説明

画像計測装置及びプログラム

【課題】計測結果を外部機器に出力する際に、情報の不一致を防止し、医用画像の診断の精度を向上させる。
【解決手段】医用画像に対する計測処理の後(ステップS4)、紙プリントが指示され(ステップS5;YES)、医用画像上に計測線が描画されている場合には(ステップS8;YES)、表示されている計測値と、DB関連情報に含まれる計測値とが一致するか否かを判断する。両者が一致しない場合には(ステップS10;NO)、DB関連情報に含まれる計測値を、表示されている計測値に修正して(ステップS11)、表示されている医用画像、計測線及び計測値と、DB関連情報とをプリントさせるためのプリント情報を生成し、プリンタに対して送信する(ステップS9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像計測装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野の診断において、X線等の放射線により患者を撮影した画像が用いられている。医師は、フィルムに出力した放射線画像を観察読影するとともに、診断に用いる数値や角度を得るために放射線画像上に計測すべき位置をマーキングし、定規や分度器等の計測器具を用いてマーキングされた位置の距離や角度等を計測する。
【0003】
近年、医療分野においてもデジタル化が進み、病院内で生成される放射線画像は、デジタル画像としてPACS(Picture Archiving and Communication System)に保存されている。デジタル画像の場合、画像をモニタ画面上に表示させ、この画面上で計測に用いる線(以下、計測線という。)を手動又は自動で指定することによって、距離や角度等の計測を自動化したり、一度引いた計測線を移動したりすることができる。
【0004】
自動的に計測を行う方法として、例えば、胸部画像中の心胸郭の輪郭を検出し、検出された心胸郭の輪郭に基づいて、心臓の幅と胸郭の幅とをそれぞれ求め、心胸比を算出する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
モニタ画面上で行われた計測の結果として得られた計測線、及び、計測線に基づいて算出された距離や角度等の計測値は、画像上に描画されて保存される。具体的には、計測線に関する情報及び計測値に関する情報が画像ファイルに付帯情報として付帯されて保存される。付帯情報は、画像がロードされた場合に同時にロードされ、計測線及び計測値が読影画面に表示される。計測線に関する情報には、計測線の両端の座標、線の太さ、線の色等が含まれる。計測値に関する情報には、テキスト内容(計測値)、テキストの位置、テキストのサイズ、フォント、フォントの色、フォントサイズ等が含まれる。
【0006】
また、付帯情報として計測値を保存する方法とは別に、患者情報や検査情報等とともに計測値をデータベース(以下、DBという。)に保存する方法も採用されている。付帯情報として計測値を保存する場合には、画像をロードしないと付帯情報を表示することができないが、DBに計測値を保存する場合には、DB内の情報をリストとして表示したり、表示した情報をソートしたり、検索したりすることができ、一覧性に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−109550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ユーザの読影中の操作により、表示画面上で計測線が追加又は移動された場合に、DBから取得した情報は更新されていないため、表示画面上に表示されている医用画像、計測線及び計測値と、DBから取得した情報とを合わせて紙やフィルム等の記録媒体にプリントする際には、プリントされた記録媒体上で情報の不一致が生じる場合があった。
【0009】
この場合、プリントされた紙やフィルムを見ると、計測値として異なる複数の情報が提示されているため、誤診のおそれがあった。
【0010】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、計測結果を外部機器に出力する際に、情報の不一致を防止し、医用画像の診断の精度を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、医用画像上に当該医用画像に基づいて算出された第1の計測値を付加して表示手段に表示させ、前記医用画像及び前記第1の計測値とともに、第2の計測値を含む関連情報をプリントさせるためのプリント情報を外部機器に出力する画像計測装置であって、前記プリント情報を出力する際に、前記第1の計測値と前記第2の計測値とを比較し、両者が一致しない場合には、前記第2の計測値を前記第1の計測値に修正して前記プリント情報を生成する制御手段を備える。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像計測装置において、前記医用画像は、胸部画像であり、前記第1の計測値及び前記第2の計測値は、心臓幅、胸郭幅又は心胸比である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、医用画像上に当該医用画像に基づいて算出された第1の計測値を付加して表示手段に表示させ、前記医用画像及び前記第1の計測値とともに、第2の計測値を含む関連情報をプリントさせるためのプリント情報を外部機器に出力するコンピュータを、前記プリント情報を出力する際に、前記第1の計測値と前記第2の計測値とを比較し、両者が一致しない場合には、前記第2の計測値を前記第1の計測値に修正して前記プリント情報を生成する制御手段として機能させるためのプログラムである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のプログラムにおいて、前記医用画像は、胸部画像であり、前記第1の計測値及び前記第2の計測値は、心臓幅、胸郭幅又は心胸比である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、3に記載の発明によれば、計測結果を外部機器に出力する際に、情報の不一致を防止し、医用画像の診断の精度を向上させることができる。
【0016】
請求項2、4に記載の発明によれば、胸部画像の心臓幅、胸郭幅又は心胸比について、情報の不一致を防止し、医用画像の診断の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】医用画像システムのシステム構成図である。
【図2】画像サーバ装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】計測線テーブルを示す図である。
【図4】計測値テーブルを示す図である。
【図5】画像計測装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】画像計測装置において実行される処理を示すフローチャートである。
【図7】読影画面の表示例である。
【図8】計測処理を示すフローチャートである。
【図9】計測線を移動した後の読影画面の表示例である。
【図10】プリント例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像計測装置の一実施形態について説明する。
図1に、医用画像システム100のシステム構成を示す。図1に示すように、医用画像システム100では、RIS(Radiological Information System:放射線情報システム)10、モダリティ20、画像サーバ装置30、画像計測装置40、プリンタ50及びイメージャ60が、ネットワークNを介してデータ通信可能に接続されている。
【0019】
RIS10は、放射線科部門内における診療予約、診断結果のレポート、実績管理、材料在庫管理等の情報管理を行う。RIS10は、撮影や診断の内容を示す検査オーダ情報を生成し、モダリティ20に送信する。
【0020】
モダリティ20は、RIS10から送信された検査オーダ情報に基づいて、患者を撮影し、医用画像の画像データを生成する画像生成装置である。モダリティ20は、画像データを画像サーバ装置30に送信する。モダリティ20としては、CR(Computed Radiography)装置、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等が用いられる。
【0021】
画像サーバ装置30は、PACSにより構成され、モダリティ20から受信した医用画像の画像データのファイル(以下、画像ファイルという。)D1(図2参照)を保存し、画像計測装置40等の外部機器からの要求に応じて画像ファイルD1等を提供する。
【0022】
図2に、画像サーバ装置30の機能的構成を示す。図2に示すように、画像サーバ装置30は、制御部31、操作部32、表示部33、通信部34、ROM(Read Only Memory)35、記憶部36を備えて構成され、各部はバス37により接続されている。
【0023】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、画像サーバ装置30の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部32から入力される操作信号又は通信部34により受信される指示信号に応じて、ROM35に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0024】
操作部32は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部31に出力する。
【0025】
表示部33は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部31から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0026】
通信部34は、RIS10、モダリティ20、画像計測装置40等の外部機器との間でデータの送受信を行うインターフェースである。
【0027】
ROM35は、不揮発性の半導体メモリ等により構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。
【0028】
記憶部36は、ハードディスク等により構成され、各種データを記憶する。具体的には、記憶部36には、画像ファイルD1、アノテーション情報D2、DB361等が記憶されている。
【0029】
画像ファイルD1は、モダリティ20から受信した医用画像の画像データのファイルである。アノテーション情報D2は、各画像ファイルD1に付帯されている付帯情報であり、計測線に関する情報(以下、計測線情報という。)及び計測値に関する情報(以下、計測値情報という。)が含まれる。計測線は、医用画像内の計測対象部位に描画される線である。計測値は、医用画像に基づいて算出された値であり、具体的には、計測線の位置に基づいて算出された距離、距離の比、角度等の値である。計測線情報には、計測線の両端の座標、線の太さ、線の色等が含まれる。計測値情報には、テキスト内容(計測値)、テキストの位置、テキストのサイズ、フォント、フォントの色、フォントサイズ等が含まれる。
【0030】
胸部画像の画像ファイルD1の場合には、計測線情報には、心臓の左端、心臓の右端、胸郭の左端、胸郭の右端、正中線を示す計測線に関する情報が含まれ、計測値情報には、計測値として心臓幅、胸郭幅、心胸比が含まれる。心臓幅は、心臓の左端を示す計測線と心臓の右端を示す計測線との距離に相当する。胸郭幅は、胸郭の左端を示す計測線と胸郭の右端を示す計測線との距離に相当する。心胸比とは、胸郭幅に対する心臓幅の割合をいい、次式によって求められる。
心胸比=(心臓幅/胸郭幅)×100(%)
【0031】
DB361は、患者情報テーブル362、検査情報テーブル363、シリーズ情報テーブル364、画像情報テーブル365、計測線テーブル366、計測値テーブル367から構成される。
【0032】
患者情報テーブル362には、患者ID毎に、患者氏名、生年月日、性別等の患者に関する各種情報が格納されている。患者IDは、各患者に対応付けられている識別情報である。
【0033】
検査情報テーブル363には、検査ID毎に、患者ID、受付番号、検査日、検査時刻等の検査に関する各種情報が格納されている。検査IDは、各検査に対応付けられている識別情報である。
【0034】
シリーズ情報テーブル364には、シリーズLID毎に、検査ID、モダリティ、検査部位等のシリーズに関する各種情報が格納されている。シリーズLIDは、各シリーズに対応付けられている識別情報である。
【0035】
画像情報テーブル365には、画像LID毎に、シリーズLID、画像日付、画像時刻等の画像に関する各種情報が格納されている。画像LIDは、画像ファイルD1のそれぞれに対応付けられている識別情報である。
【0036】
計測線テーブル366には、図3に示すように、計測線LID、画像LID等が対応付けられて格納されている。計測線LIDは、画像ファイルD1に対して描画された計測線を示す識別情報である。
【0037】
計測値テーブル367には、図4に示すように、計測値LID、計測値、計測値単位、計測線LID等が対応付けられて格納されている。計測値LIDは、計測値のそれぞれに対応付けられている識別情報である。
【0038】
制御部31は、画像計測装置40から画像ファイルD1の取得要求があった場合に、要求された画像ファイルD1、当該画像ファイルD1に付帯されているアノテーション情報D2、及び、DB361に格納されている情報のうち当該画像ファイルD1に関連する情報(以下、DB関連情報という。)D3(図5参照)を記憶部36から読み出し、画像計測装置40に送信する。DB関連情報D3には、患者ID、患者氏名、生年月日、性別、検査ID、受付番号、検査日、検査時刻、モダリティ、計測値、計測値単位等が含まれる。
【0039】
具体的には、制御部31は、計測線テーブル366を参照して、対象画像の画像LIDに対応する計測線LIDを特定し、計測値テーブル367を参照して、特定された計測線LIDに対応する計測値及び計測値単位を取得する。また、制御部31は、患者情報テーブル362、検査情報テーブル363、シリーズ情報テーブル364、画像情報テーブル365を参照して、対象画像の画像LIDに対応する情報を取得する。
【0040】
また、制御部31は、画像計測装置40から計測結果(計測線情報及び計測値情報)の保存指示情報を受信した場合に、受信した計測結果の保存指示情報に基づいて、記憶部36のアノテーション情報D2及びDB361を更新する。
【0041】
画像計測装置40は、画像サーバ装置30から取得した医用画像を表示させ、当該医用画像の診断に用いる数値や角度を計測するための装置であって、PC(Personal Computer)等から構成される。
【0042】
図5に、画像計測装置40の機能的構成を示す。図5に示すように、画像計測装置40は、制御部41、操作部42、表示部43、通信部44、ROM45、記憶部46、メモリ47を備え、各部はバス48により接続されている。
【0043】
制御部41は、CPU、RAM等から構成され、画像計測装置40の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部42から入力される操作信号又は通信部44により受信される指示信号に応じて、ROM45に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0044】
操作部42は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部41に出力する。
【0045】
表示部43は、LCDにより構成され、制御部41から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。具体的には、表示部43は、医用画像、計測線及び計測値を表示する。
【0046】
通信部44は、画像サーバ装置30、プリンタ50、イメージャ60等の外部機器との間でデータの送受信を行うインターフェースである。
【0047】
ROM45は、不揮発性の半導体メモリ等により構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。
【0048】
記憶部46は、ハードディスク等により構成され、各種データを記憶する。
【0049】
メモリ47は、半導体メモリ等により構成され、処理中のデータを記憶する。具体的には、メモリ47には、画像サーバ装置30から取得した画像ファイルD1、アノテーション情報D2、DB関連情報D3が記憶される。
【0050】
制御部41は、通信部44を介して、画像サーバ装置30に対して、記憶部36に記憶されている医用画像の画像ファイルD1の取得要求を送信し、画像サーバ装置30から医用画像の画像ファイルD1、画像ファイルD1に対応するアノテーション情報D2及びDB関連情報D3を取得する。そして、制御部41は、取得した医用画像の画像ファイルD1及びアノテーション情報D2に基づいて、医用画像上に計測線及び計測値を付加して表示部43のモニタ画面に表示させる。
【0051】
なお、画像ファイルD1にアノテーション情報D2が付帯されていない場合には、制御部41は、アノテーション情報D2を画像サーバ装置30から取得せず、新たに計測を行う場合にアノテーション情報D2を生成する。新たに計測を行う場合には、ユーザは、操作部42からの操作により、医用画像上の計測線を描画すべき位置を指定する。制御部41は、ユーザが指定したモニタ上の座標から画像上の座標に変換し、各計測線を描画すべき画像上の座標(各計測線の両端の座標)をメモリ47にアノテーション情報D2として格納させる。制御部41は、表示部43に表示されている医用画像上に計測線を描画する。また、制御部41は、各計測線に基づいて計測値を算出し、算出された計測値をメモリ47のアノテーション情報D2に格納させる。制御部41は、表示部43に表示されている医用画像上に計測値を表示させる。
【0052】
画像ファイルD1が胸部画像である場合に、新たに心胸比計測を行う場合には、ユーザは、操作部42からの操作により、胸部画像上の心臓の左端、心臓の右端、胸郭の左端、胸郭の右端を指定する。なお、正中線に相当する計測線については、制御部41が胸郭幅の中点から自動的に決定するため、指定は不要である。制御部41は、各計測線に基づいて、心臓幅、胸郭幅及び心胸比を算出する。
【0053】
過去に計測が行われ、既に保存されているアノテーション情報D2に基づいて表示されている計測線を移動させる場合には、ユーザは、操作部42からの操作により、医用画像上の計測線を選択し、移動先の位置を指定する。制御部41は、ユーザが指定したモニタ上の座標から画像上の座標に変換し、移動後の計測線を描画すべき画像上の座標(移動後の計測線の両端の座標)をメモリ47のアノテーション情報D2に格納させる。制御部41は、移動後の計測線を医用画像上に描画する。また、制御部41は、各計測線に基づいて計測値を算出し、算出された計測値をメモリ47のアノテーション情報D2に格納させる。制御部41は、表示部43に表示されている医用画像上に計測値を表示させる。
【0054】
制御部41は、ユーザの操作部42からの操作により、医用画像のプリントが指示された場合に、表示部43に表示されている医用画像、計測線及び計測値とともに、DB関連情報D3をプリントさせるためのプリント情報を生成し、プリンタ50、イメージャ60等の外部機器に出力する。この際、制御部41は、表示部43に表示されている計測値(アノテーション情報D2に含まれる計測値)とDB関連情報D3に含まれる計測値とを比較し、両者が一致しない場合には、DB関連情報D3に含まれる計測値を表示部43に表示されている計測値に修正してプリント情報を生成する。プリント情報には、プリンタ50やイメージャ60においてプリントされるべき画像データが含まれる。
【0055】
プリンタ50は、画像計測装置40等の外部機器から送信されるプリント情報に基づいて、画像を用紙にプリントする装置である。プリンタ50は、画像計測装置40からプリント情報を受信すると、受信したプリント情報に含まれる画像データに基づいて、医用画像等を用紙にプリントする。
【0056】
イメージャ60は、画像計測装置40等の外部機器から送信されるプリント情報に基づいて、画像をフィルムにプリントする装置である。イメージャ60は、画像計測装置40からプリント情報を受信すると、受信したプリント情報に含まれる画像データに基づいて、医用画像等をフィルムにプリントする。
【0057】
次に、動作について説明する。
図6は、画像計測装置40において実行される処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部41のCPUと、ROM45に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0058】
まず、ユーザの操作部42からの操作により、計測対象となる医用画像の画像ファイルD1が選択され、制御部41の制御に従って、通信部44により、画像サーバ装置30に対して、選択された医用画像の画像ファイルD1の取得要求が送信される。そして、制御部41により、通信部44を介して、画像サーバ装置30から医用画像の画像ファイルD1、当該画像ファイルD1に対応するアノテーション情報D2、及び、DB関連情報D3が取得される(ステップS1)。取得された画像ファイルD1、アノテーション情報D2及びDB関連情報D3は、制御部41により、メモリ47に格納される。
【0059】
次に、制御部41により、取得された医用画像の画像ファイルD1及びアノテーション情報D2に基づいて、表示部43に医用画像、計測線及び計測値が表示される(ステップS2)。そして、ユーザによる医用画像の読影が開始される。図7に、表示部43に表示される胸部画像G1の読影画面431の例を示す。胸部画像G1上に5本の計測線L1,L2,L3,L4,L5が描画され、計測値表示領域R1には計測値が「心臓幅 134.99mm 胸郭幅 301.86mm 心胸比 44.72%」と表示されている。ここで、計測線L1は画面上において心臓の左端(人体における右側)と判断された位置を示すものであり、計測線L2は画面上において心臓の右端(人体における左側)と判断された位置を示すものであり、計測線L3は画面上において胸郭の左端(人体における右側)と判断された位置を示すものであり、計測線L4は画面上において胸郭の右端(人体における左側)と判断された位置を示すものであり、計測線L5は正中線と判断された位置を示すものである。心臓幅は計測線L1と計測線L2との距離であり、胸郭幅は計測線L3と計測線L4との距離であり、心胸比は胸郭幅に対する心臓幅の割合を%で表した値である。
【0060】
次に、ユーザの操作部42からの操作により、表示部43に表示されている医用画像に対する計測が指示され(ステップS3)、制御部41により、画像計測装置40は計測モードへ移行する。計測モードは、計測を実行することができる状態を指す。
【0061】
次に、制御部41により、計測処理が行われる(ステップS4)。
ここで、図8を参照して、計測処理について説明する。
まず、制御部41により、ユーザの操作部42からの操作により、計測線を描画すべき位置が指定されたか否かが判断される(ステップS21)。ここで、「計測線を描画すべき位置の指定」には、新たに計測線を追加する場合と、既に描画されている計測線を移動する場合とが含まれる。
【0062】
計測線を描画すべき位置が指定された場合には(ステップS21;YES)、制御部41により、指定された計測線の位置に基づいて、メモリ47内のアノテーション情報D2の計測線情報が更新される(ステップS22)。そして、制御部41により、更新された計測線情報に基づいて、表示部43の医用画像上に計測線が表示される(ステップS23)。
【0063】
次に、制御部41により、指定された計測線の位置に基づいて、計測値が算出され(ステップS24)、算出された計測値に基づいて、メモリ47内のアノテーション情報D2の計測値情報が更新される(ステップS25)。そして、制御部41により、更新された計測値情報に基づいて、表示部43の医用画像上に計測値が表示される(ステップS26)。
【0064】
図7に示す読影画面431上で計測線L2の移動を行った場合に、表示部43に表示される読影画面432の例を図9に示す。計測線L2を移動したことにより、計測値も算出し直され、計測値表示領域R1には計測値が「心臓幅 139.24mm 胸郭幅 301.86mm 心胸比 46.13%」と表示されている。
【0065】
ステップS21において、計測線を描画すべき位置が指定されない場合(ステップS21;NO)、又は、ステップS26の後、図6に戻り、制御部41により、ユーザの操作部42からの操作により、紙プリントが指示されたか否かが判断される(ステップS5)。
【0066】
紙プリントが指示されない場合には(ステップS5;NO)、制御部41により、ユーザの操作部42からの操作により、計測結果の保存が指示されたか否かが判断される(ステップS6)。
【0067】
計測結果の保存が指示された場合には(ステップS6;YES)、制御部41により、画像サーバ装置30に対して、表示部43に表示されている計測結果(メモリ47のアノテーション情報D2に含まれる計測線情報及び計測値情報)の保存指示情報が、通信部44を介して送信される(ステップS7)。
【0068】
画像サーバ装置30では、通信部34により計測結果の保存指示情報が受信され、制御部31により、当該計測結果の保存指示情報に従って、記憶部36内の情報が上書き保存される。具体的には、アノテーション情報D2、DB361の計測線テーブル366、計測値テーブル367が更新される。
【0069】
ステップS6において、計測結果の保存が指示されない場合には(ステップS6;NO)、ステップS4に戻り、処理が繰り返される。
【0070】
ステップS5において、紙プリントが指示された場合には(ステップS5;YES)、制御部41により、医用画像上に計測線が描画されているか否かが判断される(ステップS8)。医用画像上に計測線が描画されていない場合には(ステップS8;NO)、制御部41により、表示部43に表示されている医用画像と、DB関連情報D3とをプリントさせるためのプリント情報が生成され、プリンタ50に対して、プリント情報が通信部44を介して送信される(ステップS9)。プリンタ50では、計測線及び計測値が付加されていない医用画像と、DB関連情報D3とが用紙にプリントされる。この場合、DB関連情報D3には計測値が含まれないため、情報の不一致は生じない。
【0071】
ステップS8において、医用画像上に計測線が描画されている場合には(ステップS8;YES)、制御部41により、表示部43に表示されている計測値(メモリ47のアノテーション情報D2に含まれる計測値)と、メモリ47のDB関連情報D3に含まれる計測値とが一致するか否かが判断される(ステップS10)。表示部43に表示されている計測値と、DB関連情報D3に含まれる計測値とが一致する場合には(ステップS10;YES)、制御部41により、表示部43に表示されている医用画像、計測線及び計測値と、DB関連情報D3とをプリントさせるためのプリント情報が生成され、プリンタ50に対して、プリント情報が通信部44を介して送信される(ステップS9)。プリンタ50では、計測線及び計測値が付加された医用画像と、DB関連情報D3とが用紙にプリントされる。
【0072】
ステップS10において、表示部43に表示されている計測値と、DB関連情報D3に含まれる計測値とが一致しない場合には(ステップS10;NO)、制御部41により、DB関連情報D3に含まれる計測値が、表示部43に表示されている計測値に修正され(ステップS11)、修正後のデータに基づいて、表示部43に表示されている医用画像、計測線及び計測値と、DB関連情報D3とをプリントさせるためのプリント情報が生成される。そして、制御部41により、プリンタ50に対して、プリント情報が通信部44を介して送信される(ステップS9)。プリンタ50では、計測線及び計測値が付加された医用画像と、DB関連情報D3とが用紙にプリントされる。
以上で、画像計測装置40における処理が終了する。
【0073】
図10に、プリント例を示す。図10に示すように、用紙70には、DB関連情報領域71、メモ領域72、医用画像領域73が含まれる。DB関連情報領域71は、DB関連情報D3がプリントされる領域である。メモ領域72は、医師がメモを記載するための領域である。医用画像領域73は、医用画像がプリントされる領域である。DB関連情報領域71に含まれる計測値711と、医用画像領域73に含まれる計測値731とは、一致している。
【0074】
以上の処理では、プリンタ50において用紙に医用画像等をプリントする場合について説明したが、イメージャ60においてフィルムに医用画像等をプリントする場合についても同様である。
【0075】
以上説明したように、画像計測装置40によれば、計測結果を外部機器に出力する際に、表示部43に表示されている計測値と、DB関連情報D3に含まれる計測値とが一致しない場合に、DB関連情報D3に含まれる計測値を、表示部43に表示されている計測値に修正してプリント情報を生成するので、用紙やフィルム上での情報の不一致を防止することができる。このため、用紙やフィルム上において、同一の計測値として異なる複数の情報が記載されることがなくなり、医用画像の診断の精度を向上させることができる。胸部画像の場合には、心臓幅、胸郭幅、心胸比について、情報の不一致を防止し、医用画像の診断の精度を向上させることができる。
【0076】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る画像計測装置の一例であり、これに限定されるものではない。装置の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0077】
例えば、画像計測装置40において計測結果を外部機器に出力する際に、表示部43に表示されている計測値と、DB関連情報D3に含まれる計測値とが一致しない場合に、その旨を画面に表示したり、音声出力したりすることにより、ユーザに対して警告を発することとしてもよい。また、紙やフィルムにプリントする際に、表示部43に表示されている計測値と、DB関連情報D3に含まれる計測値とが一致しない場合に、画像計測装置40から画像サーバ装置30に、表示部43に表示されている計測結果をフィードバックすることとしてもよい。
【0078】
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体としてROMを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
10 RIS
20 モダリティ
30 画像サーバ装置
31 制御部
32 操作部
33 表示部
34 通信部
35 ROM
36 記憶部
37 バス
40 画像計測装置
41 制御部
42 操作部
43 表示部
44 通信部
45 ROM
46 記憶部
47 メモリ
48 バス
50 プリンタ
60 イメージャ
70 用紙
71 DB関連情報領域
72 メモ領域
73 医用画像領域
100 医用画像システム
361 DB
362 患者情報テーブル
363 検査情報テーブル
364 シリーズ情報テーブル
365 画像情報テーブル
366 計測線テーブル
367 計測値テーブル
711 計測値
731 計測値
N ネットワーク
D1 画像ファイル
D2 アノテーション情報
D3 DB関連情報
L1,L2,L3,L4,L5 計測線
R1 計測値表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像上に当該医用画像に基づいて算出された第1の計測値を付加して表示手段に表示させ、前記医用画像及び前記第1の計測値とともに、第2の計測値を含む関連情報をプリントさせるためのプリント情報を外部機器に出力する画像計測装置であって、
前記プリント情報を出力する際に、前記第1の計測値と前記第2の計測値とを比較し、両者が一致しない場合には、前記第2の計測値を前記第1の計測値に修正して前記プリント情報を生成する制御手段を備える画像計測装置。
【請求項2】
前記医用画像は、胸部画像であり、
前記第1の計測値及び前記第2の計測値は、心臓幅、胸郭幅又は心胸比である、
請求項1に記載の画像計測装置。
【請求項3】
医用画像上に当該医用画像に基づいて算出された第1の計測値を付加して表示手段に表示させ、前記医用画像及び前記第1の計測値とともに、第2の計測値を含む関連情報をプリントさせるためのプリント情報を外部機器に出力するコンピュータを、
前記プリント情報を出力する際に、前記第1の計測値と前記第2の計測値とを比較し、両者が一致しない場合には、前記第2の計測値を前記第1の計測値に修正して前記プリント情報を生成する制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項4】
前記医用画像は、胸部画像であり、
前記第1の計測値及び前記第2の計測値は、心臓幅、胸郭幅又は心胸比である、
請求項3に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−233879(P2010−233879A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86319(P2009−86319)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】