説明

画像記録装置

【課題】 感光記録紙の無駄を少なくするとともに、確実な先端処理を行うことができる画像記録装置を提供する。
【解決手段】 記録紙の先端部を検出するセンサと、このセンサにより記録紙の先端部が検出されるまでの記録紙の搬送量を算出する搬送量算出手段とを設ける。算出された搬送量が所定の搬送量以下である場合には、先端部にカブリが生じているとみなして記録紙の先端部を切断する先端処理を行う。一方、算出された搬送量が所定の搬送量を超える場合には、記録紙の先端部を切断する先端処理を行わない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マガジン内から装置本体へ搬送される記録材料の先端部をカッタにより切断する先端処理を行うことが可能な画像記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
写真フイルムに撮影された画像を画像読取装置によって光電的に読み取り、この読み取った画像データに基づいて記録光を照射して感光材料(印画紙)に画像を記録する画像記録装置が知られている。このような画像記録装置においては、感光材料はロール状に巻回されてマガジン内に収納されており、このマガジンを画像記録装置のマガジン室に装填し、マガジン内から装置本体へ長尺状の感光材料を搬送させることが行われている。長尺状の感光材料は、装置本体に設けられたカッタにより所定の寸法に切断された後、露光処理、現像処理、乾燥処理等を経て写真プリントとなる。
【0003】
このような画像記録装置においては、マガジンに収納されていた感光材料が全部使用されると、マガジンが外され、新しいロール状の感光材料がマガジンへ詰め替えられる。この感光材料の詰め替え(交換)を行う際には、新しい感光材料の先端は、必ずしも正確にカットされているわけではなく、不揃いであったり傾斜してカットされていることが多い。また、感光材料の詰め替えを行う際に、感光材料の先端部をマガジンから突出させて収納した場合には、マガジン内から突出した先端部に塵埃が付着したり先端部が露光されてしまう(いわゆる、カブリが生じてしまう)。さらに、感光材料の詰め替えを行う際に、作業者が誤って素手で触れることによって感光材料の先端部に指紋が付くこともある。このため、感光材料の詰め替えが行われたマガジンがマガジン室に装填される度に、感光材料の先端部を使用することがないように、この先端部を切断する先端処理が行われている。
【0004】
画像記録装置においては、サイズの異なる感光材料を使用するために、使用途中の感光材料が収納されたマガジンをマガジン室から外し、サイズの異なる感光材料が収納された他のマガジンをマガジン室に装填することがよく行われる。この場合、前記他のマガジン内の感光材料が、既に先端処理を行った使用途中のものか、まだ先端処理を行っていない未使用のものか、分からないことが多い。そのため、このいずれの感光材料にも対応できるように、前記他のマガジンがマガジン室に装填された場合には、収納された感光材料に関係なく先端処理を行っていた。これにより、既に先端処理を行った使用途中の感光材料についても先端処理を行うこととなるため、感光材料を無駄に切断して廃棄することとなり、感光材料の損紙が増加して経済的でないという問題が生じていた。
【0005】
ところで、先端処理に用いられるカッタは装置本体に設けられるが、装填されたマガジンの送出口からカッタまでの感光材料の搬送量を短くするために、カッタをマガジンの送出口のできるだけ近くに配置することが好ましい。そのため、感光材料をマガジン内から装置本体へ搬送する搬送ローラを、装置本体ではなくマガジン内に配置するものが知られている。このようなマガジンには、マガジンの装置本体への装填に伴って装置本体に備えられた駆動源に接続されるプーリが設けられており、このプーリの回転と共に搬送ローラが回転する。しかし、このようなマガジンにおいては、マガジンが装置本体のマガジン室から外されているときに、マガジンに設けられたプーリを誤って回転させてしまうと、感光材料が送り出されて先端部がマガジン内から突出し、先端部に塵埃が付着したりカブリが生じるという問題が生じる。
【0006】
特許文献1に記載された画像記録装置では、カッタより感光材料の搬送方向上流側に感光材料の先端部を検出する検出手段を設け、この検出手段により先端部が検出されるまでの感光材料の搬送量を基に、カッタの動作を制御している。
【0007】
特許文献2に記載された画像記録装置では、マガジンに収納されている感光材料が既に先端処理が行われたか否かの情報を記憶しておく記憶手段を備え、先端処理が行われていないと判断された場合にのみ、先端処理を行うこととしている。特許文献3に記載された画像記録装置では、感光材料のマガジンへのセット時に開閉されるマガジン扉の開閉履歴を参照し、開閉履歴が開である場合に、先端処理が行われていないと判断して先端処理を行っている。
【0008】
【特許文献1】特開平07−114109号公報
【特許文献2】特開2001−142154号公報
【特許文献3】特開2003−295330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、マガジンの装填の度に先端処理を行っており、トータルでの損紙の増大が避けられない。
【0010】
また、特許文献2に記載された技術では、既に先端処理を行っている使用途中の感光材料に関しては、先端処理を行わない。特許文献3に記載された技術では、既に先端処理を行っている使用途中の感光材料に関しては、マガジンがマガジン室から外されている時間が長くなることによって生じる光カブリや先端部の曲がりくせがある場合にのみ先端処理を行い、その他の場合には先端処理を行わない。このため、これらは、例えばマガジンがプーリ及び搬送ローラを備えており、マガジンがマガジン室から外されている間にプーリを誤って回転させて感光材料の先端部に塵埃が付着したりカブリが生じた場合など、感光材料の先端位置がずれることによって先端処理が必要になった場合に対応することができない。従来では、感光材料がマガジン内から突出していることが視認できる場合にはオペレータが気づき先端処理を行っていたが、このような作業はオペレータの負担を増すこととなる。また、感光材料がマガジン内から突出していることが視認できない場合には、先端部に塵埃が付着したりカブリが生じているにもかかわらずに、先端処理を行わず他の処理が進められるおそれがある。
【0011】
本発明は、上記問題点を考慮したものであり、感光材料の無駄を少なくするとともに、確実な先端処理を行うことができる画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、長尺状の記録材料が収納され且つ記録材料を処理する装置本体に装填されるマガジンを有し、前記マガジン内から前記装置本体へ搬送される前記記録材料の先端部をカッタ装置により切断する先端処理を行うことが可能な画像記録装置に関し、前記カッタ装置より前記記録材料の搬送方向上流側で前記記録材料の先端部を検出する検出手段と、前記検出手段により前記先端部が検出されるまでの前記記録材料の搬送量を算出する搬送量算出手段とを有し、前記搬送量が所定の搬送量以下である場合には前記先端処理を行い、前記搬送量が前記所定の搬送量を超える場合には前記先端処理を行わないことを特徴とする。
【0013】
前記記録材料が前記マガジンへセットされる際に開閉されるマガジン扉の開閉履歴を検出する開閉履歴検出手段を有し、前記開閉履歴検出手段により検出された開閉履歴が開である場合には、前記搬送量が前記所定の搬送量以下であるか否かに拘らずに前記先端処理を行うことが好ましい。
【0014】
前記マガジンには、前記マガジンの前記装置本体への装填に伴って前記装置本体に備えられた駆動源に接続される駆動入力部と、この駆動入力部を介して回転し、前記記録材料を前記装置本体へ搬送する搬送ローラとが設けられていることが好ましい。
【0015】
前記搬送量が前記所定の搬送量以下である場合には、第1長さ分だけ切断する先端処理を行い、前記開閉履歴検出手段により検出された開閉履歴が開である場合には、第2長さ分だけ切断する先端処理を行い、前記搬送量が前記所定の搬送量以下であり且つ前記開閉履歴検出手段により検出された開閉履歴が開である場合には、第1長さ分と第2長さ分の長いほうを選択して切断する先端処理を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像記録装置によれば、記録材料の切断を行うカッタ装置より記録材料の搬送方向上流側で記録材料の先端部を検出する検出手段と、検出手段により先端部が検出されるまでの記録材料の搬送量を算出する搬送量算出手段とを有し、搬送量が所定の搬送量以下である場合には先端処理を行い、搬送量が所定の搬送量を超える場合には先端処理を行わないので、例えば、既に先端処理を行った使用途中の記録材料を収納したマガジンに対しても、マガジン交換時の誤操作により記録材料の先端位置がずれて先端処理が必要になった場合などに対応することができる。
【0017】
また、前記記録材料が前記マガジンへセットされる際に開閉されるマガジン扉の開閉履歴を検出する開閉履歴検出手段を有し、前記開閉履歴検出手段により検出された開閉履歴が開である場合には、前記搬送量が前記所定の搬送量以下であるか否かに拘らずに前記先端処理を行うので、未使用の記録材料がセットされたマガジンが装填された場合には、確実に先端処理を行うことができる。
【0018】
また、前記搬送量が前記所定の搬送量以下である場合には、第1長さ分だけ切断する先端処理を行い、前記開閉履歴検出手段により検出された開閉履歴が開である場合には、第2長さ分だけ切断する先端処理を行い、前記搬送量が前記所定の搬送量以下であり且つ前記開閉履歴検出手段により検出された開閉履歴が開である場合には、第1長さ分と第2長さ分の長いほうを選択して切断する先端処理を行うので、必要に応じた長さ分を切断することができ、記録材料の無駄を最小限に抑えることができる。例えば、第1長さ分をマガジンから突出した突出長さ分とし、第2長さ分を光カブリ、カット不揃い、指紋の汚れ等が生じる可能性の高い長さ分とすることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1に示すように、画像記録装置2は、プリンタ部3とプロセサ部4とからなる。プリンタ部3の各部、及びプロセサ部4の各部は、システムコントローラ5によってその動作が制御されている。なお、オペレータからの指示は入力部6を介してシステムコントローラ5に与えられ、システムの状態は表示部7を介してオペレータに伝えられる。また、システムコントローラ5にはメモリ8が接続されており、必要な情報を保持しておくことができる。
【0020】
プリンタ部3は、マガジン12、動力伝達装置13、スプライスセンサ14、カッタ15、裏印字装置16、シフト機構17、露光装置18等を備えている。マガジン12には、ロール状にされた感光記録紙22(以下、記録紙22)がセットされる。マガジン12は、画像記録装置2のマガジン室24に着脱可能であり、蓋21が閉じられるとマガジン12はマガジン室24に光密に保持される。
【0021】
図2に示すように、マガジン12は、駆動ローラ25、プーリ(駆動入力部)26、ニップローラ27、エンドセンサ28、IDチップ29、開閉履歴保持装置30、開閉履歴検出センサ35を有している。なお、便宜上、図2では動力伝達装置13やマガジン室24を図示していない。
【0022】
駆動ローラ25は回転可能に支持されている。プーリ26は、マガジン12の側部(紙面奥方向における側部)に配置され、駆動ローラ25の回転軸32に取り付けられている。このプーリ26は、マガジン12をマガジン室24に装填する際に、後述する動力伝達装置13のベルト42(図1参照)に係合し、ベルト42の駆動に伴って回転する。プーリ26が回転すると、回転軸32を共有している駆動ローラ25も回転する。ニップローラ27は、駆動ローラ25に対向し互いの周面を接して配置されている。新しい記録紙22をマガジン24内にセットするときには、記録紙22が駆動ローラ25とニップローラ27とに挟持されるようにセットする。駆動ローラ25とニップローラ27とで記録紙22を搬送する搬送ローラが構成される。エンドセンサ28は、記録紙22の有無を検知するものである。エンドセンサ28は、記録紙22に接触すると軸19回りに傾くセンサ本体20と、このセンサ本体20が傾いたことを検知して検知信号をシステムコントローラ5に送るフォトインタラプタ(図示なし)とから構成される。エンドセンサ28は、駆動ローラ25より記録紙搬送方向上流側のマガジン12内に配置されている。IDチップ29はマガジン12を識別するためのものである。IDチップ29には、マガジン12の識別に用いられるID情報が記録されている。IDチップ29に記録されたID情報はマガジンが装填されたときに読み取られる。システムコントローラ5では、このID情報に基づき、マガジン12に収納されている記録紙22の種別、幅寸法等を認識することができる。
【0023】
マガジン12内に収納された記録紙22は、送出口33を通って外部へ搬送される。送出口33近傍には、マガジン12内部への光の漏れを防ぐシャッタ39が設けられている。シャッタ39は、記録紙22を搬送する搬送路を挟んで向い合うように配置され変位可能な部材40と、この部材40の表面に貼られた植毛布41とから構成される。植毛布41の根元部は、複数本の毛をまとめて縫い合わせていることから、縫い目と縫い目の間に隙間が生じてしまう。この隙間からの光の漏れを防ぐために、部材40には、植毛布41の根元部を覆う凸部40aが形成されている。シャッタ39は、マガジン12のマガジン室24への装填に伴って開閉する。
【0024】
しかしながら、マガジン12が明るい場所にあるときには、シャッタが閉じていても完全に光を防ぐのは難しく、図中、送出口33から破線37までの領域にカブリが生じるおそれがある。後述する記録紙22の先端処理においては、突出長さ分とは、この破線37より先の領域を示すものとする。なお、使用途中の記録紙22を収納したマガジン12をマガジン室24から外す際には、記録紙22を巻き戻すリワインド処理が行われ、記録紙22の先端は、破線38で示すリワインド位置まで巻き戻される。この位置であれば、記録紙22の先端にカブリが生じるおそれはない。
【0025】
図3は開閉履歴保持装置30及び開閉履歴検出センサ35の概略構成図であり、図4(A)は図3のIV−IV線に沿う切断面における概略断面図である。これらの図に示すように、開閉履歴保持装置30及び開閉履歴検出センサ35は、マガジン扉36に設けられている。
【0026】
開閉履歴保持装置30は、周囲を覆うカバー70と、回転可能な円板71と、マガジン扉36を閉じるときに円板71を回転させる円板回転機構72(図4(A)参照)と、円板71の回転量を制限するストッパ機構73とから構成される。
【0027】
円板71の表面74には、所定間隔で凹部74a〜74dと凸部74e,74fが形成されている。円板71の裏面75には、円弧状の突起部75a〜75fが形成されており、これらは凹部74a〜74d及び凸部74e,74fにそれぞれ対応している。円板71はカバー70に取り付けられた回転軸76を中心に回転可能である。なお、図4(A)において、領域77は後述する円柱体94が接触する領域を表し、領域78は後述する円柱体97が接触する領域を表している。
【0028】
円板回転機構72は、コロ80、保持アーム81、ストッパ82、及び押出しアーム83から構成される。コロ80は保持アーム81の先端部に設けられ、軸84を中心に回転自在とされている。保持アーム81はマガジン扉36に設けられた軸85を中心に揺動可能とされており、軸85に設けられた図示しないねじりコイルバネによって図4(A)中時計回りに付勢されている。この保持アーム81の付勢方向への回転は、マガジン扉36に設けられたストッパ82によって制限されている。押出しアーム83は、軸86を介して保持アーム81の中央部に取り付けられ、揺動可能とされている。押出しアーム83の先端部には、前述した突起部75a〜75fが引っ掛かるように弧状に切り欠いた押出部83aが形成されている。なお、マガジン扉36には、円板回転機構72の各部が自由に動作できるように開口36aが形成されている。
【0029】
ストッパ機構73は、コロ87及び板バネ88から構成される。コロ87は軸89を中心に回転自在である。板バネ88の一端部は軸89に固定され、他端部はマガジン扉36に固定されている。この板バネ88によって、コロ87は円板71の突起部75a〜75fに向けて付勢されている。
【0030】
開閉履歴検出センサ35は、第1検出ユニット92と、第2検出ユニット93とから構成され、カバー90に覆われている。第1検出ユニット92は、円柱体94、圧縮バネ95、及び検出素子96から構成される。円柱体94は、カバー70に形成された開口70aに挿通されており、上部94aの径が中央部94bの径よりも小さくされている。圧縮バネ95は円柱体94を円板71の表面74に向けて付勢している。円柱体94は、円板71の表面74の凹凸に応じて上下方向に移動する。
【0031】
検出素子96は、円柱体94の側方に配置された機械的なスイッチである。検出素子96は円柱体94に向けてバネ付勢された検出部96aを有し、この検出部96aが突出しているときにOFF信号をシステムコントローラ5に出力し、検出部96aが退避しているときにON信号を出力する。円柱体94の下端部が円板71の凹部に接触しているときには、検出部96aが円柱体94の上部94aに接触し、検出素子96がOFF信号を出力する。一方、円柱体94の下端部が円板71の凸部に接触しているときには、検出部96aが円柱体94の中央部94bに接触し、検出素子96がON信号を出力する。
【0032】
第2検出ユニット93は、第1検出ユニット92と所定距離をあけて並べられて配置されている。第2検出ユニット93は、第1検出ユニット92と同様の構成であり、円柱体97、圧縮バネ98、及び検出素子99から構成される。円柱体97はカバー70の開口70bに挿通されており、上部97aの径が中央部97bの径よりも小さくされている。検出素子99は検出部99aを有している。以下では、開閉履歴検出センサ35の出力信号を、「第1検出ユニット92からの出力信号(ON又はOFF),第2検出ユニット93の出力信号(ON又はOFF)」という形態で表すことにする。
【0033】
システムコントローラ5では、IDチップ29のID情報を基にマガジン12を特定し、前回の装填時における開閉履歴検出センサ35の出力信号と、今回の装填時における開閉履歴検出センサ35の出力信号とを比較する。これらの出力信号が同じであれば、マガジン扉36は閉じられたままであった、つまり開閉履歴は閉と判断し、これをシステムコントローラ5内の記憶部に記録する。一方、出力信号が異なっていれば、マガジン扉36は開閉された、つまり開閉履歴は開と判断し、これをシステムコントローラ5内の記憶部に記録する。
【0034】
以下では、開閉履歴保持機構30及び開閉履歴検出センサ35の動作について説明する。図4(A)に示すように、マガジン扉36を開くと、円板71が停止した状態のまま、保持アーム81がバネ付勢によって図中時計回りに回転してストッパ82に当接する。この動作に伴って、押出しアーム83が円板71の突起部75fに摺動し、やがて押出部83aが突起部75fに引っ掛かる。ストッパ機構73のコロ87は、板バネ88の付勢力によって突起部75bと突起部75eとの間に嵌り込んでいる。
【0035】
マガジン扉36を開いた時点では、円柱体94(領域77で表している)は凹部74dに接触し、円柱体97(領域78で表している)は凸部74fに接触している。開閉履歴検出センサ35が出力する出力信号は、「OFF,ON」である。
【0036】
図4(B)に示すように、マガジン扉36を閉じると、マガジン側壁100の一部がコロ80を押し、保持アーム81がバネ付勢に抗して図中反時計回りに回転する。この動作に伴って、押出しアーム83の押出部83aが突起部75fを押出し、円板71が図中反時計回りに回転する。ここで、円板71が回転すると、ストッパ機構73のコロ87は回転しながら板バネ88の付勢に抗して一旦退避し、この後に突起部75eと突起部75cとの間に嵌り込む。これにより、円板71の回転量は所定回転量に制限される。所定回転量とは、360度を突起部の数量で割った値であり、本実施形態においては60度である。
【0037】
マガジン扉36を閉じた時点では、円柱体94は凸部74fに接触し、円柱体97は凹部74aに接触する。開閉履歴検出センサ35が出力する出力信号は、「ON,OFF」になる。
【0038】
システムコントローラ5では、前回の開閉履歴検出センサ35の出力信号「OFF,ON」と、今回の開閉履歴検出センサ35出力信号「ON,OFF」とを比較し、これらの出力信号が異なることから、開閉履歴は開と判断し、これをシステムコントローラ5内の記憶部に記録する。
【0039】
図1に示すように、動力伝達機構13は、マガジン室24近傍の画像記録装置本体2aに設けられており、マガジン12がマガジン室24へ装填されている状態において、マガジン12のプーリ26に動力を伝達させるものである。動力伝達機構13は、ベルト42、パルスモータ43、ローラ44、45、テンションローラ46から構成される。ベルト42は、ローラ44、45、テンションローラ46に巻き掛けられている。パルスモータ43は、システムコントローラ5から送られるパルス信号に基づいて回転し、軸に取り付けられたローラ44を回転させる。システムコントローラ5は、パルスモータ43に与えたパルス信号の数を監視することで、パルスモータ43の回転数を算出することができ、さらには、ベルト42の移動量から、記録紙の22搬送量を算出することができる。テンションローラ46は、記録紙搬送方向に付勢されたテンションアーム(図示なし)の先端部に取り付けられており、ベルト42が適切なテンションになるよう調節する。
【0040】
図2に示すように、装填したマガジン12の送出口33近傍には、スプライスセンサ14が設けられている。スプライスセンサ14は、透過型のセンサであり、記録紙22の接合マーク(切欠)を検出する。接合マークが検出されると、記録紙22のスプライス部がカッタ15により切断され、このスプライス部は廃棄される。本実施形態では、このスプライスセンサ14を、記録紙22の先端部の検出にも用いている。スプライスセンサ14の検出値はシステムコントローラ5に送られる。
【0041】
スプライスセンサ14より記録紙搬送方向下流側には、カッタ15が設けられている。カッタ15は、システムコントローラ5の指示に基づき駆動するモータ47から動力が伝達され、記録紙22の先端部を切断する先端処理、記録紙22を任意のサイズに切断するサイズ切出処理、前述のスプライス部切断処理を行う。カッタ15とモータ47によりカッタ装置が構成されている。
【0042】
記録紙22の先端部を切断する先端処理を行う際には、システムコントローラ5において、先端処理を行うか否かが判断される。これらの判断を、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0043】
まず、マガジン12がマガジン室24に装填されており、スプライスセンサ14が記録紙22を検出せず、エンドセンサ28が記録紙22を検出している状態であれば、システムコントローラ5は、上述したパルスモータ43に駆動信号を送る。これにより、記録紙22はカッタ15へ向かって送り出され、やがてスプライスセンサ14によって記録紙22の先端部が検出される。システムコントローラ5では、スプライスセンサ14によって検出されるまでの記録紙22の搬送量から、記録紙22のマガジン12内からの突出長さを算出する。ここで、突出長さがマイナス値であれば、マガジン12がマガジン室24に装填されたときに、記録紙22の先端が破線37よりも記録紙搬送方向上流側に位置しており、突出長さがプラス値であれば、破線37よりも記録紙搬送方向下流側に位置していたことになる。システムコントローラ5では、突出長さがマイナス値であれば、先端部に塵埃は付着しておらずカブリは生じていないものとして、先端処理の必要なし、と判断する。一方、突出長さがプラス値であれば、その突出長さ分に塵埃が付着しカブリが生じているものとして、先端処理の必要あり、と判断する。この判断を第1判断と呼ぶことにする。第1判断の判断結果はメモリ8に記録される。
【0044】
システムコントローラ5では、次に、システムコントローラ5内の記憶部に記録されたマガジン扉36の開閉履歴に基づき判断を行う。開閉履歴が閉であれば、マガジン12内には既に先端処理を行った使用途中の記録紙が収納されているとし、先端処理の必要なし、と判断する。一方、開閉履歴が開であれば、マガジン12内には先端処理を行っていない未使用の記録紙22が収納されているとし、先端処理の必要あり、と判断する。この判断を第2判断と呼ぶことにする。第2判断による判断結果は、第1判断の判断結果に加えてメモリ8に追記される。システムコントローラ5は、第1判断及び第2判断の少なくとも一方が先端処理の必要あり、と判断した場合に、カッタ15に切断指示を与える。なお、先端処理がなされた後に、メモリ8に記録された判断結果は消去される。
【0045】
これにより、使用途中の記録紙22においては、先端部に塵埃が付着しておらずカブリが生じていなければ先端処理を行わず、プーリ26が誤って操作される等により先端部に塵埃が付着しカブリが生じていれば先端処理を行うことができるので、必要な場合にのみ先端処理を行うこととなり、記録紙22の無駄を少なくすることができる。また、未使用の記録紙22においては、必ず先端処理を行うことができる。
【0046】
図1に示すように、カッタ15の記録紙搬送方向下流側には、裏印字装置16が設けられている。裏印字装置16は、カット後の記録紙22の裏面にコマ番号や補正データ等の必要情報を印字する。裏印字装置16の記録紙搬送方向下流側のシフト機構17は、例えば記録紙22の幅方向に移動自在のシフトローラを備え、マガジン12から送られる記録紙22を幅方向にシフトする。シフト機構17の記録紙搬送方向下流側の露光装置18には、周知のレーザプリンタが内蔵されており、内部の画像メモリに記憶された画像データ、または図示しない画像読取装置から転送された画像データに基いて、記録紙22を露光して画像を潜像記録する。
【0047】
画像記録がなされた記録紙22は、プロセサ部4へ送られる。プロセサ部4は、現像装置51、乾燥装置52、シート排出装置53から構成される。現像装置51には、記録紙22の搬送方向上流側から順に、現像槽54、漂白定着槽55、第1水洗槽56、第2水洗槽57、第3水洗槽58、及び第4水洗槽59からなる水洗槽60とが設けられている。現像槽54には現像液が、漂白定着槽55には漂白定着液が、また、第1水洗槽56〜第4水洗槽59には洗浄液が所定量貯蔵されている。記録紙22が、現像槽54、漂白定着槽55、及び第1水洗槽56〜第4水洗槽59にそれぞれ設けられた搬送ラックの駆動力を受けて各処理槽内を搬送されることで、現像・定着・洗浄の各処理が行われる。
【0048】
乾燥装置52は、各処理槽の上方に配置されており、搬送ベルトと送風ダクトとから構成されている。送風ダクトは、搬送ベルトに向けてヒータで熱せられた乾燥風を吹き出して、記録紙22を搬送ベルト側に押し付ける。この状態で送風ダクト上を通過することで、記録紙22に付着した洗浄液が除去される。乾燥装置52を通過した記録紙22は、シート排出装置53に向けて送られる。シート排出装置53では、プリントサイズまたはプリントジョブに応じて記録紙22を振り分け、プロセサ部4に設けられたトレイ(図示なし)に排出する。
【0049】
以下、上記構成による作用について説明する。使用途中または未使用の記録紙22が収納されたマガジン12をマガジン室24に装填すると、マガジン12のプーリ26が動力伝達機構13のベルト42に係合して記録紙22の送り出しが可能となる。装填直後においては、スプライスセンサ14が記録紙22を検出せず、エンドセンサ28が記録紙22を検出した状態となる。
【0050】
記録紙22が送り出されると、記録紙22の搬送量及びマガジン扉36の開閉履歴を基に、第1判断及び第2判断が行われ判断結果がメモリ8に書き込まれる。第1判断及び第2判断の少なくとも一方の判断結果が先端処理の必要あり、とされている場合には、記録紙22が所定位置で停止され、カッタ15が動作して先端処理が実行される。この先端処理により、記録紙22の先端部が所定長さだけ切断される。第1判断及び第2判断の判断結果のいずれもが先端処理の必要なし、とされている場合には、先端処理は実行されない。先端処理を実行しないことにより、記録紙22の無駄を少なくすることができる。この後、記録紙22は、カッタ15により、規定されたプリントサイズに切断され、露光・現像・乾燥等の処理を経て写真プリントとされる。
【0051】
処理の途中で、スプライスセンサ14が記録紙22を検出し、エンドセンサ28が記録紙22を検出しない場合には、マガジン12内の記録紙22が空になった状態であるため、表示部7にペーパーエンドとの表示を行う。
【0052】
プリントサイズを変更するため、使用途中の記録紙22が収納されたマガジン12をマガジン室24から外す際には、外す前に、上述したリワインド処理を実行する。その後、マガジン12をマガジン室24から外し、幅の異なった記録紙を収納したマガジンをマガジン室24に装填すると、上記動作が繰り返される。
【0053】
なお、上記実施形態では、第1判断により先端処理の必要ありと判断された場合であっても、第2判断により先端処理の必要ありと判断された場合であっても、記録紙22の先端部を所定長さ分だけ切断することとしたが、以下のようにしてもよい。すなわち、第1判断によってのみ先端処理の必要ありと判断された場合には第1長さ分を切断し、第2判断によってのみ先端処理の必要ありと判断された場合には第2長さ分を切断し、第1判断及び第2判断によって共に先端処理の必要ありと判断された場合には第1長さ分と第2長さ分の長いほうを選択して切断する。ここで、第1長さとはマガジン12から突出した突出長さであり、第2長さとは光カブリ、カット不揃い、指紋の汚れ等が生じる可能性の高い領域における長さである。これにより、必要に応じた長さ分だけを切断することができ、記録紙22の無駄を最小限に抑えることができる。
【0054】
なお、上記実施形態では、先端処理を行う場合には、記録紙22の先端部を所定長さだけ切断することとしたが、この際、表示部7に切断量を入力する旨の表示を行い、オペレータによって入力された長さ分を切断することとしてもよい。また、第2判断、第1判断の順に判断して先端処理を行ってもよい。
【0055】
上記実施形態では、エンドセンサ28をリワインド位置よりも記録紙搬送方向上流側に配置したが、エンドセンサ28をリワインド位置よりも記録紙搬送方向下流側のマガジン12内に配置してもよい。これにより、マガジン12の装填直後において、エンドセンサ28によって記録紙22が検出されず且つ開閉履歴が閉であれば、記録紙22には先端処理が必要でないことがすぐにわかるため、露光装置51等の準備動作を速やかに行うことができる。
【0056】
上記実施形態では、マガジン12内の駆動ローラ25は、ベルト42及びプーリ26を介して回転するようにしたが、ベルト42及びプーリ26の替わりに、ギア列や継手を用いてもよい。上記実施形態では、装填されるマガジンは一つだけであったが、複数のマガジンを装填するタイプの画像記録装置であってもよい。
【0057】
上記実施形態では、記録材料として感光記録紙を用いたが、熱記録紙、磁気記録紙、普通紙、その他の記録紙であってもよい。
【0058】
上記実施形態では、開閉履歴検出センサ35はマガジン12に設けたが、装置本体2aに設けてもよい。
【0059】
上記実施形態では、開閉履歴検出手段は、表面に凹凸が形成された回転可能な円板71を用い、この円板の凹凸状態の変化がセンサによって検出される構成であったが、この構成に限られず、例えば、切り欠きが形成された回転可能な円板を用い、この円板の切り欠き状態の変化が透過型または反射型のセンサによって検出される構成であってもよい。また、表面が区画され異なる色で着色された回転可能な円板を用い、この円板の色状態の変化がセンサによって検出される構成であってもよい。また、強磁性体部と非磁性体部が設けられた回転可能な円板を用い、この円板の磁界状態の変化が磁気センサによって検出される構成であってもよい。
【0060】
上記実施形態では、開閉履歴検出手段は、マガジン扉36の開閉動作が機械的に検出される構成であったが、この構成に限られない。例えば、図6に示すように、記録紙106を巻き取る巻芯101に固有のICタグ102を埋め込んでおき、このICタグ102の情報を基に、開閉履歴が開か、閉か(言い換えると、記録紙106が未使用のものか、使用途中のものか)を判断する構成であってもよい。同一のマガジンにおいて、ICタグ102が前回と異なっていれば、開閉履歴は開(記録紙は未使用)であり、ICタグ102が前回と同じであれば、開閉履歴は閉(記録紙は使用途中)である。ICタグ102には記録材料ID番号、製造ロット、記録面の表面性状の種類、紙幅等の固有識別情報が記録されており、このICタグ102の固有識別情報は装置本体2aに設けられた読取装置103で読み取られる。なお、読取装置103はマガジン12に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の画像記録装置を示す概略図である。
【図2】装置本体に装填されたマガジンを示す概略図である。
【図3】開閉履歴保持装置及び開閉履歴検出センサを示す概略図である。
【図4】図3のIV―IV線に沿って切断したときの開閉履歴保持装置の断面図である。
【図5】先端処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】別の実施形態における開閉履歴検出手段を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0062】
2 画像記録装置
5 システムコントローラ
8 メモリ
12 マガジン
13 動力伝達装置
14 スプライスセンサ
15 カッタ
22 記録紙
24 マガジン室
25 駆動ローラ
26 プーリ
30 開閉履歴保持装置
35 開閉履歴検出センサ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の記録材料が収納され且つ記録材料を処理する装置本体に装填されるマガジンを有し、前記マガジン内から前記装置本体へ搬送される前記記録材料の先端部をカッタ装置により切断する先端処理を行うことが可能な画像記録装置において、
前記カッタ装置より前記記録材料の搬送方向上流側で前記記録材料の先端部を検出する検出手段と、前記検出手段により前記先端部が検出されるまでの前記記録材料の搬送量を算出する搬送量算出手段とを有し、前記搬送量が所定の搬送量以下である場合には前記先端処理を行い、前記搬送量が前記所定の搬送量を超える場合には前記先端処理を行わないことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記記録材料が前記マガジンへセットされる際に開閉されるマガジン扉の開閉履歴を検出する開閉履歴検出手段を有し、前記開閉履歴検出手段により検出された開閉履歴が開である場合には、前記搬送量が前記所定の搬送量以下であるか否かに拘らずに前記先端処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記マガジンには、前記マガジンの前記装置本体への装填に伴って前記装置本体に備えられた駆動源に接続される駆動入力部と、この駆動入力部を介して回転し、前記記録材料を前記装置本体へ搬送する搬送ローラとが設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記搬送量が前記所定の搬送量以下である場合には、第1長さ分だけ切断する先端処理を行い、前記開閉履歴検出手段により検出された開閉履歴が開である場合には、第2長さ分だけ切断する先端処理を行い、前記搬送量が前記所定の搬送量以下であり且つ前記開閉履歴検出手段により検出された開閉履歴が開である場合には、第1長さ分と第2長さ分の長いほうを選択して切断する先端処理を行うことを特徴とする請求項2または3記載の画像記録装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−58861(P2006−58861A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−201700(P2005−201700)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】