説明

画像表示装置

【課題】画像を良好に視認させることができる画像表示装置を提供する。
【解決手段】表示制御装置291は、第1光変調装置250Aに第1画像光を形成させるとともに第2光変調装置250Bに第2画像光を形成させる第1期間、及び第1光変調装置250Aに第2画像光を形成させるとともに第2光変調装置250Bに第1画像光を形成させる第2期間とを交互に切り替える。偏光制御装置293は、偏光切替装置26の動作を制御し、第1期間では第1光変調装置250Aからの第1画像光を第1偏光に切り替えさせるとともに第2光変調装置250Bからの第2画像光を第2偏光に切り替えさせ、第2期間では第1光変調装置250Aからの第2画像光を第2偏光に切り替えさせるとともに第2光変調装置250Bからの第1画像光を第1偏光に切り替えさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネル等を有する3つの光変調装置にて変調されたR(赤)、G(緑)、B(青)の各色光を色合成光学装置にて合成してスクリーン上に投影し、スクリーン上の投影画像を観察者に立体視させる画像表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の画像表示装置では、3つの光変調装置は、左目用の画像光を形成する第1期間と、右目用の画像光を形成する第2期間とを交互に切り替えている。
また、この画像表示装置では、色合成光学装置の光路下流側に偏光フィルター等を備え、第1期間では色合成光学装置から出射された各画像光を所定の偏光状態に変換し、第2期間では前記所定の偏光状態とは異なる偏光状態に変換している。
そして、観察者は、偏光眼鏡を通して、左目にて前記所定の偏光状態の各画像光(左目用の画像光)のみ視認し、右目にて前記所定の偏光状態とは異なる偏光状態の各画像光(右目用の画像光)のみを視認することで、投影画像を立体視する。
【0003】
ところで、色合成光学装置での各色光の合成にあたり、S偏光及びP偏光の特性を利用して、各色光の光量の損失を抑制する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に記載の技術では、色合成光学装置における略X字状に交差する一対の誘電体多層膜に対して、G色光がP偏光で入射し、R,Bの各色光がS偏光で入射するように構成している。
すなわち、G色光は、一対の誘電体多層膜に対してP偏光として入射するため、一対の誘電体多層膜を効果的に透過し、光量の損失が低減される。一方、R,Bの各色光は、一対の誘電体多層膜に対してS偏光として入射するため、一対の誘電体多層膜にて効果的に反射され、光量の損失が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−174750号公報
【特許文献2】特開2005−43913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の画像表示装置では、3つの光変調装置から出射される各画像光が同一の直線偏光であることを前提として構成されている。
このため、特許文献1に記載の画像表示装置に、特許文献2に記載の技術を適用した場合には、以下の問題が生じることとなる。
すなわち、3つの光変調装置のうち一の光変調装置から出射される画像光と、他の光変調装置から出射される画像光とが互いに直交する偏光方向の各直線偏光であるため、偏光フィルター等で偏光状態を変換しても全て同一の偏光状態に変換することができない。
例えば、第1期間では、偏光フィルター等により、一の光変調装置から出射される左目用の画像光は前記所定の偏光状態に変換され、他の光変調装置から出射される左目用の画像光は前記所定の偏光状態とは異なる偏光状態に変換されてしまう。このため、第1期間では、観察者は、偏光眼鏡を通して、一の光変調装置から出射される左目用の画像光を左目にて視認しながら、他の光変調装置から出射される左目用の画像光を右目にて視認してしまうこととなる。第2期間でも同様である。
【0006】
本発明の目的は、画像を良好に視認させることができる画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像表示装置は、形成した画像光を互いに偏光方向が直交する各直線偏光でそれぞれ出射する第1光変調装置及び第2光変調装置を備えた画像表示装置であって、前記第1光変調装置及び前記第2光変調装置からの各画像光の偏光状態を切り替える偏光切替装置と、前記第1光変調装置及び前記第2光変調装置の動作を制御する表示制御装置と、前記偏光切替装置の動作を制御する偏光制御装置とを備え、前記表示制御装置は、前記第1光変調装置に第1画像光を形成させるとともに前記第2光変調装置に第2画像光を形成させる第1期間、及び前記第1光変調装置に前記第2画像光を形成させるとともに前記第2光変調装置に前記第1画像光を形成させる第2期間とを交互に切り替え、前記偏光制御装置は、前記第1期間では、前記第1光変調装置からの前記第1画像光を第1偏光に切り替えさせるとともに前記第2光変調装置からの前記第2画像光を前記第1偏光とは異なる第2偏光に切り替えさせ、前記第2期間では、前記第1光変調装置からの前記第2画像光を前記第2偏光に切り替えさせるとともに前記第2光変調装置からの前記第1画像光を前記第1偏光に切り替えさせることを特徴とする。
【0008】
本発明では、画像表示装置は、上述した偏光切替装置、表示制御装置、及び偏光制御装置を備える。このことにより、第1光変調装置からの画像光と第2光変調装置からの画像光とが互いに直交する偏光方向の各直線偏光であっても、第1光変調装置や第2光変調装置で形成された第1画像光を全て第1偏光に切り替えることができ、第1光変調装置や第2光変調装置で形成された第2画像光を全て第2偏光に切り替えることができる。
例えば、第1画像光及び第2画像光をそれぞれ左目用の画像光及び右目用の画像光とすれば、観察者は、偏光眼鏡を通して、左目にて左目用の画像光のみを視認し、右目にて右目用の画像光のみを視認し、画像を良好に立体視することができる。
また、第1期間及び第2期間の双方において、常に第1画像光及び第2画像光の双方が形成されるため、例えば第1期間で第1画像光を形成し第2期間で第2画像光を形成する従来の構成と比較して、フリッカーのない自然な画像を視認させることができる。
【0009】
本発明の画像表示装置では、前記第1光変調装置及び前記第2光変調装置からの各直線偏光を円偏光に変換する円偏光変換装置を備えることが好ましい。
本発明では、円偏光変換装置により第1光変調装置及び第2光変調装置からの各直線偏光が円偏光に変換されるので、例えば、直線偏光を用いて左右の画像光の分離を行う偏光眼鏡を装着した観察者が頭を傾けた場合であっても、左目に右目用の画像光が漏れ込んだり、右目に左目用の画像光が漏れ込んだりすることがなく、画像を良好に立体視させることができる。
【0010】
本発明の画像表示装置では、前記第1光変調装置、前記第2光変調装置、及び前記表示制御装置を備える表示装置本体と、前記表示装置本体とは別体で構成され、前記第1画像光を透過させる第1透過部、及び前記第2画像光を透過させる第2透過部を有する画像選択装置とを備え、前記偏光切替装置及び前記偏光制御装置は、前記表示装置本体に設けられていることが好ましい。
本発明では、偏光切替装置及び偏光制御装置が表示装置本体に設けられているので、画像選択装置として、汎用の偏光眼鏡等を用いることができる。すなわち、第1光変調装置及び第2光変調装置の制御と偏光切替装置の制御とで同期をとるために、赤外線等を用いたりする必要がなく、画像表示装置全体の構造の簡素化が図れる。
【0011】
本発明の画像表示装置では、前記第1光変調装置、前記第2光変調装置、及び前記表示制御装置を備える表示装置本体と、前記表示装置本体とは別体で構成され、前記第1画像光を透過させる第1透過部、及び前記第2画像光を透過させる第2透過部を有する画像選択装置とを備え、前記偏光切替装置及び前記偏光制御装置は、前記画像選択装置に設けられていることが好ましい。
本発明では、偏光切替装置及び偏光制御装置が画像選択装置に設けられているので、表示装置本体としては、汎用のプロジェクター等を用いることができる。すなわち、汎用のプロジェクター等において、第1光変調装置及び第2光変調装置の制御構造のみを変更すればよく、部材を追加する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態における画像表示装置の使用形態を示す斜視図。
【図2】第1実施形態におけるプロジェクターの内部構成を模式的に示す平面図。
【図3】図2の一部を拡大した図であり、光学装置を通過する各色光の偏光状態を示す図。
【図4】第1実施形態における制御装置の構成を示すブロック図。
【図5】第1実施形態における光学装置から出射され偏光眼鏡に至る各色光の偏光状態を示す図。
【図6】第2実施形態における偏光切替装置の構成を模式的に示す平面図。
【図7】第2実施形態における光学装置から出射され偏光眼鏡に至る各色光の偏光状態を示す図。
【図8】第3実施形態における画像表示装置の構成を模式的に示す図。
【図9】第3実施形態における制御装置の構成を示すブロック図。
【図10】第3実施形態における偏光眼鏡の構成を示すブロック図。
【図11】第3実施形態における光学装置から出射され偏光眼鏡に至る各色光の偏光状態を示す図。
【図12】第4実施形態における画像表示装置の構成を模式的に示す図。
【図13】第4実施形態における光学装置から出射され偏光眼鏡に至る各色光の偏光状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔画像表示装置の構成〕
図1は、第1実施形態における画像表示装置1の使用形態を示す斜視図である。
画像表示装置1は、反射型のスクリーンSc上に投影画像を表示するとともに、観察者に投影画像を立体視させる。この画像表示装置1は、図1に示すように、表示装置本体としてのプロジェクター2と、画像選択装置としての偏光眼鏡3とを備える。
【0014】
〔プロジェクターの構成〕
図2は、プロジェクター2の内部構成を模式的に示す平面図である。
プロジェクター2は、図1または図2に示すように、外装を構成する外装筐体2Aと、外装筐体2A内部に収納される光学ユニット2B及び制御装置2C(図2)とで大略構成されている。
光学ユニット2Bは、制御装置2Cによる制御の下、画像情報(画像データ)基づく画像を形成して投射する。
この光学ユニット2Bは、図2に示すように、光源ランプ211及びリフレクター212を有する光源装置21と、レンズアレイ221,222、偏光変換素子223、及び重畳レンズ224を有する照明光学装置22と、ダイクロイックミラー231,232、及び反射ミラー233を有する色分離光学装置23と、入射側レンズ241、リレーレンズ243、及び反射ミラー242,244を有するリレー光学装置24と、3つの液晶パネル251、3つの入射側偏光板252、3つの出射側偏光板253、2つの1/2波長板254、及び色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム255を有する光学装置25と、偏光切替装置26と、投射光学装置としての投射レンズ27と、上述した各光学部品21〜26を内部に収納するとともに投射レンズ27を支持する光学部品用筐体28とを備える。
【0015】
そして、光学ユニット2Bでは、上述した構成により、光源装置21から出射され照明光学装置22を介した光束は、色分離光学装置23にてR,G,Bの3つの色光に分離される。また、分離された各色光は、各液晶パネル251にて画像情報に応じてそれぞれ変調される。変調された各色光(各画像光)は、プリズム255にて合成され、偏光切替装置26を介して投射レンズ27にてスクリーンScに投射される。
【0016】
図3は、図2の一部を拡大した図であり、光学装置25を通過する各色光の偏光状態を示す図である。
本実施形態では、光学装置25に入射するR,G,Bの各色光は、以下に示すように、偏光方向を変えながら進行する。
なお、以下では、図2中、紙面に直交する偏光方向を有する直線偏光を第1の直線偏光Sと記載し、第1の直線偏光Sの偏光方向に直交し、図2中、紙面に平行する偏光方向を有する直線偏光を第2の直線偏光Pとして記載する。
また、以下では、説明の便宜上、R色光側の液晶パネル251、入射側偏光板252、出射側偏光板253、及び1/2波長板254をそれぞれ251R,252R,253R,254Rとする(図3参照)。G色光側及びB色光側も同様に記載する(図3参照)。
先ず、光源装置21から出射された光束の略全ては、偏光変換素子223にて第1の直線偏光Sに変換される。そして、偏光変換素子223から出射された光束は、色分離光学装置23にて各色光に分離され、図3に示すように、各色光が第1の直線偏光Sとして光学装置25に入射することとなる。
【0017】
3つの入射側偏光板252は、偏光変換素子223で揃えられた光束の偏光方向と略同一方向の透過軸を有する。すなわち、光学装置25に入射した各色光(第1の直線偏光S)は、図3に示すように、偏光方向が変更されることなく、各入射側偏光板252から第1の直線偏光Sとして出射される。
3つの出射側偏光板253は、入射側偏光板252の透過軸に対して照明光軸A(図2)を中心として90°回転した透過軸を有する。すなわち、各入射側偏光板252から出射され、各液晶パネル251を介して各出射側偏光板253に入射した各色光は、図3に示すように、各出射側偏光板253から第2の直線偏光Pとして出射される。
【0018】
ここで、1/2波長板254は、図2または図3に示すように、R,Bの各色光側において、各出射側偏光板253R,253Bとプリズム255との間に配設されている。
すなわち、図3に示すように、各出射側偏光板253から出射されたR,G,Bの各色光(第2の直線偏光P)のうち、R,Bの各色光のみが1/2波長板254R,254Bにて第1の直線偏光Sに変換される。
【0019】
プリズム255は、図3に示すように、平面視で略X字状に交差する一対の誘電体多層膜255A,255Bを有する。一方の誘電体多層膜255AはR色光を反射するものであり、他方の誘電体多層膜255BはB色光を反射するものであり、これらの誘電体多層膜255A,255BによってR,Bの各色光は曲折され、G色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
ここで、プリズム255に入射する各色光のうち、G色光は、第2の直線偏光Pとしてプリズム255に入射するため、各誘電体多層膜255A,255BにP偏光で入射することとなる。すなわち、G色光は、各誘電体多層膜255A,255Bを効果的に透過し、光の利用効率が向上することとなる。
一方、R,Bの各色光は、1/2波長板254R,254Bにて第1の直線偏光Sに変換されているため、各誘電体多層膜255A,255BにS偏光で入射することとなる。すなわち、R,Bの各色光は、各誘電体多層膜255A,255Bにて効果的に反射し、光の利用効率が向上することとなる。
そして、プリズム255から出射される第2の直線偏光PのG色光と第1の直線偏光SのR,Bの各色光とが偏光切替装置26に入射した後、投射レンズ27にて投射される。
なお、上述したR色光側の各部材251R,252R,253R,254R及びB色光側の各部材251B,252B,253B,254Bが本発明に係る第1光変調装置250A(図3)に相当し、G色光側の各部材251G,252G,253Gが本発明に係る第2光変調装置250B(図3)に相当するものである。
【0020】
偏光切替装置26は、電圧印加の状態(ON状態)と電圧非印加の状態(OFF状態)とでΔnd(位相差)を3λ/4とλ/4の間で切り替える液晶セルで構成されている。
このような液晶セルとしては、例えば、IPS(In Plane Switching)方式の液晶セルが例示できる。
また、偏光切替装置26は、具体的には後述するが、各液晶パネル251を介した各直線偏光S,Pを円偏光に変換する機能を有しており、本発明に係る円偏光変換装置に相当する。
【0021】
図4は、制御装置2Cの構成を示すブロック図である。
制御装置2Cは、CPU(Central Processing Unit)等を有し、各液晶パネル251及び偏光切替装置26の動作を制御する。この制御装置2Cは、図4に示すように、表示制御装置291と、タイミングコントローラー292と、偏光制御装置としてのセル駆動部293とを備える。
タイミングコントローラー292は、後述する画像ROM291Aに記憶された画像データに含まれる同期信号を読み取ってパネル駆動部291C及びセル駆動部293の同期をとる。
【0022】
表示制御装置291は、各液晶パネル251の動作を制御する。この表示制御装置291は、画像ROM(Read Only Memory)271Aと、信号処理部291Bと、パネル駆動部291Cとを備える。
画像ROM291Aは、各液晶パネル251に表示させる画像データを記憶する。ここで、画像データは、左目用画像データと、右目用画像データとで構成されている。また、これら左目用画像データ及び右目用画像データは、1フレーム毎のデータの集まりによってそれぞれ構成されている。さらに、1フレーム分の左目用画像データ及び右目用画像データは、それぞれR信号、G信号、B信号で構成されている。
【0023】
信号処理部291Bは、画像ROM291Aに記憶された画像データ(左目用画像データ及び右目用画像データ)を適宜、読み出し、これら画像データを各色信号に変換してパネル駆動部291Cに出力する。
そして、パネル駆動部291Cは、信号処理部291Bから出力された各信号に基づいて、各液晶パネル251を駆動する。
セル駆動部293は、偏光切替装置26をON状態またはOFF状態にし、偏光切替装置26のΔndを切り替える。
【0024】
〔偏光眼鏡の構成〕
偏光眼鏡3は、観察者が装着するものであり、図1または図3に示すように、第1透過部としての左目用透過部31と、第2透過部としての右目用透過部32とを備える。
左目用透過部31は、図3に示すように、位相差フィルム311と、左目用偏光フィルム312とが積層された構成を有する。
位相差フィルム311は、Δndがλ/4に設定された位相差フィルムである。そして、位相差フィルム311は、左目用透過部31及び右目用透過部32が水平方向に並列するように偏光眼鏡3が観察者に装着された状態で、左回りの円偏光を第1の直線偏光Sに変換するとともに、右回りの円偏光を第2の直線偏光Pに変換するように、光学軸の向きが設定されている。
左目用偏光フィルム312は、位相差フィルム311に対して観察者側に位置し、上述した状態で、透過軸が第2の直線偏光Pの偏光方向と同一方向となるように構成されている。
【0025】
右目用透過部32は、図3に示すように、位相差フィルム321と、右目用偏光フィルム322とが積層された構成を有する。
位相差フィルム321は、位相差フィルム311と同様の構成である。
右目用偏光フィルム322は、上述した状態で、透過軸が第1の直線偏光Sの偏光方向と同一方向となるように構成されている。
【0026】
〔画像表示装置の動作〕
次に、上述した画像表示装置1の動作について説明する。
図5は、光学装置25から出射され偏光眼鏡3に至る各色光の偏光状態を示す図である。具体的に、図5(A)は第1期間での偏光状態を示す図であり、図5(B)は第2期間での偏光状態を示す図である。
制御装置2Cは、以下に示す第1期間及び第2期間を、例えば、60Hzの周期で交互に切り替え、時分割で各液晶パネル251の動作を制御する。また、制御装置2Cは、各液晶パネル251の時分割での駆動に同期させて、偏光切替装置26の動作を制御する。
【0027】
〔第1期間〕
先ず、第1期間では、信号処理部291B及びセル駆動部293は、以下のように動作する。
すなわち、信号処理部291Bは、画像ROM291Aから右目用画像データを読み出し、右目用画像データを構成するR信号、G信号、B信号のうち、R信号及びB信号をパネル駆動部291Cに出力する。
そして、パネル駆動部291Cは、R信号及びB信号に基づいて、液晶パネル251R,251Bを駆動する。
【0028】
また、信号処理部291Bは、画像ROM291Aから左目用画像データを読み出し、左目用画像データを構成するR信号、G信号、B信号のうち、G信号をパネル駆動部291Cに出力する。
そして、パネル駆動部291Cは、G信号に基づいて、液晶パネル251Gを駆動する。
したがって、第1期間では、図5(A)に示すように、各液晶パネル251R,251Bにて右目用画像が表示され(第1画像光が形成され)、液晶パネル251Gにて左目用画像が表示される(第2画像光が形成される)こととなる。
また、セル駆動部293は、偏光切替装置26に電圧を印加せず、OFF状態とする。
【0029】
以上の動作により、第1期間において、各色光は、プリズム255出射時から偏光眼鏡3に至るまで、以下のように偏光状態が変化する。
先ず、プリズム255から出射されたR,Bの各色光(第1の直線偏光S)は、図5(A)に示すように、OFF状態の偏光切替装置26を透過することでλ/4位相がずれるため、右回りの円偏光(第1偏光)に変換される。
また、偏光切替装置26を透過したR,Bの各色光(右回りの円偏光)は、投射レンズ27にてスクリーンScに投射され、スクリーンScにて反射されることで、左回りの円偏光に変換され、偏光眼鏡3に到達する。
偏光眼鏡3に到達したR,Bの各色光(左回りの円偏光)は、右目用透過部32において、位相差フィルム321を透過することでλ/4位相がずれるため、第1の直線偏光Sに変換され、右目用偏光フィルム322を透過し、観察者の右目にて視認される。
また、偏光眼鏡3に到達したR,Bの各色光は、左目用透過部31において、上述したように位相差フィルム311を透過することで第1の直線偏光Sに変換され、左目用偏光フィルム312で遮断される。
【0030】
一方、プリズム255から出射されたG色光(第2の直線偏光P)は、図5(A)に示すように、上述したR,Bの各色光とは異なり、偏光切替装置26では左回りの円偏光(第2偏光)に変換され、スクリーンScでの反射により右回りの円偏光に変換され、右目用透過部32では遮断されて左目用透過部31のみを透過する。
したがって、第1期間では、R,Bの各色光(右目用画像)は観察者の右目のみで視認され、G色光(左目用画像)は観察者の左目のみで視認されることとなる。
【0031】
〔第2期間〕
次に、第2期間では、信号処理部291B及びセル駆動部293は、以下のように動作する。
すなわち、信号処理部291Bは、上述した第1期間とは逆に、図5(B)に示すように、パネル駆動部291Cを介して、各液晶パネル251R,251Bに左目用画像を表示させ(第2画像光を形成させ)、液晶パネル251Gには右目用画像を表示させる(第1画像光を形成させる)。
また、セル駆動部293は、偏光切替装置26に電圧を印加し、ON状態とする。
【0032】
以上の動作により、第2期間において、各色光は、プリズム255出射時から偏光眼鏡3に至るまで、以下のように偏光状態が変化する。
先ず、プリズム255から出射されたR,Bの各色光(第1の直線偏光S)は、図5(B)に示すように、ON状態の偏光切替装置26を透過することで3λ/4位相がずれるため、左回りの円偏光(第2偏光)に変換される。
偏光切替装置26を透過したR,Bの各色光(左回りの円偏光)は、上述した第1期間でのG色光と同様に、図5に示すように、スクリーンScでの反射により右回りの円偏光に変換され、右目用透過部32では遮断されて左目用透過部31のみを透過する。
【0033】
一方、プリズム255から出射されたG色光(第2の直線偏光P)は、図5(B)に示すように、上述したR,Bの各色光とは異なり、偏光切替装置26では右回りの円偏光(第1偏光)に変換され、スクリーンScでの反射により左回りの円偏光に変換され、左目用透過部31では遮断されて右目用透過部32のみを透過する。
したがって、第2期間では、R,Bの各色光(左目用画像)は観察者の左目のみで視認され、G色光(右目用画像)は観察者の右目のみで視認されることとなる。
【0034】
上述した第1実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、画像表示装置1は、偏光切替装置26、表示制御装置291、及びセル駆動部293を備えるので、第1光変調装置250AからのR,Bの各色光と第2光変調装置250BからのG色光とが互いに直交する偏光方向の各直線偏光S,Pであっても、第1光変調装置250Aや第2光変調装置250Bで形成された右目用の画像光を全て第1偏光に切り替えることができ、第1光変調装置250Aや第2光変調装置250Bで形成された左目用の画像光を全て第2偏光に切り替えることができる。このため、観察者は、偏光眼鏡3を通して、左目にて左目用の画像光のみを視認し、右目にて右目用の画像光のみを視認し、投影画像を良好に立体視することができる。
また、第1期間及び第2期間の双方において、常に左目用の画像光及び右目用の画像光の双方が形成されるため、例えば第1期間で左目用の画像光を形成し第2期間で右目用の画像光を形成する従来の構成と比較して、フリッカーのない自然な画像を視認させることができる。
【0035】
さらに、偏光切替装置26により第1光変調装置250A及び第2光変調装置250Bからの各直線偏光S,Pが円偏光に変換されるので、偏光眼鏡3を装着した観察者が頭を傾けた場合であっても、左目に右目用の画像光が漏れ込んだり、右目に左目用の画像光が漏れ込んだりすることがなく、画像を良好に立体視させることができる。
【0036】
また、偏光切替装置26及びセル駆動部293がプロジェクター2に設けられているので、汎用の偏光眼鏡3を用いることができる。すなわち、第1光変調装置250A及び第2光変調装置250Bの制御と偏光切替装置26の制御とで同期をとるために、赤外線等を用いたりする必要がなく、画像表示装置1全体の構造の簡素化が図れる。
【0037】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造及び同一部材には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図6は、第2実施形態における偏光切替装置26の構成を模式的に示す図である。具体的に、図6は、図3に対応した図である。
本実施形態の画像表示装置1は、前記第1実施形態に対して、図6に示すように、偏光切替装置26が2体で構成されている点が異なる。また、偏光切替装置26が2体で構成されていることに伴い、偏光切替装置26の制御構造が前記第1実施形態とは異なる。その他の構成は、前記第1実施形態と同様のものである。
【0038】
偏光切替装置26は、図6に示すように、第1液晶セル26Aと、第2液晶セル26Bとの2体で構成されている。
第1液晶セル26Aは、ON状態とOFF状態とでΔndを0とλ/4の間で切り替える液晶セルで構成されている。
第2液晶セル26Bは、ON状態とOFF状態とでΔndを0と3λ/4の間で切り替える液晶セルで構成され、第1液晶セル26Aに対して光路下流側に配設されている。
【0039】
次に、第2実施形態における画像表示装置1の動作について説明する。
図7は、光学装置25から出射され偏光眼鏡3に至る各色光の偏光状態を示す図である。具体的に、図7(A),図7(B)は、図5(A),図5(B)に対応した図である。
なお、各液晶パネル251の制御方法は前記第1実施形態と同様であるため、以下では、偏光切替装置26の制御方法について説明する。
【0040】
〔第1期間〕
第1期間では、セル駆動部293は、第1液晶セル26Aに電圧を印加せずOFF状態とするとともに、第2液晶セル26Bに電圧を印加しON状態とする。
以上の動作により、第1期間において、各色光は、プリズム255出射時から偏光眼鏡3に至るまで、以下のように偏光状態が変化する。
なお、図5及び図7に示すように、スクリーンSc反射時から偏光眼鏡3に至るまでの各色光の偏光状態は、前記第1実施形態と同様のものであるため、以下では、第1液晶セル26A及び第2液晶セル26Bを透過する際の各色光の偏光状態のみを説明する。後述する第2期間でも同様である。
【0041】
すなわち、プリズム255から出射されたR,Bの各色光(第1の直線偏光S)は、図7(A)に示すように、OFF状態の第1液晶セル26Aを透過することでλ/4位相がずれるため、右回りの円偏光に変換される。
また、第1液晶セル26Aを透過したR,Bの各色光(右回りの円偏光)は、ON状態の第2液晶セル26BではΔndが0であるため、偏光状態を維持して右回りの円偏光(第1偏光)のまま透過する。
一方、プリズム255から出射されたG色光(第2の直線偏光P)は、上述したR,Bの各色光とは異なり、図7(A)に示すように、第1液晶セル26Aでは左回りの円偏光に変換され、第2液晶セル26Bでは左回りの円偏光(第2偏光)のまま透過する。
【0042】
〔第2期間〕
第2期間では、セル駆動部293は、第1液晶セル26Aに電圧を印加しON状態とするとともに、第2液晶セル26Bに電圧を印加せずOFF状態とする。
そして、プリズム255から出射されたR,Bの各色光(第1の直線偏光S)は、図7(B)に示すように、ON状態の第1液晶セル26AではΔndが0であるため、偏光状態を維持して第1の直線偏光Sのまま透過する。
また、第1液晶セル26Aを透過したR,Bの各色光(第1の直線偏光S)は、OFF状態の第2液晶セル26Bを透過することで、3λ/4位相がずれるため、左回りの円偏光(第2偏光)に変換される。
一方、プリズム255から出射されたG色光(第2の直線偏光P)は、上述したR,Bの各色光とは異なり、図7(B)に示すように、第1液晶セル26Aでは第2の直線偏光Pのまま透過し、第2液晶セル26Bでは右回りの円偏光(第1偏光)に変換される。
【0043】
上述した第2実施形態のように、偏光切替装置26を第1液晶セル26A及び第2液晶セル26Bの2体で構成した場合であっても、前記第1実施形態と同様の効果を享受できる。
【0044】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造及び同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図8は、第3実施形態における画像表示装置1の構成を模式的に示す図である。具体的に、図8は、図3に対応した図である。
本実施形態の画像表示装置1は、前記第1実施形態に対して、図8に示すように、プロジェクター2の構成として偏光切替装置26の代わりに位相差板20を設け、偏光眼鏡3に偏光切替装置33を設けた点が異なる。また、上述したように構成したことにより、偏光切替装置33の制御構造が前記第1実施形態と異なる。その他の構成は、前記第1実施形態と同様のものである。
【0045】
位相差板20は、Δndがλ/4に設定された位相差板である。そして、位相差板20は、第1の直線偏光Sを右回りの円偏光に変換するとともに、第2の直線偏光Pを左回りの円偏光に変換するように、光学軸の向きが設定されている。
そして、位相差板20は、本発明に係る円偏光変換装置に相当する。
【0046】
図9は、第3実施形態における制御装置2Cの構成を示すブロック図である。
第3実施形態の制御装置2Cは、図9に示すように、セル駆動部293の代わりに送信部294を備える。
送信部294は、第1期間及び第2期間の開始タイミグに関する信号を送信する。
本実施形態では、送信部294は、具体的な図示は省略したが、赤外発光LED(Light Emitting Diode)、及び当該赤外発光LEDを発光させる駆動回路等で構成され、第1期間及び第2期間の開始タイミングに関する情報を、発光時間や発光パターンを変化させることで送信する。
【0047】
図10は、第3実施形態における偏光眼鏡3の構成を示すブロック図である。
第3実施形態の偏光眼鏡3は、図8または図10に示すように、前記第1実施形態で説明した位相差フィルム311,321の代わりに2つの偏光切替装置33が設けられているとともに、受信部34と、偏光制御装置としてのセル駆動部35を備える。
偏光切替装置33は、ON状態とOFF状態とでΔndを3λ/4とλ/4の間で切り替える液晶セルで構成されている。
受信部34は、送信部294から送信された信号を受信する。
本実施形態では、受信部34は、具体的な図示は省略したが、赤外受光素子等で構成され、送信部294から出射された赤外光を受光して信号に変換し、セル駆動部35に出力する。
セル駆動部35は、受信部34からの信号に応じて、偏光切替装置33をON状態またはOFF状態にし、偏光切替装置33のΔndを切り替える。
【0048】
次に、第3実施形態における画像表示装置1の動作について説明する。
図11は、光学装置25から出射され偏光眼鏡3に至る各色光の偏光状態を示す図である。具体的に、図11(A),図11(B)は、図5(A),図5(B)に対応した図である。
なお、各液晶パネル251の制御方法は前記第1実施形態と同様であるため、以下では、偏光切替装置33の制御方法について説明する。
【0049】
〔第1期間〕
セル駆動部35は、受信部34からの信号に基づいて第1期間の開始タイミングを判断し、当該開始タイミングで偏光切替装置33に電圧を印加せずOFF状態とする。
以上の動作により、第1期間において、各色光は、プリズム255出射時から偏光眼鏡3に至るまで、以下のように偏光状態が変化する。
すなわち、プリズム255から出射されたR,Bの各色光(第1の直線偏光S)は、図11(A)に示すように、位相差板20を透過することでλ/4位相がずれるため右回りの円偏光に変換されるとともに、スクリーンScでの反射により左回りの円偏光に変換され、偏光眼鏡3に到達する。
【0050】
偏光眼鏡3に到達したR,Bの各色光(左回りの円偏光)は、右目用透過部32において、OFF状態の偏光切替装置33を透過することでλ/4位相がずれるため、第1の直線偏光S(第1偏光)に変換され、右目用偏光フィルム322を透過し、観察者の右目にて視認される。
また、偏光眼鏡3に到達したR,Bの各色光は、左目用透過部31において、上述したようにOFF状態の偏光切替装置33を透過することで第1の直線偏光Sに変換され、左目用偏光フィルム312で遮断される。
【0051】
一方、プリズム255から出射されたG色光(第2の直線偏光P)は、上述したR,Bの各色光とは異なり、位相差板20では左回りの円偏光に変換され、スクリーンScでの反射により右回りの円偏光に変換され、OFF状態の偏光切替装置33を透過することで第2の直線偏光P(第2偏光)に変換され、右目用透過部32では遮断されて左目用透過部31のみを透過する。
したがって、第1期間では、前記第1実施形態と同様に、R,Bの各色光(右目用画像)は観察者の右目のみで視認され、G色光(左目用画像)は観察者の左目のみで視認されることとなる。
【0052】
〔第2期間〕
セル駆動部35は、受信部34からの信号に基づいて第2期間の開始タイミングを判断し、当該開始タイミングで偏光切替装置33に電圧を印加してON状態とする。
以上の動作により、第2期間において、各色光は、プリズム255出射時から偏光眼鏡3に至るまで、以下のように偏光状態が変化する。
なお、図11に示すように、プリズム255出射時からスクリーンSc反射時までの各色光の偏光状態は、第1期間と同様のものであるため、以下では、偏光眼鏡3に到達した後の各色光の偏光状態について説明する。
すなわち、偏光眼鏡3に到達したR,Bの各色光(左回りの円偏光)は、ON状態の偏光切替装置33を透過することで3λ/4位相がずれるため、第2の直線偏光P(第2偏光)に変換され、右目用偏光フィルム322では遮断されて左目用偏光フィルム312のみを透過する。
一方、偏光眼鏡3に到達したG色光(右回りの円偏光)は、上述したON状態の偏光切替装置33を透過することで第1の直線偏光S(第1偏光)に変換され、左目用偏光フィルム312では遮断されて右目用偏光フィルム322のみを透過する。
したがって、第2期間では、前記第1実施形態と同様に、R,Bの各色光(左目用画像)は観察者の左目のみで視認され、G色光(右目用画像)は観察者の右目のみで視認されることとなる。
【0053】
上述した第3実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果の他、以下の効果がある。
本実施形態では、偏光切替装置33及びセル駆動部35が偏光眼鏡3に設けられているので、プロジェクター2としては、汎用のプロジェクターを用いることができる。すなわち、汎用のプロジェクターにおいて、第1光変調装置250A及び第2光変調装置250Bの制御構造のみを変更すればよく、部材を追加する必要がない。
【0054】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造及び同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図12は、第4実施形態における画像表示装置1の構成を模式的に示す図である。具体的に、図12は、図3に対応した図である。
本実施形態の画像表示装置1は、前記第1実施形態に対して、偏光切替装置26の構成を変更するとともに、偏光眼鏡3の構成を変更した点が異なる。その他の構成は、前記第1実施形態と同様のものである。
【0055】
第4実施形態における偏光切替装置26は、ON状態とOFF状態とでΔndを0とλ/2の間で切り替える液晶セルで構成されている。
また、第4実施形態における偏光眼鏡3は、図12に示すように、前記第1実施形態に対して、位相差フィルム311,321が省略されている。
また、左目用偏光フィルム312は、前記第1実施形態とは異なり、透過軸が第1の直線偏光Sの偏光方向と同一方向となるように構成されている。
さらに、右目用偏光フィルム322も同様に、前記第1実施形態とは異なり、透過軸が第2の直線偏光Pの偏光方向と同一方向となるように構成されている。
【0056】
次に、第4実施形態における画像表示装置1の動作について説明する。
図13は、光学装置25から出射され偏光眼鏡3に至る各色光の偏光状態を示す図である。具体的に、図13(A),図13(B)は、図5(A),図5(B)に対応した図である。
なお、各液晶パネル251の制御方法は前記第1実施形態と同様であるため、以下では、偏光切替装置26の制御方法について説明する。
【0057】
〔第1期間〕
第1期間では、セル駆動部293は、偏光切替装置26に電圧を印加せずOFF状態とする。
以上の動作により、第1期間において、各色光は、プリズム255出射時から偏光眼鏡3に至るまで、以下のように偏光状態が変化する。
すなわち、プリズム255から出射されたR,Bの各色光(第1の直線偏光S)は、図13(A)に示すように、OFF状態の偏光切替装置26を透過することでλ/2位相がずれるため、第2の直線偏光P(第1偏光)に変換される。
そして、偏光切替装置26を透過したR,Bの各色光(第2の直線偏光P)は、スクリーンScで反射された後、左目用透過部31では遮断されて右目用透過部32のみを透過する。
【0058】
一方、プリズム255から出射されたG色光(第2の直線偏光P)は、図13(A)に示すように、上述した偏光切替装置26を透過することで、第1の直線偏光S(第2偏光)に変換される。
そして、偏光切替装置26を透過したG色光(第1の直線偏光S)は、スクリーンScで反射された後、右目用透過部32では遮断されて左目用透過部31のみを透過する。
したがって、第1期間では、前記第1実施形態と同様に、R,Bの各色光(右目用画像)は観察者の右目のみで視認され、G色光(左目用画像)は観察者の左目のみで視認されることとなる。
【0059】
〔第2期間〕
第2期間では、セル駆動部293は、偏光切替装置26に電圧を印加してON状態とする。
以上の動作により、第2期間において、各色光は、プリズム255出射時から偏光眼鏡3に至るまで、以下のように偏光状態が変化する。
すなわち、プリズム255から出射されたR,Bの各色光(第1の直線偏光S)は、図13(B)に示すように、ON状態の偏光切替装置26ではΔndが0であるため、偏光状態を維持して第1の直線偏光S(第2偏光)のまま透過する。
そして、偏光切替装置26を透過したR,Bの各色光(第1の直線偏光S)は、スクリーンScで反射された後、右目用透過部32では遮断されて左目用透過部31のみを透過する。
【0060】
一方、プリズム255から出射されたG色光(第2の直線偏光P)は、図13(B)に示すように、上述したR,Bの各色光と同様に、偏光状態を維持して第2の直線偏光P(第1偏光)のまま偏光切替装置26を透過する。
そして、偏光切替装置26を透過したG色光(第2の直線偏光P)は、スクリーンScで反射された後、左目用透過部31では遮断されて右目用透過部32のみを透過する。
したがって、第2期間では、前記第1実施形態と同様に、R,Bの各色光(左目用画像)は観察者の左目のみで視認され、G色光(右目用画像)は観察者の右目のみで視認されることとなる。
【0061】
上述した第4実施形態のように構成した場合であっても、前記第1実施形態と同様の効果を享受できる。
【0062】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、本発明に係る画像表示装置を、観察者に投影画像を立体視させる画像表示装置として構成していたが、これに限らない。例えば、第1画像光及び第2画像光をコンテンツの異なる画像光とし、2つの画像光を投影して2つの投影画像を表示するデュアル表示装置として構成しても構わない。
このようなデュアル表示装置として構成した場合には、偏光眼鏡3としては、左目用透過部31を左右に設けた偏光眼鏡、及び右目用透過部32を左右に設けた偏光眼鏡の2種類を設ければよい。
【0063】
前記各実施形態において、偏光切替装置26,33の構成は、前記各実施形態で説明した構成に限らない。すなわち、液晶セルに限らず、その他の構成や、液晶セルと位相差板等を組み合わせた構成を採用しても構わない。
前記各実施形態では、画像表示装置1として、フロント投射型のプロジェクター2を採用した例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを備え、当該スクリーンの裏面側から投射を行うリアタイプのプロジェクターを採用した構成としても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、プロジェクターや偏光眼鏡を用いて画像を立体視させる画像表示装置に利用できる。
【符号の説明】
【0065】
1・・・画像表示装置、2・・・プロジェクター(表示装置本体)、3・・・偏光眼鏡(画像選択装置)、20・・・位相差板(円偏光変換装置)、26・・・偏光切替装置(円偏光変換装置)、31・・・左目用透過部(第1透過部)、32・・・右目用透過部(第2透過部)、33・・・偏光切替装置、35,293・・・セル駆動部(偏光制御装置)、250A・・・第1光変調装置、250B・・・第2光変調装置、291・・・表示制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形成した画像光を互いに偏光方向が直交する各直線偏光でそれぞれ出射する第1光変調装置及び第2光変調装置を備えた画像表示装置であって、
前記第1光変調装置及び前記第2光変調装置からの各画像光の偏光状態を切り替える偏光切替装置と、
前記第1光変調装置及び前記第2光変調装置の動作を制御する表示制御装置と、
前記偏光切替装置の動作を制御する偏光制御装置とを備え、
前記表示制御装置は、
前記第1光変調装置に第1画像光を形成させるとともに前記第2光変調装置に第2画像光を形成させる第1期間、及び前記第1光変調装置に前記第2画像光を形成させるとともに前記第2光変調装置に前記第1画像光を形成させる第2期間とを交互に切り替え、
前記偏光制御装置は、
前記第1期間では、前記第1光変調装置からの前記第1画像光を第1偏光に切り替えさせるとともに前記第2光変調装置からの前記第2画像光を前記第1偏光とは異なる第2偏光に切り替えさせ、
前記第2期間では、前記第1光変調装置からの前記第2画像光を前記第2偏光に切り替えさせるとともに前記第2光変調装置からの前記第1画像光を前記第1偏光に切り替えさせる
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記第1光変調装置及び前記第2光変調装置からの各直線偏光を円偏光に変換する円偏光変換装置を備える
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像表示装置において、
前記第1光変調装置、前記第2光変調装置、及び前記表示制御装置を備える表示装置本体と、
前記表示装置本体とは別体で構成され、前記第1画像光を透過させる第1透過部、及び前記第2画像光を透過させる第2透過部を有する画像選択装置とを備え、
前記偏光切替装置及び前記偏光制御装置は、
前記表示装置本体に設けられている
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の画像表示装置において、
前記第1光変調装置、前記第2光変調装置、及び前記表示制御装置を備える表示装置本体と、
前記表示装置本体とは別体で構成され、前記第1画像光を透過させる第1透過部、及び前記第2画像光を透過させる第2透過部を有する画像選択装置とを備え、
前記偏光切替装置及び前記偏光制御装置は、
前記画像選択装置に設けられている
ことを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−191491(P2011−191491A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57288(P2010−57288)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】