説明

画像記録装置およびこれを備えた複合機

【課題】媒体送り手段と媒体規制手段とを、相互に影響を及ぼすことなく精度良く取り付けることができる。
【解決手段】送り経路Rに沿って送られていく記録媒体に、インクジェット方式で画像を記録するインクジェットヘッド83と、インクジェットヘッド83に対し送り経路Rを挟んで対面し、インクジェットヘッド83との間に所定の間隔を存するように記録媒体を位置規制する媒体規制部材95と、媒体規制部材95の送り経路R下流側に配設され、記録媒体を送り経路Rに沿って送る媒体送り手段96a、99と、インクジェットヘッド83、媒体規制部材95および媒体送り手段96a、99を支持する装置フレーム64と、を備え、媒体規制部材95と媒体送り手段96a、99とは、装置フレーム64に個別に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体にインクジェット方式で画像を記録する画像記録装置およびこれを備えた複合機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像記録装置として、シート(記録媒体)を記録ヘッドに向かって給送する搬送ローラー対と、記録ヘッドと対向し搬送されていく記録媒体の非記録面を保持するプラテン(媒体規制手段)と、記録ヘッドの下流側近傍に配設され、シートを搬送する排紙ローラーと、排紙ローラーとの間でシートを挟むように転接して従動する拍車と、拍車を回転自在に支持する拍車ホルダーと、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。この場合、排紙ローラーおよび拍車は、前後2組設けられており、この2組の排紙ローラーおよび拍車によって、プラテン上のシートに適度な張りを与えつつ装置外部に排出できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−152735号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような従来の画像記録装置では、ジャミング防止の観点からプラテンと、排紙ローラーおよび拍車とが近接して設けられており、プラテン、排紙ローラーおよび拍車をアッセンブリー化して、装置フレームに搭載すること一般的である。すなわち、駆動ローラーである排紙ローラーは、ギア列との関係で装置フレームに回転自在に支持し、拍車ホルダーとプラテンを一体化しこれに拍車を組み込んでアッセンブリー化することが考えられる。そして、駆動ローラーである排紙ローラーと従動ローラーである拍車の位置精度を出すべく、拍車ホルダーの両端部を計3点の支持にて装置フレームにねじ止めすることが考えられる。
しかしながら、このような構成では、3点支持により排紙ローラーと拍車の位置精度は高められるが、ネジ止めにより拍車ホルダーが幅方向にて撓み、これに一体に形成したプラテンも撓むことになる。プラテンが撓むと、シート(記録媒体)の高さ位置が変化し、記録ヘッドと、これに対峙するシートとのギャップが変化し、所定のギャップで記録処理を行うことができない問題が生じる。
【0005】
本発明は、媒体送り手段と媒体規制手段とを、相互に影響を及ぼすことなく精度良く取り付けることができる画像記録装置およびこれを備えた複合機を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像記録装置は、送り経路に沿って送られていく記録媒体に、インクジェット方式で画像を記録する画像記録手段と、画像記録手段に対し送り経路を挟んで対面し、画像記録手段との間に所定の間隔を存するように記録媒体を位置規制する媒体規制手段と、媒体規制手段の送り経路下流側に配設され、記録媒体を送り経路に沿って送る媒体送り手段と、画像記録手段、媒体規制手段および媒体送り手段を支持する装置フレームと、を備え、媒体規制手段と媒体送り手段とは、装置フレームに個別に取り付けられていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、媒体規制手段と媒体送り手段とを、装置フレームに個別に取り付けるようにしているため、媒体規制手段の取り付けが媒体送り手段に取付精度に影響を及ぼすことがなく、また媒体送り手段の取り付けが媒体規制手段の取付精度に影響を及ぼすことがない(無用な撓み等が生ずることがない)。すなわち、媒体規制手段と媒体送り手段とを、相互に影響を及ぼすことなく、精度良く取り付けることができる。特に、媒体規制手段を精度良く取り付けることで、画像記録手段と媒体規制手段との間の間隔(ギャップ)を安定させることができ、所望の記録品質を高く維持することができる。
【0008】
この場合、媒体送り手段は、装置フレームに回転自在に支持され、記録媒体に転接する駆動ローラーと、駆動ローラーに対峙し記録媒体に転接する従動ローラー、および従動ローラーを回転自在に支持すると共に装置フレームに取り付けられたローラーフレームを含むローラーアッセンブリーと、を有していることが好ましい。
【0009】
これらの構成によれば、駆動ローラーを装置フレームに精度良く取り付けることができるだけでなく、駆動ローラーに対し従動ローラーを精度良く取り付けることができる。したがって、記録媒体の斜行等を有効に防止することができる。
【0010】
また、ローラーアッセンブリーは、ローラーフレームに回転自在に支持され、記録媒体を駆動ローラーと従動ローラーとの間に導くガイドローラーを、更に含んでいることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、ガイドローラーを設けることで、湿潤した記録媒体の反りによる紙詰まりを抑制し、記録媒体を適切に排出することができる。また、ガイドローラーを含んでアッセンブリー化することで、ガイドローラーと従動ローラーとの相互間の位置精度を向上させることができる。
【0012】
一方、駆動ローラーは、ローラー軸と、軸方向に相互に間隔を存してローラー軸に軸着した複数のローラー本体と、を有し、装置フレームは、各間隔においてローラー軸を回転自在に支持する複数の軸受け部を有していることが好ましい。
【0013】
これらの構成によれば、複数の軸受け部により、ローラー軸を、複数箇所で回転自在に支持することができるため、複数のローラー本体をブレ無く回転させることができ、記録媒体を適切に送り出すことができる。また、装置フレームが軸受け部を有しているため、部品点数を削減することできると共に、この部分の構造を単純化することができる。
【0014】
この場合、装置フレームは、一体成形された樹脂で構成されていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、複数の軸受け部を、簡単且つ精度良く形成することができる。
【0016】
この場合、媒体規制手段およびローラーアッセンブリーは、記録媒体の送り方向に直交する方向の両端部で装置フレームにそれぞれ固定され、且つ媒体規制手段の固定位置に対し、ローラーアッセンブリーの固定位置の少なくとも一方が外側に位置していることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、媒体規制手段の固定位置と、ローラーアッセンブリーの固定位置とを、送り方向に直交する方向に位置ズレさせることができるため、ローラーアッセンブリーの取付けによる媒体規制手段への影響を、更に抑制することができる。また、媒体規制手段の固定位置を、内側に位置させるので、外側に位置させるのに対し媒体規制手段の剛性を向上することができ、規制面の歪みを抑制することができる。
【0018】
本発明の複合機は、上記の画像記録装置と、読取媒体の画像を読み取る画像読取装置と、を一体に備えたことを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、画像記録手段と媒体規制手段との間のギャップを安定させることができる画像記録装置により、画像読取装置で読み取った画像も品質良く記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係る複合機を示した外観斜視図である。
【図2】スキャナーユニットを開放状態とした際の複合機を示した斜視図である。
【図3】複合機を示した側面視断面図である。
【図4】スキャナーユニットの内部構造を示した斜視図である。
【図5】プリンターユニットの内部構造を示した平面図である。
【図6】プリンターユニットの内部構造を示した側面視断面図である。
【図7】媒体規制部材周りを示した斜視図である。
【図8】媒体規制部材周りを示した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して、本発明の画像記録装置を適用した複合機1について説明する。図1は、複合機1を示した外観斜視図である。図1に示すように、複合機1は、装置本体であるプリンターユニット(画像記録装置)2と、プリンターユニット2の上部に配設されたアッパーユニットであるスキャナーユニット(画像読取装置)3と、を一体に備えている。なお、以下、図1においての前後方向をX軸方向とし、左右方向をY軸方向として説明する。
【0022】
図2は、スキャナーユニット3を開放状態とした複合機1を示した斜視図である。図1および図2に示すように、スキャナーユニット3は、後端部のヒンジ部4を介してプリンターユニット2に回動自在に支持されており、プリンターユニット2の上部を開閉自在に覆っている。すなわち、スキャナーユニット3を回動方向に引き上げることで、プリンターユニット2の上面開口部10を露出させ、当該上面開口部10を介して、プリンターユニット2の内部が露出させる(開放状態:図2参照)。一方、スキャナーユニット3を回動方向に引き降ろし、プリンターユニット2上に載置することで、スキャナーユニット3によって上面開口部10を閉塞する(閉塞状態:図1参照)。このように、スキャナーユニット3を開放することで、インクカートリッジ84の交換や紙詰まりの解消等が可能な構成となっている。
【0023】
図3は、複合機1を示した側面視断面図である。図2および図3に示すように、スキャナーユニット3は、筐体であるアッパーフレーム11と、アッパーフレーム11に収容された画像読取部12(図4参照)と、アッパーフレーム11の上部に回動自在に支持された上蓋13と、を備えている。また、詳細は後述するが、アッパーフレーム11の後端部には、上記ヒンジ部4のスキャナーユニット3側の部品が設けられている。
【0024】
図4は、スキャナーユニット3の内部構造を示した斜視図である。図3および図4に示すように、アッパーフレーム11は、画像読取部12を収容する箱型の下ケース16と、下ケース16の天面を覆う上ケース17と、を備えている。上ケース17には、ガラス製の原稿載置板(原稿台)21が広く配設されており、読取面を下にした読取媒体をこれに載置する。一方、下ケース16は、上面を開放した浅い箱状に形成されている。下ケース16の前部底面には、後述のセンサーキャリッジ32の移動スペースとなる許容凹部23が凹設され、後部底面には、一端が後述のセンサーユニット31に接続されたケーブル(図示省略)を収容する収容凹部25が凹設されている。
【0025】
図4に示すように、画像読取部12は、ラインセンサー方式のセンサーユニット31と、センサーユニット31を搭載したセンサーキャリッジ32と、Y軸方向に延在し、センサーキャリッジ32をスライド自在に支持するガイド軸33と、センサーキャリッジ32をガイド軸33に沿って移動する自走式のセンサー移動機構34と、を備えている。センサーユニット31は、X軸方向に延在したCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサーであるイメージセンサー41を有し、モーター駆動のセンサー移動機構34により、ガイド軸33に沿ってY軸方向に往復動する。これにより、原稿載置板21上の読取部材(原稿)の画像を読み取るようになっている。
【0026】
一方、図2に示すように、プリンターユニット2は、枚葉の記録媒体(印刷用紙や単票紙)を送り経路Rに沿って送る搬送部61と、送り経路Rの上方に配設され、記録媒体にインクジェット方式で印刷処理を行う印刷部62と、前面に配設されたパネル形式の操作部63と、搬送部61、印刷部62および操作部63を搭載した装置フレーム64と、これらを覆う装置ハウジング65と、を備えている。また、図示省略するが、後面下部には、USBポートおよび電源ポートが配設されている。すなわち、複合機1は、USBポートを介してコンピューター等に接続可能に構成されている。なお、本プリンターユニット2では、X軸方向を記録媒体の送り方向(副走査方向)とし、これに直交するY軸方向を、インクジェットヘッド83の主走査方向としている。
【0027】
図5は、プリンターユニット2の内部構造を示した平面図である。図6は、プリンターユニット2の内部構造を示した側面視断面図である。図2、図5および図6に示すように、印刷部62は、装置フレーム64に支持されると共にY軸方向に幅一杯に延在する板金製のガイドフレーム71と、ガイドフレーム71に往復動自在に支持されたキャリッジユニット72と、キャリッジユニット72をガイドフレーム71に沿って往復動させるキャリッジ移動機構73(図2参照)と、を備えている。そして、このキャリッジユニット72に、インクジェットヘッド83が搭載されている。
【0028】
ガイドフレーム71は、断面「C」字状に形成されており、その上下でキャリッジユニット72の係合スライダー部81aが係合する。これにより、キャリッジユニット72は、ガイドフレーム71に掛け止めされるようにして片持ちで且つ延在方向(Y軸方向)に往復動自在に、すなわちスライド自在に支持されている。キャリッジ移動機構73は、ガイドフレーム71に沿って延在するタイミングベルト76と、タイミングベルト76を架け渡した主動プーリ(図示省略)および従動プーリ78と、タイミングベルト76とキャリッジユニット72(キャリッジ81)とを連結する連結固定部(図示省略)と、主動プーリを駆動するキャリッジモーター(図示省略)と、を備えている。キャリッジモーターが正逆回転すると、タイミングベルト76を介してキャリッジユニット72がY軸方向(左右方向)に往復動する。この往復動に伴って、キャリッジユニット72のインクジェットヘッド83が吐出駆動することにより、いわゆる主走査が行われる。
【0029】
図5および図6に示すように、キャリッジユニット72は、係合スライダー部81aを介してガイドフレーム71に往復動自在に支持された箱状のキャリッジ81と、キャリッジ81の下面に一体に組み込まれたインクジェットヘッド(画像記録手段)83と、キャリッジ81に着脱自在に収納された4個のインクカートリッジ84と、を備えている。インクジェットヘッド83は、4色のインク滴を吐出する4連のノズル列(図示省略)を有しており、4色のインクを貯留する4個のインクカートリッジ84をキャリッジ81に装着することで、インクジェットヘッド83に上側から直接接続される。インクジェットヘッド83の4つのノズル列は、相互に並行に且つX軸方向に延在し、送られる記録媒体に対し所定のペーパーギャップを存して下向きに配設されている。
【0030】
図6に示すように、搬送部61は、記録媒体を右揃えでセットする可動式の用紙トレイ91と、用紙トレイ91から記録媒体を1枚ずつ分離して送り出す分離ローラー92と、分離ローラー92の下流側に位置し、記録媒体を送り経路Rに沿って印刷部62に送り込む給紙ローラー93と、給紙ローラー93の下流側に位置し、インクジェットヘッド83に対面する媒体規制部材(媒体規制手段:プラテンに相当する部材)95と、媒体規制部材95の下流側に位置する鋸歯状のガイドローラー97と、ガイドローラー97の下流側に位置し、排出口100(図2参照)から記録媒体を送り出す排紙ローラー96と、を備えている。
【0031】
分離ローラー92により、用紙トレイ91から送り込まれた記録媒体は、給紙ローラー93により、媒体規制部材95上を排紙ローラー96に向かってX軸方向に間欠送りされる(副走査)。この間欠送りに同期して、キャリッジユニット72がX軸方向に往復動しながらインクを選択的に吐出して(主走査)、所望の印刷が行われる。一方、媒体規制部材95を越えてガイドローラー97に達した記録媒体の先端は、ガイドローラー97により上反り状態を矯正されるようにして、排紙ローラー96に送り込まれる。このようにして、印刷が完了した記録媒体は、排紙ローラー96により、排出口100から前方に送り出される。
【0032】
以下、図5ないし図8を参照して、搬送部61およびこれを支持する装置フレーム64について、詳細に説明する。まず、搬送部61の各部について説明する。
図6に示すように、給紙ローラー93は、下側の給紙駆動ローラー93aと上側の給紙従動ローラー93bとから成るニップローラーで構成され、記録媒体の送り(副走査)を制御するメインローラーとして機能する。給紙駆動ローラー93aは、送り経路Rの下側に面して配設され、記録媒体の非記録面側に転接する駆動ローラーで構成されている。一方、給紙従動ローラー93bは、送り経路Rの上側に面して配設され、記録媒体の記録面側に転接する従動ローラーで構成されている。そして、給紙駆動ローラー93aは、排紙ローラー96と共通の駆動源によりギア列を介して回転し、記録媒体を媒体規制部材95に送る。
【0033】
図7は、媒体規制部材95周りを示した斜視図である。図8は、媒体規制部材95周りを示した分解斜視図である。図7および図8に示すように、媒体規制部材95は、インクジェットヘッド83に対し送り経路Rを挟んで対面し、インクジェットヘッド83との間に所定の間隔(ペーパーギャップ)を存するように記録媒体を位置規制する。具体的には、媒体規制部材95は、Y軸方向に延在した板状部材101と、板状部材101の表面に広く凹設した浅溝部102と、浅溝部102の底面に分散するように立設され、記録媒体の高さ位置を規制する複数の規制片103と、複数の規制片103を避けて浅溝部102に敷設したインク吸収材104と、浅溝部102の送り方向前後に立設し、記録媒体を複数の規制片103にガイドする複数のガイド片105と、板状部材101のY軸方向両端部に設けられ、媒体規制部材95を装置フレーム64に取り付けるための左右一対の取付部106と、を備えている。そして、2本の固定ネジ107によって、一対の取付部106を、装置フレーム64(後述の一対の媒体取付部146)にネジ止め固定することで、媒体規制部材95が装置フレーム64に固定される。
【0034】
複数の規制片103は、その各先端部が記録媒体の非記録面に片側傾斜で接触し、一体として記録媒体の高さ位置を規制する規制面を構成している。すなわち、媒体規制部材95は、プラテンに相当するものであり、上記規制面(プラテン面)によって、規制した記録媒体と、インクジェットヘッド83との間を所定の間隔に維持している。インク吸収材104は、記録媒体から外れたインク滴を受容するものであり、いわゆる、フチ無し印刷時における記録媒体から前後および幅方向左右に外れたインク滴を受ける。
【0035】
図6に示すように、ガイドローラー97は、送り経路Rの上側に面して配設され、記録媒体の記録面側に転接する。送られてきた記録媒体は、ガイドローラー97によって、先端を押さえられ、ジャミングすることなく、排紙ローラー96(排紙駆動ローラー96aおよび排紙従動ローラー96bの間)に導かれる。具体的には、図5に示すように、ガイドローラー97は、Y軸方向に並列した鋸歯状の複数の個別ガイドローラー114を備え、Y軸方向の複数個所において記録面に点接触で転接する。
【0036】
図6に示すように、排紙ローラー96は、給紙ローラー93と同様に、下側の排紙駆動ローラー(駆動ローラー)96aと上側の排紙従動ローラー(従動ローラー)96bとから成るニップローラーで構成され、媒体規制部材95の上側に位置する記録媒体に張力(tension)を付与するテンションローラーとして機能する。上述のように、排紙駆動ローラー96aは、給紙ローラー93と共通の駆動源によりギア列を介して回転し、記録媒体を排出口100に送る。
【0037】
排紙駆動ローラー96aは、送り経路Rの下側に面して配設され、記録媒体の非記録面に転接する駆動ローラーで構成されている。具体的には、図8に示すように、排紙駆動ローラー96aは、Y軸方向に延在するローラー軸111と、軸方向に相互に間隔を存してローラー軸111に軸着した複数のローラー本体112と、を備えている。
【0038】
一方、排紙従動ローラー96bは、送り経路Rの上側に面して配設され、記録媒体の記録面に転接する従動ローラーで構成されている。具体的には、排紙従動ローラー96bは、Y軸方向に並列した鋸歯状の複数の個別ローラー115を備え、Y軸方向の複数個所において記録面に点接触で転接する。
【0039】
また、フリーローラーであるガイドローラー97および排紙従動ローラー96bは、装置フレーム64とは独立のローラーフレーム113に支持されて、ローラーアッセンブリー99を構成している。厳密には、複数の個別ガイドローラー114と、複数の個別ローラー115と、がローラーフレーム113に回転自在に支持されている。なお、請求項にいう媒体送り手段は、排紙駆動ローラー96aおよびローラーアッセンブリー99により、構成されている。
【0040】
ローラーフレーム113は、複数の個別ガイドローラー114を取り付けるガイドローラー取付部116と、ガイドローラー取付部116の下流側に配設され、複数の個別ローラー115を取り付ける個別ローラー取付部117と、幅方向両端に配設され、ローラーフレーム113を装置フレーム64に取り付けるための左右一対の端取付部118と、で一体に形成されている。2本の取付ネジ119によって、一対の端取付部118を、装置フレーム64(後述の一対のアッセンブリー取付部134)にネジ止め固定することで、ローラーアッセンブリー99が装置フレーム64に固定される。また、ローラーフレーム113には、Y軸方向に延在した複数の補強リブ113aが形成されている。
【0041】
次に、図7を参照して、装置フレーム64について説明する。図7に示すように、装置フレーム64は、プリンターユニット2の各部を支持するフレームであり、一体成形された樹脂で構成されている。具体的には、装置フレーム64は、ベースフレーム部64aと、ベースフレーム部64aに立設され、搬送部61の各構成部材およびガイドフレーム71を両側で支持する左右一対のサイドフレーム部64bと、ベースフレーム部64aの前部において、スキャナーユニット3の前部を支持すると共に操作部63を支持する左右一対のフロントフレーム部64cと、ベースフレーム部64aの後部において、ヒンジ部4を介してプリンターユニット2を開閉自在に支持する左右一対のリアフレーム部64dと、を備えている。
【0042】
一対のサイドフレーム部64bは、ガイドフレーム71を両持ちで支持する左右のガイドフレーム支持部131と、給紙駆動ローラー93aを両持ちで回転自在に支持する左右一対の給紙ローラー支持部132と、ローラーアッセンブリー99を取り付ける左右一対のアッセンブリー取付部134と、排紙駆動ローラー96aを両持ちで回転自在に支持する左右一対の排紙ローラー支持部135と、を備えている。
【0043】
一対のアッセンブリー取付部134は、ベースフレーム部64aから立設し、ローラーフレーム113を所定の高さに両持ちで支持している。ローラーフレーム113を、一対のアッセンブリー取付部134に上側からネジ止め固定することで、ローラーアッセンブリー99が、Y軸方向の両端部で装置フレーム64に取り付けられる。
【0044】
ベースフレーム部64aは、前後中央部に位置すると共に、媒体規制部材95を配設する規制部材配設部141と、規制部材配設部141の前側に位置し、排紙駆動ローラー96aを左右中間位置で支持するローラー中間支持部142と、を有している。
【0045】
規制部材配設部141は、媒体規制部材95の一対の取付部106に対応して、Y軸方向の両端部に配設された一対の媒体取付部146と、板状部材101との接触を避けて方形に凹設した退避凹部147と、退避凹部147の中心部に立設し、板状部材101の中央部を支持する中央支持部148と、を有している。中央支持部148は、円柱状の支持部本体151と、支持部本体151から十字状に延在し、支持部本体151を補強する十字リブ152と、を備えている。媒体規制部材95を、一対の媒体取付部146にネジ止め固定することで、媒体規制部材95が、Y軸方向の両端部で装置フレーム64に取り付けられる。なお、右側のアッセンブリー取付部134は、右側の媒体取付部146に対し平面視外側(右側)に配設されている。すなわち、ローラーアッセンブリー99の右側の固定位置は、媒体規制部材95の右側の固定位置に対し、平面視外側(右側)に配設されている。
【0046】
ローラー中間支持部142は、各ローラー本体112の左右両側において、ローラー軸111を支持している。具体的には、ローラー中間支持部142は、ローラー本体112同士の各間隔においてローラー軸111を回転自在に支持する複数の軸受け部221と、左右両端のローラー本体112の外側において、ローラー軸111を回転自在に支持する軸受け板222と、を有している。各軸受け部221は、ローラー軸111を載置する載置部および、ローラー軸111の前後方向の位置を規制する前後の規制部を有している。
【0047】
以上のような構成によれば、媒体規制部材95と媒体送り手段(排紙駆動ローラー96aおよびローラーアッセンブリー99)とを、装置フレーム64に個別に取り付けることにより、媒体規制部材95の取り付けが媒体送り手段に取付精度に影響を及ぼすことがなく、また媒体送り手段の取り付けが媒体規制部材95の取付精度に影響を及ぼすことがない(無用な撓み等が生ずることがない)。すなわち、媒体規制部材95と媒体送り手段とを、相互に影響を及ぼすことなく、精度良く取り付けることができる。特に、媒体規制部材95を精度良く取り付けることで、インクジェットヘッド83と媒体規制部材95との間の間隔(ギャップ)を安定させることができ、所望の記録品質を高く維持することができる。
【0048】
また、媒体送り手段として、排紙駆動ローラー96aおよび、排紙従動ローラー96bを支持するローラーアッセンブリー99を、媒体規制部材95とは別個に取り付けるため、排紙駆動ローラー96aを装置フレーム64に精度良く取り付けることができるだけでなく、排紙駆動ローラー96aに対し排紙従動ローラー96bを精度良く取り付けることができる。したがって、記録媒体の斜行等を有効に防止することができる。
【0049】
さらに、ローラーアッセンブリー99にガイドローラー97を設けることで、湿潤した記録媒体の紙詰まりを抑制し、記録媒体を適切に排出することができる。また、ガイドローラー97を含んでアッセンブリー化することで、ガイドローラー97と排紙従動ローラー96bとの相互間の位置精度を向上させることができる。
【0050】
またさらに、複数の軸受け部221を有することで、ローラー軸111を、複数箇所で回転自在に支持することができるため、複数のローラー本体112をブレ無く回転させることができ、記録媒体を適切に送り出すことができる。また、装置フレーム64が軸受け部221を有しているため、部品点数を削減することできると共に、この部分の構造を単純化することができる。加えて、装置フレーム64を、一体成形された樹脂で構成することで、複数の軸受け部221を、簡単且つ精度良く形成することができる。
【0051】
また、媒体規制部材95の固定位置に対し、ローラーアッセンブリー99の固定位置の一方が外側に位置していることで、媒体規制部材95の固定位置と、ローラーアッセンブリー99の固定位置とを、送り方向に直交する方向(Y軸方向)に位置ズレさせることができるため、ローラーアッセンブリー99の取付けによる媒体規制部材95への影響を、更に抑制することができる。また、媒体規制部材95の固定位置を、内側に位置させるので、外側に位置させるのに対し媒体規制部材95の剛性を向上することができ、規制面の歪みを抑制することができる。なお、本実施形態においては、ローラーアッセンブリー99における固定位置の一方のみが、媒体規制部材95の固定位置に対し外側に位置する構成としたが、ローラーアッセンブリー99の両方の固定位置が、媒体規制部材95の固定位置に対し外側に位置する構成であっても良い。
【0052】
なお、本実施形態において、排紙駆動ローラー96aおよびローラーアッセンブリー99を、更にアッセンブリー化し、媒体送り手段として、媒体規制部材95と個別に取り付ける構成であっても良い。またローラーアッセンブリー99のみを、媒体送り手段として、媒体規制部材95と個別に取り付ける構成であっても良いし、排紙従動ローラー96bのみ、ガイドローラー97のみを、媒体送り手段として、媒体規制部材95と個別に取り付ける構成であっても良い。
【0053】
また、本実施形態においては、プリンターユニット2およびスキャナーユニット3を一体に備えた複合機1に、本願発明を適用したが、プリンターユニット2単体の画像記録装置に、本願発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0054】
1:複合機、 2:プリンターユニット、 3:スキャナーユニット、 64:装置フレーム、 83:インクジェットヘッド、 95:媒体規制部材、 96a:排紙駆動ローラー、 96b:排紙従動ローラー、 97:ガイドローラー、 99:ローラーアッセンブリー、 111:ローラー軸、 112:ローラー本体、 113:ローラーフレーム、 221:軸受け部、 R:送り経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り経路に沿って送られていく記録媒体に、インクジェット方式で画像を記録する画像記録手段と、
前記画像記録手段に対し前記送り経路を挟んで対面し、前記画像記録手段との間に所定の間隔を存するように前記記録媒体を位置規制する媒体規制手段と、
前記媒体規制手段の前記送り経路下流側に配設され、前記記録媒体を前記送り経路に沿って送る媒体送り手段と、
前記画像記録手段、前記媒体規制手段および前記媒体送り手段を支持する装置フレームと、を備え、
前記媒体規制手段と前記媒体送り手段とは、前記装置フレームに個別に取り付けられていることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記媒体送り手段は、前記装置フレームに回転自在に支持され、前記記録媒体に転接する駆動ローラーと、
前記駆動ローラーに対峙し前記記録媒体に転接する従動ローラー、および前記従動ローラーを回転自在に支持すると共に前記装置フレームに取り付けられたローラーフレームを含むローラーアッセンブリーと、を有していることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記ローラーアッセンブリーは、前記ローラーフレームに回転自在に支持され、前記記録媒体を前記駆動ローラーと前記従動ローラーとの間に導くガイドローラーを、更に含んでいることを特徴とする請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記駆動ローラーは、ローラー軸と、軸方向に相互に間隔を存して前記ローラー軸に軸着した複数のローラー本体と、を有し、
前記装置フレームは、前記各間隔において前記ローラー軸を回転自在に支持する複数の軸受け部を有していることを特徴とする請求項2または3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記装置フレームは、一体成形された樹脂で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記媒体規制手段および前記ローラーアッセンブリーは、前記記録媒体の送り方向に直交する方向の両端部で前記装置フレームにそれぞれ固定され、
且つ前記媒体規制手段の固定位置に対し、前記ローラーアッセンブリーの固定位置の少なくとも一方が外側に位置していることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の画像記録装置と、
読取媒体の画像を読み取る画像読取装置と、を一体に備えたことを特徴とする複合機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−101501(P2012−101501A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253544(P2010−253544)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】