画像表示装置
【課題】画像表示装置の表示部における周辺光の照度を知るための光センサが、画像表示装置の内部に設けられている。前記光センサに周辺光を導く導光レンズを工夫することにより、近くの光源からの光を光センサに照射させることが望まれる。
【解決手段】導光レンズの画像表示装置の外部に向けた一端面に鋸歯状の斜面を設ける。斜面の角度を高さ方向位置に応じて異ならせることで、各位置において所定の範囲の入射角を有する光が光センサに導かれる。遠くの光源からの光は入射角が小さいため、いずれの高さ方向位置においても光センサに導かれ難い。
【解決手段】導光レンズの画像表示装置の外部に向けた一端面に鋸歯状の斜面を設ける。斜面の角度を高さ方向位置に応じて異ならせることで、各位置において所定の範囲の入射角を有する光が光センサに導かれる。遠くの光源からの光は入射角が小さいため、いずれの高さ方向位置においても光センサに導かれ難い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置に係り、特に周辺の照明環境に応じた画質調整を改良した画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイや液晶ディスプレイをはじめとする画像表示装置においては、該装置の周辺の照明環境に対する画質調整方法の開発が進められている。画像表示部における周辺の照明からの照度が高い場合には、例えば輝度、コントラスト、鮮鋭度、色の濃さや色温度を変えることで、ユーザが画像を鮮明に見ることができるようにする。反対に照度が低い場合には、例えば輝度を下げることで消費電力を低減する。
【0003】
このため画像表示装置には、画像表示部における周辺からの光の照度を検出するための光センサが設けられている。デザイン上の観点から、光センサが画像表示装置の外部から見えることは好ましくないため、光センサは画像表示装置の内部に設けられている。従って、周辺光を光センサに導くための導光レンズが必要となる。導光レンズの一端面は、例えば画像表示装置の外部に向け、デザイン上問題とならないように取付けられている。
【0004】
実際に画像表示装置が家庭のリビングに置かれた状況を考える。照明装置は部屋の高い位置にあり、距離の遠い照明からの光は導光レンズへの入射角が小さくなるため、導光レンズを通過して光センサに到達し易い傾向がある。実際に知りたい画像表示部における周辺の照明からの照度は、距離の近い照明の光に支配されているので、光センサが検出する照度との間で相違が出ることが多い。
特許文献1においては前記した問題に対応するため、導光レンズを両凹レンズとして、距離の近い照明からの光を光センサに到達し易くする技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−11209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1においても、距離の遠い照明からの光を積極的に排除するには到らない。前記した画質調整に、画像表示部における周辺光の照度を正しく反映するには、距離の近い照明からの光に対する感度を増加するほかに、距離の遠い照明からの光に対する感度を低減するための技術が望まれる。
本発明の目的は前記した課題に鑑み、周辺の照明環境に応じた画質調整を改良した画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は、画像表示部における周辺光の照度を検出するための内蔵された光センサと、前記光センサに前記周辺光を導くための導光レンズを有する画像表示装置であって、前記導光体は、一端面が前記画像表示装置の外部に向けて取付けられ、前記一端面は、高さ方向に対し傾きの異なる鋸歯状の突起を有することを特徴としている。
【0008】
また本発明は、前記画像表示装置において、前記鋸歯状の突起は、前記導光体に対する入射角が所定範囲内である前記周辺光を、入射角が所定の角度以下である前記周辺光よりも多く前記光センサに導くように形成されていることを特徴としている。
また本発明は、前記画像表示装置に置いて、前記鋸歯状の突起は、その上側斜面が前記導光体の光軸方向に対して成す角度の絶対値θ1と、その下側斜面が前記導光体の光軸方向に対して成す角度の絶対値θ2において、θ2はθ1よりも大きく、θ1とθ2の和は90度以下であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、周辺の照明環境に応じた画質調整を改良した画像表示装置を提供でき、ユーザの視聴環境の改善に寄与できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像表示装置と照明の設置状況の一例を示す図である。
【図2】画像表示装置の一例を示す正面図である。
【図3】従来の導光レンズの一例を示す断面図である。
【図4】従来の導光レンズにおける光路の一例を示す図である。
【図5】従来の導光レンズにおける光路の別な一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施例における導光レンズの外観図である。
【図7】本発明の一実施例における導光レンズの断面図である。
【図8】本発明の一実施例における導光レンズの部分拡大図である。
【図9A】本発明の一実施例における導光レンズの部分拡大図である。
【図9B】本発明の一実施例における導光レンズの光路の例を示す図である。
【図9C】本発明の一実施例における導光レンズの光路の別な例を示す図である。
【図10A】本発明の一実施例における導光レンズの光路の第1例を示す図である。
【図10B】本発明の一実施例における導光レンズの光路の第2例を示す図である。
【図10C】本発明の一実施例における導光レンズの光路の第3例を示す図である。
【図10D】本発明の一実施例における導光レンズの光路の第4例を示す図である。
【図11】本発明の一実施例における導光レンズの細部の部分拡大図である。
【図12A】本発明の一実施例を含む光源からの距離と検出照度の特性図である。
【図12B】図12Aの特性図の測定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、画像表示装置が家庭のリビングに置かれた状況について考察する。
図1は、画像表示装置と照明の設置状況の一例を示す図である。画像表示装置1はスタンド2に搭載され、ユーザが見易い高さに位置している。図1では画像表示装置1は左側面から描かれており、その表示部は右側に向けられている。
【0012】
最近のリビングでは照明を二個備えることが多く、図1でも照明3と照明4の二つを示している。いずれかがリビング全体の照明であり、残る一方が例えばダイニングテーブル(図示せず)の照明であるとする。照明3、照明4とも画像表示装置1よりは相当高い位置にあり、例えば天井に直付けされることも多い。画像表示装置1は、照明3からの光線3Aと、照明4からの光線4Aの双方により照射される。
【0013】
図1において、例えばリビングの天井の高さが2.5m程度、幅(図の横方向)が5m程度とする。この場合、画像表示装置1からの距離が遠い照明4からの光線4Aの画像表示装置1に対する入射角(画像表示装置に対する垂線、即ち図1の水平方向に対する角度)は、例えば30度以下であることが多い。これに対して距離が近い照明3からの光線3Aの画像表示装置1に対する入射角は、40度から45度程度、多めに見積もっても30度から60度程度であることが多い。
【0014】
図2は、画像表示装置1の一例を示す正面図であり、図1の右側から描いたものである。画像表示装置1は導光レンズ11、赤外線受光レンズ12、表示部(表示パネル)13を有している。表示部13の傍らに、リモコン(図示せず)からの制御信号を含む赤外線を受光するための赤外線受光レンズ12が設けられている。例えば、赤外線受光レンズ12の近傍に前記した導光体である導光レンズ11が設けられた例を、図2は示している。
【0015】
図3は、従来の導光レンズ11の一例を示す断面図であり、図2の左側から見た場合を示している。導光レンズ11は、その一端面を画像表示装置1の前側外部に向けて、前枠(フレーム)14、または図示しない支持部材に取付けられている。導光レンズ11の反対側の一端面は、例えば回路基板15に取付けられた光センサ16に対向している。導光レンズ11により画像表示装置1の内部に導かれた前記照明3や照明4からの光は、光センサ16に照射される。光センサ16は受光した光の照度を検出する。
【0016】
次に画像表示装置1に対する光の入射角と、導光レンズ11の内部での光の伝播の関係について説明する。
図4は、従来の導光レンズにおける光路の一例を示す図であり、例えば図1の照明3からの光線3Aのように、大きな入射角(例えば60度以上)を有する光線の伝播路の一例を示している。
【0017】
近くの照明3からの光線3Aの画像表示装置1に対する入射角は、図4に示すように大きい。このため、破線で示すような導光レンズ11の表面での全反射光が多くなる。さらに、導光レンズ11の内部に屈折して入射した光は、光センサ16に至るまでに、図示したような導光レンズ11の表面での全反射を何度も繰返すこととなる。このため、導光レンズ11から外部に洩れる光が多くなる。以上の理由で、近くの照明3からの光線3Aは導光レンズ11に照射されても、実際に光センサ16に至る成分は、例えばその10%に満たない場合が多い。
【0018】
一方、図5は、従来の導光レンズにおける光路の別な一例を示す図であり、例えば図1の照明4からの光線4Aのように、小さな入射角(例えば30度以下)を有する光線の伝播路の一例を示している。
【0019】
遠くの照明4からの光線4Aの画像表示装置1に対する入射角は、図5に示すように小さい。このため、破線で示すような導光レンズ11の表面での全反射光は小さい。さらに、導光レンズ11の内部に屈折して入射した光については、光センサ16に至るまでに、前記した導光レンズ11の表面で全反射する回数が少ない。このため、導光レンズ11から外部に洩れる光は少ない。以上の理由で、遠くの照明4からの光線4Aは導光レンズ11に照射された後、高い効率で光センサ16に至る。
【0020】
このため、図3で示した導光レンズ11を使用した場合、画像表示装置1を照射する光の照度は、近い照明3により支配され易いにもかかわらず、光センサ16で検出される光の照度は、遠い照明4により支配され易いという矛盾がある。
【0021】
本発明の一実施例は前記した問題を解決するための実施例であり、さらに図面を用いて説明する。
図6は、本発明の一実施例における、周辺光を光センサへ導くための導光体である導光レンズ110の外観図であり、図7は、本発明の一実施例における導光レンズ110の断面図である。図7は、図6における導光レンズの中心を通る垂直方向の断面図を示している。
即ち、本実施例においては、導光レンズ110の画像表示装置1の外部に向けられた一端面は、その断面が鋸歯状(三角形)の斜面を有しており、斜面の傾き角度は図6の高さ方向に対して変えている。
【0022】
導光レンズ110が、この一端面を有することにより、画像表示装置1に対して例えば30度から60度という大きな入射角を有する光線を、効率良く光センサ16に導くため、近くの照明3からの光線に対する光センサ16の感度を増加させることができる。一方、例えば30度以下という小さな入射角を有する光線を、光センサ16に届き難くするよう導光レンズ110の表面で全反射ないし屈折させるため、遠くの照明4からの光線に対する光センサ16の感度を低減させることができる。
以上のようにすることで、画像表示装置1を照射する光の照度と、光センサ16で検出される光の照度が、互いに対応した関係となるようにしている。
【0023】
次に本実施例における導光レンズ110につき、さらに詳しく説明する。
図8は、本発明の一実施例における導光レンズ110の部分拡大図であり、図7の断面図のうちで前記した鋸歯状の斜面部分を示したものである。図8で横方向の破線で示した導光レンズの光軸に対して、最も上側の鋸歯状の突起は上側で+14.8度、下側で−25.91度の角度を有している。順に各突起は、+11.6度と−28.58度、+6.8度と−31.7度、+3.7度と−34.42度、+3.7度と−34.42度、+6.8度と−29.5度、+11.6度と−24.5度、+14.8度と−20.2度の角度を有している。即ち、前記した鋸歯状の突起は、中心付近にあるものは上下端にあるものと比較して、上側の面は斜面の傾斜が緩やかであり、下側の面は斜面の傾斜が急である。
【0024】
図8に示した導光レンズ110に対して各入射角で入射した光の光路について説明する。なお、導光レンズ110に対する入射角とは、図8における横方向の破線(即ち光軸)に対する角度を指す。
図9Aは、本発明の一実施例における導光レンズ110の部分拡大図であり、図8と同様であるが、このうち次に光路を述べる比較的上側の突起Bと、中央付近の突起Cを選択して符号を付している。図9Bは、本発明の一実施例における導光レンズ110の光路の例を示す図であり、図9Aの突起Bにおける光路を示している。図9Cは、本発明の一実施例における導光レンズ110の光路の別な例を示す図であり、図9Aの突起Cにおける光路を示している。
【0025】
図9Bにおいて、突起Bの上側の斜面は比較的急であるため、例えば40度の入射角で入射した光は上側の斜面で全反射することは少なく、多くは内部へ屈折して下側の斜面で全反射されて光センサ16に照射される。一方、例えば20度以下の入射角で入射した光は内部へ屈折したとしても、多くは下側の斜面に当たることはなく、光センサ16に照射されない。なお、図示していないが、例えば60度以上の入射角で入射した光は、内部へ屈折して下側の斜面で全反射されたとしても、図の右上方向に向かうため、多くは光センサ16に照射されない。即ち突起Bは、例えば40度の入射角で入射する光を選択的に光センサ16に照射するように機能している。
【0026】
図9Cにおいて、突起Cの上側の斜面は比較的緩やかであるが、例えば60度と大き目の入射角で入射した光は上側の斜面で全反射することは少なく、多くは内部へ屈折して下側の斜面で全反射されて光センサ16に照射される。一方、例えば20度以下の入射角で入射した光は内部へ屈折したとしても、多くは下側の斜面に当たることはなく、光センサ16に照射されない。なお、図示していないが、例えば70度以上の入射角で入射した光は、内部へ屈折して下側の斜面で全反射されたとしても、図の右上方向に向かうため、多くは光センサ16に照射されない。即ち突起Cは、例えば60度の入射角で入射する光を選択的に光センサ16に照射するように機能している。
【0027】
次に導光レンズ110の半径方向位置と、光センサ16に照射される光の入射角について説明する。
図10A〜図10Dは、本発明の一実施例における導光レンズ110の光路の例を示す図であり、順に入射角が60度、50度、40度、30度の光が光センサ16に照射される場合の光路を示している。
【0028】
即ち、入射角60度付近の光は、導光レンズ110の中央付近の突起に入射した成分が光センサ16に照射される。中央から周辺に向かうに伴い、入射角の小さい光を光センサ16に照射するように、導光レンズ110が機能していることが分かる。即ち、比較的近い位置にある光源3からの光は、導光レンズ110に対して例えば30度から60度程度の入射角で入射するため、導光レンズ110に設けられた各突起により選択的に光センサ16に照射される。
【0029】
一方、遠い位置にある光源4からの光は、導光レンズ110に対して例えば30度以下の入射角で入射するため、導光レンズのいずれの突起によっても光センサ16に照射されることは少ない。
このため、光センサ16により検出される照度は、近い位置にある光源4からの光に支配されるようになり、画像表示装置1の表示部13における周辺光の照度を反映することができる。
【0030】
図11は、本発明の一実施例における導光レンズ110の細部の部分拡大図である。前記した鋸歯状の突起については、図11の横方向の破線(光軸)に対する上側斜面の角度θ1と下側斜面の角度θ2において、
θ1<θ2 かつ θ1+θ2<90度
で示される範囲において、適切な角度を得ることができる。
【0031】
次に、本実施例と従来例を比較した光センサ16における光の検出照度について、実測した特性を示す。
図12Aは、本発明の一実施例を含む光源からの距離と検出照度の特性図であり、図12Bは、図12Aの特性図の測定方法を示す図である。
【0032】
図12Bに示すように、画像表示装置を光源から0.5mから3.5mの範囲で移動させて測定した、光源と画像表示装置の距離(図12Aの横軸)と光センサの検出照度(図12Aの縦軸)の間の特性を図12Aに示す。
即ち、破線で示した従来例においては、前記したとおり、遠くの光源からの光に対して検出した照度が大きい問題がある。一方、実線で示した本実施例においては、近くの光源からの光に対して検出した照度が大きくなっており、所期の目的を達成できたことが分かる。
【0033】
ここまで示した実施形態は一例であって、本発明を限定するものではない。例えば、図6において鋸歯状の突起を8個示しているが、何個で設計しても良い。光センサへ照射する光の入射角についても、これまで示した値は一例であって、他の値とすることもできる。また、導光レンズ110の応用対象はテレビジョンのような画像表示装置に限らず、他の装置、例えば電子的な表示方法を用いない画像表示装置であっても良い。そのほかにも、本発明の趣旨に基づきながら異なる実施形態を考えられるが、いずれも本発明の範疇にある。
【符号の説明】
【0034】
1:画像表示装置、3,4:照明、13:表示部、16:光センサ、110:導光レンズ。
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置に係り、特に周辺の照明環境に応じた画質調整を改良した画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイや液晶ディスプレイをはじめとする画像表示装置においては、該装置の周辺の照明環境に対する画質調整方法の開発が進められている。画像表示部における周辺の照明からの照度が高い場合には、例えば輝度、コントラスト、鮮鋭度、色の濃さや色温度を変えることで、ユーザが画像を鮮明に見ることができるようにする。反対に照度が低い場合には、例えば輝度を下げることで消費電力を低減する。
【0003】
このため画像表示装置には、画像表示部における周辺からの光の照度を検出するための光センサが設けられている。デザイン上の観点から、光センサが画像表示装置の外部から見えることは好ましくないため、光センサは画像表示装置の内部に設けられている。従って、周辺光を光センサに導くための導光レンズが必要となる。導光レンズの一端面は、例えば画像表示装置の外部に向け、デザイン上問題とならないように取付けられている。
【0004】
実際に画像表示装置が家庭のリビングに置かれた状況を考える。照明装置は部屋の高い位置にあり、距離の遠い照明からの光は導光レンズへの入射角が小さくなるため、導光レンズを通過して光センサに到達し易い傾向がある。実際に知りたい画像表示部における周辺の照明からの照度は、距離の近い照明の光に支配されているので、光センサが検出する照度との間で相違が出ることが多い。
特許文献1においては前記した問題に対応するため、導光レンズを両凹レンズとして、距離の近い照明からの光を光センサに到達し易くする技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−11209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1においても、距離の遠い照明からの光を積極的に排除するには到らない。前記した画質調整に、画像表示部における周辺光の照度を正しく反映するには、距離の近い照明からの光に対する感度を増加するほかに、距離の遠い照明からの光に対する感度を低減するための技術が望まれる。
本発明の目的は前記した課題に鑑み、周辺の照明環境に応じた画質調整を改良した画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は、画像表示部における周辺光の照度を検出するための内蔵された光センサと、前記光センサに前記周辺光を導くための導光レンズを有する画像表示装置であって、前記導光体は、一端面が前記画像表示装置の外部に向けて取付けられ、前記一端面は、高さ方向に対し傾きの異なる鋸歯状の突起を有することを特徴としている。
【0008】
また本発明は、前記画像表示装置において、前記鋸歯状の突起は、前記導光体に対する入射角が所定範囲内である前記周辺光を、入射角が所定の角度以下である前記周辺光よりも多く前記光センサに導くように形成されていることを特徴としている。
また本発明は、前記画像表示装置に置いて、前記鋸歯状の突起は、その上側斜面が前記導光体の光軸方向に対して成す角度の絶対値θ1と、その下側斜面が前記導光体の光軸方向に対して成す角度の絶対値θ2において、θ2はθ1よりも大きく、θ1とθ2の和は90度以下であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、周辺の照明環境に応じた画質調整を改良した画像表示装置を提供でき、ユーザの視聴環境の改善に寄与できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像表示装置と照明の設置状況の一例を示す図である。
【図2】画像表示装置の一例を示す正面図である。
【図3】従来の導光レンズの一例を示す断面図である。
【図4】従来の導光レンズにおける光路の一例を示す図である。
【図5】従来の導光レンズにおける光路の別な一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施例における導光レンズの外観図である。
【図7】本発明の一実施例における導光レンズの断面図である。
【図8】本発明の一実施例における導光レンズの部分拡大図である。
【図9A】本発明の一実施例における導光レンズの部分拡大図である。
【図9B】本発明の一実施例における導光レンズの光路の例を示す図である。
【図9C】本発明の一実施例における導光レンズの光路の別な例を示す図である。
【図10A】本発明の一実施例における導光レンズの光路の第1例を示す図である。
【図10B】本発明の一実施例における導光レンズの光路の第2例を示す図である。
【図10C】本発明の一実施例における導光レンズの光路の第3例を示す図である。
【図10D】本発明の一実施例における導光レンズの光路の第4例を示す図である。
【図11】本発明の一実施例における導光レンズの細部の部分拡大図である。
【図12A】本発明の一実施例を含む光源からの距離と検出照度の特性図である。
【図12B】図12Aの特性図の測定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、画像表示装置が家庭のリビングに置かれた状況について考察する。
図1は、画像表示装置と照明の設置状況の一例を示す図である。画像表示装置1はスタンド2に搭載され、ユーザが見易い高さに位置している。図1では画像表示装置1は左側面から描かれており、その表示部は右側に向けられている。
【0012】
最近のリビングでは照明を二個備えることが多く、図1でも照明3と照明4の二つを示している。いずれかがリビング全体の照明であり、残る一方が例えばダイニングテーブル(図示せず)の照明であるとする。照明3、照明4とも画像表示装置1よりは相当高い位置にあり、例えば天井に直付けされることも多い。画像表示装置1は、照明3からの光線3Aと、照明4からの光線4Aの双方により照射される。
【0013】
図1において、例えばリビングの天井の高さが2.5m程度、幅(図の横方向)が5m程度とする。この場合、画像表示装置1からの距離が遠い照明4からの光線4Aの画像表示装置1に対する入射角(画像表示装置に対する垂線、即ち図1の水平方向に対する角度)は、例えば30度以下であることが多い。これに対して距離が近い照明3からの光線3Aの画像表示装置1に対する入射角は、40度から45度程度、多めに見積もっても30度から60度程度であることが多い。
【0014】
図2は、画像表示装置1の一例を示す正面図であり、図1の右側から描いたものである。画像表示装置1は導光レンズ11、赤外線受光レンズ12、表示部(表示パネル)13を有している。表示部13の傍らに、リモコン(図示せず)からの制御信号を含む赤外線を受光するための赤外線受光レンズ12が設けられている。例えば、赤外線受光レンズ12の近傍に前記した導光体である導光レンズ11が設けられた例を、図2は示している。
【0015】
図3は、従来の導光レンズ11の一例を示す断面図であり、図2の左側から見た場合を示している。導光レンズ11は、その一端面を画像表示装置1の前側外部に向けて、前枠(フレーム)14、または図示しない支持部材に取付けられている。導光レンズ11の反対側の一端面は、例えば回路基板15に取付けられた光センサ16に対向している。導光レンズ11により画像表示装置1の内部に導かれた前記照明3や照明4からの光は、光センサ16に照射される。光センサ16は受光した光の照度を検出する。
【0016】
次に画像表示装置1に対する光の入射角と、導光レンズ11の内部での光の伝播の関係について説明する。
図4は、従来の導光レンズにおける光路の一例を示す図であり、例えば図1の照明3からの光線3Aのように、大きな入射角(例えば60度以上)を有する光線の伝播路の一例を示している。
【0017】
近くの照明3からの光線3Aの画像表示装置1に対する入射角は、図4に示すように大きい。このため、破線で示すような導光レンズ11の表面での全反射光が多くなる。さらに、導光レンズ11の内部に屈折して入射した光は、光センサ16に至るまでに、図示したような導光レンズ11の表面での全反射を何度も繰返すこととなる。このため、導光レンズ11から外部に洩れる光が多くなる。以上の理由で、近くの照明3からの光線3Aは導光レンズ11に照射されても、実際に光センサ16に至る成分は、例えばその10%に満たない場合が多い。
【0018】
一方、図5は、従来の導光レンズにおける光路の別な一例を示す図であり、例えば図1の照明4からの光線4Aのように、小さな入射角(例えば30度以下)を有する光線の伝播路の一例を示している。
【0019】
遠くの照明4からの光線4Aの画像表示装置1に対する入射角は、図5に示すように小さい。このため、破線で示すような導光レンズ11の表面での全反射光は小さい。さらに、導光レンズ11の内部に屈折して入射した光については、光センサ16に至るまでに、前記した導光レンズ11の表面で全反射する回数が少ない。このため、導光レンズ11から外部に洩れる光は少ない。以上の理由で、遠くの照明4からの光線4Aは導光レンズ11に照射された後、高い効率で光センサ16に至る。
【0020】
このため、図3で示した導光レンズ11を使用した場合、画像表示装置1を照射する光の照度は、近い照明3により支配され易いにもかかわらず、光センサ16で検出される光の照度は、遠い照明4により支配され易いという矛盾がある。
【0021】
本発明の一実施例は前記した問題を解決するための実施例であり、さらに図面を用いて説明する。
図6は、本発明の一実施例における、周辺光を光センサへ導くための導光体である導光レンズ110の外観図であり、図7は、本発明の一実施例における導光レンズ110の断面図である。図7は、図6における導光レンズの中心を通る垂直方向の断面図を示している。
即ち、本実施例においては、導光レンズ110の画像表示装置1の外部に向けられた一端面は、その断面が鋸歯状(三角形)の斜面を有しており、斜面の傾き角度は図6の高さ方向に対して変えている。
【0022】
導光レンズ110が、この一端面を有することにより、画像表示装置1に対して例えば30度から60度という大きな入射角を有する光線を、効率良く光センサ16に導くため、近くの照明3からの光線に対する光センサ16の感度を増加させることができる。一方、例えば30度以下という小さな入射角を有する光線を、光センサ16に届き難くするよう導光レンズ110の表面で全反射ないし屈折させるため、遠くの照明4からの光線に対する光センサ16の感度を低減させることができる。
以上のようにすることで、画像表示装置1を照射する光の照度と、光センサ16で検出される光の照度が、互いに対応した関係となるようにしている。
【0023】
次に本実施例における導光レンズ110につき、さらに詳しく説明する。
図8は、本発明の一実施例における導光レンズ110の部分拡大図であり、図7の断面図のうちで前記した鋸歯状の斜面部分を示したものである。図8で横方向の破線で示した導光レンズの光軸に対して、最も上側の鋸歯状の突起は上側で+14.8度、下側で−25.91度の角度を有している。順に各突起は、+11.6度と−28.58度、+6.8度と−31.7度、+3.7度と−34.42度、+3.7度と−34.42度、+6.8度と−29.5度、+11.6度と−24.5度、+14.8度と−20.2度の角度を有している。即ち、前記した鋸歯状の突起は、中心付近にあるものは上下端にあるものと比較して、上側の面は斜面の傾斜が緩やかであり、下側の面は斜面の傾斜が急である。
【0024】
図8に示した導光レンズ110に対して各入射角で入射した光の光路について説明する。なお、導光レンズ110に対する入射角とは、図8における横方向の破線(即ち光軸)に対する角度を指す。
図9Aは、本発明の一実施例における導光レンズ110の部分拡大図であり、図8と同様であるが、このうち次に光路を述べる比較的上側の突起Bと、中央付近の突起Cを選択して符号を付している。図9Bは、本発明の一実施例における導光レンズ110の光路の例を示す図であり、図9Aの突起Bにおける光路を示している。図9Cは、本発明の一実施例における導光レンズ110の光路の別な例を示す図であり、図9Aの突起Cにおける光路を示している。
【0025】
図9Bにおいて、突起Bの上側の斜面は比較的急であるため、例えば40度の入射角で入射した光は上側の斜面で全反射することは少なく、多くは内部へ屈折して下側の斜面で全反射されて光センサ16に照射される。一方、例えば20度以下の入射角で入射した光は内部へ屈折したとしても、多くは下側の斜面に当たることはなく、光センサ16に照射されない。なお、図示していないが、例えば60度以上の入射角で入射した光は、内部へ屈折して下側の斜面で全反射されたとしても、図の右上方向に向かうため、多くは光センサ16に照射されない。即ち突起Bは、例えば40度の入射角で入射する光を選択的に光センサ16に照射するように機能している。
【0026】
図9Cにおいて、突起Cの上側の斜面は比較的緩やかであるが、例えば60度と大き目の入射角で入射した光は上側の斜面で全反射することは少なく、多くは内部へ屈折して下側の斜面で全反射されて光センサ16に照射される。一方、例えば20度以下の入射角で入射した光は内部へ屈折したとしても、多くは下側の斜面に当たることはなく、光センサ16に照射されない。なお、図示していないが、例えば70度以上の入射角で入射した光は、内部へ屈折して下側の斜面で全反射されたとしても、図の右上方向に向かうため、多くは光センサ16に照射されない。即ち突起Cは、例えば60度の入射角で入射する光を選択的に光センサ16に照射するように機能している。
【0027】
次に導光レンズ110の半径方向位置と、光センサ16に照射される光の入射角について説明する。
図10A〜図10Dは、本発明の一実施例における導光レンズ110の光路の例を示す図であり、順に入射角が60度、50度、40度、30度の光が光センサ16に照射される場合の光路を示している。
【0028】
即ち、入射角60度付近の光は、導光レンズ110の中央付近の突起に入射した成分が光センサ16に照射される。中央から周辺に向かうに伴い、入射角の小さい光を光センサ16に照射するように、導光レンズ110が機能していることが分かる。即ち、比較的近い位置にある光源3からの光は、導光レンズ110に対して例えば30度から60度程度の入射角で入射するため、導光レンズ110に設けられた各突起により選択的に光センサ16に照射される。
【0029】
一方、遠い位置にある光源4からの光は、導光レンズ110に対して例えば30度以下の入射角で入射するため、導光レンズのいずれの突起によっても光センサ16に照射されることは少ない。
このため、光センサ16により検出される照度は、近い位置にある光源4からの光に支配されるようになり、画像表示装置1の表示部13における周辺光の照度を反映することができる。
【0030】
図11は、本発明の一実施例における導光レンズ110の細部の部分拡大図である。前記した鋸歯状の突起については、図11の横方向の破線(光軸)に対する上側斜面の角度θ1と下側斜面の角度θ2において、
θ1<θ2 かつ θ1+θ2<90度
で示される範囲において、適切な角度を得ることができる。
【0031】
次に、本実施例と従来例を比較した光センサ16における光の検出照度について、実測した特性を示す。
図12Aは、本発明の一実施例を含む光源からの距離と検出照度の特性図であり、図12Bは、図12Aの特性図の測定方法を示す図である。
【0032】
図12Bに示すように、画像表示装置を光源から0.5mから3.5mの範囲で移動させて測定した、光源と画像表示装置の距離(図12Aの横軸)と光センサの検出照度(図12Aの縦軸)の間の特性を図12Aに示す。
即ち、破線で示した従来例においては、前記したとおり、遠くの光源からの光に対して検出した照度が大きい問題がある。一方、実線で示した本実施例においては、近くの光源からの光に対して検出した照度が大きくなっており、所期の目的を達成できたことが分かる。
【0033】
ここまで示した実施形態は一例であって、本発明を限定するものではない。例えば、図6において鋸歯状の突起を8個示しているが、何個で設計しても良い。光センサへ照射する光の入射角についても、これまで示した値は一例であって、他の値とすることもできる。また、導光レンズ110の応用対象はテレビジョンのような画像表示装置に限らず、他の装置、例えば電子的な表示方法を用いない画像表示装置であっても良い。そのほかにも、本発明の趣旨に基づきながら異なる実施形態を考えられるが、いずれも本発明の範疇にある。
【符号の説明】
【0034】
1:画像表示装置、3,4:照明、13:表示部、16:光センサ、110:導光レンズ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示部における周辺光の照度を検出するための内蔵された光センサと、前記光センサに前記周辺光を導くための導光体を有する画像表示装置であって、
前記導光体は、一端面が前記画像表示装置の外部に向けて取付けられ、
前記一端面は、高さ方向に対し傾きの異なる鋸歯状の突起を有する
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置において、前記鋸歯状の突起は、前記導光体に対する入射角が所定範囲内である前記周辺光を、入射角が所定の角度以下である前記周辺光よりも多く前記光センサに導くように形成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像表示装置において、前記鋸歯状の突起は、その上側斜面が前記導光体の光軸方向に対して成す角度の絶対値θ1と、その下側斜面が前記導光レンズの光軸方向に対して成す角度の絶対値θ2において、θ2はθ1よりも大きく、θ1とθ2の和は90度以下であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像表示装置において、前記入射角の所定範囲とは30度以上60度以内であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項2に記載の画像表示装置において、前記入射角の所定の角度とは30度以内であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項1】
画像表示部における周辺光の照度を検出するための内蔵された光センサと、前記光センサに前記周辺光を導くための導光体を有する画像表示装置であって、
前記導光体は、一端面が前記画像表示装置の外部に向けて取付けられ、
前記一端面は、高さ方向に対し傾きの異なる鋸歯状の突起を有する
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置において、前記鋸歯状の突起は、前記導光体に対する入射角が所定範囲内である前記周辺光を、入射角が所定の角度以下である前記周辺光よりも多く前記光センサに導くように形成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像表示装置において、前記鋸歯状の突起は、その上側斜面が前記導光体の光軸方向に対して成す角度の絶対値θ1と、その下側斜面が前記導光レンズの光軸方向に対して成す角度の絶対値θ2において、θ2はθ1よりも大きく、θ1とθ2の和は90度以下であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像表示装置において、前記入射角の所定範囲とは30度以上60度以内であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項2に記載の画像表示装置において、前記入射角の所定の角度とは30度以内であることを特徴とする画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【公開番号】特開2011−223238(P2011−223238A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89372(P2010−89372)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
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