したいわゆるフィールドエミッションディスプレイ(以後FEDという)の開発が進んでいる。FEDは電子源からの電子が蛍光体に射突して発光することによって画像を形成するもので、明るさ、コントラスト、動画特性等でブラウン管並の優れた性能を得ることが出来るので、将来のTV用ディスプレイとして期待されている。
【0004】
FEDの問題点の一つとして白色を表示したときの色温度の問題がある。FEDの蛍光面構造は、赤、緑、青の蛍光体をマトリクス状に形成し、この赤、緑、青の蛍光体の間をブラックマトリクス(BM)によって充填または遮蔽している。逆にいえば、蛍光面全面にブラックマトリクスを形成し、このブラックマトリクスのホールに赤、緑、青の蛍光体を充填、または、ブラックマトリクスパターン上にまたがって赤、緑、青の蛍光体をパターニングしている。従来技術では、この赤、緑、青の蛍光体の大きさは同一である。
【0005】
しかし、このような蛍光面構造では、NTSC標準白色の色温度9300Kを出すことは困難である。すなわち、赤、緑、青の蛍光体の発光効率が異なるために、色温度9300Kを出そうとすると、相対的には緑色の発光が不足する。したがって、赤、緑、青の蛍光体を同一の大きさに形成すると、全体的にはマゼンタ系の白色となる。このときの色温度は例えば、4500Kである。
【0006】
この問題を対策する従来技術として、「特許文献1」があげられる。特許文献1には、所定の色バランスを得るために、赤および青の蛍光体の面積を緑の蛍光体の面積よりも小さくすることが記載されている。具体的には、赤および青の蛍光体の長径を緑の蛍光体の長径よりも小さくすること、あるいは、赤および青の蛍光体を分割して遮蔽部を設けることによって赤および青の蛍光体の面積を緑の蛍光体の面積よりも相対的に小さくすること等が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2006−73386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、「特許文献1」に記載の技術では、色温度を所定の温度にするために緑の蛍光体の面積を大きくする等の必要があるために、蛍光体間のブラックマトリクスの幅が異なってくるために色純度が劣化するという問題点がある。また、「特許文献1」に記載の他の技術では例えば、赤蛍光体を中央で分割して、左右面積の等しい2個の蛍光体とし、赤蛍光体の面積を小さくすることによって色温度を合わせる技術が記載されている。しかし、この技術では電子ビーム密度の最も大きい蛍光体の中央部付近において遮蔽体であるブラックマトリクスが形成されるので、電子ビームの利用効率が下がり、表示装置の明るさとともに、色純度の劣化が問題になる。
【0009】
以上のように、FEDにおいて従来の技術によって所定の色温度を得ようとすると色純度の劣化の問題、画面明るさの低下の問題が生ずる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述した従来の課題を解決するためになされたもので、赤または青の蛍光体の領域内にブラックマトリクスによる遮蔽物を形成し、明るさの低下を最低限におさえつつ色温度の調整を行うものである。具体的な手段は次のとおりである。
【0011】
(1)電子源がマトリクス状に形成されたカソード基板と、前記カソード基板と対向し、アノード電圧が印加され、前記電子源と対応する場所に蛍光体が形成されたアノード基板を備え、内部が真空に保持される表示装置であって、前記アノード基板にはブラックマトリクスが形成され、ブラックマトリクスの開口部には赤蛍光体、緑蛍光体、青蛍光体が並んで配置され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる複数のストライプが形成されていることを特徴とする表示装置。
(2)前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内の中央には前記ブラックマトリクスによるストライプが形成されていないことを特徴とする(1)に記載の表示装置。
(3)前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる複数のストライプが形成されていることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
(4)前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率より小さいことを特徴とする(1)に記載の表示装置。
(5)前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記開口部の中央部のほうが前記開口部の周辺部よりも大きいことを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0012】
(6)電子源がマトリクス状に形成されたカソード基板と、前記カソード基板と対向し、アノード電圧が印加され、前記電子源と対応する場所に蛍光体が形成されたアノード基板を備え、内部が真空に保持される表示装置であって、前記アノード基板にはブラックマトリクスが形成され、ブラックマトリクスの開口部には赤蛍光体、緑蛍光体、青蛍光体が並んで配置され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる遮蔽物が形成され、前記遮蔽物のパターンは前記開口部中央と前記開口部周辺とで異なっていることを特徴とする表示装置。
(7)前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクス開口部の周辺部には遮蔽物としてブラックマトリクスによる複数のストライプが形成され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクス開口部の中央部には遮蔽物としてブラックマトリクスによるモザイクパターンが形成されていることを特徴とする(6)に記載の表示装置。
(8)前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる遮蔽物が形成され、前記遮蔽物のパターンは前記開口部中央と前記開口部周辺とで異なり、開口部の透過率は前記開口部中央において、前記開口部周辺よりも透過率が大きいことを特徴とする(6)に記載の表示装置。
(9)前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率より小さいことを特徴とする(6)に記載の表示装置。
(10)前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記開口部中央のほうが前記開口部周辺よりも大きいことを特徴とする(6)に記載の表示装置。
【0013】
(11)電子源がマトリクス状に形成されたカソード基板と、前記カソード基板と対向し、アノード電圧が印加され、前記電子源と対応する場所に蛍光体が形成されたアノード基板を備え、内部が真空に保持される表示装置であって、前記アノード基板にはブラックマトリクスが形成され、ブラックマトリクスの開口部には赤蛍光体、緑蛍光体、青蛍光体が並んで配置され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる遮蔽物が形成され、前記赤蛍光体用のブラックマトリクス開口部の透過率は該開口部の中央部と周辺部で等しいか、中央部が周辺部より大きいことを特徴とする表示装置。
(12)前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる遮蔽物が形成され、前記青蛍光体用のブラックマトリクス開口部の透過率は該開口部の中央と周辺で等しいか、中央部が周辺部より大きいことを特徴とする(11)に記載の表示装置。
(13)前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率より小さいことを特徴とする(11)に記載の表示装置。
(14)前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の中央部に形成される前記遮蔽物のパターンと前記開口部の周辺部に形成される遮蔽物のバターンとは同じパターンであることを特徴とする(11)に記載の表示装置。
【0014】
(15)電子源がマトリクス状に形成されたカソード基板と、前記カソード基板と対向し、アノード電圧が印加され、前記電子源と対応する場所に蛍光体が形成されたアノード基板を備え、内部が真空に保持される表示装置であって、前記アノード基板にはブラックマトリクスが形成され、ブラックマトリクスの開口部には赤蛍光体、緑蛍光体、青蛍光体が並んで配置され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる複数の遮蔽物が形成されていることを特徴とする表示装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によって色純度を低下させることなく、また、画面輝度の明るさの低下を最低限におさえつつ所定の色温度を得ることができる。本発明の手段ごとの効果は次のとおりである。
【0016】
手段(1)によれば、赤蛍光体のBMホール内に複数のストライプを形成するので、BMホール内の透過率を制御して色純度を劣化させることなく白色色温度の調整をすることができる。
【0017】
手段(2)によれば、赤蛍光体のBMホールの中央にはBMストライプが形成されていないのでBMホールの中央部の透過率をBMホールの周辺部よりも透過率を大きくすることが出来る。したがって、色純度の劣化を最小限に保ちながら、白色色温度の制御をすることが出来る。
【0018】
手段(3)によれば、青蛍光体のBMホールにも複数のBMストライプが形成されているので、白色色温度を9300Kに設定することが容易となる。
【0019】
手段(4)によれば、赤蛍光体のBMホールの透過率が青蛍光体のBMホールの透過率よりも小さいために、白色色温度を9300Kに設定することが容易となる。
【0020】
手段(5)によれば、赤蛍光体のBMホールはBMホールの中央部では透過率が大きくBMホールの周辺部は透過率が小さいために色純度の劣化を最低限にとどめながら白色色温度を9300Kに近づけることが出来る。
【0021】
手段(6)によれば、赤蛍光体のBMホールには周辺部と中央部とで異なった遮蔽パターンが形成されるためにBMホールの透過率をBMホール中央部と周辺とで、容易に差をつけることが出来る。
【0022】
手段(7)によれば、赤蛍光体のBMホールの周辺に複数のストライプを形成し、中央部にモザイクパターンを形成するので、BMホールの中央と周辺とで透過率の差をつけることが容易となる。
【0023】
手段(8)によれば、青蛍光体のBMホールにもホール中央とホール周辺とで遮蔽パターンを異ならせるので、BMホールの中央部と周辺部とで透過率の差を容易につけることが出来る。
【0024】
手段(9)によれば、赤蛍光体のBMホールの透過率は青蛍光体のBMホールの透過率よりも小さいので、白色色温度を9300Kに設定することが容易となる。
【0025】
手段(10)によれば、赤蛍光体のBMホールの遮蔽パターンをBMホール中央部と周辺部とで異ならせ、赤蛍光体のBMホールの中央部の透過率がBMホールの周辺部の透過率よりも大きくするために、色純度の劣化を最低限にとどめながら、白色色温度を制御することが出来る。
【0026】
手段(11)によれば、赤蛍光体が形成されるBMホールの透過率をBMホールの中央部で大きく、BMホールの周辺部で小さくしたので、色純度の劣化を最低限におさえつつ、白色色温度を制御することが出来る。
【0027】
手段(12)によれば、赤蛍光体が形成されるBMホールの透過率をBMホールの中央部で大きく、BMホールの周辺部で小さくしたので、色純度の劣化を最低限におさえつつ、白色色温度を9300Kに近づけることが出来る。
【0028】
手段(13)によれば、赤蛍光体のBMホールの透過率は青蛍光体のBMホールの透過率よりも小さいので、白色色温度を9300Kに容易に近づけることが出来る。
【0029】
手段(14)によれば、赤蛍光体のBMホールには同じパターンの遮蔽物が形成されているので、BMホール内の遮蔽物の形成を単純化することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の最良の形態を実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0031】
図1は本発明の第1の実施例を示す平面図である。図1において、カソード基板1の上には封着部3を介してアノード基板2が設置されている。カソード基板上には横方向には走査線11が、縦方向にはデータ信号線12が延在している。走査線11には走査線端子51から、データ信号線12にはデータ信号線端子52を介して外部から信号が供給される。走査線11とデータ信号線12の交差部付近には電子源が配置されている。したがって、多数の電子源がマトリクス状に配列されている。電子源としては、いわゆるMIM方式、SID方式、Spindt方式等種々のもが開発されているが、いずれの電子源も本発明に適用可能である。本実施例では電子源の例としてMIM方式の電子源を用いている。
【0032】
カソード基板1とアノード基板2と周辺を囲む封着部3の内部は真空に保たれる。したがって、大気圧によってアノード基板2、カソード基板1が撓み、カソード基板1とアノード基板2の間隔が確保できなくなる。あるいは、カソード基板1またはアノード基板2が破壊してしまう。これを避けるために、カソード基板1とアノード基板2との間にスペーサ4が設置される。このスペーサ4はセラミックスまたはガラスで形成され、画像形成の妨げにならないように一般的には走査線上に設置される。
【0033】
アノード基板上には電子ビーム15の射突によって光を発する赤、緑、青の蛍光体が電子源に対応して形成されている。蛍光体の周囲にはブラックマトリクス(BM)が形成されており、画像のコントラスを向上させる。ブラックマトリクス24を覆ってAlによるメタルバクが形成されている。メタルバック25には高電圧が印加され、カソードから出射する電子ビーム15を加速して赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23に射突させる。
【0034】
電子ビーム15によって蛍光体から光を発生させるためには電子ビーム15はある程度のエネルギーをもっていなければならないので、アノード基板2のメタルバック25には8KVから10KVの高電圧が印加される。本実施例では外部から高電圧を供給するための高電圧導入端子はカソード基板側に設けられ、コンタクトスプリングを介してアノード基板2に高電圧が供給される。図1おいて、コンタクトスプリングとアノード基板2が接触するアノード端子が表示装置のコーナー部に形成されている。表示装置の内部は真空に保たなければならないので、図1における表示装置のコーナー部に排気のための排気孔81が形成されている。
【0035】
図2は図1をD方向から見た側面図である。図2において、カソード基板1とアノード基板2は封着部3を介して所定の距離を持って対向している。カソード基板1のほうが端子5等が設置される分大きく形成されている。カソード基板1の下には、排気管8、高電圧導入ボタン60を取り付けるための排気基板6が取り付けられている。排気基板6は排気基板封着部7を介してカソード基板1に取り付けられている。図2では排気基板6には表示装置の内部を真空にするための排気管8がチップオフされた状態で描かれている。排気管8の近くに高電圧導入ボタン60が取り付けられている。
【0036】
図3は図1のA−A断面図である。図3において、データ信号線12が紙面と垂直方向に延在している。本実施例ではこのデータ信号線12の上に電子源14が形成されている。絶縁膜13を介して走査線11がデータ信号線12と直角方向に形成されている。図3において、走査線11は封着部3の外部に延在している。走査線11の上にはカソード基板1とアノード基板2との距離を保つためのスペーサ4が設置されている。スペーサ4は固着材41によってカソード基板側では走査線上に、アノード基板側ではメタルバック25に固着されている。このスペーサ4には108から109Ω程度の導電性が与えられ、カソードとアノードとの間にわずかに電流を流すことによってスペーサ4の帯電を防止している。
【0037】
アノード基板側では、電子源14に対応する場所には、赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23が配置され、この赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23は電子ビーム15に射突されることによって発光し、画像が形成される。赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23の間はBM24で充填され、画像のコントラスの向上に寄与する。BM24は例えば、クロムおよび酸化クロムの2層構造になっている。赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23およびBM24を覆ってAlによるメタルバック25が形成されている。メタルバック25には約8KVから10KV程度の高電圧が印加され、電子ビーム15を加速する。加速された電子ビーム15はメタルバック25を突き抜けて赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23に射突し、赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23を発光させる。
【0038】
表示装置の内部を真空に保つために、枠部材31と封着材32によってカソード基板1とアノード基板2がシールされている。カソード基板1の厚さおよびアノード基板2の厚さは3mm程度である。また、カソード基板1とアノード基板2との距離は約2.8mm程度であり、表示装置の内側は高電界となっている。
【0039】
図4は図1のB‐B断面図である。図4において、カソード基板1には通孔10が形成されており、この通孔10を通して表示装置の排気あるいは高電圧の供給が行なわれる。カソード基板1の通孔10を覆って排気基板6が排気基板用封着部7を介して設置され、表示装置の内部を真空に保つ。排気基板用封着部7はカソード基板1とアノード基板2の封着部3と基本的な構成は同じである。すなわち、排気基板用枠体71が封着材32を介してカソード基板1およびアノード基板2と封着されている。
【0040】
高電圧導入ボタン60が封着材32によってカソード基板1にとりつけられ、外部と気密を保っている。この封着材32にはフリットガラスが用いられる。高電圧導入ボタンにはFe−Ni合金が用いられる。Fe−Ni合金の成分比は封着材32と熱膨張係数を合わせるように選定される。高電圧導入ボタン60にはコンタクトスプリング50がスポット溶接される。コンタクトスプリング50はインコネルによって形成されるが、インコネルはFe−Ni合金と容易にスポット溶接を行うことが出来る。
【0041】
コンタクトスプリング50は高電圧導入ボタン60と接続するベース部とアーム部とコンタクト部とから形成されている。コンタクトスプリング50のアーム部が湾曲することによる曲げ応力によって、コンタクトスプリング50のコンタクト部が適切な力によってアノード基板2に形成されたメタルバック25に接触する。本実施例でのコンタクトスプリング50の接触圧は約10gである。コンタクトスプリング50のコンタクト部は球面等の適切な曲面となっており、メタルバック25と安定に接触をとれるように形成されている。コンタクトスプリング50の材料は耐熱性等を考慮してインコネルが使用され、厚さは0.1mmである。
【0042】
アノード基板2にはコンタクトスプリング50と接触するためのアノード端子26が形成されている。アノード端子26には比較的大きな電流が流れるために、信頼性が重要である。本実施例ではアノード端子26部分の構造は次のようになっている。アノード基板上にはクロムと酸化クロムのBM24が形成され、これを覆ってAlによるメタルバック25が形成されている。これは画面の有効面と同じ構成である。本実施例ではメタルバック25の上に、アノード端子26として導電膜が厚さ10μmから30μmで形成される。本実施例では導電膜は銀ペーストを印刷によって塗布し、その後、焼成することによって形成される。この導電膜の焼成は特別なプロセスを設ける必要は無く、例えば、スペーサ4を固着するときの焼成プロセスと同時に行なえばよい。
【0043】
銀ペーストは直径1ミクロンから数μmの銀粒子を粘度の高い有機溶媒に分散させたものである。焼成後、銀粒子同士がつながることによって導電性を持つことになる。導電膜はある程度の抵抗を持ったほうが良い場合もある。このような場合は通常の銀ペーストにさらにフリットガラス用のペーストを混合して抵抗を調整することができる。なお、導電膜の材料としては、銀ペーストに限る必要は無く、Ni粒子を分散させたNiペースト、Al粒子を分散させたAlペースト等を用いることもできる。また、バインダによって結合した黒鉛膜を用いることも出来る。この場合の黒鉛はグラファイトが好適である。黒鉛膜の抵抗は、例えば、黒鉛にベンガラ(酸化鉄)を混合することによって調整することができる。
【0044】
導電膜を10μmから30μmと厚く形成することによって、コンタクトスプリング50と導電膜の接触を安定に行なうことができる。すなわち金属膜であれば、コンタクトスプリング50と金属膜とは点接触となり、この点接触部分に電流が集中して導電膜が破壊する危険が大きいが、本実施例のような導電膜であれば、導電膜とコンタクトスプリング50とは金属膜の場合と比較して接触面積を大きくとることができ、面接触に近い状態となり、接触が安定する。また、本実施例のような導電膜であれば、金属に比べて抵抗が大きいため、コンタクト部に大電流が流れることを抑止することができる。この点からも接触による導通の安定性を向上することが出来る。
【0045】
排気基板6には排気孔81が形成され、この排気孔81には排気管8が封着材32としてのフリットガラスを介して設置される。排気管8を通して表示装置の内部が真空排気され、その後、排気管8はチップオフされて表示装置の内部は真空に保持される。図4は排気管8がチップオフされた状態を示している。
【0046】
図5は図1のC−C断面を示す模式図である。図5において、カソード基板上には横方向にデータ信号線12が延在している。データ信号線12と直角に走査線11が紙面の法線方向に延在している。走査線11は2層構造となっている。配線抵抗を減らすためである。走査線と走査線の間のデータ信号線12の上には電子源14が配置されている。電子源14はデータ信号線12が下部電極となり、トンネル絶縁膜を介して走査線11と電気的に接続する上部電極によって構成される。
【0047】
アノード基板2には赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23が形成されているが、図5においては緑蛍光体22のみが表示されている。蛍光体と蛍光体の間はBM24によって覆われている。蛍光体およびBM24を覆ってAlをスパッタリングすることによって、メタルバック25が形成される。メタルバック25には約8KVから10KVの高電圧であるアノード電圧が印加されている。このアノード電圧によって電子源14から放出された電子ビーム15は加速される。電子源14から放出された電子ビーム15はメタルバック25を突き抜けて赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23に射突することによってカラー画像が形成される。電子ビーム15は電子源14から放出されると広がるが、蛍光面上では、各蛍光体よりも若干大きくなるように設計されている。
【0048】
アノード基板2とカソード基板1の距離を保つために、図3で説明したように、スペーサ4が設置される。スペーサ4はカソード基板上の走査線11とアノード基板上のメタルバック25の間に設置される。この位置であれば、スペーサ4が画像形成の妨げにならない。
【0049】
図6は蛍光面に電子ビーム15が射突している例であり、図7は電子源14からの電子が蛍光面に射突する様子を示した模式図である。図6において、ブラックマトリクス24にホールが形成されており、ホール部分に赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23が形成されている。電子源14から放出された電子ビーム15は蛍光面上では楕円形状となって蛍光体に射突している。図6および図7においては楕円状の電子ビーム15の短径は蛍光体の短径よりも大きい。図6において、赤蛍光体21から赤蛍光体21までのピッチは例えば、0.519mmである。BM24の幅は等しく0.024mmである。一方、蛍光体の長径方向の縦ピッチは0.519mmである。したがって3色の蛍光体を纏めた横ピッチと縦ピッチは等しく0.519mmである。
【0050】
図6は蛍光体と電子ビーム15の中心が一致している例である。実際にはアノード基板2とカソード基板等の位置あわせの誤差等が存在しているために、蛍光体と電子ビーム15の中心はずれる。電子ビーム15の中心をと蛍光体の中心がずれた例を図8および図9に示す。図8および図9は緑蛍光体用の電子ビーム15の中心が緑蛍光体22の中止から赤蛍光体側にずれた例を示す。この結果緑蛍光体用の電子ビーム15の一部が本来射突すべきでない赤蛍光体21の他色打ち部分151に射突している。一方緑蛍光体22には電子ビーム15が射突しない欠け領域152が生じている。図8および図9は緑蛍光体22の場合を例にとって説明したが、赤蛍光体21、青蛍光体23の場合も同様である。
【0051】
図6に示すように、通常は赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23とも同じ寸法である。また、各蛍光体の間のBM24の間隔も同じである。このように、各蛍光体の面積が同じ場合の色温度は4500K程度であり、NTSCの白色9300Kよりも赤方向にシフトした白となっている。これをNTSCの白の色温度に近づけるためには緑の発光強度を強くしなければならない。緑の発光強度を強くする方法として、緑蛍光体用BMのホールの面積、すなわち、緑蛍光体22の面積を大きくする方法がある。しかし、この方法は図8および図9に示したように、他色打ち等による色純度の劣化を生ずる。ずなわち、蛍光体の面積を大きくすれば、蛍光体間のBM24の幅が狭くなり、より他色打ちをしやすくなる。
【0052】
本実施例は色純度の劣化を防止するために、緑蛍光体22の面積を大きくするのではなく、赤または青の蛍光体の内部にBMによる遮蔽部を形成し、赤または青の発光強度を下げることによって白色色温度を9300Kに近づけるものである。図10は本実施例の1形態であり蛍光面の構成を示す模式図である。赤、緑、青の蛍光体の回りはブラックマトリクスが形成されており、本来は黒色であるが、図面がわかりにくくなるので、白抜きとしている。赤、緑、青の各蛍光体の幅は等しく、また、赤、緑、青の各蛍光体の間のBM幅も一定である。したがって、各蛍光体の間のピッチは等しい。蛍光体の間のピッチが等しければ対応する電子源14のピッチ、ひいてはデータ信号線のピッチ等も等しい。
【0053】
図10において、赤蛍光体21が形成されるBMホールにはストライプ状の遮蔽体であるBMストライプ241が形成されている。これは実際にはBM24と同じ物質でBMホールを形成時に同時に形成される。赤蛍光体21はこのストライプ状にBMが形成された部分に被着される。BMのホールおよびストライプは一般には次のようにして形成される。すなわち、酸化クロムとクロムをスパッタリングによってアノード基板全体に被着する。この酸化クロムとクロムの積層膜をフォトエッチングすることによって形成する。フォトエッチングで形成するので、BMのホールだけを形成する場合も、BMホール内にストライプを形成する場合も工程は同じである。
【0054】
BMホール内に形成されたBMストライプ241によって赤蛍光体21から外部への発光面積は小さくなる。逆に赤蛍光体21はBMホール内のBMストライプ241によって分断されるが、この分断の数は3以上である。言い換えれば、BMホール内のBMストライプ241は2本以上とする必要がある。そしてBMホールの中央にはBMストライプ241は形成されないほうが良い。図8および図9で示したように、BMホールの周辺は隣の電子ビーム15によって他色打ちされやすい。したがって、BMホールの周辺は蛍光体の発光面積が小さいほうが、他色打ちした場合の色純度の劣化は小さくて済む。一方、電子ビーム15の密度は一定ではなく、例えば、ガウス分布をしている。そして電子ビーム15の密度は中央でもっとも高い。したがって、BMホールの中央において遮蔽物であるBMストライプ241が無ければ、明るさ低下への影響は小さくなる。BMホール内のストライプをこのように配置することによって色温度の調整をしつつ、色純度の劣化を最小限におさえつつ白色色温度を9300Kに近づけることが出来る。
【0055】
図10において、緑蛍光体22には遮蔽物であるBMストライプ241は形成されていない。緑蛍光体22の発光面積を他の蛍光体に比べて相対的に大きくしたいからである。青蛍光体23には遮蔽対であるBMストライプ241が形成されている。ただし、BMストライプ241の幅は赤蛍光体21におけるBMストライプ241の幅よりも小さい。白色色温度を9300Kに近づけるためには赤蛍光体21の発光を最も抑え、次に青蛍光体23の発光を抑える必要があるからである。したがって、発光面積は緑蛍光体22が最も大きく次いで青蛍光体23、そして、赤蛍光体21がもっとも小さい。
【0056】
以上のように、本実施例によれば、他色打ちによる色純度の劣化をおさえつつ、白色色温度をNTSC標準である9300Kに近づけることができる。また、赤蛍光体21、緑蛍光体22、青蛍光体23の蛍光体間ピッチも一定である。蛍光体間ピッチが一定であれば、各電子源14の間のピッチを一定にすることが出来、ひいては信号線のピッチ等も同じにすることができるので、FEDの特性確保、FEDの製造等が容易になる。
【0057】
以上の例は赤蛍光体21と青蛍光体23の両方にBMによる遮蔽を形成した。しかし、白色色温度をかならずしも9300Kとしなくとも、9300Kに近づけばよいという場合もある。このような場合は、青蛍光体部分に遮蔽物は設けず、赤蛍光体21のみに遮蔽物を設けてもよい。このことは以下に述べる本実施例の他の形態についても同様である。
【0058】
図11は本実施例の第2の形態であり蛍光面の構成を示す模式図である。赤、緑、青の各蛍光体の幅は等しく、また、赤、緑、青の各蛍光体の間のBM幅も一定である。したがって、各蛍光体の間のピッチは等しい。図11において、赤蛍光体21にはストライプ状の遮蔽体であるBMストライプ241が形成されている。これは実際にはBMと同じ物質でBMホールを形成時に同時に形成される。図10と異なるところは、BMストライプ241が縦線ではなく、斜め線となっていることである。BMストライプ241が斜めになっていることによって隣の電子ビーム15が他色打ちをしたときに、その色純度への影響をスムースに変化させることが出来る。また、BMホール内のBMストライプ241の数は2本以上である。
【0059】
本実施形態における斜め方向のBMストライプ241の幅も赤蛍光体21で大きく、青蛍光体23において小さく、緑蛍光体22においては斜めストライプは形成されていない。NTSC標準の白色色温度に合わせるためである。本実施形態における斜めのBMストライプ241の形成も実施形態1で説明したのと同様にして行うことができる。したがって、本実施形態によれば、色純度の劣化を最小限におさえつつ白色色温度をNTSC標準の9330Kに近づけることが出来る。
【0060】
図12は本実施例の第3の形態であり蛍光面の構成を示す模式図である。赤、緑、青の各蛍光体の幅は等しく、また、赤、緑、青の各蛍光体の間のBM幅も一定である。したがって、各蛍光体の間のピッチは等しい。図12において、赤蛍光体21にはストライプ状の遮蔽体であるBMストライプ241が形成されている。これは実際にはBMと同じ物質でBMホールを形成時に同時に形成される。図10と異なるところは、BMホール内のBMストライプ241が縦線ではなく、横線となっていることである。
【0061】
他色打ちは蛍光体の縦方向ではなく横方向で生ずる。したがって、横方向からの隣の電子ビーム15による他色打ちが問題である。本実施形態のように、BMホール内のBMストライプ241が横線であれば、他色打ちが起こった場合でも、多色打ちの影響は段階的ではなく、連続的な影響とすることが出来る。本実施形態においてもBMホール内のBMストライプ241の数は2個以上である。そして、BMホール中央部ではBMストライプ241は存在しないほうが良い。
【0062】
本実施形態におけるBMホール内の横方向のBMストライプ241の幅も赤蛍光体21で大きく、青蛍光体23において小さく、緑蛍光体22においてはBMストライプ241は形成されていない。NTSC標準の白色色温度に合わせるためである。本実施形態におけるBMホール内の横方向のBMストライプ241の形成も実施形態1で説明したのと同様にして行うことができる。したがって、本実施形態によれば、色純度の劣化を最小限におさえつつ白色色温度をNTSC標準の9300Kに近づけることが出来る。
【0063】
図13は本実施例の第4の形態であり蛍光面の構成を示す模式図である。赤、緑、青の各蛍光体の幅は等しく、また、赤、緑、青の各蛍光体の間のBM幅も一定である。したがって、各蛍光体の間のピッチは等しい。図13において、赤蛍光体21にはモザイク状の遮蔽体が形成されている。本実施形態における遮蔽体は実施形態1から3の場合と異なり、モザイク状である。本実施形態におけるモザイク状の遮蔽体(BMモザイク)もBMと同一物質で同一のプロセスで形成される。形成方法は実施形態1で述べたと同様であり、実施形態とはフォトマスクが異なるだけである。
【0064】
BMホール内の遮蔽体をモザイク状としたことで、隣の電子ビーム15が他色打ちをした場合でも他色打ちの影響は段階的ではなく、連続的なものにすることが出来る。BMホール中のBMモザイク242の全面積は白色色温度をどの程度にするかによって決められる。BMモザイク242の全面積が同一であれば、各モザイクの面積を小さくしてモザイクピッチを小さくしたほうが他色打ちが生じた場合の影響を連続的にできるという点で有利である。
【0065】
本実施形態におけるBMホール中のBMモザイク242の面積も赤蛍光体21で大きく、青蛍光体23において小さく、緑蛍光体22においてはBMモザイク242は形成されていない。NTSC標準の白色色温度に合わせるためである。したがって、本実施形態によれば、色純度の劣化を最小限におさえつつ白色色温度をNTSC標準の9330Kに近づけることが出来る。
【実施例2】
【0066】
図14は本発明の第2の実施例を示す蛍光面の模式図である。本実施例も色純度の劣化を防止するために、緑蛍光体22の面積を大きくするのではなく、赤または青の蛍光体の内部にBMによる遮蔽部を形成し、赤または青の発光強度を下げることによって白色色温度を9300Kに近づけるものである。図14において、赤、緑、青の各蛍光体の幅は等しく、また、赤、緑、青の各蛍光体の間のBM幅も一定である。したがって、各蛍光体の間のピッチは等しい。蛍光体の間のピッチが等しければ対応するカソード基板1の電子源14のピッチ、ひいてはデータ信号線のピッチ等も等しい。
【0067】
図14において、赤蛍光体21が形成されるBMホールにはストライプ状の遮蔽体であるBMストライプ241とモザイク状の遮蔽体であるBMモザイク242が形成されている。BMホールの中央部にはBMモザイク242が形成され、BMホールの周辺にはBMストライプ241が形成されている。BMモザイク242のほうがBMストライプ241よりも透過率が大きい。すなわち、BMホールの中央部のほうがBMホールの周辺部よりも透過率が大きい。これは次のような理由による。
【0068】
図8および図9で示したように、BMホールの周辺は隣の電子ビーム15によって他色打ちされやすい。したがって、BMホールの周辺はBM透過率が小さいほうが、他色打ちした場合の色純度の劣化は小さくて済む。一方、電子ビーム15の密度は一定ではなく、例えば、ガウス分布をしている。そして電子ビーム15の密度は中央でもっとも高い。したがって、他色打ちがあった場合でもBMホールの周辺部においてBM透過率が小さければ、他色打ちによる色純度の劣化は軽減することが出来る。一方、赤蛍光体21からの発光を抑制するための遮蔽はBMホールのどこで行っても良い。したがって、本実施例のようにBMホールの周辺よりもBMホールの中央部でBMの透過率を上げることによって、多色打ちによる色純度の劣化を生ずることなく、効果的に色温度の調整を行うことが出来る。
【0069】
図14において、青蛍光体23が形成されるBMホールにもストライプ状の遮蔽物であるBMストライプ241とモザイク状の遮蔽物であるBMモザイク242が形成されている。BMモザイク242はBMホールの中央部に形成され、BMストライプ241はBMホールの周辺に形成される。BMホールの中心部がBMホールの周辺部よりも透過率が大きいことは赤蛍光体21の場合と同じである。ただし、青蛍光体23に対する遮蔽の率は赤蛍光体21に対する遮蔽の率よりも小さい。すなわち、青蛍光体23のほうが赤蛍光体21よりも透過率が大きい。緑蛍光体22が形成されるBMホールにはBMストライプ241もBMモザイク242も形成されていない。このような構成とすることによって、色純度の劣化を伴うことなく、白色色温度を9300Kに近づけることが出来る。
【0070】
本実施例においてはBMホールの中心にBMモザイク242を、BMホールの周辺にBMストライプ241を設けた。しかし、本発明の目的を達するためにはこのような構成に限定される必要が無いことは言うまでもない。すなわち、本実施例では、BMホールの周辺よりもBMホールの中央部において透過率を上げることが目的である。このために、たまたま、BMホールの中央部にBMモザイク242、周辺部にBMストライプ241を形成したものである。BMストライプ241のほうがBMモザイク242よりも透過率を大きくした場合はBMホールの中心部にBMストライプ241を配置し、周辺にBMモザイク242を配置する構成でもよい。さらには、BMホールの中央部と周辺でパターンをかえずに、例えば、BMストライプ241のみを使用して、BMストライプ241の幅あるいはピッチをBMホールの中心と周辺とで変えても良い。また、BMモザイク242をBMホールの中央部と周辺部に形成し、モザイクの密度をBMホールの中央と周辺とで変化させても良い。
【0071】
以上は赤蛍光体用のBMホールと青蛍光体用のBMホールの双方に遮蔽物を形成する場合を説明した。所望の白色色温度によっては必ずしも赤蛍光体21と青蛍光体23の部分のBMホールに遮蔽物を設ける必要がない場合もある。この場合は赤蛍光体21のみにBM遮蔽物を形成して、青蛍光体23と緑蛍光体22のBMホールには遮蔽物と設けない場合もありうる。
【0072】
図15は本実施例の第2の実施形態を示す蛍光面の模式図である。図15において、赤、緑、青の各蛍光体の幅は等しく、また、赤、緑、青の各蛍光体の間のBM幅も一定である。したがって、各蛍光体の間のピッチは等しい。蛍光体の間のピッチが等しければ対応するカソード基板1の電子源14のピッチ、ひいてはデータ信号線のピッチ等も等しくなる。
【0073】
図15において、赤蛍光体21が形成されるBMホールにはストライプ状の遮蔽体であるBMストライプ241とモザイク状の遮蔽体であるBMモザイク242が形成されている。本実施形態においても、BMホールの中心部の透過率が大きく、BMホールの周辺部の透過率が小さいことは実施形態1と同じてある。そしてBM遮蔽物の形成方法も実施形態1と同様である。本実施形態が実施形態1と異なるところは、BMホールの周辺に形成されるBMストライプ241が横方向に形成されていることである。
【0074】
他色打ちは蛍光体の縦方向ではなく横方向で生ずる。したがって、横方向からの隣の電子ビーム15によれ他色打ちが問題である。本実施形態のように、BMホール内のBMストライプ241が横線であれば、他色打ちが起こった場合でも、多色打ちの影響は急激に生ずるのではなく、連続的な影響とすることが出来る。
【0075】
図15において、青蛍光体23のBMホールにも周辺にBMストライプ241、中央部にBMモザイク242が形成されている。そしてBMホールの中央部が周辺よりも透過率が高いことは赤蛍光体21の場合と同じである。青蛍光体23のBMホールの遮蔽率は赤蛍光体21のBMホールの遮蔽率よりも小さい。逆に言えば、赤蛍光体21のBMホールの透過率が青蛍光体23のBMホールの透過率よりも小さい。また、緑蛍光体22のBMホールには遮蔽物は設けられていない。これによって白色色温度を9300Kに設定することができる。なお、色温度を正確に9300kにしなくとも、9300Kに近づければよい場合は、青蛍光体23のBMホールへの遮蔽物の形成は行わず、赤蛍光体21のBMホールのみ遮蔽物を形成してもよい。
【0076】
以上の説明はBMホール周辺に横方向のBMストライプ241を形成し、BMホールの中心にBMモザイク242を形成してBMホールの中心の透過率をBMホールの周辺の透過率よりも大きくした。しかし、実施形態1において述べたように、本発明の目的を達するためにはこのような構成に限定される必要が無いことは言うまでもない。すなわち、本実施例では、BMホールの周辺よりもBMホールの中央部において透過率を上げることが目的である。このために、たまたま、BMホールの中央部にBMモザイク242、周辺部にBMストライプ241を形成したものである。BMストライプ241のほうがBMモザイク242よりも透過率を大きくした場合はBMホールの中心部にBMストライプ241を配置し、周辺にBMモザイク242を配置する構成でもよい。さらには、BMホールの中央部と周辺でパターンをかえずに、例えば、BMストライプ241のみを使用して、BMストライプ241の幅あるいはピッチをBMホールの中心と周辺とで変えても良い。また、BMモザイク242をBMホールの中央部と周辺部に形成し、モザイクの密度をBMホールの中央と周辺とで変化させても良い。
【0077】
以上のように本発明によれば、色純度の劣化を抑えつつ、NTSC標準の白色色温度である9300K、あるいは、所望の白色色温度を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施例1を示す平面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】図1のB−B断面図である。
【図5】図1のC−C断面図である。
【図6】蛍光面の平面模式図である。
【図7】FEDの断面模式図である。
【図8】他色打ちを示す平面模式図である。
【図9】他色打ちを示す断面模式図である。
【図10】実施例1の蛍光面の平面模式図である。
【図11】実施例1の第2の形態の蛍光面の平面模式図である。
【図12】実施例1の第3の形態の蛍光面の平面模式図である。
【図13】実施例1の第4の形態の蛍光面の平面模式図である。
【図14】実施例2の蛍光面の平面模式図である。
【図15】実施例2の第2の形態の蛍光面の平面模式図である。
【符号の説明】
【0079】
1・・・カソード基板、2・・・アノード基板、3・・・封着部、4・・・スペーサ、5・・・端子、6・・・排気基板、7・・・排気基板封着部、8・・・排気管、11・・・走査線、12・・・データ信号線、13・・・絶縁膜、14・・・電子源、15・・・電子ビーム、21・・・赤蛍光体、22・・・緑蛍光体、23・・・青蛍光体、24・・・ブラックマトリクス(BM)、25・・・メタルバック、26・・・アノード端子、50・・・コンタクトスプリング、60・・・高電圧導入ボタン、81・・・排気孔、241・・・BMストライプ、242・・・BMモザイク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子源がマトリクス状に形成されたカソード基板と、前記カソード基板と対向し、アノード電圧が印加され、前記電子源と対応する場所に蛍光体が形成されたアノード基板を備え、内部が真空に保持される表示装置であって、
前記アノード基板にはブラックマトリクスが形成され、ブラックマトリクスの開口部には赤蛍光体、緑蛍光体、青蛍光体が並んで配置され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる複数のストライプが形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内の中央には前記ブラックマトリクスによるストライプが形成されていないことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる複数のストライプが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率より小さいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記開口部の中央部のほうが前記開口部の周辺部よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
電子源がマトリクス状に形成されたカソード基板と、前記カソード基板と対向し、アノード電圧が印加され、前記電子源と対応する場所に蛍光体が形成されたアノード基板を備え、内部が真空に保持される表示装置であって、
前記アノード基板にはブラックマトリクスが形成され、ブラックマトリクスの開口部には赤蛍光体、緑蛍光体、青蛍光体が並んで配置され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる遮蔽物が形成され、前記遮蔽物のパターンは前記開口部中央と前記開口部周辺とで異なっていることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクス開口部の周辺部には遮蔽物としてブラックマトリクスによる複数のストライプが形成され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクス開口部の中央部には遮蔽物としてブラックマトリクスによるモザイクパターンが形成されていることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる遮蔽物が形成され、前記遮蔽物のパターンは前記開口部中央と前記開口部周辺とで異なり、開口部の透過率は前記開口部中央において前記開口部周辺よりも透過率が大きいことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率より小さいことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項10】
前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記開口部中央のほうが前記開口部周辺よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項11】
電子源がマトリクス状に形成されたカソード基板と、前記カソード基板と対向し、アノード電圧が印加され、前記電子源と対応する場所に蛍光体が形成されたアノード基板を備え、内部が真空に保持される表示装置であって、
前記アノード基板にはブラックマトリクスが形成され、ブラックマトリクスの開口部には赤蛍光体、緑蛍光体、青蛍光体が並んで配置され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる遮蔽物が形成され、前記赤蛍光体用のブラックマトリクス開口部の透過率は該開口部の中央部と周辺部で等しいか、中央部が周辺部より大きいことを特徴とする表示装置。
【請求項12】
前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる遮蔽物が形成され、前記青蛍光体用のブラックマトリクス開口部の透過率は該開口部の中央と周辺で等しいか、中央部が周辺部より大きいことを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率より小さいことを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【請求項14】
前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の中央部に形成される前記遮蔽物のパターンと前記開口部の周辺部に形成される遮蔽物のバターンとは同じパターンであることを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【請求項15】
電子源がマトリクス状に形成されたカソード基板と、前記カソード基板と対向し、アノード電圧が印加され、前記電子源と対応する場所に蛍光体が形成されたアノード基板を備え、内部が真空に保持される表示装置であって、
前記アノード基板にはブラックマトリクスが形成され、ブラックマトリクスの開口部には赤蛍光体、緑蛍光体、青蛍光体が並んで配置され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる複数の遮蔽物が形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項1】
電子源がマトリクス状に形成されたカソード基板と、前記カソード基板と対向し、アノード電圧が印加され、前記電子源と対応する場所に蛍光体が形成されたアノード基板を備え、内部が真空に保持される表示装置であって、
前記アノード基板にはブラックマトリクスが形成され、ブラックマトリクスの開口部には赤蛍光体、緑蛍光体、青蛍光体が並んで配置され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる複数のストライプが形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内の中央には前記ブラックマトリクスによるストライプが形成されていないことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる複数のストライプが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率より小さいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記開口部の中央部のほうが前記開口部の周辺部よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
電子源がマトリクス状に形成されたカソード基板と、前記カソード基板と対向し、アノード電圧が印加され、前記電子源と対応する場所に蛍光体が形成されたアノード基板を備え、内部が真空に保持される表示装置であって、
前記アノード基板にはブラックマトリクスが形成され、ブラックマトリクスの開口部には赤蛍光体、緑蛍光体、青蛍光体が並んで配置され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる遮蔽物が形成され、前記遮蔽物のパターンは前記開口部中央と前記開口部周辺とで異なっていることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクス開口部の周辺部には遮蔽物としてブラックマトリクスによる複数のストライプが形成され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクス開口部の中央部には遮蔽物としてブラックマトリクスによるモザイクパターンが形成されていることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる遮蔽物が形成され、前記遮蔽物のパターンは前記開口部中央と前記開口部周辺とで異なり、開口部の透過率は前記開口部中央において前記開口部周辺よりも透過率が大きいことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率より小さいことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項10】
前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記開口部中央のほうが前記開口部周辺よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項11】
電子源がマトリクス状に形成されたカソード基板と、前記カソード基板と対向し、アノード電圧が印加され、前記電子源と対応する場所に蛍光体が形成されたアノード基板を備え、内部が真空に保持される表示装置であって、
前記アノード基板にはブラックマトリクスが形成され、ブラックマトリクスの開口部には赤蛍光体、緑蛍光体、青蛍光体が並んで配置され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる遮蔽物が形成され、前記赤蛍光体用のブラックマトリクス開口部の透過率は該開口部の中央部と周辺部で等しいか、中央部が周辺部より大きいことを特徴とする表示装置。
【請求項12】
前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる遮蔽物が形成され、前記青蛍光体用のブラックマトリクス開口部の透過率は該開口部の中央と周辺で等しいか、中央部が周辺部より大きいことを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率は前記青蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の透過率より小さいことを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【請求項14】
前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部の中央部に形成される前記遮蔽物のパターンと前記開口部の周辺部に形成される遮蔽物のバターンとは同じパターンであることを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【請求項15】
電子源がマトリクス状に形成されたカソード基板と、前記カソード基板と対向し、アノード電圧が印加され、前記電子源と対応する場所に蛍光体が形成されたアノード基板を備え、内部が真空に保持される表示装置であって、
前記アノード基板にはブラックマトリクスが形成され、ブラックマトリクスの開口部には赤蛍光体、緑蛍光体、青蛍光体が並んで配置され、前記赤蛍光体の形成されるブラックマトリクスの開口部内にはブラックマトリクスによる複数の遮蔽物が形成されていることを特徴とする表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−288146(P2008−288146A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134241(P2007−134241)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
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