説明

画像表示装置

【課題】走査部によるレーザ光の走査タイミングのずれを防止し、表示される画像を安定させることのできる走査型画像表示装置を提供する。
【解決手段】 互いに異なる色の光束を画像信号に応じて出射する複数の光源を有し、複数の光源から出射する光束を合波して1本の光束として出射する光源部と、光源部から出射された光束を2次元走査する走査部と、走査部による光束の走査領域のうち、表示画像を形成する領域外である無効走査領域に設けられ、走査部による光束の走査タイミングを検出するために光源部から出射される検査用光の光量を検出する光検出部と、検査用光の各色毎の出射光量と、光検出部により検出された検査用光の光量に基づいて、検査用光の光量を調整する制御部と、を備え、前記制御部は、検査用光の各色毎の出射光量を、複数の光源の出射の優先度を定めた所定の条件に応じて調整する走査型画像表示装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関するものであり、特に、光源から出射された画像形成用の光を2次元走査して画像を表示する走査型画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像信号に基づいて生成した画像形成用光を2次元走査して画像を表示する走査型画像表示装置が知られている。
【0003】
このような走査型画像表示装置として、供給される電流に応じた強度の光を出射する光源を有する光源部と、この光源部の光源から出射された光を2次元走査する走査部と、この走査部による走査位置が有効走査範囲のときに、画像信号に応じた大きさの電流を順次光源に供給する駆動制御部とを有するものが知られている。
【0004】
上記走査型画像表示装置では、光源部の光源が光を出射する際に発生する熱や外気温の変化等に起因して、光源の閾値電流値が変化する。このように光源の閾値電流値が変化した場合、光源の電流−発光量特性が変化することから、表示する画像の輝度が安定しないといった問題が生じる。
【0005】
そこで、本願出願人は、特許文献1において、走査部による有効走査範囲外の所定の位置に光検出部を設け、光源部から複数の検査用光を出力して、光検出部で検出される検査用光の強度に基づいて光源の電流−発光量特性を演算し、光源に供給する閾値電流値を調整する技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−244797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の技術により、光源部の光源が光を出射する際に発生する熱や外気温の変化等に起因する画像の輝度の変化を抑え、安定した画像を表示させることができる。ところが、光源部と走査部との接続に用いられる光ファイバケーブルの接続不良や、光源部の経年変化により、光源部から出力されるレーザ光の光量が変化する場合がある。レーザ光の光量が変化すると、走査部による1フレーム単位でのレーザ光の走査タイミングにずれが生じ、この結果、表示される画像が鮮明でなくなる虞がある。
【0008】
そこで、有効走査範囲外の所定の位置に設けられた光検出部を利用し、光源部から検査用光を出射して、光検出部で検出した検査用光の光量が目標値内となるように調整する必要がある。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、走査部によるレーザ光の走査タイミングのずれを防止し、表示される画像を安定させることのできる走査型画像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題を解決するために、請求項1に記載の画像表示装置では、互いに異なる色の光束を画像信号に応じて出射する複数の光源を有し、前記複数の光源から出射する光束を合波して1本の光束として出射する光源部と、前記光源部から出射された光束を2次元走査する走査部と、前記走査部による光束の走査領域のうち、表示画像を形成する範囲外である無効走査範囲に設けられ、前記走査部による光束の走査タイミングを検出するために前記光源部から出射される検査用光の光量を検出する光検出部と、前記検査用光の各色毎の出射光量と、前記光検出部により検出された前記検査用光の光量に基づいて、前記検査用光の光量を調整する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検査用光の各色毎の出射光量を、前記複数の光源の出射の優先度を定めた所定の条件に応じて調整することを特徴とする走査型画像表示装置とした。
【0011】
また、請求項2に記載の走査型画像表示装置では、請求項1に記載の走査型画像表示装置において、前記所定の条件は、前記光検出部の検出感度が最も高い色ほど優先度が高いことを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の走査型画像表示装置では、請求項1に記載の走査型画像表示装置において、前記所定の条件は、寿命の最も長い光源ほど優先度が高いことを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の走査型画像表示装置では、請求項1に記載の走査型画像表示装置において、前記所定の条件は、前記検査用光の光量の調整時点からの寿命が長い光源ほど優先度が高いことを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に記載の走査型画像表示装置では、請求項1に記載の走査型画像表示装置において、前記所定の条件は、コストの最も低い光源ほど優先度が高いことを特徴とする。
【0015】
また、請求項6に記載の走査型画像表示装置では、請求項1に記載の走査型画像表示装置において、前記所定の条件は、視感度の最も低い色ほど優先度が高いことを特徴とする。
【0016】
また、請求項7に記載の走査型画像表示装置では、請求項1〜6のいずれか1項に記載の走査型画像表示装置において、前記制御部は、前記検査用光の光量の調整を、装置起動時に行うことを特徴とする。
【0017】
また、請求項8に記載の走査型画像表示装置では、請求項1〜6のいずれか1項に記載の走査型画像表示装置において、前記制御部は、前記検査用光の光量の調整を、表示画像の表示中に行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、駆動制御部は、所定の条件に基づいて選択された優先度の高い光源から検査用光を出射させた後、光検出部により検出された検査用光の光量に基づいて、検査用光の光量を調整することができる。これにより、光源から出力されるレーザ光の光量の変化による走査部によるレーザ光の走査タイミングのずれを防止することができ、表示される画像を安定させることのできる走査型画像表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態の走査型画像表示装置の構成を示す説明図である。
【図2】本実施形態における走査部によるレーザ光の走査態様を説明するための図である。
【図3】本実施形態における走査部によるレーザ光の走査態様を説明するための図である。
【図4】本実施形態の光検出部及び遮光部の配置を示す図である。
【図5】本実施形態の制御部の電気的構成を示したブロック図である。
【図6】本実施形態で実行される処理を示したフローチャートである。
【図7】本実施形態の所定の条件に応じた出射優先度設定テーブルを示す図である。
【図8】本実施形態で実行される処理を示したフローチャートである。
【図9】本実施形態の検査用光及び画像形成用光の出射タイミングを説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に好適な実施形態を具体的に図面に基づいて説明する。以下の説明では、光を出射する光源を有する光源部と、光源から出射された光を2次元走査する走査部とを備え、走査部により走査した画像形成用光をユーザの少なくとも一方の網膜上に投射して画像を表示する網膜走査型の画像表示装置を一例として説明する。なお、本発明は、網膜走査型の画像表示装置に限定されるものではなく、例えば、走査部により走査した画像形成用光をスクリーン面に投影して画像を表示する画像投影装置のほか、光を走査して画像を表示する画像表示装置であれば適用することができる。
【0021】
〔画像表示装置の概要〕
本実施形態の網膜走査型画像表示装置1(以下、「走査型画像表示装置1」という。)の構成を、図1〜3を用いて説明する。図1は本実施形態の走査型画像表示装置1を示す説明図、図2及び図3は走査型画像表示装置1の走査部によるレーザ光の走査態様を説明するための図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の走査型画像表示装置1は、駆動制御部10と、光源部20と、光合成部30と、光ファイバ40と、走査部50と、リレー光学60とを備えている。
【0023】
駆動制御部10は、外部から入力される画像信号Sに基づいて画像を合成するための要素となる各信号を発生する画像信号供給回路11と、この画像信号供給回路11を制御して光源部20から出射するレーザ光の光量等を調整する制御部12と、Rレーザドライバ16と、Gレーザドライバ17と、Bレーザドライバ18とを有している。
【0024】
各レーザドライバ16,17,18は、画像信号供給回路11から画像信号として伝達される3原色の赤(R)、緑(G)、青(B)の各画像信号13r,13g,13bを基に、それぞれ強度変調された各色のレーザ光を出射するように光源部20を駆動する。
【0025】
光源部20は、3原色にそれぞれ対応する複数の光源として、赤色(R)のレーザ光を出射するRレーザ21と、緑色(G)のレーザ光を出射するGレーザ22と、青色(B)のレーザ光を出射するBレーザ23とを備えている。
【0026】
これらのRレーザ21、Gレーザ22、Bレーザ23は、Rレーザドライバ16,Gレーザドライバ17,Bレーザドライバ18から供給される電流(駆動電流)の値に応じた強度のレーザ光を出射する光源として機能するものであり、例えば、半導体レーザや高調波発生機構付き固体レーザとして構成することが可能である。なお、半導体レーザを用いる場合は駆動電流を直接変調して、レーザ光の強度変調を行うことができるが、固体レーザを用いる場合は、各レーザそれぞれに外部変調器を備えてレーザ光の強度変調を行う必要がある。
【0027】
光合成部30は、各レーザ21,22,23より出射されたレーザ光をそれぞれ平行光にコリメートするコリメート光学系31と、コリメートした各レーザ光を合波するダイクロイックミラー32と、合波したレーザ光を光ファイバ40に導く結合光学系33とを備えている。
【0028】
走査部50は、光源部20から光合成部30及び光ファイバ40を介して伝搬されたレーザ光を水平走査部52に導くコリメート光学系51と、このコリメート光学系51によりコリメートしたレーザ光を、走査素子52aを利用して水平方向に走査する水平走査部52と、この水平走査部52によって走査したレーザ光を垂直走査部54に導くリレー光学53と、水平走査部52に走査され、リレー光学53を介して入射されたレーザ光を、ガルバノミラー54aを利用して垂直方向に走査する垂直走査部54とを備えている。
【0029】
この走査部において水平走査部52は、表示すべき画像の1ラインの走査線毎に、レーザ光を第1走査方向である水平方向に対して相対的に高速に水平走査する高速走査部として機能するものであり、レーザ光を反射面52bにより水平方向に走査する走査素子52aと、その走査素子52aの駆動制御を行う水平走査制御回路52cとを備えている。
【0030】
また、この走査部において垂直走査部54は、第1走査方向に対して交差または直交する方向である第2走査方向にレーザ光を走査するものであり、表示すべき画像の1フレーム毎に、レーザ光を最初の水平走査線から最後の水平走査線に向かって、第2走査方向である垂直方向に対して相対的に低速に垂直走査する低速走査部として機能し、リレー光学53を介して入射するレーザ光を反射面54bにより垂直方向に走査するガルバノミラー54aと、そのガルバノミラー54aの駆動制御を行う垂直走査制御回路54cとを備えている。
【0031】
水平走査制御回路52cは、画像信号供給回路11に接続され、画像信号供給回路11より出力される水平同期信号14に同期して走査素子52aの反射面52bを揺動する。また、垂直走査制御回路54cは、画像信号供給回路11に接続され、画像信号供給回路11より出力される垂直同期信号15に同期してガルバノミラー54aの反射面54bを揺動する。
【0032】
そして、本実施形態の走査型画像表示装置1では、走査部50が有する水平走査部52及び垂直走査部54により、光源部20から光合成部30及び光ファイバ40を介して入射されるレーザ光を、第1走査方向及びその第1走査方向に略垂直な第2走査方向に走査することによって、2次元方向に走査(2次元走査)してフレーム単位で画像を形成するようにしている。
【0033】
すなわち、図2に示すように、相対的に高速に揺動する走査素子52aは、水平走査制御回路52cによって揺動され、入射した光束を水平方向Xに対して往復走査する。そして、走査素子52aによって水平方向に走査されたレーザ光は、リレー光学53を介して、垂直走査部54に入射する。垂直走査部54のガルバノミラー54aは、垂直走査制御回路54cによって鋸波状に揺動され、入射されたレーザ光を垂直方向Yに対して走査する。そして、ガルバノミラー54aによって垂直方向に走査された有効走査範囲Zのレーザ光は、リレー光学60を介して、ユーザの瞳孔91に入射する。
【0034】
図3には、走査素子52a及びガルバノミラー54aの最大走査範囲W(水平最大走査範囲W1及び垂直最大走査範囲W2により形成される範囲)と有効走査範囲Z(水平有効走査範囲Z2及び垂直有効走査範囲Z3により形成される範囲)との関係が示されている。ここで、「最大走査範囲」とは、走査素子52a及びガルバノミラー54aが光を走査できる最大の範囲を意味する。
【0035】
走査素子52a及びガルバノミラー54aの最大走査範囲Wのうち、有効走査範囲Zにその走査位置があるタイミングで光源部20から画像信号Sに応じて強度変調されたレーザ光(以下、「画像形成用光」とする。)が出射されることによって、水平走査部52及び垂直走査部54によって画像形成用光が有効走査範囲Zで走査される。これにより1フレーム分の画像形成用光が走査される。この走査が1フレームの画像毎に繰り返される。なお、図3には、光源部20から常にレーザ光が出射されたと仮定したときに水平走査部52及び垂直走査部54によって走査されるレーザ光の軌跡γが仮想的に示されている。また、以下の説明において、最大走査範囲Wのうち有効走査範囲Zを除く範囲を「無効走査範囲Z1」という。
【0036】
なお、本実施形態においては、水平走査部52に走査素子52aを用い、垂直走査部54にガルバノミラー54aを用いることで水平方向及び垂直方向に画像光を走査するように説明したが、画像光を走査するようにその反射面が揺動(回転)させられるものであれば、圧電駆動、電磁駆動、静電駆動等いずれの駆動方式によるものであってもよいことは言うまでもない。また、ガルバノミラー54aの代替として、ポリゴンミラーを用いるようにしてもよい。
【0037】
リレー光学60は、図1に示すように、第1レンズ60a及び第2レンズ60bから構成されており、走査部50によって走査された画像形成用光であるレーザ光を収束させて、反射ミラー8を介してユーザの眼90にその瞳孔91から入射して、ユーザの眼90の網膜92に画像信号Sに基づいた画像を投影する。
【0038】
ここで、駆動制御部10は、走査部50の走査位置が、先に図3にて示した有効走査範囲Zのときに、画像信号Sに応じた駆動電流を順次レーザ21,22,23に供給して、レーザ21,22,23から順次画像形成用光を出射させる。従って、画像形成用光は、光合成部30及び光ファイバ40を介して走査部50へ入射され、走査部50により有効走査範囲Zで2次元走査される。そして、走査部50で2次元走査された画像形成用光は、リレー光学60を介して、ユーザの眼90にその瞳孔91から入射し、網膜92上に画像形成用光が投射される。これによってユーザは、網膜92上に投影された画像形成用光による画像を認識することができる。
【0039】
また、走査部50によって走査されたレーザ光はリレー光学60の第1レンズ60aで収束されて、第1レンズ60aと第2レンズ60bとの間に中間像面が形成される。そして、リレー光学60内で形成される中間像面上には有効走査範囲Z及び無効走査範囲Z1を規定する遮光部70が配置される。
【0040】
光源部20のレーザ21,22,23から出射されたレーザ光は、光ファイバ40や複数の光学系を通過して走査部50で走査されるため、その過程で光ファイバ40の結合効率や反射面52b,54bの反射率などにより光の強度にロスが生じる。そして、このレーザ21,22,23から走査部50で走査されるまでの光路でのロスは、光ファイバ40の接続状態などによっても変化する。
【0041】
そこで、本実施形態における走査型画像表示装置1は、光源部20に光検出部を設けて直接レーザ21,22,23の発光量を検出するのではなく、走査部50が走査したレーザ光の強度を検出する位置に光検出部80を設けるようにしている。そして、この光検出部80で検出するレーザ光(検査用光)の光量が所定値になるように、光源部20のレーザ21,22,23へ供給する駆動電流を調整する。
【0042】
また、駆動制御部10は、走査部50の走査位置が有効走査範囲Z外の無効走査範囲Z1の所定位置のときに、光検出部80で検出させるレーザ光をレーザ21,22,23から出射させるようにしている。
【0043】
図4に示すように、この遮光部70の上部中央の無効走査範囲Z1には、光検出部80が配設されており、有効走査範囲Z外を走査されるレーザ光の光量を検出するようにしている。なお、図4では、光検出部80を有効走査範囲Zの上方の無効走査範囲Z1に設けるように構成しているが、光検出部80の配設位置はこれに限定されるものではなく、例えば、有効走査範囲Zの下方の無効走査範囲Z1に設けても、上方下方両方の無効走査範囲Z1に設けるように構成してもよい。
【0044】
光検出部80は、レーザ光を検知する周知のBDセンサで構成され、受光した検査用光の光量に応じた電圧をBD信号82として制御部12へ出力するようにしている。制御部12は、このBD信号82に基づいて、光源部20から出射する検査用光の光量を調整するように構成している。
【0045】
〔制御部の電気的構成〕
次に、駆動制御部10内の制御部12の構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、制御部12の電気的構成を示したブロック図である。
【0046】
制御部12は、CPU100と、ROM101と、RAM102と、RTC(Real Time Clock)103と、BD光量検出部104と、画像信号供給回路I/F(インターフェース)105とを備えており、システムバス108を介して相互に接続されている。
【0047】
ROM101には、詳細は後述するが、各種処理を実現するためのプログラムや、光検出部80で測定した検査用光の光量を調整するための各種パラメータが記憶されている。また、本実施形態においては、検査用光を出射する光源を選択するための所定の条件が予め記憶されており、詳細は後述するが、光源決定処理において所定の条件に基づいた光源が決定される。
【0048】
RAM102は、ROM101に記憶されているプログラムをCPU100が実行する際に参照する各種フラグなどを記憶しておく一時記憶領域として機能する。
【0049】
RTC103は、計時するための回路である。このRTC103の計時により、光源部20の3原色の光源毎の出力時間を計時することができる。
【0050】
BD光量検出部104は、光検出部80との接続を担うものであり、光検出部80より伝送されてくるBD信号82から、光検出部80で検出した検査用光の光量を判定し、その判定結果をRAM102に記憶する。具体的に説明すると、BD光量検出部104は、例えば、周知のコンパレータで構成され、光検出部80で検出された検査用光の光量を電圧に変換したBD信号82と予め定められた基準電圧を比較する。そして、その比較結果をRAM102に記憶する。CPU100は、後述の光量調整処理において、RAM102に記憶されたBD信号82と予め定められた基準電圧との比較結果を参照して、検査用光を出力する光源部20に供給するための駆動電流等を決定する。なお、BD光量検出部104は、コンパレータに限らず、光検出部80で検出された検査用光の光量を電圧に変換したBD信号82を検出できるものであればよい。
【0051】
画像信号供給回路I/F105は、制御部12に接続された画像信号供給回路11との信号の送受信を担う。つまり、画像信号供給回路I/F105は、CPU100により決定された検査用光を出力する光源部20に供給するための駆動電流等を、画像信号供給回路11へ伝達する役割を果たす。詳細は後述するが、画像信号供給回路11は、供給された光源部20の駆動電流等に応じて検査用光を出力する光源の駆動電流を調製する。これにより、検査用光を出力する光源の光量が変化し、光検出部80で検出される検査用光の光量が調整されることになる。
【0052】
〔制御部の処理フロー〕
以下、走査型画像表示装置1における制御部12で実行される各種処理を説明する。ここで実行される各種処理のプログラムは、上述した制御部12のROM101に予め設定されているものであり、制御部12のCPU100によって実行される。
【0053】
まず、図6を用いて光源決定処理を説明する。この光源決定処理は、走査型画像表示装置1の装置起動時に実行され、光源部20の3原色の光源、Rレーザ21、Gレーザ22及びBレーザ23のうちから、検査用光を出力する光源の優先度を決定する。そして、ここで決定された光源の優先度に応じて検査用光が出力され、後述の光量調整処理において、光検出部80で検出した検査用光の光量が所定の光量になるように、光源部20の複数の光源の駆動電流が調整される。
【0054】
図6に示すように、CPU100は、光源部20の3原色の光源の出射の優先度を定めた所定の条件を読み出す(ステップS101)。この所定の条件は、予め定められてROM101に設定されていてもよいし、また、図示しない設定ボタン等により、任意の所定の条件を設定できるようにしてもよい。
【0055】
CPU100は、ROM101に記憶されている所定の条件に応じた出射優先度設定テーブルを参照し、光源部20の3原色の光源から検査用光を出力する光源の優先度を選択する(ステップS102)。CPU100は、選択された検査用光を出力する光源の優先度をRAM102に記憶する(ステップS103)。そして、この処理が終了すると光源決定処理を終了する。
【0056】
ここで、図7を用いて、図6の光源決定処理で参照される出射優先度設定テーブルを説明する。図7の出射優先度設定テーブルに示すように、本実施形態における所定の条件は、1 検出感度が高い、2 寿命が最も長い、3 現在時点での寿命が最も長い、4 コストが最も低い、5 視感度が最も低い、という5種類である。
【0057】
上記5種類の所定の条件に応じた出射の優先度を説明する。図7においては、最も優先度が高い光源は“◎”、次に優先度が高い光源は“○”、最も優先度の低い光源は“△”で表示している。
【0058】
1の「検出感度が高い」は、3原色の光源(Rレーザ21、Gレーザ22、Bレーザ23)のうち、最も光検出部80に用いられるBDセンサによる検出感度が高い光源という条件で優先度が設定されている。つまり、Rレーザ21→Gレーザ22→Bレーザ23の順で優先度が設定されている。このように、光検出部80の検出感度が最も高い色の光源を優先して検査用光を出力するので、検査用光を出力するための駆動電流を小さくして、消費電力を削減することができる。
【0059】
2の「寿命が最も長い」は、3原色の光源のうち、最も耐久時間が長い光源という条件で優先度が設定されている。この耐久時間は、3原色の光源毎に予め定められているスペックである。一例として、図7に示すように、Bレーザ23→Gレーザ22→Rレーザ21の順で優先度が設定されている。このように、3原色の光源のうち、寿命の長い光源を優先して検査用光を出力するので、特定の光源のみが早く寿命となることを防止して、光源部20の寿命を長く保つことができる。なお、この3原色の光源の寿命は、走査型画像表示装置1の制作工程で用いられる3原色の光源を構成する素材などに応じて変化するものであり、Bレーザ23が最も長いとは限らない。
【0060】
3の「現在時点での寿命が最も長い」は、3原色の光源のうち、現在時点で最も耐久時間が長い光源という条件で優先度が設定されている。3原色の光源は、スペックとして耐久時間は予め定められている。しかし、必ずしも3原色の光源の発光時間が均等であるとは限らないし、交換などで使用開始時期が異なる場合もある。このため、例えば、Bレーザ23が最も長い耐久時間であったとしても、Bレーザ23の発光時間が長時間に亘ると、当該Bレーザ23の残りの耐久時間が、Rレーザ21、Gレーザ22、よりも短くなる場合がある。また、耐久時間が最も短いRレーザ21でも、直近に新品と交換されれば、他の耐久時間が長いGレーザ22及びBレーザ23よりも残りの耐久時間が長くなる場合がある。
【0061】
つまり、本実施形態においては、工場出荷時の3原色の光源毎に予め定められているスペックとしての耐久時間から、実際に3原色の光源毎に発光させた時間を差し引いて、3原色の光源毎の残りの耐久時間を管理している。この結果、一例として、図7に示すように、Bレーザ23→Rレーザ21→Gレーザ22の順で優先度が設定される場合がある。このように、3原色の光源のうち、現在時点での寿命の長い光源を優先して検査用光を出力するので、3原色の光源の寿命を平均化でき、特定の光源のみが早く寿命となることを防止して、光源部20の寿命を長く保つことができる。
【0062】
4の「コストが最も低い」は、3原色の光源のうち、最も価格が低い(つまり、廉価)光源という条件で優先度が設定されている。光源の価格は、3原色の光源毎に決まっている。一例として、図7に示すように、Rレーザ21→Bレーザ23→Gレーザ22の順で優先度が設定されている。このように、3原色の光源(Rレーザ21、Gレーザ22、Bレーザ23)のうち、コストの最も低い光源を優先して検査用光を出力するので、当該光源が早く寿命となっても、当該光源の交換に係る費用を抑えることができる。なお、この3原色の光源の価格は、3原色の光源を構成する素材などに応じて変化するものであり、Rレーザ21が最も廉価であるとは限らない。
【0063】
5の「視感度が最も低い」という条件は、3原色の光源のうち、最も人間の目が感じる視感度が低い光源という条件で優先度が設定されている。光源の視感度は、3原色の光源毎に決まっている。図7に示すように、Bレーザ23→Rレーザ21→Gレーザ22の順で優先度が設定されている。このように、3原色の光源のうち、視感度の最も低い色の光源を優先して検査用光を出力する。これにより、例えば、検査用光を出射するタイミングがずれて、有効走査範囲Zに検査用光が出射された場合でも、走査型画像表示装置1において、表示画像を視認している使用者に対して違和感を与えにくくすることができる。
【0064】
上述したように、本実施形態における光源決定処理では、光源部20が備えている3原色の光源、Rレーザ21、Gレーザ22及びBレーザ23のうちから、検査用光を出射する光源の優先度を決定する。そして、決定された光源の優先度に応じて、後述の光量調整処理において検査用光が出射される。ここで、検査用光を出射する光源の優先度とは、優先度の最も高い光源から検査用光が出射される頻度が多いことであり、検査用光は優先度の高い光源からのみ出射されるのではない。
【0065】
また、制御部12のROM101に設定されている所定の条件は複数設定されていてもよい。つまり、「1 検出感度が高い」と「3 現在時点での寿命が長い」との二つの所定の条件が設定され、なおかつ、二つの所定の条件に優先度を設けることもできる。通常は、優先度の高い「1 検出感度が高い」に応じてRレーザ21が決定されるが、例えば、Rレーザ21の現在時点での寿命が所定時間(例えば、200時間)以下になった場合は、「3 現在時点での寿命が長い」に応じてBレーザ23が決定されるようにする。これにより、2種類の所定の条件より特定の光源のみが早く寿命となることを防止して、光源部20の寿命を長く保つ効果を期待することができる。
【0066】
なお、上述した5種類の所定の条件やそれに応じた3原色の光源の出射の優先度はあくまで一例であり、図7に示す所定の条件や優先度に限定されるものではない。所定の条件は適宜変更可能であり、また、変更された所定の条件に応じて、3原色の光源の出射の優先度も設定されることになる。
【0067】
次に、図8を用いて光量調整処理を説明する。この光量調整処理は、走査型画像表示装置1の装置起動時、走査部50による1フレーム単位又は所定数のフレーム数毎のレーザ光の走査毎に実行される。
【0068】
図8に示すように、CPU100は、設定光量で検査用光を発光させる指示を画像信号供給回路11に送信する(ステップS201)。ステップS201の処理では、CPU100は、上述した光源決定処理において決定され、RAM102に記憶された優先度の高い光源から、検査用光を発光させるように画像信号供給回路11に指示する。また、CPU100は、光検出部80で検出した検査用光の光量が設定光量となるように検査用光を出射するよう画像信号供給回路11に指示する。
【0069】
つまり、ステップS201の処理においては、CPU100は、画像信号供給回路11に対して、検査用光を発光させる光源と、設定光量に応じて検査用光を発光させる駆動電流を指示する。
【0070】
CPU100は、光検出部80からのBD信号82を検出する(ステップS202)。そして、CPU100は、検出したBD信号82から、光検出部80で検出した検査用光の光量が目標値以内であるか否かを判定(ステップS203)し、目標値以内であると判定した場合は、現在の光源から出射されている検査用光の光量をRAM102に記憶して光量調整処理を終了する。一方、目標値以内ではないと判定した場合は、CPU100は、ステップS204へ処理を移す。なお、上記ステップS203で判定される検査用光の光量の目標値は、通常の光源の光量調整の目標値とは必ずしも一致するものではない。光検出部80において、走査タイミングが適正に検出され得る固有の数値又は数値の範囲が目標値となる。
【0071】
このステップS203で参照される検査用光の光量の判定は、上述したように、BD光量検出部104(図5参照)を構成するコンパレータで行われる。つまり、光検出部80で検出された検査用光の光量を電圧に変換したBD信号82が基準電圧(例えば、2.5V)に達した場合に、コンパレータの出力がH→Lに変化してRAM102に記憶される。ステップS203において、CPU100は、RAM102に記憶されたコンパレータの出力がH→Lに変化したか否かを判定することで、検査用光の光量が目標値以内であるか否かを判定する事ができる。
【0072】
CPU100は、光量を変更して検査用光を発光させる指示を画像信号供給回路11に送信する(ステップS204)。ステップS204の処理では、CPU100は、光検出部80で検出した検査用光の光量が目標値内となるように、検査用光を発光させる光源の駆動電流の変更を画像信号供給回路11に指示する。CPU100は、この処理が終了するとステップ202へ処理を移す。そして、ステップS202、ステップS203及びステップS204の処理は、光検出部80で検出した検査用光の光量が目標値内となるまで繰り返される。
【0073】
また、走査型画像表示装置1の装置起動時に実行される光量調整処理では、設定光量は最大値が設定される。そして、走査部50の走査素子52a及びガルバノミラー54aによるレーザ光の走査範囲が最大走査範囲Wとなったときに、最大値の設定光量を徐々に下げて、光検出部80で検出した検査用光の光量が目標値内になるように調整する。これにより、コンパレータの出力がH→Lに変化する変化点を確実に見つけることができる。
【0074】
コンパレータの基準電圧は、走査型画像表示装置1の工場出荷時に設定される初期値である。つまり、工場出荷時の基準電圧に相当するBD信号82の電圧にすることで、光検出部80で検出された検査用光の光量を工場出荷時と同じにする事ができる。これにより、光ファイバ40の接続状態の変化や光源部20の経年変化によるレーザ光の光量の変化に起因する、走査部50によるレーザ光の走査タイミングのずれを防止することができ、表示される画像を安定させることが可能となる。
【0075】
〔駆動制御部による光源部の調整動作〕
次に、駆動制御部10による光源部20検査用光の光量の調整動作について説明する。図9は検査用光及び画像形成用光の出射タイミングを説明するための図である。
【0076】
図9は、出射される検査用光及び画像形成用光と垂直走査部54の走査位置との関係を示している。垂直走査部54による垂直走査開始時(タイミングt0)から1フレームの走査が開始される。垂直走査部54の走査位置が第1位置に到達したとき(タイミングt1)、その走査位置が第2位置となるまで(タイミングt2)の間に、画像信号供給回路11から検査用の画像信号13r,13g,13bが出力される。これにより、レーザ21,22,23は、走査部50の走査位置が無効走査範囲Z1の所定位置で検査用光を出射する。
【0077】
そして、垂直走査部54の走査位置が第3位置に到達したとき(タイミングt3)、その走査位置が第4位置となるまで(タイミングt4)の間に、画像信号供給回路11から画像形成用の画像信号13r,13g,13bが出力される。これにより、走査部50の走査位置が有効走査範囲Zの範囲で、各レーザ21,22,23から画像形成用光が出射される。
【0078】
本実施形態においては、走査部50により1フレーム単位でレーザ光を走査しており、まず、走査部50の走査位置が無効走査範囲Z1の所定位置で検査用光が出射される。そして、走査部50の走査位置が有効走査範囲Zの範囲で、各レーザ21,22,23から画像形成用光が出射される。つまり、検査用光と画像形成用光との出射が交互に繰り返される。このように、各レーザ21,22,23から検査用光を出射して、光検出部80で検出した検査用光の光量が目標値内になるように調整した後、画像形成用光を出射する。これにより、走査部50によるレーザ光の走査タイミングのずれを防止することができ、表示される画像を安定させることが可能となる。なお、検査用光の光量の目標値は、画像形成用光の光量調整の目標値とは必ずしも一致するものではない。このため、目標値内になるように調整された各レーザ21,22,23からの検査用光の強度に基づいて、各レーザ21,22,23の電流―発光量特性を演算する。そして、当該演算結果に基づいて、各レーザ21,22,23に供給する駆動電流が調整され、画像形成用光が出射されてもよい。
【0079】
また、検査用光と画像形成用光との出射のタイミングが異なるため、検査用光を出射するための駆動電流を大きくしても、使用者の目に投影される虞がなく、安全に光検出部80で検出した検査用光の光量が目標値内になるように調整することができる。
【0080】
また、3原色の光源のうち、所定の条件に応じた優先度で、Rレーザ21,Gレーザ22,Bレーザ23の何れかを指定して検査用光を出射して、光検出部80で検出した検査用光の光量が目標値内になるように調整している。しかし、各レーザ21,22,23の特性変化が一定の関係を有する場合は、検査用光として、3原色のレーザ光のうち1色のレーザ光を用いることもできる。すなわち、検査用光を出射する1色のレーザと他の2色のレーザとの相関テーブルを制御部12の内部のROM101に設定する。そして、光検出部80で検出した1色のレーザ光から出射した検査用光の光量が所定値内の場合には、相関テーブルを用いて、他の2色のレーザの検査用光の光量を演算することができる。このように構成すれば、全てのレーザ21,22,23から検査用光としてのレーザ光を出射する必要がないことから、走査型画像表示装置1の消費電力の増大を抑制することができる。
【0081】
以上、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0082】
本発明を、上述してきた実施形態を通して説明したが、本実施形態の画像表示装置によれば、以下の効果が期待できる。
【0083】
(1)互いに異なる色の光束を画像信号に応じて出射する複数の光源(Rレーザ21、Gレーザ22、Bレーザ23)を有し、前記複数の光源から出射する光束を合波して1本の光束として出射する光源部20と、光源部20から出射された光束を2次元走査する走査部50と、走査部50による光束の走査領域のうち、表示画像を形成する範囲外である無効走査範囲Z1に設けられ、走査部50による光束の走査タイミングを検出するために光源部20から出射される検査用光の光量(BD信号82)を検出する光検出部80と、検査用光の各色毎の出射光量と、光検出部80により検出された検査用光の光量に基づいて、検査用光の光量を調整する制御部12(光量調整処理)と、を備え、制御部12は、検査用光の各色毎の出射光量を、複数の光源の出射の優先度を定めた所定の条件に応じて調整することを特徴とする走査型画像表示装置1とした。これにより、光源から出力されるレーザ光の光量の変化による走査部によるレーザ光の走査タイミングのずれを防止することができ、表示される画像を安定させることが可能となる。
【0084】
(2)所定の条件は、光検出部80の検出感度が最も高い色ほど優先度を高くした。つまり、3原色の光源(Rレーザ21、Gレーザ22、Bレーザ23)のうち、光検出部80の検出感度が最も高い色の光源(Rレーザ21)を優先して検査用光を出力する。これにより、検査用光を出力するための駆動電流を小さくして、消費電力を削減することができる。
【0085】
(3)所定の条件は、寿命の最も長い光源ほど優先度を高くした。つまり、寿命の最も長い光源を優先して検査用光を出力する。これにより、3原色の光源(Rレーザ21、Gレーザ22、Bレーザ23)のうち、特定の光源のみが早く寿命となることを防止して、光源部20の寿命を長く保つことができる。
【0086】
(4)所定の条件は、検査用光の光量の調整時点からの寿命が長い光源ほど優先度を高くした。つまり、3原色の光源(Rレーザ21、Gレーザ22、Bレーザ23)のうち、走査型画像表示装置1の使用に応じた寿命の長い光源を優先して検査用光を出力する。これにより、特定の光源のみが早く寿命となることを防止することができる。
【0087】
(5)所定の条件は、コストの最も低い光源ほど優先度を高くした。つまり、3原色の光源(Rレーザ21、Gレーザ22、Bレーザ23)のうち、コストの最も低い光源を優先して検査用光を出力する。これにより、当該光源が早く寿命となっても、当該光源の交換に係る費用を抑えることが可能となる。
【0088】
(6)所定の条件は、視感度の最も低い色ほど優先度を高くした。つまり、3原色の光源(Rレーザ21、Gレーザ22、Bレーザ23)のうち、視感度の最も低い色の光源を優先して検査用光を出力する。これにより、例えば、検査用光を出力するタイミングがずれて、有効走査範囲Zに出力された場合でも、走査型画像表示装置1において、表示画像を視認している使用者に対して違和感を与えにくくすることができる。
【0089】
(7)制御部12は、前記検査用光の光量の調整を、装置起動時に行うこととした、これにより、電源投入直後から表示される画像を安定させることができる。
【0090】
(8)制御部12は、検査用光の光量の調整を、表示画像の表示中に行うこととした。これにより、走査型画像表示装置1の使用中において、光源部20から出力されるレーザ光の光量が変化した場合でも、レーザ光の光量の変化による走査部によるレーザ光の走査タイミングのずれを防止することができ、表示される画像を安定させることができる。
【符号の説明】
【0091】
1 走査型画像表示装置
10 駆動制御部
11 画像信号供給回路
12 制御部
20 光源部
21 Rレーザ
22 Gレーザ
23 Bレーザ
50 走査部
60 リレー光学
80 光検出部
90 眼
92 網膜
100 CPU
101 ROM
102 RAM
103 RTC
S 画像信号
Z 有効走査範囲
Z1 無効走査範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる色の光束を画像信号に応じて出射する複数の光源を有し、前記複数の光源から出射する光束を合波して1本の光束として出射する光源部と、
前記光源部から出射された光束を2次元走査する走査部と、
前記走査部による光束の走査領域のうち、表示画像を形成する範囲外である無効走査範囲に設けられ、前記走査部による光束の走査タイミングを検出するために前記光源部から出射される検査用光の光量を検出する光検出部と、
前記検査用光の各色毎の出射光量と、前記光検出部により検出された前記検査用光の光量に基づいて、前記検査用光の光量を調整する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記検査用光の各色毎の出射光量を、前記複数の光源の出射の優先度を定めた所定の条件に応じて調整することを特徴とする走査型画像表示装置。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記光検出部の検出感度が最も高い色ほど優先度が高いことを特徴とする請求項1に記載の走査型画像表示装置。
【請求項3】
前記所定の条件は、寿命の最も長い光源ほど優先度が高いことを特徴とする請求項1に記載の走査型画像表示装置。
【請求項4】
前記所定の条件は、前記検査用光の光量の調整時点からの寿命が長い光源ほど優先度が高いことを特徴とする請求項1に記載の走査型画像表示装置。
【請求項5】
前記所定の条件は、コストの最も低い光源ほど優先度が高いことを特徴とする請求項1に記載の走査型画像表示装置。
【請求項6】
前記所定の条件は、視感度の最も低い色ほど優先度が高いことを特徴とする請求項1に記載の走査型画像表示装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記検査用光の光量の調整を、装置起動時に行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の走査型画像表示装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記検査用光の光量の調整を、表示画像の表示中に行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の走査型画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−141362(P2012−141362A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292536(P2010−292536)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】