説明

画像読み取り装置、情報処理装置およびプログラム

【課題】検出対象と対向する読み取り手段にも適用可能であり、かつ、小型の装置で画像を読み取る技術を提供すること。
【解決手段】画像読み取り装置は、検出対象が対向状態で移動できる読み取り面を有し、前記読み取り面に対向している前記検出対象の画像を読み取り、読み取った画像を示す画像信号を出力する読み取り手段と、前記検出対象から力を受け、前記検出対象の移動に応じて変位する操作子と、前記操作子の変位を示す変位信号を出力する変位出力手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指紋等の画像を取得する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
指紋センサにより取得した指紋画像を用いてユーザ認証を行う技術が知られている。指紋センサには、いわゆる面タイプのものと線タイプ(ラインタイプ)のものがある。面タイプの指紋センサは、検査対象である指よりも大きな読み取り面を有し、1回の撮像で指全体の指紋画像を得ることができる。一方線タイプの指紋センサは、指よりも小さく、扁平率が高い(例えば8:258)読み取り面を有し、1回の撮像で得ることができるのは、指の一部の指紋画像である。線タイプの指紋センサを用いて指全体の指紋画像を得るには、ユーザが指紋センサの上で指を一定方向に動かしながら連続的に指紋を撮像し、これらを収集、さらには合成することが必要である。一般的には、指紋センサの上で指を移動させる速度はユーザによって異なるため、指紋センサは短い時間間隔で連続的に指紋画像を取得する。ここから指全体の指紋画像を得るには、取得された複数の指紋画像のうち同じ領域を判定しつつ、さらに移動方向も判定しつつ画像を重ね合わせることが必要である(例えば、非特許文献1)。
【0003】
このように線タイプの指紋センサは、その後に要求される画像処理の負荷が高いものの、一方で実装面積が面タイプのものよりも小さくてすむという利点がある。線タイプの指紋センサを用いた指紋検出装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1は、ラインセンサと指(検出対象)との間に設置された透明なローラを有する指紋検出装置を開示している。この指紋検出装置は、ローラにより指の移動を検出しつつ、指からの反射光をローラを介してラインセンサに導くことにより指紋画像を得るものである。
【0004】
【非特許文献1】吉嶺達樹、「バイオメトリクス認証の動向と周波数解析法 指紋/顔パターン認識アルゴリズム」、インターフェース、CQ出版、平成17年3月、2005年3月号、p.64
【特許文献1】特開2001−184490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の指紋検出装置は、間に透明なローラが設置されていたため、センサと検出対象との距離は離れていた。このため、静電容量式のセンサ等、検出対象と対向するセンサにこの技術を適用することはできなかった。
これに対し本発明は、検出対象と対向する読み取り手段にも適用可能であり、かつ、この構成を有しないものよりも小型の装置で画像を読み取る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明は、検出対象の画像を読み取る読み取り面を有し、前記読み取り面に対向している前記検出対象の画像を読み取り、前記読み取った画像を示す画像信号を出力する読み取り手段と、前記検出対象から力を受け、前記検出対象の移動に応じて変位する操作子と、前記操作子の変位を示す変位信号を出力する変位出力手段とを有する画像読み取り装置を提供する。
この画像読み取り装置によれば、画像信号とともに変位信号が出力される。
【0007】
好ましい態様において、前記読み取り面の外接矩形は長方形であり、前記操作子は、前記読み取り面に対して所定の位置にある点を通りかつ前記長方形の長辺に平行な直線を回転軸として回転する回転式操作子であってもよい。
この画像読み取り装置によれば、画像信号とともに回転式操作子の変位を示す変位信号が出力される。
【0008】
別の好ましい態様において、この画像読み取り装置は、前記回転式操作子が、前記回転軸に垂直な面を有し、前記回転軸に対して固定され、前記垂直な面と対向する面を有する部材を有し、前記回転式操作子の垂直な面と前記部材の面のうち一方は、前記回転軸を中心とする円周上に、前記長方形の短辺の長さに対応する角度ごとに配置された複数の窪みまたは孔を有し、前記回転式操作子の垂直な面と前記部材の面のうち他方は、前記回転軸を中心とする円周上に配置された突起を有してもよい。
この画像読み取り装置によれば、対向する面の突起および窪みまたは孔により回転式操作子の操作にクリック感が与えられる。
【0009】
さらに別の好ましい態様において、前記回転式操作子は、前記読み取り面に垂直な方向に変位可能であってもよい。
この画像読み取り装置によれば、回転式操作子は回転以外に読み取り面に垂直な方向にも変位する。
【0010】
さらに別の好ましい態様において、前記検出対象が生体であり、前記読み取り手段は、前記生体の生体情報を示す画像を読み取ってもよい。
この画像読み取り装置によれば、生体情報の画像信号とともに生体の変位信号が出力される。
【0011】
さらに別の好ましい態様において、この画像読み取り装置は、前記変位信号により示される変位が所定の大きさになったタイミングで、前記画像信号により示される画像を記憶する記憶手段と、前記記憶手段にそれぞれ異なるタイミングで記憶された複数の画像を結合し、前記検出対象全体の画像を生成する画像生成手段とを有してもよい。
この画像読み取り装置によれば、異なるタイミングで記憶された複数の画像が結合され、検出対象全体の画像が生成される。
【0012】
また、本発明は、上記の画像読み取り装置と、主制御部と、前記変位信号により示される変位が所定の大きさになると、前記主制御部への電力の供給を開始するように電力の供給を制御する電力制御手段とを有する情報処理装置を提供する。
この画像読み取り装置によれば、変位が所定の大きさになると、主制御部への電力の供給が開始される。
【0013】
さらに、本発明は、上記の画像読み取り装置と、前記変位信号により示される変位が所定の大きさになると、前記読み取り手段への電力の供給を開始するように電力の供給を制御する電力制御手段とを有する情報処理装置を提供する。
この画像読み取り装置によれば、変位が所定の大きさになると、読み取り手段への電力の供給が開始される。
【0014】
さらに本発明は、検出対象が対向状態で移動できる読み取り面を有し、前記読み取り面に対向している前記検出対象の画像を読み取り、読み取った画像を示す画像信号を出力する読み取り手段と、前記検出対象から力を受け、前記検出対象の移動に応じて変位する操作子と、前記操作子の変位を示す変位信号を出力する変位出力手段とを有する画像読み取り装置と、記憶手段とを有するコンピュータ装置に、前記変位信号により示される変位が所定の大きさになったタイミングで、前記画像信号により示される画像を前記記憶手段に記憶するステップと、前記記憶手段にそれぞれ異なるタイミングで記憶された複数の画像を結合し、前記検出対象全体の画像を生成するステップとを実行させるプログラムを提供する。
このプログラムによれば、異なるタイミングで記憶された複数の画像が結合され、検出対象全体の画像が生成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
1.構成
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置1の機能構成を示す図である。情報処理装置1は、画像読み取り装置10と、電源20と、電力制御手段30と、主制御部40とを含む。画像読み取り装置10は、検出対象としての生体から、生体情報として指紋の画像を読み取る装置である。電源20は、情報処理装置1の構成要素への電力の供給源である。電力制御手段30は、電力の供給の開始・停止を制御する。主制御部40は、情報処理装置1の主たる機能の実現に用いられ、また、画像読み取り装置10を制御する制御部である。
【0016】
画像読み取り装置10は、さらに以下の構成を有する。読み取り手段11は、検出対象の画像を読み取り、読み取った画像を示す信号(以下「画像信号」という)を出力する。読み取り手段11は、検出対象(被検出物)が対向状態で移動でき、検出対象の画像を読み取る読み取り面を有し、検出対象のうち読み取り面に対向している部分の画像を読み取る。操作子12は、検出対象から力を受け、検出対象の移動に応じて変位する。変位出力手段13は、操作子の変位を示す信号(以下「変位信号」という)を出力する。
【0017】
記憶手段14は、変位信号により示される変位が所定の大きさになったタイミングで、画像信号により示される画像を記憶する。このように、記憶手段14は、それぞれ異なるタイミングで記憶された複数の画像を記憶する。画像生成手段15は、記憶手段14にそれぞれ異なるタイミングで記憶された複数の画像を結合し、検出対象全体の画像を生成する。
【0018】
電力制御手段30は、変位信号により示される変位が所定の大きさになると、主制御部40への電力の供給を開始する。
【0019】
図2は、情報処理装置1のハードウェア構成を示す図である。この例で、情報処理装置1は、電子ペーパまたは電子ブックといわれる情報表示装置である。CPU(Central Processing Unit)101は、情報処理装置1の構成要素を制御する制御装置である。ROM(Read Only Memory)102は、情報処理装置1の起動に必要なプログラムやデータを記憶する不揮発性の記憶装置である。RAM(Random Access Memory)103は、CPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する記憶装置である。VRAM(Video Random Access Memory)104は、表示体107に表示させる画像(以下「メイン画像」という)を示すデータを記憶する記憶装置である。VRAM104は、メイン画像の記憶領域を有しており、メイン画像はその記憶領域に記憶される。I/O(Input/Output)105は、データや信号の入出力を管理するインターフェースである。UI(User Interface)ボタン群106は、ユーザの操作に応じた信号を出力する装置、例えば、例えば、ボタン(書き換えボタンやページ送りボタン、決定ボタンなど)・キーパッド・ホイール・レバー・タッチパネル・ペンデバイスなどの操作子を含む入力装置である。補助記憶装置115は、表示体107に表示することが可能なデータを記憶する記憶装置である。UIボタン群106はI/O105に接続されており、UIボタン群106から出力された信号はI/O105を介してCPU101に入力される。
【0020】
表示体107は、記憶性表示素子を有する表示体、例えばコレステリック液晶ディスプレイやEPDである。表示制御部108は、表示体107の描画制御を行う信号を出力する装置である。以下、必要に応じて表示体107と表示制御部108をあわせて「メインディスプレイ」という。電源オン・オフ回路111は、表示制御部108・CPU101などの要素への電力の供給を行ったり停止したりする回路である。以下、ある構成要素に電力を供給することを「電源をオンする」と、電力の供給を停止することを「電源をオフする」という。電源制御部112は、情報処理装置1の電源管理を行う装置である。具体的には、電源制御部112は、電源オン・オフ回路111を制御して表示制御部108およびCPU101の電源をオンまたはオフする。また、電源制御部112は、電池113の残量を監視する。電池113は、メイン表示制御部108・CPU101・RAM103など、情報処理装置1の構成要素に電力を供給する。バス114は、構成要素間での信号の伝送に用いられる伝送路である。
【0021】
指紋センサ117は、ユーザの指紋を静電的に読み取り、読み取った指紋の画像を示す信号(画像信号)を出力する装置である。指紋センサ117はI/O105に接続されており、指紋センサ117から出力された信号はI/O105を介してCPU101に入力される。
【0022】
ROM102は、以下で説明する処理を行う制御プログラムを記憶している。CPU101がこの制御プログラムを実行することにより、図1に示される機能が情報処理装置1に実装される。
【0023】
図3は、情報処理装置1の外観を示す図である。情報処理装置1は、筐体の前面に表示体107の表示面を有し、側面にホイール106W(UIボタン群106の一部)および指紋センサ117を有する。指紋センサ117は、ホイール106Wに近接した位置に設けられている。
【0024】
図4および図5は、ホイール106Wと指紋センサ117との位置関係を示す図である。指紋センサ117の読み取り面は、図4の上方向を向いており、その形状は長方形である。読み取り面の面積は、検査対象である指Fの面積(より詳細には、第1関節よりも先の指の腹の部分)よりも小さい。すなわち指紋センサ117が一度に撮像できるのは指Fの一部分であり、指Fの全体の画像を得るには複数の画像を結合する必要がある。
【0025】
ホイール106Wの回転軸の向きは図4の紙面に垂直、すなわち、指紋センサ117の読み取り面の長辺に平行である。ホイール106Wの回転軸は読み取り面に対してあらかじめ決められた位置にある点を通っている。
【0026】
ユーザは、検査対象である自身の指Fが指紋センサ117の読み取り面の上を通過するように、すなわち指Fが読み取り面に対向した状態で、左から右に移動させる(図4および図5の矢印A方向)。ホイール106Wは、指Fを読み取り面に対向する位置においたときに、指Fと接する位置に配置されている。ユーザが指Fを左から右に移動させると、ホイール106Wは指Fから力を受け、図4および図5の矢印B方向に回転する。このとき指紋センサ117は後述するタイミングで、指Fのうち読み取り面と対向している部分の画像を読み取る。
【0027】
図5に示されるように、ホイール106Wの形状は円錐形である。ホイール106Wは、回転軸に垂直な面Sを有する。ホイール106Wの隣には部材121が設けられている。部材121は、面Sに対向する面Sを有する。部材121はホイール106Wの回転軸に対して固定されており、回転しない。
【0028】
また、ホイール106Wは、図4の上下方向、すなわち、指紋センサ117の読み取り面に垂直な方向にも変位可能、すなわち押下可能である。ホイール106Wの操作に関しては、回転および押下のそれぞれに対し異なる機能が割り当てられる。
【0029】
図6および図7は、面SおよびSの形状および配線を例示する図である。図6は面Sについて示しており、図7は面Sについて示している。面Sは、回転軸から距離rの位置に突起Pを有している。また面Sは絶縁体で形成されている(または絶縁体で覆われている)が、回転軸から距離rの位置には、導電体のパターンCが形成されている。
【0030】
面Sは、回転軸を中心とする半径rの円周上に複数の窪みDを有する。窪みDは、角度θごとに配置されている。窪みDと突起Pとが嵌め合わされることにより、ホイール106Wの回転にはクリック感が与えられる。またSは絶縁体で形成されている(または絶縁体で覆われている)が、回転軸を中心とする半径rの円周上には、導電体のパターンCが複数形成されている。パターンCも、角度θごとに配置されている。窪みDと突起Pとが嵌め合わされたときに、隣接する2つのパターンCがパターンCを介して導通するように、パターンCは配置されている。複数のパターンCは、1つおきに電圧源VおよびグランドGNDに接続されている。電圧源VとグランドGNDの間の電圧を計測することにより、隣接する2つのパターンCが導通したことを検出できる。すなわち、ホイール106Wが角度θ回転したことを検出できる。ホイール106Wおよび部材121は、このようにして、ホイール106Wが角度θ回転したことを示す信号を変位信号として出力する。以下、説明を簡単にするため、部材121が変位信号を出力する場合でも「ホイール106Wが変位信号を出力する」と記載する。
【0031】
図8は、角度θの決定方法を例示する図である。いま指紋センサ117の読み取り面の短辺の長さをx、回転軸から読み取り面の短辺の端点までの距離をrとすると、式(1)を満たすθが採用される。読み取り面の短辺の長さは、指Fのうち一度に撮像できる領域の長さに等しいので、このような角度θが採用されることにより、読み取り面の短辺の長さに相当する距離だけ指Fが移動したことが検出される。
【数1】

【0032】
2.動作
図9は、情報処理装置1の動作を示すフローチャートである。図9のフローは、例えば、情報処理装置1が起動され、CPU101への電力供給が開始されたことを契機として開始される。ここでは、指紋センサ117の読み取り面の短辺の長さが3mmであり、指F全体の画像を得るのに10枚の指紋画像が用いられる場合を例に説明する。以下「指紋画像」とは、指Fのうち指紋センサ117で一度に読み取られる部分の画像をいう。
【0033】
CPU101は、RAM103上に指紋画像を記憶する記憶領域を確保する等、以下の処理に必要な初期化処理を行う。初期化処理により、RAM103は、所定数(この例では10枚)の指紋画像を記憶する記憶領域を有する。
【0034】
ステップS100において、CPU101は、ホイール106Wの変位が所定の大きさになったか判断する。この例では、ホイール106Wは変位信号としてホイール106Wの回転角を示す信号を出力する。変位信号は、例えば、ホイール106Wが所定の角度θ回転するたびにハイレベルとなる信号である。CPU101は、変位信号がハイレベルからローレベルになり、その後再びハイレベルになったことを検出すると、ホイール106Wが角度θ回転したと判断する。ホイール106Wの変位が所定の大きさになったと判断された場合(S100:YES)、CPU101は、処理をステップS110に移行する。ホイール106Wの変位が所定の大きさになっていないと判断された場合(S100:NO)、CPU101は、変位が所定の大きさになるまで待機する。
【0035】
ステップS110において、CPU101は、指紋センサ117から出力される画像信号により示される画像(指紋画像)をRAM103に記憶させる。
【0036】
ステップS120において、CPU101は、所定数の指紋画像が得られたか判断する。まだ所定数の指紋画像が得られていないと判断された場合(S120:NO)、CPU101は、ステップS100−120の処理を繰り返し実行する。所定数の指紋画像が得られたと判断された場合(S120:YES)、CPU101は、処理をステップS130に移行する。
【0037】
図10は、取得された指紋画像を例示する図である。指Fの画像は短冊状に10分割された状態で取得される。各指紋画像は、指紋センサ117の読み取り面の短辺の長さに相当する距離だけ指Fが移動したタイミングで撮像されるので、隣接する指紋画像間の位置関係は指Fの移動速度によらず一定である。
【0038】
再び図9を参照して説明する。ステップS130において、CPU101は、指紋画像を結合し、指F全体の画像を生成する。既に述べたとおり隣接する指紋画像間の位置関係は指Fの移動速度によらず一定であるので、画像を結合する際に画像をマッチングして位置合わせする必要はない。
【0039】
図11は、生成された指F全体の画像を例示する図である。以上で説明したように、この例によれば、ラインタイプの指紋センサを用いても指全体の画像が取得される。またこの例によれば複数の画像を結合する際に画像解析を行う必要はない。情報処理装置1は、こうして取得された指F全体の画像を用いて、周知の認証処理を行う。
【0040】
3.他の実施形態
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下において、実施形態と共通する事項についてはその説明を省略する。また、実施形態と共通する構成要素については共通の参照符号が用いられる。以下の変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0041】
3−1.変形例1
指紋センサ117に隣接して設けられる操作子の形状は、ホイール型のものに限定されない。検出対象から力を受け、検出対象の移動に応じて、指紋センサ117の読み取り面に対して相対的に変位するものであればどのような操作子が用いられてもよい。
【0042】
図12および図13は、変形例1に係る操作子を例示する図である。この例では、操作子としてボール106Bが用いられている。図12は、指紋センサ117の読み取り面に対し垂直上向きから見た図である。図13は、図12のXIII−XIII線における断面図である。ボール106Bは周知のマウスに用いられているものと同種のボールであり、指Fが矢印A方向に移動することにより指Fからの力を受けて回転する。ボール106Bの回転角を示す信号が変位信号として用いられる。
【0043】
3−2.変形例2
図14および図15は変形例2に係る操作子を例示する図である。この例では、操作子としてスライドスイッチ106Sが用いられている。図14は、指紋センサ117の読み取り面に対し垂直上向きから見た図である。図15は、図14のXV−XV線における断面図である。図14には、あわせて指紋センサ117の断面を記載している。
【0044】
スライドスイッチ106Sは、ユーザが指をあてて動かすことにより図13の実線で示した位置(以下「ホームポジション」という)から点線で示した位置(以下「操作ポジション」という)まで移動する。スライドスイッチ106Sは、ユーザが指を離すとバネ等の手段によりホームポジションに戻るように設計されている。ホームポジションから操作ポジションまでのストロークdは、検査対象の長さ(この例では指)に合うように設計されている。
【0045】
スライドスイッチ106Sには穴Hが設けられている。またスライドスイッチ106Sの表面のうち特に指Fと接する面は指の形状に合わせた曲面となっており、ユーザが指Fを乗せると指Fの腹の部分が指紋センサ117の読み取り面と対向する構造となっている。この状態でユーザがスライドスイッチ106Sをホームポジションから操作ポジションまで移動させると、指が読み取り面の上を移動する。この例ではスライドスイッチ106Sの変位を示す信号が変位信号として用いられる。
【0046】
3−3.変形例3
上述の実施形態においては操作子の操作に割り当てられている機能について特に言及しなかったが、この操作には主電源の投入を指示する機能が割り当てられてもよい。ここで「主電源の投入」とは、情報処理装置1において相対的に消費電力が高い1または複数の要素、例えばCPU101や表示体107(表示制御部108)に対して電力の供給を開始することをいう。以下、操作子の操作にCPU101へ電力の供給を開始する指示が割り当てられている場合を例に説明する。
【0047】
主電源が投入されていない状態においても、電源制御部112には電力が供給されている。電源制御部112は、UIボタン群106、特に指紋センサ117と隣接して設けられている操作子(上記の実施形態ではホイール106W)から出力される変位信号を監視している。変位信号により示される変位があるしきい値に達した場合、電源制御部112は、CPU101への電力供給を開始するように電源オン・オフ回路111を制御する。
【0048】
上述の実施形態では指紋センサ117の読み取り面の短辺の長さに相当する角度θを単位としてホイール106Wの変位が検出されたが、この例ではこれより細かい単位でホイール106Wの変位が検出される。この構成によれば、情報処理装置1の主電源が投入されていない状態(スタンバイ状態)でホイール106Wが操作されると、主電源が投入され、実施形態で説明した処理が行われる。
【0049】
3−4.変形例4
変形例3における「主電源の投入」で電力が供給される要素には、指紋センサ117が含まれていてもよい。この例で、スタンバイ状態ではCPU101・指紋センサ117・表示体107(表示制御部108)には電力が供給されない。この状態でホイール106Wが操作されると、CPU101および指紋センサ117に電力が供給される。
【0050】
3−5.変形例5
操作子の操作に割り当てられる機能には、指紋センサ117への電力の供給を指示する機能が含まれてもよい。例えば上述の実施形態において、ホイール106Wを押下すると指紋センサ117への電力の供給が開始される構成としてもよい。この例で電源制御部112は、ホイール106Wから出力される変位信号、特に押下の有無を示す信号を監視している。ホイール106Wが押下されると指紋センサ117への電力の供給が開始され、指紋画像の撮像が可能となる。
【0051】
3−6.変形例6
変形例3で説明した「主電源の投入」は、ユーザ認証による結果に応じて行われてもよい。この例で「主電源の投入」は、表示体107(表示制御部108)に電力を供給することをいう。まず主電源が投入されていない状態において、電源制御部112には電力が供給されている。電源制御部112は、ホイール106Wから出力される変位信号を監視している。変位信号により示される変位があるしきい値に達した場合、電源制御部112は、CPU101への電力供給を開始するように電源オン・オフ回路111を制御する。この状態で実施形態で説明した指紋画像の取得・結合が行われる。CPU101はさらに、生成された指紋全体の画像を用いて認証処理を行い、そのユーザが認証された場合は電源制御部112に対し主電源を投入するよう指示をする。電源制御部112は、この指示を受けて、表示体107(表示制御部108)に電力を供給するように電源オン・オフ回路111を制御する。ユーザが認証されなかった場合、CPU101は、主電源の投入を指示せずに、情報処理装置1をスタンバイ状態にするように電源制御部112に指示をする。
【0052】
3−7.他の変形例
上述の実施形態においては情報処理装置1の主制御部であるCPU101が図9に示される処理を実行する例について説明したが、CPU101以外のプロセッサが図9の処理を実行してもよい。例えば、指紋センサ117自体が図9の処理を実行するプロセッサおよびメモリを有してもよい。
【0053】
上述の実施形態では画像読み取り装置が指紋センサ117である例、すなわち取得される情報が指紋である例について説明したが、取得される情報は指紋に限定されない。指紋・虹彩・静脈など、画像として取得できるものであれば他のいかなる生体情報が用いられてもよい。あるいは、生体情報以外の以外の情報が取得されてもよい。例えば、検査対象はカード・印鑑など非生体であってもよい。
【0054】
上述の実施形態では指紋センサ117が静電容量式のセンサである例について説明したが、光学式・機械式等、他の方式のセンサが用いられてもよい。
【0055】
図6および図7に示される例では、面Sが突起を、面Sが窪みを有していたが、逆に面Sが窪みを、面Sが突起を有していてもよい。要は、面Sと面Sのうち一方が複数の窪みを有し、他方が突起を有しいればよい。また、窪みの代わりに孔が用いられてもよい。
【0056】
上述の実施形態では、指紋センサ117の読み取り面の形状が長方形である例について説明したが、読み取り面の形状は長方形に限定されない。楕円形、8角形など、長方形以外の形状であってもよい。要は、外接矩形が長方形となるような形状であればよい。またここでいう「ラインタイプ」のセンサは、撮像素子が1次元的に配列されているものに限定されない。撮像素子が2次元的に配置されているものであっても、読み取り面の外接矩形の短辺の長さが検査対象の長さよりも短いものであれば、いかなる形状のセンサが用いられてもよい。
【0057】
情報処理装置1のハードウェア構成は図2で示されるものに限定されない。必要な機能構成を実現できるものであれば、どのようなハードウェア構成を有する装置が用いられてもよい。また上述の実施形態では情報処理装置1が電子ペーパである例について説明したが、情報処理装置1は電子ペーパ以外の装置であってもよい。
【0058】
ここで用いられた「平行」および「垂直」という用語は、数学的に完全な平行および垂直を意味するものではなく、本発明の効果を奏する範囲であればある程度の誤差を含んでいてもよい。
【0059】
上述の実施形態においてCPU101によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスク(CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk))など)、光磁気記録媒体、半導体メモリ(フラッシュROMなど)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】一実施形態に係る情報処理装置1の機能構成を示す図である。
【図2】情報処理装置1のハードウェア構成を示す図である。
【図3】情報処理装置1の外観を示す図である。
【図4】ホイール106Wと指紋センサ117との位置関係を示す断面図である。
【図5】ホイール106Wと指紋センサ117との位置関係を示す斜視図である。
【図6】面Sの形状および配線を例示する図である。
【図7】面Sの形状および配線を例示する図である。
【図8】角度θの決定方法を例示する図である。
【図9】情報処理装置1の動作を示すフローチャートである。
【図10】取得された指紋画像を例示する図である。
【図11】生成された指F全体の画像を例示する図である。
【図12】変形例1に係る操作子を例示する上面図である。
【図13】変形例1に係る操作子を例示する断面図である。
【図14】変形例2に係る操作子を例示する上面図である。
【図15】変形例2に係る操作子を例示する断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1…情報処理装置、10…画像読み取り装置、11…読み取り手段、12…操作子、13…変位出力手段、14…記憶手段、15…画像生成手段、20…電源、30…電力制御手段、40…主制御部、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…VRAM、105…I/O、106…UIボタン群、107…表示体、108…表示制御部、111…電源オン・オフ回路、112…電源制御部、113…電池、114…バス、115…補助記憶装置、117…指紋センサ、121…部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象の画像を読み取る読み取り面を有し、前記読み取り面に対向している前記検出対象の画像を読み取り、前記読み取った画像を示す画像信号を出力する読み取り手段と、
前記検出対象から力を受け、前記検出対象の移動に応じて変位する操作子と、
前記操作子の変位を示す変位信号を出力する変位出力手段と
を有する画像読み取り装置。
【請求項2】
前記読み取り面の外接矩形は長方形であり、
前記操作子は、前記読み取り面に対して所定の位置にある点を通りかつ前記長方形の長辺に平行な直線を回転軸として回転する回転式操作子である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記回転式操作子が、前記回転軸に垂直な面を有し、
前記回転軸に対して固定され、前記垂直な面と対向する面を有する部材を有し、
前記回転式操作子の垂直な面と前記部材の面のうち一方は、前記回転軸を中心とする円周上に、前記長方形の短辺の長さに対応する角度ごとに配置された複数の窪みまたは孔を有し、
前記回転式操作子の垂直な面と前記部材の面のうち他方は、前記回転軸を中心とする円周上に配置された突起を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記回転式操作子は、前記読み取り面に垂直な方向に変位可能である
ことを特徴とする請求項2または3に記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
前記検出対象が生体であり、
前記読み取り手段は、前記生体の生体情報を示す画像を読み取る
ことを特徴とする請求項1−4のいずれかの項に記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
前記変位信号により示される変位が所定の大きさになったタイミングで、前記画像信号により示される画像を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段にそれぞれ異なるタイミングで記憶された複数の画像を結合し、前記検出対象全体の画像を生成する画像生成手段と
を有する請求項1−5のいずれかの項に記載の画像読み取り装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像読み取り装置と、
前記画像読み取り装置を制御する主制御部と、
前記変位信号により示される変位が所定の大きさになると、前記主制御部への電力の供給を開始するように電力の供給を制御する電力制御手段と
を有する情報処理装置。
【請求項8】
請求項6に記載の画像読み取り装置と、
前記変位信号により示される変位が所定の大きさになると、前記読み取り手段への電力の供給を開始するように電力の供給を制御する電力制御手段と
を有する情報処理装置。
【請求項9】
検出対象が対向状態で移動できる読み取り面を有し、前記読み取り面に対向している前記検出対象の画像を読み取り、読み取った画像を示す画像信号を出力する読み取り手段と、前記検出対象から力を受け、前記検出対象の移動に応じて変位する操作子と、前記操作子の変位を示す変位信号を出力する変位出力手段とを有する画像読み取り装置と、記憶手段とを有するコンピュータ装置に、
前記変位信号により示される変位が所定の大きさになったタイミングで、前記画像信号により示される画像を前記記憶手段に記憶するステップと、
前記記憶手段にそれぞれ異なるタイミングで記憶された複数の画像を結合し、前記検出対象全体の画像を生成するステップと
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−176030(P2009−176030A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13815(P2008−13815)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】