説明

画像表示装置

【課題】本発明は、入力映像の種類やユーザーの希望に応じてフレーム補間を行う画像表示装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の画像表示装置は、外部から入力された入力映像信号のフレームレート判定とプルダウン検出を行うフレームレート判定部5と、入力映像信号が、24フレーム/秒の映像信号から2−3プルダウン処理されたプログレッシブ信号であるとフレームレート判定部5で判定された場合に、前記プログレッシブ信号にプルダウン逆変換を行って24フレーム/秒の逆変換映像信号を出力するプルダウン逆変換部2と、外部操作入力に従い、前記入力映像信号と前記逆変換映像信号のいずれかを選択するセレクタ9と、前記セレクタ9が選択した映像信号の元フレーム間に補間フレームを挿入してフレームレートを向上するフレーム補間部4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置に関し、特に120フレーム/秒や240フレーム/秒などの高速駆動で映像信号を表示する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは、従来60フレーム/秒で駆動していたが、最近では120フレーム/秒(倍速)や240フレーム/秒(4倍速)で駆動するものが登場している。そこで、プロジェクターなどの画像表示装置もこれに対応することが求められ、例えば連続したフレーム映像から中間フレーム画像の生成、すなわちフレーム補間を行って、120フレーム/秒の信号や240フレーム/秒の信号を生成している。
【0003】
入力映像信号の各画像フレーム間に中間画像フレームを補間する方法として、例えば特許文献1では、黒フレームを挿入する黒挿入処理や、隣り合う2つの画像フレームF1,F2を基に中間画像フレーム(F1+F2)/2を生成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−58785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、24フレーム/秒のフィルム映像を30フレーム(60フィールド)/秒の動画像に2−3プルダウンしたプログレッシブ信号が入力映像となる場合、画像処理で隣り合う2つの画像フレームを基に補間を行うと、元の24フレーム/秒で記録された動画像の動きを損なうことがある。つまり、フィルム映像特有のカタカタした動きが平均化されて失われてしまう。
【0006】
また、隣り合う2つのフレームを元に中間フレームを生成するためには、一旦メモリに映像を格納した後、映像処理を行う必要があるため、入力信号と表示映像との間に遅延が発生する。例えばシューティングゲームや遠隔操作のような、映像を視認した後に即時操作が必要なコンテンツにおいて、上述のように遅延が生じることは致命的な問題である。
【0007】
本発明は上述の問題点に鑑み、入力映像の種類やユーザーの希望に応じてフレーム補間を行う画像表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像表示装置は、外部から入力された入力映像信号のフレームレート判定とプルダウン検出を行うフレームレート判定部と、前記入力映像信号が、24フレーム/秒の映像信号から2−3プルダウン処理されたプログレッシブ信号であるとフレームレート判定部で判定された場合に、前記プログレッシブ信号にプルダウン逆変換を行って24フレーム/秒の逆変換映像信号を出力するプルダウン逆変換部と、外部操作入力に従い、前記入力映像信号と前記逆変換映像信号のいずれかを選択するセレクタと、セレクタが選択した映像信号の元フレーム間に補間フレームを挿入してフレームレートを向上するフレーム補間部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像表示装置は、前記入力映像信号が24フレーム/秒の映像信号から2−3プルダウン処理されたプログレッシブ信号であるとフレームレート判定部で判定された場合に、前記プログレッシブ信号にプルダウン逆変換を行って24フレーム/秒の逆変換映像信号を出力するプルダウン逆変換部と、外部操作入力に従い、前記入力映像信号と前記逆変換映像信号のいずれかを選択するセレクタと、セレクタが選択した映像信号の元フレーム間に補間フレームを挿入してフレームレートを向上するフレーム補間部とを備えるので、通常の変換を行うか、映画フィルムの映像感を保持した変換を行うかを、ユーザーの希望に応じて選択することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】プルダウン変換された入力映像信号のフレームレート変換処理を示す概念図である。
【図3】24fpsの入力映像信号のフレームレート変換処理を示す概念図である。
【図4】60fpsから120fpsへの倍速変換処理を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
<構成>
図1は、本発明の画像表示装置の構成を示すブロック図である。この画像表示装置1は、外部から映像信号が入力される映像入力部10の他、プルダウン逆変換部2、セレクタ9、フレーム補間部4、フレームメモリ3、フレームレート判定部5、制御部6、画像表示部7、操作部8を備えている。
【0012】
プルダウン逆変換部2は、映像入力部10から受けた映像信号をフレームメモリ3に一旦記憶する。フレームレート判定部5では、フレームメモリ3に記憶された映像信号に対して、フレームレートの判定とプルダウンの検出を行う。すなわち、毎秒24フレームの映像信号が2−3プルダウンされた映像信号か否かが判定され、その判定結果は制御部6に出力される。制御部6はフレームレート判定部5の判定結果に基づきプルダウン逆変換部2とセレクタ9を制御する。制御部6は操作部8の指示を受け、プルダウン逆変換部2、セレクタ9、フレーム補間部4の制御を同期して、もしくは独立して行うことが可能である。
【0013】
フレームレート判定部5において、フレームメモリ3に記憶された映像信号が、毎秒24フレームの映像信号から2−3プルダウンされた映像信号であると判定されると、プルダウン逆変換部2はフレームメモリ3から当該映像信号を読み出し、映像信号のフレームレートをプルダウン前の状態に逆変換する。この動作は、フレームレート判定部5の判定結果を受けた制御部6の制御により行われている。
【0014】
逆変換された映像信号(逆変換映像信号)は、プルダウン逆変換部2からセレクタ9に送られる。さらに、セレクタ9には映像入力部10から入力映像信号が直接送られており、セレクタ9は逆変換映像信号と入力映像信号の何れか一方を選択してフレーム補間部4に送る。ここで、セレクタ9は、操作部8からのユーザー操作を受けた制御部6に制御されており、ユーザーは操作部8に指示を入力することによって、セレクタ9に所望の映像信号を選択させることが可能である。
【0015】
フレーム補間部4では、映像信号の元フレーム間に補間フレームを挿入して、フレームレートを120フレーム/秒、あるいは240フレーム/秒に向上する。ここで、どのような補間フレームを挿入するかは、操作部8からのユーザー操作を受けた制御部6に制御されており、ユーザーは操作部8に指示を入力することによって、フレーム補間部4に所望の補間動作を実行させることが可能である。
【0016】
フレーム補間部4で所定のフレームレートに向上した映像信号は画像表示部7に送られ、画像が表示される。
【0017】
<動作>
図2(1)には、通常のテレビ放送に用いられる毎秒30フレーム(60フィールド)の映像信号を示している。図では1/60秒間隔で配置された、AからFまでの6つのフィールドを示している。
【0018】
これに対し、映画フィルムなどでは毎秒24コマで映像が記録されており、こうした映画信号では図2(2)に示すように、1/24秒間隔でフレームA,B,C,・・・が配置される。この映像信号に2−3プルダウン処理を施して毎秒30フレームのインタレース信号に変換し、さらにプログレッシブ変換した映像信号を図2(3)に示す。図に示すように、3フレーム目がAとBから構成されており、このように、5フレームに1フレームの割合で異なる2枚のフィールド(元は連続した2コマ)が交じり合って1フレームが構成されてしまう。
【0019】
そのため、このようなプルダウン処理がなされた映像信号において、前後の隣接フレームから補間フレームを形成して毎秒120フレームへ倍速フレーム変換を行うと、図2(4)に示すように4番目のフレームから6番目のフレームにかけてAとBが混合される。その結果、フレームAからフレームBへの切り替わりが元の映像信号とは異なり、映画独特の映像感が失われることになる。
【0020】
そこで、本実施の形態の画像表示装置1では、入力映像信号が毎秒24フレームの映像信号から2−3プルダウンされたプログレッシブ信号(毎秒60フレーム)である場合、プルダウン逆変換部2で図2(2)に示す2−3プルダウン前の毎秒24フレームの映像信号に戻した上で、フレーム補間部4でフレーム補間を行う。元フレームを4回繰り返して作成した毎秒120フレームの映像信号を図2(5)に示す。これにより、映画コンテンツの動きを忠実に再現しつつ倍速変換をすることが出来る。毎秒240フレームに変換する場合は、フレームの繰り返し回数を2倍にする。
【0021】
なお、入力映像信号が毎秒24フレームの映像信号から2−3プルダウンされたプログレッシブ信号であっても、ユーザーの希望に応じてそのまま図2(5)に示すフレーム補間を行っても良い。この場合は、操作部8にユーザーの操作が入力されると、その操作に応じて制御部6がセレクタ9を制御し、セレクタ9が映像入力部10からの入力映像信号を選択してフレーム補間部5に送る。
【0022】
入力映像信号が2−3プルダウンされた信号以外の場合は、プルダウン逆変換部2は動作せず、セレクタ9は制御部6の制御に従い入力映像信号を選択し、フレーム補間部4にてフレーム補間を行う。
【0023】
次に、フレーム補間の例を示す。図3(1)は毎秒24フレームの映像信号を示しており、これを図3(2)に示すように、元フレームを4回繰り返すことにより毎秒120フレームにすることが出来る。この方法で補間すれば、後のフレームを参照して補間フレームを作成する必要がないため、入力映像に対する表示映像の遅延を抑制することが出来る。
【0024】
また別の方法として図3(3)に示すように、フレームAとフレームBに中間フレームE,F,G,Hを挿入しても良い。ここで中間フレームE,F,G,HはフレームA,Bから作成する。この場合、図3(1)の方法に比べて表示映像の遅延が発生するものの、滑らかな映像を得ることができる。
【0025】
フレーム補間部4において、図3(2)に示す方法と図3(3)に示す方法のいずれによってフレーム補間を行うかは、操作部8におけるユーザーの操作入力によって選択することが出来る。操作部8におけるユーザーの入力情報に従い、制御部6がフレーム補間部4を制御して上記選択を行う。こうして、ユーザーは遅延のない映像を表示させるか、滑らかな映像を表示させるかを選択することが可能である。
【0026】
映像の動きが大きい場合や、映像内の動きのある部分(動画部分)が小さいために動きベクトルの検出ができなかった場合には、中間フレームE,F,G,Hを適切に作成することが出来ず、映像の動きに違和感を生じる、映像の静止部分までがぼけて見えるといった弊害を生じることがある。このような場合、ユーザーが操作部8において、補間フレーム数を減らすことや、各保管フレームへの補間量を調整する指示を入力することにより、制御部6がフレーム補間部4を制御して、前述の弊害を回避もしくは緩和することが可能である。図3(4)は元フレームAを3回繰り返した後に中間フレームMを挿入し、元フレームBを3回繰り返した後に中間フレームNを挿入する例を示している。このように、元フレームの繰り返しと中間フレームを組み合わせて補間フレームとし、中間フレームの比率を制御することにより、動きベクトルの検出ができない場合にも違和感なくフレームレート変換を行う事ができる。
【0027】
図4(1)は、通常のテレビ放送に用いられる毎秒60フレームの映像信号を示している。この映像信号そのものがセレクタ9で選択される場合において、フレーム補間部4で同じフレームを2度繰り返すことにより、図4(2)に示す毎秒120フレームの映像信号を作成することができる。この方法で補間すれば、後のフレームを参照して補間フレームを作成する必要がないため、入力映像に対する表示映像の遅延を抑制することが出来る。
【0028】
なお、本明細書では2−3プルダウンを例にして説明したが、2−3−3−2プルダウンなど他のプルダウン処理により、24fpsから30fpsに変換された映像信号が入力となる場合にも、同様の処理を行う。
【0029】
<効果>
本発明の画像表示装置は、外部から入力された入力映像信号のフレームレート判定とプルダウン検出を行うフレームレート判定部5と、前記入力映像信号が、24フレーム/秒の映像信号から2−3プルダウン処理されたプログレッシブ信号であると前記フレームレート判定部で判定された場合に、前記プログレッシブ信号にプルダウン逆変換を行って24フレーム/秒の逆変換映像信号を出力するプルダウン逆変換部2と、外部操作入力に従い、前記入力映像信号と前記逆変換映像信号のいずれかを選択するセレクタ9と、前記セレクタ9が選択した映像信号の元フレーム間に補間フレームを挿入してフレームレートを向上するフレーム補間部4とを備える。これにより、ユーザーの希望に応じて、通常のフレームレート変換を行うか、逆変換映像信号にフレームレート変換を行うことにより映画信号の映像感を保持したフレームレート変換を行うかを選択することが出来る。
【0030】
また、本発明の画像表示装置において、フレーム補間部4は外部操作入力に応じて、各元フレームを所定回数繰り返して補間フレームを作成するか、前後の元フレームを基に中間フレームを作成して補間フレームとするか、のいずれかを選択して実行するので、ユーザーの好みに応じて、動画ボケのないクリアな映像となるように補間するか、やや動画ボケを残しつつ補間するかを選択することが出来る。
【0031】
また、本発明の画像表示装置において、フレーム補間部4は、各元フレームを所定回数繰り返したフレームと、前後の元フレームを元に作成した中間フレームを組み合わせて補間フレームとし、補間フレームにおける中間フレームの割合を外部操作入力に応じて制御するので、動き検出が困難な映像に対しても違和感のないフレームレート変換が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 画像表示装置、2 プルダウン逆変換部、3 フレームメモリ、4 フレーム補間部、5 フレームレート判定部、6 制御部、7 画像表示部、8 操作部、9 セレクタ、10 映像入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力された入力映像信号のフレームレート判定とプルダウン検出を行うフレームレート判定部と、
前記入力映像信号が、24フレーム/秒の映像信号から2−3プルダウン処理されたプログレッシブ信号であると前記フレームレート判定部で判定された場合に、前記プログレッシブ信号にプルダウン逆変換を行って24フレーム/秒の逆変換映像信号を出力するプルダウン逆変換部と、
外部操作入力に従い、前記入力映像信号と前記逆変換映像信号のいずれかを選択するセレクタと、
前記セレクタが選択した映像信号の元フレーム間に補間フレームを挿入してフレームレートを向上するフレーム補間部とを備える、
画像表示装置。
【請求項2】
前記フレーム補間部は外部操作入力に応じて、各前記元フレームを所定回数繰り返して前記補間フレームを作成するか、前後の前記元フレームを基に中間フレームを作成して前記補間フレームとするか、のいずれかを選択して実行する、
請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記フレーム補間部は、各前記元フレームを所定回数繰り返したフレームと、前後の前記元フレームを元に作成した中間フレームを組み合わせて前記補間フレームとし、前記補間フレームにおける前記中間フレームの割合を外部操作入力に応じて制御する、
請求項1に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−227799(P2012−227799A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94721(P2011−94721)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】