説明

画像記録装置及びその制御方法

【課題】ミシン目を任意の位置に高精度で加工することが可能な画像記録装置を提供する。
【解決手段】複数のミシン刃を有する円盤状ミシン刃162によりウェブ3にミシン目加工を施すミシン目加工部16を備える画像記録装置1において、切り替え部6は、円盤状ミシン刃162を、ウェブ3を介して円盤状ミシン刃162と対向するアンビルローラ161に当接させ、またはアンビルローラ161から離間させる。搬送情報生成部15は、ウェブ3の搬送位置を示す搬送情報を生成する。ミシン刃回転位置情報生成部7は、円盤状ミシン刃162のミシン刃の位置を示す回転位置情報を検出する。制御部11は、搬送情報及び回転位置情報に基づき、円盤状ミシン刃162をアンビルローラ161に当接させ、またはアンビルローラ161から離間させる切り替えタイミングを算出し、算出したタイミングにしたがって、切り替え部6の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体にミシン目を形成するミシン目加工部を搭載した画像記録装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体の所望の位置にミシン目加工を施すミシン目加工部を搭載した画像記録装置が知られている。ミシン目加工部には、記録媒体を挟んで対向して配置されたミシン刃とアンビルローラ(受けローラ)または受け刃とが設けられており、ミシン刃をアンビルローラまたは受け刃に当接させることで、記録媒体にミシン目を形成する。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の装置では、拍車(カッター)と回転駆動する排出ローラとを有し、排出ローラと拍車との間に記録媒体を挟持させて搬送する。この装置には、更に、記録媒体に対する拍車の押圧力を可変調整する圧力調整機構が設けられている。圧力調整機構により、ミシン目加工を施す際に、拍車の押圧力を調整し、記録媒体に所望のミシン目を形成/形成停止する。
【0004】
また、特許文献2に記載の装置によれば、回転ミシン刃と受け刃とが、ミシン目形成方向と垂直方向にスライドすることにより、幅方向の任意の位置にミシン目を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−25660号公報
【特許文献2】特開2005−81512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年のライン型インクジェットプリンタ等の画像記録装置では、記録媒体を搬送速度1000[mm/s]に及ぶほどの速度で連続搬送し、それぞれのページに異なる画像を形成するとともに、所定のページや位置にミシン目を施すことのできる技術が望まれている。
【0007】
上述の特許文献1、2において提案されている装置では、記録媒体の所定の位置にミシン目を形成させ、またはミシン目の形成を停止させるための具体的な制御方法が開示されていない。このため、ミシン目加工をオンからオフに切り替える位置の精度や、切り替え位置における加工精度の品質の低下は免れない。
【0008】
本発明は、ミシン目を任意の位置に高精度で加工することが可能な画像記録装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、複数のミシン刃を有する回転ミシン刃により記録媒体の所定の位置にミシン目加工を施すミシン目加工部を備える画像記録装置であって、前記回転ミシン刃を、前記記録媒体を介して該回転ミシン刃と対向する受けローラに当接させ、または該受けローラから離間させる切り替え部と、前記記録媒体の搬送位置を示す搬送情報を生成する生成部と、前記回転ミシン刃のミシン刃の位置を示す回転位置情報を検出する検出部と、前記搬送情報及び前記回転位置情報に基づき、前記所定の位置に前記ミシン目加工をする際に前記ミシン刃を前記受けローラに当接させ、または該受けロー
ラから離間させる切り替えタイミングを算出し、算出した前記切り替えタイミングにしたがって、前記切り替え部の制御を行う制御部と、を備える構成とする。
【0010】
あるいは、本発明は、複数のミシン刃を有する回転ミシン刃により記録媒体の所定の位置にミシン目加工を施すミシン目加工部を備える画像記録装置の制御方法であって、前記記録媒体の搬送位置を示す搬送情報を生成し、前記回転ミシン刃のミシン刃の位置を示す回転位置情報を検出し、前記搬送情報及び前記回転位置情報に基づき、前記所定の位置に前記ミシン目加工をする際に前記ミシン刃を、前記記録媒体を介して該回転ミシン刃と対向する受けローラに当接させ、または該ローラから離間させる切り替えタイミングを算出し、前記算出した前記切り替えタイミングにしたがって、前記切り替え制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ミシン目を任意の位置に高精度で加工することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係る画像記録装置の構成図である。
【図2】切り替え部の動作を説明する図である。
【図3】ミシン目加工部及びシートカッター部を示す図である。
【図4】実施形態に係る画像記録装置によるミシン目のオン/オフを制御する方法を示す図である。
【図5】切り替え部によるミシン目加工部の制御タイミングを説明する図である。
【図6】円盤状ミシン刃を固定させるための機構を示す図である。
【図7】切り替え部によるミシン目加工部の制御タイミングを説明する他の図である。
【図8】実施形態に係る画像記録装置の制御処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る画像記録装置1の構成図である。図1に示す画像記録装置1は、図1においては不図示の上位装置と接続され、上位装置からの命令にしたがって、連続する記録媒体(ウェブ)3に画像記録を行う。ウェブ3は、搬送系により搬送される過程で、画像記録やミシン目加工及び所定長への切断等の処理がなされる。以下、ウェブ3が搬送される過程に沿って、本実施形態に係る画像記録装置1の各部の動作について説明する。
【0014】
媒体収納部2には、ロール状に巻かれたウェブ3が、回転可能に軸支されている。また、媒体収納部2には、機械式または磁気式の回転ブレーキが組み込まれており、これにより、媒体収納部2より引き出されたウェブ3に制動を掛けて、所定の張力を発生させる。ウェブ3が媒体収納部2から引き出されるにしたがって、ウェブ3の巻き径は小さくなるが、どの時点の巻き径においても、引き出されたウェブ3に一定の張力を与える必要がある。このため、ウェブ半径における回転速度と、搬送経路の途中で検出されたウェブ3の搬送速度とから、媒体収納部2のウェブ3の巻き径を計算したり、センサでウェブ3の巻き径を直接検出したりすることにより、巻き径を求める。制御部11は、求めた巻き径に適したブレーキトルクを媒体収納部2の回転軸に与え、巻き出したウェブ3に与える張力を可変制御する。
【0015】
媒体収納部2から巻き出されたウェブ3は、大径ドラム14に巻き付け装填される。ドラム14に一定の張力を与えて回転駆動させることにより、ウェブ3のスリップを防止し、この駆動力を伝達して所定の速度でウェブ3を搬送させる。
【0016】
ウェブ3の搬送駆動力は、ローラ5の回転軸に取り付けられた不図示のモータにより供給され、所定の速度でウェブ3を搬送する。
ドラム14の回転軸には、例えばロータリーエンコーダ等からなる搬送情報生成部15が接続されている。搬送情報生成部15は、ウェブ3の搬送距離に応じた搬送情報として、周期的なパルスを発生させる。
【0017】
画像記録部18のヘッド、例えばライン型インクジェットヘッドは、ドラム14の外径に沿った近接位置に配置され、その吐出タイミングは、搬送情報生成部15において生成する搬送情報を基に制御される。
【0018】
ウェブ3の両面に画像記録を行う場合には、画像記録部18及びドラム14を、それぞれ2組ずつ備え、それぞれがウェブ3の裏面及び表面のそれぞれの面に画像記録を行う。
【0019】
ウェブ3は、ローラ5の間を通過した後、ミシン目加工部16へと搬送される。ミシン目加工部16に搬送されたウェブ3は、ウェブ3の搬送速度と同等の外周速度で回転しているアンビルローラ161と円盤状ミシン刃162、163との間を通る。
【0020】
円盤状ミシン刃162、163をアンビルローラ161に当接させることで、それらの間を通過するウェブ3にミシン目を加工し(ミシン目オン)、離間させることで、ミシン目加工を停止させる(ミシン目オフ)。この円盤状ミシン刃162、163のオン/オフの切り替えは、制御部11が切り替え部6を制御することにより実施する。この制御部11における制御は、上記搬送情報生成部15及び後述するミシン刃回転位置情報生成部7からの情報に基づき、上記当接/離間の動作が円盤状ミシン刃162、163の回転と同期するように行う。
【0021】
記憶部30は、制御部11における切り替え部6の制御等に必要な各種情報を記憶する。
ミシン目加工部16においてミシン目加工されたウェブ3は、シートカッター部8に搬送される。ミシン目加工部16とシートカッター部8との間には、ローラ対19が設けられている。ローラ対19により、ミシン目加工を行う際に、ウェブ3をミシン目加工部16側からシートカッター部8側へと安定的に供給すると共に、ローラ5との間でウェブ3を弛ませることなく搬送する。これにより、搬送方向に沿ったミシン目の形成が可能となる。
【0022】
シートカッター部8としては、例えば、搬送されるウェブ3の搬送動作を止めることなく、連続的にページごとに切断可能なロータリー式カッターを用いる。シートカッター部8は、例えば、カットローラ、アンビルローラ及び樹脂製スクレーパー等により構成される。カットローラは、ウェブ3のカット長に応じて金属ドラムの表面に形成される。アンビルローラは、カットローラに対向して配置された金属製の円筒形ローラである。スクレーパーは、アンビルローラへ切断されたシートの巻き付けを防止するために設けられる。
【0023】
また、これらローラは、ウェブ3の移動状態に同期して連続的に回転制御され、ウェブ3の搬送距離に同期して搬送情報生成部15が出力するエンコーダ信号のカウント値に基づき切断のタイミングを制御して、連続したウェブ3を所定長のシートに切断する。このような制御により、画像記録装置1全体のスループットを低下させることなく、画像記録及び切断動作を行うことが可能となる。
【0024】
シートカッター部8により切断されたシートは、シートの幅方向に関して延出して表面側及び裏面側に設けられたガイド4によって、シート面を挟むようにガイドされて通過す
る。更に、切断されたシートは、排出ローラ対9に受け渡され、排出部10へと排出される。
【0025】
本実施形態に係る画像記録装置1によれば、制御部11が切り替え部6を制御して、最適なタイミングで、ミシン目加工部16のミシン刃162、163のオン/オフを切り替えさせる。次に、切り替え部6の動作について説明する。
【0026】
図2は、切り替え部6の動作を説明する図である。切り替え部6は、図2に示すとおり、カム622、リンクバー623、カムフォロア624、図2においては不図示の駆動モータ及びバネを有し、切り替え部6は、ミシン目加工部16の円盤状ミシン刃162と接続されている。なお、上記のとおり、実施例では、2つの円盤状ミシン刃162、163を備える構成であるが、図2においては、一方の円盤状ミシン刃162のみを記載し、他方については記載を省略している。
【0027】
円盤状ミシン刃162は、アンビルローラ161と対向するように、リンクバー623の一方の端部に不図示のベアリングを介して回転可能に保持されている。また、円盤状ミシン刃162をミシン目形成位置から退避させた退避位置に(ミシン目オフとなる位置)に切り替えた状態において、円盤状ミシン刃162を任意の回転位置に回転させるための機構を設置する。この機構及び動作については後述する。円盤状ミシン刃162をミシン目形成位置(ミシン目オンとなる位置)に移動させた状態においては、円盤状ミシン刃162は、ウェブ3の搬送に追従して回転し、ウェブ3にミシン目を形成する。
【0028】
図2に示すとおり、切り替え部6のカムフォロア624は、カム622と対向するようにリンクバー623の他方の端部に固定されている。リンクバー623は、リンク支点627を中心に回動可能に取り付けられている。そして、リンクバー623は、不図示のバネにより、カムフォロア624とカム622とが常に当接した状態を保つよう、付勢されている。カム622は、カムフォロア624と当接している。
【0029】
図2(a)は、円盤状ミシン刃162のミシン目加工状態(ミシン目オンの状態)を示す図であり、図2(b)は、円盤状ミシン刃の非ミシン目加工状態(ミシン目オフの状態)を示す図である。図2(a)の「ミシン目オン」の状態においては、円盤状ミシン刃162は、リンクバー623を介してウェブ3にミシン目を形成するためのミシン目形成位置にあり、図2(b)の「ミシン目オフ」の状態においては、円盤状ミシン刃162は、ミシン目形成位置から退避した退避位置にある。
【0030】
カム622は、図2に示すように、半径の異なる半径A部と半径B部とを有する。カム622は、不図示のカム駆動モータにより回転し、カムフォロア624と当接する部分を半径A部、または半径B部に切り替えている。
【0031】
次に、図2に示す切り替え部6により駆動されるミシン目加工部16におけるミシン目形成方法について、すなわち、ウェブ3の任意の位置にミシン目を形成(加工)する方法について、図3を参照して説明する。
【0032】
図3は、ミシン目加工部16及びシートカッター部8を示す図である。このうち、図3(a)は、ミシン目加工部16及びシートカッター部8の正面図であり、図3(b)は、その側面図である。
【0033】
図3に示すとおり、実施例では、ミシン目加工部16は、アンビルローラ161と、2つの円盤状ミシン刃162、163とを有する。アンビルローラ161は、ウェブ3の搬送方向に関して垂直方向に、すなわち、ウェブ3の幅方向に配置されている。円盤状ミシ
ン刃162、163は、ウェブ3を挟んでアンビルローラ161と対向するように配置されている。アンビルローラ161は定位置に配置されているが、2つの円盤状ミシン刃162、163は、図2に示す切り替え部6により、ミシン目オン/オフ切り替え方向17に並進移動することができる。
【0034】
ミシン目加工部16へと搬送されたウェブ3は、ウェブ3の搬送速度と同等の外周速度で回転しているアンビルローラ161と円盤状ミシン刃162、163との間を通る。
図3においては、円盤状ミシン刃162は、(K−3)(Kは4以上の整数)ページについてはミシン目加工を施さず(ミシン目オフ)、(K−2)〜Kページについてはミシン目加工を施す(ミシン目加工オン)ように制御し、円盤状ミシン刃163は、(K−3)〜(K−2)ページについてはミシン目加工を施し(ミシン目オン)、(K−1)ページではミシン目加工を施さず(ミシン目オフ)、続くKページではミシン目加工を施す(ミシン目オン)ように制御する。円盤状ミシン刃162、163をこのように制御することにより、各ページに所望のミシン目部12を生成する。
【0035】
ミシン目オン/オフの切り替えは、ページの境界であるカット予定の仮想線13に合わせて行う。カット予定の仮想線13は、ウェブ3の搬送位置により決定され、ウェブ3の搬送位置は、搬送情報生成部15から出力される搬送情報を示すパルスを、制御部11においてカウントすることにより認識することができる。カット予定の仮想線13は、制御部11においてカウントすることにより得られるカウント値と、図1に示すメモリ等の記憶部30に予め記憶させておいた所定のパルス数との比較により決定する。円盤状ミシン刃162、163を制御して、カット予定の仮想線13の位置でミシン目加工オン/オフの切り替えを行うことにより、ウェブ3の所望の位置にミシン目加工を施すことが可能となる。
【0036】
なお、記憶部30に予め記憶させておく所定のパルス数とは、画像記録部18において画像を記録されたウェブ3が、搬送されてミシン目加工部16(の円盤状ミシン刃162、163及びアンビルローラ161の対)の位置に到達するまでの搬送距離に応じて、搬送情報生成部15が出力するパルス数である。所定のパルス数は、画像記録装置1の仕様等により決定される値であり、例えば、画像記録装置1の生産時等に調整値として予め記憶させておいてもよい。
【0037】
上記の制御により、用途等に合わせて、例えば数枚のシートで一綴りとなるシートの記録面に応じて、適切なミシン目加工を施すことが可能となる。
円盤状ミシン刃162、163をウェブ3の幅方向に関して移動させるための機構を設け、その移動の制御を行うことにより、ウェブ3の幅方向に対しても、任意の位置に適切なミシン目加工を施すことが可能となる。なお、円盤状ミシン刃162、163をウェブ3の幅方向に関して移動させるための機構については、公知の技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0038】
また、ミシン目加工部16の円盤状ミシン刃については、実施例では2つを備える構成を示しているが、これには限らず、ウェブ3の幅方向に関して1つ、あるいは3つ以上を配置する構成としてもよい。
【0039】
上記のとおり、「ミシン目オン」とすることにより、すなわち、ミシン目加工部16の円盤状ミシン刃162、163を対向するアンビルローラ161と当接させることにより、間を通過するウェブ3にミシン目形成がなさる。「ミシン目オフ」とすることにより、すなわち、円盤状ミシン刃162、163をアンビルローラ161から離間させることにより、間を通過するウェブ3にミシン目を形成させない。本実施形態に係る画像記録装置1は、例えばページ間で、ミシン目オンからミシン目オフへと、あるいはその逆の切り替
えを行うときは、円盤状ミシン刃162、163の回転の状況に応じたミシン目オン/オフの制御を行う。
【0040】
図4は、本実施形態に係る画像記録装置1によるミシン目のオン/オフを制御する方法を示す図である。次に、図4を参照して、実施例におけるミシン刃回転位置情報生成部7からの情報により、ミシン目のオン/オフを制御する方法について説明する。
【0041】
図4(a)は、円盤状ミシン刃162の回転に伴って順次形成されるミシン目を模式的に示す図である。ウェブ3は、図中左側に向かって搬送され、円盤状ミシン刃162は、時計回り方向に回転する。これに伴って、Nを自然数とすると、N−1番目、N番目、N+1番目…のミシン目が順次形成されていく。
【0042】
上記のとおり、実施例では、ミシン目加工部16は2つの円盤状ミシン刃162、163を有するが、図4(a)においては、2つの円盤状ミシン刃162、163のうち、一方のみを示している。
【0043】
N番目のミシン目31(N)は、円盤状ミシン刃162のミシン刃61(N)が図4(a)に示す位置にあるときに形成される。N−1番目のミシン目31(N−1)は、N番目のミシン目を形成するミシン刃61(N)よりも円盤状ミシン刃162の回転方向に関して1つ前のミシン刃61(N−1)により形成され、N+1番目のミシン目31(N+1)は、円盤状ミシン刃162のミシン刃61(N+1)が図4(a)に示す位置からミシン刃1つ分だけ時計方向に回転したときに形成される。
【0044】
このように、円盤状ミシン刃162が回転方向に関してどの位置にあるかにより、円盤状ミシン刃162に備えられる複数のミシン刃のそれぞれがウェブ3にミシン目を形成するタイミングを認識することが可能となる。そこで、本実施形態に係る画像記録装置1では、ミシン刃回転位置情報生成部7により、円盤状ミシン刃162の回転方向に関する位置(以下回転位置とする)に係わる情報を取得する。
【0045】
ミシン刃回転位置情報生成部7は、例えば透過型光学センサで構成され、円盤状ミシン刃162のミシン刃によりセンサ光が遮られるか否かにより、円盤状ミシン刃162の回転位置情報を生成する。
【0046】
なお、例えば、ミシン刃に磁化した部材を付属させて、ミシン刃回転位置情報生成部7に使用するセンサが、磁気の変化により円盤状ミシン刃162のミシン刃を検出する構成とすることもできる。
【0047】
図4(b)は、円盤状ミシン刃162をミシン目形成位置から退避位置に切り替える(ミシン目オンからオフに切り替える)場合における、カット予定の仮想線13とミシン目の位置関係を説明する図である。ウェブ3の搬送方向に関してカット予定の仮想線13よりも手前のページまでは、ミシン目加工を施し、仮想線13以降のページにはミシン目加工を施さない場合を示す。
【0048】
上述のとおり、カット予定の仮想線13の位置については、搬送情報生成部15が出力する搬送情報のパルスのカウント値と、予めメモリ等の記憶部30に記憶させておいた所定のパルス数とを比較することにより決定する。上述のとおり、所定のパルス数とは、画像記録部18において画像を記録されたウェブ3が、搬送されてミシン目加工部16(の円盤状ミシン刃162、163及びアンビルローラ161の対)の位置に到達するまでの搬送距離に応じて、搬送情報生成部15が出力するパルス数をいう。
【0049】
図4(b)においては、N番目に形成されるミシン目31(N)まではミシン目オン、N+1番目に形成されるミシン目31(N+1)からはミシン目オフとすることを示している。すなわち、N+1番目のミシン目については、カット予定の仮想線13の後に形成されることとなり、ここでは仮想線13の後のページについてはミシン目加工を施さないページであるため、N+1番目のミシン目31(N+1)がウェブ3に形成されないように、所定のタイミングで円盤状ミシン刃162を退避位置へと移動させる。
【0050】
具体的には、制御部11は、ミシン刃回転位置情報生成部7において生成するミシン刃の回転位置情報に基づいて、円盤状ミシン刃162の複数のミシン刃のうち、図4のN番目のミシン目31(N)に対応するミシン刃61(N)を決定する。すなわち、制御部11は、ミシン刃回転位置情報生成部7からの回転位置情報と、円盤状ミシン刃162の仕様等により決定されるミシン目間隔とを用いて、カット予定の仮想線13に最も近いミシン目と対応するミシン刃61を算出する。円盤状ミシン刃162のミシン目間隔は、予め、制御部11に記憶しておく。
【0051】
そして、制御部11は、N番目のミシン目に対応するミシン刃61(N)については、アンビルローラ161と当接する(ミシン目オン)ように切り替え部6を制御し、N+1番目のミシン目に対応するミシン刃61(N+1)については、アンビルローラ161から離間させる(ミシン目オフ)ように切り替え部6を制御し、円盤状ミシン刃162を退避位置へと移動させる。
【0052】
ここで、ミシン目間隔は微細であることが一般的である。このため、あるミシン目の始点や終点の位置がカット予定の仮想線13と完全に一致しなくとも、不一致が目視で顕著に目立つことはない。ミシン目の始点や終点の位置がカット予定の仮想線13と一致しない場合には、カット予定の仮想線13に最も近いミシン目を、N番目あるいはN+1番目のミシン目として選択すればよい。
【0053】
実施例においては、カット予定の仮想線13に最も近いミシン目をN番目のミシン目31(N)として選択し、カット予定の仮想線13に最も近いと判断されたミシン目まではミシン目加工を施し、次のN+1番目のミシン目31(N+1)については、ミシン目加工が完成されない状態(以後半アキ状態という)とならないよう、最善のタイミングでミシン目オンからミシン目オフへの切り替えを行っている。ミシン目加工をオフとしたいページを完全にミシン目なしとするのか、あるいはミシン目オンとしたいページの端まで完全にミシン目を形成するのかについては、予めユーザが設定可能とすることとしてもよい。
【0054】
図4(c)は、円盤状ミシン刃162を退避位置からミシン目形成位置に切り替える(ミシン目オフからオンに切り替える)場合における、カット予定の仮想線13とミシン目の位置関係を説明する図である。ウェブ3の搬送方向に関してカット予定の仮想線13よりも手前のページまでは、ミシン目加工を施さず、仮想線13以降のページにミシン目加工を施す場合を示す。
【0055】
ミシン目のうち、N−1番目のミシン目31(N−1)までは、加工不要として、切り替え部6は、円盤状ミシン刃162を退避位置に移動させておく。カット予定の仮想線13以降に位置するN番目のミシン目31(N)以降については、ミシン目加工を施すため、切り替え部6は、円盤状ミシン刃162をミシン目形成位置へと移動させる。
【0056】
ここでも、図4(b)のような、ミシン目オンからミシン目オフに切り替えるタイミングに対応するミシン刃を算出する方法と同様の方法により、N番目のミシン目31(N)に対応するミシン刃61(N)を算出する。
【0057】
上記のとおり、本実施形態に係る画像記録装置1では、円盤状ミシン刃162、163がミシン目形成を開始するタイミングで円盤状ミシン刃162、163をアンビルローラ161に当接させ、円盤状ミシン刃162、163がミシン目形成を完了するタイミングで円盤状ミシン刃162、163をアンビルローラ161から離間させるよう切り替え部6を制御する。更には、円盤状ミシン刃162、163の各ミシン刃61がミシン目形成を開始するタイミングやミシン目形成を完了するタイミングを考慮して、ミシン目のオン/オフを制御することにより、ウェブ3へのミシン目加工を高精度で行うことが可能となる。
【0058】
次に、ミシン刃61がミシン目の形成を開始するタイミングやミシン目の形成を完了するタイミングに応じて、切り替え部6を駆動してミシン目のオン/オフを制御するタイミングを決定する方法について説明する。
【0059】
図5は、カット予定の仮想線13の前後における切り替え部6によるミシン目加工部16の制御タイミングを説明する図である。ここでは、ミシン目加工部16が図4(a)に示す構成をとる場合について説明する。
【0060】
図5のうち、図5(a)は、円盤状ミシン刃162をミシン目形成位置から退避位置へと切り替える(ミシン目オフとする)場合の制御タイミングを説明する図であり、図5(b)は、円盤状ミシン刃162を退避位置からミシン目形成位置へと切り替える(ミシン目オンとする)場合の制御タイミングを説明する図である。
【0061】
図5(a)の横軸は時間を、縦軸はミシン目形成のオン/オフを示す。図5(a)は、ミシン目加工部16が「常時ミシン目オン」の状態にある場合、すなわち円盤状ミシン刃162がミシン目形成位置にある場合にミシン目のオン/オフを切り替える制御タイミングを示している。図4(b)に示す例と同様に、N番目のミシン目31(N)まではミシン目形成をし、N+1番目のミシン目31(N+1)については加工を施さない場合を例に説明する。
【0062】
まず、N−1番目のミシン目については、時間T0においてミシン目31(N−1)の形成が開始され、時間T1においてミシン目31(N−1)の形成が完了する。N番目のミシン目31(N)についても同様に、時間T2及びT3は、それぞれミシン目形成の開始及び完了のタイミングを示す。
【0063】
上記のとおり、N+1番目のミシン目31(N+1)については、ミシン目加工を施さない。そこで、制御部11は、N番目のミシン目31(N)の形成が完了した時間T3のタイミングで、ミシン目オンからミシン目オフへと切り替えるよう、切り替え部6を制御する。具体的には、切り替え部6のカム622をカム駆動モータによって回転制御する。これにより、円盤状ミシン刃162は、ウェブ3に図5(a)に破線で示すN+1番目のミシン目31(N+1)の形成を開始する時間T4以前に退避位置への移動を開始しているため、ウェブ3上に形成されないこととなる。
【0064】
このように、本実施形態に係る画像記録装置1によれば、ミシン目形成の周期的動作のうち、特定のミシン目までを形成させ、次のミシン目を形成しない場合には、形成しないミシン目が半アキ状態としないよう、最善のタイミングで切り替えを行う。
【0065】
制御部11は、搬送情報生成部15が出力する情報を利用して、概略のミシン目オフにするタイミングを算出する。ミシン目をオフにするタイミングの算出方法については、先に図4(b)を参照して説明したとおりである。
【0066】
制御部11は、ミシン刃回転位置情報生成部7が出力する情報を利用して、時間tにおけるミシン刃の回転位置を算出し、これを用いて、N番目のミシン目31(N)の形成に係わる時間(図5(a)に示す例では、時間T2〜T4)の範囲内で、ミシン目をオフにするタイミングを決定する。
【0067】
ここで、円盤状ミシン刃162の複数のミシン刃は、円盤状ミシン刃162の周縁部に等間隔で設けられているため、ミシン目の形成は周期的に行われる。このことを利用して、例えば、ミシン刃回転位置情報生成部7が周期的に出力する位相に係わる情報と、制御部11により決定されるミシン目をオフにするタイミングとを、メモリ等の記憶部30に記憶させておく。保持するこれらの調整値を用いて、ミシン目をオンからオフへと切り替える最適なタイミングを、円盤状ミシン刃162の周期的な回転(位相)に応じて決定することが可能となる。
【0068】
図5(b)についても、図5(a)と同様に、横軸は時間を、縦軸はミシン目形成のオン/オフを示す。図5(b)は、ミシン目加工部16が「常時ミシン目オン」の状態にある場合、すなわち円盤状ミシン刃162がミシン目形成位置にある場合にミシン目のオン/オフを切り替える制御タイミングを示している。図4(c)に示す例と同様に、N−1番目のミシン目までは加工を施さず、N番目のミシン目から形成させる場合を例に説明する。
【0069】
N−1番目のミシン目については、ミシン目の形成開始が時間T0であり、ミシン目の形成完了が時間T1である。なお、N−1番目のミシン目については、加工を施さないため、図5(b)においては、円盤状ミシン刃162の回転に応じた仮想のミシン目形成タイミングを示している。
【0070】
上記のとおり、N−1番目のミシン目については加工を施さないので、円盤状ミシン刃162を、ミシン目形成位置から退避位置に移動させる必要がある。また、N番目のミシン目31(N)については、時間T2でミシン目形成が開始される。そこで、「常時ミシン目がオン」の状態にあるときに、N−1番目のミシン目31(N−1)についてはミシン目加工を施さないようにするために、N−1番目のミシン目形成が開始される時間T0以前のタイミングで円盤状ミシン刃162を退避位置に移動させる。そして、N番目のミシン目31(N)の形成が開始される時間T2までに円盤状ミシン刃162が、退避位置からミシン目形成位置へと移動が完了するように、制御部11は、切り替え部6を制御する。具体的には、切り替え部6のカム622をカム駆動モータによって回転制御する。カム622の起動時間やリンクバー623の移動時間等の、切り替え部6の各機構部の駆動時間についても考慮して、制御部11は、時間T2までに切り替え移動が終了できるように制御を行う。
【0071】
このように、本実施形態に係る画像記録装置1によれば、図5(b)に破線で示すN−1番目のミシン目31(N−1)は形成せずに、N番目のミシン目31(N)からミシン目形成が可能となる。すなわち、ミシン目形成の周期的動作のうち、所定のミシン目まで(図5(b)においてはN−1番目のミシン目31(N−1)まで)をミシン目オフとし、所定のミシン目から(図5(b)においてはN番目のミシン目31(N)から)は、ミシン目を半アキ状態としないよう、最善のタイミングで切り替えを行う。
【0072】
制御部11は、搬送情報生成部15が出力する情報を利用して、概略のミシン目をオンにするタイミングを算出する。ミシン目をオンにするタイミングの算出方法については、先に図4(c)を参照して説明したとおりである。
【0073】
そして、制御部11は、ミシン刃回転位置情報生成部7が出力する情報を利用して、時間tにおけるミシン刃の回転位置を算出し、これを用いて、N番目のミシン目31(N)の形成に係わる時間(図5(b)に示す例では、時間T1〜T3)の範囲内で、ミシン目をオンにするタイミングを決定する。
【0074】
図5(a)に示す場合のタイミングの決定方法と同様に、ミシン目形成が周期的に行われることを利用して、ミシン刃回転位置情報生成部7が周期的に出力する位相に係わる情報と、制御部11により決定されるミシン目をオンにするタイミングとを、メモリ等の記憶部30に記憶させておく。保持するこれらの調整値を用いて、ミシン目をオフからオンへと切り替える最適なタイミングを、円盤状ミシン刃162の周期的な回転(位相)に応じて決定することが可能となる。
【0075】
ここで、実施例では、ミシン目形成位置から退避位置に切り替えた状態、すなわち、ミシン目オンからミシン目オフへと切り替えた状態において、円盤状ミシン刃162を任意の回転位置に固定させるための機構を設置している。図6にその機構の一例を示す。
【0076】
図6に示すとおり、円盤状ミシン刃162の退避位置に、ミシン刃を突き当てて受ける凹部202を設けている。凹部202は、円盤状ミシン刃162が退避位置にあるときに、ミシン目形成を開始する際にその回転位置が好ましい位置にあるように固定する。好ましい回転位置とは、例えば、図5の時間T2に相当する回転位置をいう。凹部202により、ミシン刃を所定の回転位置に固定することで、ミシン目をオフからオンへと切り替えたときに、正確にミシン目形成の開始タイミングやミシン目形成の完了タイミングを制御する。これにより、例えば所定のミシン目までをミシン目オフにし、次のミシン目からミシン目の形成を開始するとき等においても、ミシン目を半アキ状態とせずにミシン目加工を開始することができる。
【0077】
更に、凹部202に円盤状ミシン刃162の回転方向212に関する調整機構を設けることとしてもよい。調整機構により、凹部202に固定する円盤状ミシン刃162の回転位置をより高精度に調整し、これにより、例えばミシン目をオフからオンへと切り替える制御をより高精度に行うことが可能となる。
【0078】
図7は、切り替え部6によるミシン目加工部16の制御タイミングを説明する他の図である。図7(a)に示す円盤状ミシン刃162は、円盤径と各ミシン刃61の大きさの関係より、図4(a)に示すそれとは異なり、あるミシン刃61のミシン目形成を開始してから完了するまでの期間と、前後のミシン刃61のミシン目形成に要する期間とが重複することとなる。図7(a)においては、N番目のミシン目31(N)は、N−1番目のミシン目31(N−1)の加工が完了する前に開始され、また、N番目のミシン目31(N)の加工が完了する前に、N+1番目のミシン目31(+1)の加工が開始される例を示す。以下に、このような場合の切り替え部6による制御タイミングについて説明する。
【0079】
図7(b)は、円盤状ミシン刃162をミシン目形成位置から退避位置へと切り替える(ミシン目オフとする)場合の制御タイミングを説明する図である。横軸は時間を、縦軸はミシン目形成のオン/オフを示す。ここでは、ミシン目加工部16が「常時ミシン目オン」の状態にある場合、すなわち、円盤状ミシン刃162がミシン目形成位置にある場合にミシン目のオン/オフを切り替える制御タイミングを示している。
【0080】
以下に、N番目のミシン目31(N)まではミシン目形成をし、N+1番目のミシン目31(N+1)については加工を施さない場合を例に説明する。なお、図7(b)においては、縦軸方向の「ミシン目オン」の位置をN番目のミシン目と他のミシン目とでずらして表示している。これは、重複する区間を見易くするためである。
【0081】
まず、N−1番目のミシン目31(N−1)については、時間T0にミシン目形成を開始する。N−1番目のミシン目31(N−1)の形成が完了する時間T2よりも前の時間T1に、次のミシン刃61Nが、N番目のミシン目31(N)の形成を開始する。同様に、N番目のミシン目31(N)の形成が完了する時間T4よりも前の時間T3に、N+1番目のミシン目31(N+1)の形成が開始される。
【0082】
N番目のミシン目31(N)までを「ミシン目オン」で加工し、N+1番目のミシン目31(N+1)からは「ミシン目オフ」とするために、例えば、制御部11は、時間T3において、ミシン目形成位置から退避位置へと切り替え移動を行うよう、切り替え部6を制御する。切り替え部6を制御する具体的な方法については、先に図5(a)を参照して説明したとおりである。
【0083】
切り替え部6を上記のとおりに制御した場合、円盤状ミシン刃162が時間T4以前にミシン目形成位置から離れることとなるため、N番目のミシン目31(N)については、ミシン目の幅(搬送方向の長さ)が他のミシン目よりも狭くなる可能性や、ミシン目深さが浅くなる可能性がある。
【0084】
あるいは、制御部11は、時間T4においてミシン目オンからオフへと切り替えるよう、切り替え部6を制御する。この場合には、N番目のミシン目31(N)については完全に形成されるが、N+1番目のミシン目31(N+1)についても、幅が狭く、ミシン目深さの浅いミシン目が形成されてしまう可能性がある。
【0085】
時間T3からT4の間のいずれのタイミングでミシン目をオンからオフへと切り替えるかについては、ユーザの好みや用途に応じて、予め設定可能な構成とすることが好ましい。これにより、ユーザは、ミシン目オフとしたいページ(すなわちN+1番目のミシン目31(N+1)を含むページ)については完全にミシン目なしとしたい場合には、時間T3での切り替えを設定し、ミシン目オンとしたいページ(すなわちN番目のミシン目31(N)を含むページ)についてはページの端まで完全にミシン目を形成したい場合には、時間T4での切り替えを設定することができる。
【0086】
図5に示す場合と同様に、制御部11は、搬送情報生成部15から出力される情報を用いて、概略のミシン目をオフにするタイミングを算出する。そして、ミシン刃回転位置情報生成部7が出力する情報を用いて、時間T2〜T4の範囲内で、ミシン目をオフにするタイミングの詳細を決定する。そして、ミシン刃回転位置情報生成部7が出力する位相と決定したタイミングとを、図1のメモリ等の記憶部30に記憶しておく。
【0087】
図7(c)は、円盤状ミシン刃162を退避位置からミシン目形成位置へと切り替える(ミシン目オンとする)場合の制御タイミングを説明する図である。図7(a)と同様に、横軸は時間を、縦軸はミシン目形成のオン/オフを示す。ここでは、ミシン目加工部16が「常時ミシン目オン」の状態にある場合、すなわち、円盤状ミシン刃162がミシン目形成位置にある場合にミシン目のオン/オフを切り替える制御タイミングを示している。
【0088】
以下に、N−1番目のミシン目31(N−1)をオフとし、N番目のミシン目31(N)から加工を施す場合を例に説明する。なお、図7(c)においても、図7(b)と同様に、重複する区間を見易くするため、縦軸方向の「ミシン目オン」の位置をN番目のミシン目と他のミシン目とでずらして表示している。
【0089】
N−1番目のミシン目31(N−1)については、ミシン目の形成開始が時間T0であ
る。N−1番目のミシン目31(N−1)は加工を施さないため、ここでは、円盤状ミシン刃162の回転に応じた仮想のミシン目形成タイミングを示している。
【0090】
N−1番目のミシン目31(N−1)の形成が完了する時間T2よりも前の時間T1に、次のミシン刃61(N)が、N番目のミシン目31(N)の形成を開始する。
N−1番目のミシン目31(N−1)をオフとし、N番目のミシン目31(N)から「ミシン目オン」とするために、例えば、制御部11は、時間T1において、退避位置からミシン目形成位置へと切り替え移動を行うよう、切り替え部6を制御する。切り替え部6を制御する具体的な方法については、先に図5(b)を参照して説明したとおりである。
【0091】
切り替え部6を上記のとおりに制御した場合、円盤状ミシン刃162が時間T2以前にミシン目形成位置へと移動を始める。このため、幅が狭く、ミシン目深さが浅いものの、N−1番目のオフとすべきミシン目31(N−1)が形成されてしまう可能性がある。
【0092】
あるいは、制御部11は、時間T2においてミシン目オンからオフへと切り替えるよう、切り替え部6を制御する。この場合には、N番目のミシン目31(N)については、その幅が狭くなる可能性や、ミシン目深さが浅くなる可能性がある。
【0093】
時間T1からT2の間のいずれのタイミングでミシン目をオフからオンへと切り替えるかについては、図7(b)に示すミシン目をオンからオフへと切り替える場合と同様に、ユーザの好みや用途に応じて、予め設定可能な構成とすることが好ましい。
【0094】
図8は、本実施形態に係る画像記録装置1の制御処理を示したフローチャートである。
まず、ステップS1において、制御部11は、上位装置からミシン目挿入情報を取得する。ミシン目挿入情報は、ウェブ3のミシン目加工を施すべきページ等の情報を含み、ウェブ3に記録すべき画像情報とともに画像記録装置1に入力される。
【0095】
ステップS2において、制御部11は、ミシン刃回転位置情報生成部7が出力するミシン刃の回転位置を示す情報から、ミシン目をオンに切り替えるタイミングに適したカム622の駆動タイミングを算出する。
【0096】
ステップS3において、制御部11は、搬送情報生成部15が出力した搬送情報より得られる搬送位置が、ミシン目挿入を開始する(ミシン目オフからミシン目オンに切り替える)位置であるか否かを判定する。ミシン目挿入を開始する位置になるまで待機をし、ミシン目挿入開始位置に到達すると、ステップS4に進む。
【0097】
ステップS4において、制御部11は、切り替え部6を駆動し、ミシン目をオンにする。切り替え部6の駆動には、先にステップS2において算出したカム622の駆動タイミングを用いる。
【0098】
ステップS5において、制御部11は、ミシン刃回転位置情報生成部7により出力される、円盤状ミシン刃162、163の回転位置情報に基づき、ミシン目をオフに切り替えるタイミングに適したカム622を駆動するタイミングを算出する。
【0099】
ステップS6において、制御部11は、搬送情報から得られる搬送位置が、ミシン目挿入を停止させる(ミシン目オンからミシン目オフへと切り替える)位置であるか否かを判定する。搬送情報は、ステップS2と同様に、搬送情報生成部15が出力する情報である。
【0100】
ステップS7において、制御部11は、切り替え部6を駆動し、ミシン目をオフにする
。切り替え部6の駆動には、先にステップS5において算出したカム622の駆動タイミングを用いる。
【0101】
ステップS8において、制御部11は、次ページ処理があるかどうかを判定する。次ページ処理がある場合は、ステップS1に戻る。次ページ処理がない場合は、処理を終了する。
【0102】
以上説明したように、本実施形態に係る画像記録装置1によれば、制御部11が切り替え部6を制御して、最適なタイミングで、ミシン目加工部16の円盤状ミシン刃162、163のオン/オフを切り替えさせる。制御部11は、ミシン目加工部16の円盤状ミシン刃162、163の回転と、すなわち、円盤状ミシン刃162、163によりミシン目形成が開始されるタイミングやミシン目形成が完了するタイミングと同期するように、切り替え部6の駆動タイミングを算出する。具体的には、ウェブ3の搬送位置や円盤状ミシン刃162、163の回転位置に応じて、円盤状ミシン刃162、163に設けられた複数のミシン刃のそれぞれがミシン目形成を開始するタイミング、ミシン目形成を完了するタイミングに応じて、切り替え部6の駆動タイミングを決定する。搬送情報生成部15及びミシン刃回転位置情報生成部7からの情報に基づき、円盤状ミシン刃162、163に設けられた複数のミシン刃61のそれぞれがウェブ3に形成するミシン目の位置を求め、ミシン目の形成される位置に応じて切り替え部6の駆動タイミングを制御することで、ミシン目加工を施すページとミシン目加工を施さないページとの境界においても、高精度でミシン目のオン/オフを切り替えることが可能となる。
【0103】
以上、本発明の実施形態についてそれぞれ説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の改良及び変更が可能である。例えば、上述の各実施形態に示された全体構成からいくつかの構成要素を削除してもよいし、更には、各実施形態の異なる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 画像記録装置
2 媒体収納部
3 ウェブ
4 ガイド
5 ローラ
6 切り替え部
7 ミシン刃回転位置情報生成部
8 シートカッター部
9 排出ローラ
10 排出部
11 制御部
12 ミシン目部
13 カット予定の仮想線
14 ドラム
15 搬送情報生成部
16 ミシン目加工部
17 ミシン目オン/オフ切り替え方向
18 画像記録部
19 ローラ
31 ミシン目
61 ミシン刃
161 アンビルローラ
162、163 円盤状ミシン刃
622 カム
623 リンクバー
624 カムフォロア
627 リンク支点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のミシン刃を有する回転ミシン刃により記録媒体の所定の位置にミシン目加工を施すミシン目加工部を備える画像記録装置であって、
前記回転ミシン刃を、前記記録媒体を介して該回転ミシン刃と対向する受けローラに当接させ、または該受けローラから離間させる切り替え部と、
前記記録媒体の搬送位置を示す搬送情報を生成する生成部と、
前記回転ミシン刃のミシン刃の位置を示す回転位置情報を検出する検出部と、
前記搬送情報及び前記回転位置情報に基づき、前記所定の位置に前記ミシン目加工をする際に前記ミシン刃を前記受けローラに当接させ、または該受けローラから離間させる切り替えタイミングを算出し、算出した前記切り替えタイミングにしたがって、前記切り替え部の制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ミシン目加工の加工開始時のミシン刃と加工完了時のミシン刃とが前記所定の位置の範囲にのみ存在するタイミングを算出する
ことを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記回転ミシン刃によりミシン目形成が開始されるタイミングで該回転ミシン刃を前記受けローラに当接させ、前記回転ミシン刃によりミシン目形成が完了するタイミングに同期させて該回転ミシン刃を前記受けローラから離間させるよう前記切り替えタイミングを算出する
ことを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記搬送情報及び前記回転位置情報に基づき、前記複数のミシン刃のそれぞれが前記記録媒体上に形成するミシン目の位置を求めることにより、ミシン目の挿入位置に応じた前記切り替えタイミングを算出する
ことを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記ミシン目加工部は、前記ミシン刃が前記受けローラに当接する際に前記ミシン刃の略先端から当接するように前記ミシン刃の先端を所定の位置に保持する退避部を更に備え、
前記制御部は、前記所定の位置にミシン目加工を施す際に、前記退避部で刃先位置を整えられた前記ミシン刃により、前記ミシン刃の略先端から前記ミシン目加工を開始するタイミングを算出し、該タイミングにしたがって前記切り替え部の制御を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記所定の位置でミシン目加工を完了させる際に、前記所定の完了位置と同じか、または完了位置直前に前記ミシン刃が前記受けローラから離間するタイミングを算出し、該タイミングにしたがって前記切り替え部の制御を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項7】
複数のミシン刃を有する回転ミシン刃により記録媒体の所定の位置にミシン目加工を施すミシン目加工部を備える画像記録装置の制御方法であって、
前記記録媒体の搬送位置を示す搬送情報を生成し、
前記回転ミシン刃のミシン刃の位置を示す回転位置情報を検出し、
前記搬送情報及び前記回転位置情報に基づき、前記所定の位置に前記ミシン目加工をする際に前記ミシン刃を、前記記録媒体を介して該回転ミシン刃と対向する受けローラに当接させ、または該ローラから離間させる切り替えタイミングを算出し、
前記算出した前記切り替えタイミングにしたがって、前記切り替え制御を行う
ことを特徴とする画像記録装置の制御方法。
【請求項8】
前記制御部は、前記ミシン目加工の加工開始時のミシン刃と加工完了時のミシン刃とが前記所定の位置の範囲にのみ存在するタイミングを算出する
ことを特徴とする請求項7に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項9】
前記ミシン目加工部は、前記ミシン刃が前記受けローラに当接する際に前記ミシン刃の略先端から当接するように前記ミシン刃の先端を所定の位置に保持し、
前記所定の位置にミシン目加工を施す際に、前記ミシン刃の略先端から前記ミシン目加工を開始するタイミングを算出し、該タイミングにしたがって前記切り替え制御を行うことを特徴とする請求項7に記載の画像記録装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−189573(P2011−189573A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56418(P2010−56418)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】