説明

画像表示装置

【課題】レーザ光が目に入ることを防止できるプロジェクタを提供する。
【解決手段】プロジェクタを制御するCPUが実行する処理は、プロジェクタの電源がオンにされたことを検知するステップ(S410)と、二軸ガルバノミラーの反射方向を調整するための入力を検知するステップ(S420)と、各レーザからの出力を低下する命令をFPGAに送信するステップ(S430)と、各レーザ制御回路によって制御される各レーザに対する信号値を小さく設定するステップ(S440)と、操作パネルに対する操作入力がなくなってから一定時間経過したか否かを判定するステップ(S450)と、操作入力がなくなってから一定時間経過していない場合に処理を一定時間待機するステップ(S460)と、操作入力がなくなってから一定時間経過している場合に各信号値を通常レベルに復帰するステップ(S470)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置に関し、特に、レーザ光で画像を投影する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置の1つであるプロジェクタとして、プロジェクタが知られている。たとえば、特開2006−276446号公報(特許文献1)は、投影部の姿勢が目標姿勢にないときに投影部からの光の出射を抑制できる投影装置を開示している。特開2006−133401号公報(特許文献2)は、人体に画像を照射しても被害を最小限に抑制できるプロジェクタを開示している。特開2004−101622号公報(特許文献3)は、投射光が人の視界に入射する場合に発生する不快感を抑制できるプロジェクタを開示している。さらに、特開2004−341210号公報(特許文献4)は、レーザ光の被曝を低減できるプロジェクタを開示している。
【特許文献1】特開2006−276446号公報
【特許文献2】特開2006−133401号公報
【特許文献3】特開2004−101622号公報
【特許文献4】特開2004−341210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光源としてレーザを使用するプロジェクタが使用される場合、レーザ光が人の目に入る恐れがある。たとえば、特開2004−341210号公報に開示された技術によると、レーザ光の出力中に、人の視界に入る可能性もある。
【0004】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであって、レーザ光が人の目に入ることを防止できる画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、この発明のある局面に従う画像表示装置は、第1のレーザ光を発するように構成された第1の発光手段と、第1のレーザ光の波長と異なる波長を有する第2のレーザ光を発するように構成された第2の発光手段と、第1のレーザ光および第2のレーザ光を反射するように配置された反射手段と、画像表示装置に対する入力を受け付けるように構成された入力手段と、入力に基づいて、反射手段によって反射される光の投影方向または投影面の寸法もしくは形状を調整するように構成された調整手段と、光の投影方向を調整する動作に基づいて、第1の発光手段および第2の発光手段からの各発光量を制御するように構成された制御手段とを備える。
【0006】
好ましくは、調整手段は、反射手段を駆動するように構成された駆動手段を含む。制御手段は、反射手段の駆動に基づいて、各発光量を制御する。
【0007】
好ましくは、調整手段は、第1のレーザ光の光路および第2のレーザ光の光路を平行にするように構成された光路調整手段を含む。制御手段は、光路調整手段の駆動に基づいて、各発光量を制御する。
【0008】
好ましくは、光路調整手段は、レンズと、レンズを透過した第1のレーザ光および第2のレーザ光を分割するビームスプリッタと、ビームスプリッタによって分割されたレーザ光を受けるように配置されたホログラム素子と、ホログラム素子を透過した光を検出するように構成された検出器とを含む。
【0009】
好ましくは、制御手段は、第1の発光手段および第2の発光手段からの各発光量を、予め定められた発光量以下に抑制する。
【0010】
好ましくは、制御手段は、光の投影方向または投影面の寸法もしくは形状を調整する動作を検知すると、予め定められた時間、第1の発光手段および第2の発光手段からの各発光量を抑制する。
【0011】
好ましくは、制御手段は、光の投影方向または投影面の寸法もしくは形状を調整する動作の終了を検知すると、第1の発光手段および第2の発光手段からの各発光量が、調整する動作の前の各発光量となるように、第1の発光手段および第2の発光手段を制御する。
【0012】
好ましくは、反射手段は、ガルバノミラーを含む。
この発明の他の局面に従う画像表示装置は、レーザ光を照射する発光手段と、光を検出する光検出器と、発光手段がレーザ光を予め定められた一定光量で照射していない時に光検出器によって検出された第1の光量と、発光手段がレーザ光を照射している時に光検出器によって検出された第2の光量と、画像の投影のために発光手段がレーザ光を照射した時に光検出器によって検出された第3の光量とを格納するように構成された記憶手段と、画像表示装置の動作を制御するように構成された制御手段とを備える。制御手段は、画像の元となる画像データと、第1の光量と、第2の光量とに基づいて、画像を投影することにより受光が想定される第4の光量を算出し、第3の光量と第4の光量との差が予め設定された値以上である場合に、レーザ光の出力を抑制する。
【0013】
この発明のさらに他の局面に従う画像表示装置は、レーザ光を照射する発光手段と、画像表示装置の移動を検出するように構成された検出手段と、発光手段による照射を制御するように構成された制御手段とを備える。制御手段は、画像表示装置の起動後に、予め定められた第1のレベルでレーザ光を発光手段に出力させる。制御手段は、画像表示装置の起動後の予め定められた時間、または、検出手段からの出力に基づいて画像表示装置の移動が検出されている間、第1のレベルによる出力を発光手段に継続させる。画像表示装置の移動が検出されなくなった後、予め定められた時間が経過すると、制御手段は、予め設定された第2のレベルまで発光手段による出力を上昇させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、レーザ光が人の目に入ることを防止できる画像表示装置を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0016】
<第1の実施の形態>
[使用態様]
図1を参照して、本発明に係る画像表示装置の使用態様について説明する。図1は、画像表示装置の一態様であるプロジェクタ100の設置された状態を表わす図である。プロジェクタ100は、たとえば携帯可能な大きさであるが、据付型のプロジェクタであってもよい。
【0017】
プロジェクタ100は、テーブル120に配置されている。プロジェクタ100は、スクリーンとしての壁130に向けてプレゼンテーション用の画像132を投影している。また、プロジェクタ100は、テーブル120の上面に対して、プロジェクタ100の使用者が参照できるように画像122を投影している。画像122の大きさは、通常は、画像132の大きさよりも小さい。ある局面において、プロジェクタ100は、CCD(Charge Coupled Device)センサ110を備える。なお、CCDセンサ110は、本実施の形態に係るプロジェクタ100においては必須の構成ではない。
【0018】
[機能構成]
図2を参照して、本発明に係る画像表示装置200の構成について説明する。図2は、画像表示装置200が備える機能の構成を表わすブロック図である。画像表示装置200は、第1の発光部210と、第2の発光部212と、投影部220と、入力部230と、記憶部240と、制御部250とを備える。投影部220は、集光部222と、反射部224と、調整部226とを含む。
【0019】
第1の発光部210は、ある波長を有する第1のレーザ光を発するように構成されている。第2の発光部212は、その波長とは異なる波長を有する第2のレーザ光を発するように構成されている。第1の発光部210および第2の発光部212によって発せられた各レーザ光は、集光部222に入射する。集光部222は、各レーザ光の方向を一定の方向に向けて反射部224に対して出射する。
【0020】
反射部224は、第1のレーザ光および第2のレーザ光を反射するように構成されている。より詳しくは、反射部224は、第1のレーザ光および第2のレーザ光を画像表示装置200の出射口(図示しない)に向けて反射する。ある局面において、反射部224は、ガルバノミラーを含む。好ましくは、ガルバノミラーは、二軸の調整が可能である。
【0021】
入力部230は、画像表示装置200に対する操作の入力を受け付けるように構成されている。入力部230は、操作の入力を受け付けると、当該入力に応じた信号を調整部226に送出する。ある局面において、入力部230は、ボタン、タッチパネルその他のスイッチとして実現される。
【0022】
調整部226は、入力部230から送られた当該入力に基づいて、反射部224によって反射される光の投影方向または投影面の寸法もしくは形状を調整するように構成されている。なお、上記の各項目(投影方向、寸法、形状)は、調整の対象として常にすべてが含まれる場合に限られるものではなく、いずれかの項目が選択的に調整対象となる場合も含まれ得る。ある局面において、調整部226は、反射部224を駆動するように構成されたアクチュエータとして機能する。調整部226は、ある局面において、レンズと、当該レンズを透過した第1のレーザ光および第2のレーザ光を分割するビームスプリッタと、ビームスプリッタによって分割されたレーザ光を受けるように配置されたホログラム素子と、当該ホログラム素子を透過した光を検出するように構成された検出器とを含む。このとき、制御部250は、反射部224の駆動に基づいて第1の発光部210および第2の発光部212から出力されるレーザ光の発光量を抑制する。
【0023】
他の局面にて、調整部226は、第1のレーザ光の光路および第2のレーザ光の光路を略平行にするように構成されている。制御部226は、調整部226の上記のような駆動に基づいて、第1のレーザ光および第2のレーザ光の出力レベルを抑制する。
【0024】
記憶部240は、調整部226が駆動する際に使用するパラメータ(たとえば反射部224の角度を規定するデータ)を格納している。ある局面において、記憶部240は、不揮発性のメモリとして構成される。
【0025】
制御部250は、光の投影方向を調整する動作に基づいて、第1の発光部210および第2の発光部212からの各発光量を制御するように構成されている。制御部250は、プロセッサその他の演算制御装置として実現される。
【0026】
ある局面において、制御部250は、第1の発光部210および第2の発光部212から発せられる各発光量を予め定められた発光量以下に抑制する。
【0027】
ある局面において、制御部250は、光の投影方向を調整する動作を検知すると、予め定められた時間、第1の発光部210および第2の発光部212からの各発光量を抑制する。
【0028】
好ましくは、制御部250は、光の投影方向または投影面の寸法もしくは形状を調整する動作の終了を検知すると、第1の発光部210および第2の発光部212からの各発光量が当該調整する動作の前の各発光量となるように、第1の発光部210および第2の発光部212を制御する。
【0029】
[ハードウェア構成]
次に、図3を参照して、画像表示装置200の一例であるプロジェクタ100の具体的な構成について説明する。図3は、プロジェクタ100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【0030】
プロジェクタ100は、フロントエンド用FPGA(Field Programmable Gate Array)310と、デジタル信号プロセッサ320と、操作パネル330と、バックエンドブロック340と、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)344と、ビデオRAM345と、レーザ制御回路351,352,353と、緑色LD(Laser Diode)361と、赤青LD362と、偏光ビームスプリッタ363と、検出器370と、ガルバノミラー372と、駆動部373とを備える。駆動部373は、たとえば、駆動モータ、コイル等により構成される。
【0031】
フロントエンド用FPGA310は、データ/階調変換器314と、タイミングコントローラ311と、データコントローラ312と、ビットデータ変換器313とを含む。デジタル信号プロセッサ320は、ミラーサーボクロック321と、変換器322とを含む。赤青LD362は、赤色のLDと青色のLDとが一体として構成されているが、別個に構成されているものでもよい。
【0032】
操作パネル330は、プロジェクタ100の筐体の表面あるいは側面に設けられる。操作パネル330は、たとえば、操作内容を表示するディスプレイ装置(図示しない)と、プロジェクタ100に対する操作入力を受け付けるスイッチ(たとえばプラス・マイナスボタン)とを含む。操作パネル330は、操作を受け付けると、当該操作に応じた信号をバックエンドブロック340のCPU341に送出する。
【0033】
プロジェクタ100の外部から与えられた画像信号は、ビデオインターフェイス342に入力される。また、ある局面において、プロジェクタ100は、外部インターフェイス343を備える。外部インターフェイス343は、たとえばSDカード380の装着を受け付ける。外部インターフェイス343は、SDカード380からデータを読み出し、そのデータは、SDRAM344あるいはビデオRAM345に格納される。
【0034】
CPU341は、操作パネル330に対して与えられた操作入力に基づいて、ビデオインターフェイス342、外部インターフェイス343を介してプロジェクタ100に入力された信号に基づく映像の投影を制御する。より詳しくは、CPU341は、フロントエンド用FPGA310のタイミングコントローラ311と相互に通信することにより、ビデオRAM345に一時的に保持されている画像データに基づく映像の表示を制御する。
【0035】
フロントエンド用FPGA310において、タイミングコントローラ311は、CPU341から送られる指令に基づいてデータコントローラ312を介してビデオRAM345に保持されているデータを読み出す。データコントローラ312は、その読み出したデータをビットデータ変換器313に送出する。ビットデータ変換器313は、タイミングコントローラ311からの命令に基づいて、そのデータをデータ/階調変換器314に送出する。ビットデータ変換器313は、外部から与えられた画像データを、レーザ発光によって投影するための形式に適合した形式に変換する。
【0036】
データ/階調変換器314は、ビットデータ変換器313から出力されたデータを、G、R、Bの3色として表示するための色の階調に変換し、変換後のデータを、レーザ制御回路351,352,353にそれぞれ送出する。
【0037】
一方、タイミングコントローラ311は、デジタル信号プロセッサ320との間で二軸ガルバノミラー372の駆動を制御する。より具体的には、タイミングコントローラ311は、ミラーサーボブロック321に命令を送出して、駆動部373を駆動する。駆動部373は、その命令に従って、二軸ガルバノミラー372の位置および傾きを変更する。
【0038】
また、変換器322は、タイミングコントローラ311から送られる信号に基づいて、CCDセンサ110から送られる信号をA/D(Analog to Digital)変換し、変換後のデジタルデータをCPU341に送出する。たとえば、CCDセンサ110がその撮影可能な範囲にある被写体を撮影すると、その被写体の画像信号は、CPU341に送られる。CPU341は、CCDセンサ110によって撮影された画像を表示する設定が有効である場合には、そのデータに基づく画像を表示するようにタイミングコントローラ311に命令を送信する。
【0039】
また、変換器322は、ミラーサーボブロック321から送られる信号を、CPU341に伝送する。たとえば、変換器322は、駆動部373に対して与えられている命令と、駆動部373の状態とを含む信号を生成し、その信号をCPU341に送出する。
【0040】
レーザ制御回路351は、データ/階調変換器314から送られる信号に基づいて緑LD361の駆動を制御する。同様に、レーザ制御回路352,353は、データ/階調変換器314から送られる命令に従って、赤LDと青LDとのそれぞれを制御する。緑LD361、赤青LD362は、それぞれその制御に応じてレーザ光を発する。
【0041】
偏光ビームスプリッタ363は、緑LD361から発せられるレーザ光の光路上に配置されている。偏光ビームスプリッタ363は、緑LD361を透過する。また、偏光ビームスプリッタ363は、赤青LD362を一部透過し、一部反射する。検出器370は、赤青LD362から発せられる各レーザ光の光路上に配置されている。偏光ビームスプリッタ363を透過した各レーザ光は、レンズ371を介して一定範囲に集められ、二軸ガルバノミラー372によって反射される。その反射光は、プロジェクタ100の外部に投影される。このとき、二軸ガルバノミラー372は、駆動部373の駆動によってその傾きを変更する。
【0042】
[制御構造]
次に、図4を参照して、本実施の形態に係るプロジェクタ100の制御構造について説明する。図4は、プロジェクタ100が有するCPU341が実行する動作の一部を表わすフローチャートである。
【0043】
ステップS410にて、CPU341は、プロジェクタ100の電源がオンにされたことを検知する。ステップS412にて、CPU341は、まず、安全レベルで各レーザを発振させる。ステップS414にて、CPU341は、一定時間、安全レベルでの発振を保持し、当該使用者に注意を促し、スイッチがONされた時に不意にレーザ光が目に入ることを防止する。もしくは、CPU341は、ある一定時間で定常レベルまでレーザ発振の出力を徐々に上げていってもよい。次に、ステップS420にて、CPU341は、操作パネル330から送られる信号に基づいて、二軸ガルバノミラー372の反射方向等を調整するための入力があったことを検知する。このとき、CPU341は、ステップS414における一定時間の経過を待つ必要はなく、ステップS414の処理の間でも、ステップS420の処理に移行することができる。
【0044】
ステップS430にて、CPU341は、各レーザからの出力を低下する命令をFPGA310のタイミングコントローラ311に送信する。ステップS440にて、CPU341は、タイミングコントローラ311に命令を送り、各レーザ制御回路351,352,353によって制御される各レーザに対する信号値を小さく設定する。
【0045】
ステップS450にて、CPU341は、操作パネル330に対する操作入力がなくなってから一定時間経過したか否かを判定する。CPU341は、操作入力がなくなってから一定時間経過していると判定すると(ステップS450にてYES)、制御をステップS470に切り換える。そうでない場合には(ステップS450にてNO)、CPU341は、制御をステップS460に切り換える。
【0046】
ステップS460にて、CPU341は、処理を一定時間待機する。たとえば、CPU341は、待機のために予め規定された時間処理を中断する。
【0047】
ステップS470にて、CPU341は、レーザ制御回路351,352,353が制御する信号値であって緑LD361および赤青LD362に対する各信号値を通常レベルに復帰する。より詳しくは、CPU341は、タイミングコントローラ311に対して、当該信号値を通常レベルに復帰させるための命令を送出する。タイミングコントローラ311は、ビットデータ変換器313を介して、データ/階調変換器314に当該命令を伝送する。データ/階調変換器314が当該命令に基づく信号をレーザ制御回路351,352,353にそれぞれ与えると、当該信号値は通常レベルに復帰される。その後、緑LD361から発せられるレーザ光と赤青LD362から発せられるレーザ光とは、それぞれ通常の出力レベルを有するものとなる。
【0048】
[光量の変化]
図5を参照して、本実施の形態に係るプロジェクタ100を用いた場合の光量の変化について説明する。図5は、プロジェクタ100の電源がオンにされてからの光量の変化を表わすタイミングチャートである。
【0049】
時刻0において、プロジェクタ100のスイッチがオンに設定される。CPU341は、そのオンを検知すると、通常の発光動作を開始する。より詳しくは、CPU341は、予め設定された定常レベルL(1)の光量となるようにタイミングコントローラ311に発光命令を与える。タイミングコントローラ311は、その発光命令に基づいてレーザ制御回路351,352,353を駆動するための信号を、ビットデータ変換器313、データ/階調変換器314を介して与える。緑LD361と赤青LD362が、各レーザ制御回路351,352,353の制御に基づいて各色のレーザ光を発すると、計測される光量は徐々に上昇する。その光量は、時刻t(1)に、当該定常レベルL(1)に到達する。その定常状態は、時刻t(1)からt(2)まで継続する。
【0050】
時刻t(2)において、プロジェクタ100の使用者が操作パネル330を操作して、二軸ガルバノミラー372の反射方向を調整しようとする。CPU341は、操作パネル330からの信号に基づいて、この操作を検知する(ステップS420)。CPU341は、その検知に応答して、各レーザからの出力を低下する命令を、フロントエンド用FPGA310に送信する(ステップS430)。
【0051】
各レーザ制御回路351,352,353は、緑LD361および赤青LD362に対する指令を変更し、出力されるレーザ光のパワーを低下させる。その結果、時刻t(2)から徐々に検出される光量が低下し、時刻t(3)に、その光量は安全レベルである光量L(2)まで減少する。しばらく、光量L(2)の状態が継続する。たとえば、少なくとも、時刻t(3)から時刻t(4)まで、光量L(2)の状態は継続する。
【0052】
その後、時刻t(4)から予め設定された安全時間が経過して時刻t(5)になると、CPU341は、フロントエンド用FPGA310に対して、レーザの出力を定常レベルとするための命令を与える。レーザ制御回路351,352,353は、緑LD361および赤青LD362に対する出力を増加し、レーザ光の出力を上昇させる。その結果、検出される光量は、徐々に増加する。時刻t(6)において、光量は、定常レベルである光量L(1)に到達する。その後、プロジェクタ100は、通常の光量で映像を投影することができる。
【0053】
以上のようにして、本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタ100によると、レーザ光の放射方向を調整するための操作を検知する。当該操作は、たとえば、二軸ガルバノミラー372の傾きを調整する操作であれば、その他の内部機構を調整するための操作も含み得る。プロジェクタは、その操作を検知すると、各レーザ光の出力レベルを安全なレベルまで低下させる。このようにすると、プロジェクタ100がレーザ光の出力中に使用者が操作しても、当該使用者に対する安全性を維持することができる。
【0054】
<変形例>
以下、本発明の実施の形態の変形例について説明する。本変形例に係るプロジェクタ600は、各色のレーザ光の平行度を調整している間に光量を調整する機能を有する点で、前述の実施の形態に係るプロジェクタ100と異なる。
【0055】
[ハードウェア構成]
図6を参照して、本変形例に係るプロジェクタ600の具体的な構成について説明する。図6は、プロジェクタ600のハードウェア構成を表わすブロック図である。プロジェクタ600は、赤外色レーザ610と、2波長レーザ612と、二次高調波発生器620と、偏光ビームスプリッタ630と、コリメートレンズ642と、ビームスプリッタ650と、ホログラム素子652と、光検出器654と、二軸ガルバノミラー660と、投影レンズ670とを備える。なお、図6におけるコリメートレンズ640,644は、コリメートレンズ642をフォーカス調整のために位置Bから位置Aまたは位置Cに移動した場合を表わしたものである。本変形例においては、プロジェクタ600が初期状態である場合、位置Bが、コリメートレンズ642の初期位置に相当する。
【0056】
赤外色レーザ610から出力されたレーザ光は、二次高調波発生器620を介して偏光ビームスプリッタ630に入射する。一方、2波長レーザ612から出力された赤および青のレーザ光は、偏光ビームスプリッタ630に入射すると、赤外色レーザ610から発せられるレーザ光と平行となるように偏光ビームスプリッタ630において反射される。各レーザ光はコリメートレンズ642にそれぞれ入射する。
【0057】
コリメートレンズ642を透過した各レーザ光は、ビームスプリッタ650に入射する。ビームスプリッタ650は、2波長レーザ612から出力されたレーザ光を反射し、ホログラム素子652に向けて反射する。ホログラム素子652は、たとえば、レンズ効果を示すパターンを偏芯した構成となっており、それにより、+1次光で凸レンズ効果を生じ、−1次光で凹レンズ効果を生じ、別々の位置に光スポットが形成される。
【0058】
ホログラム素子652を透過したレーザ光は、光検出器654において平行度を検出するためのスポットを投影する。光検出器654において各レーザ光の平行度の調整が行なわれる。当該調整は、たとえば、各スポットの大きさ(投影される円の直径等)が一致するように行なわれる。
【0059】
一方、ビームスプリッタ650を透過したレーザ光は、二軸ガルバノミラー660によって反射される。反射光は、投影レンズ670に入射する。
【0060】
このような構成において、各レーザ光の出力レベルは、光検出器654における検出結果に基づいて抑制することができる。すなわち、プロジェクタ600が備えるコントローラ(図示しない)は、光検出器654からの信号に基づいて、レーザ光の平行度を調整するための操作が行なわれていることを検知する。当該信号は、プロジェクタ600のスイッチに対する操作に応じて出力される。当該コントローラは、その検知に基づいて、赤外色レーザ610および2波長レーザ612に対して、レーザ光の出力を、第1の実施の形態において説明したような安全レベルL(2)まで低下させる命令を与える。
【0061】
その結果、プロジェクタ600は、レーザ光の平行度の調整が当該使用者によって行なわれている場合に、投影レンズ670から投影されるレーザ光の出力を抑制することができるため、安全性を高めることができる。
【0062】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る画像表示装置は、当該装置と投影された画像との間に人を検知した場合に出力を抑制することができる点で、前述の第1の実施の形態に係る画像表示装置と異なる。
【0063】
[外観]
図7を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るプロジェクタ700の構成について説明する。図7は、プロジェクタ700の外観を表わす図である。プロジェクタ700は、レーザ出射口710と、光検出器720とを備える。光検出器720は、レーザ出射口710の配置面と同一面に配置されるのが好ましい。その一方、光検出器720は、レーザ出射口710から放射されるレーザ光を直接検知しない位置に配置されていることが好ましい。
【0064】
[使用態様]
図8を参照して、本実施の形態に係るプロジェクタ700の使用態様について説明する。図8は、プロジェクタ700と壁に投影された画像との間に使用者が存在する場面を表わす図である。プロジェクタ700は、スクリーンに画像810を投影している。通常、プロジェクタ700と画像810との間に人が存在することは好ましくないが、ここでは、人820がそのような場所に存在していると仮定する。この場合、プロジェクタ700は、光検出器720によって投影面における光量の変化を検知し、その変化に応じてレーザ光の出力を抑制する。
【0065】
[ハードウェア構成]
そこで、図9を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るプロジェクタ700の具体的な構成について説明する。図9は、プロジェクタ700の主たるハードウェア構成を表わすブロック図である。
【0066】
プロジェクタ700は、レーザ出射口710と光検出器720とに加えて、プロセッサ910と、メモリ930と、コントローラ940と、レーザ950と、レンズ960と、ミラー970とを備える。光検出器720は、プロジェクタ700の投影面における光量を検出する。その検出結果は、プロセッサ910に送られる。
【0067】
プロセッサ910は、外部から与えられる信号に基づいて、あるいは予め設定された条件が成立すると、プロジェクタ700の動作を制御する。ある局面において、プロセッサ910は、光検出器720から送られた光量の検出結果に基づいて、レーザ950による発光を制御する。
【0068】
より詳しくは、プロセッサ910は、メモリ930に予め保持されているデータと、光検出器720から送られてきた光量を表わすデータとの比較に基づいて、レーザ950による出力レベルの変更の要否を判定する。たとえば、検出された光量が、設定値としてメモリ930に予め保持されている第1の光量よりも小さい場合には、人がスクリーンの前面にいる可能性がある。この場合、プロセッサ910は、レーザ光の光路上に人間がいると判定して、レーザ950の出力を低下するための指令をコントローラ940に与える。
【0069】
あるいは、検出された光量が、設定値としてメモリ930に予め保持されている第2の光量よりも大きい場合もあり得る。この場合、人がレーザ出射口の近傍にいることが考えられる。この場合も、プロセッサ910は、レーザ950の出力を低下するための指令を、コントローラ940に与える。
【0070】
コントローラ940は、プロセッサ910から送られる命令に基づいてレーザ950の駆動を制御する。コントローラ940が制御する駆動のレベルは、たとえば、通常レベルと通常よりも低いレベルとを含む。
【0071】
レーザ950は、コントローラ940の制御信号に従ってレーザ光を出力する。レーザ950は、ある局面において、赤外色レーザと赤青の2波長レーザとを含む。
【0072】
レンズ960は、レーザ950から出力される各レーザ光を一定の方向に集束させて出力する。レンズ960を透過したレーザ光は、ミラー970によって反射され、レーザ出射口710を介してプロジェクタ700の外部に投影される。
【0073】
[制御構造]
次に図10を参照して、プロジェクタ700の制御構造について説明する。図10は、プロセッサ910が実行する処理の概要を表わすフローチャートである。
【0074】
ステップS1010にて、プロジェクタ700のプロセッサ910は、レーザ950からレーザ光を発しない状態でプロジェクタ700の周囲の光量を光検出器720を用いて検出し、その検出した光量(第1の光量)をメモリ930に保存する。
【0075】
ステップS1020にて、プロセッサ910は、レーザ950にレーザ光を発光させてホワイト画面を投影し、光検出器720を用いて光量を検出し、その検出した光量(以下第2の光量)をメモリ930に保存する。
【0076】
ステップS1030にて、プロセッサ910は、実際の画像を投影し、光検出器720を用いてそのときの光量を検出し、その検出した光量(以下第3の光量)をメモリ930に保存する。
【0077】
ステップS1040にて、プロセッサ910は、当該画像を表示するための画像データと、第1の光量と、第2の光量とから受光が想定される光量(以下第4の光量)を算出する。
【0078】
ステップS1050にて、プロセッサ910は、第3の光量と第4の光量との差が予め設定された値以上であるか否かを判定する。プロセッサ910は、第3の光量と第4の光量との差が予め設定された値以上であると判定すると(ステップS1050にてYES)、制御をステップS1060に切り換える。そうでない場合には(ステップS1050にてNO)、プロセッサ910は制御をステップS1030に戻す。
【0079】
ステップS1060にて、プロセッサ910は、レーザ950からのレーザ光の出力を予め設定された一定値まで低減するための指令をコントローラ940に送出する。あるいは、プロセッサ910は、レーザ950からの出力を中止するようにコントローラ940に命令する。その後、レーザ950は、当該一定値まで出力を絞った態様で発光するか、あるいはレーザ光の出力そのものを中止する。
【0080】
[光量の推定量の算出]
ここで、図11を参照して、本発明の各実施の形態に係るプロジェクタによる受光量の推定について説明する。図11は、各プロジェクタが有するプロセッサが実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0081】
ステップS1810にて、プロセッサは、プロジェクタの起動を検知する。この時点では、各レーザダイオード(LD)はオフのままである。
【0082】
ステップS1820にて、プロセッサは、受光器を介して、レーザダイオードの駆動前の受光強度(光量A)を読み取る。これにより、レーザ光が照射される前のプロジェクタの設置環境の光量が測定される。
【0083】
ステップS1830にて、プロセッサは、赤色のレーザダイオードを駆動して、スクリーンの全面に赤色のレーザ光を照射し、光の検出量に基づいて、光量B0を算出する。この場合、プロセッサは、たとえば、算式「光量B0=検出量−光量A」を用いて、光量B0を算出する。
【0084】
ステップS1840にて、プロセッサは、青色のレーザダイオードを駆動して、スクリーンの全面に青色のレーザ光を照射し、光の検出量に基づいて、光量C0を算出する。この場合、プロセッサは、たとえば、算式「光量C0=検出量−光量A」を用いて、光量C0を算出する。
【0085】
ステップS1850にて、プロセッサは、赤色のレーザダイオードを駆動して、スクリーンの全面に緑色のレーザ光を照射し、光の検出量に基づいて、光量D0を算出する。この場合、プロセッサは、たとえば、算式「光量D0=検出量−光量A」を用いて、光量D0を算出する。なお、ステップS1830からS1850の順序は、上記のものに限られない。
【0086】
ステップS1860にて,プロセッサは、画像データを用意する。より詳しくは、スクリーンに画像を映すために使用する画像データ(画像を構成するR,G,Bの三色分)を不揮発メモリから読み出して、揮発メモリのワーク領域に格納する。
【0087】
ステップS1870にて、プロセッサは、各色ごとに画像を投影した場合の表示面積をそれぞれの色について算出し、光量増分想定量B1,C1,D1を算出する。表示面積の算出は、画像を構成する各色の輝度に基づいて行なわれる。たとえば、プロセッサは、算式「B1=光量B0×赤色の表示面積」を用いて、光量増分想定量B1を算出する。また、プロセッサは、算式「C1=光量C0×赤色の表示面積」を用いて、光量増分想定量C1を算出する。プロセッサは、算式「D1=光量D0×赤色の表示面積」を用いて、光量増分想定量D1を算出する。
【0088】
ステップS1880にて、プロセッサは、光量Aと、想定量B1,C1,D1の総和と、実際に検出した光量とを比較する。そして、プロセッサは、当該総和と検出光量との比が予め設定された値αの範囲内であれば、障害物が存在しないと判定する。この場合、プロジェクタは、レーザ光の照射を継続する。一方、プロセッサは、当該比が予め設定された値の範囲内にないと判定すると、障害物が存在していると判定する。この場合、プロセッサは、レーザ光の出力レベルを、予め設定されたレベルまで低下させるか、あるいは、レーザ光の出力そのものを、一時的に停止する。
【0089】
以上のようにして、本発明の第2の実施の形態に係るプロジェクタ700は、検知した光量に応じてレーザ光の光路上における人の存在を検知する。人の存在が検知されると、レーザ光は最小限の出力(たとえば数ルーメン)に抑制される。これにより、プロジェクタ700の近傍にいる人の目を保護することができる。
【0090】
図10におけるプロセッサ910が実行する処理は、ステップS1020でホワイト画面を全面に投影し、光量をメモリ930に保存したものである。スクリーン面によっては、カラーフィルタ効果があるものや、部分的に反射率の異なる場合がある。そのため、ステップS1020の処理を分割して、RGBの色別にメモリ930に保存したり、画面を多分割して順に照射してメモリ930に保存することで、実際の投影時の比較の時に判定精度を上げることができる。
【0091】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る画像表示装置は、その移動を検知したときにレーザ光の出力を抑制する機能を有する点で前述の各実施の形態に係る画像表示装置と異なる。当該移動は、たとえば、画像表示装置の場所の変更、投影方向の調整のための操作、あるいは投影面の寸法もしくは形状を調整するための操作等である。
【0092】
[ハードウェア構成]
図12および図13を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る画像表示装置の一態様であるプロジェクタ1100の構成について説明する。図12は、プロジェクタ1100の概略を表わす図である。プロジェクタ1100は、角速度センサ1110とレーザ出射口1120とを備える。
【0093】
図13を参照して、プロジェクタ1100は、角速度センサ1110とレーザ出射口1120とに加えて、プロセッサ910と、メモリ930と、クロック1120と、コントローラ940と、レーザ950と、レンズ960と、ミラー970とを備える。
【0094】
角速度センサ1110は、プロジェクタ1100の移動を検知し、その検知結果をプロセッサ910に送出する。プロセッサ910は、角速度センサ1110からの出力に応じてプロジェクタ1100の動作を制御する。クロック1120は、プロジェクタ1100における時間を計測する。プロセッサ910は、クロック1120から送られる時間情報と角速度センサ1110からの出力とに基づいて、レーザ950によるレーザ光の出力の態様を切り換える。
【0095】
[制御構造]
次に、図14を参照して、本発明の第3の実施の形態に係るプロジェクタ1100の制御構造について説明する。図14は、プロセッサ910が実行する主たる動作の一部を表わすフローチャートである。
【0096】
ステップS1110にて、プロセッサ910は、予め規定された第1の出力レベルで、レーザ950にレーザ光を出力させる。第1のレベルは、たとえば、投影位置、ピントなどを確認できる程度の最低限の光量が与えられるように規定されている。
【0097】
ステップS1320にて、プロセッサ910は、角速度センサ1110から入力があったか否かを判定する。プロセッサ910は、角速度センサから入力があったと判定すると(ステップS1320にてYES)、制御をステップS1310に戻す。これによりレーザ950は、第1の出力レベルでのレーザ光の出力を継続する。一方、プロセッサ910は、角速度センサ1110からの入力がないと判定すると(ステップS1320にてNO)、制御をステップS1330に切り換える。
【0098】
ステップS1330にて、プロセッサ910は、クロック1120から送られる時間情報を用いて、予め定められた一定時間、レーザ950からの出力を第1の出力レベルに維持させる。
【0099】
ステップS1340にて、プロセッサ910は、クロック1120から送られる時刻データに基づいて、予め設定された第2の一定時間レーザ950からの出力を第2の出力レベルまで増加させる。
【0100】
<変形例>
図15を参照して、プロジェクタ1100の構成の詳細について説明する。図15は、プロジェクタ1100のハードウェア構成の一部を表わす図である。
【0101】
プロジェクタ1100は、首振り部1400と、プリズム1410と、二軸ガルバノミラー1420と、ミラー1440と、コリメートレンズ1450と、ビームスプリッタ1460と、赤青色レーザ1470と、緑色レーザ1480とを含む。赤青色レーザ1470および緑色レーザ1480から出力されるレーザ光は、ビームスプリッタ1460およびコリメートレンズ1440を通り、ミラー1440に反射される。その反射光は、二軸ガルバノミラー1420によって反射される。反射光は、プリズム1410を通り、偏光されて、出力される。
【0102】
このような構成において、首振り部1400は、プロジェクタ1100の使用者によって、レーザ光の投影方向の調整のために操作され得る。そこで、首振り部1400の内部に角度センサ1110を設けることにより、プロセッサ910は、使用者の操作を検知することができる。
【0103】
<第4の実施の形態>
以下、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る画像表示装置は、通常のプロジェクタのように外部のスクリーンに投影する機構に加えて、画像表示装置自身が内蔵するスクリーンに画像を投影する機構を有する。このような画像表示装置は、使用者の操作を検知して、レーザ光の出力を抑制し、あるいは一時的に中止する。
【0104】
図16を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る画像表示装置の一例であるプロジェクタ1500について説明する。図16は、プロジェクタ1500が外部に投影可能な状態に設定されている状態表わす図である。プロジェクタ1500は、筐体1502,1504,1506,1508を含む。筐体1502,1504,1506,1508は、折畳み可能に構成されている。プロジェクタ1500は、角速度センサ1510と、レーザ出射口1520とを備える。
【0105】
筐体1502は、長手方向の軸を中心に回転可能なように、筐体1504に取り付けられている。同様に、筐体1504と筐体1508とは、筐体1506に対して回転可能なように、構成されている。
【0106】
プロジェクタ1500の使用者が、レーザ光の投影方向を調整するために、筐体1502の位置を変更すると、各速度センサ1510は、筐体1502の移動を検知する。プロジェクタ1500が有するプロセッサ(図示しない)は、その検知に応答して、レーザ光の出力を安全レベルまで抑制し、あるいは出力を一時的に停止する。これにより、折畳式のプロジェクタ1500の使用者の目を保護することができる。
【0107】
<変形例>
図17および図18を参照して、本実施の形態の変形例に係るプロジェクタ1600について説明する。図17および図18は、折畳式のプロジェクタ1600が折り畳まれた状態を表わす図である。プロジェクタ1600は、外部にレーザ光を放射して外部のスクリーンに画像を投影する機構に加えて、プロジェクタ1600が内蔵するスクリーンに画像を投影する機構を有する。内蔵するスクリーンは、たとえば、筐体の一面の材質を半透明なプラスチック板とすることにより実現される。
【0108】
図17に示されるように、プロジェクタ1600は、各速度センサ1610と、スクリーン1620とを備える。スクリーン1620は、筐体1602の一面に設けられている。また、図18に示されるように、プロジェクタ1600は、レーザ出射口1710と、ミラー1720と、光検出器1730とをさらに備える。ミラー1720は、平面鏡として実現される。あるいは、他の局面において、ミラー1720の表面は、湾曲していてもよい。
【0109】
プロジェクタ1600は、折り畳まれているとき、スクリーン1620に画像を表示する。より詳しくは、プロジェクタ1600が正しく折り畳まれた状態であるとき、レーザ出射口1710から出たレーザ光は、ミラー1720によって反射される。
【0110】
プロジェクタ1600が正しく折り畳まれており、レーザ光が外部に漏れない状態であるとき、内蔵するプロセッサ(図示しない)は、レーザ光をスクリーン1620に投影すると判定する。たとえ、当該操作者が画像寸法を調整するためにボタンを押したり、筐体に振動を与えて各速度センサが振動を検知した場合であっても、レーザ光の出力を抑制したり停止しない。プロジェクタ1600が折り畳まれているとき、この判定は、たとえば、光検出器1730が光を検出しないことに基づいて行なわれる。
【0111】
このようにすると、プロジェクタ1600が開かれた状態での安全性を維持しつつ、折り畳まれた状態での画像の投影を実現することができる。また、プロジェクタ1600が折り畳まれた状態でその安全性が保たれている場合に不必要なレーザ光の抑制や停止を行なう必要がなくなる。
【0112】
以上のようにして、本発明の実施の形態に係るプロジェクタは、レーザ光の投影方向を調整するための操作を検知することに応答して、レーザ光の出力レベルを一時的に安全なレベルまで低下させる。これにより、プロジェクタの近傍にいる人の目にレーザ光が入射することが防止される。
【0113】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明に係る画像表示装置の態様であるプロジェクタ100の設置された状態を表わす図である。
【図2】本発明に係る画像表示装置200が備える機能の構成を表わすブロック図である。
【図3】プロジェクタ100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図4】プロジェクタ100が有するCPU341が実行する動作の一部を表わすフローチャートである。
【図5】プロジェクタ100の電源がオンにされてからの光量の変化を表わすタイミングチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態の変形例に係るプロジェクタ600のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るプロジェクタ700の外観を表わす図である。
【図8】プロジェクタ700と壁に投影された画像との間に使用者が存在する場面を表わす図である。
【図9】プロジェクタ700の主たるハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図10】プロジェクタ700が有するプロセッサ910が実行する処理の概要を表わすフローチャートである。
【図11】プロセッサが実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【図12】プロジェクタ1100の構成の概略を表わす図(その1)である。
【図13】プロジェクタ1100の構成の概略を表わす図(その2)である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係るプロジェクタ1100が備えるプロセッサ910が実行する主たる動作の一部を表わすフローチャートである。
【図15】プロジェクタ1100のハードウェア構成の一部を表わす図である。
【図16】プロジェクタ1500が外部に投影可能な状態に設定されている状態表わす図である。
【図17】折畳式のプロジェクタ1600が折り畳まれた状態を表わす図(その1)である。
【図18】折畳式のプロジェクタ1600が折り畳まれた状態を表わす図(その2)である。
【符号の説明】
【0115】
100 プロジェクタ、110 CCDセンサ、120 テーブル、130 壁、132 画像、361 緑色LD(Laser Diode)、362 赤青LD、370 検出器、371 レンズ、372 二軸ガルバノミラー、600 プロジェクタ、610 赤外色レーザ、612 2波長レーザ、620 二次高調波発生器、630 偏光ビームスプリッタ、640,642,644 コリメートレンズ、650 ビームスプリッタ、652 ホログラム素子、654 光検出器、660 二軸ガルバノミラー、670 投影レンズ、700 プロジェクタ、710 レーザ出射口、720 光検出器、810 画像、820 人、1100 プロジェクタ、1110 各速度センサ、1120 出射口、1400 首振り部、1410 プリズム、1420 二軸ガルバノミラー、1440 ミラー、1450 コリメートレンズ、1460 ビームスプリッタ、1470 赤青色レーザ、1480 緑色レーザ、1500 プロジェクタ、1502,1504,1506,1508 筐体、1510 角速度センサ、1520 レーザ出射口、1600 プロジェクタ、1602 筐体、1610 各速度センサ、1620 スクリーン、1710 レーザ出射口、1720 ミラー、1730 光検出器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置であって、
第1のレーザ光を発するように構成された第1の発光手段と、
前記第1のレーザ光の波長と異なる波長を有する第2のレーザ光を発するように構成された第2の発光手段と、
前記第1のレーザ光および前記第2のレーザ光を反射するように配置された反射手段と、
前記画像表示装置に対する入力を受け付けるように構成された入力手段と、
前記入力に基づいて、前記反射手段によって反射される光の投影方向または投影面の寸法もしくは形状を調整するように構成された調整手段と、
前記光の投影方向を調整する動作に基づいて、前記第1の発光手段および前記第2の発光手段からの各発光量を制御するように構成された制御手段とを備える、画像表示装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記反射手段を駆動するように構成された駆動手段を含み、
前記制御手段は、前記反射手段の駆動に基づいて、各前記発光量を制御する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記第1のレーザ光の光路および前記第2のレーザ光の光路を略平行にするように構成された光路調整手段を含み、
前記制御手段は、前記光路調整手段の駆動に基づいて、各前記発光量を制御する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記光路調整手段は、
レンズと、
前記レンズを透過した前記第1のレーザ光および前記第2のレーザ光を分割するビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタによって分割されたレーザ光を受けるように配置されたホログラム素子と、
前記ホログラム素子を透過した光を検出するように構成された検出器とを含む、請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1の発光手段および前記第2の発光手段からの各発光量を、予め定められた発光量以下に抑制する、請求項1〜4のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記光の投影方向または投影面の寸法もしくは形状を調整する動作を検知すると、予め定められた時間、前記第1の発光手段および前記第2の発光手段からの各発光量を抑制する、請求項1〜5のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記光の投影方向または投影面の寸法もしくは形状を調整する動作の終了を検知すると、前記第1の発光手段および前記第2の発光手段からの各発光量が、前記調整する動作の前の各発光量となるように、前記第1の発光手段および前記第2の発光手段を制御する、請求項1〜6のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記反射手段は、ガルバノミラーを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項9】
画像表示装置であって、
レーザ光を照射する発光手段と、
光を検出する光検出器と、
前記発光手段がレーザ光を予め定められた一定光量で照射していない時に前記光検出器によって検出された第1の光量と、前記発光手段がレーザ光を照射している時に前記光検出器によって検出された第2の光量と、画像の投影のために前記発光手段がレーザ光を照射した時に前記光検出器によって検出された第3の光量とを格納するように構成された記憶手段と、
前記画像表示装置の動作を制御するように構成された制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記画像の元となる画像データと、前記第1の光量と、前記第2の光量とに基づいて、前記画像を投影することにより受光が想定される第4の光量を算出し、
前記第3の光量と前記第4の光量との差が予め設定された値以上である場合に、前記レーザ光の出力を抑制する、画像表示装置。
【請求項10】
画像表示装置であって、
レーザ光を照射する発光手段と、
前記画像表示装置の移動を検出するように構成された検出手段と、
前記発光手段による照射を制御するように構成された制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記画像表示装置の起動後に、予め定められた第1のレベルで前記レーザ光を前記発光手段に出力させ、
前記画像表示装置の起動後の予め定められた時間、または、前記検出手段からの出力に基づいて前記画像表示装置の移動が検出されている間、前記第1のレベルによる出力を前記発光手段に継続させ、
前記画像表示装置の移動が検出されなくなった後、前記予め定められた時間が経過すると、予め設定された第2のレベルまで前記発光手段による出力を上昇させる、画像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2009−122365(P2009−122365A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295734(P2007−295734)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】