説明

画像記録装置、画像記録装置の制御方法、及びそのプログラム

【課題】記録処理の際に記録媒体の存在領域外を汚すことのない縁無し記録における当該記録処理のスループットを高めることが可能な画像記録装置、画像記録装置の制御方法、及びそのプログラムを提供する。
【解決手段】記録媒体検出部5は、搬送経路中の搬送機構6の上流側に設けられ、記録媒体の搬送方向における少なくとも先端及び後端の検出を行う。ノズル列制御部18は、上位装置19より通知されるジョブ情報と、記録媒体検出部5による先端及び後端の検出情報とに基づき複数のノズルの駆動制御を行って、記録媒体の先端から後端までの範囲の領域にのみインクを吐出させる記録処理を行わせる。制御部17は、画像データの受信処理を行うと共に、記録媒体検出部5による記録媒体の後端の検出に応じて、画像データの転送の停止を上位装置19へ通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録技術に関し、特に記録媒体に対しインクを吐出して記録処理を行う画像記録装置において、記録媒体の縁近傍まで記録を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙等の記録媒体に対して記録処理(記録データを記録)する画像記録装置としては、例えばインクジェット方式のフルライン型画像記録装置が知られている。
このフルライン型画像記録装置では、記録媒体が搬送される搬送方向(副走査方向)に対して直交する方向(主走査方向)に記録媒体の幅以上の長さに亘って形成された、インクの液滴を吐出する複数のノズルからなるノズル列(記録ヘッド)が、インク色毎に配設されている。これらインク色毎のノズル列は、副走査方向に所定の間隔に離間し、且つ記録媒体に対しノズルが対向するように、配設されている。
【0003】
このような画像記録装置では、記録媒体とノズル列を有するラインヘッドとをノズルの配列方向と略直交する方向に相対的に移動させるだけで、記録媒体の全面に記録処理を行うことができる。従って、このような画像記録装置では、迅速に、且つキャリッジの移動や記録媒体の間欠的な搬送等を行わない簡易な動作で、記録処理を行うことができる。しかし、その一方、ラインヘッドには、短尺な記録ヘッドに比べ、コストが高い、歩留りが悪い、信頼性が低い等の課題がある。
【0004】
これらの課題を解決する画像記録装置としては、一方向に配列された短尺ノズル列をノズル配列方向に複数配列して吐出ノズルが形成されているラインヘッドを備えているものがある。このようなラインヘッドは、コスト、歩留り、信頼性等の短尺ノズル列の利点を生かしつつ、ラインヘッドの利点をも併せ持っている。
【0005】
また、記録媒体の周縁に余白を形成せず、記録媒体全面に画像を記録するようにした、いわゆる余白無し記録(縁無し記録と称することもある)を行う機能を備えた画像記録装置が提案されている。
【0006】
例えば特許文献1には、インク等の画像形成物質を画像信号に基づいて記録媒体に移行して記録媒体に画像記録を行うときに、記録媒体の存在領域情報に基づき、その存在領域のみに画像形成物質を移行するようにする画像記録装置が開示されている。特許文献1では、この画像記録装置によれば、記録媒体やインク等を無駄に使用することなく、かつ、画像形成物質による記録媒体外部領域の汚れもなく、画像が記録媒体の縁(端部)一杯まで記録されたプリント(縁無しプリント)を可能にするとされている。
【特許文献1】特開2001−96874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したようなラインヘッドを備えた画像記録装置で高速な画像記録を行うには、上位装置からの画像データ転送速度を高速にした上で、受信した画像データを記録ヘッドに対する制御用のデータへ変換する画像データ処理も高速に行えるようにする必要がある。
【0008】
特許文献1に開示されている技術では、画像が記録媒体の縁(端部)一杯まで記録されたプリント(縁無しプリント)を可能にしている。しかしながら、特許文献1では、画像データ処理の高速化や記録処理のスループット向上に関する記載はない上に、記録媒体のサイズよりも大きなサイズの画像を表現している画像データの処理を行っている。このような、画像記録には必要でない画像データの処理をも行いながら記録処理のスループットを向上させるには、画像データの受信や画像データ処理も不必要に高速でなければならなくなり、このことは、画像記録装置の大型化や高価格化を招くこととなる。
【0009】
ところで、記録媒体が定形の場合でも、規格に対する寸法差は1%程度有り得る。また、膨潤による伸縮などを含めると、定形の記録媒体には1%以上の規格に対する寸法差が有り得る。更には、定形寸法ではない記録媒体に定形寸法の画像データを記録する場合もあり、この場合における記録媒体と画像データの寸法差は、更に大きい場合があることに予め配慮して画像記録を行うことになる。
【0010】
そこで本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、記録処理の際に記録媒体の存在領域外を汚すことのない縁無し記録における当該記録処理のスループットを高めることが可能な画像記録装置、画像記録装置の制御方法、及びそのプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明の態様のひとつである画像記録装置は、搬送経路の上流側より受け渡された記録媒体を搬送する際に当該記録媒体の搬送情報を生成する搬送機構と、複数のノズルによって記録媒体の搬送方向に対し直交する方向に形成されたノズル列が少なくとも1つ配設されて成る少なくとも1つの記録ユニットとを有し、上位装置が転送する1ライン分の画像データを受信する毎に、記録ユニットの有するノズル列駆動部が当該画像データに基づき複数のノズルを駆動してインクを吐出させることで記録処理を行う画像記録装置において、搬送経路中の搬送機構の上流側に設けられ、記録媒体の搬送方向における少なくとも先端及び後端の検出を行う記録媒体検出部と、上位装置より通知されるジョブ情報と、記録媒体検出部による先端及び後端の当該検出情報とに基づき複数のノズルの駆動制御を行って、記録媒体の先端から後端までの範囲の領域にのみインクを吐出させる記録処理を行わせるノズル列制御部と、画像データの受信処理を行うと共に、記録媒体検出部による記録媒体の後端の検出に応じて、画像データの転送の停止を上位装置へ通知する制御部と、を少なくとも備える、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の別の態様のひとつである画像記録装置の制御方法は、搬送経路の上流側より受け渡された記録媒体を搬送する際に当該記録媒体の搬送情報を生成する搬送機構と、複数のノズルによって記録媒体の搬送方向に対し直交する方向に形成されたノズル列が少なくとも1つ配設されて成る少なくとも1つの記録ユニットとを有し、上位装置が転送する1ライン分の画像データを受信する毎に、記録ユニットの有するノズル列駆動部が当該画像データに基づき複数のノズルを駆動してインクを吐出させることで記録処理を行う画像記録装置の制御方法であって、搬送経路中の搬送機構の上流側において、記録媒体の搬送方向における少なくとも先端及び後端の検出を行い、画像データの受信処理を行い、上位装置より通知されるジョブ情報と、先端及び後端の検出情報と、受信された画像データとに基づき複数のノズルの駆動制御を行って、記録媒体の先端から後端までの範囲の領域にのみインクを吐出させる記録処理を行わせ、記録媒体の後端の検出に応じて、画像データの転送の停止を上位装置へ通知する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の更なる別の態様のひとつであるプログラムは、搬送経路の上流側より受け渡された記録媒体を搬送する際に当該記録媒体の搬送情報を生成する搬送機構と、複数のノズルによって記録媒体の搬送方向に対し直交する方向に形成されたノズル列が少なくとも1つ配設されて成る少なくとも1つの記録ユニットとを有し、上位装置が転送する1ライン分の画像データを受信する毎に、記録ユニットの有するノズル列駆動部が当該画像データに基づき複数のノズルを駆動してインクを吐出させることで記録処理を行う画像記録装置の制御を演算処理装置に行わせるためのプログラムであって、搬送経路中の搬送機構の上流側において、記録媒体の搬送方向における少なくとも先端及び後端を検出する処理と、画像データの受信処理と、上位装置より通知されるジョブ情報と、先端及び後端の検出情報と、受信された画像データとに基づき複数のノズルの駆動制御を行って、記録媒体の先端から後端までの範囲の領域にのみインクを吐出させて記録処理を行わせる処理と、記録媒体の後端の検出に応じて、画像データの転送の停止を上位装置へ通知する処理と、を演算処理装置に行わせる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以上のようにすることにより、記録処理の際に記録媒体の存在領域外を汚すことのない縁無し記録における当該記録処理のスループットを高めることが可能な画像記録装置、画像記録装置の制御方法、及びそのプログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、記録媒体の搬送方向をY方向又は副走査方向と称し、この搬送方向に対し直交する方向をX方向又は主走査方向と称し、X方向及びY方向のどちらにも直交する方向をZ方向と称することとする。
【0016】
まず、本発明の実施形態に係る画像記録装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像記録装置の構成を概念的なブロックで示している。また、図2は、本実施形態に係る画像記録装置の各構成要素の配置を示している。
【0017】
本実施形態に係る画像記録装置1は、給送部2と、記録媒体検出部5と、搬送機構6と、回収部9と、画像記録部12と、制御部16と、を備えている。ここで、給送部2は、記録媒体21を給送して搬送する。記録媒体検出部5は、記録媒体21の搬送経路において搬送機構6よりも上流に設けられ、記録媒体21の例えば先端を検出する。搬送機構6は、給送部2から受け渡された記録媒体21を搬送する。回収部9は、画像記録された記録媒体21を排出して収納する。画像記録部12は、記録媒体21が搬送経路を搬送される過程で画像を記録する記録処理を行う。制御部16は、画像記録装置1全体の制御を行う。
【0018】
次に、画像記録装置1の各構成要素について更に説明する。
給送部2は、給送トレイ3と、給送駆動部4とを備えている。ここで、給送トレイ3は、記録媒体21を収容するものであり、いわゆる給送カセット等で構成されている。給送駆動部4は、給送トレイ3に収容された最上面の記録媒体21に当接して1枚ずつ取り出し、搬送機構6側へ受け渡すものであり、例えば給送ローラで構成されている。給送部2は、給送トレイ3に収容されている記録媒体21を搬送機構6へ受け渡す。
【0019】
記録媒体検出部5は、記録媒体21の副走査方向における例えば先端と後端を検出するものであり、例えば光学式の透過センサ、光学式の反射型センサ、又は静電容量型センサ等のいずれかを備えて構成されている。記録媒体検出部5は、先端及び後端を検出すると、この検出がされたことを示す検出情報を制御部16へ通知する。また、記録媒体検出部5は、例えばCIS(Contact Image Sensor:密着型撮像素子)などのラインセンサを備えて構成することも可能である。この場合には、記録媒体検出部5は、先端及び後端並びに両側端位置を検出することができ、この検出がされたことを示す検出情報を制御部16へ通知する。
【0020】
搬送機構6は、副走査方向に離間した駆動ローラ22及び従動ローラ23と、駆動ローラ22の回動軸に接続される搬送駆動部7と、従動ローラ23の回動軸に接続される搬送情報生成部8と、無端の搬送ベルト24と、図示しない少なくともひとつの吸引ファンとを有する。ここで、搬送ベルト24は、図2に示されるように、記録媒体21の搬送面を、少なくとも1つ以上の記録ユニット13−1乃至13−n(但しnは2以上の整数)のインク吐出口に対向させつつ回動可能に架設されており、記録媒体21を載置して一定の速度で搬送する。駆動ローラ22は、搬送駆動部7により駆動され、搬送ベルト24を回動させる。従動ローラ23は、搬送ベルト24により回動する。搬送情報生成部8は、例えばロータリエンコーダを備えて構成されており、記録媒体21の搬送情報としてのパルス信号を、搬送ベルト24が所定量回動する毎に生成して制御部16へ出力する。従って、このパルス信号は記録媒体21の搬送距離を示している。また、図示しない吸引ファンは、制御部16による制御の下で負圧を発生させて搬送ベルト24上に記録媒体21を吸着させる。
【0021】
回収部9は、例えば収納トレイ10と、排出駆動部11とを有して構成される。ここで、収納トレイ10は、排出された記録媒体21を収納するものである。排出駆動部11は、搬送機構6が搬送してくる記録媒体21を排出するものであり、例えば排出ローラ対で構成されている。
【0022】
画像記録部12は、少なくとも1つ以上の記録ユニット13−1乃至13−nを備えている。記録ユニット13−1乃至13−nは、ノズル列15−1−1乃至15−n−m(但しn,mは2以上の整数)と、ノズル列駆動部14−1乃至14−nとを備えており、支持部材25によって支持されている。
【0023】
ノズル列15−1−1乃至15−n−mには、インクを吐出する複数のノズルが直線状に形成されている。ノズル列15−1−1乃至15−n−mは、画像記録装置1の設計に基づく最大幅の記録媒体21を越える長さに亘って主走査方向に配設されており、ノズル列駆動部14−1乃至14−nによる駆動信号に従って当該複数のノズルからインク滴をそれぞれ吐出して記録媒体21へ記録処理を行う。
【0024】
ノズル列駆動部14−1乃至14−nは、制御部16から記録データ情報に基づいて送られてくる制御信号に従って、各ノズルを駆動する駆動信号をノズル列15−1−1乃至15−n−mへ出力する。
【0025】
画像記録部12について更に説明する。
記録ユニット13−1乃至13−nは、複数のノズル列15−1−1乃至15−n−mを例えば図2に示すように配置して構成されている。なお、図2では、例えば4色のインクに対応する態様として、K(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、及びY(イエロー)の色毎の記録ユニット13−1乃至13−4を配設した場合を示している。ここで、nはインク色の総数を表しており、図2の場合n=4である。また、mはインク色に拘りなく勘定したノズル列の総数を表しており、図2の場合では1色あたり1個のノズル列を配置しているので、m=4である。
【0026】
各色の記録ユニット13−1乃至13−4は、副走査方向に沿ってそれぞれ離間して配設されており、搬送経路の前後に配設された位置に対応したタイミングでノズル列15−1−1乃至15−4−4を各々駆動させることで、記録媒体21への記録処理を行う。記録媒体検出部5で検出されてからノズル列15−1−1乃至15−4−4の各々までの記録媒体21の移動距離は、搬送情報生成部8により搬送情報として生成される。この搬送情報は、搬送情報生成部8における例えばロータリエンコーダによって生成される、記録媒体21の搬送距離に応じたパルス信号数である。
【0027】
ノズル列駆動部14−1乃至14−nは、上位装置19からの記録情報に基づきノズルを選択し、選択したノズルを、制御部16のノズル列制御部18が生成するインク吐出タイミング制御信号により決定されるタイミングで駆動してインク吐出を行わせる。
【0028】
制御部16は、給送部2と、搬送機構6と、回収部9と、画像記録部12とをそれぞれ制御して、記録媒体21への記録処理(画像記録)を行わせる。
制御部16は、制御機能及び演算機能を有する演算処理装置における例えばMicroprocessor Unit (MPU)を含む図示しない処理回路と、記憶部17と、ノズル列制御部18とを少なくとも有している。記憶部17は、制御プログラムを記憶していると共に、装置の制御に関する設定値等と画像記録情報とを一時的に記憶しておく。ノズル列制御部18は、記憶部17から読み出した設定値に基づきノズル列15−1−1乃至15−n−mの制御を行う。なお、制御部16は、MPUが制御プログラムを記憶部17から読み出して実行することによって、画像記録装置1の各構成要素の制御を行い、更に、ノズル列15−1−1乃至15−n−mのインク吐出タイミングを制御するノズル列制御部18としての機能を提供する。
【0029】
記憶部17は、制御プログラムを記憶するRead Only Memory(ROM)と、MPUのワークメモリとなるRandom Access Memory(RAM)と、記録データを含む記録処理の指定情報を記憶しておく不揮発性メモリとを有して構成されている。
【0030】
ノズル列制御部18については、後に詳細に説明する。
上位装置19は、本実施形態に係る画像記録装置1に記録処理を行わせるユーザによって操作される、例えばコンピュータである。この上位装置19は、本実施形態に係る画像記録装置1の外部機器として、例えばLocal Area Network(LAN)等を介して接続されている。上位装置19は、本実施形態に係る画像記録装置1に対し、記録処理に関する情報としてジョブ情報を通知する。ここで、ジョブ情報には、記録媒体21に対し記録処理を行う際の画像記録情報が含まれる。この画像記録情報には、記録画像サイズ情報、解像度、濃度、色情報、上位装置19のメモリに保持した画像データのアドレス情報等が含まれる。また、上位装置19は、R(レッド)、G(グリーン)、及びB(ブルー)の光の三原色からなる多階調画像データを、K並びにC、M、及びYの色の三原色からなる画像記録装置の出力可能な階調値に変換する擬似階調変換処理などの画像データ処理を行う。このとき擬似階調変換された画像データは、上位装置19のメモリに保持される。上位装置19は、指定ライン情報(保持メモリアドレス)と共に画像データリクエストを画像記録装置1から受け取ると、この保持させた画像データを、1ライン単位で画像記録装置1へ転送する。
【0031】
画像記録装置1の制御部16は、上位装置19から通知されたジョブ情報を受け取ると、記憶部17に記憶させる。
制御部16は、記録処理開始の指示を上位装置19から受け取ると、搬送機構6の搬送駆動部7を制御して搬送ベルト24の回動を開始させる。続いて、制御部16は、給送部2の給送駆動部4を制御して、給送トレイ3に積載された記録媒体21を1枚ずつピックアップさせて搬送機構6へ受け渡し搬送させる。
【0032】
搬送経路上を搬送されている記録媒体21は、やがて、記録媒体検出部5により、例えばその先端が検出される。すると、記録媒体検出部5は、その先端を検出したことを示す先端エッジ信号を制御部16へ出力する。制御部16は、この先端エッジ信号を受信して、記録処理タイミングの生成のためのトリガ信号として利用する。
【0033】
その後、記録媒体検出部5を通過した記録媒体21は、更に搬送経路の下流側へ搬送され、やがて搬送機構6の搬送ベルト24上に吸着される。
ノズル列制御部18は、上位装置19から受信した画像データを、ジョブ情報と、予め記憶部17に記憶されているジョブ情報に対応した設定値とに基づいて、記録処理可能な記録データへと変換する処理を行って、画像記録部12へ転送する。ここでの画像データ変換処理は、ノズル列毎のデータ分配やデータ位置合わせ、記録濃度変換などを含んでいる。また、ノズル列制御部18は、上位装置19からのジョブ情報に基づきインク吐出タイミングを制御し、記録媒体21に記録処理を行うときの副走査方向の記録位置を決定する制御を行う。
【0034】
搬送情報生成部8で生成される搬送情報であるロータリエンコーダのパルス信号は、ノズル列15−1−1乃至15−n−mにより記録処理がなされる際の同期信号としても用いられる。すなわち、制御部16は、ノズル列15−1−1乃至15−n−mによるインク吐出を開始させるためのタイミングの情報として、記録媒体検出部5から例えば図2に示されるノズル列15−1−1乃至15−4−4の距離に対応するパルス信号数の計数値を、記憶部17に予め記憶している。制御部16のノズル列制御部18は、このパルス信号数と、搬送情報生成部8で生成されたロータリエンコーダのパルス信号数との一致を検出する。そして、この一致を検出したタイミングで画像記録部12のノズル列駆動部14−1乃至14−nを制御してノズル列15−1−1乃至15−4−4からインクを吐出させて、搬送ベルト24上に吸着されている記録媒体21への記録処理を行わせる。
【0035】
このようにして記録処理された後の記録媒体21は、搬送機構6の下流側に設けられた回収部9へ受け渡される。すると、記録媒体21は、排出駆動部11に挟持されて搬送経路の更に下流側に搬送され、やがて収納トレイ10に収納される。
【0036】
次に図3について説明する。図3は、本実施形態に係る画像記録装置1における記録媒体21の検出と画像記録とのタイミングの関係を模式的に示したものである。
図3において、記録媒体21は、搬送機構6により状態1から状態5に亘って搬送される過程において画像記録がされる。
【0037】
給送部2から搬送されてきた記録媒体21は、状態1において、搬送方向における先端(「搬送先端」と称することとする。)が記録媒体検出部5の検出領域へと搬送されて検出される。
【0038】
その後、搬送が進み、状態2において、記録媒体21の搬送先端がK色のノズル列15−1−1に対向する位置に達すると、このタイミングでK色の画像記録が開始される。ここで、記録媒体検出部5からノズル列15−1−1までの距離の搬送に対応して搬送情報生成部8で生成されるパルス信号数は、予め記憶部17に記憶されている。従って、ノズル列制御部18は、このパルス信号数と、実際に記録媒体21の搬送先端が記録媒体検出部5の検出領域を通過した後に搬送情報生成部8で生成されたパルス信号数とが一致したタイミングで、ノズル列15−1−1からインクを吐出させて記録媒体21への記録処理を行わせる。
【0039】
その後、搬送が更に進み、状態3において、記録媒体21の搬送方向における後端(「搬送後端」と称することとする。)が記録媒体検出部5の検出領域に搬送へと搬送されて検出される。なお、この状態において、K色、C色の画像記録は既に開始されており、吐出されたインクによって画像32が記録媒体21上に記録されている。
【0040】
その後、搬送が更に進み、状態4において、記録媒体21の搬送後端がK色のノズル列15−1−1に対向する位置に達すると、このタイミングでK色の画像記録が停止される。前述したように、記録媒体検出部5からノズル列15−1−1までの距離の搬送に対応して搬送情報生成部8で生成されるパルス信号数は、予め記憶部17に記憶されている。従って、ノズル列制御部18は、このパルス信号数と、実際に記録媒体21の搬送後端が記録媒体検出部5の検出領域を通過した後に搬送情報生成部8で生成されたパルス信号数とが一致したタイミングで、ノズル列15−1−1からのインクの吐出を止めさせて記録媒体21への記録処理を停止させる。なお、この状態4においては、C色、M色、Y色の画像記録は継続中であり、吐出されたインクによる画像32の記録媒体21上への記録が進んでいく。
【0041】
なお、以上の説明においては、ノズル列15−1−1によるK色のインクでの画像32の記録の様子を説明した。ノズル列15−2−2によるC色のインク、ノズル列15−3−3によるC色のインク、及びノズル列15−2−2によるC色のインクの各々での画像32の記録の様子も同様である。
【0042】
その後、搬送が更に進み、状態5において、記録媒体21の搬送後端がY色のノズル列15−4−4に到達する。すると、ノズル列制御部18は、このパルス信号数と、実際に記録媒体21の搬送後端が記録媒体検出部5の検出領域を通過した後に搬送情報生成部8で生成されたパルス信号数とが一致したタイミングで、ノズル列15−4−4からのインクの吐出を止めさせて記録媒体21への記録処理を停止させる。なお、この状態5においては、C色、M色、Y色の画像記録は既に完了しており、ここまでで、画像32の記録媒体21上への記録が終了する。
【0043】
次に図4について説明する。図4は、本実施形態に係る画像記録装置1における、記録媒体21と記録される画像データの関係の第一の例を模式的に示したものである。なお、この第一の例は、記録ユニット13−1の態様として、単一色用である1個のノズル列15−1−1を配設した場合におけるものである。
【0044】
図4は、3枚の記録媒体21−1、21−2、及び21−3が連続して搬送されている状況を表している。ここで、LP1、LP2、及びLP3は、それぞれ、記録媒体21−1、21−2、及び21−3について記録媒体検出部5により検出されたY方向記録媒体長を示している。また、LD1、LD2、及びLD3は、それぞれ、上位装置19から送られてきて記憶部17に記憶されているジョブ情報に含まれている、記録画像サイズ情報のうちのY方向画像データ長を示している。
【0045】
図4の(a)において明らかであるように、記録媒体21−1及び21−3については、LP1=LD1及びLP3=LD3が成立している。従って、制御部16は、このY方向画像データ長LD1及びLD3に応じて画像データを受信し、ノズル列制御部18は、記録媒体21−1及び21−3に、それぞれLP1及びLP3の長さに亘って画像記録を行わせる。
【0046】
それに対し、記録媒体21−2では、記録媒体検出部5により検出されたY方向記録媒体長LP2が、ジョブ情報に含まれるY方向画像データ長LD2よりも小さく、LP2<LD2の状態であることを示している。この状態で、LD2の長さに亘って画像記録を行ってしまうと、ノズル列15−1−1は、画像データに対応するインクを、記録媒体21−2に対向しない斜線部31−2に搬送ベルト24にまで吐出してしまう。そのため、制御部16にて、記録媒体検出部5により検出されたY方向記録媒体長LP2とジョブ情報に含まれるY方向画像データ長LD2とに基づき画像データの記録範囲を算出し、斜線部31−2に対する画像記録を停止させる処理を行う。この画像記録の停止タイミングは、記録媒体検出部5による記録媒体21−2の後端検出情報に基づき搬送情報生成部8によって生成される記録媒体21の搬送距離に応じたパルス信号数と、予め記憶部17に記憶されているノズル列配置情報とに基づいて決定される。
【0047】
また、制御部16は、斜線部31−2に対応する画像データについては、この画像データの上位装置19からの受信処理、及び、この画像データから記録処理可能な記録データへの変換処理を停止する。
【0048】
以上のようにして行われる画像記録による記録画像と、その記録タイミングとを模式的に示したものが図4の(b)であり、斜線部31−2の記録が行われていないことが分かる。なお、制御部16は、この記録を行わない斜線部31−2の画像データを上位装置19から受信しないようにして無駄を省くようにする。
【0049】
なお、ここで、給送部2による記録媒体21−1、21−2、及び21−3の搬送機構6への給送タイミングは一定ではない。すなわち、制御部16は、先行する記録媒体の搬送後端と、その後続の記録媒体の搬送先端との間隔が、Y方向記録媒体長の違いとは無関係に、等間隔になるように給送部2の搬送機構6への給送タイミングを制御する。
【0050】
制御部16は、以上のようにして、記録媒体21−1、21−2、及び21−3のそれぞれの縁まで画像記録を行う。また、制御部16は、記録媒体21−1の搬送後端と記録媒体21−2の搬送先端との搬送時間間隔T2−T1を、記録媒体21−2の搬送後端と記録媒体21−3の搬送先端との搬送時間間隔T4−T3に等しく、且つ最小限の搬送時間間隔として制御する。これらの制御により、無駄となる画像データの上位装置19からの受信処理、及び、この画像データから記録処理可能な記録データへの変換処理が省かれ、また、T4−T3をT2−T1よりも長くするような制御は行われないので、画像記録のスループットが高まる。
【0051】
なお、ここでは図示していないが、記録媒体検出部5の記録媒体幅検出部により、記録媒体21−1、21−2、及び21−3のそれぞれの幅が検出される。制御部16は、上位装置19から送られてきていた画像データの幅方向(X方向)の記録範囲を算出し、この算出結果と記録媒体幅検出部の検出結果とに基づき記録媒体21に対向しないと判断される画像データについては、画像記録を停止させる処理を行う。また、このとき、制御部16は、記録媒体21に対向しないと判断された31−2に対応する画像データについては、上位装置19からの受信処理、及び、記録処理可能な記録データへの変換処理を停止する。
【0052】
次に、本実施形態に係る画像記録装置1の各構成要素の動作タイミングについて、図5を参照しながら説明する。なお、図5に示したタイミングチャートの第一の例は、図2に示した構造のように、K、C、M、及びYの4色のインクの各々に対応する計4個の記録ユニット13−1乃至13−4を配設した場合について示している。また、この第一の例は、記録ユニット13−1乃至13−4の態様として、図4における場合の態様のように、その各々に単一色用である1個のノズル列15−1−1、15−2−2、15−3−3、及び15−4−4を配設した場合におけるものである。更に、この第一の例は、図4における場合、すなわち、3枚の記録媒体21−1、21−2、及び21−3が連続して搬送されている状況において、記録媒体21−2のY方向の長さが、記録媒体21−1及び21−3よりも顕著に短い場合のチャートである。
【0053】
図5において、(a)のチャートは、記録媒体検出部5から制御部16へと送られる、記録媒体21(21−1、21−2、及び21−3)の検出信号を示している。この検出信号は2値論理の信号であって、Hレベル(ハイレベル)のときは記録媒体21を検出していることを示しており、Lレベル(ローレベル)のときは記録媒体21を検出していないことを示している。従って、この検出信号の立ち上がりエッジが記録媒体21の搬送先端を検出したことを示し、立ち下がりエッジが記録媒体21の搬送後端を検出したことを示す。
【0054】
図5において、(b)のチャートは、上位装置19から送られてくるK色の画像データの受信同期信号を示している。制御部16は、上述した検出信号に基づきこの同期信号を生成し、この同期信号に従って、K色の画像データの受信処理を行う。すなわち、制御部16は、K色の画像データの受信処理を、記録媒体検出部5から送られてくる検出信号が記録媒体21の搬送先端の検出を示すと開始し、記録媒体21の搬送後端の検出を示すと終了する。
【0055】
図5において、(c)のチャートは、K色用のノズル列15−1−1の駆動同期信号を示している。制御部16のノズル列制御部18は、上述したK色の画像データの受信同期信号に基づきこの駆動同期信号を生成し、この駆動同期信号に従ってノズル列15−1−1の駆動制御処理を行う。すなわち、ノズル列制御部18は、K色のノズル列15−1−1の駆動制御処理を、記録媒体検出部5から送られてくる検出信号が記録媒体21の搬送先端の検出を示して制御部16がK色の画像データの受信処理を開始すると開始する。そして、当該検出信号が記録媒体21の搬送後端の検出を示して制御部16がK色の画像データの受信処理を終了すると終了する。なお、この(c)のタイミングチャートに示した時刻T0、T1、T2、T3、T4、及びT5は、図4の(b)に付したものに対応付けて付している。
【0056】
図5において、(d)、(f)、及び(h)の各チャートは、それぞれ、上位装置19から送られてくるC色、M色、及びY色の画像データの受信同期信号を示している。また、(e)、(g)、及び(i)の各チャートは、それぞれ、C色用のノズル列15−2−2、M色用のノズル列15−3−3、及びY色用のノズル列15−4−4の駆動同期信号を示している。ノズル列15−1−1、15−2−2、15−3−3、及び15−4−4は、記録媒体21の搬送経路の搬送方向における上流から下流に向けてこの順序で配置されている。従って、CMY各色の画像データ受信処理並びに各ノズル列15−2−2、15−3−3、及び15−4−4の駆動制御処理は、K色の画像データ受信処理及びノズル列15−1−1の駆動制御処理に対し、これらの配置位置に応じて遅延させて実行される。このようなタイミング画像データ受信処理及び駆動制御処理を行うことで、無駄な画像データの受信や、記録処理可能な記録データへの変換処理を行わないようにする。こうすることで、KCMYの各色について記録媒体21の縁までの画像記録を可能になると共に、画像記録のスループットが高まる。
【0057】
次に図6について説明する。図6は、本実施形態に係る画像記録装置1における、記録媒体21と記録される画像データの関係の第二の例を模式的に示したものである。なお、この第二の例は、記録ユニット13−1の態様として、単一色用の6個のノズル列15−1−1乃至15−1−6を記録媒体21の搬送方向に互い違いに配設した場合におけるものである。
【0058】
図6は、3枚の記録媒体21−1、21−2、及び21−3が連続して搬送されている状況を表している。ここで、LP1、LP2、及びLP3は、それぞれ、記録媒体21−1、21−2、及び21−3について記録媒体検出部5により検出されたY方向記録媒体長を示している。また、LD1、LD2、及びLD3は、それぞれ、上位装置19から送られてきて記憶部17に記憶されているジョブ情報に含まれている、記録画像サイズ情報のうちのY方向画像データ長を示している。
【0059】
図6の(a)において、LP1、LP2、及びLP3並びにLD1、LD2、及びLD3の関係は、図4の(a)における関係と同一である。すなわち、図6の(a)においても、LP1=LD1及びLP3=LD3が成立している一方で、LP2<LD2の状態であることを示している。この場合、制御部16は、図4の(a)における場合と同様の処理を行う。すなわち、制御部16は、記録媒体検出部5により検出されたY方向記録媒体長LP2とジョブ情報に含まれるY方向画像データ長LD2とに基づき画像データの記録範囲を算出し、斜線部31−2に対する画像記録を停止させる処理を行う。更に、制御部16は、斜線部31−2に対応する画像データについては、この画像データの上位装置19からの受信処理、及び、この画像データから記録処理可能な記録データへの変換処理を停止する。
【0060】
以上のようにして行われる画像記録による記録画像と、その記録タイミングとを模式的に示したものが図6の(b)であり、斜線部31−2の記録が行われていないことが分かる。
【0061】
なお、図6の場合においては、同一色のインクを吐出する6個のノズル列15−1−1乃至15−1−6が、図示されているように、互い違いに距離hだけ離間して配置されている。このため、各々の配置に応じて、ノズル列15−1−1乃至15−1−6の駆動制御処理の実行タイミングを異ならせる必要がある。例えば、記録媒体21の搬送方向の上流側に配置されているノズル列15−1−2、15−1−4、及び15−1−6が時刻T0で画像記録を開始することを想定する。この場合、その搬送方向の下流側に配置されているノズル列15−1−1、15−1−3、及び15−1−5は、時刻T0から所定時間遅延させた時刻T1に画像記録を開始するようにする。この記録開始タイミングは、搬送情報生成部8で生成される記録媒体21−1の搬送距離に応じたパルス信号数と、予め記憶部17に記憶されているノズル列配置情報とに基づき、記録媒体検出部5から送付される記録媒体検出信号より決定される。なお、記録媒体21の搬送方向に距離hだけ離間して配置されているノズル列の記録媒体21−1への記録開始時刻の差の時間T1−T0は、記録媒体21の搬送速度をvとすると、h/vとなる。
【0062】
なお、この第二の例においても、給送部2による記録媒体21−1、21−2、及び21−3の搬送機構6への給送タイミングは一定ではない。すなわち、制御部16は、先行する記録媒体の搬送後端と、その後続の記録媒体の搬送先端との間隔が、Y方向記録媒体長の違いとは無関係に、等間隔になるように給送部2の搬送機構6への給送タイミングを制御する。
【0063】
時刻T1の経過後、記録媒体21−1の搬送が継続し、やがて時刻T2において、記録媒体21の搬送方向上流側のノズル列15−1−2、15−1−4、及び15−1−6による画像記録が終了する。その後、時刻T3において、ノズル列15−1−2、15−1−4、及び15−1−6は、記録媒体21−2への画像記録を開始する。ここで、時刻T3と時刻T2との差の時間は、記録媒体21−1の搬送後端と記録媒体21−2の搬送先端との搬送時間間隔に相当する。
【0064】
その後、時刻T4において、記録媒体21の搬送方向下流側のノズル列15−1−1、15−1−3、及び15−1−5の記録媒体21−1への画像記録が終了する。その後、時刻T5において、ノズル列15−1−1、15−1−3、及び15−1−5は、記録媒体21−2への画像記録を開始する。なお、これらの時刻の関係は、
T5−T3=T4−T2=T1−T0=h/v
である。
【0065】
時刻T5の経過後、記録媒体21−2の搬送が継続し、やがて時刻T6において、記録媒体21の搬送方向上流側のノズル列15−1−2、15−1−4、及び15−1−6による画像記録が停止される。この停止タイミングは、搬送情報生成部8で生成される記録媒体21−2の搬送距離に応じたパルス信号数と、予め記憶部17に記憶されているノズル列配置情報とに基づき、記録媒体検出部5から送付される記録媒体21−2の搬送後端の検出情報より決定される。その後、時刻T7において、ノズル列15−1−2、15−1−4、及び15−1−6は、記録媒体21−3への画像記録を開始する。ここで、時刻T7と時刻T6との差の時間は、記録媒体21−2の搬送後端と記録媒体21−3の搬送先端との搬送時間間隔に相当する。
【0066】
その後、時刻T8において、記録媒体21の搬送方向下流側のノズル列15−1−1、15−1−3、及び15−1−5の記録媒体21−2への画像記録が停止する。その後、時刻T9において、ノズル列15−1−1、15−1−3、及び15−1−5は、記録媒体21−3への画像記録を開始する。なお、これらの時刻の関係は、
T9−T7=T8−T6=T1−T0=h/v
である。
【0067】
時刻T9の経過後、記録媒体21−3の搬送が継続し、やがて時刻T10において、記録媒体21の搬送方向上流側のノズル列15−1−2、15−1−4、及び15−1−6による記録媒体21−3への画像記録が終了する。その後、時刻T11において、記録媒体21の搬送方向下流側のノズル列15−1−1、15−1−3、及び15−1−5による記録媒体21−3への画像記録が終了する。
【0068】
制御部16は、以上のようにして、記録媒体21−1、21−2、及び21−3のそれぞれの縁まで画像記録を行う。また、制御部16は、記録媒体21−1の搬送後端と記録媒体21−2の搬送先端との搬送時間間隔T3−T2を、記録媒体21−2の搬送後端と記録媒体21−3の搬送先端との搬送時間間隔T7−T6に等しく、且つ最小限の搬送時間間隔として制御する。これらの制御により、無駄となる画像データの上位装置19からの受信処理、及び、この画像データから記録処理可能な記録データへの変換処理が省かれ、また、T7−T6をT3−T2よりも長くするような制御は行われないので、画像記録のスループットが高まる。
【0069】
次に、本実施形態に係る画像記録装置1の各構成要素の動作タイミングについて、図7を参照しながら説明する。なお、図7に示したタイミングチャートの第二の例は、図2に示した構造のように、K、C、M、及びYの4色のインクの各々に対応する計4個の記録ユニット13−1乃至13−4を配設した場合について示している。また、この第二の例は、インク色別の記録ユニット13−1乃至13−4の態様として、図6における場合の態様のように、その各々に複数個のノズル列15−1−1乃至15−4−mを互い違いに配設した場合におけるものである。更に、この第二の例は、図6における場合、すなわち、3枚の記録媒体21−1、21−2、及び21−3が連続して搬送されている状況において、記録媒体21−2のY方向の長さが、記録媒体21−1及び21−3よりも顕著に短い場合のチャートである。
【0070】
図7において、(a)のチャートは、記録媒体検出部5から制御部16へと送られる、記録媒体21(21−1、21−2、及び21−3)の検出信号を示している。図5の(a)と同様、この検出信号は2値論理の信号であって、Hレベル(ハイレベル)のときは記録媒体21を検出していることを示しており、Lレベル(ローレベル)のときは記録媒体21を検出していないことを示している。従って、この検出信号の立ち上がりエッジが記録媒体21の搬送先端を検出したことを示し、立ち下がりエッジが記録媒体21の搬送後端を検出したことを示す。
【0071】
図7において、(b)のチャートは、上位装置19から送られてくるK色の画像データの受信同期信号を示している。図5の(b)と同様、制御部16は、上述した検出信号に基づきこの同期信号を生成し、この同期信号に従って、K色の画像データの受信処理を行う。すなわち、制御部16は、K色の画像データの受信処理を、記録媒体検出部5から送られてくる検出信号が記録媒体21の搬送先端の検出を示すと開始し、記録媒体21の搬送後端の検出を示すと終了する。
【0072】
図5において、(c)のチャートは、記録媒体21の搬送方向上流側のK色用のノズル列15−1−2、15−1−4、及び15−1−6の駆動同期信号(K色−1用の駆動同期信号)を示している。また、(d)のチャートは、記録媒体21の搬送方向下流側のK色用のノズル列15−1−1、15−1−3、及び15−1−5の駆動同期信号(K色−2用の駆動同期信号)を示している。
【0073】
制御部16のノズル列制御部18は、上述したK色用の画像データの受信同期信号に基づき、これらのK色−1用及びK色−2用の駆動同期信号を生成し、これらの駆動同期信号に従ってノズル列15−1−1乃至15−1−6の駆動制御処理を行う。すなわち、ノズル列制御部18は、K色のノズル列15−1−2、15−1−4、及び15−1−6の駆動制御処理を、記録媒体検出部5から送られてくる検出信号が記録媒体21の搬送先端の検出を示して制御部16がK色の画像データの受信処理を開始すると開始する。そして、当該検出信号が記録媒体21の搬送後端の検出を示して制御部16がK色の画像データの受信処理を終了すると終了する。
【0074】
また、ノズル列制御部18は、K色のノズル列15−1−1、15−1−3、及び15−1−5の駆動制御処理を、記録媒体検出部5から送られてくる検出信号が記録媒体21の搬送先端の検出を示して制御部16がK色の画像データの受信処理を開始し、更に、ノズル列15−1−2、15−1−4、及び15−1−6の駆動制御処理が開始された後に開始する。そして、当該検出信号が記録媒体21の搬送後端の検出を示して制御部16がK色の画像データの受信処理を終了し、更に、ノズル列15−1−2、15−1−4、及び15−1−6の駆動制御処理が終了した後に終了する。
【0075】
なお、この(c)及び(d)のタイミングチャートに示した時刻T0、T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8、T9、T10、及びT11は、図6の(b)に付したものに対応付けて付している。
【0076】
図7において、(e)、(h)、及び(k)の各チャートは、それぞれ、上位装置19から送られてくるC色、M色、及びY色の画像データの受信同期信号を示している。また、(f)、(i)、及び(l)の各チャートは、それぞれ、各色において記録媒体21の搬送方向の上流側である、C色用のノズル列15−2−8、15−2−10、及び15−2−12、M色用のノズル列15−3−14、15−3−16、及び15−3−18、並びにY色用のノズル列15−4−20、15−4−22、及び15−4−24の駆動同期信号を示している。更に、(g)、(j)、及び(m)の各チャートは、それぞれ、各色において記録媒体21の搬送方向の下流側である、C色用のノズル列15−2−7、15−2−9、及び15−2−11、M色用のノズル列15−3−13、15−3−15、及び15−3−17、並びにY色用のノズル列15−4−19、15−4−21、及び15−4−23の駆動同期信号を示している。従って、CMY各色の画像データ受信処理並びに各ノズル列15−2−7乃至15−4−24の駆動制御処理は、K色の画像データ受信処理及びノズル列15−1−1乃至15−1−6の駆動制御処理に対し、これらの配置位置に応じて遅延させて実行される。
【0077】
このようなタイミング画像データ受信処理及び駆動制御処理を行うことで、無駄な画像データの受信や、記録処理可能な記録データへの変換処理を行わないようにする。こうすることで、KCMYの各色について記録媒体21の縁までの画像記録を可能になると共に、画像記録のスループットが高まる。
【0078】
次に図8について説明する。図8は、本実施形態に係る画像記録装置1において、画像記録の実行のために上位装置19と画像記録装置1とが各々行う制御処理の概念をシーケンス図で示したものである。
【0079】
画像記録の実行にあたり、まず、上位装置19は、SE1.として、画像記録装置1に対し、画像記録の開始を指示する処理を行う。
画像記録装置1は、この開始指示を受け取ると、SE2.として、上位装置19に対し、画像記録装置1の装置の状態を通知する処理を行う。この処理により通知される装置の状態には、例えば、記録媒体21のジャム(詰まり)等のエラー情報や、インク残量等の消耗品情報など、種々の情報が含まれる。
【0080】
上位装置19は、この通知を受け取ると、SE3.として、画像データ処理を行う。この処理では、例えば、R、G、及びBからなる多階調画像データを、K、C、M、及びYの画像記録装置の出力可能な階調値に変換する擬似階調変換処理を行う。この処理により擬似階調変換された画像データは、上位装置19のメモリに保持される。なお、この保持メモリの容量は、この画像処理速度と画像データ転送速度とに応じて確保すれば良い。本実施形態においては、上位装置19から画像記録装置1へライン単位の画像データ転送を行うので、これらの速度が画像記録速度に対して十分に高速であれば、保持メモリの容量は最小限で良い。ここで、これらの速度が画像記録装置1での記録媒体21への画像記録の速度に対して低速である場合には、例えば、連続記録するページ相当の画像データを前もってメモリに保持しておくようにすることで、画像記録を行うことができる。
【0081】
次に、上位装置19は、SE4.として、画像記録装置1に対し、ジョブ情報を通知する処理を行う。このジョブ情報には、記録媒体21に対し記録処理を行う際の画像記録情報が含まれる。この画像記録情報には、記録画像のサイズ、解像度、濃度、色彩の各情報や、画像データが保持されている上位装置19のメモリのアドレス情報等が含まれる。
【0082】
画像記録装置1は、このジョブ情報の通知を受け取ると、画像記録を行うために、SE5.として、搬送駆動開始処理を行う。これにより、給送部2及び搬送機構6が制御されて、記録媒体21の搬送が開始される。
【0083】
画像記録装置1は、このジョブ情報の通知を受け取ると、SE6.として、上位装置19に対し、画像データのラインアドレス(保持メモリアドレス)を指定して画像データの転送リクエスト(転送要求)を発行する処理を行う。このラインアドレスは、画像記録装置1での記録をこの時点までに終えたラインの情報と、ジョブ情報に含まれていた、画像データが保持されている上位装置19のメモリのアドレス情報とより算出される。
【0084】
ここで図9について説明する。図9は、上位装置19に保持された擬似階調変換後の画像データと、画像記録装置1が指定するラインアドレス(リードアドレス)との関係を概念的に示したものである。
【0085】
リードアドレスは、画像記録開始時には画像の最上部の1ラインの画像データを指し示すものであり、その指し示す位置は、画像記録の進行に応じて順次下側に移動する。
図9において、(a)はK色の画像データについてのもの、(b)はC色の画像データについてのもの、(c)はM色の画像データについてのもの、そして(d)はY色の画像データについてのものをそれぞれ示している。このように、画像記録装置1の制御部16は、各色のノズル列の搬送方向の離間距離に応じてずれた位置を指し示すように各色のリードアドレスを生成する。
【0086】
図8の説明に戻る。
上位装置19は、この転送リクエストを受け取ると、SE7.として、画像記録装置1に対し、画像データを転送する処理を行う。この画像データは、前述したようにして擬似階調変換がされていてメモリに保持されていたものであって、受け取った転送リクエストにおいて指定されていたラインアドレスで保持されていたものである。
【0087】
画像記録装置1は、転送されてきた画像データを受信すると、受信した画像データを記憶部17で一時的に保持した上で、SE8において、画像データ変換処理を行う。ノズル列制御部18により行われるこの画像データ変換処理は、受信した画像データを記録処理可能な記録データへと変換する処理であり、前述したように、ノズル列毎のデータ分配やデータ位置合せ、記録濃度変換などを含んでいる。
【0088】
なお、受信した画像データを記憶部17で一時的に保持するときの記憶容量は、画像データ転送速度に応じて確保すれば良い。但し、画像記録装置1では、記録媒体21の搬送に応じて画像記録を行うので、画像データ転送速度に変動がある場合は、その変動を吸収できるだけの容量を確保しておく必要がある。
【0089】
また、図6に示したように、複数個のノズル列を搬送方向に互い違いに配置する構成を採用する場合には、ノズル列の搬送方向ずれ量に応じ、記録タイミングを遅延させるための一時記憶領域を確保するようにする。
【0090】
画像記録処理は記録媒体21の搬送に応じて搬送情報生成部8が出力するパルス信号に同期させて1ライン単位で行う。但し、画像データ転送処理及び画像データ変換処理は、受信した画像データを記憶部17で一時的に保持するようにしておくのであれば、必ずしもエンコーダ信号に同期させて行う必要はなく、また、必ずしも1ライン単位で行う必要もない。
【0091】
なお、上述した本実施形態では、上位装置19で擬似階調変換を行うこととしているが、このようなライン単位に準じた画像データの転送を行うのであれば、擬似階調変換を画像記録装置1で行う構成としても良い。
【0092】
次に、画像記録装置1は、SE9.として、インク列からインクを吐出させて記録媒体21に1ライン分の画像を記録する画像記録処理を行う。
この1ライン分の画像処理が完了すると、以降、SE6.からSE9.にかけての処理シーケンスが、ライン単位で繰り返して実行される。
【0093】
その後、画像記録装置1は、記録媒体21の後端が記録媒体検出部5により検出されると、SE10.として、上位装置19に対し、画像記録の停止を通知する処理を行う。
上位装置19は、この停止通知を受け取ると、SE11.として、SE3.と同様の画像データ処理を、次ページの画像データについて行う。
【0094】
次に、上位装置19は、SE12.として、画像記録装置1に対し、当該次ページの画像データについてのジョブ情報を通知する処理を、SE4.の処理と同様に行う。
以降、SE5.からSE12.にかけての処理シーケンスが、ページ単位で繰り返して行われる。
【0095】
次に図10について説明する。図10は、本実施形態に係る画像記録装置1による画像記録の実行のために制御部16が行う制御処理の処理内容をフローチャートで示したものである。
【0096】
図10に示した処理は、制御部16の不図示の不揮発性メモリに予め記憶させておいた制御プログラムをMPUが読み出して実行することにより実現される。制御部16は、この制御プログラムをMPUが実行することで、ノズル列制御部18としても機能する。
【0097】
制御部16は、まずステップS1において、上位装置19からジョブ情報を取得して記憶部17に記憶する処理を行う。
以降のステップS2からステップS9にかけての処理は、画像記録の対象とする画像データ(ラインデータ)毎に繰り返し行われる。
【0098】
まず、制御部16は、ステップS2において、記録媒体検出部5から送られてくる検出信号より、記録媒体21の大きさ(Y方向記録媒体長)を取得する処理を行う。この処理では、検出信号が記録媒体21を検出していることを示している期間の時間に、記録媒体21の搬送速度を乗算して、Y方向記録媒体長を取得する。
【0099】
次に、制御部16は、ステップS3において、ステップS2の処理により取得されたY方向記録媒体長と、記憶部17に記憶されているジョブ情報に含まれるY方向画像データ長と、記憶部17に予め記憶されている、各ノズル列の搬送方向(Y方向)の配置位置情報とに基づき、各ノズル列の画像データの記録範囲を算出する処理を行う。
【0100】
次に、制御部16は、ステップS4において、次に画像記録を行う対象とする画像データ(ラインデータ)が、ステップS3の処理により算出された記録範囲内に含まれるものであるか否かを判定する処理を行う。ここで、制御部16は、当該画像データが当該記録範囲内に含まれるものであると判定したとき(判定結果がYesのとき)にはステップS6に処理を進める。一方、制御部16は、当該画像データが当該記録範囲外のものであると判定したとき(判定結果がNoのとき)にはステップS5に処理を進め、記録媒体21への記録を停止させる処理を行い、その後はこの制御処理を終了する。なお、制御部16は、ステップS4において、画像記録の対象である全ての画像データの画像記録が終了していたときも、ステップS5に処理を進めて記録媒体21への記録を停止させる処理を行い、その後はこの制御処理を終了する。
【0101】
一方、制御部16は、ステップS6においては、次に画像記録を行う対象とする画像データ(ラインデータ)を上位装置19から受信する処理を行う。
次に、制御部16は、ステップS7において、受信した画像データに対し、所定の画像データ変換処理を施す。この処理は、前述したように、例えば、ノズル列毎のデータ分配やデータ位置合せ、記録濃度変換などの種々の処理を含むものである。
【0102】
次に、制御部16は、ステップS8において、ノズル列15−n−1乃至15−n−mを駆動させて、直近のステップS7の処理により画像データ変換処理が施された画像データに基づき、画像の記録媒体21への記録処理を行う。
【0103】
次に、制御部16は、ステップS9において、直近のステップS8の処理により画像記録を行った画像データと同一ライン上である別の色彩の画像データに対し、上述したステップS2からステップS8にかけての処理を行う。ステップS2からステップS8にかけての処理に続いてこのステップS9の処理が行われることで、同一ライン上の画像データについて、全ての色(K並びにC、M、及びY)の画像記録が行われる。
【0104】
その後、制御部16は、ステップS9の処理を終えた後には、ステップS2へと処理を戻して、次のラインの画像データについての画像記録のための処理を行う。
以上の処理を制御部16が行うことで、画像記録装置1による記録媒体21への記録処理が行われ、記録媒体21の縁までの画像記録が行われると共に、無駄となる画像データの上位装置19からの受信処理、及び、この画像データから記録処理可能な記録データへの変換処理が省かれ、画像記録のスループットが高まる。
【0105】
なお、図10に示した制御処理は、色毎に順次画像記録処理を行うようにしていたが、色毎に専用の制御部16を設けて各色で並列して画像記録処理を行うようにしてもよい。
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の実施形態に係る画像記録装置の構成を概念的なブロックで示した図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像記録装置の各構成要素の配置を示した図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像記録装置における記録媒体の検出と画像記録とのタイミングの関係を模式的に示した図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像記録装置における、記録媒体と記録される画像データの関係の第一の例を模式的に示した図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像記録装置の各構成要素の動作タイミングの第一の例をタイミングチャートで示した図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像記録装置における、記録媒体と記録される画像データの関係の第二の例を模式的に示した図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像記録装置の各構成要素の動作タイミングの第二の例をタイミングチャートで示した図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像記録装置において、画像記録の実行のために上位装置と画像記録装置とが各々行う制御処理の概念を示したシーケンス図である。
【図9】上位装置に保持された擬似階調変換後の画像データと、画像記録装置が指定するラインアドレスとの関係を概念的に示した図である。
【図10】本発明の実施形態に係る画像記録装置による画像記録の実行のために制御部が行う制御処理の処理内容をフローチャートで示した図である。
【符号の説明】
【0107】
1 画像記録装置
2 給送部
3 給送トレイ
4 給送駆動部
5 記録媒体検出部
6 搬送機構
7 搬送駆動部
8 搬送情報生成部
9 回収部
10 収納トレイ
11 排出駆動部
12 画像記録部
13−1乃至13−n 記録ユニット
14−1乃至14−n ノズル列駆動部
15−1−1乃至15−n−m ノズル列
16 制御部
17 記憶部
18 ノズル列制御部
19 上位装置
21 記録媒体
22 駆動ローラ
23 従動ローラ
24 搬送ベルト
25 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路の上流側より受け渡された記録媒体を搬送する際に当該記録媒体の搬送情報を生成する搬送機構と、複数のノズルによって前記記録媒体の搬送方向に対し直交する方向に形成されたノズル列が少なくとも1つ配設されて成る少なくとも1つの記録ユニットとを有し、上位装置が転送する1ライン分の画像データを受信する毎に、前記記録ユニットの有するノズル列駆動部が当該画像データに基づき前記複数のノズルを駆動してインクを吐出させることで記録処理を行う画像記録装置において、
前記搬送経路における前記搬送機構の上流側に設けられ、前記記録媒体の前記搬送方向における少なくとも先端及び後端の検出を行う記録媒体検出部と、
前記上位装置より通知されるジョブ情報と、前記記録媒体検出部による前記先端及び前記後端の検出の情報とに基づき前記複数のノズルの駆動制御を行って、前記記録媒体の先端から後端までの範囲の領域にのみ前記インクを吐出させる前記記録処理を行わせるノズル列制御部と、
前記画像データの受信処理を行うと共に、前記記録媒体検出部による前記記録媒体の前記後端の検出に応じて、前記画像データの転送の停止を前記上位装置へ通知する制御部と、を少なくとも備える、ことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記上位装置が転送する前記画像データを受信したときにのみ、受信した当該画像データに対し前記記録処理のための所定の画像データ変換処理を施し、
前記ノズル列制御部は、前記制御部による前記画像データ変換処理によって得られた記録データに基づき前記複数のノズルの駆動制御を行って前記記録処理を行わせる、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記搬送機構は、前記搬送方向のサイズが異なる前記記録媒体を連続して搬送する場合において、先行して搬送する記録媒体の前記搬送方向における後端と、後続して搬送する記録媒体の前記搬送方向における先端とが等間隔となるように搬送することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記記録媒体検出部が前記記録媒体の前記先端を検出してから前記後端を検出するまでの期間においては、前記画像データに基づく1ライン分の前記記録処理が完了する度に、次の記録処理の対象とする画像データの転送要求を、前記上位装置に対し発行する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記上位装置より通知されるジョブ情報で示されている画像の前記搬送方向のサイズと、前記記録媒体検出部による前記検出の結果と、前記搬送機構による前記記録媒体の搬送速度とに基づき、前記記録媒体上における前記画像の記録範囲を前記複数のノズル列の各々について求め、前記複数のノズルの各々による次回の前記インクの吐出の制御に用いられる前記画像データが当該記録範囲に含まれるか否かを、前記複数のノズルの各々について判定し、当該画像データが当該記録範囲に含まれないと判定したノズルについては前記インクの吐出を停止させるように前記ノズル列制御部を制御する、ことを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項6】
搬送経路の上流側より受け渡された記録媒体を搬送する際に当該記録媒体の搬送情報を生成する搬送機構と、複数のノズルによって前記記録媒体の搬送方向に対し直交する方向に形成されたノズル列が少なくとも1つ配設されて成る少なくとも1つの記録ユニットとを有し、上位装置が転送する1ライン分の画像データを受信する毎に、前記記録ユニットの有するノズル列駆動部が当該画像データに基づき前記複数のノズルを駆動してインクを吐出させることで記録処理を行う画像記録装置の制御方法であって、
前記搬送経路における前記搬送機構の上流側において、前記記録媒体の前記搬送方向における少なくとも先端及び後端の検出を行い、
前記画像データの受信処理を行い、
前記上位装置より通知されるジョブ情報と、前記先端及び前記後端の検出の情報と、受信された前記画像データとに基づき前記複数のノズルの駆動制御を行って、前記記録媒体の先端から後端までの範囲の領域にのみ前記インクを吐出させる前記記録処理を行わせ、
前記記録媒体の前記後端の検出に応じて、前記画像データの転送の停止を前記上位装置へ通知する、
ことを特徴とする画像記録装置の制御方法。
【請求項7】
前記受信処理により前記画像データが受信されたときにのみ、前記上位装置が転送する前記画像データを受信したときにのみ、受信した当該画像データに対し前記記録処理のための所定の画像データ変換処理を施し、
前記記録処理のための前記複数のノズルの駆動制御は、前記画像データ変換処理によって得られた記録データに基づいて行われる、ことを特徴とする請求項6に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項8】
前記搬送機構が前記搬送方向のサイズが異なる前記記録媒体を連続して搬送する場合には、先行して搬送する記録媒体の前記搬送方向における後端と、後続して搬送する記録媒体の前記搬送方向における先端とが等間隔となるように搬送する、ことを特徴とする請求項6に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項9】
前記記録媒体の前記先端を検出してから前記後端が検出されるまでの期間においては、前記画像データに基づく1ライン分の前記記録処理が完了する度に、次の記録処理の対象とする画像データの転送要求を、前記上位装置に対し発行する、ことを特徴とする請求項6に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項10】
前記上位装置より通知されるジョブ情報で示されている画像の前記搬送方向のサイズと、前記記録媒体の前記先端及び前記後端の検出の結果と、前記搬送機構による前記記録媒体の搬送速度とに基づき、前記記録媒体上における前記画像の記録範囲を前記複数のノズル列の各々について求め、
前記複数のノズルの各々による次回の前記インクの吐出の制御に用いられる前記画像データが前記記録範囲に含まれるか否かの判定を、前記複数のノズルの各々について行い、
前記判定により前記画像データが前記記録範囲に含まれないと判定したノズルについては、前記インクの吐出を停止させる制御を行う、ことを特徴とする請求項6から10のうちのいずれか一項に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項11】
搬送経路の上流側より受け渡された記録媒体を搬送する際に当該記録媒体の搬送情報を生成する搬送機構と、複数のノズルによって前記記録媒体の搬送方向に対し直交する方向に形成されたノズル列が少なくとも1つ配設されて成る少なくとも1つの記録ユニットとを有し、上位装置が転送する1ライン分の画像データを受信する毎に、前記記録ユニットの有するノズル列駆動部が当該画像データに基づき前記複数のノズルを駆動してインクを吐出させることで記録処理を行う画像記録装置の制御を演算処理装置に行わせるためのプログラムであって、
前記搬送経路における前記搬送機構の上流側において、前記記録媒体の前記搬送方向における少なくとも先端及び後端を検出する処理と、
前記画像データの受信処理と、
前記上位装置より通知されるジョブ情報と、前記先端及び前記後端の検出の情報と、受信された前記画像データとに基づき前記複数のノズルの駆動制御を行って、前記記録媒体の先端から後端までの範囲の領域にのみ前記インクを吐出させて前記記録処理を行わせる処理と、
前記記録媒体の前記後端の検出に応じて、前記画像データの転送の停止を前記上位装置へ通知する処理と、
を前記演算処理装置に行わせる、ことを特徴とするプログラム。
【請求項12】
前記受信処理により前記画像データが受信されたときにのみ、前記上位装置が転送する前記画像データを受信したときにのみ、受信した当該画像データに対し前記記録処理のための所定の画像データ変換処理を施す処理を更に前記演算処理装置に行わせ、
前記記録処理のための前記複数のノズルの駆動制御は、前記画像データ変換処理によって得られた記録データに基づいて行われる、ことを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記搬送機構が前記搬送方向のサイズが異なる前記記録媒体を連続して搬送する場合に当該搬送機構を制御して、先行して搬送する記録媒体の前記搬送方向における後端と、後続して搬送する記録媒体の前記搬送方向における先端とが等間隔となるように搬送させる処理を更に前記演算処理装置に行わせる、ことを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項14】
前記記録媒体の前記先端を検出してから前記後端が検出されるまでの期間において、前記画像データに基づく1ライン分の前記記録処理が完了する度に、次の記録処理の対象とする画像データの転送要求を、前記上位装置に対し発行する処理を更に前記演算処理装置に行わせる、ことを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項15】
前記上位装置より通知されるジョブ情報で示されている画像の前記搬送方向のサイズと、前記記録媒体の前記先端及び前記後端の検出結果と、前記搬送機構による前記記録媒体の搬送速度とに基づき、前記記録媒体上における前記画像の記録範囲を前記複数のノズル列の各々について求める処理と、
前記複数のノズルの各々による次回の前記インクの吐出の制御に用いられる前記画像データが前記記録範囲に含まれるか否かの判定を、前記複数のノズルの各々について行う処理と、
前記判定により前記画像データが前記記録範囲に含まれないと判定したノズルについては、前記インクの吐出を停止させる制御を行う処理と、を前記演算処理装置に更に行わせる、ことを特徴とする請求項11から14のうちのいずれか一項に記載のプログラム。

【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−23293(P2010−23293A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185416(P2008−185416)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】